361. 天と地と
50億円余の製作費(多くの関係会社が泣いたという噂)に、大量に動員したエキストラ、こういったものを持て余しているのがヒシヒシと画面から伝わってくる、まさに自家中毒状態の作品。 大勢のエキストラでマスゲームを演じたら、さすがにスペクタクル感はイヤでも出るだろう、と思ったら、実はそうでもなかった、というのは、大きな発見、大きな教訓。私も正直、意外でした、ハイ。 ひたすら薄っぺらい音楽が、ますます作品をスペクタクルとは真逆の方向へ。 ずっと安く済ませながらあれだけ盛り上げた『戦国自衛隊』は、やっぱりエラいと思う(傑作だと言うつもりは無いけど)。 とは言え『乱』の製作費26億円が、フランス資本に頼らざるを得ず、日仏合作となったことを思うと、角川春樹の野心、一目置くべきものなのかも。 [インターネット(邦画)] 4点(2022-03-13 13:20:51) |
362. スキップ・トレース
「ジャッキー・チェンの世界進出は、アメリカのコメディアンとのバディムービーで行く」って、もしかして誰かが決めたんですかねえ。困ったもんです。 かつてのスピード感溢れるジャッキー映画からすると、相棒の存在が映画にブレーキを掛けているようにしか思えんのだけど。 とは言え、若い頃のような無茶は、体力的にもコンプライアンス的にも、難しいでしょうし。これも一つの答え、ではあるのでしょう。もちろん、アイデアを凝らしたアクションは、今回もしっかり盛り込まれてます。 ストーリーはあるような無いような、意味も無くモンゴルに行って、モンゴル相撲。割り切ってデタラメな展開になってます。こういうのも自由でいい。 で、監督がレニー・ハーリンって・・・? [インターネット(字幕)] 6点(2022-03-13 12:57:23)(良:1票) |
363. 馬を放つ
《ネタバレ》 主人公のオジサン。結構、普通のヒトなんですよね。ツケで茶を飲んで、ついでに店の女性と浮気寸前、なんとか踏みとどまったりして。ちょっとした事件もある、普通の日常。 一方でオジサンは、他人が飼ってる馬をこっそり逃がしてしまう、という妙なクセがある。もちろんこれは犯罪。しかし、その背景には、馬とともにノビノビと暮らしてきた、遊牧民としての民族性みたいなものが、オジサンの心の一角を占めている、というのがあって。 民族の誇り。それは別に、意味も無く自分たちを持ち上げて自慢することなんかじゃない(そこは勘違いしちゃいけない点)。先祖から受け継いだものに対する、責任感、とでも言えばよいか。 しかし、誰もが同じ責任感を共有している訳じゃなく、時代は変わり、価値観も変わり、揺らぎが生じる。オジサンはいささか、ラジカルに過ぎたのかもしれない。けれど、それをただ排除すればいいのか? オジサンの正体は、実はこの映画の監督さんで(笑)、やはり、祖国の美しい景色を、飾ることなく在るがまま、しかし真摯に映画へと焼き付けています。主人公が映写技師だったというエピソードもまた、映画愛の表れのようでもあり、フィルムに収められた「古き良き時代」(イヤでもここには「良き」が付いてしまう)に対する郷愁の表れのようでもあり。 ラストは一種の悲劇、ではありますが、イマイチ頼りない主人公の息子が、主人公の何かを受け取ったのかもしれない、ということを微かに感じさせて、映画を締めくくります。 [インターネット(字幕)] 9点(2022-03-13 12:30:35) |
364. コン・ティキ
