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すかあふえいすさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1047
性別 男性
年齢 30歳
自己紹介 とにかくアクションものが一番

感想はその時の気分で一行~何十行もダラダラと書いてしまいます

備忘録としての利用なのでどんなに嫌いな作品でも8点以下にはしません
10点…大傑作・特に好き
9点…好き・傑作
8点…あまり好きじゃないものの言いたいことがあるので書く

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【製作年 : 1980年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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21.  E.T. 《ネタバレ》 
この映画の宇宙人=ETは侵略者ではなく道に迷った旅人で、むしろ彼を捕まえ調査しようとする人間たちを見えざる恐怖として描くところからはじまる。闇夜にうごめく人間の不気味な影、影、影。この頃のスピルバーグは本当に良いなあ。 独り残されたETは安住の場所を求めてさまよう。 ETは最初怖がられるが、徐々にその愛嬌やしぐさで人間たちと打ち解けていく。 キモい→可愛いの典型っす。上目遣いのETが凄い可愛い。でも首をニュッとやるのはちょっと勘弁。ろくろ首かよ。亀みたいに首をすぼめた感じが一番落ち着く。 ピザがもったいねーと思ったらアレはETが食べたのだろうか? とりあえずETを庇うエリオットはモチロン、兄貴と妹が良い奴すぎて泣ける。 妹は正直でよろしい。 「B!GOOD!(そうよ“B”よ!偉いわ)」が→「Be good(良い子でね)」になるのが良い。  ETとエリオットは文字通り体も心も一つになって交流を続ける。 そんなETも次第に故郷へのホームシックに・・・。 エリオットたちはETを故郷に返すべく作戦実行。ハロウィンにコスプレではしゃぐ母親を尻目に子供たちは奮闘。ヨーダも応援?に参加。 ETの不思議な能力で起こる現象は夢があって楽しい。特に月夜を背景に自転車で宙に浮くシーン!キレいだなぁ。普通ならあのシーンで涙々の別れ、ところがここからもう一波乱あるからこの映画は面白い。 最初は影だけで不気味な存在だった調査団だが・・・正体は怪しい機関どころからだの良い医者の集団だった。まったく憎い奴らだぜ。 ETは世話になった友人を助けるべく一人でいったん“旅立つ”。せめてもの恩返しなのだろう。 総てを呑み込んでエリオットに優しい言葉をかける母親もマジで良いかーちゃんだ。良い人ばっかだよこの映画は。 そこから生命を象徴する“花”の演出が最高! 熱してダメなら冷やしてみな。 雨は降らないが、みんなの涙で見事な虹の出来上がり。 「転送ビーム」って「スタートレック」? バイクVSバイク(自転車)のカーチェイスが地味に楽しい。 とにかくやりたい事をやりたいだけ詰め込んだ、夢のある最高の映画だったよ。
[DVD(字幕)] 9点(2015-04-22 09:32:14)
22.  遊星からの物体X 《ネタバレ》 
クリスチャン・ナイビー&ハワード・ホークスによる「遊星よりの物体x」の神リメイク。 ジョン・カーペンターはホークスの傑作「リオ・ブラボー」にオマージュを捧げた「要塞警察」という傑作を撮っているし、本作もホークスへの尊敬の念を強く感じられる見事な傑作である。 ファーストシーンの謎の円盤からはじまり、物語は南極という陸の密室で展開される。 VHSのデッキか・・・オレもガキの頃はギリギリビデオだったっけか。 謎のヘリ、それから逃げるように走る謎の犬。 「本物の犬では無い(セット的な意味で)」 それにしたってどんだけ射撃下手なんだよ・・・テメえらのせいでコッチの基地にも飛び火だぜ。 音信途絶、オマケに言葉が通じない事の不幸。不幸が重なり、またも悲劇は起きてしまう。 「ゴジラ」といい「キングコング」といい、好奇心は解るけど人が死んでいるという事をもう少し考慮して欲しいもんだ。 「エイリアン」と似たプロセスだが、リメイク元の方がずっとご先祖だし、本作と「エイリアン」は徹底的に違う。 「エイリアン」は他の惑星という、別の宇宙船が助けにくる望みが絶望的にない。 今作は地峡上なので助けがくる望みがある反面、感染が拡大してしまえば地球上にまで拡まってしまう。物体Xは人体に入り込んで“同化”するという。 「既に仲間の一人が同化しているのでは?」 クルー全員が疑心暗鬼だ。緊張感が尋常ではない。 嵐の前の静けさ・・・そして次々と巻き起こる物体Xの恐怖。 犬好きが見たら発狂しそうな場面、 ある者は本当に狂い、 1人、また1人散っていく仲間たち。 物体Xの造詣がスゲーリアルで吐きそう。(褒めてる) ドクターの判断は正しかったのか間違っていたのか。 “検査”のシーンは心臓バクバクだったよ。解っていてもこの恐怖、この面白さ。 どうせ死ぬなら道連れにしてやらあっ!吹っ飛べクソ野郎があっ!! 南極の空にあがる巨大な爆煙、それで助けが来るか来ないのか。あとは神のみぞ知るところ・・・。 カーペンターの良心は、この場に女性を巻き込まなかった紳士的なところにあるのかもな。(何じゃそりゃ)
