21. ラスト・ボーイスカウト
アクション俳優然としていた頃のブルース・ウィリスらしいアクション映画。この頃、巷では“ブルース・ウイルス”という病原菌みたいな誤読が溢れていた。高校生だった私は『ダイ・ハード』以来の彼のファンで、当然、本作を映画館まで観に行き、パンフレットはもちろんポスターまで買い込んだものだ。エンターテイメントとしてはよく出来てたと思う。トイレの便座が上がっているのは浮気の証拠であることをこの映画で知った。 5点(2002-12-31 06:08:52) |
22. ライアー
結局、何が何だか分からないまま終わってしまった。2回観たら分かるんだろうか?でも、もう一度観たいって気になれない。八百長ギャンブルを仕掛けた(?)ヤクザな組織とティム・ロスって、どういうつながりなんだろう?密造酒(?)の売買だけではないってことはラストのオチで分かるが…。女ボスが彼のことをギャンブラーと呼んでいたが、それはオチの展開を暗示したものなのか?配置転換を希望して昇進への道を断たれたのに一人ほくそ笑むクリス・ペン、1万ドルが返ってきたから?それとも、彼もグルなの?ラストで、蘇った死者ティム・ロスが夜道を徘徊して見知らぬ女に声をかけるシーン、真犯人はやはり彼だったのか?(これは間違いないだろう)嘘が嘘のまま放置されるのはかまわないが、謎が謎のまま放置されてはかなわない。最後の種明かしに驚きがないのは、何をどういう風に騙されてたのか観客が分からないままラストまで来てしまったせいだろう。私は明らかにこの手の謎解き映画に向いていないようだ。 4点(2002-12-31 05:40:47) |
23. インビジブル(2000)
もっとも印象に残ったのがスーパーマンとワンダーウーマンのジョーク(笑)。あまりにもCGがうますぎる映画は、その出来が自然すぎてかえってそのうまさが目立たないと感じた。80年代のSF映画と決定的に違う点がそこなのだ。70~80年代に一世を風靡したSF映画は、SFXという撮影技術そのものがメインディッシュであったが、昨今のSF映画におけるCGは、あくまで撮影技術の一手段として全体の中に溶け込み始めている。だから、CG技術の巧拙が作品の良し悪しに影響を与えることがあまりなくて、かえって映画そのものの評価を浮き立たせることになるのだ。それにしても、最後ら辺、ほとんど怪物じみてたし、透明ということでここまで強くなれるものなのか。盲人と健常者が戦ってるようなものだからなぁ…。 5点(2002-12-30 05:49:50) |
24. 悪魔の追跡
子供の頃に観たトラウマ映画の一本。荻昌弘さんが解説者をつとめていた月曜ロードショーで繰り返し放映されていたと記憶しています。私のおぼろげな記憶では、アフリカを車で旅している途中に、とある部族の土着の宗教儀式で生贄となった若い女性が殺害される場面に出くわして…みたいな感じだったのですが、2年ほど前にテレ東で放映されているのを再見して、微妙に違っている(というか、アメリカが舞台ではないか)ことを発見してささやかながら驚きを感じました。何よりもビックリしたのが、この映画、ピーター・フォンダとウォーレン・オーツという二大スター共演の映画だったことです。てっきり、いい加減に作られたB級映画だと思っていたので…。女性陣が、何の役にも立たないどころか、かえって災いを招いてしまっているあたりが、いかにも70年代のパニック&ホラー映画らしいです。ラストの、怪し気な衣装の信者の群れと火の海に車が囲まれて窮地に追いつめられるシーンは、今でも忘れられません。 6点(2002-12-30 05:13:28) |
25. マスク・オブ・ゾロ
主人公が二代目ゾロへと成長していく過程がメインなだけあって、主人公の未熟さにハラハラドキドキしました。初代ゾロが活劇の宿命として花々しく散り、敵もここぞとまでに憎々しく描かれていて、激闘の末に打ち倒したときの爽快感もひとしおで、最後は二代目ゾロとヒロインが結ばれるべくして結ばれ、娯楽映画としては申し分ない出来ではないでしょうか。個人的には、産みの親と育ての親が宿敵どうしであることからくるヒロインの心の葛藤にもうちょっと踏み込んで欲しかった気もしますが、そこまで描くと全体的なテンポが悪くなってしまったかもしれないし、そう考えると、すべての観客を満足させるようなバランスってなかなか難しいものです。 5点(2002-12-29 06:59:28)(良:1票) |
26. マスク(1984)
障害者を“かわいそう”という、ある種、差別的視点から描いていないところが、よくある感動の押し売り映画とは決定的に違う。しかし、障害者の負った宿命はきっちり描き切っていて、冷たい視線や心ない言葉を投げかけられるなどの差別を受けるシーンは、観ていて痛々しくなってしまう。主人公がハンディキャップを軽々と乗り越えて周囲の環境と違和感なく溶け込んでいく過程をスクリーンを通して観ていると、観客も、まったくキレイごとではなく、彼がなんら一般の人々と変わりない存在であるばかりか、彼の回りに集う人々に明るさと励ましを与えてくれる素晴らしい存在であることに気づかされ、そのときには、そのおぞましい容貌もあばた程度の欠点にしか感じられない好青年に見えてくるのだから不思議だ。スクリーンに存在する彼らの親友と同じように、私たちも、2時間の映画鑑賞という体験を通して、肉体という障壁を破壊して主人公の純真な人格を発見するに至るのだ。障害者を描いた映画の中でもぬきんでた作品と言えるだろう。最後に、遊園地の迷路(?)で、主人公が湾曲した鑑に映った自分の顔に戸惑いを見せるシーンがとても衝撃的であった。 8点(2002-12-29 06:24:21)(良:1票) |
