Menu
 > レビュワー
 > アンドレ・タカシ さんの口コミ一覧。2ページ目
アンドレ・タカシさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2127
性別 男性
自己紹介 2022/3/26に以下のような自己紹介文をアップしました。
ロシアのウクライナ侵攻が始まってひと月経過。
映画は観ていますが、侵略戦争のせいでレビューする気になれません。
私の映画レビューと戦争は直接関係しませんが、
楽しく文章を考える気分じゃない、ってことですね。
ロシアが撤退するか、プーチンがいなくなったら再開します。


そして、
侵略戦争が膠着状態に入り、
いつ終わるか識者にも判断できない状況になりました。
まぁ正直、痺れを切らしたので、レビューを再開します。
ウクライナ、頑張れ!

2024年3月17日更新

表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(投票数)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
評価順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
4142434445464748495051525354555657585960
6162636465666768697071727374757677787980
81828384858687888990919293949596979899100
101102103104105106107
投稿日付順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
4142434445464748495051525354555657585960
6162636465666768697071727374757677787980
81828384858687888990919293949596979899100
101102103104105106107
変更日付順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
4142434445464748495051525354555657585960
6162636465666768697071727374757677787980
81828384858687888990919293949596979899100
101102103104105106107
>> カレンダー表示
>> 通常表示
21.  ブレードランナー/ファイナル・カット 《ネタバレ》 
ここのレビューを見てブルーレイで初めて映画を観た。「新しい発見があるぞ」。その通りだった。 この映画との付き合いは長い。1982年の劇場公開時は弱っちいハリソン・フォードに不満が残り、さほど評価していなかった。というか、よく解らなかったというのが正直なところ。でも何かが気になる映画で、レンタルやテレビ放送の録画を何度も何度も見返し、その度に新しい発見があり、やがて自分のベストSF映画に登りつめた作品だ。 なので、もういい加減に新しい発見はないだろうと思いつつも「もしや」という誘惑に勝てずにブルーレイを購入したが、これは正解だった。映像が綺麗なことはもちろんだけど、背景世界の細部の作りこみが良く見える。例えば、デッカードとレイチェルが初めて会うシーンのテーブルに盆栽が置かれているなんてこれまで気付いてなかった。細部が見えたからといって作品のテーマが変わることは無いけれど、これまでよりも演出の意図が明確になったシーンがいくつかあった。 余談だが、オリジナル版(最初の劇場公開版)のエンディングの空撮シーンが『シャイニング』のオープニングに似ていると思っていたのだが、なんとキューブリックに頼み込んでフィルムを借りたということが特典ディスクのメーキングから判明!
[ブルーレイ(字幕)] 10点(2008-09-05 03:53:58)(良:1票)
22.  銀河鉄道999
劇場公開されたのは自分が高校2年生の夏。「宇宙戦艦ヤマト」でブレイクした感があった松本零士氏だけど「男おいどん」あたりからのファンの自分にとっては、この「999」が彼のエッセンスを詰め込んだ初めての映画という印象でした。旅に出て、人に出会い、冒険を経て成長する。わずか2時間の枠の中で、その流れが破綻せずに納得できるストーリーに収まっているのは見事でした。アニメーションの背景の美しさに初めて感動した映画でもあった。ラストシーンは美しい弦の調べと共に、野沢雅子の熱演に涙しました。「いま、万感の想いを込めて汽笛が鳴る…」。城達也のナレーションが深い余韻を残します。若者が持つ未知なるものへの漠然とした憧れと、それを希求するエネルギーが実感できる時期に出会ったことで、自分の奥深いところに何かを刻んでいる映画です。大学入学に際し、故郷を離れる新幹線のシートに座った自分は、メガロポリスで999に乗り込んだ星野鉄郎でした。
