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イニシャルKさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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コメント数 1489
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501.  新・悪名 《ネタバレ》 
「悪名」シリーズ第3作。前作のラストで戦争に行ってしまった朝吉(勝新太郎)が復員して八尾に帰ってくるところから始まっている。前作のラストでは戦死を予感させる終わり方だっただけに多少強引さも感じるが、1作目や2作目とは別物と割り切れば許せてしまう。田宮二郎も役柄を変えて再登場するが、双子の弟という設定なので不自然さがないのがいい。茶川一郎演じるオカマの登場など前2作と比べてコミカルなシーンが増えていて娯楽性が強くなっているのもこれはこれで良かった。勝新といえば座頭市のイメージが強すぎてなかなかこの「悪名」シリーズの本作以降の作品を見る気が起きずにいた(マキノ雅弘監督による「悪名一番勝負」だけは見ているが。)が、朝吉には座頭市とはまた違う魅力があるし、英語交じりの言葉を話す清次を演じる田宮二郎もほかの出演作では見せないようなコミカルな一面を見せていて新鮮だった。話としても勧善懲悪もので安心して見ていられる水準作といったところ。前作で結ばれた朝吉とお絹(中村玉緒)が別れてしまう展開は少しさびしいが、演じた二人は当時新婚ホヤホヤだったころで、それを考えるとよくこの脚本で二人とも出演OKしたなと思えてくるのだが、実生活では新婚夫婦の二人が映画の役柄上では別れる展開というのも本作の見どころのひとつなのかもしれない。タイトルは「新・悪名」だが、前作の続きでありながらタイトルどおり新しい展開を見せているところも面白かった。
[DVD(邦画)] 7点(2013-05-03 12:41:15)
502.  緋牡丹博徒 お命戴きます 《ネタバレ》 
シリーズ第7作。今回は冒頭にいつもの主題歌が流れないので、このシリーズとしてはちょっと異色なオープニングだ。前作「お竜参上」に引き続いて加藤泰監督が登板しているが、さすがに3本目ともなると平凡な印象で、どちらかといえばオーソドックスな仕上がり。公害問題を絡めているのは実際に公害が社会問題化していた時代背景を取り入れた結果だと思う。同じ年に東宝も公害問題をテーマにしたゴジラ映画「ゴジラ対ヘドラ」を製作しているが、本作は公害問題はあくまで背景にすぎず、シリーズ作品として見た場合、さしたる違和感もないのだが、なにか中途半端に当時の社会問題を取り入れてしまった感があり、そこがちょっと残念。先にも書いたように加藤監督のほかの2本と比べて平凡な出来ではあるのだが、殺された鶴田浩二の遺体を目の前に組の者たちが泣き崩れるシーンの長回しや、そのシーンの最後で突然始まるお竜の独白のシーンは加藤監督らしいこだわりが見え、印象に残る。お竜が陸軍大臣と会うシーンは、陸軍大臣のキャラクターがテンション高くて思わず笑ってしまった。クライマックスの立ち回りの場所が鶴田浩二の初七日法要の場というのもある意味強烈だが、喪服姿で啖呵を切り、立ち回りを演じるお竜のかっこいいこと。やはりこのシリーズを見るたびに思うが、お竜というのは藤純子いちばんのはまり役で、彼女以外のお竜は考えられない。鶴田浩二の幼い息子との交流はもう少しドラマを持たせたほうが良かった気がするが、それでも二人が抱き合うシーンはとても感動的でまさに名場面と言っていいくらい。たとえ凡作であっても印象に残るシーンやセリフがあるだけで見て良かったと思えるから映画というのは不思議だ。好きなシリーズなので次回が最後の作品になるのがちょっと惜しい気がする。
[DVD(邦画)] 7点(2013-04-16 14:28:21)
503.  あゝ声なき友 《ネタバレ》 