[DVD(字幕)] 9点(2015-04-22 09:29:18)(良:1票)
23.  さよなら子供たち 《ネタバレ》 
ルイ・マルの自伝的要素がこもった傑作。 この映画は、銃弾を1発も撃つことなく戦争の悲劇を伝える。 電車、駅、別れの挨拶を交わす母と子。クリスマス休暇を終えて寄宿学校に戻っていく子供の姿から、この映画は始まる。 学校では、人々の合唱が校内を包む。 寝静まる前のベッド、子供たちは新しい生徒への“挨拶”も忘れない。 窓の外で睨みを効かす軍人が、戦争を静かに物語る。 竹馬での遊び、空襲警報が続く中も防空壕で勉強を続ける熱心な教師。爆撃音が遠くで響く様子が怖い。 ピアノのレッスンでは、美しい女性が優しく教えてくれる。 空襲が続こうとも、ピアノの音色は度々響き渡る。 時々出入りする若い軍人たちもまた、寄宿生と年齢が少ししか違わない“子供”たちでもあるのだ。 森の中でのおにごっこは、まるで戦場を行くように描写される。今軍人として殺しあっている兵士もまた、彼らの様に遊びまわる子供時代があっただろう。 フランソワ・トリュフォーの「あこがれ」でも、そんな事をふと思ってしまうシーンがあった。 おにごっこの果て、洞窟の中に隠された探し物。 不安定な足場、徐々に暗くなる空の色が不安を煽る。 仲間と再会し一安心したのも束の間、薄暗い森の中には猪以上の獣も潜んでいるだろう。 そんな獣のように眼光を光らせる軍人に助けられるシーンは面白い。 食事の席で軍人たちが交わすやり取りが怖い。戦争はまだ終わらない。 劇中で流される「チャップリンの移民」でゲラゲラ笑う子供たち。俺もついツラれて笑ってしまう。 ピアノのカップルも口付けを交わす。 少年たちは戦争もなんのそので友情を深めていたが、その平和な日々は突然終わりを迎えてしまう。 ユダヤ人というだけで“別れ”なければならない悲しさ。 神父たちが「さよなら子供たち」と言い、壁の向こうに消えていくシーンが忘れられない。
[DVD(字幕)] 9点(2015-04-22 09:22:52)
24.  炎628 《ネタバレ》 
冒頭の老人と子供の会話からして、既に何かに憑りつかれたかのような異様な緊張が画面を支配する。 古戦場で土に埋まったドイツ兵の武器を掘り出す子供たち。それを見守るかのように空を飛ぶ不気味な偵察機。重低音とエンジン音が重なり恐怖を煽る。 水を飲む音、シャッターを切る音、不協和音が混ざるラジオ、愉しげな人々の合唱、泣き声、笑い声、突如襲い掛かる空爆や銃撃音、天空で開く落下傘の音、地雷、蝿の羽音、雨の中のダンス・・・何もかも不気味に響く。 人々や動物の表情も怖い。牛が撃たれて死に絶えるまでの眼! ナチスたちも中々姿を見せない。落下傘や林の奥を不気味に行進する様子が一瞬映り、しばらくは音のみでその存在を誇示し続ける。それが霧が晴れるようにワラワラと姿を現し、雷鳴のような声で人々を嘲笑い村人を殺しまくる。人々は狂ったように阿鼻叫喚に叫び、物語は異常なテンションでサスペンスフルに展開される。 虐殺を敢行する彼らにとって、不慣れな道で“うっかり”踏んでしまった卵と一緒かそれ以下の存在。飯を食い呼吸をするように人を殺すのだから。 皮膚の焼けただれた老人や一瞬映る積み上げられた死体なぞ序の口。女を集団で犯し尽くすなんてまだまだまだまだ。 村人を小屋に押し込めて・・・オーバーキルなんてもんじゃねえ。敵同士で同じように祭りを楽しみ、同じように記念写真を撮る。あれに背筋がゾッとしない人間がいるのか? それを焼き付けやがった奴らをどうして擁護しなければならない? 貴様ら赤ん坊まで殺したではないか。自分も同じ目に遭ってもかまわんと思えなかったんだろうがよ。そんな奴らが今更命乞いなんかしてんじゃねえ。くたばれ。惨めに死んじまえ。てめえらなんぞ火葬する価値も無え、泥の中で死にやがれと、憎悪を吹き払うには憎悪しかなかった。そうやって己を駆り立てなければ自分を保てなかった。 じゃなきゃ家族の死を受け入れられず泥の中に体を埋めて死んでしまいたくだってなる。それこそ絶叫をあげ続けながら。 撃ち捨てられたヒトラーの顔面に鉛弾を撃ちこみまくる瞬間の強烈なモンタージュ! どんどん時間は遡り、独裁者も無垢な赤子に戻る。スターリンですら無垢な赤ん坊でしかなかった。それが成長してああなった。そりゃ種族根絶やしとかも考えたくなるわ。 松明を持った男の選択が、彼らと“同じ”になる事を否定するせめてもの選択だったのだろう。
[DVD(字幕)] 9点(2015-03-12 00:00:17)(良:1票)
25.  シャイニング(1980) 《ネタバレ》 