[映画館(邦画)] 10点(2008-08-05 16:57:20)(良:1票)
23.  ロボコップ(1987)
リメイクをレビューした流れでコチラにも。 この映画は凄かったです。当時「サイバーパンク」なる言葉がもてはやされておりましたが、それを分かりやすく、かつ強烈(に暴力的)なイメージで映像化した作品だったと思います。サイエンスとフィクションとエンターテイメントが高次元でブレンドされた快作でした。かなり興奮して楽しませていただきました。 ってことで、サイバーがパンクになり難い現在から振り返ると、お話の理屈はリメイクがの方がしっかりしていますが、コチラの方が圧倒的にパワフルです。
[映画館(字幕)] 9点(2016-04-10 01:21:34)
24.  テッド 《ネタバレ》 
こんなに面白い作品とは思っていませんでした。大切なことを語っているとも思いました。以下、誇大解釈です。 テッドの存在は童心の象徴。重ねた歳のおかげで純真という訳には行かず、童心の残滓と言っても良い。周囲はそこに訣別して真っ当な大人になれと言う。真っ当な大人とは、自分の立場を自覚し、TPOをわきまえ、社会的責任を果たせる人。まことにその通りだ。でも、本作はそこに待ったを掛ける。 多くの人は歳を重ねる従いどんどんツマラナイ人になって行く。自分のことを含め、私はそう思っている。経験値が累積して物事に動じなくなると同時に、かつては感情が揺さぶられたことにも動じなくなる。滋味が分かる能力への転化とも言えるが、感受性という意味では明らかに「鈍化」だ。本作の主人公は、大人になり切れない代わりに、多くの大人が失った感覚を維持している。そこに視線を向けたい。作中にばら撒かれた過去作品の小ネタは懐古主義では無く、感性を鈍らせない為の楔であり、オタク趣味の純真と捉えたい。大人になることは大事だけど、感じる力を失わないことも大切で、それらは決して択一する必要の無い要件のはず。本作は上品とは言えない笑いの中に、人生を愉しむ方法論を示唆していると思います。 ちなみに、フラッシュゴードンには不案内だけど、藤岡弘に会えるなら床までアクセルを踏んで駆け付けたいです。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2014-02-15 21:29:20)(笑:1票)
25.  マトリックス 《ネタバレ》 
主人公が抱える疑念と苦悩が世界観の謎と絡み合い、重たいストレスが救世主の降臨として解放される。その構成が見事です。仮想現実=マトリックス内の描写に革新的な試みが多く、視覚的興奮が高いテンションを保たせる。最も感心し興奮したのは「救世主」の表現。覚醒したネオには、世界がコードとして視認された。それは、ひとつ高い次元からマトリックスの世界を掌握することを意味する。世界の理(ことわり)や法則を統べるという意味で、私には救世主というより「神」という概念が浮かびました。大きな風呂敷を広げて、ちゃんと畳んで見せてくれる稀有なSF作品だと思います。製作から十数年を経ても古くは感じませんが、あと数年、製作年度が後ろにずれていれば、転送装置は電話線では無かったでしょうね。
[ビデオ(字幕)] 9点(2014-02-06 13:30:57)(良:1票)
26.  スクール・オブ・ロック 《ネタバレ》 
ロックとは「反抗」らしい。その辺、ロッカーで無い私には良く分かりませんが、少なくともこの映画は管理教育に対する反抗なんて狭い料簡のお話ではないです。子供たちがバンド練習を始めるあたりから、俄然盛り上がって行きます。自由に表現することの楽しさがビンビンと伝わって来ます。共同作業が主体性を生み、疾走感を伴なって突破力を獲得する。タイトル通り、立派な教育にもなっている。サイコ―です。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2013-08-16 01:37:40)(良:1票)
27.  風立ちぬ(2013) 《ネタバレ》 
