501. マイ・フェア・レディ
《ネタバレ》 これも初めて見たのは『日曜洋画劇場』でした。しかし普通の120分枠での放送だったので、おそらく半分以上はカットされていたはず……。それでも十分楽しめたので、皆さんおっしゃるように長すぎるのかもしれません(笑)。私はそうは思いませんが。なんにせよ、その放送を見てたいへん気に入り、後日レコード屋でサウンドトラックのLPを見つけて即購入。何度も聞き返した思い出があります。 しかしこの映画、「オードリー・ヘプバーンの映画」だと思われているのは、たいへんな不幸です。これは誰がなんと言おうとレックス・ハリソンの映画でしょう!! イライザ役はジュディだろうがオードリーだろうがどっちでもいいのですが、ヒギンズ教授役ははかに考えられません。あの無意味に(?)尊大なところとか、女性を小馬鹿にしたところとか、それになんといっても、歌ってンだか喋ってンだかわからないムチャクチャなところか、とにかくレックス・ハリソンの魅力大爆発。イライザに去られて叫ぶ "Mother!" というのも忘れられません。単に尊大なだけでなく、その裏には常にユーモアに裏打ちされた滑稽さをのぞかせているのはさすがです。そういう部分があればこそ、終盤でイライザがいない淋しさを語る場面に説得力が出てきます。 イライザの側から見れば、単に貴婦人になるだけではなく、人間らしい扱いを求めるようになった。言葉遣いを直せば上流階級の人間に見えるでしょうが、中身までは変えられないでしょう。つまり人間らしい精神は彼女が最初から持っていたものですが、それは前半でのヒギンズとのやりとりを見れば明らかです。これはイライザが(男女を超越して)一個の人間として認められるまでのお話です。であるからこそ、ショウの原作とは異なるハッピーエンドでもこちらは納得してしまうのでしょう。 ともあれ、私はLD・DVD・ブルーレイと、ソフトが変わるたびに購入しています。こんな映画は他にありません。そうしてでも手元に置いておこうというだけのものを、本作は確実に持っています。〔レビュー500本目〕 [ブルーレイ(字幕)] 10点(2013-07-02 21:13:19) |
502. エル・スール
同じ監督でも、『ミツバチのささやき』よりは見やすいですね。あちらが勝手に自己完結していたのに対し、こちらはまだ観客というものを意識しているように思えます。しかしあいかわらず、あれこれ解説するのはどうかな~というような代物。まあやはり、私の好みではありませんが。少なくとも、こうした映画を称揚しようという気にはなりません。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2013-07-01 13:50:54) |
503. ミツバチのささやき
いや~、笑っちゃうほど70年代ですね。フィルムの質感とか(予算がなくていいものが使えなかったのかも)。室内で照明を使わず、できるだけ自然光で撮っているところとか。セリフを抑えて妙に難解なところとか。以前から名前を出している、佐々木昭一郎のドラマに通じるところがあります。当時はこういう撮り方がイケてたんですね。 まあいろいろと論じられているようですが、フィルムを見ているだけで引き込まれますし、難解(意味不明)であっても、こちらを引きつける力を持った映画だと思います。とりあえずは、それだけでも十分でしょうか。 映像で語っているものに対し、言葉で(後付けの)説明をする。ましてや言葉を重ねてダラダラと書き連ねるのが、なんだかみっともなく思えてきます。そういうものに点数をつけるのもどうかと思いますが、一応無難な点で。 言語化も数値化もできないものを持っているということでは、すぐれた「映画」作品でしょう。好き嫌いはまた別の話ですが(私はまったく好きになれません)。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2013-06-30 11:00:15) |
504. エニグマ