この映画はホラーというよりは人間の潜在的な暴力性が時限爆弾のように炸裂する犯罪映画の一つ。 美しい空撮の冒頭、映像の美しさとベルリオーズの「幻想交響曲(断頭台への行進)」の重苦しい戦慄のギャップ。これから起こる惨劇を予期しているかのように鳴り響く。 血が濁流となって噴出すエレベーター、時折現れる双子の姉妹。断片的に流れる映像によって過去の惨劇が少しずつ語られる。 子供はおもちゃの車を突き動かしてホテルを駆け回る。その移動撮影の優美さは何なのだろう。 とにかくありとあらゆるものが緊張を異様に高める。日曜日が月曜日に変わるだけで恐怖。 ホテルの閉鎖的空間。先住民族の墓地に建てられたホテル、霊感のある子供とホテルの料理人、過去の惨劇。何百年と蓄積された残留思念。今まで良き父親であろうとした人間の抑圧された本性。 「私は大丈夫」と言っている人間ほど二の舞になりやすい。アル中から回復しかけでこんな仕事だ。 「どんな仕事でも良いから家族を養わなければならず仕事を選べない」という建前が余計に父親を苦しめる。冬にしては吐く息が白くならないのも気になる。この冬という空間すら彼らが見ている幻想だというのか。 仕事が進まない苛立ちでボールをブン投げて笑う狂気の姿、迷路で戯れる親子の姿を上から映す父親の視点。 妻と子供にはたっぷりある時間でも、仕事が進展しない父親にとっては余裕が無いのだろう。 父親は次第にバーにいる筈もない人々(幻想)や前の管理人と語り始める。そりゃあ美女かと思った瞬間にBBAに切り替わったら誰だって叫びたくなるわ。 前の管理人は狂いはじめた父親に「矯正」の話をする。それを聞いて「仕事」だと語りはじめる父親が恐ろしい。 ポパイのオリーブみたいな奥さん。髪を結んだ奥さんがちょっと可愛い。でも実は父親よりも奥さんの方が狂ってたりすんだぜ? 夫の潜在的な暴力に恐怖を感じはじめ、たまに大丈夫そうな父親との対比が強烈。どっちも狂ってる。奥さんですら無人の筈のホテルの住人を見始めるのだから。父の次は奥さんが子供を・・・何て事も考えてしまう。 迷路における追走劇。距離がハッキリしないのが良い。まだ大丈夫?それともすぐソバまで来てる?というこの“ハッキリ”しない混乱こそこの映画のミソ。謎が残るからこそ面白い。まるで猛吹雪の中で道に迷って死ぬようにも見える。
[DVD(字幕)] 9点(2015-03-03 06:32:42)
26.  スター・ウォーズ/ジェダイの復讐 《ネタバレ》 
アナキンとダースベイダーの憎しみを超えた親子の絆に注目。 冒頭のジャバ相手の“大立ち回り”と脱出劇、不死身のボバ・フェットも少ない出番ながら印象に残る、イウォークたちとの敵意を超えた理解と共闘、エンドアの戦いのソロ無双が楽しすぎてマジでドアボンバー、ランドたちと帝国軍の戦闘開始イイィッ、ルークvsベイダー&シスのラストバトルの三重奏が最高すぎる。 とにかく二重、三重に交錯するそれぞれの死闘の決着が熱い。  ルークとソロのレイアをめぐるやり取りもグッとくる。兄妹以前に、恋愛感情を持っていた女性を戦友に“託す”シーンの会話。愛しているからこそ一歩引く。  ジェダイとして、一人の人間としての戦いを終えたルークとジェダイたちの魂は永遠に輝き続ける。ヨーダがルークに魂を託して生き続けるように、ベイダー・・・いやアナキンもまたルークの魂と共に生きつづける。  でも俺が感動したのは劇場オリジナル版なんだ。特別版じゃなくてな。見るなら絶対オリジナル。
[DVD(字幕)] 9点(2015-03-03 05:18:39)
27.  スター・ウォーズ/帝国の逆襲 《ネタバレ》 
ルークとアナキンの衝撃的な真実が明らかとなった「帝国の逆襲」。  一番燃える&悲しいのは「ジェダイの復讐」、シリーズ最高傑作は間違いなくこれでしょう。  一人の戦士としてようやく自立したルークに待ち受ける数々の試練。  ジェダイの生き残りヨーダの想い、 ソロとレイアの心の交流、 そして帝国軍とレジスタンスたちの死闘の数々!  「リオ・ブラボー」など数々の傑作のシナリオを手掛けたリイ・ブラケット&製作ローレンス・カスダンが良い仕事しています。  ハン・ソロはあんま目だった活躍しないのにこの存在感とカッコ良さ。 レイアとの別れのシーンはただただカッコ良いです。  スノーウォーカーの技術は未だにビックリだ。  「NO-!」  全ての歯車が動き始めた鮮烈な2作目。
[DVD(字幕)] 9点(2015-03-03 05:12:32)
28.  プレデター 《ネタバレ》 
ジョン・マクティアナンのSFアクション。 「ターミネーター」シリーズ以外イマイチなシュワちゃんだが(ネタとしては当たりだらけ)、この「プレデター」だけはネタ抜きでガチに傑作。 差し詰め「ランボー」でスタローンが地元警察にたった独りで挑むような内容(全然違います)。  シュワちゃん率いる特殊部隊vsプレデター。 この作品だけでなく「コマンドー」までネタにされるのは絶対バル・ベリデ(「コマンドー」にも出た架空国家)とビル・デューク(「コマンドー」で共演)と製作のジョエル・シルバー(「コマンドー」の製作に参加)のせいです。 とりあえずプレデターのデザインにアイデア出してくれたジェームズ・キャメロンよありがとう。この頃のアンタは最高に冴えてる。  筋肉モリモリマッチョマンの変態共がひしめく地球にたった一人で乗り込むプレデター。武器を持たない奴は殺らないこだわりを持った紳士。 