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かっぱ堰さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1305
性別 男性
自己紹介 【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。
【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。
【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。
5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。
また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。

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361.  バニー・ザ・キラー 《ネタバレ》 
発情したウサギ男が人々に襲いかかる映画である。 こういう設定でホラーの怖さなど期待するはずもないわけだが、グロ場面も撮り方のせいか半端に見えるところがある。コメディとしても大笑いするものではなくエロい場面もほとんどないが、それよりこの映画の本質は下品ということであって、既存のジャンルに当てはめるより下品映画とか下劣映画とか下賤映画とかいうカテゴリーを作った方がいい。  登場人物の人種・国籍(言語)・性的嗜好は多様なようだが、これは要は現地(撮影地は北東部のかなり田舎)でも旧来の秩序が失われたということの表現か。ウサギ男が男女関係なく襲っていたのは尋常とはいえないが、そのことを含めて一般常識の枠組みからの逸脱なり解放を表現したキャラクターということかも知れない。 一方で、片時も休まず年中発情している点では便所に籠っていた若い男も同じことである。しかし誰でも構わないわけでは決してなく、ちゃんとそれなりに見える(一見これがヒロインかと思う)相手に御執心だったわけで、この男こそがいわば人としての基本路線を体現した存在ともいえる。エンディング後の場面では、この男だけが修羅の地を脱して楽園に到達できたような印象もあり、ここで救われた気がした現地の観客も多かっただろうと思っておく。 ちなみに微妙なことだが、もしかしてフィンランド人は自国民よりスウェーデン人を高級(上物)と思っているのか?? 若い男が最初に目をつけたのが英語を話す外国人で、最後に受け入れられた相手が先住民だった??らしいのも意味ありげだが(原点回帰?)、どこまで深読みしようとしていいのかわからない。  そのようなことで、個人的には史上最低最悪のフィンランド映画は何かを探る気分で見ていたが、このくらいだとまだ最低ではないと思われる。 なお笑える場面は多くなかったが、ノコギリから始めていきなりボウガンができてしまい、それでいきなり変なものを撃ったのは少し笑った。一般にいう動物に危害を加えていません的な愛護精神も踏みにじっている(※造形物のため実際に虐待してはいない)。 ほか可笑しくはないが共感できたのが「最高のオッパイ」で、ここは中国人と価値観が一致していた。この点はキャスティングの上でも最重要だったはずで、最終的にはこの本物のヒロインが少し好きになった。
[インターネット(字幕)] 2点(2020-05-23 09:27:26)
362.  ストレイ 悲しみの化身 《ネタバレ》 
原題のтварьは生き物とかいう意味らしい(creature, being, animal, beast, monster: Wiktionary, the free dictionaryより)。英題のstrayはストレイドッグ(野良犬)のストレイだが、この映画の場合は浮浪児のようなイメージか。邦題の副題「悲しみの化身」が最もまともに内容を説明しようとしている。 スタッフの人名を見ると原作(原案?)・脚本・監督とも女性らしい。ジャンルにはミステリーとあるが特に難解な部分はなく、結末部分を含めて素直に見られる作りになっている。ホラーとしては、邪悪な子どもと夫婦という設定自体にかなりの既視感があるが、それよりはドラマの方に力点が置かれている。 物語の中心になるのは家族の喪失による心の痛手ということだが、それほど独創的に見えるところはなく、見る側の立場で何か心に刺さるものがあるかどうかということになる。この生物も存在意義があるからこそ存在しているのだろう、と推定してみせた孤児院のシスターの達観には少し感心した。細かい点として、途中で夫婦それぞれの心変わりが唐突に感じられるところがあったが、これはバケモノが人の心につけ込んで操作していたのが原因と思われる。人の魂をもたず知能と生存の意志だけはある悪辣な生物に利用されそうな弱みが、夫婦の両方に最初からあったということで、こういう点は現実社会でも警戒しなければならない。  映像面では、現代ロシアの地方と都会(モスクワ)を舞台にした陰鬱な雰囲気は悪くない。また気に障る描写として、吹き戻し(ピロピロ笛)の場面は予告編でも見られるが、これは特に選んで入れるにふさわしい名場面である。しかし安っぽい視覚効果とかワイヤーアクションとかの技法はこの映画には不要に思われた。これは明らかにマイナス要因である。 キャストとしては、特に序盤でビースト状態のтварьを演じたのがすごい子役だと思った。また母親役の女優はそれなりの年齢だろうが、日本でいえば田畑智子さんを普通の美女(個性的美女でなく)にした感じで目を引く。他の映画に出ているのも見たくなった。 ほか余談として、「だるまさんがころんだ」は日本だけにあるのではないことがわかった。劇中では孤児院の子どもが「海の生き物、止まれ」と言っていた。またバケモノの呪文のようなのはフィン語系の言葉に聞こえたが(意味不明)、これはスラヴ人がこの地を占拠する以前の先住民の言葉とでもいうつもりか。
[インターネット(字幕)] 6点(2020-05-16 08:56:37)
363.  ALIVE -アライブ- 侵略 《ネタバレ》 