所属していた部隊でただ一人生き残った男が、復員後、亡き戦友たちが書いた最後の手紙をその親族に渡すために全国を渡り歩く姿を描いた今井正監督の反戦映画。今井監督の「喜劇 にっぽんのお婆ちゃん」に脇役で出演していた渥美清が企画の段階からかかわり、主演した作品で、この頃、「男はつらいよ」シリーズで人気を得ていた彼の寅さんだけではなく俳優としてもっといろんな役を演じてみたいという意欲が感じられる作品となっていて、コメディータッチのシーンは一切なく、非常にシリアスな展開だが、今井監督らしいメッセージ性の強い力作で、映画としては佳作といっていい出来。しかし、春川ますみや財津一郎、松村達雄など「男はつらいよ」シリーズでも何度か見かける面々が何人か出ている(倍賞千恵子も出てるし。)こともあってか、渥美清のシリアスな演技に妙な違和感を感じてしまうのも事実。確かに今井監督はこういうテーマの映画にはうってつけの監督で、さっきも書いたように見ごたえのある力作に仕上げているし、これも繰り返しになるかもしれないが、寅さんのイメージを打破したかった渥美清の意欲も分かる。だがもし、今井監督でなく、野村芳太郎監督や山田洋次監督など渥美清と付き合いの深い監督がこの映画の監督だったら、この映画の印象はまったく違うものになっていたかもしれないし、なによりも渥美清という俳優の持ち味がもっと発揮される映画になったかもしれない。見終わってついそんなことを考えてしまった。
[DVD(邦画)] 7点(2013-03-14 14:00:31)(良:1票)
504.  刑事コロンボ/祝砲の挽歌<TVM> 《ネタバレ》 
今回は完璧に事故にしか見えない殺人をどうやって暴くかというところが面白く、また犯人である幼年士官学校の校長の殺人の動機がいかにもアメリカの厳格な軍人らしい考えに基づいたうえでの犯行で、個人的な理由ではない動機はじゅうぶん理解できるものであるし、この校長のキャラクターもよく描けている。ただ、生徒の一人に濡れ衣を着せようとした行動は校長としてやってはいけないと思うし、ラストで言ったセリフもこれがあるためにふてぶてしく聞こえてしまう。でも理論的に犯人を追いつめていく展開がこの作品の最大のみどころで、結末は犯人の性格を利用してボロを出させるというのが見事で、かなり見ごたえのある作品だったと思う。ランニングシャツ姿のコロンボは「自縛の紐」の青ジャージ姿以上に普通のおっさんに見え、やっぱり思わず笑ってしまった。犯人役のパトリック・マクグハーンはいかにも厳格な軍人の雰囲気をうまく出していてハマリ役だと思う。(この後も何回かこのシリーズに犯人役で出てるみたい。)吹き替えは「水戸黄門」のご隠居役を演じた俳優の中でも善人役の印象が強い佐野浅夫が担当していて、彼の声は物腰柔らかな感じがするのでどうかなと見る前は思っていたが、とくに違和感は感じることなく見ることができた。吹き替えといえばこのシリーズの吹き替え版は過去の吹き替え音源の欠落部分をほかの声優で補ったものが使われていて、今まではさほど気にしていなかったが、今回はその部分がけっこう多く感じられ、さすがにちょっと気になってしまったことも書き加えておこう。
[CS・衛星(吹替)] 7点(2013-03-10 15:00:17)(良:1票)
505.  君が若者なら 《ネタバレ》 
集団就職で上京してきた5人の若者を描いた青春映画。「若者たち」と出演者が似通っていて、つくりとしても「若者たち」の路線を目指しているようだ。だから深作欣二監督にはちょっと不釣り合いの題材かもと思っていたが、集団就職で田舎から都会に出てきた若者たちのその後の人生の厳しさがよく描けた佳作となっていて、なかなかいい映画だった。集団就職で入社した工場が倒産するという話は当時でも普通にあったことだろうと思えるし、同じ夢に向かっていた5人の運命がバラバラになってしまうのもリアリティーが感じられる。とくに最後まで一緒にがんばっていた石立鉄男と前田吟の考えが少しずつずれていき、刑務所を脱獄した仲間(河原崎長一郎)をめぐる二人の対立で考えのズレがはっきりと出るのだが、この展開も青春映画として非常に見ごたえがあり、「若者たち」でもそうだったが、この当時の若者の熱さが感じられる。ラストで爆発炎上し、灰となってしまった5人の夢であったトラックを見ながら石立鉄男が言う「トラックが焼けてよかった。」というセリフは「また一からがんばればいい。」という若者らしさが感じられていい。若いうちは何度でもやり直しが利くのだ。若いうちは。どうしてもアクション映画の印象が強く、後年の文芸作品でも激しい演出の多い深作監督だが、この映画ではそういう演出は控え目(深作監督らしさは回想シーンでのストップモーションとラストのトラックの爆発炎上シーン、室田日出男のチョイ役での登場など探せばあるのだが。)で、こういう映画もやれるのかと深作監督の作風の幅の広さもあらためて感じることができる映画となっている。
