21. 銀嶺の果て
《ネタバレ》 あの登山家が驚異的に良い人だ! 志村喬は、どう見ても強盗するような人間には見えないのは、ご愛嬌。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2021-08-28 22:34:22) |
22. 四谷怪談[前篇/後篇](1949)
四谷怪談と皿を数えるアレと混同していた。 顔がただれたお岩さんというのは知っていたが、物語の詳細は知らなかったので、楽しむことができたが、題名に「新釈」とあるので、多少はアレンジがなされているのだろうか。 それはさておき、本作は木下惠介の作品らしく、実に卒のない完成された作品であった。 名優たちの演技も手伝って、重厚な愛憎劇と相成っている。 そして、みんな驚くほど若い! 上原謙もかっこいいし、田中絹代もまだそれほどおばさん臭くないし、杉村春子はお色気を売る役を演じているし、加東大介もまだそれほど太ってはいない。 だけど、例外が一人いた! 飯田蝶子だ。 この人はいつの時代の作品を観ても、常におばあさんだ。 まるで笠智衆の女版である。 「怪談」と聞くと、さぞかし怖いんだろうなぁ、と少し気合いを入れてから鑑賞を始めたが、現代からみれば全く怖くないし、しかもそんなに怖い場面すら多くはない。 それよりも、愛憎劇といった人間性を描いた部分が深く掘り下げられていて、それが物語りの奥行きを深めている。 160分弱の尺の長さもそれほど気にならず、ムダの少ない完成度の高い作品であった。 [ビデオ(邦画)] 7点(2021-08-09 18:38:21) |
23. 三十三間堂・通し矢物語
《ネタバレ》 東京は御茶ノ水「アテネ・フランセ文化センター」にて鑑賞。 相変わらず奇妙なビルディングだった。 本作は成瀬監督初の「時代劇」らしい。 そして全く成瀬作品らしくない。 だけど普通に面白い。 キャスティングにも成瀬らしさが見当たらない。 そしてストレートに娯楽作品でもあったりする。 全てが異質な成瀬作品ということになるだろう。 そういう意味でも観るべき価値のある作品だ。 しかし、長谷川一夫が良い役すぎる! 笑っちゃう程「良い人」なのだ。 田中絹代が最後に一言。 「なんて良い人なんだろう・・・」 そう、あり得ないくらいの「良い人」設定。 顔がデカイのと腕が貧弱なのがタマに傷だが、目はキリっとしているし、チャンバラは強いし、気はきくし、弓は上手いし、女性には優しいし、まさに完璧。 ここまで完璧だと、まあ、やり過ぎでしょう。 ラストの去り方も最高。 あそこまで敵方にしてあげたら、褒美を請求したり、田中絹代を口説いたりするのが人間ってものだろうが、そんな欲求は一切見せず、哀愁の後姿を見せながら一人歩き去っていく。 うーん、長谷川一夫、色んな意味で凄すぎ! [映画館(邦画)] 6点(2021-07-31 00:04:26) |
24. 王将(1948)
《ネタバレ》 これ実話モノなんですね。 個人的に、プロの将棋世界には昔から興味があったので、楽に理解することができました。 その点も、本作を楽しむに当たって、とても有利に働いたようです。 さて、主演のバンツマの演技ですが、とにかく素晴らしい! このバンツマの傑出した演技が本作を傑作にまで昇華させている。 それだけバンツマの演技は凄まじい。 そして脇役の斎藤達雄だが、小津監督のサイレント時代に何度も観たことがある俳優さんなので、トーキー映画で声を聞けてびっくり。 こんなソフトな話ぶりの方だったんですね。 (追記) あれ?!一つ下の方のコメントを拝見してビックリ! 今日、本作が衛星で放映されたんですね・・・ わざわざ私は遠出してまでレンタルして観たのに。 私も早く衛星放送を契約したい! やっと、経済的に余裕が出てきたので、一日も早く契約するぞ!! うりゃ!! ナンミョーホーレンゲーキョー ナンミョーホーレンゲーキョー [ビデオ(邦画)] 8点(2021-07-30 23:58:37)(良:1票) |