オランダ映画ということになっているが、風景は森林ばかりで風車もチューリップも出ない。台詞は英語なのでオランダ語が聞けるわけでもなく、基本的に無国籍風の映画である。登場人物は男女2人だけで純粋低予算映画と思われる。 劇中の出来事の原因は明示されなかったが、登場人物がいろいろ言っていた中で「実験」は感覚的には悪くない。また「夢遊病」「誤作動」も全くありえなくはなく、さらに登場人物の精神状態が作ってしまった現象もあったように見える。ほかに男がネットで見ていた記事はSkyquake(Wikipedia英語版参照)に関するものらしく、これが発想の背景にあったとも考えられる。なお邦題で「侵略」としていることの根拠は、なくはなかったが弱い。  【ここから解釈】 原題のResonanceは共振または共鳴の意味だろうが、うち共振に関しては、地震の揺れが建物の固有周期に合ってしまうと共振が起きて倒壊する恐れがあることが知られている。また長さの違う金属棒を順に並べて同じ周期の振動を与える実験装置で、与える振動の周期を変えていくと、固有振動数が合って共振する金属棒が順に交代していくといったイメージが持たれる。 これをもとにして考えると、いわば危機感の固有振動数が人により違うという設定なのかと思われる。本来の外的要因(単に空気の振動?)による身体的な影響は似たようなものでも、次第に高まる危機感が登場人物それぞれの固有振動数に合った時点で恐怖に変わり、精神面から破滅的な結果(建物でいえば倒壊)がもたらされたように見える。 危機感の違いに関しては、序盤でクマの家族写真の話が出たときに、父熊が現れたら逃げる、などと呑気なことを男が言ったので、そもそも子熊を見た段階でその場を離れろと言いたくなったが(母熊が怖い)、これが男の危機感のレベルを示していたとも思われる。その後には、女と男で危機感に丸一日以上の差があることを示す場面もあった。 終盤に至ると、先に女が恐怖に耐えかねて自壊しそうになったが何とか持ちこたえ、次に男にとって耐えられない恐怖が襲って来たため自滅した。一方その段階で、女の方は危険域を突き抜けてしまっていたため武器をもって恐怖に立ち向かい、また不可能そうにも見えた脱出方法を意志の力で成功させたということかと思った。 女が危機を脱したのは男の献身があったからだが、男は女の助けも得られず孤独に死んでいったように取れる。結果としては、何かと感覚にずれのある恋人2人の悲しい物語になっていたが、ずれがあったからこそ女が助かったのは間違いない。 【ここまで解釈】  以上で全部説明できているかは不明で、悪くいえば、邦画にもある若手の作った無駄に難解な低予算ホラーのようなものと取れなくはないが、映像面その他の印象がいいので安手の映画という気はしない。低予算映画の良品だった。
[インターネット(字幕)] 7点(2020-05-16 08:56:35)
364.  ガーンジー島の読書会の秘密 《ネタバレ》 
イギリスに属するチャネル諸島のガーンジー島に関わる物語である。第二次大戦ではドイツ軍に占領されたとのことで、ノルマンディーのすぐ近くにも関わらず、連合軍が反攻に転じてからも占領されたままで大変な思いをしたらしい。 原作は読んでいないが映画で見る限り、島の読書会に関わることでなぜか住民が語りたがらない昔の事件があり、主人公がその真相を探っていくミステリー調の展開である。そこにラブストーリーが絡んで来て最後はちゃんとハッピーエンドになる。戦争関連の場面はあるがそれほど過激でもなく、安心して見られる穏やかな映画である。 ユーモラスなところもあり、序盤で出ていた前世と来世の話は、イギリス人もこういう発想をするわけかと笑った。また「あなたの心に住む人」というのも、登場人物の性格付けのためだろうが突拍子もない発言で失笑した。 ちなみにこの島は本来フランス語に近い言葉のはずで、そのことに触れた箇所が若干あったようだが(Bonne nuitに近い言葉)、この点について何らかの考え方なり立場なりがあったのかどうかはわからなかった。  物語の中心になるのは題名のとおり読書会だったらしい。一般論として、一人だけで孤立して考えるのでなく、多くの人々の考えを重ね合わせることで物事の本質が見えて来るということがあるはずで、それが文学なら読書会の場ということになるが、主人公が劇中でやっていたことを見れば、この物語自体が読書会のようなものだったとも取れる。 またラブストーリーに関しては、男連中の顔を見るだけでも結果が予想できる気はするわけだが、本当にその通りになってしまったのは出来すぎである。しかし島の読書会が作家の創造力の源泉になり、ここに住むこと自体が創作活動を支えることになったのならこの結末も正当化されなくはない。実際にフランスの文豪ヴィクトル・ユーゴーがこの島に15年間滞在したことがあるとのことで、それを背景にした物語だったようである。 ちなみに聖書が「愛の書」であるのに、「裁きと悪意」しか読み取らない者がいることを嘆く台詞があったが、これは聖書限定のことではない(映画も)だろうから自戒が必要である。逆にそういうのも自分の考えをまとめるためには反面教師的に役に立つといえなくもない。  登場人物はそれぞれ個性的で、自分としては編集者の男の立場も気になったが、そのほか酒を売っていた女の実像に意外性があって面白かった。一緒の布団で寝たところではもう主人公の親友になっていたようで、養豚業の男とその養女は別にして、主人公が島に住むのを最大級に歓迎したのがこの人物だったのではないか。主演女優はあまり好みの顔ではないが人物像としては悪くなかった。
[DVD(字幕)] 7点(2020-05-09 09:29:01)(良:1票)
365.  アバウト・タイム 愛おしい時間について 《ネタバレ》 
可笑しそうに笑う女性の写真が気になって見た。内容としてはタイムトラベルの話だったが、主人公は「秘密のパワー」を持った家系というだけで、それ以上の説明がなかったのはかなり簡略な設定である。 主人公が何度も過去に戻って都合のいい結末を得ようとしていたのは、個人的に知っている範囲では「時をかける少女」アニメ版(2006)に似ているが、やがて取返しがつかなくなるとか天罰が下るわけでもなく、また本人の努力や試練のようなものもあったにせよ、結局思いどおりにうまくいくのは出来すぎである。結論的にも少し違っていたようで、この映画では若いうちに秘密のパワーを使って充実感のある境遇まで到達してしまい、そのあとの余生の過ごし方を語って終わったようで変な気がする。 ただ、普段の何気ない幸せ感の表現は非常によかったので、ここは監督がインタビューで語っていた映画の目的に貢献している。荒天の新婚パーティは悲惨なようでも、後になれば完全に笑い話というのがよくわかる。また平凡な一日を繰り返してみると、二度目は美女の笑顔が見えた上に、なぜか値段まで違っていたのは反則だった。終盤で幼い娘が何度も手を振るところは少し泣かされた。 自分としては過去など二度と繰り返したくない日ばかりで、今となってはもう墓場が見えている気もするわけだが、せいぜい今後とも前向きなタイムトラベルを心がけていきたいと思わされなくもなかった。悪い映画ではない。 なお自分をこの映画に誘引したヒロインは、劇中でも最高にキュートな女性だった。この点では間違いなく期待通りの映画だった。