《ネタバレ》 なかなかよくできたサスペンス映画でした。面白いのは、戦時下で主要人物は軍に所属しているのに、あらかた私情で動いているということ。戦争の正義とか大義名分とは対局のところにありますが、それもむしろサスペンス向けでしょう。主人公のトムはもちろん、彼が探していたクレアも、情報を漏らしていたパックも、軍よりは個人の感情を優先させています。とはいえ、そこが詳細に描かれているのはトムだけで、あとの2人はミステリーの「犯人」という存在ですから、あまり掘り下げられていなかったのは残念です。特にパックはポーランド人ですから、肉親を殺されたとはいえナチスに情報を流すというのは、ちょっと首をかしげます。クレアにしても、パックのどこに惹かれて愛したのかというのが不明ですし、そういう点では説得力に欠けますが、ミステリーとしては致し方ないでしょう。現実の「カティンの森事件」を扱っているのでもう少しドラマ重視にもできますが、あくまで背景にとどめているのは潔いです。 こうした点を除けば、イギリスらしい堅実で上質なミステリーでした。あくまでサスペンスなので、暗号解読の方法自体は理解できなくても大丈夫ですし。また中盤、Uボートからの暗号を傍受するためアメリカの輸送船団を危険にさらすという作戦が立てられるのですが、これが私情で動く主人公たちと対照的で、なかなか効果的だったと思います。 出演者では、サフロン・バローズがファム・ファタールらしく神秘的な美女でけっこう。対するケイト・ウィンスレットは、まんまる眼鏡で体型もちょっと丸く、コロコロしてかわいらしかった。この2人の対照も面白いですね。 ここでの点数は低いですが、どうも映画のポイントを外して鑑賞した方が多いようで……。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2013-06-29 16:59:11) |
505. アイリス(米英合作映画)
題材としてはよくありますし、今後もこうした映画やドラマは作られるでしょう。本作はイギリス映画らしく、淡々としていて感情的にならない。こうした作品が陥りがちなお涙ちょうだいや大げさな悲劇的展開にならないところがいいです。2人の過去と現在を平行して描くのは、目先が変わって飽きてきませんが、やや散漫に思えるところもあります。しかし、過去の関係があってこそ現在の関係が生きてくるので、この構成自体はうまいと思いました。ただ、アイリスがなぜジョンを選んだのかはよくわかりません。原作が夫の書いたものですから、そこはあたりまえなのか……。しかしそこがこちらにもわかれば、終盤の展開ももっと説得力のあるものになったと思います。 ところで、ジム・ブロードベントは助演男優賞なのですが。主演でもよかったような気がしますが。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2013-06-28 20:28:25) |
506. 抱かれた花嫁
《ネタバレ》 なかなかの良作。基本は母親と子どもたちとの対立→和解という路線で、松竹らしいホームドラマ。それにラブコメの要素もあるのですが、この組み合わせ、話のからめ方がうまい。長女・有馬稲子の場合は高千穂ひづるなんかも加わって三角どころか四角(若旦那も含めると五角?)関係に発展して複雑になりそうなところを、枝葉はあっさり扱ってスッキリしているところがいいです。次男と母親のロマンスもあり、特に後者はストーリーの展開上重要なポイントになっていたりして、これも印象深いです。加えて喧嘩と火事があり(さすが浅草)、盛りだくさんで散漫になりそうなところを、きれいにまとめていてけっこう。その分薄味なところもありますが、これだけあれもこれもと盛り込んでいたら、その方がかえって見やすかったです。そのくせ家族の情愛は手を抜かずきちんと描かれていました。しかし、火災保険が伏線になっているとは思いませんでした。やられました。 三社祭やオペラなどの浅草の風俗、日光ロケでの観光地巡りと、たいして長くないのに気が抜けないほどあれこれあってサービス満点。出演者の中では、小金治師匠のおっちょこちょいなお節介ぶりが楽しめました。あとはラスト、浴衣に麦わら帽子といういでたちで釣り糸を垂れながらポケーッとしている有馬稲子が、無類にかわいくて魅力的。 [CS・衛星(邦画)] 8点(2013-06-27 18:17:56) |
507. カルメン故郷に帰る
