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561.  大菩薩峠 完結篇(1959) 《ネタバレ》 
内田吐夢監督、片岡千恵蔵主演の「大菩薩峠」三部作の完結篇。今回は千恵蔵演じる龍之介の狂気が一作目のように戻ってはいるが、残したわが子を思う気持ちが描かれていたのは良かった。嵐によって橋が崩壊し、龍之介が奈落の底へ堕ちていくラストシーンは凄まじく、ちょっと複雑な気持ちにさせられるが、長い物語のラストとしては見事だった。兵馬役の錦之助が一作目に比べて随分と貫ろくがつき、「宮本武蔵」シリーズ同様に彼の役者としての成長が見られるシリーズでもあるのだなと最後まで来ると感じられる。この完結篇は大映版の完結篇と比べてもこっちのほうが違和感がなく、話としても納得がいく。(少し宗教臭いのはちょっと抵抗があるが。)でもシリーズ全体としては大映版のほうが入っていきやすいのも確かという気もする。これで三人の机龍之介を見たわけだが、三人それぞれの龍之介像というのがあって三人とも印象が違うのが面白い。中でもやはりいちばん印象にあるのは仲代達矢の異様に殺気を帯びた龍之介かな。それにしてもこの東映版が終わった翌年からもう大映の三部作が始まってるのはすごいと思う。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2010-05-30 14:01:48)
562.  大菩薩峠 第二部
内田吐夢監督、片岡千恵蔵主演による「大菩薩峠」三部作の第二作。今回も千恵蔵演じる机龍之助は独特の存在感を放っていて他人を寄せ付けない得体の知れないオーラを放っているのだが、前作に比べるとやや丸くなり月を見ながら子供と戯れるなど前作からは想像もできないような一面が描かれているのが意外。龍之助が前作ほどの狂気を感じさせていない分ソフトな印象となり、前作よりは見やすくなっているが、大映版を先に見ているにもかかわらず登場人物のあまりの多さにはちょっと混乱した。(大映版ではそんなに混乱しなかったのになあ。)今回龍之助を助けるお徳を演じる木暮実千代がやはり素晴らしかった。ラストの千恵蔵の殺陣も見ごたえ充分。ところで本作は子供と戯れる千恵蔵や、ラストの槍を使った殺陣などどことなく同じ監督の「血槍富士」を思い起こさせる部分がある。きっと内田監督は意識して演出しているんだろうなあ。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2010-05-22 00:19:18)
563.  放浪記(1962)
森光子が半世紀近くに渡って舞台で演じ続けていることでも有名な林芙美子の自伝的小説を成瀬巳喜男監督が高峰秀子主演で映画化した作品。成瀬・高峰コンビの映画の中でもけっこう有名な映画という認識を持って見たのだが、成瀬監督の演出は手堅く丁寧で、林芙美子という女の生き様を見事に描き出している。原作となった小説も舞台も見たことがないのだが、この林芙美子という女の男性遍歴を中心に描かれていて、その部分がなかなか見ごたえのあるものになっていて面白かった。とにかく芙美子と一緒になる男たちがみんなただの女たらしで徹底的に芙美子は男運がない。とくに宝田明などは見ていて本当にイライラするほどのわがままな男で、そんな男とはさっさと別れちまいなよと本気で思えるほど。でも、そんな主人公 芙美子の生き様に共感できるかと言われればそうとは言えない部分が多く、あまり感情移入も出来ないのだ。高峰秀子はそんな芙美子をわざと魅力的「でない」人物として演じていて、この間見た「二十四の瞳」(見た後、2週間たった今でも余韻が忘れられない。)の大石先生と本当に同じ人なのかと思うくらいの変貌ぶりでその役作りの凄さには驚くばかりで、役に完璧になりきっている。(今の役者でここまでやる人ってどれくらいいるだろうか。)でも、大石先生が強烈に印象に残っている分、なにか余計にこのキャラクターには感情移入出来ないし、少し違和感を感じてしまったのも事実。できる女優というのは十分に分かっているが、さすがに今回は見るタイミングを誤ったかも。映画としてもそれほど深いものは感じなかったし、傑作とも思わないが、ストーリー自体は思っていたより面白かったし、なかなか味のある映画にはなっていると思うので少し甘めだけど7点。加東大介が芙美子のことをいろいろ気にかける実直な男を演じているが、この人はやっぱり「黒の超特急」のような腹黒い悪役よりはこういう善良な役柄のほうが絶対似合ってる気がする。
