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かっぱ堰さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1244
性別 男性
自己紹介 【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。
【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。
【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。
5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。
また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。

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461.  生きてるものはいないのか 《ネタバレ》 
舞台劇のように見えるが実際そうだとのことである。初演が2007年というわりに、マサヒコという男がマッチと呼ばれていたのはかなり古い時代のものに見える。 背景設定について真面目に考えるのは無意味かも知れないが、人々が次々死んでいく状況自体は原発事故を思わせるものがある。しかし死に方は放射線障害のイメージではなく、そもそも元になった戯曲は震災前からあり、映画の撮影も2010年だったようなので関係ないらしい。また劇中の都市伝説の真偽に関してもよくわからなかったが、それより結局、入院患者の期待が実体化した形で終わったのではないかという印象が強い(少し前に見た別映画の「だからみんなも死んでください」のような感じ)。  内容的には序盤の女子3人と三角関係の3人の会話が単純に面白いが、特に三角関係の男はこういうのが近場に本当にいるので他所事とは思えない。この男の人格や風貌が役柄に全くそぐわないのも不条理で、ここはコメディにふさわしい茶番感を出している。ただしそういう流れで見ようとすると、後半はそれほど可笑しいところもないようで退屈になる。 その後半では、死に際して人は何を思うのか、ということが描写されていたらしい。皆さんそれぞれこだわりがあったようだが、生きていること自体に執着するものがいないのはあまりにも軽薄な印象だった。人が死ぬのは当たり前だから今死んでも同じこと、というのは間違っていないにしても、それは現時点で何も背負っているものがなく、かつ今しか見ていない人々の発想である。劇中最も生きることに執着していたのは入院患者だったはずだが、この人物の存在が“生きろ”的なメッセージにつながっていたようでもないのがあくまでとぼけた感じを出していた。  なお登場人物では(女子限定でいえば)、個人的には序盤の女子大生3人(高橋真唯・田島ゆみか・池永亜美)に好意的なのと、掃き溜めに鶴という風情の病院スタッフ(青木英李)が目を引いた。どうせ最後と思えば付き合ってくださいくらいは言ってみたくなるが、断固拒否だったのも最後だからこそのこだわりがあったということか。
[DVD(邦画)] 6点(2018-12-22 18:54:25)(良:1票)
462.  シムソンズ 《ネタバレ》 
「本当にあった最高の青春ストーリー」と書いてあるが、かなりウソくさい映画である。チームのメンバーにはそれぞれモデルになった実在の人物がいるとのことだが、いくら何でも本物の選手がこんなバカだったはずはない、とか思ってしまうと劇中の人物像が素直に受け入れられなくなる。また実際にオリンピックに出たチームだと思うからこそ大会で勝ち上がる展開が正当化されるものの、実際見ていると、こんないい加減な急造チーム(大会まで何カ月だったのか?)に負かされる対戦相手が可哀想になる。全体的に実話から補強されていながらも、その実話(現実)との間の違和感が足を引っ張る感じの映画になっている。  しかしそういう点を完全度外視すれば普通に楽しく普通に感動的なドラマである。当初の「楽しんでやれ、そして勝て」という方針は明快だったが、どうやら本当に最後までその通りにしようとしていたらしい。公開当時は「ウォーターボーイズ」(2001)や「スウィングガールズ」(2004)と比較されることも多かったようだが、この映画は最後に盛り上げるだけで終わりでなく、未来につながる形に作ってあるので物語としてまともといえる。あえて勝利者が賞賛されるラストにしなかったのも悪くない。 チームの4人がそれぞれ美形または可愛いのは出来すぎのようでもあるが、今年のオリンピック日本代表がまた別種のかわいさで評判になっていたこともあり、この点はそれほど非現実的ともいえない。キャストの中で個人的には、以前に「妖怪大戦争」(2005)を見た関係で高橋真唯(当時)という人に目を引かれてしまう(それほど可愛くもないが嫌いでない)。ちなみに決勝の対戦相手は、女優の派谷恵美さん以外は本物の選手だったとのことである。  余談として、この映画が撮影されたのは2005年の11~12月、公開は2006年2月18日だが、映画制作に協力した常呂町は公開直後の2006年3月5日に周辺3市町と合併して新・北見市の一部になり、この映画が町として最後の大きなプロジェクトだったとのことである。映画で披露された北海道方言は「…べ」「したっけ」程度だったようだが、今年の流行語大賞になった「そだねー」も当時から言っている人はいたかも知れない。
[DVD(邦画)] 5点(2018-12-22 18:54:23)
