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かっぱ堰さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1244
性別 男性
自己紹介 【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。
【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。
【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。
5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。
また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。

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401.  エイリアン 《ネタバレ》 
公開当時、“WARNING”ばかりを強調するテレビCMがやたら目について、どういう話か知らないまま映画館で見た。alienという言葉はこの映画以降に日本でもよく知られるようになったと思うが、自分としてはwarningもこの映画で初めて知った。憶えるべき英単語に含まれていなかったのか勉強不足だったのか。 実際見ると導入部がいきなり得体の知れない不安感から始まり、その後にいったんほっとさせてから、また緊張感を高めた上で最後に開放感を生じる構成になっており、これでホラーとは思わなかったがスリリングだったのは間違いない。ただ初見時には、エンディングに入ってからもこれで本当に終わりなのかと不安が残る気分だったが、それは結果的に2に送られた形になったらしい。 当時の感覚として斬新だと思ったのは、まずは国連宇宙軍とか惑星連邦とかではなく民間企業の所有する産業用の宇宙船が出て、化学工場のようなごつい設備がむき出しのまま宇宙を飛んでいたことで、内部に薄汚れたような暗い空間があるのも町工場じみて産業用らしい。また電子機器の稼働に付随する騒音が耳に残るのと、「ロボット」であるのに金属製の部分が見えない(白い液体がおぞましい)ことに素朴な驚きがあった。 そのほか何よりこれ以降、宇宙というのは夢のフロンティアとか希望の大洋とかいうよりも、何が出て来るかわからない怖いところ、というイメージが生じた気がする。侵略宇宙人のようなものなら昔からいたが、こんな得体の知れないのは初めて見た。  今回見て思ったこととして、コンピュータに文章で適当に問いかければそれなりの答えが返るというのが当時は安易な発想に思われたが、2019年の現在ではすでにそういう感じのものが実現しており(それも音声で)、ここは40年間の人類文明の進歩を実感した。 また宇宙船に愛玩動物を乗せていたのは乗員のメンタル対策として有効だろうと思った(ネズミ駆除用という話もあるようだが)。ネコ嫌いの乗員はいなかったのかとか放し飼い状態はさすがに運行に支障があるというような問題はあるが、とりあえずネコが最後まで生き残ったのはこの映画としてのささやかな良心を感じた。 現代と違ってエンドクレジットが延々と続くようなこともなく、ラストシーンの雰囲気を引き継いだ穏やかな音楽のまま終わっていたのはかなり好印象だった。
[ブルーレイ(字幕)] 8点(2019-06-22 23:21:04)(良:1票)
402.  四月の永い夢 《ネタバレ》 
まず主演女優は好きだ。そうでなければ絶対見なかった。それ以外の誘因は全くない。2017年モスクワ国際映画祭で受賞したそうだがそういうことにも関心がない。朝倉あきさん好きだーーーとひたすら思いながら見ていた。 撮影場所は主に東京都国立市らしいが、町田市(制作会社の所在地)の方でも協力していたようなので注目されないと気の毒だ。また終盤で出かけた元彼氏の実家は富山県下新川郡朝日町と特定されていたが、主人公が降りた富山地方鉄道本線の内山駅は隣の黒部市にある。各方面の協力により製作されたようだが、それほどご当地映画っぽいところは見えなかった。  監督はもともと詩人だそうで、映画というのは小説というより詩に似ているという話(ネット上のインタビュー記事)はなるほどと思った。自分としては散文を読むようにしか映画を見られないわけだが、この物語に関してはだいたいのところはわからなくもなかった。ただ自分の話でないのでそのまま同調できないところはある。 少し引っかかったのは元彼氏の母親が“人生とは何かを獲得していくことではなく…”と語ったところである。この言葉は、すでに失った領域が広がってしまった人間にはぐさっと刺さるものがあるわけだが、母親が自分のこととして言うのはいいとして、まだ若い主人公に対して“獲得することではない”と言い切るのは言い過ぎだ。さまざまな方面や局面で獲得したり失陥したりしながらたえず自分を更新していく過程が人生だ、といった感じになるはずで、少なくともこの主人公に関しては、これから新しい局面で獲得していくものがあるはずである。 そのほか全体的には、控え目に見える主人公のおかけで優しく穏やかに物語が流れていく印象だった。踊るように歩いていて持ち物が少しひっかかって逸らした様子が楽しげに見える。監督によると男にとっては面倒くさい女性ということらしいが、金を払いたがるとかキャンセルを気にするとかは潔癖という意味では嫌いでない。それよりかなり前方に心理的バリケードを張っている場合があるとか、何かあると引っ込んでしまって接点が失われるタイプは困ってしまう。「一人で帰ってもいいですか」のところはやっちゃった感が出ていたが、ラストの一瞬の笑顔には和まされた。
[DVD(邦画)] 6点(2019-06-14 19:51:37)
403.  ごっこ 《ネタバレ》 