[DVD(邦画)] 7点(2010-05-20 00:08:55)
564.  大菩薩峠(1957)
内田吐夢監督、片岡千恵蔵主演による「大菩薩峠」三部作の一作目。何年か前に見た時は話についていきづらく、途中で屈折してしまったが、大映(市川雷蔵)や東宝(仲代達矢)で製作されたものを見ているなら、この東映版も見ておこうと思い、再挑戦。千恵蔵の机龍之介は、この頃の千恵蔵の年齢が50歳を超えていたこともあり、先の二人がそれぞれ20代、30代だったのに比べれば若さという点ではだいぶ劣っているが、狂気じみた独特の存在感とオーラがあり、不思議と違和感を感じない。映画としてはまだ三部作の最初だというのに展開がやたら早く同じく三部作だった大映版のほうがややゆったりとしてる印象ではある。しかし、大映版と東宝版を既に見ているのもあるのかも知れないが以前見た時のような退屈感はなく、むしろ本作は本作なりに見ごたえがありけっこう面白かった。のちに「宮本武蔵」五部作で内田監督と組むことになる錦之助が兵馬を演じているが、その初々しさも印象的。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2010-05-16 14:32:01)
565.  人間の約束
当時はまだ痴呆症と呼ばれていた認知症をテーマにした吉田喜重監督による社会派ドラマ。新藤兼人監督が同じテーマで手がけた「午後の遺言状」は、重い中にも時折ユーモラスなシーンもあったと記憶しているが、この映画は最初から最後までひたすら重く、身内の一人が認知症になってしまったことで起こる家族の問題がとてもリアルに描かれていて、見ていてとてもつらくなってくる映画だった。病院で10円玉を欲しがり、つながるはずのない電話をかける認知症の患者である老婆の姿は見ていて痛々しいく、ボケてしまった妻(村瀬幸子)を介護する夫(三國連太郎)がトイレの鏡に向かって挨拶をするシーンなど認知症の症状に関してもものすごくリアルである。村瀬幸子が「早く死なせておくれよー。」と叫ぶ姿も切なかったし、在宅介護となったそんな義母を介護する嫁(佐藤オリエ)にも感情移入できる部分があるので、もう見ていて本当につらいとしか言いようが無い。この映画は約四半世紀前に作られたものだが、今でもこういう状況はありえるのではないかと思わせてしまうところが怖かった。ラストは本当になんの救いもなく、そうするしか道はなかったのかと見ていて鬱な気分になってしまった。人にすすめようとは全く思わないし、好きな映画でもない。でも、社会派映画としてのメッセージ性は非常に強く、問題作であることは確かである。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2010-05-15 15:54:45)
566.  天城越え(1978)<TVM> 《ネタバレ》 
のちに松竹で映画化もされた松本清張の原作をNHKがドラマ化した作品。映画も傑作だったが、このドラマ版もなかなか面白かった。演出はNHKのディレクターだった頃の和田勉なのだが、登場人物の心理描写や、風景描写がかなりしっかりとしていて臨場感たっぷりで見ごたえがあり、テレビで見せるタレントとしてのコミカルな雰囲気からは想像もつかないような素晴らしい仕事ぶりに感服。役者陣も寡黙な佐藤慶、少年を演じた子役時代の鶴見辰吾(この翌年が「3年B組金八先生」で、その次の年が「翔んだカップル」か。)、この二人のバランス感覚も絶妙で、とくに鶴見辰吾は、嫉妬が殺意に変わる少年という難役を好演していてとても印象深い。映画で大塚ハナを演じた田中裕子が素晴らしかっただけに本作の大谷直子の大塚ハナはどうなのかと思っていたが、さすがに田中裕子ほどのインパクトは感じなかったものの、それでも大谷直子もなかなか良いと思う。ラストで事件を目撃する遍路の役で松本清張自身が出ているのがちょっと驚き。ほかにもいくつかの作品でのカメオ出演があるようだ。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2010-04-06 14:35:14)
