21. ラ・ポワント・クールト
《ネタバレ》 倦怠期を迎えた夫婦が夫の故郷を二人で散策するうちに、いつの間にやら仲直りをする。 そんな単純な話だが、何故だか面白い。 牧歌的な村の風景と素朴なモノクロ映像、そこに奇妙な音楽が混じり合うことによって、独特の味わいを生み出している。 [インターネット(字幕)] 7点(2023-09-16 18:41:27) |
22. ロベレ将軍
本作は、ヴェネチア映画祭で金獅子賞(グランプリ)を獲っているにも関わらず、他のロッセリーニ作品と比べると知名度としては多少落ちるものがある。 しかも獲られた年代も1959年ということで、かなり後に獲られた作品だ。 全盛期的なイメージのある1940年代ですらあんまり楽しめなかったのだから、そんなに晩年の作品じゃあ大したことはないだろう・・・と踏んでいた。 しかし、映画好きの方々の評判をチェックすると、ロッセリーニ作品の中でも本作は、一際評価が高いのだ。 歴史的背景を熟知していないと、完全にはそのストーリーを理解することはできないであろう内容であり、私もそんなに世界史には精通していないので、ところどころ理解できない部分があった。 しかし、その様なレベルの鑑賞者さえも十二分に楽しませるだけのパワーがこの作品にはあった。 特に主演のヴィットリオ・デ・シーカの演技が素晴らしい。 デ・シーカと言えば名作『自転車泥棒』の監督というイメージが強く、まさかこんなに演技がうまいだなんて思ってもいなかった。 しかしそれは単に私が無知であっただけで、デ・シーカは元々、プロの俳優として映画界に入ってきたとのこと。 そして本作は、そのデ・シーカとロッセリーニが初めてタッグを組んだ作品でもあるのだ。 どこかのサイトで誰かがこう評していた。 「イタリアン・ネオ・リアリズモのニ大巨匠、ロッセリーニとデ・シーカが、イタリアとイタリア映画の意地を大いに見せ付けてくれた名作」 であると。 まさしくその通りに感じた。 又、デ・シーカ役の軍人と敵対する国の大佐を演じた、ハンネス・メッセマーの名演も光っていた。 これがとてつもなくかっこよい。 一発で彼のファンになってしまった。 132分という長尺である為、さすがに途中で多少だれるが、後半はまた息を吹き返し、展開も一気に変わってくる。 前半と後半とで、主人公の雰囲気が全く変わってくるのも観ていて楽しかった。 最後はあっと言わせる展開があり、底知れぬ余韻を残す。 それはあの『無防備都市』をも上回る素晴らしいラストだった。 [ビデオ(字幕)] 8点(2023-06-24 08:26:35) |
23. 知りすぎていた男
《ネタバレ》 序盤、モロッコをお気楽に旅するシーンは、異国情緒に溢れていて楽しかったものの、スパイが殺された辺りから急につまらなくなった。 特に終盤はダラダラと間延びしていて冗長だった。 [インターネット(字幕)] 4点(2023-05-29 22:24:36) |
24. スリ(1959)
《ネタバレ》 ロベール・ブレッソン初期の頃の傑作サスペンス。 素人採用により、妙に迫真とリアリティを持った作品だ。 尺も76分と、ブレッソンらしい短さで、無駄のない作り。 間延びした映画が多い中、ブレッソン作品のこうした短さへのこだわりは特筆に値する。 主人公のミシェルは大学生とのことだが、全然そうは見えない。 単なるオッサンだ。 スリに味をおぼえ、スリという犯罪を正当化し、ドップリはまっていく主人公を描いた作品。 スリのあらゆる手口が次々に紹介され、観ているこちらは口をあんぐり、目を釘付けにさせられる。 ただ、そのうちの何個かの“スリ実演シーン”は、「それは無理っしょ?」という感じのものもあり、少し残念。 「前の女性がハンドバッグを脇に挟むと同時に、後ろから新聞紙を挟みこんで、取り替える」 これはさすがに無理があるっしょ? そういう意味でも、目が釘付けになること間違いナシ。 