でももしも仲間で来て、同胞を地球人が殺していたらプレデターも容赦なかったかも。仲間の仇はたとえ武器を持っていなかろうが許さねえし許すわけねえだろうが的な。クリント・イーストウツドの「許されざる者」がそうであったように。  特殊部隊がゲリラと“潰し合う”様を高見の見物で見てたであろうプレデター。ハンターは疲弊し“油断”する瞬間を待つだけでいい。  見えざる恐怖となって人間たちに襲い掛かるプレデター。いつ何処から出てくるか解らない恐怖、知恵を絞り銃をぶっ放しナイフで奮戦しようが成す術もなく散っていく仲間たち。 シュワも任務をまっとうする為、何より仲間のためにも死んでも死ねるか、一矢報いてやらあと泥をすすっても走って走り、あがいてあがき、チャンスを待って待って反撃開始! 後の「プレデターズ」ではヤクザが日本刀で挑む。アンタらどんだけ日本刀好きなんだよっ! 雄叫びは“見逃して”しまった相手への礼代わり。壮絶な一騎打ちの末に訪れる衝撃的な決着・・・こりゃ笑うしかねえわな。シュワちゃんなら放射能も大丈夫だろう。多分。きっと。
[DVD(吹替)] 9点(2015-03-03 04:18:26)
29.  天空の城ラピュタ 《ネタバレ》 
もう何回見たか解らない。 「未来少年コナン」や「名探偵ホームズ」を思い出すこれぞ冒険活劇、ジブリの最高傑作。 とにかく走って撃って走って殴り合う豪快な、超楽しい映画っす。 冒頭からアクセル全開でぶっ飛ばすワクワクするようなファースト・シーン。 雲、雲、雲、を切り裂き現れる巨大な飛行船、それに襲い掛かるドーラ一味との戦闘! ハワード・ホークスの航空映画を髣髴とさせる唸るような空戦描写、銃の駆け引き。 不適な笑みでバズーカを振り回すばあちゃんとか最高すぎる。冒頭から人やものが落ちて落ちて落ちまくる。 その後のオープニングアニメーションで語られる都市はかつてのラピュタだろうか。男がシータに変わり“過去”から現代に戻る。 天から少女が落ちてくる様子・・・それだけの場面をあんなに神秘的でロマンチックに描けるものだろうか。あれでシータを落とさないパズーはマジで男の子。さり気無くそっと上着をかけたり、二度と家に戻れない覚悟を“鳩”に伝えるカッコ良さ。 三つ巴で交錯する列車のチェイス、レールをブッ壊しながら追いかける。スカートをまるでコートのように投げ捨てるドーラのカッコ良さは異常。あんなボロボロの歯で滑らかに喋るし美味そうに飯を食うし一体ドーラの歯はどうなっているのか。 蒸気は直接喰らうと大火傷するぜ。「白熱」とか「北国の帝王」とかさ。 そんなドーラたちが利害の一致とはいえパズーたちを助けてくれるとか胸熱すぎる。 ロボットに「生きています」とか言ってしまうほどロボが動き出す恐怖、爆炎に包まれた城からシータを助け出すシーンが最高! ムスカとの駆け引きも面白い。 ムスカ「3分間待ってやる(ちょ、弾切れだからタンマ)」
[地上波(邦画)] 10点(2015-02-24 23:04:27)(良:1票)
30.  となりのトトロ 《ネタバレ》 
田舎の原風景がアニメの中に生きる「トトロ」。 宮崎駿の数ある傑作の中で、「トトロ」はもっとものびのびと、もっとも自然豊かな映画ではないだろうか。 説教臭い部分もほとんど無いし、とにかく広い大地を走り、飛び回るような解放感がある。 そこに日本家屋の居心地の良さ、夏のほどよい暑さ、水の冷たさ・・・そういう無機質なCGでは味わえないぬくもりが映像の中に溢れているんだよなあ。劇中に流れるノスタルジックな音楽と共に。 「さんぽ」の音楽と共にメイたちの行進が始まるオープニング。 劇中のメイたちはオープニングから歩いて走って叫んで飛びまくる。 メイと小さなトトロたちの追いかけっこ、惚れた女に傘を黙って渡し去っていく男気、夜空に傘で舞う巨躯、母のために泣き叫びそれに応えるトトロと猫バスの爆走振り。 のどかな田舎に引っ越してきたサツキたち、サツキたちを案内する清太との出会い。清太はこの時、既にサツキに恋に似た感情を抱いていたのだろうか。 普通ボロ家だと苦い顔をする人もいるだろうけど、サツキたちは「これから自分達の家にするんだー」とワクワクした表情で家の探検にでる。大声は威嚇、恐怖を薄れさせるための自分への鼓舞。 ボロボロの柱も、二人にとっては自分達を迎えてくれる遊び相手になってしまう。 まっくろくろすけは群れをなしてサツキたちに住処を“譲って”行く。 だって「出ないと目玉をほじくるぞー♪」なんて言われたら逃げたくもなるわww 手足の“すすわたり”は子供にも大人にも「夢だけど、夢じゃない」。 雨の中バスを待つシーンはちょっとホラー。 眠りそうになるメイをおぶり、サツキは独りきりで父を待つ。そんな時にいきなり巨大な爪を持った怪物が横に現れるのだ。その怪物が数分の傘のお礼に雨を「どしんっ」と止めてくれたりサツキを助けてくれるのだから素敵じゃないですか。傘を開く瞬間にビクッとなるトトロが可愛い。 “めい”目掛けて電線や田園を風のように駆け抜ける猫バスの疾走感!愛情のこもった「ばか」の一言、直接母親に会う“楽しみ”を待つ事にするサツキとメイの成長もちょっぴり描かれる・・・夏にもう一度“不思議な出会い”をしたくなる映画です。