567.  ちいさこべ 《ネタバレ》 
田坂具隆監督が山本周五郎の小説を錦之助の主演で映画化した人情時代劇。火事により無一文となり、独力での再興を決意した大工の若棟梁がやがて情に目覚め、焼け出された孤児たちを引き取るという物語。田坂監督の映画を見るのは「乳母車」以来、かなり久しぶりだったのだが、実に人間味あふれるドラマになっていてやや冗長に感じる部分もなくはないがとても感動的ないい映画だった。どことなく山田洋次監督が手がけていてもおかしくないような感じもして以前、山田監督が田坂監督のファンであると聞いたことがあるけど、やはり、受けた影響が大きいのかなとちょっと思う。出演者に関しては個人的には剣豪を描いた「宮本武蔵」シリーズや「瞼の母」、「沓掛時次郎 遊侠一匹」のような股旅映画の印象が強い錦之助にこの若棟梁の役はちょっと最初はイメージ的にどうかなあと思っていたが、独力で家業の再興をすることに躍起になっていた前半から、孤児たちを引き取る決意をする中盤以降の主人公の心の変化をとてもうまく表現していて、こういう殺陣シーンの一切ないような人情ドラマでもさすがにうまさを感じさせており、刀を持った役とは違う一面を見せている。主人公の幼馴染を演じる江利チエミは出演作をあまり見ていなかったのだが、子供たちに見せる母性愛や、健気な中にある儚さといったものを見事に表現していてこちらも素晴らしく、今までどちらかといえばアイドルのようなイメージが強かったが、(ちなみに「三人娘」シリーズはすべて未見。)初めて良い女優だと思った。 8点でもいいと思う映画なのだけど、やはりちょっと長すぎるので7点。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2010-03-20 21:23:38)
568.  金田一耕助の冒険 《ネタバレ》 
大林宣彦監督が初めて手がけた角川映画で、当時空前のブームを巻き起こしていた金田一耕助シリーズをはじめ、公開当時の時事ネタをこれでもかと言わんばかりに盛り込んだパロディー映画。当時をリアルタイムで知らなきゃつらい映画かと思ったが、ついていけない部分は確かにあるものの、古谷一行演じる金田一と田中邦衛演じる等々力警部のコミカルなやりとりや大林監督らしい遊び心あふれる映像は見ていて楽しいし、絶対見ていて呆れるだろうと思っていたパロディー部分も石膏の首を持った東千代之介が「柳生一族の陰謀」の錦之介のマネをしていたり、(やや芝居が真面目すぎる気もするが、同じ東映のスター俳優であった東千代之介がやっているというところが妙に笑える。)紙吹雪が舞う中で行われる「八甲田山」のしょーもないパロディー(元ネタと同じ木村大作が本作も撮影してる。)、麦藁帽子が飛んでいくシーンでかかる「人間の証明」の主題歌など自分がこの当時の映画をけっこう見てるからか面白く見ることが出来た。出演者もかなり豪華で、劇中劇のサイレント映画で金田一を演じる三船や、同じ劇中劇で等々力警部を演じる三橋達也(市川崑監督の金田一もので加藤武が演じる警部の真似をする姿が笑える。)、それに岡田茉莉子などよくこんな映画に出たなと思うような名優から、原作者である横溝正史やほかの作家、大林監督自ら演じる老人ホームの入所者や角川春樹はもちろんのこと、普段はスタッフとして映画に携わっている人まで出ているのはすごい。どう収集をつけるのかと思っていたらラストはちゃんと余韻を残す終わり方だったのは良かった。脚本を斎藤耕一監督が書いているのにはビックリするし、僕自身が古谷一行の金田一を見たのが本作が初めてなのもいいのかなと思ってしまうのだが、こういう映画は嫌いではない。
[DVD(邦画)] 7点(2010-03-09 14:03:05)(良:1票)
569.  崖の上のポニョ 《ネタバレ》 