463.  劇場版 東京伝説 歪んだ異形都市 《ネタバレ》 
前作「劇場版 東京伝説 恐怖の人間地獄」と同時制作で、同じく5話オムニバスになっている。 【ぬいぐるみ】 話自体は目新しくもなく単にくどいだけ。主演は中島愛里というカワイイ系美女。 【野外】 これのどこが東京なのか(奥多摩か)。主演は劇団に所属している小野川晶という女優だと思うが、公式プロフィールの写真よりも肉付きがよく見えてユニークな印象がある(好意的)。 【素振り】 自分で部屋に連れ込んだのでなければ単なる夢オチ。主演の堤千穂という人は舞台に出ていることの多い人のようで、最初は脚ばかり見せられるが(悪くはないが)、ラストのとぼけた顔はかわいく見える。 【廃墟】 映像製作マニアは頭が変だと思わせる話になっている(「カメラを止めるな!」の対極)。主演は黒川芽以と同じ事務所の秋山タアナという女優で、あか抜けなく見えるが本来はカラっとした感じの美女らしい。 【ホテル】 黒川芽以に危害を加えようとする者には死んでもらいたい。  一番怖いのは人間、というコンセプトなのだろうが、単に荒唐無稽で面白味もない独りよがりの作り話に終わっている。ただし最終話は、異常さの程度は別としてこういう体質の人間は実際その辺にいるわけなので、現実味がありすぎて単純に不快である。不快なこと自体に価値はないので、要はやられる立場ではなく、他人がやられるのを見て楽しみたい、または自分でやりたい立場(自分がやられるとは思っていない)に奉仕するものとして作られたと思うしかない。ちなみにここは0点がつけられるのでありがたい。  付記:あえて心霊を排除した映画のはずだが、黒川芽以が初日舞台挨拶の時に、自分は霊が見えるとか言い出して体験談を語ったというのを読んで笑った。単純にホラーつながりで話したのだろうが映画の趣旨がわかっていないのではないか(笑)。
[インターネット(邦画)] 0点(2018-12-16 17:29:26)
464.  ねこにみかん 《ネタバレ》 
和歌山県有田郡有田川町のご当地映画である。 まず題名との関係でいえば、ネコは1匹出る。また登場人物がミカンを食う場面がやたらにあるが、皮をむきかけて半端になる例が多いようで気に障る。ちなみにこの題名は「ネクロノミコン」を思い出させるので印象がよくない(ホラーかと思う)が、その言葉を知らない人間が多ければ支障ないかも知れない。  基本設定としては17年前に、当時35歳の男が妻(連れ子あり)を亡くした心の痛手を癒す名目で、30歳、25歳、18歳の女3人を同時期に妊娠させたことになっている(妊娠しなかった、あるいは男に黙って堕胎したのはもっといたかも知れない)。その関係者が今も一つの家に同居しているという突飛な状況で、劇中でも「一夫多妻」という言葉が使われている。 その上で、この映画で何がいいたいのかは正直わからない。「ちゃんと迎えてあげる」という言葉が大事そうには聞こえたが、そのことをこういう事例をもとにして訴える必然性はなく、そもそも皆がこの“家族”を維持しなければならないと思っている理由が全くわからない。普通にいう家族の有難味ということよりも、家族に関わる固定観念を破壊してみせることの方が主目的に見えたが、それなら今となれば「万引き家族」(2018)でも見れば自然に納得する。黒川芽以という女優は嫌いでないが、もう少しまともな映画に出てもらいたい。  ところでこの状況について、登場人物も“普通でない”とさかんに言っていたので、有田川町とか旧有田郡域とか和歌山県全部とかでこれが普通なわけではないことが一応アピールされてはいたようである。しかし先日死去した和歌山県田辺市の実業家のイメージなどからすれば、そもそも内縁の妻の存在を自慢する感覚とか、社会の枠に縛られない性的な自由を容認する風土がこの地域にあって、それを全国に認めさせたい承認欲求でもあるのかといった想像が広がる…本当にそう思っているわけでもないが、ともかくこういう映画が地方政界その他の絶大な?支援で製作されたのを見ると、日本もいろいろ多様性のある国だと思わせるものはある。 なお最後によかった点を書くと(かなり局部的だが)「なに忘れたん?」「言い忘れ」というやり取りは気が利いた感じだった。また主人公の父親の言動はマンガのようだったが、最終的な割り切り方は好きだ。相互理解が不可能なら断絶するしかない。
[DVD(邦画)] 3点(2018-12-16 17:29:23)(良:1票)
465.  テツワン探偵ロボタック&カブタック 不思議の国の大冒険<OV> 《ネタバレ》 
東映特撮番組「テツワン探偵ロボタック」(1998~1999)の特別編である。当時は当然見ていなかった。 見た目は1970年代の「がんばれ!!ロボコン」のようでいかにも小学生向けの番組だが、宇宙刑事に始まるメタルヒーローシリーズに属するという考え方もあるらしい。確かに、いつもは呑気なロボコン風ロボットでも、危機が迫ると少し格好いい戦闘形態に変化して(CGで)アクションをこなして火薬も爆発するのは東映特撮ヒーロー物のパターンになっている。また現在もあるように、前作の「ビーロボカブタック」(1997~1998)との共演形式になっており(いわゆる「クロスオーバー」)、本編とは全く違う異世界設定にしてあるらしい。  物語としては、悪徳国家の悪徳大統領が隣国の王女(美少女)を「キャワイイ~」という理由で拉致して嫁にしようとした(これは許せない)のを、正義の主人公が阻止する話になっている。主人公にとっては切ない恋物語だが、同時に正直者が馬鹿をみる類のありがたい教訓を残す話である。