[DVD(邦画)] 7点(2013-03-07 17:43:06)
506.  ロボジー 《ネタバレ》 
「ウォーターボーイズ」や「スウィングガールズ」で若者の青春を描いた矢口史靖監督が、一転して老人を主人公としたコメディーを作っているのがまず面白い。老人を主人公にしていれば自然と老いや死にテーマがいきがちだが、その老人が発表直前に大破してしまった本物のロボットのいわゆる「中の人」をつとめることになり、一回限りのつもりがそのロボットが大人気になるというストーリーがいかにも矢口監督らしいところ。前作である「ハッピーフライト」では後半欲張りすぎたという印象があったが、この映画ではそういうこともとくに感じることはなかった。最初は渋々やっていた偏屈な老人がだんだんロボットの中に入ることに楽しみを感じはじめるあたりは良かったし、ロボットの姿のまま孫と写真を撮るシーンがほろっとさせられる。そこをもう少し膨らましても良かった気がするが、そうするとあまり矢口監督らしさは感じられなくなるかもしれないので(あまり湿っぽい展開は矢口監督の映画に似合わない。)やっぱりこれで良かったと思う。こういう話だと最後は周囲に秘密がばれておわりというパターンが多いと思うが、最後までばれずに終わったのは強引に感じる(普通絶対ばれるだろというシーンがちらほら。)もののこういうのもたまにはアリかなと思える。ラストシーンで再びロボットの「中の人」を依頼された老人のあの笑顔がなんとも印象的。ミッキー・カーチスが別名で主人公の老人を演じているが、やはり演技は落ち着いていて、安心して見ていられるし、木村電機の三人もいい味を出していて良かった。この映画で初めて見た吉高由里子もそれほど悪くない。少し甘いかもしれないが、楽しめたので7点を。
[DVD(邦画)] 7点(2013-02-26 13:23:38)
507.  若者たち 《ネタバレ》 
「若者たち」という歌は好きな曲の一つだが、元々は同名のテレビドラマの主題歌だったようで、本作はその劇場版にあたるわけだが、全篇を通してとにかく熱く、とてもエネルギッシュな映画で、登場人物たちの言動も必死さと切実さがよく伝わってくる。昨今ではテレビドラマの劇場版というと、話題になった、ヒットしたというだけで安易に作られすぎているようにも思うが、この映画は事情で打ち切りになったドラマを映画化したものであり、独立プロダクションの製作。それだけに作り手のやり残したことをやりたいという思いが感じられる映画になっているのも良かった。(ドラマは知らないのだが。)両親のいないきょうだいが助け合って生きていく中で、それぞれのドラマが展開するという内容は「ひとつ屋根の下」を彷彿とさせているが、長男(田中邦衛)の単純バカな性格は柏木達也(江口洋介)に似ているところがあり、野島伸司はそうとうこれを参考にしてあのドラマを書いたのではないかと思われる部分が多かった。(それを考えると「ひとつ屋根の下」に本作の三男役の山本圭が出ているのは偶然ではない気がする。)クライマックスは激しい取っ組み合いのきょうだいげんかのシーンだが、ほとんど嫌悪感や抵抗感もなく安心して見ていられたのは「ひとつ屋根の下」でもこういうケンカのシーンが多かったためかもしれない。(関係ないが、また「ひとつ屋根の下」が見たいなあ。)長女(佐藤オリエ)が原爆症の恋人(石立鉄男)と付き合うのを反対する長男を三男が見事に論破するシーンが印象的だった。若い頃の山本圭は根暗な学生運動家のようなイメージがあり、あまり好きではないのだが、こういう役をやると若い頃の山本圭はものすごくはまる。古い映画だが、登場人物たちに共感してしまう部分も多く、とても見ごたえのある良い映画だったと思う。続編もあるようなのでもし機会があったら見てみようかな。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2013-02-14 16:49:36)
508.  マダムと女房