ヒロインの女性がかなり魅力的。 こちらも素人さんということで、他の作品では観れないのが悔やまれる。 残念だ。 フランス人監督で、一部に熱狂的なファンを持つ、孤高の映像作家ロベール・ブレッソン。 その人気の理由を理解できたような気がした。 ブレッソンならではの独自の映像世界を持っているのが魅力。 イングマール・ベルイマンもそうだけど、内容うんぬんともかく、その創り出す映像世界は超個性的! こういう監督の作品は何本か観てしまうと、他の作品も全部観てみたいという欲求にかられてくる。 ただ、ほとんどDVD化されていないし、頼みの綱のツタヤ新宿店にもあまり在庫が無いのが残念だ。 特に『少女ムシェット』を観たいのだが・・・ [DVD(字幕)] 7点(2023-05-28 08:40:24)(良:1票) |
25. 間違えられた男
《ネタバレ》 濡れ衣を着せられることの恐怖を描いたスリラー。 目撃者の勘違いにより冤罪が簡単に出来上がることの恐怖と理不尽さ。 それが淡々と描かれているのだが、それが淡々とし過ぎていて退屈した。 [インターネット(字幕)] 4点(2023-05-27 12:56:44) |
26. ハリーの災難
《ネタバレ》 なかなかのブラックユーモアだし、話も良く出来ているが、何故だかそこまで楽しめなかった。 1日に何度も埋めては掘り返すって、さすがに現実的でないし。 思うにヒッチコックの映画って醸し出す雰囲気が怖いから楽しめるのであって、本作のように人が一人死んでるのに作品全体の雰囲気がユルいのがイマイチな要因かと。 ブラックユーモアを強調したいがために、敢えてお気楽ムードにしてるのは分かるが、緊迫感がないのはヒッチコック作品としては物足りないかな。 [インターネット(字幕)] 5点(2023-05-21 17:12:46) |
27. 隠し砦の三悪人
《ネタバレ》 三船敏郎と藤田進の長槍対決は迫力があった。 確かにキャラの配置がスター・ウォーズの下地になっているのが分かる。 三船がルーク、お姫様はお姫様、釜足と千秋はロボット。 最後、軍用金は地面に置いて逃げたはずなのに、いつの間に放れ駒に乗っていたのか納得いかず。 [インターネット(邦画)] 6点(2023-05-04 09:52:21) |
28. 泥棒成金
《ネタバレ》 確かに他の方々がおっしゃる様にケイリー・グラントは黒光りしているね! ヒッチコックらしさがまるでない、言い換えればヒッチコックが新境地を開いた作品。 とにかくテクニカラーが綺麗で、他ではあまり見たことのない映像美。 最初から最後まで退屈感がつきまとい、ラストの屋根の上での新旧キャット対決で少しだけ見せ場アリ。 正直、イマイチ感は拭えない内容。 [インターネット(字幕)] 5点(2023-04-26 22:17:50) |
29. お茶漬の味
《ネタバレ》 あそこまで夫婦の倦怠期になっていて、旦那さんのこと急に好きになるかなぁ。 なんか納め方が強引な気がしなくもない。 確かに佐分利信が演じた旦那さんは人が出来ていたけどね。 (P.S.) 津島恵子の二の腕がまぶしいです! [インターネット(邦画)] 5点(2023-03-21 16:45:20) |
30. お早よう
《ネタバレ》 クソガキどもの馬鹿騒ぎとオバさんたちの下らない井戸端会議。 しかもそれがメインみたいに頻繁に出てくるので嫌気がさした。 なかなか愛を語れないイケメン佐田啓二と美脚の久我美子。 この二人のプラトニックな距離感はとても良かった。 この二人の恋愛劇をもっと見たかった。 [インターネット(邦画)] 4点(2023-03-17 08:09:14) |
31. 眼下の敵
《ネタバレ》 お互い動きの読み合いに心理戦。 なかなかの見応えのある戦いだった。 最後は敵を助ける。 実際の戦争もこんなことをしたのかな? [インターネット(字幕)] 6点(2023-02-23 18:50:38) |