出演者のせいでお蔵入りになりかけたのを何とか公開にこぎつけた映画とのことで見たが、宣伝で「最高に泣ける」などと書いてあると要はそれが目的なわけかとかえって印象が悪くなる。ちなみに場所設定としては大阪ということになっているが(大阪市平野区と枚方市)、撮影は群馬県前橋市(千代田町の弁天通商店街)が中心だったのは制作上の事情だろうが少し意外感がある。  主人公の境遇について、孤立的で引きこもり体質というところまでは自分も同じだが、それだけで全面的に共感できるわけでもない。 自分を犠牲にして子どもを助けようとしたのは結構だが、その根底には犯罪で捕まれば自活不要という発想があったはずで、同時に育児放棄という面もあるのでそれほど褒められるものではない。またカレー屋の母親はいいとして(よくはないが)その娘までを結果的に捨て石にしたのはどうなのかということもあるが、これはそれほどまでに自分のところの子をかけがえのない存在と思っていたことの表現か。自分はどうせ駄目だがこの子だけはというつもりで、可能な限りの方法で最も大事なものを守り通したということではあるらしい。 最後の場面は、自分など他人にとっては無に等しい人間だと思っていたところ、実は誰かにとって大きな存在だったことを知らされた時の驚きと困惑と感激ということならわからなくはない。結果として「万引き家族」(2018)などよりは素直に心に響く映画だった。  出演者の関係では、主役の顔と子役の顔がとにかく心に残る。主役についてはラストの強烈に変な顔が目立つが、ほか個人的には普段の顔と、保育園で子役に笑いかけた顔のギャップが印象的だった。また子役の平尾菜々花という人は、別のところで見たときは躁状態でやかましくしゃべる女児だったが(“ここさけ”とNHKの土曜ドラマ)、今回は全くイメージの違う役をきっちりこなしている(目力あり、演技力あり)。優香はミニスカでないポリス役で今回少し色気を抑えていた。 そのほか商店街のおばさん役で鴨鈴女(かも すずめ)という役者が出ており、端役ではあるが顔を知っているのでどうしても目についてしまう。この人も本物の大阪人である。  追記:見たあと原作を読むと、かなりまともにきっちり万人向け映画としてまとめたことがわかる。主人公の人物像がかなり違うが、結末まで含めて現実寄りの映画にするなら最初からこれで正解と思われる。
[DVD(邦画)] 6点(2019-06-14 19:51:35)
404.  カミングアウト 《ネタバレ》 
“LGBT”のうちのGayの青年が周囲の人々にカミングアウトしようとする話で、特に過激に思われる場面もなく穏やかな雰囲気で推移する。見たところ一般向け啓発ビデオのような印象があり、宣伝文では「きっと、あなたの価値観変わります」と書いているが、見ても特に変わった気がしないのは5年も前の映画だからかも知れない。 映画の作りとしてはどうも素人っぽいというか手際が悪く見えるところがあり、特に大学のサークルの場面は間が悪いようで笑える台詞も笑えなくなっているが、これはキャストというよりスタッフの問題ではないかという気がする。後半になるとそれほど違和感もなく、夜の静かな場面での虫の声などは効果的に思った。  物語としては、まず前半で主人公が人間関係に悩みながら覚悟を固めていき、後半でごく近しい人々に対し順次カミングアウトを敢行することになる。なおいわゆるアウティングに関する問題は捨象されているらしい。 相手の反応のうち、特に母親の嘆き(孫の関係)は単に無知とか偏見では済まされないことなので心が痛むものがあるが、これは他の劇中人物が言っていたように「人生にはままならないことがある」と思え、ということか。どうしようもないのはお互い様だということもあり、またLGBTだけが原因になるわけではないということもある。 今回は親しい人間に限定して実行していたわけだが、主人公としては今後も対象を拡大していくつもりだったらしい。一体どこまでやらなければならないのかと部外者としては正直思うが、ここはこの映画の持つ啓発ビデオの役割を主人公に負わせていたということか。社会の受容度が高くなれば当事者があえてハードルを越えようとすること自体が不要になるのは間違いない。 ちなみに親友に対しては告白が2段階になっており、2つ目はあえて言わなくてもと思わなくはなかったが、この映画として淡い恋物語の結末が必要だったということかも知れない。  なお監督・脚本は犬童一利という人物だが、著名な犬童一心監督との関係はわからない(年齢は約26歳差)。知っている役者はあまり出ていないが、高山侑子という人が主人公の後輩で普通に可愛い女子大生をやっている。ほか「協賛」としてNPO法人の名前と「Alfa Romeo」「TENGA」という企業名が出ていたが、後の2つは実際にLGBTに関わる社会活動をしている会社のようで、劇中でもそれぞれの製品を見せていた。
[インターネット(邦画)] 5点(2019-06-07 19:56:18)
405.  女の子ものがたり 《ネタバレ》 
どういう背景設定で何をやっているのかわからないままとりあえず見ていたが、壁画の前で喧嘩をしたあたりからやっとこの映画としての方向性が見えて来た。喧嘩相手の友人が、自分らはともかく主人公には道があるはずだと信じて押し出してくれたことが、得がたい友人だったという後日の感慨につながったということらしく、これまで女の子だった経験のない人間にとってもそれなりに泣かされる話ができている。 それにしても生まれ育ちに縛られて荒んだ暮らしを事実上強いられるなど、実際ないともいえないが、いつの時代のどこの話なのかと一応は思う(同級生男子に理不尽な迫害を受けても無抵抗?)。時代としては1970~80~90年代頃だろうが、場所については撮影が愛媛県であるのに言葉は関西弁のようで、いいとこのお嬢ちゃんは東京言葉というのは大阪出身の監督の感覚なのか。あえて場所は特定していないのだろうが、少なくとも友人の娘が顔を見せていた時代には、母親の代のような状況はなくなっていたものと思いたい。 結果的には「女の子の数だけ、シアワセの道がある」というキャッチコピーが劇中世界を表現したものには思えなかったが、しかし友人の娘を含むこれからの世代には、この言葉がそのまま通用する世の中であってもらいたいという願いを込めたとすればわからなくはない。  なお監督の方針としては子役や若手女優をかわいく見せる方に重点を置いたということなのか、登場人物の様子からは底辺の生活ということが全く窺われず、これが映画のわかりにくさにつながっている。特に小学校時代の子役のうち、ひときわ長身で美形に見える三吉彩花という人が、風呂に入らず汚い児童の役というのはかなり意外感がある。 また①森迫永依-②大後寿々花-③深津絵里(-④西原理恵子)という主人公の系列のうち、①②はいいとして(④はともかくとして)どうも③にはかなり違和感があり、この人物よりも個人的には②の人がこの映画の主役だったと思いたい。若手女優の皆さんはそれぞれ好印象だったが、特に泥にまみれた波瑠の表情が印象的だった。
[DVD(邦画)] 5点(2019-06-07 19:56:16)
406.  少女ピカレスク 《ネタバレ》 
まず前半ではウェブ配信と自撮り映像を多用して、地下アイドル3人の日常に「ちーちゃん」なるものが忍び寄る過程を見せられる。ここまではホラー風味が強く結構面白いと思っていたが、しかし後半ではその「ちーちゃん」が前面に出て来て種明かしを始めるのでサスペンス風味は失われる。あとは残虐行為が中心になるがおふざけ感が非常に強く、そういうものの愛好者がどれだけ面白がるかはわからない。 また並行して、精神状態に問題が生じていた主人公(題名によれば少女)の「嫉妬、憎悪、憧れ」が異常な形で噴出し、これを通じて人の真実の一側面が表現される映画と取れなくはない。しかしリアリティ皆無の茶番じみた展開で制作側の本気度が疑われ、こんなものを誰が真面目に見るのかとしか思えない。自分としては馬鹿らしいのでもう勝手にしろということで投げた。 エンディングのPV(劇中で撮影したのがこれか)では地下アイドルの光と影、表と裏といった感じのものも見せられたが、個人的にはろくでもないものを見てしまったという思いだけが残った。こういう作風の監督なのか。  登場人物のアイドルに関しては、見た目は年齢不詳で中高生のようだが演者はみな成人である。主演の椎名ひかりという人は実際に極端にユニークな人物らしく、これはもう本当にこういう人なのだろうと思っておく。 また「日菜子」役の長澤茉里奈という人は童顔で中学生のようでもあるが、天使と呼ぶなと言っていたあたりが実情を示しているものか。これまで見た範囲では「咲-Saki-」(2017)で鶴賀学園の初心者役をやっていたが今回かなり印象が違っており、この映画の方が地の状態に近いのかも知れない。もう一人、「亜依」役の神門実里という人は大写しにすると味のある顔で、たれ目気味なのは愛嬌がある。 また人気モデル役で出ている武田玲奈さんは、途中で写真だけ見えていたが本人の出番はラスト12分程度のところまで延々と待たされる。友情出演とのことで、この映画としては大御所のような扱いで貫禄も見えていたが、演者の実年齢ではこの人が一番下である。自分としては何でこの人がこんなバカ映画でウソ泣きまでして真面目に演技しているのかという気分だったが、しかし見えないよりは見えた方がいいのでこの人だけでも点数が若干上がる。
[インターネット(邦画)] 3点(2019-06-01 10:25:15)
407.  罪の余白 《ネタバレ》 
原作は読んでいない。この映画を見てから読む気にもならなかったので原作紹介の役目は果たしていない。悪役のフルネームが手羽先に聞こえるのは原作のせいか。 見たところ、視覚的なところと音楽には力が入っていたようだが中身がついて来ていない印象がある。魚や牢屋といった要素が馴染んでおらず、二重拘束というのも最後のこれがそうだったのか?という程度で印象が薄い。また悪役が一本調子の悪人面のせいか、愚かしさとか悲哀といったものが感じられずに憎々しいばかりで、思考や心境の変化も伝わって来ないところがある。終盤も偶然だか意図的だかわからない展開で都合よく決着を付けたようで爽快感がない。  特に個人的に困ったのは、これだけ胸糞悪い話を見せられて溜まった不快感をどう処理すればいいかわからないことである。学校とか千葉県警とか児童相談所を憎んでも仕方ないので、自分としては登場人物や映画自体を憎む結果になった。 まず自分は当事者ではないが、娘を殺された父親の立場であればもっと過激にやってもらって構わない。コンビニの前で殴り倒したのは単なる馬鹿だが、どうせ暴力的にやるのならこういう機会を捉えて殺せば簡単に終わるだろうし、そうすれば小悪人の方も小便漏らすどころでなく精神的に立ち直れなくなって一生終わりだったはずだ。死者が望むかどうかなどはどうでもいい。 また芸能事務所(吉本興業かと思った)で「映画と同じぐらい価値のある人間か」と問われたところは笑った。映画製作にはそれなりの元手が必要だろうからその値段の話をしていたのかも知れないが、それにしても毎年大量に生産されて消費されて忘れられる商品と同様の価値しかない人間と言われるのは屈辱的ではないか。 ちなみにこの映画のせいで悪役の女優にはかなりの悪印象がこびりついた(「渇き。」の小松菜奈に匹敵)。役者に罪はないとか作品に罪はないとかいう言い方はあるが、罪はなくても感情問題として嫌悪するのは仕方ない。劇中の台詞としては「いい脚本といい監督さん」なら何でもいいとのことだったが、本人が嫌われてしまってはまずくないか。エンドクレジットの間じゅう静止画で顔を映し続けていたのが極めて不快で、今後この女優の顔を二度と見たくなくなったが、そんなことを思わせるのも映画の力ということだ。 なお葵わかなさんや武田玲奈さんに当然ながら罪はない。谷村美月嬢が可愛らしいので救われる。
[インターネット(邦画)] 1点(2019-06-01 10:25:12)
408.  ココダケノハナシ ~短篇.jpルーキーズ第3弾~ 《ネタバレ》 
一応説明しておくと(第1、2弾のところでも書いたが)、「短篇.jp」という動画コンテンツの配信サイト(現在は停止中)が運営されていた時期に、新人監督育成の目的で製作されたのが「短篇.jpルーキーズ」である。第1弾からこの第3弾までが製作されており、それぞれDVD化もされている。 内容としては監督の違う全6話のオムニバスになっている。以下それぞれにコメント。  【ポイズンラジオ】 現実味も意外感もなく面白味もない。高山侑子という人は、この少し前の「空へ-救いの翼 RESCUE WINGS-」(2008)では23歳の3等空尉役だったが、今回は険悪な顔つきの女子高生をやっている。まだ若いのだから(当時16歳くらい)もっと普通に可愛い役をやればいいだろうと思ったがもう10年も前の話だ。 【春のシオンで】 オチが一瞬わからなかったので何十秒か考えたが、要は夢見る女子の話だったらしい。高山侑子さんは夢の中で遊ぶ天使。 【架空の恋人】 初期設定がよくわからなかったが、最終的にオチも破局感もなく混乱状態で打ち切りになったのは悪くない。主人公(演・山田キヌヲ)の哀れっぽい顔は可愛らしい。また男の彼女(黒沢美香という人らしいが舞踊家とは別人)は、顔も見えるが脚の方が印象に残る。 【美味しいコーヒー】 最後の人物がよくわからなかったが本当の住人か同類が来ただけか。勝手に話を作る男は面白かったが、このテーマを語る上での必然性があったのかはわからない。 【キッスがしたい】 高校生がバカっぽいので呆れていたら最後は切ない青春物語。というかいきなり青春期の終わり(浦島太郎か)。役者の高校生演技は良好。元女子高生はお姉さんすぎるが、これはそもそも役者の段階で年齢差がある。 【ゴメンナサイが言えなくて】 男女の考え方/感じ方の違いということだろうがあまり深みはない。こんなのに執着する男の方が感情を理性で制御できていない。  以上、よくわからないところが多いが全体的にはそれほど悪くない。がそれほど感動的でもない。一番心を動かされたのはバカ高校生の話だった。また夢見る女子にはしあわせになってもらいたい。
[DVD(邦画)] 5点(2019-05-25 11:27:12)
409.  空へ ―救いの翼 RESCUE WINGS― 《ネタバレ》 
航空救難団の新人が周囲に助けられながら試練を乗り越えて、最後に困難な任務をこなしたところで気分よく終わる話である。正直それほど大感動ということもないが、いざという時に頼らなければならない立場としては素直に応援したくなる。災害支援の面で自衛隊が本格的に国民の信頼を寄せられるようになったのは公開3年後の東日本大震災(2011)からだろうが、こうした人命救助の活動も長く続けて来ていたということのようで、劇中では阪神・淡路大震災(1995)で十分な働きができなかったことを悔やむ場面もあった。 主人公は初の女性ヘリパイロットという設定で、宿舎での女子会のような場面には和まされる。序盤では男に「二十歳そこそこの女」と言われていたが「女の子」と言われなかっただけまだましだ。この主人公のようにしっかりした志を持った人でも、結婚するとどうなるのかというのは素朴な疑問だが(劇中の飛行班長は独身ではないかと勝手に想像)、その辺は職業に関わらず女性が活躍する社会を作る上での共通課題と思うしかない。 なおヘリコプターの見せ場としては航行中の着艦よりも桟橋に降りた場面で驚いた(こんな所にも平気で降りるのか??)。  場所は小松基地という設定で、F15からの空撮(一瞬)や地上の街並みも映っていたようである。映像に出ていた猫橋銀座(ネコ橋銀座)というのは実在の場所らしい。宴会の場面では、ビールをラッパ飲みするのが航空自衛隊の風習なのかが気になった。 出演者に関しては、少々心許ない感じの役者もいるがベテラン俳優がきっちり押さえているところもある。しかし最後に出た護衛艦の艦長と副長は頼りなさげで自衛官らしくなく、特に副長はどういうキャスティングなのかと呆れた。 主演の高山侑子という人は当時15歳だったとのことで、見た目は大人っぽく見せているが「はいっ」とかいう声は可愛らしい。海上自衛隊のヘリコプターと交信したところが女の子っぽいので笑ってしまったが、それを聞いて向こうもひとこと言わずには済まなくなった感じだった。
[DVD(邦画)] 6点(2019-05-25 11:27:05)
410.  空母いぶき 《ネタバレ》 
公開前から叩かれていたので笑ったが一応見て来た。 原作に含まれている各種要素のうち、この映画では「戦争」と「人命」に絞って基本的なところを表現していたようで、うち「戦争」については敵に関する設定との関係なのか独自の定義をしていたらしいが別に悪くはない。ただ戦争映画として面白いかは何ともいえないものがあり、侵略された島に行こうとしたら途中で敵が攻撃をしかけて来て原作にある出来事が起こったというだけで、戦術的な駆け引きのようなものは特にない。また自分としては原作12巻までの間で3回くらい出た「当事者として」という言葉がなかったのは不満だが、それは日本国民にはまだ早いという判断か。  そのほか映画独自の部分として、ネットニュース記者の「燃えています」の場面は、意図はよくわからないが少し泣かせるものがあった。この人物はジャーナリストというよりも、戦闘の現場をじかに見てしまった一般人の位置付けのようでもあるが、あるいはこの映画としても既成のマスコミに期待するものはないと考えているのかも知れない。 また人命に関わることとして、救助された敵兵が逆上して自衛官を殺害してしまい、同僚が報復しようとして止められるエピソードが入っている。ここは敵とはいえ未来のある若者を、殺してしまうのでなく改心させるのが大事という意味かも知れないが(いわば少年法の精神?)、しかしそういう目的のために柿沼1尉を犠牲にしたのは絶対に許せない。自分がこの場の責任者でも止めるだろうからそれは仕方ないにしても、こういう話をわざわざ入れるこの映画を憎まずにはいられない。本当に守ろうとするのは誰なのかを厳しく考えることもなく、八方美人的に綺麗事を言ってみせる映画など全く求めてはいない。 なお最後に紛争を終結させた驚愕の出来事は、もしかすると日本国憲法前文でいう「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持」するとの理想を表現したものではないか。ここは専ら憲法を愛する人々へのサービスのようでもあるが、そもそも敵に関する設定が原作と違って荒唐無稽なため現実的な切迫感もなく、何か異世界ファンタジーのようなものを見せられた気もした。  そういうことで原作読者として満足できるものでもないが、最低限、原作の存在を世間に知らしめるという意義はあるので、世間の評価はどうでもいいからとりあえず話題にはなってもらいたい。ちなみに原作は今年中に完結とのことで期待している。   [2019/12/07追記] DVDで再度見たが、やはり柿沼1尉の件は許しがたい。わざわざ妻子の顔を見せて「替えは利かない」と言わせておいてから死なせるなど極めて悪趣味で、制作側には人の心というものがないのかと疑わせる。 また公開中は少し遠慮していたがあえて書くと、最後に取ってつけたように外交の心得だか極意のようなものを説明するのが煩わしい上に、大きい国が小さい国を追い込むな、などと突拍子もなく語らせるのは不快感を催した。こういう誰の意向を斟酌したのか不明な主張で話を逸らしてしまうのは、映画というメディアの不自由さなのか作り手の独善性なのか。 もう一つ、公開時に見て気になっていたのは、ラスト近くの「こんな時間に開いてる店あります?」「何でもありだよこの街は」というやり取りである。これがどこまで現実味のある話なのかわからないが(東京だとあるのか)、そういうのこそが世界に誇れる日本の底力だ、と言いたいのなら話はわかる。 [2020/02/13変更] ニュージーランド映画「米中開戦 20XX年:悪魔のシナリオ」(2019)との相対関係でマイナス1点とする。 [2020/07/27変更]「みんなのコミックレビュー」に原作のレビューを掲載したので、この機会に映画の方をさらにマイナス1点とする。
[映画館(邦画)] 3点(2019-05-25 10:53:16)
411.  旅猫リポート 《ネタバレ》 
大変申し訳ないが全く好きになれない映画だった。 まず、映画ならときどき見るがTVドラマは見慣れていないので、笑えないドタバタとか過剰に苛立たしい人物表現が気に障り、序盤の30分くらいで好意的に見ようとする気が完全になくなった。ドラマとしても底が浅いようだが、とりあえず登場人物が声をあげて泣くことで観客を泣かそうとするのはやめてもらいたい。 またアニメならともかく動物の擬人化を実写でやるのは嫌いだ。ネコの姿をしていても、人と同じようにものを考える生物などネコとは思えない。ネコとヒトは違う動物であるから考えることも違うと思うのが基本であって、それでもちゃんと接点が生じるから家族扱いされるのである。少なくともうちのネコ(2匹)は絶対にこんなことを考えていないと断言するが、このように人間側の思いや都合をネコに投影しようとするのが世間の常識ならこっちが野暮ということになる。 ちなみに最後まで責任をもって飼うという発想も登場人物にはあったようだが、野良化させてもいいというのでは厳しさがない。自分としては、戸が締まった家の中で食い物がなくなって仕方なく腐乱死体を食って腹を壊すようなことがないように、ネコ(2匹)より先には絶対死なないことが人生の目標になると思っている。ネコに看取ってもらうなど筋違いだ。  以上により、2点は少し厳しすぎるかも知れないが好きになれないので仕方ない。 なお細かい点として、足元にネコがいる(という想定の)場所でヤカンを落とすのはやめてもらいたい。またあの墓園(若松区)から南西方向に虹は出ないのではないか。好きな女優は特に出ていないが、広瀬アリスという人は最近嫌いでない。高校生役は無理があるがそれをいえば他の男連中も同じだ。
[DVD(邦画)] 2点(2019-05-18 09:57:30)
412.  私は猫ストーカー 《ネタバレ》 
主人公があまりに変人で見ているだけで恥ずかしい。ネコの姿を見逃さないのはいいとして、境界線が入り組んだ古い街で私道だか住宅敷地だかわからないところまで平気で入っていくのが尋常でない。自分ならせいぜい道端にいたときに「ニャン」とか「ネコ」とか声をかけて(人がいない場合)目で追う程度なのでここまで変ではない。 場所はエンドクレジットに出ていた「谷根千」を中心にして北は西日暮里、南は不忍池あたりまでだったようで、そのうち谷中は由緒ある“猫の街”らしい。何気なく古木とか「諏訪台」などちょっとした名所も出ており、風景に変化があって由緒もあるこんな所に住んでみたいものだと思ったがそんな機会は当然ない。なおジャズピアニスト関連の「猫返し神社」というのは本来別の場所のことらしい(東京都立川市)。 またその辺に生息する普通のネコ連中には和まされた。人とのからみでは、主人公とネコが並んでカメラを見ているとか、気まずい雰囲気の中で古書店の妻が延々とネコをじゃらしている場面は笑った。役者がネコの動きに合わせて適当にアドリブしていたのだろうと思われる。  物語に関してはよくわからなかったが、主人公が元彼の件で落ち込む一方で、これからは新米ストーカーが狙った相手に近づこうと試行錯誤する過程が続くのかと思った。古書店の夫婦もこの機会に仕切り直しをしたのだろうし(多分)、誰にでもある「知らない時間」を許容しながら緩い関係を続けるのがいいのだとも取れる。 ただし宣伝文句の「人も猫もみんないつかはいなくなってしまうから」によると、古書店の看板猫と同じように、ネコも人もみな基本的には通りすがりの関係であって永続するものなどないということなのか。それだとネコはともかく人にとっては寂しい世界観になってしまうが、とりあえず手を触れることのできる今この瞬間が大事ということはあるかも知れない。 終盤、街の風景をイラストに置き換えて、至る所にネコを内包した街が表現されていたのも嫌いでない。よくわからないのはともかくとして、あるがままのネコを愛でる気持ちには共感した。  なおこれが現代の話だとすると、失踪して困るなら初めから外に出すなとか、公園での餌付けは非常識だとか非難されそうだ。製作時点の感覚も今とそれほど差はなかったのではと思うが、今後はこういう映画も作りにくくなるのではと思われる。
[DVD(邦画)] 7点(2019-05-18 09:57:28)
413.  しまこと小豆島 《ネタバレ》 
香川県の銀行に勤務しながら映画を撮っている香西志帆監督のショートムービーである。香川県の小豆島のPR映画のようなもので、現地の青年会議所が中心になって製作されたものらしい。「岬の分教場」「エンジェルロード」といった島内の名所が映るほか、劇中に出る写真は小豆島町観光協議会主催の「小豆島の宝 魅力の景観24選」のフォトコンテストの入賞作を使っている。  物語としては、母親を亡くして父親と2人だけになった娘(高校生?)が父親の再婚相手と心を通じていく話である。再婚相手が好人物であることは娘本人が最初から認めており、結末がどうなるかを心配するようなものでは全くない。 主人公が心を開くにあたって大きな影響を及ぼしたのが小豆島の自然環境だったという話だろうが、島にいると境界線がなくなる、という説明は感覚的によくわからない。なくなるというよりすぐそこに境界線があるだけではないかと思ったが、そのことよりもどちらかというと、日に2回つながるという陸繋島(弁天島、その先に中余島・小余島・大余島)が象徴しているものの方がわかりやすいと思った。 主演の吉田まどかという人は東宝芸能の所属で、あまり派手に売り出してもいないようだが、少しずついろいろな映画やドラマに出ているらしい。この映画では拗ねたような表情がいじらしく、少し大きく感情を出す場面では泣かされるところもある。時間が短いのに加えて主人公の印象もあって、愛らしい小編というイメージの作品ができていた。  ちなみに主人公の父親が脚本家で、その再婚相手が女優という設定は必然性不明だが珍しい。「銀行員 竹井薫の旅情事件簿」というドラマの主演をしていたようだが、例えばサスペンスドラマの女王のように言われて日本で広く親しまれている女優という設定だったものか。「銀行員」というのは監督がそうだからという程度のことと思われる。
[DVD(邦画)] 6点(2019-05-11 11:16:19)
414.  恋とオンチの方程式 《ネタバレ》 
香川県さぬき市のご当地映画である。2002年に5町が合併してできた比較的新しい市だが、その中でも旧津田町の海辺にある「津田の松原」が重要ポイント扱いになっている。また「讃岐うどんバーガー」というのも最寄りのサービスエリアで提供されているものらしい。それ以外の場所としては「志度音楽ホール」(旧志度町)というのも使っていた。 監督は香川県の銀行に勤務しながら映画を撮っている香西志帆という人で、この映画は監督第2作ということになると思うが、今回は本広克行氏(香川県丸亀市出身)が関わっているせいか、第1作よりキャストに名の知れた人が多くなっている。また前回は「脚本と監督と撮影と編集」を一人でやっていたが、今回は撮影を別人が担当している。  内容的には「コミカルでキュートなほんわかラブコメ」だそうで、少女マンガ的というかドジな主人公と男2人の三角関係の構図の中に、主人公が生来のオンチ(の前にリズムンチ)を克服する成長ドラマを加えている。男女の物理的なからみが全くない清純派ラブコメなので子どもに見せても全く支障ない。またコメディ色も強いがアホすぎて大笑いというより失笑レベルだが、失笑続きだったので全体的には結構笑ったかも知れない(音響会社の高橋という男が目立っている)。 最終的にどうなるかはほとんど想像がつくわけだが、それまでの途中経過は尋常でない。バスガイドの話かと思うと突然ご当地アイドルの話に移行するので世界観が覆ったような印象があり、また登場人物に関係するサプライズ要素が2つもあって、それで素直に驚かされるというより呆れてしまう。特に終盤は何か食い違ったような展開で、ここは大物歌手の登場をうまく取り込めていないのではという気もしたが、そのせいで最後まで予断を許さない映画だったとはいえる。ただラストの締め方だけは正直呆れた(この顔を見せて終わりなのか)。個人的には「中学三年生」(1973)というのを聞きたかったが。  そういうことで変な映画を見てしまったという思いは残ったが、娯楽と割り切ればそれほど問題ない。見どころかが何かは何とも言えないが、「キュートな」部分といえば40代(1)、30代(1)、20代(2)の女子4人によるアイドルステージということになる。吉田羊さんかわいい!とか言ってみたくなるが、本心では大塚千弘という人が一番可愛いと思った。
[DVD(邦画)] 5点(2019-05-11 11:16:16)
415.  猫と電車 《ネタバレ》 
香川県の鉄道会社「高松琴平電気鉄道」の100周年記念企画の映画である。主に高松市とその周辺が舞台で(琴平までは行かない)、着ぐるみキャラやご当地アイドルでもPR色を出している。「脚本と監督と撮影と編集」を担当しているのは香川県の銀行に勤務しながら映画を撮っている香西志帆という人で、これが監督第1作とのことである。 題名にネコが入っているがストーリーにはあまり関係なく、主人公が「野良猫ガール」だということと、幼少時から「にゃんこ先生」を頼りにしてきたところがかろうじてつながっている。また劇中でその辺に生息するネコの映像を脈絡なく映していたが、これは現地在住の監督が映画のために撮っておいたものらしい。電車に関しても、直接関係するのは終盤の「キャラクター電車」くらいだが、街中の風景で、アーケード商店街(片原町)を分断して電車が通っていたのは場所性の表現としてよかったかも知れない。  お話としては、少なくとも前半は普通に楽しい。絵本のようなイラストやインテリアの色彩感、ダンボール城などがメルヘン調の雰囲気を出している。コメディとしてそれほど大笑いするところはないが、「お一人様で琴電」といった類の微妙な可笑しさは嫌いでない。主人公の哀れっぽい顔も笑いを誘うところがある。 後半に入ると次第に深刻な話になってしまうが、最終的には万引き兄弟の事件がきっかけで、主人公の抱えていた問題点(主に2つ)が解消したらしい。終盤に説明が集中しすぎてわかりにくく、見る側が自発的に補足しなければ極端に都合のいいハッピーエンドにしか見えないのは困るが、主人公にとっての「いちばんしあわせな思い出」の真相が実は切ないものだった、という点はよかった。最後のサプライズはもとの状態に戻るためのものではなく、既に始まった新しい人生へのエールだったと解しておく。  出演者に関しては、姉役の藤真美穂という女優は別として、役者として少々心許ない感じの人も多い。主演の篠原ともえという人も本業の女優ではないだろうが(初主演とのこと)、この人の存在感だけでも映画が成り立つ気はした。主題歌(オープニング・エンディング)と挿入歌1曲もこの人が歌っているが、主題歌のMVを見ると普通に艶っぽい美女に映っているのが意外だった(こういう人だったか?)。
[DVD(邦画)] 6点(2019-05-11 11:16:14)
416.  いつも月夜に米の飯 《ネタバレ》 
監督の名前は「おんなのこきらい」(2014)で憶えていたが、それが理由で見たわけではなく、竹富聖花(現・春花)という人が脇役で出ているので何をしているか見ようとしただけである。デレっとした感じで食い物をうまそうに食う美女モデルで、主人公の行動に大きな影響を及ぼしてから去ったらしいがいい影響だったかは何ともいえない。 ちなみにどこがPG12なのかが気になっていたが、未成年が飲酒するからという単純な理由か、あるいはカラオケでの婦女暴行が出るからか。その辺のチャラい男とラブホに行っていたあたりはそれほど問題ではないかも知れないが、とにかく地元民でも小学生(だけで)は見てはなりませんということになる。  宣伝によれば「ごはん映画」とのことで、料理または食材を題名にした5章を立て、それらしい食物を映像化しているので料理映画といえなくはないが、それよりはこれから長く続いていく人生の一場面を描いた映画という印象が強い。人が飯を食うという行為が人生そのものを象徴し、誰かと生活をともにする、一生添い遂げるといったことの表現にもつながっていたのでまとまりはなくもない。 最後はハッピーエンド風なのでこれで万事うまくいったと取れるのかも知れないが、しかしエンドロールの後の場面が題名そのままなのは「実際はそうはいかない」(公式ページの解説より)という意味であり、19歳女子(中卒)が40男と一生添い遂げるはずがないという常識そのままのことを示唆していると思うしかない。要は母親似の娘が、母親への対抗心で男を奪い取った一場面の話だったとすればかなり皮肉な映画ということになる。 決して中身のない映画とも思わないが、しかし自分として最大の問題点は共感できる要素が全くないことである。もうどうでもいいから勝手にしてくれという気分で、時間的には104分しかないが非常に長く感じた。  以下雑談として、撮影地は新潟県五泉市とのことだったが、アーケード商店街を見る限り、もとの五泉の中心街ではなく2006年に合併した旧村松町の中心街を映していたらしい。ここは村松藩堀家3万石の城下で、相応の由緒ある町ではあるが、映像的にはそれほど行ってみたくなるように見えてはいなかった。ほかに目立つところでは日本海に面した寺泊(旧寺泊町、2006年以降は長岡市の一部)の店が出ていたようである。
[インターネット(邦画)] 4点(2019-05-03 08:21:03)(良:1票)
417.  俺物語!! 《ネタバレ》 
原作・アニメとも見ていない。題名とポスターの顔からして視野狭窄の自己中男による一途というより手前勝手な恋物語といったものかと思って敬遠していたが、実際見るとそうでもない。序盤でいきなり主人公の人物像が強力に印象付けられてしまい、以降は男の立場としても躊躇なく完全に主人公の味方になる。 人格的に自己中の対極なのは非常に共感できるものがあり、また屋上に放置していた握り飯をその後に全部食ったところなどは素直に出来た男だと褒めたくなる(食器をどうしたか不明だが)。こんな奴は実際あまりいないだろうが、男子の理想形の一つとして正直憧れるところはある。その親友も悪い奴ではなかったようだが少し都合のいい人格設定に見えた。  前半はとにかく主人公の顔を見ているだけで大笑い続きで、見当違いのことを言っているのにわけ知り顔の場面などは爆笑した。 事前に映画紹介の文章をまともに読んでいなかったため、この男が愚かにも女子に惚れられたと勘違いして恥ずかしいことをやりまくるのかと思っていたら、実は違っていたというのは非常に意外な展開だった。それ自体は大変いいことだが、しかし最終的に相互片思いの状態が解消されるまでがかなり迷走状態で、なんでそうなるのか???という極端なすれ違いの繰り返しには少し呆れた。原作の最初の方だけで映画1本としてまとめたということだろうが後半どうも間延びした感がある。 終盤の種明かしが慌しいのはいいとして、最後の野外パーティーなどはいかにもマンガっぽいので少し引いたが、そこは少女マンガ原作映画だから仕方ないか。こういう終わり方自体を悪くはいえないのでよかったということにしておく。  ちなみに撮影は仙台市が中心(一部は柴田町)だったようで、あまり仙台ならではの風景というのはなかったが、丘陵地に広がる住宅地というのはそれらしいといえなくもない(丘陵地に囲まれる形で伊達家が城下町を造ったため、近代以降の都市の拡大により隣接の丘陵地が市街化したということ)。背景には太白山も見えていたようである。
[インターネット(邦画)] 6点(2019-05-03 08:21:01)
418.  脱脱脱脱17 《ネタバレ》 
現在は女子大生監督になっている松本花奈という人が17歳の時に撮った映画とのことである。 ジャンルに「音楽」が入っているのは、映画と音楽のコラボレーションによる映画祭「MOOSIC LAB」に出品されたからで、コラボの相手であるガールズバンド「the peggies」の北澤ゆうほ(ボーカル+ギター)という人が実質主演もやっている。MOOSIC LABでの上映時には78分だったそうだが、アマゾンPrime Videoで見られるのは108分バージョンである。ちなみに「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2016」で受賞もしている。  内容としては17歳の高校生女子と、17年間高校に在籍していた男の2人がそれぞれ「脱」をやりとげる話と思われる。女子高生がストリップ劇場の舞台に立つという刺激的な場面もあるが4回脱ぐわけではない。 2人のうち女子に関しては、話が複雑でどうも簡単にまとめられない。自分が自分でいるためには自分をしっかり持つ必要がある、しかし他人との交流を遮断してしまっては得られないものもあり、それも一方通行ではなく互いに本当の姿を受け入れ合うこと、また心から自分を思ってくれる相手や、心から相手を思うことも大事だ、というような感じのことが連なっている印象がある。それで自分として何か刺さるものがあったかというとないわけだが(主に年代の関係で)、しかし一定の内容をそれなりのインパクトをもってぶつけて来ようとしているとは感じられる。母子関係がどうなったのかよくわからなかったが、要は自立した個人として向き合う準備ができたということか。 一方で男については、見た目からしてこんな奴に肩入れしてやる義理はないと突き放したくなるところだが、しかし自分としても男子であるから、夜の海岸で主人公女子にかけた言葉は素直に心に響いた。否定的に言われる場面もあったが、単なるバカということでもなく基本は誠実な男だったらしい(キスは許せない)。 ほかちょっとした場面だが、夜空に星が2つ飛んで来たところは若干泣かせるものがあった。マリアという人がその後どうしたのか不明瞭なのは残念だ。  なお実質主演の人は、歌は本業なので当然できるとして、外見的にも童顔ながら大人っぽいカワイさがあって目が離せない。チャップリンからのやりとりなどは自然にうまい感じに聞こえる。また教育実習生の人物造形も結構好きだ(かなり可笑しい)。ちなみに監督本人もセーラー服姿で一瞬出ていたようだった。 [追記]見てから少し時間が経つと何だか愛しい映画に思えてきた。年齢的には対象外だろうが。
[インターネット(邦画)] 7点(2019-04-27 10:23:56)
419.  17 SEVENTEEN 《ネタバレ》 
家庭環境に恵まれない素行不良の高校生が、覚醒剤の販売に関わってしまって後戻りできなくなり、それが転落の第一歩になったという話である。英題とエストニア語の原題は同じ意味で、主人公の回想による物語であることを示している。原作小説の題名は”Mina olin siin. Esimene arrest”だったようだが、後半の部分は「最初の逮捕」という意味なので、主人公の先行きが暗いことも示唆されている。薬物以外の犯罪描写もあり、犯罪体験記というか犯罪指南のように見えるところがある。 ちなみに2001年(多分)に、エストニアで麻薬が蔓延して大人だけでなく少年少女にも被害が及んでいるという内容のNHKの番組を見たことがある(故・後藤健二氏の取材によるもの)。それはエストニアに多く居住するロシア人の話だったが、この映画の登場人物はエストニア人だけらしい。  この映画で問題だと思うのは、観客に何を感じてもらいたいのか全くわからないことである。主人公が高校生に見えない(役者は当時27歳くらい)のはいいとしても、観客が共感を寄せたくなる人物像ではなく、また医者志望とのことだが頭がよさそうでもなく、できもしないことを勝手に妄想しているガキのように見えるので、その後の転落人生に心が痛むこともない。 また社会的な面では薬物の乱用や犯罪組織の存在、家族の性的虐待といった未成年を取りまく有害な環境を告発しているとも取れるが、しかしその手のことは他の先進諸国でも当然あるだろうし、程度の差はあれ日本でもあると思われる。自国内向けならともかく外国人にとっては今さらという感じで、ここでもそうなのかと聞き置く程度のものでしかない。 そもそもエストニアが他の欧州諸国と比べて社会問題が深刻だというようなことがあるのかどうか不明だが、もしかするとその辺で目につく悪事を殊更にあげつらってこれが世間のリアルだと騒ぎ立てる中二病的露悪趣味の映画なのか。または、みんな幸せに暮らしていると思っているエストニアでも、こういうinvisible peopleが存在すると告発して国際社会の歓心を買おうとしているのか。 何にせよ自分にとっては受け取れるものが乏しい映画だったが、しかし原作あっての映画なので、映画だけでは読み取りにくい部分があるのかも知れない。事情のわからない外国人がどうこういうのも何なので、現地の人々がどう思ったのか知りたいとは思った(ネット上で少し探したがエストニア語のGoogle翻訳がわかりにくい)。
[DVD(字幕)] 3点(2019-04-27 10:23:54)
420.  未来のミライ 《ネタバレ》 
公開時から悪評ばかりで全く見る気がしなかったが、米アカデミー賞ノミネートということで試しに見た。見ればそれほど真に最悪な映画でもなく、主人公の声も変だが慣れた(上白石萌歌さんの今後に期待する)。登場人物がやかましいとか気に障るとか言動が4歳児でないとか顔のデフォルメが極端なのは嫌いだとかいろいろあるが、どんな映画でも(特にアニメは)我慢を強いられる場面というのはあるものだ。主人公の家はそのうち高齢者用にエスカレーターでも設置しなければならなくなるだろうがそれは後の話だ。 物語に関しては、それまで主人公にとって自分が世界の中心だった状態から、周囲の空間的・時間的な広がりの中で自分の位置を捉えるに至った最初の体験という、いわば世界認識の転換(コペルニクス的転回のようなもの)が描かれているのかと思ったが、最後の庭の木の話からすると生命の連鎖のようなものがテーマだったということか。しかしどういう意味にしても、それを誰に見せようとしているのかはわからない。幼児が当事者意識をもってこれを見るはずはないので、要は親も子に育てられる面がある、といったようなことなどを含めて子育て世代そのほか思い当たる人々の共感を得たいという話なのか。何にせよ自分としては対象層から外れているので特に愛着を覚えるようなものではなかった。  なお主人公の行き先で少し注目したのは戦後すぐの横浜市磯子区(※)で、考証的にはどうかわからないがこういう景観だったのだろうなとは思った。世間の評判通り曽祖父は格好よすぎだ(「おら」というのが微妙な方言だ)。ちなみに復員輸送艦になっていた第九号輸送艦と航空母艦鳳翔が映っており、その鳳翔の解体が始まった昭和21年8月末までの間のことだったと思われる。 また未来の東京駅は結構好きだ。外国語表示の言語数が増えている(北東アジアばかりでない)のは好ましいことだが、ただし繁体字が見えなかったのは不穏なものを感じる。遺失物係は劇団イヌカレーかと思った。ケモノ新幹線に関しては、外皮の手触りを確かめてみる場面がなかったのが残念だ(モフモフかゴワゴワか)。 ※東京駅のアナウンスでは「いそいそ区」とか言っていた。
[インターネット(邦画)] 5点(2019-04-20 14:58:41)(良:1票)
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