27. ラストサマー
監督のヒッチコキアンぶりが存分に発揮された映画だ。さかQさんが指摘されているが、私も、パレードと殺人とを同一のショットに収めるあたりに、監督としての優れた才能を認めた。『スクリーム』の成功は脚本の勝利だったが、『ラストサマー』の成功は演出力の勝利と言えるだろう。ただ、この作品は、ヒッチコックが忌み嫌った謎解き映画そのものであり、さらにヒッチコックが指摘していたように、本作も御多分にもれず、謎が明らかにされていく過程でトーンダウンしていくことになるのだが、そのことをことさら本作についての批判材料にするわけにはいかないだろう。こうしたジャンルの映画が必ずといっていいほど辿ることになる運命なのだから。 6点(2002-12-24 05:50:40)(良:1票) |
28. スクリーム(1996)
スクリーンから間断なく情報を流し続けて観客をストーリーテリングに引き込むことで犯人探しに注意を引き付ける手法によっているが、肝心の映画的思考は、ここでは麻痺している。謎解きとショッカーの洪水で2時間をあっという間に過ごせて、とても楽しい娯楽作品だと思うが、映画的に良かったかと問われれば、否と言わざるを得ない。映画として純粋に評価するなら、同時期に公開されていた『ラストサマー』の方が数段上だろう。 5点(2002-12-24 05:03:11) |
29. コン・エアー
ジェットコースター・ムービーの醍醐味が満載の映画です。ということは、細かいことは気にせず観ようってことでもあります。それでも、あえて苦言を呈するなら、全編クライマックスと言わんばかりのハイテンションは、逆に言えばどこが盛り上がりなのか分からないという、ストーリーテリングにおける緩急の欠如ともとれます。それと、もう一つ気掛かりなのは(文句多いな)、やはりスティーブ・ブシェミ演ずる殺人鬼の存在感の希薄さ。あれだけもったいぶった描き方しておいて、何もしないまま終わってしまうどころか、最後に大量殺人犯をみすみす逃してしまう有り様。ダメでしょう、重罪犯をリゾートで遊ばせちゃ。幼女との会話のシーンのあとで彼の手元に残された人形が殺人鬼の改心を象徴するものなら、せめて墜落した飛行機の座席で人形を握り締めたまま絶命する殺人鬼の姿を描くとかすれば納得できるような気も…。うだうだ不満ばかり並べてしまいましたが、娯楽映画としては面白かったですよ。 5点(2002-12-15 06:24:27)(良:1票) |
30. パブリック・アクセス
「パブリック・アクセス」とは、ケーブルテレビなどのメディアを利用して、地域社会の問題点を提起し解決することを目的に、一般市民が制作した番組を放送する制度のことで、アメリカなどで広く普及しているそうだ。本作を見れば、そのシステムがよく理解できる。大規模なテレビメディア網の一方通行かつ膨大な情報の流れは権力的と揶揄されたりするが、その情報伝達手段の一部を市民に開放しようという、実に民主的な発想に基づいているものだ…が、本作は、この草の根民主主義を媒介に、平和な町をあっという間に蝕んでしまう一匹な悪性ウイルスの恐怖を描いている。この映画についてのいくつかの批評を見ると、主人公はあちこちの町を渡り歩いては同じようなことを繰り返している愉快犯ではないかとの意見があって、ナルホド、それはそれでかなり怖いなぁと思ったが、私の意見は、主人公の正体は市長(の面を被った金の亡者)に雇われた監視人(というか殺し屋?)ではないか、と。市長の裏計画を妨害する人物を割り出し始末するための「パブリック・アクセス」だったのではないだろうか。そう考えると、市民主体の平和的活動が巨大組織の非情な情報収集活動に転化してゆく恐ろしさが浮かび上がってくる。番組の最終回(?)に出演した市長の「彼は信用できるから…」というセリフがけっこう怪しい…。ともあれ、この作品のテーマを凝縮しているのが、ラストで主人公が自転車に乗った子供に語りかける、「知らない人に声をかけられてもついていっちゃダメだよ」というセリフ…知らない男の呼び掛けに反応してしまった町が荒廃していった様をここでフラッシュバックせずにはいられないだろう。作品の評価としては、主人公の性格の意図された曖昧さと、これに対比される町の人々の輪郭がこれまた曖昧なため、全体的にぼやけてしまった印象がぬぐえない。それにしても、トンネルの殺人現場のシーンは何の伏線だったのか、分からないのだが…? 5点(2002-12-15 05:34:31) |
31. マーズ・アタック!