ゼロ戦の設計者・堀越二郎が実名で出ていますが、 「風立ちぬ」の著者・堀辰雄の人生と著作をフュージョンさせたフィクションでした。  宮崎氏が描きたかったのは、飛行機の設計だけに執着した男の話。 道徳的な教訓や反戦的な思索を込めた作品では無い。 だから、時代背景として描出される大正後期から終戦までの出来事 ~関東大震災、失業者が溢れる不況、銀行破綻、特高警察のマークなど~ はあくまで背景として流すだけで、主人公はそこに関わらない。 戦争描写も同様で、物資不足や空襲は描かれない。 思い切った省略が為されている。 「お国のために」という意識が堀越二郎に皆無だったとは思わないが、 そこも外されている 後半、病身の奥さんとの遣り取りが美談風に描かれる。 この辺りが堀辰雄からの引用。 でも、あえて較べるなら、主人公の頭の中は飛行機7、奥さん3くらいに思えた。 これらは意図した演出だろう。 空への憧れ、という一点だけを見つめた男を浮き彫りにするための演出です。  艦上戦闘機の設計に「機関銃さえ無ければ可能な案」が浮かぶ。 兵器を設計しながら、思考は「美しく飛ぶ飛行機」を模索する。 本人の目的と、製造されるモノの目的が合一しない。 最終的にゼロ戦は「機能美」を獲得した機体になった。 彼が夢で見たゼロの編隊飛行はとても美しい。 でも、その夢の中でも「最後はズタズタでした」と語る主人公。 「ズタズタ」とは撃墜や敗戦だけでは無く、「棺桶」として使用されたことも含まれるのだろう。 これらのギャップや矛盾が本作がテーマだったと思う。 時代のうねりの中で、 嗜好だけを貫いた者がどのような感慨を覚えたのかを描きたかったのだと思います。  そして、本作の主人公は宮崎氏にオーバーラップします。 この人ほど「空を飛ぶ機械」への憧れを描き続けた作家はいない。 ファルコ、ギガント、メーヴェ、ガンシップ、オーニソプター、アルバトロス、等々。 デッキブラシなんてのもあったけど(笑)。 長い付き合いの中で多くの飛翔を堪能して来ました。 彼は飛行機の操縦も設計も出来なかったが、描き、動かすことを自己実現の手段とした。 手法こそ違え、本作の主人公そのものではないか。 「空を飛ぶ機械」は美しく描きたいが、アニメになったら大半は戦闘シーン。 流麗に飛ばしたくとも、人殺しのシーンが最もイキイキする。 これも矛盾です。 個人の嗜好と有用性は、矛盾を孕んで進むものなのだと思います。  本作は分かりにくい映画でしょう。 それは、強引な取捨による個人の一側面描写に起因しています。 敢えて禁止用語を使いますが、ヒコーキキチガイを描いた映画でした。 同時に、監督の想いを綴った私小説ならぬ私映画でした。 そこに込められた想いに呼応できないと、ぼやけた見え方になると思います。 彼は「ズタズタ」になったとしても、彼の嗜好でアニメを作り続けたのでしょう。 広告に使われていたフレーズ「生きねば」とは、それしか出来ない者の覚悟だったと解釈します。 私は感動しました。  (2018/12/15更新 初投稿時、文字数制限で割愛していた部分を補足しました)
[映画館(邦画)] 9点(2013-07-24 05:08:58)(良:6票)
28.  アパートの鍵貸します 《ネタバレ》 
初見はテレビ放送で小学校の低学年でした。その年齢でも言わんとしていることが分かり記憶に残りました。「名作」としての評価が定着しているのを知ったのはかなり後のことです。どのシーンにも、どのカットにも無駄が無く、細かい演出の全てがひとつの方向に向かって統合されて行くイメージで、ビリー・ワイルダーの上手さが遺憾なく発揮された逸品という評価です。観る度に「いい映画を観た」という気分になる。本作も「永遠の名作」のひとつだと思います。 少しバクスターのことを考えました。私は出世第一主義が悪いとは思いません。反対に、自宅を出世ツールにして自分の生活を犠牲にする徹底ぶりはただ者ではないと思います。ただ、バクスターの「出世」には目的が伴っていなかった。金持ちになるとか、権力を得るとか、「出世」による具体的な成果をイメージせずに漠然と出世を目指していた節があります。だから「出世」が叶った後の彼は空虚に見えました。それは「出世」より執着できそうなものが視界に入ったことも関係していたと思います。彼が会社を辞めた時点では、フランに対しては片想い状態でした。相愛になれたのは結果論です。だから本作は「出世」と「恋愛」を秤に掛けている訳ではなく、バクスターが人生や生活を律して行ける「何か」を見つけることの重要性に気付いた映画なのだと思います。 最近は、執着するものが見つからないと定職に就かずにフラフラする人が増えているようです。我が身を削って「出世」を目指すような人も極々少数でしょう。さすがに50年前とは世情がずいぶんと変わりました。ビリー・ワイルダーが本作を現代にアレンジしたらどんな内容になったでしょう?
