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鉄腕麗人さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2593
性別 男性
ホームページ https://tkl21.com
年齢 43歳
メールアドレス tkl1121@gj8.so-net.ne.jp
自己紹介 「自分が好きな映画が、良い映画」だと思います。
映画の評価はあくまで主観的なもので、それ以上でもそれ以下でもないと思います。

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341.  キサラギ
自殺したマイナーアイドル“如月ミキ”の一周忌に集まった曲者ぞろいの5人の”ファン”たち。 全編通してまんべんなく“笑い”を散りばめつつ、密室の中でアイドルの死の「真相」を突き詰めていく様は、「12人の優しい日本人」を彷彿とさせる。と言えるほど、よく練られた設定がスバラシイ。  5人のキャラクターそれぞれが立っていて、それぞれのキャラクター設定や、伏線となる言動が徐々に結びついていく様に、登場人物たち同様にハッとなる。それがサスペンスとしても心地よい快感となり、どんどんのめり込んでいけて、とても楽しい。  ストーリーやサスペンスとしての伏線自体は、実はとても安直なもので、それほど突き詰められたものではないのだけれど、愛すべきキャラクターと映像世界が、トータル的に「良い映画」として仕上げていると思う。 最終的に、観客も“如月ミキ”ファンになってしまうような、そんな愛着感こそ、この作品が映画として「スバラシイ」と言える最大の要因だと思う。  惜しむらくは、宍戸錠の出演はお宝DVDの中だけでとどめてほしかった。 5人揃って“見事”な振り付けを披露するファンキーなエンディングで幕を降ろしてくれていた方が、よっぽど映画としての後味が優れていたと思う。
[映画館(字幕なし「原語」)] 9点(2007-08-12 19:15:10)
342.  ゼロの焦点(1961)
北の薄暗い寒空の下、冷たく暗い海のように、深い感情が沈み込む。  松本清張原作の「ゼロの焦点」は、思わずそんな文体を言い回したくなるような、文学の味わいが色濃く反映された奥深いサスペンス映画だった。  結婚後わずか一週間での夫の失踪。新妻にとってまったく訳が分からない状態から深まる謎と、徐々に明らかになる夫の実像。 巧いと思うのは、主人公である“妻”とミステリーの核心である“夫”の絶妙な関係性だ。 失踪した夫のことを心底心配はする妻だが、それと同時に実のところ夫のことを何も知らないという実情。だからこそ混沌としていく謎に対する感情。 その微妙な心理の妙は、まさに文体で創り込まれたものだということを感じさせる。  そして、その妻の心理の上に、さらに二人の女の感情が積もる雪のように折り重なっていく。 ミステリーに対する解放感と同時に見えてくる女たちの儚く切ない運命模様は、映し出される冷たい空気感以上に、凍てつくような情感に溢れている。  数奇な運命に翻弄された3人の女たち。それぞれに不幸があり、それぞれに救いもあった。それは、人生というものは決して比べられるものではないということを、物語っているようにも思う。  何にしても、“崖先ので真相解明”。もはやミステリーの常套手段でもあるクライマックス、その「原点」を見た気がする。 
[DVD(字幕なし「原語」)] 9点(2007-08-12 03:40:34)
343.  ボビー
恥ずかしい話だが、映画の終盤までこの作品に核心である“ケネディ”は“JFK”のことだと勘違いしていた。ほんとに無知さが情けない。 でも、その無知がこの映画の終着点までの道程における「深み」を、固定観念なく染み渡るように感じることが要因になったとも思う。  つまりは、スバラシイ映画である。  1968年、泥沼化したベトナム戦争、混迷を極めるアメリカ、残された最後の希望、アメリカ大統領候補ロバート・F・ケネディの暗殺。 アメリカ史上に残る血塗られた悲劇の日、現場となったアンバサダーホテルに集った人種もステータスもバラバラな22人の「視点」と「感情」をグランドホテルスタイルで巧みに切り取っていく。  この悲劇の事実を知らなかったので、描かれた「顛末」の衝撃は殊更に大きかった。 そして同時に、この映画を22という多種多様なアンサンブルによって描いたことの意味を知った。  それぞれが描いた「希望」がついえたその瞬間、彼らは何を見て、何を思ったのか。 きっとそれは22人の視点以上に複雑で、混沌と共に混ざり合う。  ついえた希望に反して、今なおついえることのない愚かしい悲劇の数々。 それは、アメリカという絶対的な大国に課された恒久的な「業」なんだと思う。 それは、凄まじく辛く、堪え難い。 が、しかし、諦めることは許されない。どこまでも続く悲劇を、どこまでも乗り越えていくしか、人類に未来はない。