シュリーマンと、このヘイエルダールとが、「アヤしい考古学者」の二大巨頭だと思ってるのですが、どうでしょうか(え、ゴッドハンド氏も加えるべき?いや、あれはもう、アヤしくすらも無いので・・・)。 思い込みの激しさは、言い方を変えれば、男のロマン。女性の方がオトナなので、こうやって愛想を尽かされちゃうのですが、ロマンなんて、その先にしか、無いんです。 ヘイエルダールの説は、今では概ね、否定されてますよね。補陀洛渡海じゃあるまいし。 しかしこのヤンチャさが、映画では魅力的に映る。無責任で申し訳ないけど、オッサンたちが少年に見えてきて、いいんだなあ。 サメの群れの場面ではハラハラさせられますが、その後のシーンがまた良くって。主人公の顔だけにフォーカスされたショットから伝わる、孤独。その後、仲間の顔のクローズアップで、空気が一気に和らぐ。 海の神秘。海面下に何かが蠢くたびに、ヒヤリとして、ドキリとして。 結局、この冒険は意味のあるだったのか、どうなのか。いや、冒険は冒険自体に意味がある、それでいいじゃないですか。無責任で申し訳ないけど。 [インターネット(字幕)] 8点(2022-03-12 17:50:57) |
365. ドッグ・イート・ドッグ
《ネタバレ》 クズみたいな3人組が、クズみたいな誘拐を企むオハナシ。とにかくどうしようもない連中なんです。3人の中ではニコラス・ケイジが一番マシに思えるくらいだから、コレ、ホントにどうしようもない。 極悪で凄みを利かせた連中なんだったら、また別のピカレスクな魅力があるのだけど、ただのクズだからそうもいかない。微妙に可愛げがあったりするから、始末が悪い。でもって、事件は順調とは程遠い方向に向かっていってしまうのですが、この映画において特徴的なのは、ヒトが結構、アッサリ死んでしまうところ。犯罪映画なら普通、ここで、もうちょっと引っ張るんじゃないか、というシーンで、予想外に早く死人が発生する。これは冒頭からそうだし、主人公3人の運命も似たようなもの。 こういう部分で、「この作品、狂ってるな」と思わされる。そして、そう思わせた段階で、おおむね、作品としては成功してるんじゃないでしょうか。ポール・シュレーダー、まだまだ健在。まだまだ狂ってます。 [インターネット(字幕)] 7点(2022-03-12 17:31:10) |
366. パラドクス
《ネタバレ》 人生コレ、所詮は同じことの繰り返し、ってか? んなコトは今さら言われなくても、なあ。 不条理モノ、です。「無限に続く階段」など、登場人物がある空間に綴じ込められてしまう。というエピソードが連鎖して、どうもその小ループがさらに大きなループの一部をなしている、というカスケード構造。 この作品、そのアイデア一発勝負みたいなところがあって、これぞというような、惹きつけられるシーンが無い。ので、ちょっとツラい。 時系列を弄るのは、そりゃ作り手側は編集でどうにでもできるからいいけど、それを見てただ謎解きさせられるのは、たまったもんじゃない。やはり、「それでも惹きつけられる」ためには、見せ方の工夫があってこそ、だと思うんですけどねえ。 ループに閉じ込められた衝撃を、どう見せるか。どう感じさせるか。年月の経過を表現するのに、ゴミの山だの伸びたヒゲだの、それ以外に工夫はないのか、等。 いや、テーマは悪くないと思うんですけど。とにかく、それをどう見せるか。エピソードを減らしてでも、もう少し丁寧な「コワさ」が欲しかったかな、と。 [インターネット(字幕)] 5点(2022-03-12 10:36:39)(良:1票) |
367. ゼロの焦点(1961)
これ以上短い「ゼロの焦点」は作れないんじゃないか、と思うくらいの細密充填構造。折りたためる部分は徹底して折りたたみ、コンパクトに仕上がってます。 ラストは定番中の定番(それともこの作品が元祖なのか?)、断崖絶壁の上。と言いたいところだけど、ラストというより、後半まるまる、といった感じ。これも映画をコンパクトに仕上げる工夫かもしれないけれど、それにしてもこの断崖の、見事な絶景ぶり。ロケーションの素晴らしさでもって、作品の素晴らしさが約束されたようなもんです。 原作は、松本清張の代表作の一つでありながら、社会派の要素が強く、ミステリとして読むと少々物足りない気もするんですけどね。映画はまた違った魅力を付け加えてくれました。 [インターネット(邦画)] 7点(2022-03-10 23:02:35)(良:1票) |