国産初の本格的トーキー映画として知られる映画で、冒頭のシーンなど見ていると、映像とセリフがうまくシンクロしていないように感じられ、かなり試行錯誤の中で作られた映画だということが分かる。初トーキーゆえか、赤ちゃんの泣き声、猫やネズミの鳴き声、そして隣の家から聞こえてくるジャズバンドの演奏などとにかく音を過剰なまでに意識した映画になっているが、ストーリー自体はほのぼのとした雰囲気の小品で、終始ニコニコしながら見ることができた。主人公の作家(渡辺篤)が周りの騒音が原因で仕事にならないという展開はまさにトーキーならではだし、奥さん(田中絹代)とのやりとりも楽しい。主人公が奥さんを「絹代」と呼ぶに至っては思わず大笑いしてしまった。この時代の田中絹代は小津安二郎監督のサイレント映画で何本か見ているが、後年の出演作で見せる味のある名演技とは違い、まさにもうアイドルという感じしかなく、素直に可愛らしいと思えるし、声も実にキュートである。映画自体の話に戻ると、この20年後に作られる国産初のカラー映画である「カルメン故郷に帰る」と同様に歴史的価値のある映画として語られる映画で、二本とも内容的にそれ以上のものはないかもしれないが、二本とも肩の力を抜いて気楽に見られる喜劇として評価できる映画だと思う。でも個人的にはどちらかと言えば本作のほうが「カルメン故郷に帰る」よりも単純に笑いに徹していて好きである。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2013-02-13 22:30:48)
509.  大江戸五人男 《ネタバレ》 
バンツマと市川右太衛門が共演した伊藤大輔監督の大作時代劇。序盤こそやや退屈するも、おきぬ(高峰三枝子)が皿を数えはじめるあたりから緊張感が増して、面白くなっていった。皿を割ったのがもとで水野(市川右太衛門)に斬殺されたおきぬの話を芝居で上演した(これが「皿屋敷」のはじまりか?)役者が水野に連れて行かれ、一人で来れば返してやると言われ、死を覚悟で水野の屋敷に出向くバンツマ演じる長兵衛はかっこいいし、いったん和解しかけた長兵衛と水野が一転して直接対決にいたる展開も無理がなく、ちゃんとドラマとして見ごたえのあるものになっている。最後は二人で三島雅夫演じる近藤を倒すという展開でも良かったかもしれないが、あえてそうはしていないことでドラマ性が高くなり、この映画を単にただの2大スター共演というだけのものにしていない。ラストの長兵衛の眠る棺を抱えた葬列のシーン、泣き崩れる権八(高橋貞二)に、長兵衛の妻(山田五十鈴)がかける言葉がいい。それに、長兵衛の息子の「もうケンカはございませーん。」と叫ぶ姿も泣ける。さっきも書いたように前半はやや退屈に感じる部分もあるのだが、名作時代劇の一本と言っていい素晴らしい映画だった。ただ一つ残念なのは「大江戸五人男」というタイトルの意味がよく分からないことで、これだけ見ると「七人の侍」のようにチームとしてまとまった複数の主人公の活躍を描く映画のように思えてしまう。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2013-02-12 17:25:19)
510.  ハリーの災難 《ネタバレ》 
アルフレッド・ヒッチコック監督と言えばサスペンス一筋で有名な監督だが、この映画は森の中で発見された一体の死体をめぐる騒動を描いていて、緊迫感などはなく、実にほのぼのとしたタッチのブラックなコメディーに仕上がっている。死体を発見したら普通は驚くと思うのにこの映画の登場人物たちはすごくあっけらかんとしていて終始明るい雰囲気なのがいいし、みんないい味を出している。死体が登場人物たちの都合によって何度も埋められたり掘り返される展開は、死体に思わず同情しながらも実にブラックで、思わず笑わされてしまった。シャーリー・マクレーンのデビュー作とのことだが、なんともコケティッシュなかわいい風貌で魅力的。でもだからこそこんな若い美人が死体を前にしてもあっけらかんとしているのがある意味すごく、そのギャップも笑えたりする。でも、彼女がほとんど初対面の男といきなり結婚するというのはコメディーといえどちょっとやりすぎな感じがしいないでもない。舞台が秋の村なのだが、紅葉の映像も印象に残る。サラリと軽く作られたような映画ではあるし、傑作とも言い難いのだが、出来はよく、あまり見ていないのだが、サスペンスだけではないヒッチコック監督の幅の広さを感じることができる。個人的にちょっと疲れぎみでちょうど軽めのコメディーを見たいと思っていたところだったので、何も考えずに見て、楽しめる本作のような映画はちょうどいい。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2013-01-29 19:33:39)(良:1票)