全般的に見る者を笑わせるように作ってあり、「おれの妻になるのだ」との横暴な発言に対し、健気な王女が決然と「身体を奪うことはできても…」と真顔で答えたのは(申し訳ないが)爆笑してしまった。当時から大人の目を意識しながら作っていたということか、あるいは小学生向け番組を見て笑っている大人はおれだけか。 またこの特別編ではレギュラーが普段と全く違う役柄で出ていたようで、本編を知っている人ならそれ自体が面白かったかも知れない。岡っ引きの親分をやっていたのは後の黒川芽以(当時から黒川芽以)で、「番屋でゆっくり話を聞こうか」という台詞はいわゆるタイホしちゃうぞという意味と思われる。ただこの当時は普通の小学生女子のように見えて、顔もほっそりして黒川芽以らしくない。 ゲスト出演者では、ほとんど同時期の「がんばっていきまっしょい」(1998)で“ヒメ”役だった清水真実という人が出ている。このビデオでは本物のお姫様役で、「がんばって…」のようなあか抜けない地方の女子高生ではなく正規の美少女になっている。そのほか国王役で出ていたのは、1980年代に「夢見るぞ」で一世を風靡した赤星昇一郎という人物だった(知っている人は知っている)。
[DVD(邦画)] 6点(2018-12-16 17:29:21)
466.  キスできる餃子 《ネタバレ》 
餃子といえば常識的には宇都宮と浜松だろうが、これは宇都宮の方の映画である。個人的には別にどちらを応援する義理もないが、これを見ると地元でも相当PRに力を入れているらしいとは思う。ただネット上では「浜松餃子まつり2018」といったイベントの記事も見られたので、両者なお競り合っているということらしい。  映画としては同じ監督の「クハナ!」(2016)に続くご当地映画の第2作とのことで、前作のような爆笑続きでもないが、題名で端的に表現されたようなラブコメ調の人生ストーリーと餃子PRを兼ねたものになっている。 物語としては、要は人間の活力の源泉をどこに求めるかという話だったらしい。主人公の父親の、技術よりもっと深いところまで刺さる鋭い指摘には感銘を受けた。ラブストーリーとしての結末は不明瞭なようでもあるが、要は活力の源泉としてのイケメンを実生活から分離した点が今回の革新の中核だったと解される。ほか餃子に関しては、まずは積年の課題だった「デートできる餃子」を達成した後に、主人公の本質をより強力に表現した「攻めの餃子」が登場し、さらにその先に題名の餃子があったと思えばいいのかも知れない(少し整理が難しい)。 また一方では、製作上の都合によるのだろうから絶対悪いとも言わないが、宣伝臭がかなり強い映画である。「特別協賛」の会社が前面に出て来て代表取締役社長も顔を出すほか(政治家よりマシだが)、餃子に限らず各種事物のPRをやたらに詰め込んだ印象があり、「ルルルンのとちおとめ」とは一体何だという感じだった(フェイスパックの商品名らしい)。映像上のPR以外にも協賛企業がタイアップ商品を出すとか、JRの誘客事業である2018栃木DCにからめたイベント列車「キスできる餃子号」を走らせるなど各方面での動きがあったようである。ちなみにホリプロの宣伝も兼ねた形になっていたらしい(地元出身の佐藤美希という人が本人役で出ていた)。  最後に個人的見解として、この映画の最大の価値は何といっても足立梨花さんである。少し前は女子高生役だったが今回はいきなり男に懲りたシングルマザーで、男をぶん殴って蹴りも入れる硬派なところと、円満で優しい笑顔を両極にした女優の魅力が全開状態だった。これまで見た範囲では「傷だらけの悪魔」(2017)とこれがあだっちぃー映画の双璧である(両方とも主演だから当然だが)。そのほか子役も笑顔に愛嬌があって和んだ。
[DVD(邦画)] 7点(2018-12-10 19:57:59)
467.  劇場版 東京伝説 恐怖の人間地獄 《ネタバレ》 
5話オムニバスである。 【立ち読み】問題外、何も迫って来ない。足立梨花さんの顔をじっくり見るだけ。ネットカフェというのに入ったことがないので物珍しい。 【エンスト】何が面白いのか。撮影地は茨城県石岡市宇治会という場所で、北に走れば100mも行かないうちに人家の集まったところがあったはずである。主演は藤澤志帆という人で、小柄でキュートな感じの女優さんだが、できればこういうのでないところで見たい。 【ネックレス】題名に意味があるようだがだから何だ。ちなみに撮影地は静岡県富士宮市西小泉町にある公園。主演は真凛という人で、就活スーツ姿と顔の雰囲気に少しギャップのあるところがいい。 【夜道】こういうのをやりたかったのは一応わかったがそれだけ。主演の林裕子という人は、現在は結婚・出産して引退とのこと。性的倒錯をイメージさせるエピソードのため、短いスカートの脚を少しエロく見せている。 【食べてはいけない】一応見たがだから何だ。主演は鵜飼真帆という人で、ちょっと年増な感じで出ている。役としては部屋に来て「あたしで大丈夫ですか」と聞くような職種だが、この人なら歓迎だ。  人間の怖さを追求する企画のはずだが、単に心霊が出ないというだけでリアリティも何もなく、怖いと思うところも全くない。また宣伝文句の「大都会東京を舞台に」という方向性が一貫しているわけでもなく、静岡県の都市公園はともかく茨城県の薄暗いGSでは意味が違って来る。平山夢明氏の「東京伝説」シリーズはごく一部読んだことがあったかも知れないが、さすがにこんな話だったかどうか。 脚本・監督・編集を1人でやっていて、いわば作家性も出ているのかも知れないが積極的に評価はしたくない。一つの場面を長引かせるとか同じ台詞の繰り返しといったくどい趣向にも付き合う気にはならないが、しかしとりあえず女優だけ見ていれば耐えられるという面はある。女優の色気を見せようとはしているが、生の露出に頼らず抑制的なのはよかったかも知れない。
