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R&Aさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2162
性別 男性
年齢 57歳
自己紹介 実は自分のPC無いので仕事先でこっそりレビューしてます

評価:8点以上は特別な映画で
全て10点付けてもいいくらい
映画を観て損をしたと思ったことはないので
酷評しているものもそれなりに楽しんで観たものです


  *****

●今週のレビュー
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561.  自殺サークル
54人の女子高生たちが「いっせいのーせ!」と手を繋いで地下鉄に飛び込む。この壮絶な画を撮りたかっただけの映画、だったとしてもだからダメってことにはならない。映画は本来、見せたい画がまずあってそこから物語が作られるほうがいいに決まっている。見せたい画ができたから物語を変更するのだってアリだ。「物語」ありきの映画より「画」ありきの映画のほうが、、というより映画は「画」ありきでなきゃいけない。しかし園子温監督は実は「画」よりも「物語」よりも「思想や哲学」が先にある人なんじゃないかと思ってる。「思想」を表現する手段として「画」があり「物語」がある。作品自体が園子温なのだと言ってもいい。特に初期作品はその傾向が強いと思われる。で、集団飛び込み自殺のシーンだが、このシーンはやっぱり「画」が「思想」を超えている。「画」を見せることの魅力に負けているというか、それが映画作家のあるべき姿なんだろうけど、そのことで映画的であっても園子温的ではないように思った。というかこの人はこの後に「映画」と「園子温」が混ざり合った独自のワールドを作り上げるのだが、この作品はまだその混ざり合いを試行錯誤している段階の作品なんだと思う。いや、面白いのは面白かったんですけどね。でも続編はもっと面白いです。
[DVD(字幕)] 6点(2009-04-30 11:39:29)
562.  樹の海
人は樹海に入ると一人芝居をせずにはいられない・・・。というのはもちろんいちいち相手の受け答えをこちらに聞かせるために反芻しながら携帯電話で一人芝居をする池内博之と動かない死体を相方にしてコントを始める萩原聖人のこと。説明セリフというよりもこのあまりの露骨さは舞台劇を樹海でやってもらったと思ったほうが良いかもしれない。と良心的にとらえたとしてもしつこさは残る。物語は「自殺はダメ」ってことになるんだけど、説教臭くない。さりげない。メッセージ性は当然弱いんだけどいい話だったなあという余韻は残る。樹海の画も怖さもなければ死の臭いも感じない。だからといって生の源とも思わない。自然の驚異が描かれるわけでもない。ただの森。美しい森。ここが青木ヶ原ですよってだけ。ここはもったいないような気もするがそこに意味をつけちゃうと説教臭くなるのかもしれない。でもやっぱりもったいない。過去の挿入は抜群に上手かった。4つのエピソードが現代と過去を行き来するのに全く戸惑うこともなく物語を堪能できます。
[DVD(邦画)] 5点(2009-04-28 13:31:07)
563.  明日、君がいない 《ネタバレ》 
『エレファント』が素晴らしいのはある一点に向かう時間の流れの中にそのある一点を必然にしてしまうものを映し出しているから。この『明日、君がいない』が面白いのはガス・ヴァン・サントのやったことを逆手にとっているところ。つまりある一点に向かう時間の流れの中にそのある一点へと導く映像が映されているはずという観客の予想を裏切るところにある。しかしそのある一点というのが一人の人間の自殺らしいというところにこのゲーム感覚の「騙し」に対して少なからぬ不快感を持ってしまう。それはラストまで隠されるのが「なぜ?」ということだけでなく「誰が?」も隠されているからでもある。どうしたって我々は誰が自殺するのかなというところに興味を抱いてしまう。そこに興味を持って見ている事になんとなく不謹慎さを感じてしまう。繰り返すが、淡々と映される映像に答えがあるのではなく答えがないことで「自殺者の苦悩を誰も知らない、誰も気付けない、だから止められなかった」という結論に持ってくるあたりは上手いとは思う。でもまたこの上手さがなんかイヤなんだ。