[DVD(字幕)] 9点(2007-08-05 23:26:42)(良:1票)
344.  300 <スリーハンドレッド>
予告編その他を見る限り、もう完全に“CGを駆使したバトルシーン”のみが「売り」の映画であることは明らかだった。 新感覚の映像世界を見せつけてくれる映画は基本的に好きだし、予告編を観ても興味は膨らんだが、いかんせん“バトルシーンのみ”でどうやって2時間の尺を紡ぎだすのか、下手をすれば“大コケ”している映画なのではないかと一抹の不安を残しつつ、オープニングを迎えた。  まず一言……、「スゴイ」。 本当にほぼ9割近くバトルシーンで映画を撮り切っている。そしてその映像感覚は、触れ込みどおりに“新しく”、“凄まじい”。 隆々とした見るからにむさ苦しいスパルタの豪傑300人が、己の誇りと威信にかけて国を守るために立ち上がる。その美学は、まさに西洋版武士道に他ならない。  バックグラウンドなどほとんど描かず、「攻めてきたから攻め返す」、至極シンプルで明確な理由で圧倒的な大軍の前に向かい立つ。その単純だが、あまりに潔い姿に奮える。  ジェラード・バトラーの濃すぎる風貌を筆頭に、相当に悪趣味な敵国王や怪物じみた巨象の襲来等、明らかにマンガ的な遠慮のないビジュアルセンスが、益々映像世界の特異感を強め、素晴らしいオリジナリティを生み出していると思う。  嫌いな人はとことん「無理」だろうが、好きな人はとことん入り込む映画だろう。 ストーリーなどあってないようなもので、ひたすらに血と汗が入り混じった凄まじい「熱気」を浴びせ続けられる映画だ。当然、こういう映画もあって良い。
[映画館(字幕)] 9点(2007-06-09 19:43:30)
345.  リトル・ミス・サンシャイン
ひとクセもふたクセもあるバラバラの家族が、美少女コンテストに出場が決まった娘のために、一路カリフォルニアまで“オンボロワゴン”で走り出す。 様々なトラブルが次々起こる“家族旅行”を通じて、崩壊寸前の家族の「再生」を、時にユニークに、時にシニカルに、そしてハートフルに描き出したスバラシイ映画だった。  崩壊寸前の家族像を描きながら、この映画は冒頭から愛らしさに溢れ、心をくすぐってくる。 それは、この家族が決して悲劇的にバラバラな状態ではないということに他ならない。それぞれの思いの中で、微妙な“すれ違い”は生じているが、根本的にはそれぞれが自身の家族を愛し、必要としている。そういうことが、鮮やかに映し出される映像美とキャストのさりげない表現力によって、映画の全編を通して伝わってくるのだ。  この映画は6人の家族そのものが主人公だと思うが、それを演じたキャスト陣がそれぞれとても素晴らしかった。 今作の強烈なおじいちゃん役でアカデミー助演男優賞を獲った名優アラン・アーキンや、父親役のグレッグ・ギニアの存在感は申し分なかったが、やはり印象的だったのは、ミスコンを目指す幼児体型の眼鏡少女をこの上なくチャーミングに演じて見せた小さな女優アビゲイル・ブレスリンだ。バラバラの家族を繋ぎとめる唯一の“かすがい”として天真爛漫さを振りまくオリーブ役を見事に演じきっていたと思う。  トラブル続きの“家族旅行”を終えた時、彼らをとりまく様々な物事は決してすべてがうまくいったわけではない。むしろ、客観的に見れば色々なものを失ったと言える。でも、彼らはみんな出発前にはなかった心からの笑顔に溢れている。 この家族が得たものは何にも代えがたく、その価値はこの映画そのものの価値だと思う。
[DVD(字幕)] 9点(2007-06-03 17:51:07)(良:4票)
346.  ストロベリーショートケイクス