[DVD(邦画)] 3点(2018-12-10 19:57:51)
468.  予兆 散歩する侵略者 劇場版 《ネタバレ》 
「散歩する侵略者」(2017)のスピンオフとして、全5回で放送したTVドラマの総集編とのことである。演劇臭を感じないのはいいとしても、本編と同じSFまがいの設定自体にそれほど面白味はなく、その上に各場面が変に長いので話が前に進まない気がして、冗長な映画という印象は本編よりも強い。ちなみに劇団名に合わせて生き埋めにされた男もいたが、そういうのを面白がってみせるほど好意的な立場でもない。  物語的な面では、観客に説教しようとするような煩わしさはなく、また終盤で「愛」があっさり否定されたように見えたのも結構なことである。ただし本編と同じ話のスピンオフということは、やはり最後に愛は勝つというおめでたい世界観は共有していることになる。 「愛」より重視されていたのは「死の恐怖」のようだったが、今回はそれを知った宇宙人が死んでしまったため、侵略を止める方向には作用しなかったという結末だったのかも知れない。ただしそこで疑問に思ったのは、死の恐怖自体が根源的な存在だというよりも、まずは生物としての生存の本能というのが根底にあって、そこから死の恐怖と共存への努力の両方が派生するのではないかということである。そういう本能を持たない宇宙人が、死の恐怖からいきなり共存への努力に短絡していたのは唐突で説得力に欠けていたが、しかしホラー映画であるからにはとにかく恐怖が重要だと思ったかも知れない(同じ脚本家の「恐怖」(2009)という映画もあった)のでいいことにしておく。  なお気づいた点として、序盤の父と娘はかなり(気色悪いほど)密着度の高い関係だったようで、ここで切り離されたのがかえって幸いだったのではと思った。また侵略の開始が火球とかではなく、地球温暖化による気候変動を連想させる豪雨だったのは、本編のような安手の映像も不要でかつ今日的な意味もある表現だった。 ほかキャストに関しては、特に序盤で空を見ていて振り返った夏帆がかわいい。というか職場で髪を後にまとめた顔がかわいいということだが、そのほか全般的にこの人の見せる表情が最近好きだ(前から好きだが)。[2019/12/14追記]変な男と付き合わなければよかったが。
[ブルーレイ(邦画)] 4点(2018-12-07 18:52:22)
469.  散歩する侵略者 《ネタバレ》 
SFでもなくホラーでもなく舞台演劇の印象が強い。基本設定はSF風でも隙間だらけで骨組みさえまともにできていないようだが、これはそもそも話を作るためのご都合設定に過ぎないわけで、SFでは許されないが演劇なら突っ込まないのがお約束と思われる。ちなみに全体的にコメディではあるかも知れないがどう見てもホラーではない。 やっていること自体もそれほど面白くはないので2時間強を見続けるのがつらい。中盤あたりで最後のオチがもう見えた気がして、どうせそうなら長々と引っ張らないで早く終わらせろと思っていたら、本当にそうなって終わってしまったのがまた拍子抜けだった。 さらに「概念」をネタにして観客にものを考えさせようとする態度が煩わしい。共産主義者は戦争をしない、という主張はどこまで本気だったか不明だが、愛は地球を救うの方は大真面目だったようで、こういうのはもうコメントする気も失せる。 ほか特に好きな女優が出ていないこともあり、自分にとっては単純に取り柄のない映画で終わった(「予兆」の方を見る予定だったので本編も見なければならない気がしただけ)。  ちなみに、そもそも好きになれない映画の解釈を考えるのも何だが思いついたので書いておくと、聖書の記述はともかくとして教会の少年少女や主人公の発言にもあったように、一言で「愛」といっても幅が広すぎて単一の概念としてイメージするのは困難なわけだが、その中で、例えば主人公が宇宙人に提供したのはいわば「与える愛」だけであって、「与えられる愛」は事前も事後も欠乏したまま同じだったということではないか。そこを宇宙人だった夫が一生かけて満たしていこうとするラストだったのかと思った。
[インターネット(邦画)] 3点(2018-12-07 18:52:20)
470.   《ネタバレ》 
以前に「Jホラーシアター」の名前で無料配信されたのを見て以来である。 この監督の映画は見慣れていないが全体的な印象は悪くない。「赤い服の女」は顔がかなり怖いが、変に実物感を出しているのが触れるゆうれいといった感じで、風に乗ってひらひら飛んでいく姿はけっこう気に入っている。また外科医の関連では飛び降りも印象深かったが、特に取調べの場面が、舞台の四方を目いっぱい使った一人芝居のようだったのが印象深い。  ストーリー的にはよくわからないところもあるが、自分としては特に刑事と女2人の三角関係が気になった。刑事の彼女が部屋にいたときに、何かを睨むような顔をしていたので意識(牽制?)はしていたらしく、旅行に行けと言ったのも危険を回避させるためだろうが、しかし刑事が「赤い服の女」を優先して本物の彼女を追い払うような態度だったのは、された方からすれば傷ついたのではないか。それでちゃんと決着つけたにしても、その後になってやっと真相を思い出すというのでは「目の前にいるはずの人が、全然私を見ていない」というのと同じに見える。 恋人とはいえ年齢がかなり違うのは職務上で知り合ったことを思わせるが、心根が優しく諦念が強いように見えるのも昔の境遇を想像させるものがある。刑事を恨んでいたわけではないようだが、ストーカー女よりも自己主張が弱い分、この人の心情を思うと見ている方も心が痛む映画だった(小西真奈美さんも嫌いでない)。  