511.  喜劇 にっぽんのお婆あちゃん 《ネタバレ》 
渡辺宙明の軽快なテーマ曲にのってミヤコ蝶々と北林谷栄が街を歩く。この二人の老け役女優が良く、ほかにも最年長の東山千栄子をはじめとする老人役のほか、日本を代表するような名優たちが出演していて、それだけでも見る価値のある映画なのだが、内容は「喜劇」というには重い老人問題を扱っていてあまり笑えない社会派映画となっている。今でこそ少子高齢化社会であるが、この映画の製作当時はまだそんなことは言われていなかっただろう時代にこのテーマの映画というのは社会派・今井正監督の先見の明を感じずにはいられないし、ラスト近く、帰宅したミヤコ蝶々に対する家族の冷たい態度は現代から見ればものすごくリアルに感じられる。ただ、ラストはミヤコ蝶々演じる主人公が北林谷栄のいる老人ホームに行くところで終わったほうが少しは希望があったのでは。あのまま主人公が息子夫婦と暮らしていくよりはいいと思うのだ。とはいえ、北林谷栄はある疑いをかけられ、その老人ホームを抜け出したことからも考えられるが、老人ホームが本当に老人にとって安住の地なのかと言われれば微妙なところで、結局どちらがいいとも言えないのが実情だろう。この問題は今現代においても全く変わっておらず、むしろ今のほうが深刻になっているのだ。非常に考えさせられるいい映画だったと思う。老人ホームの職員役で小沢昭一が出ている。去年暮れに亡くなってしまったのは本当に残念だった。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2013-01-13 14:24:42)
512.  十三人の刺客(2010) 《ネタバレ》 
東映集団抗争時代劇のハシリとなった工藤栄一監督の「十三人の刺客」の三池崇史監督によるリメイク版。先週再見したオリジナルと比べると格段に娯楽性が増していて、グロい描写も加わっているが、うまく現代風にアレンジされていて面白く、成功作と呼べるものになっている。オリジナルであまり存在意義のなかった十三人目の刺客の設定を山男に変え、山で道に迷った島田(役所広司)たちを案内するかたちで登場させ、その後に仲間に加わるという展開にしたことで存在意義を持たせたり、暗殺の標的にされる松平(稲垣吾郎)の残虐性を強調する演出(生首を蹴り上げるなど。)を施すなど、オリジナルと違う部分も効果をあげている。ただ、オリジナルにはあった重厚さがなく、とくにクライマックスの乱闘シーンが派手になった分だけやたら軽々しく見えたのは残念だった。(オリジナルが30分に対して50分というのもいくらなんでも長すぎる。)オリジナルでは島田は半兵衛にわざと斬られることで己と半兵衛の武士道を通しているが、本作では普通に決闘をして倒しているのも少し違和感を感じた。その後の松平との対決で稲垣の見せ場を作りたかったのかもしれないが、ここはオリジナルのほうが良かった。オリジナルで工藤監督の演出意図を理解しながらも戸惑った平山九十郎が無様な死に様を見せるシーンはなかったが、そのかわりに本作では首を刺された山男が最後に何事もなかったかのように登場するというシーンがあり、ここは三池監督の演出意図がよく理解できず、幽霊とか深読みはしてみたものの、はっきり言ってこのシーンはいらないとしか思えない。出演者としてはやはり松平役の稲垣。菅貫太郎がハマリ役だったので心配だったが、なかなか印象に残る演技を見せていて、とても良かった。(稲垣は「踊る大捜査線」でも犯人役を演じているが、ジャニーズ事務所の看板タレントがこういった非道な悪役を演じるのは珍しいのではないかと思う。)オリジナルに出演していそうで出演していなかった松方弘樹の殺陣もよく、流石は近衛十四郎の息子である。オリジナルで気になった部分が直された一方で、新たに気になる部分や不満な部分も出てきたリメイクで、いろいろと書いたが、純粋な娯楽時代劇としてはじゅうぶんに楽しめたので少し甘めかもしれないが7点。でもどちらかといえばやっぱりオリジナルのほうが好きだな。こっちの方が見ていて爽快だけど。