《ネタバレ》 タイトル・ロールのカルメンにばかり注目しがちですが、意外と相棒の小林トシ子がいい味を出していました。佐田啓二に秋波を送る場面なんか、ついつい笑っちゃいます。カルメン自身はストリップを「芸術」だと思っていて、案外まじめなとこもあって、本来ならその辺のズレがおかしみを生むのでしょうが、そこまでは感じられなかったのが残念。どちらかというと、娘がストリッパーになったことを恥じる父親の心情や、盲目の田口先生をめぐるエピソードが印象深く、人情喜劇の部類に入ると思います。 とはいえ、芸術的な(だからへんてこりんなのか?)「裸踊り」をくそまじめな顔つきで踊るカルメンを見ていると、ドタバタの要素も盛り込んであるようです。このように笑いの要素がちょっとちぐはぐだったのが残念でしたが、楽しめました。ところどころで挟まれるクラシック音楽は、これが本当の「芸術」だってことでしょうね。モノクロ撮影版もあるようで、一度見比べてみたいです。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2013-06-26 16:38:22) |
508. とんかつ大将
主人公が理想のヒーローすぎて、現実感がありません。いろいろと社会問題を取り上げているのに、これではリアリズムがなく台なし。話の展開もご都合主義が多く、かなりの絵空事。長屋の人たちがコロコロ態度を変えるあたりだけが現実的でした。津島恵子と角梨枝子の大喧嘩も、見ていてなんだか恥ずかしくなってきます。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2013-06-25 21:55:23) |
509. お嬢さん乾杯
《ネタバレ》 一応ラブコメなんですが、借金だらけのご令嬢と成金青年との恋愛、おまけに父親は獄中の身ということで、ちょっと重め。そこを重くなりすぎないために入れている笑いの要素が、とても効果的でした。時代が時代だけに恋愛も純情可憐で、手袋にキスしたあとあわててずっこけるあたり、単なるギャグではなくそうした性格描写になっているのがうまい。その一方で、家のためではなくあくまで自分の気持ちで結婚するという、戦後らしい姿が描かれているのもいいし、それが見終わってのさわやかさにつながっていると思います。ただ、それを引き出すためのマダムのセリフが理屈っぽいのが残念。しかし互いの気持ちの微妙な変化がうまく出ていたし、良作でした。 [CS・衛星(邦画)] 8点(2013-06-24 18:25:17) |
510. 勇気ある追跡
親の敵討ちにしては、嬢ちゃんに悲壮感や悲哀がなく、妙に陽性。それ以外にもユーモラスなところがあるし、なんだかのんびりとしているし、どうなってんの? という感じ。映画としてはまあまあでしたが、字幕のせいか人物の行動原理がわかりづらいところもあって、もう少しすっきりまとめてほしかったところ。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2013-06-22 10:33:27) |
511. 夢で逢いましょ
一応中尾ミエが主人公みたいに見えたのですが、後半スキャンダルを起こしてからは、案外出番が減ります。最終的には姉とその恋人がメインなんでしょうか。伊津子は幼くてわがままなところがあって魅力に欠けますし、結局は姉の言うことが正しかったということになります。しかし華やかな出演者の中で、なんだか池内淳子だけが異色のキャスティングに見えてしまいますし。この方は和服のイメージが強いので、芸能プロダクションの社長という役も驚き。悪くはなかったですが。 本作はそれよりも、当時のナベプロスターがゾロゾロ登場して歌いまくるのが魅力でしょう。ある意味、主人公のサクセス・ストーリーはそのための道具のようなもの。そこはじゅうぶん楽しめましたし、ちょい役で意外な人が出ているのもいい。個人的には桜井浩子がいい待遇なのが嬉しいです。 ちなみに、Wikipediaではクレージーキャッツの役名は「クレージー・ベアーズ」となっていますが、最後のショウの場面ではちゃんと「CRAZY CATS」と書いてありました。それ以外にグループ名は出てきません。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2013-06-20 18:00:32) |
512. 天使にラブ・ソングを2
《ネタバレ》 やはり、前作に比べると落ちますね。いつのまにか聖歌隊の結成に生徒が反対しなくなったり、本番前の生徒の心情がコロコロ変わったり、あげくにはあっさり優勝したりと、ご都合主義が目にあまります。リタと母親のエピソードも、もう少し掘り下げてもらいたかったところ。それと学校を舞台にしたため、デロリスと合唱団員の関係が完全に指導者と生徒という立場になったのもマイナスでしょう。前作では、あくまで同じシスターということで、仲間意識が芽生えたことがポイントでしたから。 あと学校を舞台にしたのなら、映画よりもドラマの方が生徒たちの個性も描けてよいのではないかと思います。実際、「glee」というドラマが制作され、人気を博しています。そのプロトタイプになったという意味では、必ずしも失敗とばかりは言い切れません。あと、ノリノリのエンド・クレジットは無類に楽しい。 ちなみに、修道院長と校長の会話に“オマリー司教”が出てきますが、これはやはりビング・クロスビーが演じたあの映画を意識してのことなんでしょうね。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2013-06-19 15:12:25) |
513. 天使にラブ・ソングを・・・
エンタテインメントとして楽しい映画でした。よかったのは、修道女の皆さまの平均年齢が高そうなこと。仮に日本で同じような映画を作るとしたら、もっと若い子を増やすと思うのですが、本当におばさんやおばあさんばっかり。それがかえってリアルだし、そういう方たちがノリノリで聖歌を歌うというのは意外性もあって楽しめました。人物の描き方はやや薄味なのですが、歌が入って時間が短めになることを考えると、しかたがないでしょうか。もうちょっと修道女たちのドラマも見てみたい気がします。ビンスとその手下はちょっと抜けていて、いい助演ぶりでした。犯罪がらみですが、老若男女に勧められる作でしょう。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2013-06-18 21:56:55)(良:1票) |
514. ハル(2013)
いや~、劇場にアニメを見に行くのは何十年ぶりでしょう。たぶん、『ガンダム』第1作以来だと思います。これもあまりおじさんが見るようなものではないのでしょうが、木皿泉さんが脚本とあらば、見ないわけにはいきません。結果としては、あちこち木皿さんらしいところがあって、やはり足を運んでよかったです。 「神は細部に宿る」などと言いますが、本作では細かいところまで作り込まれ描かれていて、アニメとはいえ現実感があるし、生活感にあふれています。それが特に後半の展開、中でもラストシーンで意味を持ってきます。それによって説得力が出てくるのです。日々の日常生活を大切にするという点では、脚本・監督共通しているようで、これは非常に幸福な出会いだったようですね。 一応近未来の話なので(今から30年後ぐらいの設定らしい)、いろいろ現代と違うところもあるのですが、それをいちいち説明しないのがいい。それによって物語が停滞するのを防いでいますし、作品の本質には影響しないので、説明する必要性も低いのです。「そういうものなんだろう」程度に考えておけば問題ありません。しかし、あれこれ説明してもらわないといけない人は、高く評価しないでしょうね。 従来の木皿作品同様、見る人を選ぶと思いますので、そういう点でも評価は分かれそうです。私は一応、波長に合う作品でした。絵的にも美しく、見ごたえがありまりました。短いですが密度は濃いと思います。 [映画館(邦画)] 7点(2013-06-17 22:49:59) |
515. ローズランド
《ネタバレ》 ダンスホールを舞台にしたオムニバスで、どのエピソードにも高齢者が登場する。そこがテーマのようで、最初の「ワルツ」と最後の「ピーバディ」は、高齢者の過去にとらわれた姿や孤独を描いています。間の「ハッスル」は逆に、若者を主人公にしていますが、その若者にとって障害となる存在として、老人を登場させています。この3話の組み合わせはよかったと思います。各人物も人生の厚さを感じさせて引き込まれました。ただ、「ピーバディ」などは過去と現在を同等に扱い、何の変化もなくその間を行ったり来たりしているので、正直わかりにくい部分がありました。あとの2話はあまりハッピーエンドと言えず、ほろ苦い後味を残すのは、大人の映画という感じでむしろ好感が持てます。地味ですが味わいのある作品でした。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2013-06-16 22:05:13) |
516. 嘆きのテレーズ
《ネタバレ》 前半は不倫の話なので、渡辺淳一風の文芸作品かと思いきや、後半サスペンスに移行したのは驚き。しかし不自然さもなく、うまい展開だと思います。本作の登場人物はそろってエゴが強く、それがぶつかり合うところが見どころでしたが、そこが最後になってあざやかに反転する。水兵がいまわのきわ、テレーズたちのことを思って手紙のことを伝えようとするところに、人間のあるべき姿が描かれていたと思います。非常に効果的でした。車のぶつかる場面がわざとらしいのが、玉にきずですが。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2013-06-15 22:25:41) |
517. マルタの鷹(1941)
《ネタバレ》 聞いたところによると、この映画は原作からセリフと人物の動きだけを抜き出し、それでシナリオを作ったそうです。客観的な描写に徹したハードボイルド小説の映画化としては、理にかなっているでしょう。ただし上映時間が限られていたためか、セリフがやたら早口になっています。とはいえ、映画のテンポ自体はたいへんよく、展開が早いので、マイナスばかりというわけでもありません。 原作は学生時代に読み、意外と面白かった記憶があります。改めて映画を見てみると、ミステリーとしての要素よりも、スペイドの探偵としての矜持に強く惹かれます。正体不明の相手との、虚々実々のやりとりも面白い。そのやりとり自体が魅力なのであって、話がどう転がるかということは、その結果でしかない。そういう意味では、その場面だけの刹那的な魅力を感じられるかどうかが、評価の分かれ目かもしれません。 ちなみにレイモンド・チャンドラーの(映画化)作品にもそういうところがありますが、ハメットはチャンドラーと違い、長編小説をちゃんと構成できるだけの力量を持っていた。それが映画作品にもよく表れています。この筋書きもチャンドラーが書いたら、行き当たりばったりでわけのわからない代物になっていたでしょうね。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2013-06-14 18:13:31)(良:1票) |
518. 彼女を見ればわかること
共感できる人物が出てきません。これは男性と女性の違いもあると思いますが、単にそれだけではなさそうです。根本的にこの監督と“生活感”に違いがあるのかもしれません。カナリアを吸い込んじゃった話はインパクトがありましたが。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2013-06-13 21:49:47) |
519. 望郷(1937)
《ネタバレ》 これは「世界名画劇場」以来で、けっこう忘れている部分がありました。全体的には、記憶にある通りの作品でしたが。ペペが元パリジャンらしく、おしゃれなところは新発見でした。内容的には人物のキャラクターが今ひとつで、物語が平板になっているのはそのあたりが原因でしょうか。もっと癖を持たせた方がよかったと思います。いかにもな悪党にせず、わりと普通の人たちに描いていたのは、狙ったのかもしれませんが。演出的にも面白いところはありましたが、全体としてはそれほどでも。最終的には、望郷の念というか自由に対するあこがれを捨てきれず逮捕されたペペですが、それと犯罪ものとギャビーへの恋慕がごたまぜになり、どれにも的を絞りきれなかったためか、散漫な印象を受けました。最後に自殺したのも「自由の身」になれないためかもしれませんが、そのあたりのペペの心情をもっと掘り下げたら、また変わってきたのではないかと思います。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2013-06-12 20:02:50) |
520. トスカーナの休日
よくあるパターンの再生物語ですが、特にこれといったセールスポイントが見つからない。イタリアの風景は美しいのですが、それだけでは……。主人公が作家で金持ちというのも、個人的にはマイナスに働いています。なんだか都合よく行きすぎて、共感できません。あと、邦題は「休日」となっていますが、休日どころの話じゃないでしょう。原題の方がしっくり来ます。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2013-06-11 21:14:24) |