[ブルーレイ(字幕)] 6点(2020-05-09 09:28:58)(良:1票)
366.  ダンスウィズミー(2019) 《ネタバレ》 
宣伝文では「ハッピーミュージカルコメディ」とのことだが、ミュージカルに徹するわけでもなくそれほど大笑いもしない。しかし一応ハッピーな気分で終わるので悪くない映画ではある。ちなみにミュージカル成分は、昔の映画でいうと優香出演の「恋に唄えば♪」(2002)と似たようなものかと思った(もっと少ないか)。 序盤のオフィスやレストランのミュージカルパートでは、せっかく周囲を巻き込んで歌とダンスで盛り上がったと思ったのに現実が悲惨だったのは非常に落胆させられたが、これはそれこそミュージカルの虚構性の表現ということか。その後のロードムービー部分で仲間と歌っているのは普通に楽しげで、特に恥ずかしいトラブルもなく、こういう純粋に音楽を楽しむところまでいったん戻ってから最後のトラウマ解消に至ったという全体構成だったのなら納得できなくはない。歌につられて自然に身体が動くのは変ではないだろうとはいえる。 歌の選曲としては少し古い方へ寄っていたようだが、個人的には「夢の中へ」とか「年下の男の子」のあたりは劇中人物のノリに同調できた。また普段、映画を見ながら先読みなどはしない方だが、3人組での「ウエディング・ベル」に関しては直前の予感が当たった(この状況ではこの歌しかありえない)…実は自分としては柄にもなくこの歌が心に刺さるものがあって痛い。 ちなみに何の説明もなく突然方言を聞かせるのが好きな監督ということなのか、今回また耳慣れない方言が出て来ていたが、これは新潟県の言葉だったのか(新潟市はほぼ標準語だと思っていた)。  キャストに関して、主演の三吉彩花という人は子役時代からいろいろ出ていたのを見たことがあり、昔から長身で美形だったので、周囲の子役の中で変に目立ってしまうところがあったように思うが、ここに至ってやっとふさわしい姿で出られるようになって他人事ながら感無量である。単純な美人女優でもないようで、今後とも幅広く活躍できる役者になってもらいたい。 ほかに名の知れた役者もいるがあらかじめ情報が出ていなかったようで、黒川芽以が出演しているのは実際見て初めてわかった(姉の「友美」役)。また「ウォーターボーイズ」(2001)のエンターテインメント性を一気に向上させた立役者である秋定里穂さんが出ているのは最初から知っていたが、実際見ると出番が少ないので不満に終わった。ここはもう少しファンに配慮してもらいたかった。
[DVD(邦画)] 6点(2020-05-03 20:29:16)(良:1票)
367.  さよなら、クロ 《ネタバレ》 
時代設定としては映画館の場面と劇中で流れる曲から前半が1967~68年、後半が1976年ということになる。映像的にはそれなりに昔っぽい風景で、これで考証的に正しいのかはわからないが、60年代と70年代で微妙な差を出しているようではあった。ちなみに鉄道は、長野市から松本市と別の方向に行く長野電鉄だったようである。 原作は読んでいないが、劇中教員が素行不良の生徒の人格を貶めるような発言をして、それで当人らが騒ぐわけでもなく率直に受け止めていたのを見ると、そういう時代だったということもあるだろうが、さすが進学校らしく物のわかった連中とも取れる。また先人の名言で「質問もしなければ批判もしない」は笑った(全くその通りだ)。  話としては犬の物語かと思ったが、犬自体が何か特別なことをするわけでもなく、ただそこにいてやがて死んだだけのように見える。しかしそのように、動物が無心にその生涯を全うしようとするのがいわば生命の基本の表現であり、それは人にとっても同じだろうというなら一つの考え方である。 また、犬が病気で死んでも寿命のうちと思えばそれまでのところ、あえて手術して数か月間?(生徒の顔ぶれが同じ)延命し、死んでしまったあとは人間並みに葬式まで挙げていたのはやりすぎ感がある。しかしこれは人も動物も同じく生き物だということを表現するために、人をケモノのように描写するのでなく、逆に動物を人間同様に扱ってみせたということかも知れない。 冒頭で名前が並ぶ愛護団体もそういう面で推薦していたのかも知れないが、ただ問題は、この犬がそれほどの思いを寄せられるに至った事情が素直に納得できるよう作られていないことである(単に長期間学校に住んでいただけ?)。ほかにも劇中人物の行動や展開に作為的・不自然・説明不足な点が多く、どこまで原作通りなのかわからないが、どうも映画化の段階で無理があったのではという気がした。  キャストとしては、何といっても伊藤歩さんが可憐で好きだ(高校時代は可愛い)。劇中では変な男にキスされずに済んでよかったが、犬に口をなめられるのはいいとはいえない。また三輪明日美嬢は今回個性を抑えて普通の友人役に徹している。秋定里穂さんはキャスト配列順では下の方だが、終盤になると重要人物グループの一角に位置づけられていたのが意外だった。「ウォーターボーイズ」(2001)では女子高生役だったが、今回は普通に大人の女性の顔を見せている。
[DVD(邦画)] 4点(2020-05-03 20:29:15)
368.  学校の怪談3 《ネタバレ》 