鬱積する都会の雑踏の中で、もがくように、ひたすらに生きる4人の女性像。それは時にどこまでも痛々しく、時にどこまでもいとおしい。 いたずらに感情を込めず、淡々と彼女たちの“深い部分”を描き出した情感溢れる世界に胸が詰まる。  魚喃キリコの原作は素晴らしく、もちろんあの原作があってこそのこの映画なのだが、難しいとされる漫画の映画化をとても巧く、とても丁寧に成していると思う。 微妙な感情が渦巻く4人の女性を、それぞれの女優がとても巧く表現していて、そのことが何よりもこの映画の完成度を高めている。 池脇千鶴は惨めさの中に不思議な愛らしさを併せ持つ不器用な女を好演していたし、中村優子は切なく痛々しい二面性を持つ微妙な女性を、絶妙な表情と声のトーンで演じ分けていた。  実のところ、世に生きる幾多の女性たちの何がリアルで何が虚像なのかなんてことは分からないけど、少なくともこの映画の中の女性たちの苦悩や葛藤というものは、ありのままであり、それはあくまで創られた世界でのことだけれど、伝わってくるそれはほんとうの“声”だと思った。  彼女たちの苦しみは、完全に消え去ったわけでは決してないのだけれど、それでもラストシーンの浜辺でのそれぞれの微笑みには、深い安堵感を覚えた。 そういうことを、とても自然に観る者に与えることが出来ている、さりげなくも本当に良い映画だと思う。  こわれやすく、愛らしいショートケーキのように、けなげに、ひたすらに、すべての女性は生きていく。
[DVD(邦画)] 9点(2007-05-06 01:09:43)(良:1票)
347.  ブラッド・ダイヤモンド
血で染めつくされた広大な大地で、絶え間なく続く愚かしい紛争。見誤ってはならないのは、「愚か」なのは、争いを続ける当人たちではなく、その「大地」から遠く離れてまるで関係ないように生きる人々、詰まりは“無知”な(自分自身も含めた)世界中の人間たち、しいてはその「世界」そのものであるということを、認識しなければならない。  まるでドキュメンタリーを見ているかのように生々しく、あらゆる意味で力強い描写から、自分が「知らなかったこと」、「知っていたつもりでいたこと」が心に突き刺さるように伝わってくる。 娯楽アクション映画で“創造”された銃撃戦ではなく、今この瞬間も世界のどこかで確実に繰り広げられているだろう“現実”の銃撃戦の様(さま)に、言葉の形容があまりに無意味な衝撃を受けた。 そして、血と血の間で否応なしに生きる人々の“叫び”に無知で無力な自分は呆然とするしかなかった。  広大な大地の中で、たった一つのダイヤを巡り、主要人物3人のまったく違う意思と欲望と思惑が複雑に絡み、結びついていく展開が非常に巧い。そして、泥と血にまみれながらその3人を演じた俳優たちが、それぞれ本当に巧かった。 こういう役を演じさせるともう言葉の通り“脈々とした”絶対的な存在感を見せるジャイモン・フンスーは、圧倒的だった。 が、敢えてというかやはり素晴らしかったのは、レオナルド・ディカプリオだ。ハリウッドきってのスター俳優は、もはや“実力”の伴った「名優」になりつつあるのではないか。そう思えるほど、彼の演技には「巧い」ということ以上に、説得力と安心感を覚えた。  “ブラッド・ダイヤモンド”、血で染まったピンクのダイヤモンドが、世界にどのような「影響」を与えることができるのか。映画の最後にもあったが、その答えは、誰でもない世界の一人一人の意識の中にあるのだと思う。 世界は、事実を知らなければならない。世界は、世界を見なければならない。
[映画館(字幕)] 9点(2007-04-21 02:39:39)(良:2票)
348.  ドリームガールズ(2006)
スバラシイ。映画全体にほとばしるR&Bのソウル。“サクセス”への情熱と群像。あらゆる感情のパッションが、上質な歌唱とダンスによってスクリーンいっぱいに伝わってくる。  やはり特筆すべきは、その“臨場感”だろう。絶対的な実力を持った俳優たちによるパフォーマンスにより、まるで生の声が伝え響いてくるようだった。本当のコンサートホールや舞台裏で、彼らの肉声と感情をそのままに体感しているような錯覚に陥る。 流れるようなカメラワークと、クオリティの高い舞台設計、何よりも演者たちの歌声と表現力が素晴らしかったと思う。  今年度のアカデミー賞で日本人女優・菊地凛子がノミネートされたことで話題となっている助演女優賞のオスカー大本命と言われているジェニファー・ハドソンのパフォーマンスは、流石に圧倒的だった。