[DVD(字幕)] 5点(2009-04-27 15:47:00)(良:1票)
564.  復讐するは我にあり 《ネタバレ》 
凄い。唐突に始まる惨劇。その男の半生を振り返るがそこに殺人鬼の明確な根源は無い。しかし殺人鬼になるべくしてなったと思わせるものが緒形拳から発せられる。逃亡先で犯す殺人。逃亡資金を得るため?いや、ここでも殺人の意味を描かない。突発的なものではなく計画的な殺人であるにもかかわらず無差別に殺す。そこに怒りや快楽を描かない。ただ殺す。しかもその理不尽を必然のように思わせてしまう。この説得力はどこからくるのだろう。そして殺人鬼の妻と殺人鬼の父が最後に見せる喜劇的ショットに仰天。遺骨を放り投げても落ちてなるものかと空中で止まろうとしているのか。緒形の演技は圧巻だったが遺骨となってもまだ存在感を発揮する。凄い映画だった。
[DVD(邦画)] 7点(2009-04-24 10:59:35)
565.  モンスター(2003)
彼女がなぜモンスターになったのか。その根源はあきらかに幼少期にあることを映画は説明する。たしかにモンスターになるざるを得ないような悲惨な過去が語られる。さらに他に道はなかったのだと言う様に彼女の心理を丁寧に映し出してゆく。しかし殺すことに慣れてしまった、つまりモンスターになってしまったこの女がしてきたことはけして許されないことなのだと、殺された男の善良性を物語る一枚の写真を映し出すことで告発する。わざとらしいくらいにバランスをとっている。バランスをとることで観る者に問題提示をしているようでもあるが、いきつく答えも限られるように誘導している。殺人鬼の狂気を描いたわけでなく、殺人鬼を生み出す世界の狂気を描いたわけでもなく、真面目に連続殺人を犯した女の心理を描いているだけの映画なので基本面白くない。しかもその「真面目」が真面目なフリをしているふうにしか伝わってこない。題材が題材なだけに期待が大きかったせいなのかもしれんが。その中で図らずもモンスター誕生の一因となる女を演じたクリスティーナ・リッチの母性をくすぐるルックスと同居するいかがわしさはこの映画の中でずば抜けて光っていた。
[DVD(字幕)] 4点(2009-04-23 14:28:35)
566.  丑三つの村
田中登のエロと奥村和由のバイオレンス。クライマックスの怒涛のバイオレンスの見た目の派手さはなるほど奥村で、なかなかに盛り上げてはくれる。しかしそこにいくまでの因習に満ちた閉塞感と同居するエロスにこそこの映画の醍醐味がある。もちろん田中登の仕事である。この田舎に住む女たちはいわゆるメスである。男はオスであったり家長であったり兵隊であったりするが女はメスだ。戦中であること、田舎であること、そして監督が田中登であることで女はメスでしかなくなり、閉鎖的因習に塗れた歪んだ世界を増徴させてゆく。この時代の、戦争へ行くということ。行けないということ。そして「死」。それらが歪んだ世界にいる男の中であるものを作り上げてゆく。決行に当たっての緻密な準備はまるで『タクシー・ドライバー』のデ・ニーロだ。いや、この描写に限らず歪んだ社会とそこからの孤立、そして凶行への流れまで同じではないか。しかしニューヨークにあまりにはまるジャズに対し、こちらは・・・なんなんだ、この80年代の臭いプンプンの音楽は。
[ビデオ(邦画)] 6点(2009-04-22 15:36:47)(良:1票)
567.  ゾディアック(2007)
未解決の連続殺人事件を描いた韓国映画『殺人の追憶』が時代の闇を描いていたように『ゾディアック』もまた60年代後半から始まる(ベトナム戦争真っ只中からキング牧師とJFK暗殺から始まる)アメリカ史の闇が描かれていたのかもしれない。フィンチャーが『ベンジャミン・バトン』を撮ったことでそれは確信めいたものに変わる。物語のメインはゾディアック事件に翻弄される男たち。彼らは犯人というより「暗号」に翻弄されていたのかもしれない。そして皆が皆、人生を狂わせてゆく。法と規則から離れた存在の挿絵漫画家が最後まで異常な執着をみせてゆく。「暗号」の謎に。誰かが解かなきゃいけない。そう思い込む心理は、真実が露見しない社会の中で生きる人たちの心理なのかもしれない。しかししかし、フィンチャーは社会派ではなかった。殺しのシーンの怖さは尋常じゃない。ものすごく怖い。これがあるから長尺に耐えれた。これがあるから重さを感じた。フィンチャーがどう考えているのか知らないけれど、これがあるからアメリカの闇という壮大さは消し飛んで小さな犯罪に収束する。つまりフィルム・ノワールなのだ。
[DVD(字幕)] 7点(2009-04-21 15:04:58)(良:1票)
568.  殺人の追憶
未解決の連続暴行殺人事件がことごとく韓国の歴史の闇とリンクする。ことごとくである。そして物語構成に一切の無駄が無く全てが全てにからんでゆく。北朝鮮の侵攻に対する灯火規制と共に起こる事件。当たり前のように行われる警察の拷問と軍事政権下の国家権力に対する国民の怒り。怒りは容疑者から証人へと変わった男を警察から遠ざけ、またある時はデモ行進によって機動隊の出動を邪魔する。どちらが犯人か判別できないある事件の容疑者と被害者の兄の写真。あるいは都会刑事を犯人と間違うエピソード。刑事の自信と確信をことごとく失墜させてゆく展開はまさに何を信用すればいいのかわからない時代を写し取っている。強引なやり口を批判する都会刑事もまた闇に翻弄され自らを失ってゆく。そしてトンネルの闇に同化するように消えてゆく容疑者は時代の闇そのものだったのか。排水溝を覗くことの繰り返しは十数年という月日の流れの中で闇の時代が過ぎ去ったことを提示する。このあまりの完璧さに感心しながらも完璧であることに少々の不満も感じる。そしてこの完璧な構成を分りやすくする大袈裟で過剰な語り口がどうも苦手だ。まあでもボン・ジュノは社会派をエンターテインメントに紛れ込ませて見せるのがうまい。
[DVD(字幕)] 6点(2009-04-20 16:55:31)(良:1票)
569.  ナインスゲート 《ネタバレ》 
世間が言うほどつまらなくはなく、むしろ面白かったのだが何か物足りない気もしてしまうのは「悪魔崇拝」が描かれたポランスキーのオカルト映画というところでどうしても『ローズマリーの赤ちゃん』を想起してしまうからだけではなさそうだ。主人公は本に携わった仕事をしているが本を愛しているわけではなさそうで(貴重な古書をタバコを吸いながら触りまくる)、金で動くいわゆる商売優先の人。こう書くと悪魔に魅入られる人間という気もしないでもないが、正義の人ではないけどどこか憎めないキャラは彼が演じた某海賊映画の船長をこじんまりとした感じに似ていなくもなく、だからこそ面白かったわけでもあるが、結末がああなるとちょっと愛嬌がありすぎるような気もしないでもない。『ローズマリーの赤ちゃん』や『テナント』や『反撥』のような妄想がなく、オカルトを現実の世界のものとして描く。だからあの女はバイクにも乗り怪我もしセックスもする。何度も言うがだから面白い。でもやっぱり何か足りない。何かはたぶん「狂気」。
[DVD(字幕)] 6点(2009-04-17 14:15:55)
570.  チャイナタウン 《ネタバレ》 
依頼されたのは浮気調査に過ぎない。だからその奥に大事件が潜んでいようがこの男には興味が無い。ところが浮気調査自体が計画の一片で、自分がある陰謀のコマに使われたに過ぎないことに対する憤慨と元警官ゆえの臭覚と好奇心が男を駆り立てる。話はどんどん大きくなってゆくが映画は社会派へも告発モノへも、あるいは大河ドラマへも行かず上質のノワールに留まり続ける。男は巨額をむさぼる悪を追及する気はない。一人の女を助けたい。その小さな世界でしか思考しない。だから面白い。だから切ない。人間の中にある「悪」とその「悪」がのうのうと存在し続ける理不尽をまざまざと見てきたポランスキーらしい苦い味わいのエンディング。その「悪」(社会悪でありながら人道悪という最悪な悪者)を演じたジョン・ヒューストンが前に出すぎずに憎いまでの存在感を出している。大きな絆創膏で顔の真ん中を隠したニコルソンが滅法カッコイイ。
[DVD(字幕)] 7点(2009-04-16 16:57:06)
571.  ハメット
作家とタイプライターと虚実入り混じった展開にクローネンバーグ『裸のランチ』を想起してしまって(『ハメット』が10年先ですが)どこか気味の悪い怪しさを感じながら見てしまったが、この独特の怪しさが『裸のランチ』から来るのか『ハメット』の世界観なのかが今さら判別できないのがもどかしい。でもセットを使って撮影してることもあってあきらかに他のヴェンダース作品には無い虚構性を発揮している。撮影が一度頓挫してその合間にまるで「『ハメット』撮影における受難」とでも言える『ことの次第』を撮ったらしいのだが、これを見るとなるほどアメリカとヨーロッパの、娯楽と芸術の、コッポラとヴェンダースの対立と妥協がこの奇妙な世界観を作ったのかもしれないとも思う。けして嫌いではない。途中、物語が破綻へ向かっているようにも思ったが終わってみれば全くそんなことはなく、そこがかえって物足りなかったりする。
[DVD(字幕)] 6点(2009-04-15 14:35:33)
572.  ロング・グッドバイ
舞台は70年代のLA。50年代の原作の世界から20年後のマリファナにまみれたハリウッドがある街に、時代にそぐわないうらぶれたヒーローを放り込む。原作のマーロウからは想像できなかったグールド=マーロウがはまるはまる。そして原作には無い冒頭の猫との掛け合いが素晴らしいのだが、猫がマーロウの飼っている猫としての自然な振る舞いを見せてくれるのも素晴らしいがそれ以上にキャットフードを買いに出る冒頭シーンでグールド=マーロウのうらぶれた感満載の魅力とその後ドラマのつなぎを見事に果たすマーロウの棲家の一風変わった造りと変わった隣人をさりげなく完璧に見せてしまうのがもう上手すぎ。結末の改変はいかにもというか、どこかで見たことあるようなありふれたものでガッカリなんだけど、全体的には複雑なカラクリをよくここまでわかりやすくできたもんだと感心もする。それはさておき、やはりフィリップ・マーロウを(製作当時の)今の時代に蘇らせてしまうアルトマンは並みの監督じゃない。単に今の時代を背景にするだけじゃなく、ちゃんと今の時代を描いている。傑作。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2009-04-14 14:15:17)
573.  さらば愛しき女よ 《ネタバレ》 
目の前に死体が転がっていようが警察に尋問されようが常に落ち着き払って対応すれば誰でもマーロウになれるんじゃないだろうか。その落ち着きぶりに無理さえなければ。いや、ボギーの落ち着きぶりはけっこう無理があったような気がするけどそれでもマーロウだったんだから、無理の無い落ち着きを見せるミッチャムはさらにマーロウだといえる。加えて、原作には落ち着き払ったうえにキザな心情の語りが入る、そこにハードボイルドの源があるのだが、ナレーションを使うことでそこんところをうまく補足している。だから原作ファンには至って好感度が高いように思う。チャンドラーの作ったハードボイルド臭は確かに再現されているから。それだけでもじゅうぶん面白い映画ではあるんだけど、チャンドラーを知らない人にとってどうなんだろう。知らなくたってシャーロット・ランプリングのファムファタールぶり、はたまた相反する男の純情物語をからませたドラマは回想で語られることによってより哀愁を漂わせていて実にいいと思う。思うんだけど、やっぱりこの映画の良さってチャンドラーの醸す雰囲気を壊さなかったってところが一番なんじゃないかな。とか思ったり。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2009-04-13 17:01:54)
574.  ゴッホ
伝記とはまたアルトマンらしからぬ。と思うも、『M★A★S★H/マッシュ 』がアメリカ軍というシステムを、『ザ・プレイヤー』がハリウッドのシステムを揶揄したように、芸術が商品として売買される絵画の世界のシステムを揶揄する構成はやっぱりアルトマン。生前一枚しか売れなかったというゴッホの絵がオークションでとてつもない金額にせりあがってゆく現代のシーンを冒頭に持ってくるあたりが心憎い。嫌いな絵ばかりが売れ、好きな絵は売れないと言う画商の弟テオ。彼は画商でありながら芸術を知っている。芸術を知っているからこそ苦悩する。芸術の価値とかけ離れた商品価値に苦悩し、それでも売らなければ生活できないことに苦悩する。本物の芸術家であると確信する兄を支えるために芸術に対する背信行為を続けることに苦悩する。その苦悩を見て苦悩する兄ヴィンセント。芸術を解からない大半の中で芸術を解かっってしまったがゆえの二人の孤独。単にゴッホの生前を語った物語なんかじゃない。芸術を正当に評価できない世の中に物申す。そんな映画だった。
[DVD(字幕)] 6点(2009-04-10 15:35:24)(良:1票)
575.  サバイビング・ピカソ
ピカソ(ピカソに限らず)がどんな人だったかなんてことを映画に求めていない。だから私と伝記映画は相性が悪い。この作品はピカソがどんな人であったかということを、彼の作品ではなく彼と関係のあった女から紐解いてゆく。男女の織り成すドラマをメインにするところがアイヴォリー監督らしいとも言える。ドラマ自体はピカソではなくフランソワーズのドラマと言っていい。この部分は個人的に好感が持てるのだが一般的にはおそらくピカソを主人公にした作品のほうが好評を得やすいと思う。しかし、どっちにしろ誰もがその名を知るピカソである。フランソワーズを主役にしたところでやっぱりピカソはこんな人ってところに行き着いてしまう。興収を気にしない映画など無いのだから仕方がないのだが、ピカソを無視して男女のドラマが描かれていればもっと面白くなると思う。じゃなきゃ、いっそ監督と脚本変更でピカソとピカソの作品に寄ったものにするか。
[DVD(字幕)] 5点(2009-04-09 14:10:29)
576.  レンブラントの夜警
富と名声を得た巨匠レンブラントが突然破産へと追いやられる。なぜ?その原因は世界三大名画の一つ「夜警」にある。というグリーナウェイの仮説。「最後の晩餐 」に秘められたダ・ヴィンチ・コードならぬ「夜警」に秘められたレンブラント・コード。こういうの好き。グリーナウェイの映画は苦手な人もけっこう多いと思うが私もその一人で、生と死を独特のエログロで表現したその見た目がどうも受け付けがたかったのだが、これは大丈夫。体が警戒態勢を布いていたってのもあるんだろうけど。あと、グリーナウェイの映画ってシンメトリーな構図も相まってどこか絵画的な印象を受けるが、本作は描かれるものがものだけにその絵画的なるものがことさらに印象深かった。レンブラントといえば映画の世界では「レンブラント照明」というのがあって、有名なところだと『ゴッドファーザー』のビトー(マーロン・ブランド)の真っ黒な背景に浮かぶ顔、そして目を影で隠してしまうあの照明。これがこの作品でもふんだんに使われていて単に舞台劇っぽいだけに終わらないレンブラントの絵画との融合的空間を作り出しているように感じた。ただの伝記でもなく創作されたミステリー伝記ってだけでもなく、ゴダールの『パッション』の作中の監督じゃないけど、映画と絵画の間にあると勝手に思い込んでるものを取っ払ってしまったようなものを目指してるんじゃないだろうか。
[映画館(字幕)] 7点(2009-04-08 15:27:03)(良:1票)
577.  宮廷画家ゴヤは見た 《ネタバレ》 
『アマデウス』のゴヤ・バージョンを想像してたら全然違った。ゴヤはいなくてもいいくらいの役回り。単にゴヤの生きていた時代のお話ってだけ。でもゴヤの描いた絵がこの時代を切り取っているからこそ生まれた作品なのだろう。宮廷画家だからこそ異端審問を免れたといえるような、人を悪魔に見立てたような風刺版画はまさに「宮廷画家ゴヤは見た」である。今の視点で見るからこの世界のイビツさが際立つのではなく、その時代を生きるゴヤの目にもはっきりとそのイビツさが映されていたというところにそのイビツさに真実味が加わる。教会は神の名の下に天使を裸に剥き腕がちぎれんばかりの拷問を行う。ゴヤは見た。美しい顔が歪む様を。正義はその都度変貌することを。人間があまりに弱く愚かなことを。見応えがあった。ゴヤのモデルとなった二人の男女が時代に大きく翻弄される展開はちょっとわかりやす過ぎる気もするしドラマチックに過ぎる気もするが、まあ娯楽映画としてこの異常な世界を見せるにはこれくらいのドラマを見せないといけないのかもしれない。
[映画館(字幕)] 6点(2009-04-07 16:44:03)(良:1票)
578.  ダ・ヴィンチ・コード
この類のお話って実はだ~い好きなんですよ。いろんな謎があっていろんな説があって、その説が単なる想像でもいいんだけど、尤もらしい根拠となる資料なんかあったりしたらもうワクワクしてしまう。で、原作『ダ・ヴィンチ・コード』のその謎と突飛な説とその根拠と楽しく創作された史実はすごく面白かった。でもその謎を追い、史実に迫る主人公たちの物語は至って陳腐。ジェットコースターばりに展開される出来事はたしかに読むことを中断させないが、出来事ばかりが羅列される、いわば長いあらすじみたいなもん。しかも主人公たちに降りかかる展開には「創作された史実」の欠片ほどの新しさも無い。これを映画化した本作が原作同様に面白くないのは当然。むしろよく150分にまとめたなと感心する(そのぶん駆け足感も高まるが)。もちろん原作物語を逸脱させたっていいのだが、映画会社が、そして製作者や原作者がそれを許すはずもない。でもこの史実を導く物語を大幅に、過激に、スキャンダラスに、ブラックに、ホラーに、そしてシンプルに変更できれば・・・・儲かる映画にわざわざそんな手間かけんわな。
[映画館(字幕)] 4点(2009-04-06 15:22:01)
579.  カナディアン・エクスプレス
ヘリからの銃撃と山の中のカーチェイスでド派手なアクションを見せて、その後列車内という限られた場所でしか展開しない動きの乏しさとのバランスをとる。同じ列車に乗っている殺し屋から証人を守る。ただそれだけの話でそれ以外の話は無い。無駄がない。テンポも実に軽快である。気軽に楽しめる娯楽映画の王道。列車内なのにあまり密室という感じがなく、いつ見つかるのかという緊張に乏しいのが難。夜のシーンが多かったり、通路に窓がなかったりのせいで列車が走っているという感覚も乏しい。いや、感覚はあるんだけど、そこから生まれる危機感がないというか。だから気楽に楽しめるんだろうけど。
[DVD(字幕)] 6点(2009-04-03 15:00:53)
580.  サブウェイ・パニック
列車と管制室を切り返しながら見せてゆくシンプルな構成。犯人のバックボーンや地下鉄幹部と警察のエゴをくどくどと語らないシンプルなシナリオ。シンプル・イズ・ベスト。(今年公開予定のリメイク作も楽しみだ。)緊張感が足りない!というのはたしかにそうで、リアルさを求めるときついかもしれない。しかし例えばコロンボや古畑の現実味の無いキャラを楽しめるならこれだって楽しめるはず。最後のマッソーの表情はまさにこの世界観を象徴しています。下手(シタテ)に出ながら堂々と去って行った国鉄職員たちはこの翌年に新幹線ひかり109号に爆弾を仕掛けられることをまだ知らない(『新幹線大爆破』は1975年公開)。
[DVD(字幕)] 7点(2009-04-02 14:32:34)(良:2票)
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