368. サラリーマン専科 単身赴任
単身赴任! なんと哀しくも切ない響き! サラリーマンが単身赴任になると、どうなるか? と言うと例えば、どこかの誰かさんみたいに、突然、映画を見る手段がことごとく「インターネット」に切り替わり、映画の感想文を某サイトに投稿する頻度が妙に高くなる(だって、ヒマなんだもん)。 ああ、そろそろ1年になるんやなあ。ブツブツ・・・。 作品の冒頭いきなり、主人公は関東から関西へ、単身赴任。いいなあ。代わってくれ。 しかも、単身赴任のくせに随分エエとこ住んでるやないか。くそ~。と、今、自分がいる狭いアパートの部屋を眺め回す。 ふむ。このまま行くと、最後まで映画のことに触れずに書き終わっちゃいそうですね。まあ、たまにはそういうのも、いいでしょ。 ダメ? 私のような大阪出身者が関東(K県K市)に来たって、自分も周囲も、面白くも何ともないのだけど、とりあえず東京の主人公が大阪にやってくると、ドラマが始まる。しかも、松竹映画ということで山田雅人が参戦してるとは言え、基本は吉本興業の面々。実際の大阪以上にドス黒い「大阪」が渦巻き、脚本はこれでもかと大阪への偏見を煽り立てる。 しかし、大阪に来た東京人の体感としては、実際こんなもんなのかも。 それはともかくとして、隣の部屋から彷徨いこんできた猫を発端に、ひと騒動、ふた騒動。なにせ強引な人間しか登場しない作品なので、結構、ハチャメチャな展開。皆、芸達者で、楽しい映画。 実際の単身赴任は、楽しくないんやけどね。トホホ。 [インターネット(邦画)] 7点(2022-03-09 23:04:03) |
369. 暴動島根刑務所
いや~~~これはヒドい(笑)。アナーキズムの極致。全編コレ、人を殴る蹴るの効果音。 兎にも角にも、松方弘樹の反骨精神とバイタリティ。クライマックスではそれが周囲に伝染感染パンデミック、大暴動に発展して、これはもはや、囚人村と看守村との、ケンカ祭り。 そこまで、やるか。 リンチ、暴動、そしてラストの鉄橋のシーンまで、ひたすら突っ走り続け、呆れつつも圧倒されます。 それにしても恐るべきは、70年代東映。70年代というだけあって、どう頑張っても10年間しかないワケで。もしも70年代があと2~30年も続こうものなら、日本映画界はいったい、どうなってしまっていたことやら。 [インターネット(邦画)] 8点(2022-03-07 22:47:05) |
370. スパイ・レジェンド
なかなか罪作りな邦題でして、「主人公がお歳を召したスパイであることを、本人が傷つかない言い方をしたら、こうなりました」と言わんばかりの邦題ですが、そのせいで逆に、ピアース・ブロスナンの年齢がヘンに気になってしまう、まさにヤブ蛇状態。 とは言え、どうせ、見れば若くないことはワカルわけで。そのブロスナン、特に映画の前半で、手ぶらで颯爽と歩く姿が再三、登場します。手ぶらでなくても、手にしているのはせいぜい、拳銃か、ケータイか。 このほぼ手ぶらで颯爽と歩く姿を、「まだまだ若々しいねえ」と感じるか、「さすがにちょっと歳だなあ」と感じるかで、作品の印象のかなりの部分が決まってしまいそうな気がします。 これがまた、ビミョーなのよね。。。 これがトム・クルーズあたりなら、意味も無く全速力で走って見せて一種のアリバイ作りをするところなんでしょうけれど。 ブロスナンがそんな感じなもんで、彼が演じる主人公の活躍も、ほどほど。物語もほどほどに盛り上がって、まあ、ほどほどの作品でした。 [インターネット(字幕)] 6点(2022-03-06 22:03:10) |