[DVD(邦画)] 7点(2013-01-03 16:44:23)(良:2票)
513.  太陽の王子 ホルスの大冒険 《ネタバレ》 
高畑勲監督のデビュー作。高畑監督といえば宮崎駿監督と違ってあまり活劇寄りの映画はやらない印象があるのだが、デビュー作となる本作は冒険アクションもので、どちらかと言えば宮崎監督の作品に近い印象で、保護者を亡くした少年が仲間を求めて旅に出る冒頭は「未来少年コナン」、登場する銀色の狼は「もののけ姫」の山犬を思わせていて、本作にアニメーターとして参加している宮崎監督に与えた影響が大きいことがうかがえる。ストーリーはやや子供向けにしては暗めで爽快感に欠け、そのくせつっこみどころも多いが、人間同士の信頼や団結といった社会的側面をこういった子供向けアニメに持ち込んでいたりするのは今ではちょっと考えられないこと。このあたりにスタッフの本気度が伝わってきて、ただの子供向けには終わらせないぞという熱意が感じられる。(このあたりも宮崎監督の作風に影響してそう。)ヒロインであるヒルダの存在感も子供向けとは思えぬもので、それが本作をより印象深いものにしている。(とはいえ、声は市原悦子で、ヒルダが喋るとつい「まんが日本昔ばなし」を思い浮かべてしまうのだが。)本作は現代のアニメを見慣れていれば、古臭く感じるかもしれないが、ストレートなメッセージ性があり、一度は見るべき映画だと思う。それにしても高畑監督は最近は「金曜ロードショー」でも監督作を放送しなくなり、新作の話も聞かず、忘れさられたような存在になってしまっているのはちょっと悲しい。
[DVD(邦画)] 7点(2012-12-11 22:50:45)(良:1票)
514.  三等重役
社長シリーズの原点的作品で、シリーズにおいて先代社長の写真として登場する河村黎吉が社長を演じ、のちにシリーズの顔となる森繁久彌は人事課長を演じている。社長シリーズはそれほど見たというわけではないのだが、のちに量産されることになるシリーズに比べると、河村黎吉演じる社長が戦後の公職追放で社長の座を追われた前社長(小川虎之助)が追放解除になるまでの間、暫定的に社長になった身(これを「三等重役」という。)であるという設定が社会派的であり、これがいちばん社長シリーズとは違うところ。このあたりは今の目線で見るとやや時代を感じてしまったり、そもそも公職追放が何であるかを理解していないと話にややついていきづらい可能性もあるが、河村黎吉はそんな社長を実にうまく演じており、人生の悲哀すら感じさせていてハマリ役で、この映画が公開された年に亡くなったのが惜しいし、実際この映画を見てもとても同じ年に死んだ人とは思えない。森繁久彌も社長シリーズと比べればとぼけたところがなく、実直な部下という印象であるが、主役である河村黎吉を食うほどの存在感があり、この役で森繁久彌という俳優がブレイクしたというのも頷ける話だ。ところで河村黎吉が食べているそばを森繁久彌がハサミで切っているのを「社長三代記」の先代社長の思い出フィルムを見るシーンで見たおぼえがあるのだが、これは続編でのシーンなのかな。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2012-12-08 17:39:48)
515.  老人Z 《ネタバレ》 
老人介護問題をテーマにしたSFアニメということで見る前はその二つが自分の中でうまくつながらなかったが、実際に見てみると現代にもじゅうぶん通じるような内容でけっこう面白かった。こういう話はあり得ないようではあるが、昨今の科学の進歩を見ると全自動介護ベッドというのは実現の可能性がなくはなく、シュミレーションとしてはかなりのリアリティーが感じられる。Z001の発表会のシーンで超小型の原子炉を内蔵しているが、万が一放射能が少しでも漏れ出しても大丈夫なように設計してある云々と説明され、取材していた記者たちもそれで納得してしまうが、さすがに震災とそれに伴う原発事故のあったあとである今になって見るとドキッとしてしまう。Z001の暴走の原因が、被験者の老人の想いから再現された亡妻の人格で、その結果、Z001が二人の思い出の地である鎌倉を目指すという展開はやや湿っぽく感じるものの、不覚にも少しウルッとさせられた。でもラストシーンの大仏はよけいだった気がする。老人問題という深刻なテーマを扱いながらも、笑えるシーンも多く、重くならずに気軽に見ていられるのは良かった。しかし、それでいて、20年以上前の作品ながら現代を予見したかのような先見の明のあるものになっていて、少子高齢化社会でもある今だからこそ見る価値のある作品だと思う。