まあストーリー上、彼女の役が主人公と言っても過言ではないほどのウエイトのキャラクターなので尚更だが、その存在感は新人女優とは思えない。  “色々な意味”でジェニファー・ハドソンの陰に隠れてしまった印象もあるヒロインを演じたビヨンセ・ノウルズだが、それでも彼女のこの映画における意味合いは物凄く大きい。彼女の美貌と、絶対的な歌唱力が無ければ、やはりこの映画は有り得なかっただろう。スーパースターでありながら、決しておいしくはない役を堂々と演じた様は素晴らしかったと思う。  そして個人的に一番印象強かったのは、エディ・マーフィだ。僕らの世代的には、ハリウッドのエンターテイナーといえばエディ・マーフィであったりする。 久しぶりに見た彼のパフォーマンスは、流石で、そこに年齢を重ねた俳優としての哀愁も合わさり、その存在だけでとても感動的ですらあった。  ミュージカル映画の素晴らしさは「理屈」ではないということだと思う。伝わってくる歌声と、ビジュアルをそのままに感じることが、その醍醐味だろう。 まさにその醍醐味そのもののパワフルな作品だと思う。 
[映画館(字幕)] 9点(2007-02-18 21:34:40)
349.  鉄コン筋クリート
2006年の年の瀬。実はもっとも観たかった映画が、この「鉄コン筋クリート」。 年末公開だったのだが、地方都市の性で年明け一発目の公開とずれ込んでしまった。 というわけで、2007年一発目。新年最初に観る映画がアニメというのも悪くはない。  んで。そういう新しい年の“高揚感”的な部分がないと言えばウソになるが、いきなりの最高点。  とりあえず、あの松本大洋の独創的な原作漫画を“カンペキ”に映画化してみせたということだけで、「スバラシイ」という他はない。 しかも、ただ原作を忠実にアニメ化しただけではなく、その物語と世界観が持つ「深層心理」まで確実に表現してみせたこのアニメーション技術には、もはや言葉が無い。 地獄のような町で、どこまでも純真に、だからこそ狂気的に生きていく二人の少年。 その躍動感を、息づかいを、そして無限に混沌と広がる精神世界を、見事に映し出す。 目の前に際限なく広がっていく映像世界には、ただ呆然とするばかりだ。  そもそもが一つの“カタチ”を持たない物語である。すべてを明確に説明することなど不可能だし、意味がないことだ。 ただただぶつけてくる登場人物たちの感情をそのままに受け止めればそれでいいのだと思う。そこに理屈など存在せず、感情のままに揺さぶられる。   一昨年の「マインド・ゲーム」に引き続き、果てしない精神世界を独創的に表現してみせた“STUDIO 4℃”。 ながらく「ジブリ」によって支えられ発展してきたジャパニメーションは、その停滞と同時にまた新たな“チカラ”を得たのだと思う。
[映画館(邦画)] 9点(2007-01-08 00:16:22)(良:1票)
350.  運命じゃない人 《ネタバレ》 
とことん不器用で呑気でいいやつなサラリーマン宮田くんの周囲で、“実は”巻き起こっていたある一夜の騒動を巧みな構成で描く“タイム・スパイラル・コメディ”。  むむむ、巧い!ずばり、見事! と、絡み合ったストーリーのパズルが次々に解かれていく様を目の当たりにして、自らの感情を口走ってしまった。こういう「巧い映画」を観ると、よくそういう風になる。  時間軸を巧みにずらして、効果的にストーリーの全貌を見せていくというアイデアを礎にした映画は、「パルプ・フィクション」以降各国で作られているが、ついに日本でも本家に勝るとも劣らない(とは言い過ぎかもしれないが)傑作が誕生した。と、思う。  ストーリーの軸に「大金」が存在するというのは、このタイプの映画の“定石”とも言える要素で、今作においてもその要素は存在するのだが、この映画が素晴らしいのは、最終的に登場人物たちが得るものが「金」ではないということだ。 そして、主人公は、端から終わりまで「大金」の存在すら知らないままであるということ。 それはすなわち、この映画の描く主題が、他国の娯楽映画のように“一獲千金”的なことではなく、呑気な主人公を軸とする“人と人との繋がり”であり、詰まるところ“人の感情”ということを意味する。  そのことが、この手のアイデアによる他の映画とは一線を画すような、今作ならではの“なんだか温かい”余韻を生み出していると思う。  娯楽性と同時に、人の感情を“さりげなく”描き出す素晴らしい映画だと思う。