371. スワロウテイル
なんで、偽札作るのにホンモノのお札使ってるんだよう。 ってコレ、考えようによっては、バブル経済そのもの。お金がどんどん、大金に化けていく。 映画が製作された96年は、バブル崩壊の後。だけど、作品の中ではまだ「円」が憧れの的になっているという設定で、これだけでも充分、日本人には痛烈なものを感じさせる(感じさせた)わけですが、さらにまた、こうやって、子供たちが偽札という新たなバブルで一儲けを企んでいるという皮肉。 ただしそれは、実世界のバブルへの復讐のように思えたりもするけれど、とにかく。 こういう「思わせぶり」な映画は、正直、苦手な方なんですけれど、しかしここまで不思議な、しかしどこか懐かしさのようなものを感じさせる世界を作り上げられてしまうと、やはりこれはスゴいな、と思わされます。現代の日本の都会と、架空の世界との同居。しかし架空の世界と言っても、それはかつての日本、当時のアジア、なんとなく懐かしさのある世界。21世紀の今、それはどこにあるんでしょうか。 作中で描かれる少年少女の世界が、また懐かしさの一端を担っているようです。伊藤歩は美人になりました。この当時は見事にイモっぽいですねえ。だからこそ貴重で、だからこそ魅力的。これは、彼女の映画だと思う。 偽札というバブルに頼らない、その次の世界へ。というラスト。しかし実際の世界では、各国がお札刷り競争をやってるのだけど、、、 [インターネット(邦画)] 7点(2022-03-06 21:39:17) |
372. 免許がない!
私もまあ、教習所というトコロにはあまりいい思い出がないクチで、教習中に「徐行って、何だ」と質問された時に深く考えずに「10キロくらい」って答えたら、「『くらい』じゃない、10キロ『以下』だ!」ってエライ剣幕で怒られて、車を停めて延々、説教されたっけ。 そんな教習所が、舞台。無責任な言い方だとは自分でも思いますけど、でもやっぱり、「ヘタクソな運転」「思うように動かないクルマ」っていう鉄板ネタだけでも、映画が面白くならないワケがない、と思っちゃうんですけどねえ。この作品、どうしちゃったんですかねえ。 そのテのギャグには、作り手の興味が無かった、ってことなんでしょうか。 逆に、あの「主人公の大看板」ネタなんて、チラと登場させただけで流してしまえば、シュールで面白かった筈なのに、引っ張りすぎてせっかくの笑いをブチ壊し気味。 とは言え、他人の脱輪ほど面白い光景はこの世に無いので(?)、やはり教習所ネタ自体で得してる部分は、ありますね。さらに、舘ひろしの三枚目ぶりを、教官役の面々が支えて、ユーモラスに仕上げてます。 それにしても、森田芳光始め、この映画の製作陣は、世の中すでにバブルが終わってることに気付いてたんだろうか? バブル期のヘンな残り香がありますねえ。 [インターネット(邦画)] 5点(2022-03-06 11:31:14) |
373. リング2
これ、クレジット上は「らせん」が原作、ということになってるんですね、実は。一体、誰にどういう気の使い方をしたんですかね。 この、リングの続編。だいぶ困ったコトになってしまってて、イロイロと戸惑ってしまう作品なのですが、その割りには、必ずしも悪い印象はないんです。なんででしょうねー。 一作目のあの、ビデオ映像の粒子の粗い感じの不気味さ。そこにさらに、音の不気味さも加わってます。 念写、なんてのは、今のデジカメ時代には懐かしいキーワードですが、オカルトにサイエンスを絡め、さらにミステリ要素を盛り込んでいて、原作のリング~らせん路線に、沿ってるとまでは言わないまでも、つかず離れず。むしろ多少、破綻気味に突き進んでいる点は、映画ならではかなあ、とも。 水や血が不思議な動きを見せるのが、効果的。 [インターネット(邦画)] 7点(2022-03-05 21:07:11) |