[DVD(邦画)] 7点(2012-11-27 11:16:01)
516.  踊る大捜査線 歳末特別警戒スペシャル<TVM> 《ネタバレ》 
連ドラ版が放送された年の暮れに放送された「踊る大捜査線」初のスペシャル版。連ドラ最終回で交番勤務となった青島(織田裕二)が湾岸署に復帰し、再び刑事課に配属されるまでを描いたストーリー。新作映画公開に合わせた再放送で久しぶりに見たが、最近のダラダラしたシリーズを見慣れていたためか、あまりのテンポの良さと、脚本のうまさ、そしてその面白さに逆に驚いてしまった。復帰した青島が署内でお荷物扱いされ、署内の各課をたらい回しにされるというのは、黒澤明監督の映画を意識したシーンやエピソードをやることが多いシリーズだけに「生きる」で公園を作ってくれと要望する市民たちが市役所の各課をたらい回しにされるシーンをなんとなく思い出してしまったが、あくまで参考にしたのかな程度のことなので、この後の映画シリーズのような露骨感は皆無。クライマックスの刑事課占拠事件もちゃんと緊張感をもって描かれているし、コメディーとシリアスのバランスも絶妙。こういうのが本来の「踊る大捜査線」らしさなのだとあらためて思うし、定年退職した和久(いかりや長介)が指導員として復帰することになる展開も、いかりや長介が故人となってしまった現在に改めて見直すと、やっぱりいかりや長介演じる和久平八郎は「踊る大捜査線」というドラマになくてはならない人物で、彼が出てくると画面がビシッと引き締まる感じがする。いかりや長介にはやっぱりもっと長生きしてほしかったな。それにしても今改めてこの作品を見ると当たり前だがみんな若いし、見ていてなんだか懐かしい気持ちにさせられる。それに今では売れっ子となっている当時無名の仲間由紀恵や伊藤英明が出演していたりして、出演者は今からすればけっこう豪華。特に仲間由紀恵は殺人事件の目撃者というかなり重要な役柄で出ている。それに対し、逆にアイドルとして人気が出始めていた頃の広末涼子がチョイ役というのが意外だった。犯人役の稲垣吾郎のキレた演技も見もの。杉並北署時代の青島の上司役が谷啓なのだが、もし当時存命であればこの役はハナ肇が演じていたかもしれない。
[地上波(邦画)] 7点(2012-11-17 13:20:40)
517.  われに撃つ用意あり 《ネタバレ》 
若松孝二監督の映画は一本も見ていなかったが、訃報をきっかけに取りあえず一本見てみようと思い、本作を見た。全共闘世代が主人公ということで社会性の前面に出たような映画なのかなと思いながら見始めたが、娯楽映画としてじゅうぶんに面白い映画だった。夜の歌舞伎町の雰囲気も映画に合っていてよかったが、やはりなんといっても原田芳雄の魅力がこれでもかと言わんばかりに伝わってくる映画となっていて同じ年に公開の黒木和雄監督の時代劇「浪人街」でも彼の暑苦しい存在感が際立っていたが、本作でも原田芳雄の存在感は圧倒的で、本作の魅力の半分以上は原田芳雄の存在感でもっているような気もして、改めて原田芳雄という俳優の良さを感じられた映画だった。(でもエンドロール前の原田芳雄のPVのような映像には少しひいてしまったが。)出番のほぼすべてで酔いつぶれた演技の石橋蓮司もいい味を出しているが、やはりあっけなく射殺されてしまうスローモーションのシーンはインパクトがあり、印象に残る。
[DVD(邦画)] 7点(2012-10-25 17:52:45)
518.  哀しい気分でジョーク 《ネタバレ》 