[DVD(字幕)] 9点(2006-09-15 16:22:11)(良:4票)
351.  日本沈没(2006)
「日本の超大作映画」というだけで、「駄作」とほとんど決めつけても決して行き過ぎではない「確率」というものは確かにある。が、しかし!この映画は、多くのそういう映画とは一線を画す見事なスペクタクル映画だったと思う。 オリジナル作品も数年前に観ていたが、明らかにそれを超える出来栄えだった。リメイク作品としては非常に珍しい。 この映画は迫力のVFXが最大の売りである少し古風な言い方をすれば「特撮映画」である。実際ストーリーなど二の次でも構わない(いや別にストーリーも悪くはなかったが)。 崩壊していく日本列島を描き出した「特撮」に確固たる感情の揺れを覚え、涙が溢れた。それだけで、この映画の価値は高い。 日本映画の「特撮」はようやく「感動」を紡ぎ出せるレベルに達した。いや“戻った”と言うべきか。
[映画館(字幕)] 9点(2006-08-01 22:29:47)(良:1票)
352.  リンダ リンダ リンダ
素晴らしい。この人(監督)の映画を観るのは初めてだけれど、なんて奥ゆきのある映像、そして映画を紡ぎ出す監督だろうか。校舎の間から見える青空、誰もいない靴箱、何気ない学校の風景に、無限の広がりと感情を感じた。 その映画世界に息づく文字通り等身大の少女たち。決して「言い過ぎない」彼女たちの言動は、だからこそ素晴らしい“若さ”をリアルに表現している。 彼女たちは、「言葉」だけでコミュニケーションをしない。良くも悪くも、自らのあらゆる「感受性」をもって繋がっていくのだ。 この映画は、そういうことをさらりと、気持ち良く伝えてくれる。
[DVD(字幕)] 9点(2006-03-28 01:59:33)(良:1票)
353.  メゾン・ド・ヒミコ
ゲイのための老人ホーム“メゾン・ド・ヒミコ”。それはとても、映画で描くにふさわしい素材ではないかと思う。独特の楽天性、普遍的に抱える劣等感や哀しみ、そういうゲイならではの感情が、「老人」という要素の介入によって殊更に、切なく広がってくる。 そしてそのベースの上に、主要キャラクター3人の複雑な人間関係が、巧みに入り混じり、今までにない一風変わった人間ドラマを構築している。 物語の中心である、柴咲コウ、オダギリジョー、田中泯の演技がそれぞれ良く、各々が難しいキャラクターを違和感なく息づかせていると思う。 とりまく空気は、どこまでも淋しげで、哀しいのに、なぜかじんわりと温かくなる映画だ。
[DVD(字幕)] 9点(2006-03-03 03:38:00)
354.  ミュンヘン
きっと、“祖国を失うという喪失感”そして“祖国が存在しないという虚無感”なんて微塵も感じたことがない僕たちは、この映画の本当の「感情」なんて分かるわけがないのだろう。でも、だからこそ、客観的に冷静に見れる要因になるのかもしれない。おそらく、この「事実」に対して何らかの関わりを持つ民族の人たちにとっては、今作で描かれるものは非常にデリケートで、ある部分では大いに「反感」をかうのだと思う。 ただ、もし「客観視」が許されるのなら、やはりこの映画は素晴らしい。もちろんこの物語を客観的に観たままに終わってはならない。これは人間の歴史をそのまま形どっていると言っても決して過言ではない“憎しみの螺旋”の紛れも無い一端だからだ。 悲しいけれど、この“螺旋”は、人間が存在する限りいつまでもつきまとう“業”なのかもしれない。 非常に重く、繊細で難しいテーマ性と現実を孕んだ物語にも関わらず、その長尺をまるで感じさせないスピルバーグの映画術は流石だ。 ラストカット、彼方に見える貿易センタービルが、とても悲しく、感慨深い。“螺旋”はどこまでも続いている。
[映画館(字幕)] 9点(2006-02-11 00:06:06)(良:2票)
355.  トニー滝谷
素晴らしかったと思う。小説の映画化作品というものは多々あるけど、この映画ほど、小説の世界観が直接に伝わってくる作品は無かったと思う。まるで映像の中に、文体とそれが伝えるものが、うっすらと浮かんでくるようだった。 市川準監督らしい、淡々としたカメラワークの中で、二人の素晴らしい俳優が、これが映画であるということを忘れさせるくらいに、静かに、確実に、息づいていた。