374. THE POOL ザ・プール
水が満杯入ってないと金輪際出られないプール、なんてあるのか? このプール、誰かちゃんと掃除してるのか? ってなコトはどうでもいいとして。 これがホントの「水のないプール」。ただしワニ付き。昔、某プロレスラーがワニ(ただし1mくらいしかないヤツ)と棺桶デスマッチをやったことがありましたが、あんな感じ。違うか。え、某プロレスラーって誰かって?ミスターデンジャーこと、松永光弘。それはさておき。 次から次に危機、というか、何から何まで裏目に出る展開、そのサービス精神はとてもよくワカルのですが、如何せん、ここまでやっちゃうと、殆どギャグになってしまいます。かえって意外性がなく、ベタな展開に、ちょっと笑ってしまう。 あちこちで使用されるジャンプカットは、スピード感を高めるためのものなんだろうけれど、もう少しじっくり見せてくれてもよかったこな、と。ここまでくると、少々、お手軽な印象。そのくせ、痛そうな描写だけはやたら引っ張って強調する。 まあ、そういったこと皆、サービス精神の表れなんでしょうね。その点は、ちょっと頭が下がります。下がりますけど、やっぱりこの映画、考えすぎなんじゃないかなあ。ホントにドキドキするものとは、アイデアよりももっと、感覚的なものだと思う。 [インターネット(字幕)] 6点(2022-03-05 20:39:19) |
375. 真夜中のゆりかご
主人公の刑事がジャンキー夫婦宅に足を踏み入れると、そこには夫婦の赤ちゃんがいて、どう見ても育児放棄に近い状態。刑事にも同じくらいの赤ちゃんがいるもんで、これは許し難き状態。そんな中、刑事夫婦に悲劇が襲いかかり、彼はある行動に出てしまう・・・というサスペンス。その危うさに、目が離せません。 「目」のクローズアップ。赤ちゃんを含め、誰もが皆、すべてをありのままに見ているようでいて、実際は人によって違う光景が見えている。あるいは、人によって「見えていない光景」が、異なっている、というべきか。その残酷さ。 それでもなお、ラストで主人公が目撃する光景、二人が交わす視線には、確かに真実が含まれている、ということ、なんですかねー。 [インターネット(字幕)] 8点(2022-03-05 12:17:37) |
376. ギャングバスターズ
昔から「バカは死ななきゃ治らない」なんて言いますけれど、きっと正しくは、「バカは基本的に死なないので、治るわけがない」ってコトなんでしょう。 そんな作品。 極悪極バカ三兄弟による、車椅子の少年の奪還作戦。襲いかかってくる刺客どもと死闘を繰り広げるお約束の展開、とは言え、危機に陥りつつもお約束以上にバカで頑丈なもんで、大いに楽しませてくれます。 その裏には小悪党の刑事の物語もあって、なまじ小悪党だと悩みも迷いも出てくる。大悪党は悩まない、迷わない。バカだから。でも誰しも一度はバカになった方がいい。 ってコトなんでしょう。 [インターネット(字幕)] 7点(2022-03-05 11:33:03) |
377. グラスホッパー
再現された渋谷駅前のシーンはさすがに驚かされますが、オープンセットでの撮影ならもっと自由度があってもよさそうなもの、なんか妙に不自由そうに見えてしまうのは、どうしたもんだか。 特徴的な何人かの登場人物たちが、それぞれ行動していけば、自然と映画になる・・・と言いたいところですが、どうも物語に、見え透いた作為のようなものばかりが感じられ、気分的にどうもノリません。伏線のための伏線。驚きが無い。 [インターネット(邦画)] 4点(2022-03-03 23:06:04) |