シリーズ共通だろうが大人が見て怖いところは全くなく、ひたすら微笑ましい子ども向け娯楽映画になっている。あらかじめ死んでいる人物を除き、劇中の教員や子どもらが次々死んでいくなどという悲惨な展開にはなりそうもなく、安心して子どもが喜ぶお化け屋敷的怖がらせに付き合ってやろうという気分になる。なお撮影場所の学校は岐阜県下呂町(当時)にあったらしい。 ちなみに自分の幼少時には「合わせ鏡」が特に不吉なものという感覚はなかったが、この頃はもう怪異の元凶というのが常識だったのか。鏡の世界では文字が左右反転していたが、右書きと左書きが混在していたのは意図不明だった。  お話としては小学校高学年向けの恋物語がちゃんとできていて、最後はそれなりにキュンとさせられる。ヒロインの美少女が「泣いちゃうよ」と言ったところは切なくて笑った。なぜか女子だけ美少女揃いで男はどうでもいい感じという対比ができており、長身でキュートな女子のお相手が肥満気味の男子だったのは釣り合いが取れないが、これは容姿にかかわらず万人に同様の可能性が与えられていることの表現か。それにしてもこんな奴の全裸(尻)など見たくはないわけだが、重要テーマの「運命は自分で変えろ」という言葉は特にこの人物のためにあったらしい。 他の登場人物としては、担任教員は微乳を売りにしていたようだがそれはまあいいとして、特に主人公の義妹が見せるとぼけた感じの表情が非常に可愛らしいので和まされた。また現在も女優として活動している秋定里穂さんが中学生くらいの年齢で出ているが、特に美少女の扱いはされていない(「ゾンビバス」の女子高生役)。なお肥満児の母親役で渡辺真知子さんが一瞬出ており、この頃はもうこういうキャラクターだったのかも知れないが、昔は歌っている姿だけ見て“かっこいいお姉さん”と思っていた。
[インターネット(邦画)] 6点(2020-05-03 20:29:13)
369.  アンダー・ザ・ウォーター 《ネタバレ》 
製作国として国名が3つ出ているが、映画の舞台はコペンハーゲンなのでデンマークの印象が強い。監督・脚本と主演俳優はデンマーク人、ほかにスウェーデン人やスウェーデン語話者のフィンランド人(エステルボッテン出身)も出ていたようである。 邦題はともかく原題の”QEDA”は一般に通用しない劇中用語のようで、「量子もつれ quantum entanglement」という科学用語を理解できる/しようとする人間も少数だろうから、これは製作側の独りよがりである。とても商業映画のタイトルとは思われないので、英題くらいにしておくのが妥当である。 全体的には北欧らしい作りということなのか、地味で不愛想な外見のためたまらなく眠くなり、字幕を見落として少し戻るということを何度も繰り返した。ただ同じ顔の人物(二役)が自然な感じで一緒に映っている場面があり、これが結構不思議ではあった。  映画のテーマとしては、一つは地球温暖化の問題と思われる。海水面の上昇でコペンハーゲンの街路がベネチアのようになっていたのは古典的な温暖化イメージだが、そのほか気候変動の表現として突然の嵐の場面もあった。塩分のために真水が失われて多くの生物種が絶滅し、人の健康も損なわれるというのは世界共通の一般論か不明だが(低地限定ではないか?)、2095年の男が2017年に来て、かつての世界がこれほど豊かで人の心も満たされていたと実感する場面は確かに現代人への警告になっている。ここは一般受けしやすい。 一方で時間ということに関しては、簡単に過去を変えてはならない、といったことを教訓めかして言っていた感じだが、そもそも人間というのは過去を変えられないので現実世界に向けたメッセージにはなっておらず、単に意外で悲惨な結末を面白がるだけのショートムービー的なもので終わった気がする。あるいは過去にこだわらず、未来を変えることを考えろという意味とも解釈できるが、それにしても回りくどい話である。  そのようなことで、学生のSF研とかなら内輪受けしそうなアイデアに、地球温暖化の話を加えてかろうじて長編映画にしたような印象だった。ほか劇中設定(地球温暖化と時間旅行)に関する疑問点もいろいろあるが長くなるので書かない。地球温暖化について何か言いたい人は見てもいい(ただし眠い)。 ちなみに「ひいひいばあちゃん」は確かに魅力的な女性だった(知的で賢明)。妻の先祖であるからには惚れて当然か。
[DVD(字幕)] 4点(2020-04-29 11:51:29)
370.  スペース・タイム 時空を超えた使命 《ネタバレ》 
フィンランド映画ということで見た。邦題はともかくとして原題と英題は「運命の書」である。 時代の違う5つのエピソードからできているが、一貫して「運命の書」なるものが存在する時空間の物語である。役者についても主人公とヒロイン役は共通で、時代の違う人物が同じ運命線上にいることが表現されている。各エピソードは下のような構成で、一つの映画で各種ジャンルが楽しめるという趣向らしい。 Episodi 1「トランシルバニア 1773年」吸血鬼映画 Episodi 2「アリゾナ州 1883年」西部劇 Episodi 3「フィンランド カレリア地方 コッラー川 1939年」戦争映画(冬戦争)白黒 Episodi 4「フィンランド タンペレ市 2003年」スパイ映画またはアクション映画 Episodi 5「宇宙 2124年」SF映画またはスペースオペラ なお登場人物は全てフィンランド語を話している(宇宙人含む)が、西部劇でフィンランド語というのは外国人にとってはさすがに違和感があった。  最初のうちは一応真面目に見ていた(特に3は茶化すわけにはいかない)が、しかし4でシュワルツェネッガーが出たところでもうどうでもよくなった。5ではキャラ設定自体がコメディ調になり、どうせまともな宇宙モノなど作れないのをふざけてごまかした印象になっている。 結果的には軽薄なパロディ映画または各種分野の習作見本市のようだったが、それでも一応真面目に語るとすれば、運命はあらかじめ定められているようでも結局最後は本人の行いで決まるのだ、という意味に取れる。さらにいえば“終わりよければ全てよし”ともいえるが、しかしエンドロールの後に、幻の次回作の予告編が出たのを見て真面目に考えたこと自体がアホらしくなり、最初まで遡って全否定したくなった。この映画自体が終わりをぶち壊しにしている。 ちなみに原案は学生の作だったようで、それを映画にした脚本家と監督も若かったらしい。予算も十分ではなかったようで、そのため日本でいえば「カメラを止めるな!」(2018)と同じ感覚で好意的に受け止める向きもあったらしいが、難点を不問にするほどの才気は感じない。またフィンランド映画の流れでいえば、こういうバカ映画の延長上に後の「アイアン・スカイ」(2012)も位置付けられるのかと思わなくはないが、娯楽性の面でその域に達していない。一つ言いたいのはパロディそれ自体に価値はないということだ。 なお最後の女神さまのようなのは顔が神々しいので嫌いでない。最終的によかったのはここだけだった。