[DVD(字幕)] 9点(2006-01-16 02:08:15)
356.  SAYURI
言いえて妙だけれど、“一国の文化”というものは、他国のそれと交じり合うことで、初めてその「本質」と「価値」が見出されるものなのではないか、と思う。 異国の捉え方と表現方法によって、自国の人々が“知らなかった”価値が生まれることもあるのだ。そういうことをこの映画は、燦然と見せつける。 「芸者」という女の生き方。望まぬままにその「運命」へと導かれ、その道程を生き抜いていく一人の女の様があまりに激しく、あまりに美しい。 辛苦の末にようやく手に入れた待ち望んだ“ぬくもり”。 しかし、それでも彼女は「芸者」なのだ。その人生には、もはや神々しさすら覚える。 必ずしも日本という国と芸者という文化を「リアル」に描こうとせず、その文化がもつ本質的な「美意識」を最大限に優先して描かれた映画世界が素晴らしい。 台詞の中に、英語と日本語が混在する脚本&演出方法にも、全然違和感がなく、演者の表現力を最大限に引き出す効果へと繋がっていると思う。 冒頭にも言ったが、他国の文化との“混じりあい”が、素晴らしい世界観を生み出した要因だ。 この作品は、どうやったって日本人だけでは、描ききることができない「日本映画」だと思う。 
[映画館(字幕)] 9点(2005-12-14 01:59:59)(良:1票)
357.  ティム・バートンのコープスブライド
久しく味わうことのなかったアニメ映画の“愛くるしさ”を感じることができる素晴らしい映画だと思う。アニメ映画に必要なのは、目が痛くなる程に目まぐるしい映像世界でも、“難解”という言葉に包まれた複雑な世界観でもない。アニメーションに対する、キャラクターに対する“愛くるしさ”だ。 そのことを、ティム・バートンという特異な映画監督は、“ストップモーション”というもっとも自分らしさを発揮できる秀逸すぎる世界観で、堂々と表現してみせたと思う。 あんなに魅力的な“死体”は、この世でティム・バートンしか創り得ないだろう。
[映画館(字幕)] 9点(2005-11-18 00:21:59)
358.  亀は意外と速く泳ぐ
“普通”のことを“普通”にしようとすることを、これほどまでに可笑しく見せる映画が今まであっただろうか?ゆるくゆるく流れるこの映画の時間の“ゆるさ”は、その在り方の反面、どこまでも計算されつくされている。まるでそれは、「この世の中はどこまでいってもどこにでもユーモアに溢れている」ということを高らかに、いやこっそりと提唱しているようだ。 たまらなく可笑しく、どこまでもくだらない。でも、だからこそこの映画には、どうしようもない愛くるしさに溢れている。だからこそ、人間たちのあたたかさと切なさが染み渡ってくる。 そういう愛すべき映画だと思う。
[映画館(字幕)] 9点(2005-11-14 20:11:02)(良:1票)
359.  ゴーストワールド
“変”なのは自分なのか取り巻く環境なのか?社会の常識と言われているものを迎合して“自立”しなければならないのか?そういう普遍的な10代の思い悩みを、ある部分においては斬新に、そしてある部分においてはとても純粋に描いた作品だと思う。 パフォーマンス的にも、ビジュアル的にも完璧な演者たちが織り成す、少し奇妙なこの映画世界は、実はどの世界にも存在する滑稽で純粋な人間の姿だ。
[DVD(字幕)] 9点(2005-10-26 17:04:13)
360.  インファナル・アフェア 無間序曲
PART1である「インファナル・アフェア」を観終わった後は、続編の存在に対して、大いに不安と疑惑があった。ストーリー的にも1のあのラストからどう展開さすのかが疑問であったし、2大スターは出演せず、若手2人の主演ということに気弱さを感じたからだ。 しかし、そんな不安は冒頭から消し飛んだ。もうとにかく、とても丁寧に映画が作られている。とても繊細で力強い映像美に彩られる、PART1から過去に遡り、二人の主人公を軸としたあらゆる角度からの人間描写の緻密さが見事だ。 そして、一貫して描きつけられる“人間の業の螺旋”。まさに絶え間なく繰り広げられる無間地獄の様に、衝撃と共に深い感慨が残る。
[DVD(字幕)] 9点(2005-09-24 02:33:17)
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