B級SF超大作『インデペンデンス・デイ』への痛烈な皮肉を満載したA級コメディ超(?)大作。『インデ~』が本物の大馬鹿映画なら、『マーズ~』はお馬鹿を装った知的な秀作映画。かつて権威主義的パーソナリティによってナチスの台頭を招いてしまった民族の末裔だからなのか、アメリカという大国への賛美が結局は権威への迎合体質を暴露してしまったにすぎないドイツ人監督に対して、アメリカ国民として(そこまでの意識があるかは定かではないが)権威主義に異義を唱えたティム・バートン。アメリカって、お馬鹿が山ほどいるけど、賢い奴もたくさんいるんだゾってことね。心優しくも気弱そうな青年ルーカス・ハースが、瓦礫の山の中で、これまた権威志向がてんでなさそうな大統領の娘ナタリー・ポートマンから勲章(?)を授けられる授章式のシーン…やはり庶民こそヒーローなのだ。『インデ~』にはつけれなかった点数をまるごと本作に。 8点(2002-11-04 05:26:35) |
32. バウンド(1996)
スタイリッシュな映像美が印象的な映画。なんとなくコーエン兄弟の映画を連想させたりもするが、それほどアクの強い作品というわけではなく、かと言ってデビッド・フィンチャーの映画のように映像技巧のみで先走ってしまうこともなく、エンターテイメントとしてふつうに楽しめました。ただ、私も後半のサスペンス部分の粗さが気にはなりましたが…。 5点(2002-11-03 04:22:37) |
33. ザ・ファン
ストーカー映画の一本として、なかなか楽しめました。実は、私、ラストでホームに滑り込んできたスナイプスにアウトの宣告をした審判がデ・ニーロだってこと、事前にまったく気づいてなかったので、けっこうビックリしました(笑)。あと、デ・ニーロの言動のおかしさを悟る各登場人物の戸惑いの仕草や表情もうまく演出されていたと思います。 5点(2002-11-02 04:13:10) |
34. 13ウォーリアーズ
『ラスト・アクション・ヒーロー』でスウェーデン映画の名作『第七の封印』の死神を登場させた映画マニアのマクティアナン、今回は日本映画を代表する娯楽大作『七人の侍』にオマージュを捧げたようだ。そう考えると、原題の“13人目の戦士”よりは邦題の“13人の戦士”の方が的を射ているような気もする。タイトルロールのアラブ人役、バンデラスは、13人の中で際立った活躍をしたわけではないし、単にストーリーテラー的役割であることを考えれば、『七人の侍』よろしく『13ウォーリアー“ズ”』となるわけだ。砦を築いて外敵集団を待ち伏せるところなんて、まんま『七人の侍』だし、中心となる13人が傭兵的存在であることも然り、また、何よりも象徴的なのが、ラストの戦闘が土砂降りの中で繰り広げられることであり、他にも、ラストで戦士した仲間を埋葬するシーンや、墓標のごとく剣を大地に突き刺す振る舞いにも、オマージュが見てとれる。逆に、オリジナルとの決定的な相違点は、人間関係の描写が希薄なままで終わってしまったことであり、それが、私がこの作品に対して芳しい評価をしがたい理由でもある。あと、熊の生皮を被った蛮族の姿を見て『もののけ姫』を思い出してしまったが、これはさすがに関係ないか?あの作品もまた、攻防が展開される砦が舞台の中心であった。 4点(2002-11-02 03:38:05)(良:1票) |
35. ミッション・トゥ・マーズ
ティム・ロビンスが自ら命を断つあたりの緊迫感と悲壮感などは申し分なかったのに、後半でトーンダウンしてしまい、とくにラストでエイリアンが出てきて宇宙史(?)を解説し始めるあたりなんて、私もNHK教育テレビを見てる気がしてきました。あと、登場人物が絵に描いたような善人ぞろいなことにも、少し違和感を感じました。人物描写を掘り下げることで人間ドラマが中心になってしまうことを避けようとしたデ・パルマの狙いかもしれませんが…。 4点(2002-10-27 07:53:40) |