[DVD(字幕)] 9点(2015-01-17 22:18:35)(良:1票)
31.  風の谷のナウシカ 《ネタバレ》 
原作かアニメか 皆さんどっちが好き?俺は両方とも大好きだ。原作とはまた違う終わり方が気に入っている。特に原作のナウシカのその後を考えると余計ね・・・。 だが、原作を未読の者は絶対読んだほうがいい。クシャナ殿下が最高すぎてバンジャアアアアアアイッしたくなるから。 戦争によって文明が滅んでうん千年。 再び蘇った文明は軍隊を連ね、流浪の民は自然の山や谷を守って暮らしている。 そこを飲み込もうとする腐海の森に、人間が産んだ「負の遺産」とやらが絡んでくる。 人間の愚かしさとどう向き合い、どう生きるのか。それをとことん突き詰めるのがこの映画。 荒野を歩いてくる人影は、胞子で覆われた廃墟を見つめる。真新しいかと思い拾った人形はぼろりと砕け、男は独り言をつぶやき去っていく。ナウシカの冒頭は、作品世界を観客に紹介するように人物の独り言が目立つ。それは観客への配慮でもあるし、孤独に旅を続ける自分に言い聞かせるための行動でもある。 そんな事がどうでも良くなるようなオープニングは、巨神兵と共に「火の七日間」を“語り”ながら少女が森に降り立つ姿を映す。「ラピュタ」でも似たようなオープニングだった。 巨神兵すら飲み込む胞子の森の散策、遺跡のようにそびえる巨大な王蟲(オウム)の抜け殻、武器を作るための“眼”を獲得し、それを傘にして独り言をつぶやきながら森で静かな一時を過ごす。 その静寂を破る王蟲の爆走!!一枚一枚の装甲を動かすように走るオーパーツレベルの作画、唸りをあげる布袋のギター!このシーンは何度見てもワクワクしてしまう。 この王蟲が都市の防壁を簡単に粉砕してしまうのだから恐ろしい。 その勢いを一瞬にして止めてしまうナウシカの優しさ。警戒する動物を受け入れ、それを鎮めてしまう不思議な能力を持っている。 原作のナウシカも優しいけどそれ以上にキチガイ振りと戦闘民族振りが異常(ry それ以降も大型輸送機が運ぶ“呪われた産物”、トルメキア軍との死闘、アスベルとの出会い、風の谷VSトルメキア、コルベットの戦闘、ナウシカの決死行などなど見所が多すぎる。特に戦車を奪ってそれをブッ放す、巨大ロボットに命令して大軍を焼き払うなんて漢のロマンすぎるっす。 それを女傑がやるんだからクシャナ殿下バンザアアァイッ!!!
[地上波(邦画)] 9点(2015-01-17 21:53:01)(良:1票)
32.  レイダース/失われたアーク《聖櫃》 《ネタバレ》 
往年の西部劇、ファンタジー、ホラー映画をオマージュして練り上げ現代に蘇らせた「インディ・ジョーンズ」シリーズ。  スピルバーグが「007みたいなノリの西部劇」を創りたくなり、 「スターウォーズ」のジョージ・ルーカス監督がノリノリで制作している辺りもうお分かりであろう。  主人公インディアナ・ジョーンズが危険を犯して宝物を手に入れていくストーリーは子供の頃からハラハラドキドキで楽しんで見ていたが、ドギツイくらいのB級ホラー要素には心臓バクバクでどう回避しようかアレコレ悩んだものだ。  命懸けでロマンを追い続ける主人公はいつも心強い。 鞭でターザンしたり、 空中から絨毯で雪山にダイブしたり、 ヤクの幻覚作用から火傷で目覚めたり、 大荒れの海から浮き輪一つで生還したり、 崖から戦車と一緒に落ちてケロッと生きてたり、 核実験場を冷蔵庫に入って生還したりと、アンタ何処のレプリカントだコラ。 やっぱり聖杯飲んだ人は違うね。  これ以外にもツッコミ所満載で、それを超A級のスリリングなアクションでフルカバーしている。 そしてドンデン返しの「お約束」。  それらの要素が互いに支えあって、この至高の娯楽映画を完成せしめているのだろう。  シリーズ毎のテーマも面白い。 「レイダース」は失われた歴史と燃えるような恋、 「魔宮」は土着文化の風習、 「聖戦」は永遠の命と親子の絆、 「クリスタルスカル」は原点回帰と家族愛、そして裏切りがテーマ。  ジョーンズを巡る友情、恋愛、野望の渦もシリーズさながらの厚みがある。  4作目からCGがふんだんに使われるが、CGじゃないと出来ないような映像も堪能できる。  考えるのでなく、純粋な気持ちで「楽しむ」。 それがこの映画の真髄なんだろうね~。
[DVD(字幕)] 9点(2015-01-13 03:10:26)
33.  インディ・ジョーンズ/最後の聖戦 《ネタバレ》 
インディ・ジョーンズシリーズの最後(にしとけよ馬鹿スピルバーグ)を飾った作品。 ショーン・コネリーの最高傑作はコレと「アンタッチャブル」で決まり!  ショーン・コネリーのユニークで男らしいキャラ、ハリソン・フォードとの息の合ったコンビが冴える。 女関係まで「親子丼」。  この作品の良いところは、親子の絆をしっかり描いてくれた事だ。  インディアナの少年時代、相変わらず不死身のインディアナ、「永遠の命」の追求したアクションにも注目だぜ。  シリーズ特有の“馬鹿馬鹿しい”場面もショーン・コネリーがやると凄いカッコ良く見える。傘と鳩で戦闘機を撃墜しちゃうんだもんねえ。ハリソンも戦車の上で格闘する!