378. 関東テキヤ一家 天王寺の決斗
《ネタバレ》 持ちギャグそのまんまでは無いですけれど、一応、冒頭から岡八郎の「えげつなー」と由利徹の「オシャマンベ」が続けて聞ける、これは貴重かも。 と、ユーモアが散りばめられてはいるものの、バイオレンス巨篇です、ハイ。「関東テキヤ一家」の菅原文太が、ひょんな事から一人、大阪は天王寺界隈にやって来て、悪徳業者の地上げ騒動に巻き込まれる。 天王寺の喧噪を高所から俯瞰したカメラは、今ならハルカスから撮影するところなんでしょうけれど、当然まだ建ってない。ハテ、当時どこから撮ったんだろうか。いずれにしても、今の天王寺とは一味違ったごった煮感が溢れてます。 それにしても、清川虹子のド迫力。ちょっと、夢に出てきそうな(笑)。 二組の「兄と妹」のストーリーへの絡め方も上手く、動きのある物語展開に、目が離せません。悪役の遠藤辰雄の如何にもワルそうな感じ、さらに小池朝雄は丸刈りで不気味さすら感じさせます。 リンチシーンあり、ブルドーザーでのバラック街破壊シーンあり、そしてラストの殴り込みシーンの凄まじさ。まさに見せ場の連続です。 一方、途中でなぜか一瞬だけ、殆ど脈絡なく舞台が高山市に移るのですが、ここでも祭りあり、雪を被った遠景の山々あり。脈絡なくてもやっぱり、いいシーンなんです。 [インターネット(邦画)] 8点(2022-03-02 22:54:44) |
379. フランシス・ハ
ストーリーなんて、有って無いような。主人公の女性、どこかトボケた、天然系のところがある女性の日常が、実に活き活きと描かれてます。だいぶ、冴えない日常なんですけどね。順風満帆には程遠いんですけれども。本人も、これではイケナイと薄々思ってるんでしょうけれども。それでもなお、活き活きとしてる。 その彼女の姿は、ふと気が付くと、いつも画面の中に入り込んでる。もちろん彼女が写ってないショットも無いわけではないけれど、まとまった時間、彼女の姿が映画から消えることはなく、彼女がカメラを追いかけ、カメラも彼女を追いかけるように、常に彼女の姿が画面に登場して。 一番まとまって彼女が登場しないのは、ラストのエンドロールの部分じゃないかと思うのですが、そのシーンが一番、彼女を象徴している。というオチ。 [インターネット(字幕)] 8点(2022-03-01 22:43:55) |
380. 金田一耕助の冒険
子供の頃、テレビでやってたのを目にした記憶があって、ところどころのシーンも何となく記憶があったのだけれど(生首の場面とか、悪魔の手毬唄のパロディとか)、全般的には殆ど憶えてない・・・というより、多分、意味がワカランかったんだろうな。 今見ても充分に、ワカラン。意味が、というより、意図が。トホホ。 いくらなんでもフザケ過ぎで、ちゃんと横溝センセイに許可取って映画作ってるんだろうか、と心配してたら、ご本人が登場して、一安心。と思ったら、やっぱりご立腹なのでした、というオチがつく。 ついでに高木彬光まで登場し、意外に演技が上手いもんでさらにビックリ。その他、カメオ出演の数々。これが、芸能界最強説を噂された、角川春樹のチカラ、というヤツでしょうか。 自由気まま、自由奔放、まさにデタラメ。この自由さは、まあ、大したもんです。が、ここまでくると、ついて行けん。でも、金田一さんが陸橋から転落しても平然と起き上がって下駄ローラースケートを続けるシーン(だけ)は、ナンセンスさ溢れる名シーンだと思います。サイレント映画のドタバタの味わい。 [インターネット(邦画)] 5点(2022-02-28 23:01:33) |