[地上波(吹替)] 9点(2013-05-20 01:30:44)
29.  U・ボート 《ネタバレ》 
ハリウッド制作のヒトラーものは何作かありますが、ドイツ人の視線から二次大戦を振り返っている映画は多くないと思います。少なくとも、私はあまり記憶に有りません。反戦を安易に台詞にするような映画とは違い、映画全体から漂ってくる絶望感に押し潰されるような作品です。暗い、狭い、汚い、男臭い。カメラはほとんど船外には出ず、潜水艦の中を這いずり回る。水圧に潰される恐怖も、駆逐艦に追われる恐怖も、音と船員の表情で演出する。この圧迫感がハンパない。危機を回避するたびに訪れるか細い希望は、次の絶望への序曲に過ぎない。それまでに観たどの戦争映画よりも陰惨で容赦の無い作品でした。 学生時代に「映画は監督で観るもの」という認識を持った初期に「ただ者じゃない」と思わせた監督の一人がこの方でした。そう思わせたのは、まさしく本作の語り口です。徹底的に暗い。爽快感皆無。それを1本の映画として完遂させるには、よほど監督の中に徹底した方向性が無いと出来ない芸当だと思いました。大事なのは「暗い」ことではなく「徹底した方向性」の方です。つまり、演出とはコンセプチュアルなものであるはずだから。本作には、観客に迎合するような表現には断固として安住しない意志を感じます。 でも、その姿勢が最も顕著なのはこのデビュー作でしょう。ハリウッド進出後の作品は、本作ほど際立っていません。この監督をして、そうさせるのがハリウッドのダイナミズムなのかとも思います。
[映画館(字幕)] 9点(2013-02-04 01:00:20)
30.  宇宙人ポール 《ネタバレ》 
「未知との遭遇」のワンシーンにそっくりなオープニングにワクワクし、最後までそのワクワクが途切れなかった作品でした。随所に散りばめられた過去作品、特にSF系の諸作は、その方面が好きな人には堪らなく楽しめるでしょう。目的地がワイオミングなら、きっと「あそこ」へ行くのだろうと思いました。ラストまで姿を見せない女性上司のオチは、断固として〝エイリアン〞を許さないお姉様の登場でした。そのあたりのツボを外さないファン心理の捕まえ方に感心し、感謝します。 テーマは得体の知れない者との相互理解と友情。ポールは60年も地球で過ごして来たから、初めて自分を見た者がどんな反応を示すのかを良く心得ている。そこからスタートさせるコミュニケーションの描写がとても上手い。良く練られたシナリオです。彼は紳士って柄じゃないけど、人格者である。得体が知れないのは外見だけで、取っ付き易いのがこの宇宙人の特徴です。「偏見」や「先入観」に対する教訓も含まれていると思います。 本作で特筆したいのは、ともすれば高尚でお上品になりかねないテーマをB級臭の漂うテイストの中にまとめたことだと思います。かつて「E.T.」に涙した経験のある者として、同じ内容を気楽に笑いながら観れたことが嬉しかったです。ホビーショップで人形のように固まったポールのこめかみに流れる汗に、いちばん笑いました。 「未知との遭遇」と「E.T.」が作られてすでに30年ですが、自分の中では古くならない映画です。その2作を合わせて、現代の技術とセンスでリメイクした作品だと思います。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2013-01-09 03:59:15)(良:4票)
31.  王立宇宙軍 オネアミスの翼 《ネタバレ》 
何度も観ている作品です。「ライトスタッフ」をモチーフとした青春アニメ。1950年代の技術水準をベースに、架空国家の有人ロケット計画が描かれる。 単純な切っ掛けから盛り上がった主人公のモチベーションが原動力となり、国家間情勢の大きなうねりを縫ってプロジェクトを成功へ導く。でも、主人公はヒーローでは無い。進行する大事業に揉まれる中で、若者らしく戸惑い、疑問を覚え、異性に欲情もする。テーマはあくまで主人公の成長にある。 とは言え、ラストのロケット打ち上げシーンは、作画力でクライマックスを演出する。上昇して行くロケットに見惚れてしまう。棒状のコインとか、縦にスクロールする新聞とか、端々に窺われる文化習慣の小味アレンジも上手いと思う。日本のアニメ技術はこの時点でひとつのピークを迎えていたのだと思わせる。 アポロ11号のアームストロング船長は、個人的な1歩と月面着陸の意義を対比させた。本作の主人公は人類が初めて飛行した衛星軌道上から、プロジェクトの意義ではなく、自身の想いを語る。大掛かりなプロジェクトを個人の内的な世界観の変化に帰結させるあたりが、60年代・70年代の青春映画を引きずっているような趣きです。それはおそらく制作者たちのルーツであり、私が本作を好きな理由なんだと思うこの頃です。