[DVD(字幕)] 1点(2020-04-29 11:51:26)
371.  京城学校:消えた少女たち 《ネタバレ》 
戦前の日本統治下での女子寄宿学校の話である。邦題は原題の直訳らしい。 題名によれば場所は京城だが、実際はほとんどが山中の学校で展開する。禁断の園のような場所に制服の美少女??たちがいて、いわゆる“少女の肢体”的なものも見えるが演者はほとんど20代だろうから特にロリコンじみてはいない。いわゆる百合要素もあるがグロ場面も結構ある。 部分的にはホラーっぽく見えるが実際はホラーでもなく、主に中盤から提示される謎をめぐるサスペンス展開になるが、最後はまたぶっ飛んだ感じで終わってしまう。発想としてはありきたりで驚きも何もないが、しかし古い洋風の学校を舞台にした陰惨なサスペンスの雰囲気は悪くない。映像面では、白と赤の対比に隠微で重層的な意味が込められていたように見えた(性的かつ侮日)。  ほかにこの映画で何か言いたいことがあるのかはよくわからなかった。まずは人類史上最も残酷といわれる植民地支配の非道を暴いたようではあるが、出来事があまりに荒唐無稽で非現実的なため告発にも糾弾にもなっておらず、単にいつでもどこでも便利に使える悪役としての日本が出ていると思ってもそれまでである。ちなみに劇中の軍人は日本語が得意でなかったようで、実は日本人でなく現地出身者だったと思っておく(朴正煕元大統領のような)。 その一方、なぜか劇中人物の間では東京に行きたがる風潮があったらしく、なんで憎むべき日本へわざわざ来たがるかと思うわけだが、校長に関していえば“ウンザリする朝鮮を抜け出したい”というのが本音だったようである。これがいわゆる「ヘル朝鮮」(헬조선)のことだとすれば、昔の話のようでも実は現代の自国の問題に触れた映画だったとも取れる。 主人公と親友は東京というより海に行きたかったようだが、実際は近場の池で間に合わせていたのが閉塞感の表現とすれば切ない。最後に2人で家へ帰ろうと言っていたのは地元回帰というより諦念の現れなのか、また過去の少女が英語の歌を聞きたがっていたのは本来もっと広い世界への憧れがあったようでもあるが、外国映画なので読み取りがなかなか難しい。  キャストに関して、主演のパク・ボヨン(朴宝英)という人は、日本人の立場からも親しみやすい可愛さがあって嫌いでない。ただし1990年生まれとのことで、この映画の時点では少女ともいえないのを童顔でごまかしていたようである。またその親友役のパク・ソダム(朴素談)という人は現地風の個性的な容貌だが、最近では「パラサイト 半地下の家族」(2019)にも出たようで存在感のある女優らしい。
[DVD(字幕)] 6点(2020-04-25 08:54:30)(良:1票)
372.  マリア様がみてる 《ネタバレ》 
原作もアニメも見ていない。 まず序盤はかなり笑わされた。実写にすると異世界ファンタジーというか、ほとんど茶番に見える劇中世界を大真面目に演出していること自体がユーモラスである。主人公の存在もかなり笑える要因になっており、訥々とした口調で極端な表情を見せられるので大笑いする。 そのうち次第にこの世界にも馴染んで来ると、怖そうに見えた上級生が見せる情愛にキュンとさせられたりするようになる。そもそもお姉さま方が意味不明な権威をもって四囲を睥睨するだけの存在ではなく、要は生徒会の仕事をする人々であって、学園祭では自主事業に取り組むなど結構まともに活動しているらしいこともわかり、それなりの敬意をもって見なければならない人々だと思わされる。偉そうにしていても所詮は高校生だと自戒していたのも賢明な資質を思わせた。 ストーリーとしては原作準拠とのことで、当然ながらまともに見られる物語ができている。最初は今どき「わらしべ長者」かと思ったが、そこから“ずっと握ったままで離さない”というところにつながったのは少し感動的だった。上級者に尻尾を振って成り上がろうとするのでなく、また「賭けとか同情とか」でもなく、それぞれの矜持を保ったままで互いに認め合っていく展開は素直に受け入れられる。最後の写真のタイトルというのも泣かせるものがあった。 ほか女子同士の疑似恋愛的なものがそれほど前面に出ていないのも見やすい理由と思われる。一度アニメ化されたものを実写にすると叩かれるのが普通だろうが、スタッフは今回いい仕事をしたのではないか。 ちなみに「マリア様のこころ」はよくできた曲だと思ったら本物の讃美歌だった。  登場人物としては、カワイイ系美少女ばかりでもなく意外に臈たけた感じの人物もいたが、上下の差を強調するため演者の年齢に幅があるのは当然といえる。波瑠はあまり可愛く見えないが、それは役柄というか本人のキャラもあるだろうからいいとして、未来穂香(当時)と1歳差にはとても見えないのは笑った。未来穂香という人は、その後にいろいろあって現在は矢作穂香という名前(本名)で活動しているので今後の活躍にも期待したい。ほかにも秋山奈々(現:秋山依里)や高田里穂さんなど見たことのある顔が出ていたのが嬉しい。広瀬アリスは今回それほど目立たないが可愛く見える役だった。ついでにシンデレラのネズミもかわいい(ヒゲをつけたのがよかった)。
[DVD(邦画)] 7点(2020-04-25 08:54:28)
373.  櫻の園 -さくらのその- (2008) 《ネタバレ》 
[2020/4/12視聴] 1990年の旧作の続編のようなもので、前回が1980年代とすれば20年くらい後である。この映画の学校でも過去に毎年「桜の園」を上演していたが、平成9年(1997)に停止され、それを11年後(2008)に再開したのが今回の物語ということになる。季節の面でも今回は4月14日の前日?から始まり、桜が散った後の情景も加えて、最後を6月で終わりにしていたのが旧作の後という印象を強めている。 ちなみに部員の姉の差し入れとか(今回はシュークリーム)、終盤のツーショットなどが旧作との連続性を感じさせる。ほか序盤で学園ホラーっぽいところがあったのは個人的に好きだ。  前回からの流れでいえば演劇の上演は学校の伝統だったはずだが、劇中の教頭の考えはそうではなく、生徒が学校の決まりに従う校風の方を伝統と思っていたらしい。