[DVD(字幕)] 9点(2015-01-11 19:45:07)
34.  プロジェクトA 《ネタバレ》 
死神を殴り飛ばせる男ことジャッキー・チェンの代表作。 時計台から落ちて生きている事が奇跡すぎる。 中国パネェー。 中国拳法の厳しい修行で鍛え上げられた肉体だからこそ出来るパフォーマンス。 役者魂ここに在り。 内容は「気にしてはいけない」が、 敵味方入り乱れた殴り合い、 体を張ったぶつかり合い、 ハロルド・ロイドやバスター・キートンといった往年のサイレント映画を連想させるシーンの数々、 自転車での路地裏チェイスなど、アクション映画好きは絶対に押さえておきたい面白いシーンばかり。 ジャッキー、サモハン・キンポー、ユン・ピョウの共演も中々見られない。 特にサモハンはキン・フーの傑作群や後に「イップマン」をはじめとする数多くのカンフー映画の武術指導を担う事になる男だ。 この映画はカンフーというより単に体を張る事を強要する馬鹿(ry ジャッキーの命懸けのスタントが凄すぎて笑えねえよ。肝が冷えるわ。バスター・キートンも首の骨を折った事に気付かず演技を続けた(「探偵学入門」)が、3回も時計塔から落ちようなんて発想よく思いつくよこの人は。馬鹿だ。どんだけ役者馬鹿なんだ。どんだけ死神に嫌われてんだアンタは。(大絶賛) これからも長生きしてくれよっ! ※ジャッキーは特殊な訓練を受けております。絶対にマネしないで下さい。    これを「アクション映画」か「ギャグ映画」として見るかは視聴者に任せます。
[DVD(字幕)] 9点(2015-01-11 19:31:36)(良:1票)
35.  ラストエンペラー/オリジナル全長版 《ネタバレ》 
ベルナルド・ベルトリッチの最高傑作は「暗殺の森」や「1900年」だと言われているが、やはり一番好きな映画はコレになるだろうか。 こういう歴史ものって退屈な映画が多いけど、コレは一切退屈しない、とにかく面白い映画だった。 最後の皇帝・溥儀の人生を描いた壮大な歴史絵巻。 セルジオ・レオーネの「ウエスタン(ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ウエスタン)」の脚本を務めたその壮大さ、そして溥儀をめぐる様々な女性の物語。 坂本龍一の音楽が彩りを添える。 列車、人の群、自殺を図る謎の男・・・どうやらこの男が溥儀らしい。 物語は、第二次大戦後に連行された溥儀の回想と現在が交互に描かれる。 授乳中に連れて行かれたり、幼い溥儀に説明する人間が説明後に絶命とか・・・どういうシーンなんだよ。 やんちゃ坊主な幼い溥儀は気味の悪い宦官共を遊び相手に退屈な日々を過ごす。 紫禁城で鬼ごっことかスゲーな。 中々乳離れできない溥儀。何あのプレイうらやま(ry イッキ飲みならぬインキ飲み。 この頃中国の支配を目論む軍とは見せかけの“共和国”。 生みの母親よりも育ての母から貰っていた愛情・・・「アーモ」と別れるシーンは不覚にもウルッとしてしまった。 知識を得ながら成長する溥儀だが、井の中の蛙は大海という外の世界では王でも何でもない。 だが溥儀は外の世界を見たくてしょうがない。 ピーター・オトゥールの大佐との日々は微笑ましく進む。自転車で走るシーンは印象的だ。 中佐の次は大佐ですか、出世しましたな“ロレンス”さん。(イギリス違い) 初夜のお相手は積極的にキスしまくりなモダン女性。シーツの裏でナニしてんでしょうね。 宮廷を追われる溥儀は関東軍と結託して満州国の王の座に。操り人形にされているとも知らずに・・・。 踊らされる溥儀、壊れていく女たち。 NTRしたドライバーを消すシーンは「暗殺の森」を思い出す。(アッチよりも短く、かつ過激に) 過去の栄光と現在の何もかも失った虚しさが重なる瞬間・・・。 ファックオフはコッチのセリフだぜ毛沢東のハゲ野郎!テメエが雀ブッ殺しまくったせいでイナゴ大発生で国民飢え死にだよクソバカヤロウがあっ!あの野郎には地獄すら生ぬるい。 だが、時代の波に流されてきた溥儀は少年に“コオロギ”を渡して去っていく。 自転車にはじまり自転車に終わる。つわものどもの夢のあと・・・。
[DVD(字幕)] 9点(2015-01-10 19:31:55)
36.  うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー 《ネタバレ》 