ところで劇中の地図によれば、問題の病院があったのは現在の江東区東雲2丁目の海際のようで、公開当時も今も東京ビッグサイトに至近の場所である。また映像に出ていた場所も、警察署の名前になっていた有明や、近頃耳にする機会の多い豊洲が中心だったように見える。当時としては、要は臨海副都心開発の頓挫で放置状態のようなイメージだったのかも知れないが、今になってみればまた2020年に向けて関心が集まっている地域のはずで、この映画の制作時とは早くも場所感覚が違ってきているのではないかと思われた。 ほか以前から思っていたのは、刑事とその彼女が身長は大して違わないのに顔の大きさが明らかに違うことである。これは男の方を何とかしろというよりは、小西真奈美さんが小顔なことを称賛すべきものかも知れない。
[DVD(邦画)] 7点(2018-12-07 18:52:19)(良:1票)
471.  劇場版 ウルトラマンジード つなぐぜ!願い!! 《ネタバレ》 
2017年の特撮TVドラマ「ウルトラマンジード」の劇場版である。ウルトラシリーズというのはここ十数年間ほとんど見ていないのでまるきり部外者の立場になる。 世界観としては、昭和のいわゆる第2期ウルトラシリーズ以降に定着した兄弟設定を基盤にしているようで、「光の国」をあからさまに映像化していたのは個人的には物珍しい。昔の宇宙人が多く出ているのも見ればわかるが、そういう旧作から継承されたものとは別に、キャラクターの多さや軽さなどに何となく東映特撮風の印象があり、昭和も遠くなったものだという感慨がある。 ストーリーの面では本編を見ていないので何とも言えないが、TVシリーズが一通り終わっているはずなのに主人公がまだ「ウルトラマン失格だ」などといじけているのはこれでいいのかという感じで、よほどこれから期待される成長幅が大きい若者なのだろうなと思った(一生こうなのか)。ほかのキャストに関して、沖縄在住の宇宙人役の本仮屋ユイカという人は、これまで年齢なりの可愛い役をやってきていると勝手に思っていたが(全部は見てないが)、今回は主人公が幼く見えることとの対比ということなのか、変にオバサンっぽく見せていたようなのが非常に残念だ。これはまことに心外だ。  なお今回は主に沖縄が舞台で、沖縄風の木造建築物のミニチュアを作って赤瓦が崩れるなど結構細かく作っている。普通の特撮番組なら、どこだかわからない(恐らく首都圏)の街が壊されるのを普通に見ているだけだが、この映画では現地の実景を見せて、「沖縄市街地」(沖縄市の市街地という意味)といった具体的な地名も出しているので、いかにも沖縄の街が大被害を受けている感じが痛々しい。 ちなみに劇中の設定では、太古の昔から「大地を守ってる」怪獣が沖縄にいたことになっていたが、こういう強力な守り神がいたのなら島の平和のために一切の武力行使を許さず、沖縄一円を非武装地域にするくらいの強権発動をしてもらえば、周囲のどこからも自由で平和な沖縄ができたろうにと思った。しかし太古の昔から武力行使が許されないとなると、琉球王国も成立しないことになってしまうといった問題はある。
[DVD(邦画)] 5点(2018-12-04 18:56:26)
472.  CMタイム 《ネタバレ》 
本仮屋ユイカ嬢が目当ての機能性映画として見たが、機能性成分があまり濃くないので満足ということにはならない。しかし姿全体が可憐で清涼感があるので、見ているだけで解毒効果はある気がする。 話としては広告代理店のお仕事映画のようでもあるが、クリエーターの心意気のようなものも入っていたようである。雇われ監督というのはご苦労様なことで、自分としては「カメラを止めるな!」(2017)を思い出したが、題名からすれば「ラヂオの時間」(1997)の方に近いのかも知れない(見たことがない)。 そのほか注意を引いたのは島根県の人口が少ないことである。劇中では731,531人(なぜか2007.11.1推計人口)と言っていたが直近の数字は679,444人(2018.11.1推計人口)で、東京都の特別区1個分程度しかない。人がいなくて寂しそうだが、それでも鳥取県の560,413人(同前)よりは多い。
[DVD(邦画)] 3点(2018-12-04 18:56:24)
473.  ラストコップ THE MOVIE 《ネタバレ》 
Huluと日本テレビが製作したドラマの劇場版である。1985年に重傷を負って30年間眠り続けた元刑事が突然よみがえり、もといた神奈川県警に都合よく復職して30年前の感覚で熱血刑事をやるという話で、唐沢寿明と和久井映見の組み合わせは「イン・ザ・ヒーロー」からの流れのようでもある。こういうのは何年か前の団塊向けコンテンツのように、特定世代の懐古趣味のように見られる恐れもあるのではと思ったが、エンドロールのバックに出た視聴者からのイラストを見ていると、それなりに幅広い年齢層に親しまれていたらしい。  本編は見ていないのでわからないが、冒頭の大活劇で早々にドラマのレベルが知れるので、要はこれに合わせて見ていればいいのだなと納得する。しかし本体部分が始まっても、警察は出て来るもののどこが刑事物なのかわからない状態で半分くらい過ぎてしまう。その間ほとんどレギュラー陣によるコメディ調だが、特に今回ゲストの人工知能キャラの挙動は結構可笑しい。 中盤からやっと世界を揺るがす荒唐無稽な大事件が発生するが、結局は神奈川県内というか横浜限定で終わってしまう。横浜めがけて飛んで来る弾道ミサイルのようなものを軽飛行機で迎撃するのはそういうドラマなので問題ないとして、主人公と相棒のやりとりがかなりくどいので大事件自体の緊迫感がまるでなくなってしまう。本編の経過を受けてのことなのだろうが、本編ファンにとってもここは長すぎたのではないか。 自分としては武田玲奈さんが出ているので見ただけだが、この人が劇中何度も茶をぶちまけるのを見て、本編でもこういう感じでやっていたのだなと納得した。また伊藤沙莉という人はとんでもなくオバサンに見えたが、他の若手女子2人と一緒にかわいくアイドル活動をやっていたのでそういう年齢設定だったらしい。