そのような前時代的な(前々時代くらいか)規制に主人公一派が従わず、“あきらめないことが生きる価値”(上戸彩の歌)という感覚で上演を実現させ、新しい伝統(=校風)を作ったという前向きな物語ができている。全体的に軽い印象はあるが、旧作の古風な話を同時代の若者が受け入れやすいよう作り変えたということなら意味はわかる。 最後はかなり都合のいい結末で、教頭のそれらしい言葉も適当に格好つけただけのようで意味不明だったが、要は時代が変わって自分も老いたことを自ら認識したというなら悪くない。もう変われなくなった者は去り、前に進んでいける人間に後を託すべきということだ。 ちなみに演劇の出演メンバーが、自分の役の台詞を使って上演に向けた決意を語った場面は何気に感動的だった。旧作よりもかえってこの映画の方が、元になった戯曲も読んでみるかという気にさせるところがある。  ところで旧作とはっきり印象が違うのは美少女を揃えていることで、大島優子嬢を含めたカワイイ系女子には和まされる。製作委員会のオスカープロモーションから主演の福田沙紀、舞台監督役の武井咲のほかにも著名女優を特別出演で出しており、前回とは映画の作り方自体が違うということらしい。 主演の福田沙紀という人は若干きつい雰囲気だが(一応かわいい)、役柄との関係ではいい感じを出している。また前回の主人公に相当する役の寺島咲という人は、美少女と言い切るには微妙な容貌なのも旧作に似ているが、終盤の自撮りの場面では目の覚めるような美男に変わる一方で倒錯的な可愛さを見せていた。
[DVD(邦画)] 6点(2020-04-18 08:58:03)
374.  櫻の園(1990) 《ネタバレ》 
[2020/4/11視聴] 6年前に一度見たが、その時は何を書けばいいかわからなかったので放置していた。今回見てもよくわからないが、とりあえず“変わるもの”と“変わらないもの”が表現されているかとは思った。 変わるものとは当然ながら劇中の高校生であり、この連中のこれから長い人生の中の、いわば一瞬の動態を捉えた映画に見える。また変わらないものの代表が桜であって、この桜にからめて中高年への反感を語る者もいたが、そのことで逆に自分らが変わっていく存在だということを意識させられていたようである。 劇中の学校では桜の開花と創立記念日(4/14)、及び演劇の上演がセットで“変わらないもの”として受け継がれてきていたが、ただし演劇も毎年の演出には違いが出るだろうし、さらにいえば桜の木にも寿命があるのでいずれは世代交代が必要になる。当然ながら全てのものが少しずつ変わるので、この映画で描かれたのも1990年(原作は80年代)の暫定状態ということになるが、ちなみにこの映画の高校生も現時点(2020年)では40代になっているはずなので、登場人物の「坂口」のような、もう自分を変えられない年寄りになり切ってしまわないよう気をつけた方がいい。 そのようなことをとりあえず今回は思った。  人物の描写では、古い映画なので時代がかって見える面がある。外見は普通に真面目な生徒が、冒頭いきなり見せるキスシーンなどは昭和の殻を破ろうとする思いがあったのだろうし、また女性の生理現象に関わる話題を出すのもこの時代なりの尖った表現のようで(原作由来だろうが)、そういう点も当時は評価されたかも知れないが、しかし今になれば逆に、昔の風潮としてはこうだったかも知れないというように見える。 またキャストに関して、現在の感覚と決定的に違うと思わされるのは、女子高の映画ながらいかにもな美少女がほとんど出ていないことである。最初から男役向きに見える演者もいたようで、最後の舞台も想定しながらのキャスティングだったかも知れない。主演女優は美少女とは程遠い容貌に見えたが、終盤のツーショットでは見違えるような魅力的な表情を見せていた。  ほか個人的な雑談として、今回たまたまこの時期にこの映画を見て、やはりどうも桜は人と無関係に勝手に咲くものだという思いが強くなった。以前から福島県富岡町の「夜ノ森」(よのもり)という場所に桜の名所があり、2011年の原発事故で住民がいなくなってからも春には咲いていたのを報道で見ていたが、今年はうちの桜の名所でも、もう満開なのに露店もなく人出もないのが不思議な感じで(ぼんぼりだけ出ている)、仮に人類が滅亡してもこの桜は咲き続けるのではという寂しい想像をしてしまった。しかし現実問題として桜まつりがないと地元も困るので、来年はちゃんと花見ができるようであってもらいたい。
[DVD(邦画)] 7点(2020-04-18 08:58:01)
375.  ゾンビプーラ 《ネタバレ》 
「シンガポール初のゾンビ映画」だそうである。題名のZombiepuraは、国名のSingapura(獅子の町)のもじりだというのは言われなくてもわかるかも知れないが、自分としてはこのネーミングに引かれて見る気になった。ちなみにエンドロールを見るとzombieは漢字で「喪屍」と書くらしい。また今回関係ないがいわゆるキョンシーは「殭屍」(固い死体)である。 ジャンルとしてはホラー/コメディだそうだが別に怖くはなく、また国内向け宣伝で「抱腹絶倒」と書いているがそれほどバカ可笑しいわけでもなく、コメディ調ではありながらも普通に悲劇的な場面もあったりする普通の物語になっている。漢字の題名は「屍殺軍營」とのことで、ほとんど軍隊の兵営内のためスケールが小さく、日本でいえば学園ゾンビ映画のように見える。「筋肉の記憶」とかゾンビ除けの秘薬といったものが特徴的な要素だがそれほど独創的な感じでもなく、またゾンビの群れが特定の音楽に反応するのは、個人的にはAKB48メンバーが出た学園ゾンビドラマ「セーラーゾンビ」(2014)を思い出した。 なお障害物競走は少し面白かった。また最後の祖母の件は笑った。  現地の事情はよくわからないが、主人公が軍隊にいたのは志願したわけではなく、兵役(2年)を務めた後に毎年集められる予備役だったようで、当事者としてはとにかく何もせず楽に過ごして早く帰りたい状態だったらしい。しかし今回の件で守るべき者の存在を意識したことで、訓練ではできなかったことも自分の力でできるようになり、同じ任務の仲間と協力し、国旗に導かれて?小さな勝利を得たという話に見える。 シンガポールは面積的には小国ながら、豊かな国らしく侮れない軍事力があるようで、この映画のようなだらけた状態が普通なわけではないとは思われる。しかし現実問題としては主人公のように、戦争などゲームや映画でしか意識していない連中ばかりなのを兵役で使う苦労があるのだとすれば、ここでちょっと平和ボケを矯正してやる、という意味もあるのかも知れない。それにしても基本的に平和な国ということだろうが。  なおキャストは地元の役者のようで当然知らない人ばかりである。唯一の若手女子であるXiao Ling(小玲)役はJoey Pink Lai(黎格欣)という女優・モデルのようで、劇中では美女と言われていたが、少しタヌキっぽい愛嬌のある顔で和んだ。
[インターネット(字幕)] 5点(2020-04-11 22:27:33)(良:1票)
376.  首だけ女の恐怖 《ネタバレ》 
インドネシアの映画で、英題のとおり場所はバリ島である。冒頭に出る恐ろしげな仮面や不安をかき立てる音楽が異国臭を発散しているが、しかし自分の見たDVDでは台詞が全部英語だったのが興を削ぐ。 内容としては現地の伝承に基づく妖怪映画である。原題のLeak(またはLeyak/レヤック、字幕ではレヤク)は、映画のとおり内臓をぶらさげた首を飛ばして胎児や新生児の血を吸う妖怪とされており、似たようなものがマレーシアではペナンガラン(Penanggalan)、東南アジアの他地域でもそれぞれの名前で呼ばれているらしい。また字幕で「レヤク女王」と書かれていたババアは、レヤクというよりランダ(Rangda)と呼ばれるバリ島の魔女のことではないかと思われる(以上はウィキペディア英語版より)。 なお終盤の朝日が昇る場面で「コケコッコー」というのが聞こえたが、一番鶏が鳴くと妖怪の居場所がなくなるというのは日本と共通の感覚かも知れない。また火の玉が飛ぶ場面があったが日本の人魂よりもかなり豪快だった。  全体的な印象としては、日本でいえば大映の妖怪3部作(1968~69)のようなものかと思うが、妊婦の股に顔を突っ込んで胎児を吸う(母子とも死亡)などは子ども向けとは思えない。妖怪映像は特殊メイクや着ぐるみや映像合成や特殊造形物や実物(ブタとヘビ)で作っており、これを安っぽいというのは簡単だが、日本の昭和特撮で作ってもこんなものだったのではないかと思ったりする。個別の場面では、白い布が飛んで来て勇士を縛り、勇士が布を切り裂くとブタの破片に化け、そこからブタの全体像が再構成されて、垂れ乳をぶら下げたブタのバケモノ(着ぐるみ)になるという展開は少し面白かった。 物語としては一応 ”LEAK NGAKAK”(「レヤクが笑う」?)という原作があったらしいが、アメリカ女と地元男の恋愛感情や、捨てられた女の悲哀などに心を動かされるものにはなっていない。また終盤で「大戦士」なるものが登場するのが唐突な上に、終わり方がかなり素っ気ないので拍子抜けだが、まあ昔の娯楽映画などそんなものだといえなくはない(日本の昭和特撮でもこういうのはある)。 ほかに若干のエロさを見せたり(スカートを脱がされる)性的誘惑をほのめかすような場面もあったりしたが、変に控え目というか半端な感じでかえって意図不明になっていた。ちなみにヒロイン役の白人女優は腋毛を生やしていたように見えるがそれほど特筆すべきことでもない。
[DVD(字幕)] 5点(2020-04-11 22:27:30)
377.  私はヒーローそれともヴィラン?よみがえれ勝連城 《ネタバレ》 
変な題名が気になって頭から離れなくなって困った。本題と副題がスイカと天ぷらのような相性の悪さがあり、またそもそもヴィランというのが何のことかわからなかったのでわざわざ調べたが、まあこういう用語は映画ファンの人とかなら常識なのだろうなと思った。ちなみに全体として何かの名前に似ていると思ってやっと思い出したのが「天才バカヴォン ~蘇るフランダースの犬~」(2015)だった。生きているうちに思い出せてよかった。 実際見れば世界遺産登録の勝連城(沖縄県うるま市)を扱った映画で、山頂からの眺望などが非常に印象的だった(空と海が広い)。個人的には沖縄の歌謡集「おもろさうし」に「やまとの かまくらに たとゑる」という言葉があることをなぜか以前から知っていたが、それがこの勝連のことだというのは今回初めて認識した。地元のヒーローである阿麻和利(あまわり)が、琉球王府の陰謀で滅ぼされたという話を聞けば、地元でないが近場の例で、蝦夷の阿弖流爲(アテルイ)が大和朝廷(ただし平安遷都後)に滅ぼされ、奥州藤原氏が鎌倉に滅ぼされたようなものかと思って一気に共感を覚えた。「肝高の阿麻和利」というのは記憶しておくことにする。  主人公は最初から傲慢で悪印象だったが、その後すぐに女子児童との関係で、ちゃんと人としての美点があることが明らかになる。自分が先に立って挑発して競い合って(三線の演奏付きで)人を引っ張る性格らしかったが、どうやら似た者同士だったようで、そのうちライバル関係のようになっていたのは笑った。 また、人は見たいものしか見ないというのは、人間の認識能力に制約をかけ相互理解を阻害する最大級の障害だと自分も思うが、それは劇中で出ていた歴史認識の問題も、個人の問題も同じということらしい。主人公に関していえば、要は視野を広く取れ、人の話を聞けということだろうが、しかしいま必要なことをまっすぐ見通して断行しようとする基本的性格までを矯正する必要はない。電話で同僚(副社長)に「間違ってない」と言ってもらったのは他人事ながら嬉しくなった(泣けた)。確かに、誰かが見てくれているというのは有難いことだ。 結果として、題名にかかわらず意外に感動的な映画だった。ちなみに映像面の印象もよかった。低予算だろうと思うが安っぽさは感じない。  キャストとしては、主演女優は写真の横顔を見て全く期待していなかったが、役柄との関係ではかなりいい感じを出していたので、そのうち「櫻の園」(2008)でも見るかという気になった。役名の「華那」は阿麻和利の幼名「加那」に合わせたものかも知れない。また親友役の大城優紀という人は沖縄の女優・モデルとのことで、絵に描いたような可憐で気の優しい洋風美女の姿を見せている。この2人と相似形の児童2人も沖縄の子役だったようである。
[インターネット(邦画)] 9点(2020-04-06 19:52:01)
378.  天才バカヴォン 蘇るフランダースの犬 《ネタバレ》 
この人物の映画は2つ目だが大体どんなものかはわかっている。大笑いというほどでもないが終始にやけ気味の顔で見ていた。 ネロとパトラッシュがまるきりそのままの姿なのは感動的で、この格好で実名付きで出てきても誰も気づかないのは意外に知名度が低かったらしいがそれはいいとして、人間社会に恨みがあるなら日本でなくベルギー(フランドル)社会に復讐してもらいたい。小ネタもいろいろ出ていたようだが自分としては世情に疎いので、「浜崎」というのはこういうイメージを持たれていたのかとか、「こまごめピペット」とは何のことだったか(器具でなく)と考えてからもしかしてアレのことかと思い出したというところはあった。また時節柄、鼻の粘膜に指で触るなとか、南米産のサルなど何がついているかわからないといった心配をさせられた。 物語的なところでは、これまで何十年間も隠されてきたものすごい秘密が明らかにされるのかと期待していたら、最初からネタバレしていたことに気づかないでいたおれはバカかと思ったが、それもウソだったらしく結局どうでもよくなった。しかし日昇ということに関しては、途中で極めてまっとうな理屈を説明していたにもかかわらず、最後になって荒唐無稽な超自然現象を起こしておいて「これでいいのだ」と言われても、別に悪いとは言わないが、宇宙の秩序が崩壊しているとしか思われないのでハジメちゃんに何とかしてもらいたい。ちなみにママは優しそうでちゃんとした人なので和まされた(好きだ)が、夫の奇矯な行動を周囲に詫びる様子など見ると、やはり昭和(戦前)生まれの人物像が表現されているようでもある。 そのようなことで、あまりまともな感想が出て来ないがそういう映画だった。好きな人は好きだろうとは思う。決して面白くなくはない。
[インターネット(邦画)] 6点(2020-04-06 19:51:59)(良:1票)
379.  大阪最後の日<OV> 《ネタバレ》 
短編6話をまとめたオムニバスである。DVDの説明によると「本作はシニカル・コメディの連作です。SF超大作を希望されると御期待を裏切る事になります。」だそうだが、そもそもコメディという言葉を使えるかも怪しい。 各話は全く関係ない独立のエピソードで、単に小編をまとめてリリースしただけと思ってもそれまでだが、一応は「大阪最後の日シリーズ」として、第6話の破滅的事件と同じ日の出来事を並べたものだと説明されている。  【女流作家の苦悩】だから何だという感じ。前座というか、この後も全部この調子だという予告のようなもの。 【印刷戦線異状なし】まともな証拠がないことを、その辺にある材料を使って口先だけでどれだけ主張できるかの攻防戦。これが大阪の商慣行なのか。 【借金チキン】下町人情物ということなら悪くないが、しかしあまりにあっさりした展開のため、ただの不条理物のように取られる恐れがあるのは惜しい。 【取合う二人】面白くはないが、土建業の男の顔でも見ていろということか。ただし携帯を壊したところは、第1話からここまでの間で初めて笑った(失笑)。 【接触事故】最も手の込んだ脚本。示談金の意味を勘違いしたことが重大な結果を招いたということらしい。これも悪くない。 【大阪最後の日】表題作。これだけが屋外の撮影で、太陽光を演出に取り入れたりして少し映画らしく見える。「下町育ちの少年」は大阪弁が不得意のように聞こえるが、キャラクターとしては結構可笑しい奴である。また「上流社会の少女」はさすが上流らしく言葉が東京風な一方、演技はかなり変なので笑ってしまうが、ラストのびっくりした顔は可愛らしい。  表題作以外は基本的に出演者が2人だけで、1対1の会話で成り立たせようとする作りになっている。2つのエピソードに出ている人物が2人いて、この2人にとっては結構忙しい1日だったらしい。ちなみに個人的に最も大阪らしいと思った登場人物は闇金集金屋歴20年の男だった(偏見があるか)。 全体的には明らかに低品質だが(特に画質は厳しい)全く面白くないわけでもない。自分としては必ずしも嫌いではないが、まともな映画と思われるとまずいので点数は低くしておく。
[DVD(邦画)] 2点(2020-03-29 00:59:09)
380.  地球最後の日 《ネタバレ》 
昭和26年の映画(白黒ゴジラの3年前)としてはかなりいい出来というしかない。ミニチュアのほか書割りも使ってそれなりの映像を作っており、ロケットの発射台などはなかなかの壮大感を出している(ラストの風景画は残念)。ロケット内部の設えとか、目的地で方向転換して逆噴射する場面などは後の東宝特撮映画にも生かされていたかも知れない。ちなみに惑星の大気中を航空機として飛んでいたのは後世のスペースシャトル風である。  物語としては、最初に金の話から始まっていたのは現実的で結構だが、しかし発起人の科学者が身内最優先な上に、他のスタッフも自分が助かるために参加したのだとすれば、人類のために働く志を持った献身的な人間はいなかったことになってしまう。抽選に漏れた連中が暴動でも起こすのではないかと思っていたらその通りだったが、ただラストはちゃんと勧善懲悪的になっていて安心した。かつ“老害”排斥意識が高まっている現代日本の風潮にも合った結末になっている。 こういう状況で、わずか40人を選ぶ中に自分が入ると思う観客はいないだろうから所詮は他人事になりそうなところ、主人公を変に謙虚な人物に設定したことで観客の立場に寄せていたようでもある。自分など何の役にも立たないと卑下していたのは共感できるものがなくはなかったが、しかし恋敵のお情けで役目をもらえたように見えながら、実は大気中の飛行区間の操縦をしっかり担当しており、ちゃんと本職の技量を生かす形になっていたようである。  なお各国の動向はよくわからなかったが、政府もマスコミも破滅の恐怖から目を逸らしてとりあえずの避難を呼びかけ、一般大衆も従容として受け入れていたようなのが不気味とはいえる。 移住に成功したのが劇中メンバーだけだとすれば、「ノアの方舟」の話を共有するはずのイスラム教徒も排除され、また数ばかり多く煩わしいアジア系人種なども一掃されて、英語を話す白人のキリスト教徒だけ(ユダヤも含む?)で清浄な新世界を作ることになったらしい。しかし残った40人も、抽選だったからには暴動を起こした連中と本質的に違いがないわけで、いずれ旧世界と同じ世界ができて同じことを繰り返すのだろうと予想しておく(今回は二度目?)。 ちなみにどうでもいいことだが、個人的にヒロイン役の女優はカワイイ系美女でけっこう好きだ。
[DVD(字幕)] 5点(2020-03-29 00:59:04)(良:1票)
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