子供の頃は、BSで昔懐かしのアニメを夢中になって見たものだ。 「ガンダム」や「機動警察パトレイバー」の劇場版で徹夜してしまった子供時代。私は子供の頃から再放送を含めて色んなアニメ・ドラマ・映画で育ってきました。多分、そういう今の時代には失われた何かに子供ながら魂を惹かれていたんだと思う。 このアニメも、夏の暑い夜に無我夢中で見たアニメの一つだった。 いえね、最初目に入った時は絵柄で距離を置いてしまったのだ。何かフワフワしているというか。そもそも下着姿でいつもうろつくという概念が子供心に理解できなかった。今はそのフワフワした柔らかい絵柄が好きだったりする。なんか和むと言うかね。あとメガネの存在が最高すぎる。 それでも、やっぱりラムはラフな格好よりも制服着てもらっている時の方が落ち着きつくし好きだ。 色気というものは隠せば隠すほど逆に出る筈(多分) 奇妙奇天烈な押井守のSFワールド。 高橋留美子の「るーみっく」と呼ばれるSFに似たようで、まったく違う不思議な世界観。 主人公のあたるたちはいつの間にか“夢”の中に閉じ込められてしまう。 夢の中は何でもやりたい放題、永遠に続くかのように楽園にいるような生活。夢が終われば心の楽園は消えてなくなってしまう。でも、夢から目覚めなければ学園祭はやれない、明日は来ない、次に進めない。  あたるたちは、自分のため、愛する人のため、そして明日のために夢から抜け出そうとアレコレ奔走する。謎は真相究明に向っているのか、それとも深まっているのか。 意外な依頼人の正体、そして永遠に「胡蝶の夢」が続いてしまうのか、終わりはあるのだろうか。 様々な映画作家や画家たちの世界観を引用して、ゴチャゴチャに混ぜて観客を揺さぶる無限の映像世界。虚構と現実が混ざり行き着く場所は何処なのか。  「うる星やつら」を知る人も、知らない初見の人もワケが解らなくなる前衛的な作品でもある。  だが、映像よりいつものあたるを取り巻く女性や野郎どもの会話を聞いているだけでも楽しくなってしまう。 こんなにも高橋留美子がブチ切れ、こんなにも飯が喰いたくなって2828(あたるとラム)してしまう映画はそうそうないよ。 あたるの何気ない一言が妙に残る。 「あれは夢だったんだよ」・・・まるで今は無き故人と夢の中で出会い、別れてきたように。
[DVD(邦画)] 9点(2015-01-10 19:28:33)
37.  ノスタルジア 《ネタバレ》 
これは、タルコフスキーが苦手・タルコフスキー入門に最適な最高の映画だ。 俺もタルコフスキーの映画から一番好きなものを選べと言われれば、何の躊躇もなくこの作品を挙げるだろう。 「ストーカー」とか長い映画はちと退屈してしまったが(それでもスゲエ面白かったけど)、この映画は何時の間にか30分とか1時間経っているような感じで一切退屈しなかった。 タルコフスキー独特の美しき映像世界、幻想的な水面の輝き…いや、水面を照らす光というべきか。 劇中のアンドレイは、この映画を撮った数年後にこの世を去ったタルコフスキー自身の分身らしい。 遺作は「サクリファイス」だが、俺は「ノスタルジア」の方がダイレクトに死の匂いを感じた。 「ノスタルジア」のアンドレイは自分の死期をさとり、奴隷にされると解っていても生まれ故郷に骨を埋めるつもりだった。どうせ死ぬなら、故郷の美しい風景を見ながら死にたい。 彼は助手のエウジュニアという女性を連れ、自殺した作曲家の取材をしにイタリアの地を訪れる。 アンドレイは何故死人に思いを馳せるのか。やはり自分の死期が迫っているからなのか。 ホテルで会話する二人の平和な一時が好きだ。 一瞬何処にいるのかと思うと、部屋の中でイスに腰掛けて談笑する二人の姿が見えてきたり、エウジュニアが階段目掛けてスタートダッシュを決めようとしたら、電気が消えたのにビビッてすっ転んでしまうシーンに和む。何これ可愛い。 だが、先の長くない自分の身を彼女に背負わせるような事は出来なかった。 訪れたイタリアの温泉に二人が入ろうとしなかったのも、仲が深まるのを避けたからだろうか。 彼女の尻の叩き方だって、愛する女性に対するものというよりは教え子や子供に対する感じだった。 やがてアンドレイは一人で旅を続ける。 世界の終わりを待つ狂人ドメニコを救おうとして。いや、アンドレイとドメニコの対峙は二人の男同士による闘いそのものだ。 死期をさとったからこそ前に進もうとするアンドレイ、終わりを信じ込み自分の世界に閉じこもってしまったドメニコの対比。 ドメニコは絶望で自分を燃やし尽くしてしまうが、アンドレイは己の命を賭してドメニコを救おうと彼の“依頼”を成し遂げる。 結局は哀しい結末が待ち受けていたが、我々はアンドレイのように自分の死期と向き合えるだけの魂があるのだろうか。
[DVD(字幕)] 9点(2015-01-09 17:22:43)(良:1票)
38.  ダウン・バイ・ロー 《ネタバレ》 