36. デビル(1997)
ハリウッド映画として普通に面白かったが、何故に平均点を割ってるのだろう? 5点(2002-10-27 07:01:48) |
37. エアフォース・ワン
米国賛歌型娯楽大作という点で『インデペンデンス・デイ』と同系列の作品ではあるが、本作の方がずっと純粋にエンターテイメントとして楽しめる。何故だろう?本作は、大統領としての職責や、良き夫であり良き父である家庭人としての顔、テロを防ぐための唯一の生命線としての役割など、様々な立場に同時に追い込まれることからくる内面的葛藤がミソで、主人公が一国の首長であるという設定がサスペンスに存分に活かされていて、とても説得力がある。一方、『インデ~』の方は、大統領をヒーローに仕立て上げることそのものが目的であり、それが胡散臭さの原因なのかもしれない。そういえば、ペーターゼン監督もエメリッヒ監督も、ともにハリウッドで活躍するドイツ出身の監督であるが、二人ともこうした米国賛歌型映画を撮る理由には、やはり先の大戦での負い目があるのだろうか。 6点(2002-10-27 06:19:39) |
38. カジノ
『グッドフェローズ』+『バグジー』って感じです。作品規模の大きさからくるプレッシャーのせいか、スコセッシが年を取ってまるくなったからか、革新的な試みもとくになく、娯楽大作としてうまくまとまっているという印象しかありません。 5点(2002-10-25 06:13:29) |
39. イレイザーヘッド
生理的に感じるものがある映画はいい映画だ。それが、たとえいい意味でも悪い意味でも…。ジョン・フォードやハワード・ホークスなどは、ハリウッド黄金時代の代表的名監督であり、素晴らしいエンターテイナーであると同時に素晴らしいアーティストでもあった。彼らが、楽しい娯楽作品を創造しただけでなく、そこに芸術的要素をふんだんにちりばめたからだ。芸術的要素とは、理屈を超えて生理的に伝わってくるものである。いわば、映画のスパイスだ。スパイスは隠し味であり、対象全体を引き立てつつ、それ自体は目立たないものである。スパイスの効いた映画に接すると、作品の素晴らしさを実感しつつも何が良かったのか曖昧なままだったりすることも多い。本作は生理的感触が満載の映画である。そして、それは生理的嫌悪感と言い切っていいものだ。もはや隠し味とは言えない、スパイスそのものを描いた映画である。食べ物に例えるなら、パン生地にほんの少しハムとチーズが乗っただけで、あとは真っ赤に染まるタバスコが大量にかけられた、鼻孔にツーンと刺激が駆け抜ける激辛ピザとでも言おうか。ふだんは引き立て役のスパイスを主役に、メインであるはずの娯楽性を排し、芸術性のみを追究した作品である。 8点(2002-10-25 05:43:33) |
40. フィフス・エレメント
大物になってしまった監督って、たいがい自由に撮影に大金を投じることができる身分になってからいい映画を作れなくなってしまうものだ。たとえば、スピルバーグが典型。リュック・ベッソンなんて、もう、極端にそうした傾向を示している。本作がその極み。スピルバーグは、まるで子供のような、自由な想像力でもって初期の秀作群を連発し、映画業界で成功を収めて規模の大きな映画を作れるようになってから、悪い意味で大人になってしまったと揶揄されたりするが(『フック』は、“大人になってしまったスピルバーグ”自身を皮肉った結果に終わった)、ベッソンは、成功してから悪い意味で子供っぽい発想をさらけ出してしまったようだ。莫大な製作費を投入してこれ見よがしな社会派映画を作ってしまう“大人”スピルバーグと、莫大な製作費を浪費して子供の空想のような映画を作ってしまう“少年”ベッソン…どっちもどっちな気がするが、あえて言うなら、まだ前者の方がマシな気もする。 4点(2002-10-23 03:57:53) |