[インターネット(邦画)] 4点(2018-11-29 20:25:39)
474.  パパのお弁当は世界一 《ネタバレ》 
Twitter発祥の感動物語で、もとはショートムービーとしての企画だったのが結果的に1時間以上に拡張されたものらしい。 まず問題としては劇中の時間の流れが十分表現されていないことで、最初の時点で娘が何年生だったのかがわからず、17歳のところで2年生だったのかと思ったら、すぐその後で卒業の話が出たので大混乱した(「卒業」というのが何か別のことの比喩なのかと思った)。また何で最後の授業が12/8なのかもわからなかったが、これは近年、受験に備えて12月で授業が終わる高校もあるということらしい。実際のツイートも2016/12/8だったようで、ここは実話に合わせた形になっている。  物語としては、その12/8を目標点に据えて全体を膨らませた形になっており、当然ながら創作部分がほとんどと思われる。最初の導入部分はコメディでもないがかなりユーモラスな作りで、特に職場でのやり取りは笑わせる。娘については、どんなのが出て来てもとりあえず全部食うというのがまともな育ちで好感が持たれる。学校の友だちも優しいので和まされる。 中盤では少々の波乱があり、これは父親への裏切りではないかと思うところもあったが、しかし結局彼氏などはどうでもよかったのであって、それ以前に人として基礎的に大事なものがわかったエピソードになっている。堤防の上で、思わず漏らした本音に電車の音を被せたのはいい感じだった。また全てが終わって、弁当をかみしめて出た一言には泣かされた。 ほか娘がろくに手伝わないのは問題だと思われるかも知れないが、本物の高校生などどうせこの程度の感覚だろうし(覚えのある人は多いはず)、それよりも、3年間の累積赤字に気づいてちゃんと態度を変えていたのはやはり感心な娘である。父親が作り続けた弁当は、言葉は悪いが“愛情のベースロード電源”のような感じで、愛情の供給量を底上げしていたように思われる。 簡素な作りの映画だがポイントは押さえてあり、何より気持ちの詰まった物語になっている。幸せそうな父親で羨ましい(努力が必要なわけだが)。
[映画館(邦画)] 9点(2018-11-29 20:25:37)(良:1票)
475.  トウキョウ・リビング・デッド・アイドル 《ネタバレ》 
「1000年に1度の童顔巨乳」浅川梨奈主演のアイドル映画で、劇中グループのメンバー2人も同じ「SUPER☆GiRLS」のご同僚だったようである。冒頭とエンディングで主題歌の「Hero」というのが出るが、かなり耳について離れなくなるタイプの曲である。 まず社会批判の面からみると、主に全米ライフル協会か何かを皮肉っているのかと思ったら、製薬関係(政府と業界)を皮肉る発言もあり、さらに死刑存続論への皮肉らしいものも出て来ていた。特に中心テーマがあるわけでもなく単に皮肉を言い散らしていたようで、何だかんだ言ってみたくて仕方ないお年頃ということらしい。ちなみに自分としては住んでいる場所の関係で、日本の猟友会(なんと「大日本猟友会」という名前)を悪くは言えない。うちだけでなく、そういう場所は全国にかなり多いはずだ。  そういう社会派風味はいいとして娯楽映画本来のところでいえば、全体的にあまり飽きさせずにどんどん話を進めていくが、特に各種オマージュだかパロディだかに笑わされるのが大きな特徴になっている。自分としては食パンをかじりながら走って来た人物とか、「おまえらはもう」の後が続かなかったところは爆笑した。また意外にアクション関係の見せ場があり、この面では居合斬りの女子高生(演・星守紗凪)が注目される。 アイドル映画として見た場合には、いわば“アイドルの価値は全てを超える”という事実をこれでもかこれでもかと徹底的に表現していたのが感動的だった。男2人が捨て石になったようなのは物悲しい印象もあったが、彼らにとっては身をすり潰してでも好きなアイドルを守るのが本望だったに違いない(泣かせる)。グループの仲間を大事にしたいという気持ちも(実際どうかは別にして)描写されていたのが心に染みる。 そのほか、主人公が一人で伴奏なしで歌う場面では、本来こういう分野の人だったのだと感心させられた。いろいろあるにせよ結果として、各種制約のもとでけっこう高水準の娯楽映画ができていたというしかない。  なお余談として、奇跡の美女ゾンビの血液を入れると不死身になるという設定があったと思われるが、それを主人公がこれからどう生かす見通しなのかは不明瞭に終わっていたようである。さらに完全に雑談だが、劇中で高架の鉄道が新宿方面に向かって合流している特徴的な景観は、この映画の制作会社が入っている建物から撮影したものらしい(わざわざ探したわけではなく)。
[インターネット(邦画)] 6点(2018-11-24 18:57:01)
476.  放課後戦記 《ネタバレ》 
NMB48を今年卒業した市川美織(みおりん)の初主演映画である。同名の舞台劇をもとにした映画で、舞台の方は2016/10/5~10/10の6日間で10回の公演があり、主演は市川美織(この映画の主役)と、りりか(この映画の準主役)がそれぞれ5回ずつ務めたとのことである。なおその舞台版もDVDで見た(市川美織主演の方)。 どうせよくある殺人ゲームだろうと思っていると完全に騙されてしまう。実際はかなり重苦しいテーマで、それほど派手なアクションもないまま沈滞ムードで話が進む。またかなり複雑な構成で、難解すぎる内容を細切れの映像や台詞で表現しようとしているが、見ている側としては完全に置いて行かれてしまう。特に、舞台版のW主演をこの映画でも実質的なW主演にしようとしたからか、わざと両者を区別しにくくした(あるいは区別できなくした)ように見えるのが問題で、これが観客の理解を困難にするというよりほとんど不可能にしている。極端に独りよがりな印象があって一般人には全く勧められないが、みおりんファンにも勧めない(勧めなくても自発的に見たはずだ)。  ところで、途中のわけのわからない展開は放っておいて結果的にどうなったのかを考えると《以下ネタバレ》、 まず最後はハッピーエンドだったと思うことにする。主人公の「瀬名」は、これまでずっと別の「瀬名」に助けられてきたが、危機に際して初めて主体的に行動したことで、今度はその別の「瀬名」を助けた形になったらしい。 最後の言葉は「瀬名」が自分で自分を肯定できる人間になったことを意味している。人が自分を肯定できず、かつ周囲からの肯定も得られなければいつ死んでもおかしくない危険な状態になるだろうが、この映画では最後に2人の「瀬名」が互いに肯定し合う関係ができており、これが自己肯定の表現だったと取れる。2人いるから二重人格ということでもなく、2人が統合された状態がこれからの「瀬名」であり、また死んだように見えた連中も「瀬名」の中に統合されているはずで、例えば絵本はこれからも(暗黒系でないのを)描き続けるのだろうと思われる。 以上のようなことを一応考えたが、物語の論理的帰結としてこうなっていると断言できないのがこの映画の腹立たしいところである。  キャストとしては主演以外にも若手女子が多数出ているが、個人的に知っていた人では秋月成美さんの守護天使役(「養護」)が似合っており、また生徒会長役の小宮有紗という人は最も普通の意味での美少女で、本来の登場人物(「支配」)よりもかなり可愛い方に寄っている。大野未来さんがまとめ役(「親和」)のようなことをしていたのが大人びた感じで少し嬉しい。 しかしここで問題なのは、主演の人が低身長かつ小顔のため、この人と比べると普通の体形でも大女で顔も大きく見えてしまうことである。ただこの映画では他の出演者にも小柄な人を出しており、少なくとも身長に関しては意外に目立たなかった。 最後に、市川美織さんの今後ますますの活躍を期待します。
[DVD(邦画)] 6点(2018-11-24 18:56:59)
477.  ミスミソウ 《ネタバレ》 
原作は読んでいないが、「先生を流産させる会」の内藤瑛亮監督の最新作ということで期待が高まる。また「咲-Saki-」(2017)で見た山田杏奈さんが主演という点でも注目される。 まず、生きた人間に灯油をかけて火をつけるとどれほど悲惨なことになるかは想像できるので、そういうことを面白がってやる人間を殺していくのは大変よいことである。しかしやるなら派手に残虐にやってもらいたいわけで、目に安手の作り物をかぶせただけでは驚きも何もなく、他の女子にももっと無慈悲で笑えるやり方はないのかと言いたくなる。そのあと男が腹から小腸らしきものをぶら下げていたが、どうせなら大腸までがめろりと出てしまって収拾つかなくなるとかしてもらわないと何のための残虐場面かわからない。 また小物を殺した後は変に間が空いてしまい、嫉妬でないとか好きだとかいう心情が唐突に明らかにされていたが、そんなことより全員殺すのが目的なのだろうから好機を逃さず殺してしまえという苛立ちが募る。最後に金髪女が生きていたのも裏切られた思いで、何で当初方針をまともに貫徹できないのかと怒りを覚える。 以上のように、見た人間の残虐性や攻撃性を刺激する映画のようだったが、それ以外に何か訴えたいことがあるかどうかはわからなかった。ラストで金髪女の映像にテーマ曲が大音量で被さった(やかましい)のもふざけた感じしかなく、どうも終始マンガを見せられている気分だったが、もとがマンガだからこれでいいのか。 なお、内容がないよう、という古典的オヤジギャグを使ってみたくなる内容のわりに、映像は無駄に美しいのがアンバランスな印象だった。  ところで、中学校の学年全員が幼馴染みというだけでなく、卒業後も「死ぬまでずっと一緒」という極端に流動性の低い地域社会が新潟県の山間部に行けばあるという発想は、東北奥地の湖に今も人知れず大怪獣が棲んでいる、というようなのと同程度のリアリティがある。田舎の閉鎖性が悲劇の原因と思わせたかったようでもあるが、それにしては登場人物の行動様式や出来事が田舎特有のものに全く見えないのは作り手側の知恵が足りない(「ガキ」)。放火殺人に関していえば、東京都足立区綾瀬の「女子高生コンクリート詰め殺人事件」の方がよほど近いものを感じる。撮影協力に名前の出た新潟県柏崎市の旧高柳町や南魚沼市にとって不名誉な映画だろうと思ったが、自虐が好きでやっているのなら勝手にすればいい。
[ブルーレイ(邦画)] 2点(2018-11-24 18:56:57)(良:1票)
478.  GODZILLA 決戦機動増殖都市 《ネタバレ》 