32. 拾った女
ラストに拳銃を奪うシーンでも、鮮やかなスリを見せてくれる。 途中までは悪人として扱われていたスリが、実は人情堅い女性思いの人間だったという展開も面白い。 [インターネット(字幕)] 6点(2023-01-03 17:58:13) |
33. わが青春のマリアンヌ
《ネタバレ》 鑑賞後、マリアンヌは結局実在したのかよ!?夢か現かどっちなんだよ!という野暮な疑問に襲われたけど、これはまあ一つの寓話というか、結論なんてあってないようなものでは?というところに、自分の感想は最終的に着地した。 色んな解釈や議論が生まれる作品としてみても、とても幻想的で美しく、そして魅力的な作品ではないかと思う。 まさしくクラシック名画と呼ぶにふさわしい作品だ。 [DVD(字幕)] 7点(2023-01-01 23:41:23) |
34. わらの男
《ネタバレ》 途中までは、「毒にも薬にもならない映画」という感じて観ていたが、都合の良すぎるラストに憤然。 何でもハッピーエンドにすればいいってもんじゃない。 当時はヒットした作品らしいが、その後、語り継がれていない理由が解った気がする。 [ビデオ(字幕)] 3点(2022-11-23 22:23:19) |
35. 明日の太陽(1959)
《ネタバレ》 大島渚が松竹の新人紹介短編を撮った模様。 大島渚らしさは微塵も感じられず、言ってみればただのCM。 ただし本作が、後々の個性豊かな大島作品の起点と考えれば興味深い。 [インターネット(邦画)] 3点(2022-11-23 15:08:11) |
36. ローマ11時
《ネタバレ》 事務所のタイピスト求人に大量の女性が殺到し、そこで揉め事が起きて、古い階段が崩落してしまう。 この事故の責任は誰にあるのか? 結局、誰の責任にすべきかは明示されないまま「FINE」の文字。 実際の事故を元に作られた作品らしい。 こういった事故で誰が責任を負うべきか?そのルール作り、法整備の必要性を世に訴えた作品だったのかもしれない。 [DVD(字幕)] 4点(2022-11-13 16:41:12) |
37. 点と線
《ネタバレ》 頭が悪いので後半の急展開にはまったくもってついていけなかったが、三島雅夫の保身に狂った醜い人物の演技に目を惹かれた。 高峰三枝子は相変わらず幸薄い陰のある女性を演じるのがうまい。 [インターネット(邦画)] 5点(2022-11-13 07:45:46) |
38. 警官と泥棒
《ネタバレ》 前半はドタバタ、後半はしみじみとくる人情劇。 家族を養う男同士で、警官と泥棒とが心を通わせる。 心温まるイタリア映画。 [DVD(字幕)] 6点(2022-11-12 16:08:13) |
39. 薄桜記
《ネタバレ》 歴史に名を残す日本映画だけあって、確かに凄みのある力作。 雪の舞う中、手を繋ぎ合いながら死にゆく二人の画は、間違いなく日本映画史に残るラストシーンに違いない。 古い言葉によるセリフが多く、会話をよく理解できないといった点や、赤穂浪士や忠臣蔵の話に詳しくないとストーリーを十分には理解できないといった点がネック。 あとは古臭い時代劇やチャンバラが苦手な人にも向いていない。 [インターネット(邦画)] 6点(2022-10-30 20:42:07) |
40. 再会(1953)
《ネタバレ》 これって、一人勝ちしたのは菅井一郎じゃないか! 強烈な悪役の三國連太郎ですら久我美子をものにできなかったのだから。 悲劇で終わるのは好みではないけれど、かなりの力作であり大作だと思うので、この点数で。 (追記) 久我美子さんがいまだご存命なのは嬉しい限りです。 [インターネット(邦画)] 7点(2022-10-29 11:48:52) |