[ビデオ(邦画)] 9点(2013-01-05 03:47:14)(良:1票)
32.  明日に向って撃て! 《ネタバレ》 
学生時代、映画をカントクで観る視点を覚えて最初に意識した人の一人がジョージ・ロイ・ヒルさんでした。基本的な演出力に加えて、笑わせ方が極上です。みんな真剣にやっているんですが、そこから笑いをすくい取ります。サンダンスの「泳げないんだ!」がその典型です。何度も観てますが、そのシーンが来るとワクワクします。この味を出せる監督は少ないと思います。反対に、何度も観てるから後半はツラさもひとしおです。ハッピーエンドでは終わらないと云う意味でアメリカン・ニューシネマの代表作に数えられる本作ですが、彼らの生き様は否定したくない。「明日に向って撃て!」がその気分を力強く代弁してくれます。この邦題も極上ですね。
[映画館(字幕)] 9点(2012-12-24 02:38:20)(良:1票)
33.  長靴をはいた猫(1969)
初めて劇場で観た映画がこれです。製作年度を辿ると小学生になる前後。春休みだったか夏休みだったか、叔母に連れられ、いとこ5人と一緒に観ました。そして、劇場から出た後はみんなで「♪びっくりしッたッニャー!」と主題歌を合唱していた記憶があります。 その頃、映画に「感動する」ような受容の仕方はまだ覚えていなかったのですが、ピエールがクライマックスで「朝日よ!」と叫ぶシーンにはとてもドキドキして、日常に見ている「テレビマンガ」とは違う質のものであることを直感していたと思います。 久しぶりの再見で質の高さを再確認しました。作品全体を包み込むユーモアの中に、誠実・信頼・愛情・勇気といったエッセンスがシンプルに詰め込まれた名作だと思います。 ラストの追いかけっこの作画は宮崎駿氏が担当されていますが、その後の氏の作品で核となるものがすでに完成に近いカタチで絵になっています。
[映画館(邦画)] 9点(2012-12-10 01:33:43)(良:1票)
34.  少年時代(1990) 《ネタバレ》 
少年時代とは、記憶である。殊更に、友人との記憶である。本作はそんなお話だと思います。 東京から富山へ疎開した主人公は、腕力以外の部分で彼にしか無いものを持っていた。そのために、学校での覇権争いで重要なポジションを占めることになる。学校のボスは絶対王政を布く優等生。異物に対するイジメでも先陣を切り、主人公も洗礼を受ける。でも、彼の王国を離れた二人だけのコミュニケーションでは、豊かな悟性と感性で主人公を包み込む。このボスの個性は厳めしさと優しさの二面性。王様であるための厳めしさと心を許す数少ない友人への優しさです。 ボスの二面性に戸惑う主人公。そして、感覚的に彼の事情を理解しながらも、イジメられたことに対する反発が裏切りに繋がって行く。高い理解力と感情の狭間で、主人公にも二面性が窺える。 そんな二面性の絡み合いを、本作はあるがままに切り取る。無意識下の強い繋がりと、結論など無いような曖昧さ。後に少年時代として回想すれば、成長してからは味わえない情感がそこにある。楽しいことだけでは無く、ネガな部分もたくさんある。本作はそんな悲喜をひっくるめて、少年時代を表現した秀作だと思います。 20年越しの再見でしたが、受けた印象は変わらず。自分の少年時代も不変のようです。
[CS・衛星(邦画)] 9点(2012-11-18 15:24:06)(良:1票)
35.  おおかみこどもの雨と雪 《ネタバレ》 