内容的にはかなり重苦しいのだが、たけし演じる主人公の芸人・五十嵐洋のキャラクターが「ビートたけし」そのままなので、重い話だが、そんなに肩に力を入れず、軽い気持ちで見られるのがいいし、それでいてちゃんと泣かせどころは心得ていて、ラストの飛行機の中で息子が死んでしまうシーンでは分かってはいてもジーンとさせられた。「グリーングリーン」が劇中で何度か歌われているが、このシーンではメロディーのみが流れるというのも捻った演出でいい。(死んだ息子の前でたけしが歌うのかと思っていたら、少し違った。)ただ、後半シドニーに行くまでのシーンをもう少し丁寧に描いたほうがよかった気がしないでもないし、シドニーについたらついたでいきなり観光案内のテロップが表示されまくるのはちょっと興ざめ。とはいえ、たけしを当時の本人とだぶらせるようなキャスティングは成功していると思うし、たけしの監督作品である「菊次郎の夏」の原型のようなものも感じられる。(あちらはこの映画ほど重くなく、コメディー色がかなり強いのだけど。)「女王蜂」でのあまりにも下手くそな演技が逆に印象に残ってしまっている中井貴恵もこの映画ではそこそこうまくなっていて、普通にいい演技をしていたのが印象的だった。ベタな映画だが、見て良かったと思えた映画だったので少し甘いかもしれないが7点を。
[DVD(邦画)] 7点(2012-10-04 14:53:37)
519.  でっかいでっかい野郎 《ネタバレ》 
渥美清は「男はつらいよ」シリーズ開始以前は野村芳太郎監督の喜劇映画に何本か主演していてこの映画もそんな一本。物語は若松に突然現れた風変わりな男 松次郎(渥美清)を描いた内容で、どことなく山田洋次監督が初期にハナ肇主演で手がけた馬鹿シリーズを彷彿とさせている。岩下志麻が語り手となる院長夫人を演じているが、渥美清とのやりとりを見ていてつい岩下志麻が「男はつらいよ」シリーズのマドンナとして登場したらどんなだっただろうと考えてしまった。(岩下志麻のマドンナ役、本当に見たかった。)作品そのものは平凡な出来だし、終わり方も唐突に思えるのだが、やはり渥美清という喜劇俳優の魅力をこの映画でもじゅうぶんに感じることができるし、伴淳との共演も珍しく、ふたりのやりとりは見ていて素直に楽しめた。松次郎が無法松ともてはやされるくだりをもう少し膨らませてもよかったような気がするが、このくだりがあるために松次郎の世話をすることになる院長役で長門裕之が出演しているのが妙におかしく、見ていて思わずバンツマの「無法松の一生」を思い出さずにはいられなかった。劇中では三船敏郎の「無法松の一生」のことを言うシーンがあるが、書いてたらなんだかまた久しぶりにバンツマの「無法松の一生」が見たくなってきた。
[DVD(邦画)] 7点(2012-08-23 14:23:32)(良:1票)
520.  みな殺しの霊歌 《ネタバレ》 
東映で活躍していた加藤泰監督が松竹でてがけたサスペンス。主演が東宝の佐藤允で演じるのが連続殺人犯というのもあまり松竹っぽくないが、実際、殺人事件のシーンではかなりショッキングに描かれており、モノクロ画面も手伝ってリアルに感じる。ただ、五人の女たちを次々と殺していく男の動機がラストに明かされるが、陰惨な連続殺人事件の動機としてはちょっと弱さを感じる部分もある、しかし、それ以上に見ごたえがあるのが、互いに過去に人を殺めたことがある男女、佐藤允演じる主人公・川島と彼が偶然立ち寄った食堂で働いていた倍賞千恵子演じる春子の重々しいドラマだ。この二人の哀しみがとてもよく描けていて加藤監督がこの映画で描きたかったものは連続殺人事件の凄惨さではなく、やはりこの二人の人間ドラマだったのではないか。ただ、90分の間に少し詰め込みすぎたような印象もあり、そこはちょっと残念。倍賞千恵子は「霧の旗」でもさくらとイメージの全く異なる悪女役を演じていて幅の広さを感じたが、本作でも哀しい過去を持つヒロインを演じていて、この映画の翌年に始まる「男はつらいよ」シリーズで世間一般にさくらのイメージが浸透してしまったのはもったいなかったのではないかと感じる。しかし、やはりさくらのイメージが強いからか今になって見るとヤクザな実の兄を殺して現在執行猶予中という設定に違和感を感じるのも事実だ。暗く重い映画だが、山田洋次監督が構成で参加しているためかどうかはわからないが、のちに「男はつらいよ」シリーズのレギュラーとなる面々も何人か登場しており、痔もちの年輩刑事を演じる松村達雄もくすっとくるが、クリーニング屋のおやじを演じる太宰久雄はどこから見てもタコ社長にしか見えず登場するだけで笑える。
[DVD(邦画)] 7点(2012-08-02 19:07:53)(良:1票)
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