25. シミキンのオオ!市民諸君
これほどキテレツな映画は観たことがない。 本来、スラップスティック・コメディは苦手な私だが、そのあまりの独創的な作風に圧倒されてしまった。 この作品は、このキテレツさ加減からみれば、ある意味カルト・ムービーである。 カルト・ムービーと言えば、石井輝男監督の『恐怖畸形人間』が思い付くが、本作はそれを超越する程の奇怪な作品であった。 “キング・オブ・カルト” その冠は本作にこそ相応しいのではないだろうか。 ***************************************************** あー、それにしても本作の中で流れた「なまずの歌」が耳から離れない。 なまずの子供はなまずだよ~♪ クジラの孫じゃあらへんよ~♪ そ~の証拠にゃヒゲがある~♪ なまずの子供にゃヒゲがある~♪ って、やつ。(ちょっと部分的に違うかもしれませんが。) よく私の父親が、これて全く同じメロディで、違う歌詞の替え歌を歌っていた。 お~たまじゃくしは、カエルの子~♪ なまずの孫じゃあらへんよ~♪ そ~の証拠にや足がある~♪ やがて、手が出る足が出る~♪ っていう歌だ。 要するに、「おたまじゃくし」と「なまず」と「クジラ」は、全て黒くて形も似ている、という発想から創られた替え歌なわけです。 しかし、いずれにしても愛嬌のある面白い替え歌だ。 原曲は何だっけ? なんか聴いたことのあるメロディだが、どこで聴いたか思い出せない。 ***************************************************** あ、思い出した! ま~るい緑の山手線♪ まんなかとお~るは中央線♪ 新宿西口駅の前~♪ カメラはヨドバシカメラ♪ だった。 あ、でも考えてみたら、創られたのこっちの方が全然後だなぁ。 [ビデオ(邦画)] 7点(2021-07-30 23:56:53) |
26. 四つの恋の物語(1947)
豊田四郎監督の第一話が圧倒的に良かった。 こういう純愛モノには弱い。 久我美子が若くてびっくり。 池部良も、相変わらず前髪が垂れていて良い。 二人のロマンスは、純情の極みで、観ていて清清しい気分になれる。 終り方も素晴らしく良い。 木暮実千代が魅力を発揮している成瀬巳喜男監督の第二話も、なかなかの出来栄え。 しかしながら、喜劇風な第三話やミステリーじかけの第四話は、「恋の物語」と銘打った本作からすると期待はずれ。 全体としては全くまとまりがないが、第一話が良かったので満足はできた。 改めて、豊田四郎監督の力量を感じたオムニバス作品であった。 そして、成瀬巳喜男監督の安定した底力を再確認できたのも、一つの収穫であった。 [ビデオ(邦画)] 7点(2021-07-30 23:52:32) |
27. 恐怖のまわり道
《ネタバレ》 2つ目の殺しは無理があるが、短くてキレのあるサスペンスだった。 特に、ヒッチハイクで不気味な男に拾われ、その男との車の中やドライブインでの会話は、緊迫感があって面白い。 それにしても、あんな女とは関わりたくないものだ。 [インターネット(字幕)] 7点(2021-07-22 16:07:43) |
28. 黄色いリボン
《ネタバレ》 軍隊を退役する老人の話で、非常につまらなかった。 やはり私には、ジョン・フォード、ジョン・ウェインは合わないらしい。 音楽と雄大な景色は良かった。 っていうか、黄色いリボンの出番が少ないじゃないか! 野郎の話だろ、これ。 [インターネット(字幕)] 2点(2021-07-22 10:31:47) |
29. 黄金(1948)
《ネタバレ》 かなりの力作、楽しめました! 物乞いならぬ、金乞いをしていたドッブスが、大量の金(キン)を目の当たりにして疑心暗鬼になり、自滅していく様が面白い。 最後に大笑いをする爺さん、これには思わずこちらもニヤリとしました。 [インターネット(字幕)] 8点(2021-07-09 11:32:48) |
30. 雷撃隊出動
《ネタバレ》 軍事マニアでもない限り、こんなのが楽しいはずもない。 馬鹿げた事をなんの疑いもなくやってしまう。 日本人の悪い特性が、最も顕著な形で表出したのが戦争か。 何が雷撃魂だ、馬鹿馬鹿しい。 最近稀に見た馬鹿げた映画。 苦痛の時間を過ごしてしまった。 もはや藤田進の顔すら見たくない! [インターネット(邦画)] 0点(2021-06-16 21:55:58) |
31. 青い山脈(1949)
原節子が劇中においてはヒロインを演じている。 しかし私は木暮実千代が大好きである。 そういったことから、「私なら色っぽい芸者に扮する木暮実千代の方を選ぶけどな~」みたいな感じでみてしまい、主人公の男性に共感できなかった。 全編に渡りとても爽やかな風が吹いており、戦後から数年経ったその当時の開放感が画面いっぱいに現れていて素晴らしかった。 [ビデオ(邦画)] 6点(2021-06-16 19:39:01) |
32. 孫悟空 前後篇(1940)
《ネタバレ》 なんだか学芸会を見ているようで、しょーもない内容だった。 元々、エノケンのことがあまり好きではないのも原因かな。 三蔵法師って、爺さんだったのね。 [インターネット(邦画)] 3点(2021-06-15 23:28:28) |
33. 簪
《ネタバレ》 斎藤達雄が理屈っぽく、とにかくうるさい。 団体客より、ある意味うるさい。 清水宏作品だけに、本作でもガキが、、(以下、自主規制) [インターネット(邦画)] 6点(2021-06-13 21:51:47) |
34. 桃色(ピンク)の店
《ネタバレ》 自分が文通相手だともっと早く教えてあげたらいいのに… でも、それだと話が終わってしまうか。 話を引っ張る為に、なかなかそれを教えない。 隠してるし、騙してる感じだし、彼女からしたらよく思わないのでは? なんかどうも不自然なんだよなぁ。。 [インターネット(字幕)] 5点(2021-06-11 22:15:08) |
35. 我等の町
《ネタバレ》 人畜無害な内容が、とにかくつまらない。 語り部が爺さんだし、しかも説明がくどい。 最後の夢オチも最悪。 [インターネット(字幕)] 2点(2021-06-04 22:45:36) |
36. 元禄忠臣蔵 前篇
《ネタバレ》 誰もが知っている『忠臣蔵』を、溝口健二が撮った。 それが『元禄忠臣蔵(前篇・後篇)』だ。 前篇と後篇合わせて、怒濤の224分! しかも私、恥ずかしながら『忠臣蔵』そのものが初体験。 そんな私に果たして本作の224分が耐えられるのか?! まずはオープニングから。 溝口作品を観るに当たっての楽しみの一つに「オープニング」がある。 特に溝口作品の中でも、時代劇系の作品はオープニングがカッコイイことが多い。 本作は超大作ということもあり、予想通りのかっこよさ。 大体この時代のオープニング・ロールって短くてアッサリ気味のものが多いのだが、本作は違った。 長い長い。 しかも重厚でかっこよすぎ。 しょっぱなから大満足である。 そして本編のはじまりはじまり・・・ しかしいきなり問題発生。 『忠臣蔵』のストーリーを私はほとんど知らなかった。 しかも本作はフィルムの保存状態が悪くセリフが聞き取り不能な部分が多数あったのだから致命傷。 そしてかたぐるしい文語調の昔言葉。 さっぱり分からないのだ。 しかも冒頭から浅野内匠頭が吉良上野介を切りつけてしまうというシーンから始まり、『忠臣蔵』のストーリーを知っている人なら難なく理解できたであろう場面が、その時の私には全く理解できなかったのだ。 結局、前篇が終わるまでストーリーを把握しきれず終了。 このまま後半も終わってしまったらどうしよう・・・という不安に襲われつつ、後篇へ。 [DVD(邦画)] 7点(2021-06-03 21:34:47)(良:1票) |
37. 元禄忠臣蔵 後編
《ネタバレ》 前篇は、かたぐるしい公の場での出来事が中心であったが、後篇はうって代わって人情劇に。 これが功を奏したのだ。 比較的、分かり易いセリフが増えたせいか、物語に入っていくことができた。 特に討ち入り後の切腹前のシーンは素晴らしかった。 一同は切腹を前にして落ち込むどころか宴会を始める。 死を前にしていくら覚悟を決めたお侍とはいえ、心中穏やかではないはず。 それとも、あだ討ちをしてあとは切腹という制裁を待つだけだから、立派なお侍として気は晴れやかなのか? どちらかは分からないが、とにかくこの宴会シーンの表面的な騒がしさとその裏に潜む哀しさの対比がとても良い。 死を覚悟した男達の、鬼気迫る宴会シーン。 これは見応えアリの必見シーンだ。 大石内蔵助を演じた河原崎長十郎と、富森助右衛門を演じた中村翫右衛門の二人。 これが何とも素晴らしかった。 『人情紙風船』(山中貞雄)でも共演したこの二人。 本作でも、あの時と負けず劣らずの素晴らしい演技。 特に河原崎長十郎の理屈くさいセリフの数々が、妙に説得力を発揮していて、十二分に引き込まれた。 ところで、本作は最近いっせい発売された溝口健二のDVDをレンタルして観たもの。 それらのDVDには、付録として新藤兼人のインタビューが収録されている。 新藤兼人は本作『元禄忠臣蔵』で“建築監督”を担当していたせいか、他作品に比べ、本作へのインタビューの受け応えはかなりの熱の入れよう。 そして、その話の内容も非常に興味ひかれるものであった。 本編もそうだが、この新藤兼人のインタビューも必見である。 特に驚いたのは、本作の予算。 なんと、当時の映画5本分の予算が本作の江戸城松の廊下のみに使われたというのだから驚き。 国家予算から出ていたとのこと。 これは膨大な数字だが、本作であのセットを見れば間違いなく納得するはず。 はっきりいってズッコケます。 あれを映画のためだけに作ったとは・・・ いくら国家予算とはいえ、溝口健二やりすぎです。 [DVD(邦画)] 7点(2021-06-03 21:33:59)(良:1票) |
38. ハムレット(1948)
《ネタバレ》 有名なハムレットという作品に、初めて触れることができた。 それだけで、ある程度は満足。 お城の造りが、とにかく凄い。 それを映し出すモノクロ映像。 芸術的価値も高い。 オフィーリアが倒れた時、その太ももが露わになる。 この、なんとエロティックなことか! 作品全体が荘厳な空気に包まれているからこそ、映えわたる太ももの美しさ。 まさに芸術です。 [インターネット(字幕)] 6点(2021-06-03 20:25:21) |
39. 赤い河
《ネタバレ》 商社の主人がとっても良い人。 足元を見ずに牛を買い取った! なんて良い奴だ。 何度見てもモンゴメリー・クリフトは時代を感じさせない顔立ち。 最後の笑顔も素晴らしい。 [インターネット(字幕)] 6点(2021-05-11 18:50:40) |
40. ならず者(1943)
《ネタバレ》 西部劇は苦手な部類だが、これは普通に楽しめた。 オジサン賭博師の話かと思ったら、ビリー・ザ・キッドの話でびっくり。 [インターネット(字幕)] 5点(2021-04-20 11:45:59) |