多くのシーンからたくさんのことを感じました。とてもいいものを観させてもらいました。 「手のかかる子供を育てる母」と「自己の人生を選択する子供」の物語です。ありふれた母子のお話と言っても良い内容です。子供たちに狼の血が入っていることを除けば。瞬時に人と狼の姿を入れ替える雪の無邪気さは「幼児」の可愛さの象徴でしょう。壮絶な姉弟ゲンカは四つ足で取っ組み合うこと以外は、オロオロする母親を含めて人の姉弟の日常の一端だと思います。身近に見覚えのある情景だから、特異な設定でも感情を移入しやすい。ファンタジーという分野の容量を活かして、人の日常生活の機微を最大化して豊かな情感のなかにまとめた秀作という意見です。 自我の芽生えと共に、人間社会へ馴染む道を選ぶ雪と自然へ帰って行く雨。幼い頃のそれぞれのベクトルを転換させることを「成長」と捉え、正反対の道を進む両者を個々の人生として肯定しています。このスタンスがとても好感です。特に母と息子の関係が見どころだったと思います。自分の守備範囲を超えた世界へ行こうとする息子を引き留めたい。でも、彼女は最初から人間と狼の両方の選択肢を与えながら育てていました。母の感情と理性の葛藤が分かり易く描かれる。たとえ住む世界が違っても、親子であることに変わりはありません。「絆」という言葉が頻繁に聞かれる昨今ですが、別れることによって強調される関係こそが「絆」なのかな、と思いました。 もうひとつ。父親の亡骸をゴミ回収車に投げ込むシーンは強烈でした。残酷な描写ですが、あくまで現実の社会システムの中で進行するストーリーであることを植え付ける意味があったと思います。この辺りに、監督の才覚を感じます。 
[映画館(邦画)] 9点(2012-07-28 01:27:54)(良:6票)
36.  切腹 《ネタバレ》 
噂に違わぬ名作だと思いました。武士の所作として最も尊ばれるべき切腹。それを真ん中に置いて展開する武家社会の「体質」の話だったと思います。 どんな事情があろうとも押しかけてきて「ここで死なせろ」と云うのは、言われた方には大迷惑なお話です。序盤は井伊家側に同情しました。仲代達也が語る実情を聞いても、それは浪人を増やす幕政の問題で、井伊家の責任では無いと思いました。なのでラストの大立ち回りは必要なのかとも思いました。そこまでの口上に照らすと潔くない。でも、その斬り合いで出た死傷者に対する家老の態度でテーマがハッキリしました。 自分たちの対応から生じた不都合を手際よく「隠蔽」する。不都合が生じた原因は、大きな組織体が持つ「傲り」や「慢心」です。幕府に露見すれば譜代筆頭である井伊家も処分を免れないと云う事情があるのでしょう。ならば、そうなる事を事前に察知し、回避するのが大藩の知恵ではないかと思います。たぶん、井伊家の人達が個人で対応していれば、あんなことにはならなかったような気がします。大きな組織に帰属することによって、自分が偉くなったと感じる錯覚。それが組織体を蝕む根本かな、とも思いました。 仲代達也の堂に入った演技には見応えがありました。この時、彼はまだ30歳。その若さで爺さん役まで演じている訳ですが、まったく違和感がない。眼差しだけで弱々しい表情から毅然と力強い顔つきまでを演じ分ける。モノクロ画像のシャープな陰影が見事にそれを切り取っていました。 余談ですが、事実を隠すことによって事を荒立てない作法は「嘘も方便」という言葉があるように全否定はしません。何を守るために嘘を付くのかが焦点だと思います。大きな社会的責任を負った組織が隠蔽した事実が明るみに出ると反動は大きい。それを、記者会見で頭を下げる「行事」で落着にする習慣は新たな悪しき体質と思えるこの頃です。
[CS・衛星(邦画)] 9点(2012-07-21 14:34:38)
37.  ダイ・ハード 《ネタバレ》 
これは、やっぱり面白い。アクション系の映画こそ、緻密な脚本が大事であることを如実に分からせてくれる作品です。各シーンごとに、メインキャラの行動に納得できる動機があり、それぞれを衝突させることで高いテンションを保ち、それがエンディングまで持続します。組織的で統制が取れていて、そしてどこか気取った似非テロリストと泥臭い刑事の対比、人質の命を軽視するFBIがヘリごと炎上・墜落する因果、リムジン・ドライバーの活躍、パウエルのトラウマ解消、ニュース局のキャスターをグーで殴るネタの回収など。それらの映画的な快感を充分に担保しながら、突っ込みどころを覚えないストーリーが凄い。最高です。ハンスやカールの描写もしっかりしていて、存在感のある敵役の有無が「2」以降との違いかもしれません。