新作が公開されている時点でやっと前作を見ているのは毎度のことだが、どうせそういう周回遅れの人生だと思って納得するしかない。 前回は主人公の心意気に感じたわけだが、今回は序盤からしていきなり意気消沈させられる。2万年経って、それなりのものが出来上がっているところへ来てみなぶち壊しにするのは本当に正しいのかなどと本人が問うのでは見ている側も困ってしまう。また個人的に期待を寄せていたユウコさんについては、「教えてもらった」というところで少しキュンとして、それから夜景デートで胸をアピール(大きすぎだ)していたあたりまではいいとして、その後は私怨ならぬ嫉妬で心が揺れていたのか、ごつい宇宙人に味方した上に最後はあんな感じになってしまったのは大変遺憾である。主人公が最後まで人の情を失わなかったのはいいにしても、もう次は宗教に頼るしかないのかという敗北感が残る。 怪獣映画としてもわりと単調で、前回とのスケール差がわからないので似たようなことをやっているとしか見えず、せっかくのメカゴジラも新作の人型兵器も大して役に立っていなかった。映像面でも、終わってからもう一度見直したくなる場面がなかったのは残念だ。 まだ2作目なので次を待てということだろうが、ここまで気分が落ち込んでしまっては期待感を維持するのも難しい。期待しなければ落胆もないというのが正しいだろうが、とりあえず今回は昭和ゴジラ並みの点数まで落としておく。
[ブルーレイ(邦画)] 5点(2018-11-20 19:37:49)
479.  怪獣総進撃 《ネタバレ》 
子どもだまし化が進んでいる時期の映画ではあるが、見ればそれなりに豪華で極端に退屈させられるものではない。題名が抽象的で無個性なのでいつまでたっても憶えられないが、改めて見れば終盤で、中継アナウンサーの言っていた「大怪獣のキラアク基地への総進撃」というのに由来していることがわかった。 内容としては前作と前々作を飛ばして「怪獣大戦争」(1965)の後を受けた形で、宇宙人の地球侵略に怪獣を絡ませた話になっている。敵の宇宙人は地球への移住を計画していたらしいが、本当に美女ばかりなら人類(男)の一部は歓迎する可能性もあり、これは人類(男)の弱いところを衝いてきたかと思ったら、その実体は台詞によれば「生きている金属」とのことだった。危うく騙されるところだった。 怪獣の出し方は「怪獣大戦争」どころでない超豪華ラインナップだったはずだが、ゴジラ以外はどうも地味な連中ばかりのようで、いざ決戦となっても案外貧弱な印象だった。それでも地球人のコントロールが効かなくなった後は、自分らの意思で宇宙人を攻撃するという主体性は見せていたようである。ちなみに地球怪獣が寄ってたかってキングギドラを叩きのめした場面は正直笑ってしまった(無慈悲に首を踏んづけたりしている)。これは悲惨だ(笑)。キングギドラが平べったくなってしまった。 なお大怪獣バランは貢献度ゼロだったが、カラーで見られるところに一応の意義があったと思うことにする。  登場人物に関しては、ヒロイン役の小林夕岐子さんは昭和特撮分野では美貌で知られた人である。予告篇では新人と書いてあり、最初に出た場面で明るい表情で話し始めたのは見慣れない感じだったが、しかしその後は宇宙人に操られて、結局はイメージ通りの冷たい美女になってしまっていた。せっかく新人なのでもう少し可愛らしいところが見たかったが、「お話を終いまで聞いたらどう?」という台詞は昔の(東京の)お母様のお小言のようで聞きほれてしまった。砂浜でも構わずヒールの高い靴のまま歩いているのが高踏的で超然とした印象を出している。 一方の主人公は体育会系の無鉄砲な男で、トラブルがあっても現場の工夫で何とかしてしまう行動力は結構だが、かよわい女性のピアスを「聲の形」(2016)のようにむしり取るのは乱暴で野蛮である。終盤で、敵の攻撃に出ていくこの男の名をヒロインが呼んで悲しげな表情だったのを見ると、将来この二人が一緒になっても苦労させられるだけと予感させるものがあったので、早目に別のに乗り換えた方がいい。
[DVD(邦画)] 5点(2018-11-20 19:37:48)
480.  死者の学園祭 《ネタバレ》 
原作は読んでいない。ミステリー・青春・学園物といった想定で見たが結果的には残念な映画だったようで、題名だけでも結構イメージが広がる割には名前負けしている。公開時には「仮面学園」(主演・藤原竜也)という映画と同時上映だったとのことで、全体サイズの制約はあったかも知れないがそれで大目に見る気にもならない。 まず若い役者が多いのはいいとして、最初から素人が出ていたりするのはいかにも安手のドラマである。また特に気になったのは各場面の間がつながらず、必要なピースが抜けたように見える箇所があることで、そのため登場人物の考えや思いの変化が伝わらずに意味不明なところも多い。劇中劇には少し期待していたが、主演2人がいなくなった間をコントでつなぐとか、主人公の個人的発言を台詞めかして言っていたのはその場の観客には支離滅裂でしかなく、これで最後までやり通したといえるのか大変疑問である。たとえアドリブでも演劇として筋が通った内容になっていれば感動的だったろうが、そこまで作り込もうとしたわけでもないらしい。その一方でラストの場面の印象が妙に強く、要はこれを見せたかったわけかと呆れた。  キャストに関しては、制服姿の主人公は清楚で可愛らしいと思ったが、特に自転車の場面など色気づいたところが丸出しでかえって引いた。またなぜか原作者でもない作家が出ており、確かに昔は役者をしたことがあると聞いたがこれを見る限り場違いでしかない。というかこの顔を見て笑えということか。劇中のほとんどの人物や事物が嫌悪を催す方へ作用している。 ちなみに柳田真弓役の坂本三佳という人は嫌いでないので今後の活躍を期待する。
[DVD(邦画)] 2点(2018-11-13 22:29:05)
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