ジム・ジャームッシュによる愉快な刑務所&ロードムービー。 ジャームッシュの最高傑作はコレだろうねえ。 歌を歌うように淀みのない会話で人と人とが繋がっていく楽しさ。 デコボコだった3人の男たちが、会話や音楽によって「親しい兄弟のような間柄」になっていく映画だ。 こういうセリフが多い映画は、速さが足りない字幕なんぞで愉しみきれない。 戸田奈津子のカスみたいな字幕で楽しめるワケねえだろうがあっ!! 原語だけで愉しむのが一番だ。 まあ、そんな事はどうだっていいんだ。 この映画は、軽快な音楽と共に郊外の自然や市街地を移動撮影で映していく場面から始まる。 男と女が熱く愛を語っていた筈のベッドは冷たくなり、女に愛想を尽かされた男達は家を出て行く。 「あんたの音は聞き飽きたの」とばかりに散乱するレコードの破片、破片、破片。 外の町だってゴミだらけ。 銃を背中に向け「撃つわよ」と弾を込める音をわざわざ聞かせる女、それを「君になら撃たれても良い」とばかりに黙って立ち尽くす男。 男は背中で語る。こういうシーンが大好きです。 白いベッドに横たわる黒い女の裸体がエロい。布団を優しくかける紳士すら捨てられていく。 ジャックとザックは女に捨てられるわ罠に嵌められるわ仕舞いにゃブタ箱。 独房の壁のザラザラした音が耳障り。あの感触を想像するだけで胸が痛くなる。 だが、そのブタ箱で思わぬ出会いをする3人目の男ロベルト。 この男が衝突する2人の間を取り持ち、潤滑油のように友情を深めてしまう。 喧嘩するほど仲が良い。 ジャックとザックの殴り合うような掛け合いだけでも面白いが、そこにロベルトが加わる事でアンサンブルはより楽しくなる。 3人の合唱は独房全体に響き渡り、警官の警棒がフィナーレを締めくくる。最高に楽しい場面だった。 独房の中心でアイ(スクリーム)を叫ぶ(スクリーム)。 ロベルトは壁に“窓”を書いて「ここから出ちまおうぜ」と言ってのける。 本当に出ちまうんだから面白い。 逃亡という名の森林散策。 船で沼地を進む3人ををロングショットで捉えたシーンの幻想的なこと。 ウサギの丸焼きは美味そうだ。 飯喰って仲直り。 道の一軒屋で3人を持て成してくれた奥さんがキレイな人でねえ。 ロベルトもまた恋に出会う。 やがて別れていく3人だが、分かれ道でのやり取りの何と粋な事。 「おまえが左なら俺は右よお」
[DVD(字幕)] 9点(2015-01-08 05:35:02)(良:1票)
39.  ゆきゆきて、神軍 《ネタバレ》 
凄まじい。恐らく邦画史上最も凄まじい部類に入るドキュメンタリーになるだろう。 過去の旧日本軍内で実際に起きた事件の真相を探っていく流れが本当に凄い。鉄拳飛び交う情報収集、行き着く先に待つ答えがいやはや。 本当に全力で右に進む映画だ。突き抜けすぎて逆に笑いがこみ上げてくるくるくらい馬鹿な“何か”がこの映画にはある。 日本人なりに「戦争とは何か」を考え抜いた一つの答えがこの作品に刻まれているのだろう。この映画は99%奥崎謙三で出来ています(嘘)
[DVD(邦画)] 9点(2015-01-08 05:34:22)
40.  カメレオンマン 《ネタバレ》 
この作品は、ウディ・アレンが苦手という方、ウディ・アレンが好きだという全ての人に見て貰いたい傑作だ。 偽のドキュメンタリーという語り口から変な映画である。 白黒、1928年のパレードから映画は始まる。1920年代末期の当時を劇中に再現してみせ、ありとあらゆる職業を経て、カメレオンのように“紛れ込んで”しまうウディ・アレンの凄さ。 フィルムでは、あたかも劇中のアレンが実際に生きていたかのように人々が研究対象にし、新聞に載り、遂にはチャールズ・チャップリンやキャロル・ロンバート、マリオン・デイヴィス、ジェームズ・キャグニーにまで“会い”、当時の政治家と混ざり、スピーチまでしてしまうのだ。 何とヒトラーの横で熱いキスまで交わしてしまうアレン。 馬が“いななく”イオンはどうなってんだろう。 よく当時のカメラがあったもんだ。サイレントの早回しやトーキーの滑らかな映像の中を動き続ける。壁を登るシーンは苦労しただろうね。 劇中のアレンは“他人と同化してしまう”男であり、自分のアイデンティティーを求めて笑い、悩み抜く。様々な職業を試すアレンだが、中々自分自身を見出す事はできない。 人間は自分を貫く事よりも、他人と同じ行動を取る事に充足感を得ようとする。 良く言えば分相応、悪く言えば自我が無い。 仲間外れにされた時の恐怖、孤立した時の恐怖・・・人間は一人になる事を怖がる生き物でもある。先祖たちが孤立せず集団で助け合い自然と闘ってきたように、人間の潜在意識もまた仲間を求める。しかし、助け合う事と服従は違う。 服従して自分の言いたい事も言えない、やりたい事もやれないで何が人生だ!そんなつまらない人生なんて何も面白くないよと、この映画は笑いと共に教えてくれる。 医者のミア・フォローという心の支えを得て、同じ失敗を繰り返しながら、その果てに思いがけない“発見”をする。 「人間おかしくなれば何でもできる。大事なのは周りに合わせることでもなく、自分の欠点を無理に責めることでもなく、常に自分自身を主張することでもなく、欠点を含めた自分自身を受け入れること。そしてできれば自分を助けてくれる大切な人がそばにいてくれれば、こんな幸せなことはないだろう。笑った後に心がきれいになっている」
[DVD(字幕)] 9点(2015-01-05 18:23:18)(良:1票)
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