[映画館(字幕)] 9点(2012-05-16 20:30:09)(良:2票)
38.  眼下の敵 《ネタバレ》 
初見は学生時代だったけど痺れましたね。「潜水艦映画に駄作無し」という格言はこの作品から始まっているのでしょう。プロフェッショナル同士のガチンコです。タイプは違えど、それぞれの能力や人格が丁寧に演出される。そのプロらしさに映画的な説得力を与えているところが本作の魅力です。クルト・ユルゲンスの、なにかをグッと堪える面構えが作品を引き締めています。対するロバート・ミッチャムの米国人らしい呆けた面構えも嵌ってます。でも、やっぱりこの作品の品格を高めているのはラストの命を大切にする遣り取りだった思います。戦争は無いに越したことはありません。でも、起こってしまったら「命の奪い合い」では無く「兵器の壊し合い」であって欲しいものです。
[地上波(吹替)] 9点(2012-04-09 23:12:00)(良:1票)
39.  カッコーの巣の上で
これは若いときに観て魂を揺さぶられた一本です。冷静に検証するなら、偶然と蓋然を上手くミックスさせてマクマーフィを危険な精神異常者という立場へ追い込んで行く展開が上手です。彼が他の患者と違っていたのは、主体的に物事を進める態度です。上手く機能すれば最も称賛される能力であり、美徳とも言える。でも、あの種の病院では評価されないどころか、疎んじられて蓋をされる。それが悔しく映ります。最悪の相性が看護師長のおばちゃん。自分が敷いたルールしか認めない偏狭と、それが患者たちの為と信じる傲慢な正義感を持っている。ビリーの自殺は彼女の方針の結果。憎ったらしい。あれがオスカー級の憎らしさです。あのおばちゃんは私の近くにも何人か被る人がいるからか、彼女の首を絞める「ジャック・ニコルソン」を応援してしまった。私が危険人物ですね。おばちゃんはマニュアル的には何も間違っていないんだと思う。だから、ビリーの自殺にも、マクマーフィの処置にも、泰然としていられる。例えば病院関係者が本作を観たら、おばちゃんに共感するんだろうか…? はっきり言って、この作品における自由意思は敗北しています。でも、マクマーフィの遺志を継いだチーフが豊かな自然へ走り去るラストカットは、問題意識を残しつつ鑑賞者を慰める上手い締め方でした。精神病理の治療に関する知識が無いので、ロボトミー手術の信憑性に疑問符を付けてしまう。やや強引かな、と。そこが1点のマイナスです。
[映画館(字幕)] 9点(2012-01-14 22:42:06)
40.  JAWS/ジョーズ 《ネタバレ》 
久しぶりに鑑賞。やっぱりスピルバーグは上手い人だなぁ、というのが素直な感想。例えば海中から初めて頭部を現したホオジロザメの巨体を目の当たりにしたロイ・シャイダーが後ずさりしながら「(この船では)小さすぎる」とつぶやくシーンや、反目していたリチャード・ドレイファスとロバート・ショウが樽を3つ打ち込まれたまま潜水するホオジロザメに「信じられない」と口を揃えるシーン。ストーリーの展開に併せて、強調すべきことを印象付ける手法が上手い。だから「ヒト対サメ」という単純構造が説得力を持った大捕り物に変身する。単純なものに変化を付けて面白く見せるという意味では「激突!」もこの類いだ。サメ退治に赴く3人の個性も見事に描き分ける。とりわけ、ロバート・ショウの変人ぶりは輝いている。注目を集めるために黒板を爪で引っ掻く奴(笑)。若くして亡くなったこの名優は「ロシアより愛をこめて」「スティング」、そして本作の3作品で私の映画史に強く刻まれています。
[地上波(吹替)] 9点(2012-01-02 15:55:01)(良:1票)
0170.80%
1462.16%
21316.16%
32069.69%
432315.19%
548322.71%
636917.35%
728213.26%
81758.23%
9733.43%
10221.03%

全部

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS