21. シザーハンズ
この作品は、「雪はなぜ降るのか?」という問いに対する答えからはじまるところが良いんだと思います。これを観て2人の作家を連想しました。村上龍の小説「海の向こうで戦争が始まる」は、海の向こうに見える蜃気楼の町を肉化して醜悪な物語をスタートさせていますが、シザーハンズの展開はまさにそれのファンタジー版です。また、神話的な物語の展開はガルシア=マルケスを彷彿とさせます。で、何が言いたいかと言うと、つまりこれは文学です。そして、全ては感動的なラストシーンのために計算しつくされて流れて行きます。驚きと感動のラストは、「物語的」必然性に裏付けられています。 8点(2004-01-08 17:58:06) |
22. 第3逃亡者
凝った仕掛けもないし、「これのどこがサスペンス?」という感じでした。あんなに簡単に法廷から逃げられるわけがないし、ヒロインがなぜ主人公に魅かれたか描写不足だし、予定調和のストーリーだし。アラをあげればいっぱい出てきますが、1937年の作品なのでまーしょうがないか。 4点(2004-01-08 17:12:45) |
23. ロッキー4/炎の友情
内容はともかく、J.B.やゴルバチョフのそっくりさんを引っ張りだすとはいい根性だと思います。冷戦時のソ連人ってまさにドラゴのイメージだったのでしょう。表情に乏しくて、何を考えているのか判らないし。最後に融解するシーンを持ってくるあたり、政治的にも正しい映画ですね。点数は低いですが必見だと思います。 5点(2003-12-29 22:56:15) |
24. ロッキー
多くのスポ根ものと同じように、この映画も時代とともに風化していくのは否定できません。「スラムダンク」の世代に「巨人の星」で感動しろと言っても難しいでしょう。それと同じようにタイソンが数分で相手をKOするのを見て育った私が「ロッキー」を見ても、いまいちリアリティが感じられず乗り切れないのです。ロッキーという等身大の人物が主人公なだけに、リアリティに欠ける試合シーンを見ると萎えてしまいます。私は「スクールウォーズ」世代を自負していますが、それも今の十代には受け入れられないでしょう。悲しいけどしょうがないことですね。 5点(2003-12-29 22:49:25) |
25. ルパン三世 カリオストロの城
略して「カリ城」って言うのを初めて知りました。読み方は「カリジョウ」?それとも「カリシロ」かな。 7点(2003-12-18 08:13:49) |
26. 幸福の黄色いハンカチ
高校の時に、映画好きな地理の先生が授業を潰して見せてくれたんですが、意外に面白かったですね。見る前は元気が出るテレビの企画の印象が強くて、馬鹿にしてたんですけど。時代感覚的についていけない部分があったので、点数はこの辺で。高倉健は人間国宝として保護すべき日本の格好いい男性像です。この存在感は世界でも屈指でしょう。 6点(2003-12-15 23:28:13) |
27. 失楽園
TV版は川島なお美のヌードで、映画版は黒木瞳のヌードが見所というのはちょっとなー。ブームだから観てしまったけど、これは、倫理観が崩壊した今の日本を象徴しているような気がしました。中年親父が温泉宿で女をたらしこむのを助長している日経おとなのOFFという雑誌があるのですが、日経はグループを挙げて不倫支援ですか。「マディソン郡の橋」は、最後は家庭を選んで一応の倫理を貫いるので、アメリカ社会のほうが健全なのかな。 3点(2003-12-15 23:15:22) |
28. 南極物語(1983)
犬好きなので、この実話を基にした物語は人間のエゴを感じて好きになれません。鎖を外していかないあたり殺す気だったのでしょうね。自分を死ぬほど辛い目に合わせた人間がのうのうと戻って来ても、状況が理解できないとはいえ、犬は文句すら言えないとは悲しいですね。5点は壮絶だったであろう撮影に献上します。子供ながらにドキュメンタリーを見るようなリアルな映像に感動しました。 5点(2003-12-15 22:57:14) |
29. おもひでぽろぽろ
田舎から上京しており且つタエコと同年代の女性のみをターゲットにしているのでしょうか。絵が綺麗なのはいいのですが、少女趣味的な描写ばかりで基本的には何も起こらない映画なので「これ判る判る」がないと見るのはしんどいかな。 5点(2003-12-15 22:45:31) |
30. サトラレ TRIBUTE to a SAD GENIUS
「傑作になり損ねた」「もっと良くできたはず」という意見に賛成。ロケ地というか舞台が私の郷里っぽいので、思い入れがあるが、あえて点数には反映させません。 6点(2003-12-15 22:32:48) |
31. グリーンマイル
刑務所もの、無実の罪もの→既視感。リアルな描写の中に中途半端なファンタジー要素→煮え切らなさ。善人と悪人のはっきりした区別→物足りなさ。といったところでしょうか。コーフィの天使のような存在という設定は面白いと思いました。 5点(2003-12-15 21:50:52) |
32. その男、凶暴につき
この映画のノリには全然ついていけませんでした。フライデー襲撃事件のノリそのものでしょ、これって。だからその後の北野映画は全く観ていません。しかし、ヨーロッパでは"TAKESHI KITANO"は圧倒的に人気と知名度があるので、日本人として会話を合わせられないのは辛いものがあります。外国人から日本映画の素晴らしさを説明されるのは複雑な気持ちです。この映画だけで北野武を判断するのはちょっと早合点だったかなと思って後悔してます。 4点(2003-12-15 12:55:28) |
33. E.T.
この映画の哲学が賞賛すべきものなのか、それとも軽蔑すべき偽善なのかは置いておくとしても、圧倒的な映像と特殊効果で人を感動させようという流れが、ここからはじまったのは否定できません。映画に何を求めるかというテーマを考えるにはピッタリの作品です。そういう意味で偉大な作品と言えるでしょう。私が映画に求めるものはETで提示されているものとは違うという意味でこの点数です。 4点(2003-12-15 12:29:09) |
34. 病院坂の首縊りの家
矛盾点や偶然性を指摘するコメントもありましたが私も同感で、謎が細かすぎてちょっとややこしさを感じました。 6点(2003-12-15 11:20:33) |
35. 犬神家の一族(1976)
「八つ墓村」と双璧。大仕掛けな謎と怨念、おぞましい殺害現場、異相の怪人、どれをとっても一級のサスペンスです。金田一シリーズは、和風ホラー的な要素をうまく使っているから面白いわけで、オカルト的な謎を名探偵が見事に理論的に説明づけていく過程にカタルシスを感じます。 8点(2003-12-15 11:01:08) |
36. ミスター・ベースボール
ドラゴンズファンでなければ見ないだろうし、ドラゴンズファンとしては映画史上から抹殺したい映画です。笑えないコメディは、存在する意義がない。 1点(2003-12-15 10:09:43) |
37. MARCO 母をたずねて三千里
観終わって、「こんな安っぽい話だったかな?」というのが正直な感想。映画は97分で終わってしまうので、長い道のりを乗り越えてようやく母のところへ辿り着いたという感じがしなかった。やはりTV向きのお話ですね。 4点(2003-12-15 09:56:16) |
38. 猿の惑星
普通であれば、ネタフリが長過ぎると幾らラストが衝撃的でもウンザリしてしまうものです。でも、猿の女性から猛烈アタックされる主人公と人間のメスの色っぽさで、何とか途中を凌げました。 7点(2003-12-14 14:23:44) |
39. プリティ・ウーマン
当時のアメリカがバブルではないとしても、バブリーな匂いがして好きになれません。例えば、戦争の格好良い面だけを描いた作品に嫌悪感を抱くのと一緒で、この映画を観ていると「想像力の欠如は恐ろしい」と痛感してしまいます。街娼って一体どんなサービスをする仕事なのでしょう。そのあたりを掘り下げていないので、主人公のキャラクターがフワフワした希薄な印象に感じられました。リチャード・ギアもフワフワお金を稼いでいるようですし。まー、あくまでも個人的な嫌悪感ですけどね。 3点(2003-12-14 13:53:41) |
40. ベティ・ブルー/愛と激情の日々
「愛とは見つめあうものではなく、お互いが同じ方向を見つめること」という趣旨の格言がありますが、この映画はその格言の向こうを張って更に内側に沈み込んでいく愛が描かれています。「こんなの愛じゃない」という意見はご尤もで、私も現実的には家に火をつけたところで見切って、こんな女とはさよならすると思いますが、内心その先を見てみたいと思う気持ちもあるので、この映画を気に入っているわけです。理性的な判断しか認められない人間には芸術は創作できません。太宰治は人間性が破綻していたし、高村光太郎は妻が破綻していたし。ゾルグはいい小説家になるでしょう。 8点(2003-12-14 13:20:19) |