確かに子供向けを意識して作ったという感じでこの年になって初めて見たら物足りない部分も多いし、リサの危なっかしい車の運転や、初期の「クレヨンしんちゃん」のしんのすけの如く両親を呼び捨てにする五歳児などちょっと気になるところはあるし、突っ込みどころも探せばけっこうあるのだが、逆に子供向けを意識したのが良かったのか最近の宮崎アニメにあった説教臭さや堅苦しさという物が抜け、気軽に何も考えず楽しめる映画となっていて、「となりのトトロ」よりは劣るが、「もののけ姫」以降の宮崎アニメの中ではいちばん良かった気がする。(「もののけ姫」や「千と千尋の神隠し」にあったグロテスクな描写が抑えられているのも○。)最近のアニメでは珍しくなった全編手描きによる作画もどこか優しい感じでとても好きだ。声優陣も山口智子、所ジョージ、長嶋一茂などいつものように有名人でかためているが、その演技も今回は安心して見られるレベルだったと思う。ここからは完全に私事の余談なのだが、この映画、知り合いの娘さんがスタッフとして参加しているらしいのだが、エンドクレジットがよく読めず、名前を発見できなかった。(ちなみに現在はジブリを退社しているらしい。)
[地上波(邦画)] 7点(2010-03-08 02:56:57)(良:1票)
570.  ハナ肇の一発大冒険 《ネタバレ》 
肉屋の主人がふとしたことからダイヤモンドをめぐる騒動に巻き込まれ、ヒロインと大冒険を繰り広げるというストーリーで、カーチェイスや銃撃、殺人、山岳遭難ありとこれだけ書くと本格的なアクション・アドベンチャー映画のようだが、山田洋次監督のハナ肇主演によるコメディー映画である。これと同じプロットを深作欣二監督あたりが手がけていればもっと泥臭い映画になったところを山田監督の演出はそれを避け、実にからっとしたコメディーに仕上げており、軽い気持ちで何も考えずに楽しめた。ヒロイン役は倍賞千恵子。山田監督とハナ肇のコンビ作で倍賞千恵子がヒロインを演じる作品はかなり久しぶりに見た気がするが、二人とも息のあったコンビネーションを見せていて楽しい。ハナ肇演じる主人公は「社長」と周囲から呼ばれているのだが、「男はつらいよ」シリーズを先に見てるからヒロインが主人公を「社長さん」と呼ぶとタコ社長(太宰久雄)の顔が思い浮かんでしまう。主人公たちと知り合った男が旅に加わるという展開は「幸福の黄色いハンカチ」を彷彿とさせているが、動かなくなった車を二人で後ろから押してるシーンなんかあったりしてますます「幸福の黄色いハンカチ」を思い出して久しぶりにまた見たくなったなあ。ラストの倍賞美津子の使い方が面白い。そういえば姉妹で同じ画面に出て共演してるのを見たことがないのだが、「男はつらいよ」でマドンナを演じる倍賞美津子を見てみたかった気もする。
[DVD(邦画)] 7点(2010-02-17 19:54:53)(良:1票)
571.  恐喝こそわが人生 《ネタバレ》 
深作欣二監督によるバイオレンスアクション映画。スタイリッシュな演出や、音楽のテンポなど時代を先取りしたかのような印象で、あまり古さを感じさせていない深作監督の手腕は見事だと思う。松竹映画といえばホームドラマや人情喜劇といった映画がウリなんだけど、ストップモーションが多用されていたり、派手な爆発・炎上シーンがあったりと本当にこれは松竹映画なのかと思うほど松竹のカラーとかけ離れすぎていて異色な感じで、松竹映画という気がほとんどしないのもすごいが、深作監督らしいパワフルでエネルギッシュな映画でなかなか面白かった。主演の松方弘樹は若くてまだ貫禄不足という気がしないでもないが、それでもなかなかいい演技をしているし、あまり出演作を見たことがないのだが、ヒロイン お時を演じる佐藤友美も素敵だった。80年代まで深作作品の常連となる室田日出男が無名の頃から主役メンバーの一人として出演しているのはやっぱり深作監督の人脈なのかな。丹波哲郎は短い出番ながらもさすがに存在感がある。(主役メンバーの一人として配役する構想もあったとか。)ラスト、主人公を殺す暗殺者役を川津祐介が演じているが、このラストシーンはほとんどゲリラ撮影だったらしく、その効果もあってか、この映画の中でいちばん印象的だった。
[DVD(邦画)] 7点(2010-02-09 13:20:32)
572.  黒の試走車(テストカー)
増村保造監督が自動車業界を舞台にメーカー同士の争いを描いたサスペンスで、この後大映で連作される「黒シリーズ」の第1作。体調があまり良くない状態で見たのだが、メーカー間のスパイ合戦やラストの高松英郎が船越英二を問い詰めるシーンなどなかなか緊迫感にあふれていて面白かった。ある業界のメーカー同士の争いを描いた増村作品というと「巨人と玩具」があるが、この映画でも高松英郎はかなりテンションの高いキャラを演じていてちょっと「巨人と玩具」と被って見えるが、やはりとてもはまっていて良かった。会社のためなら恋人も平気でスパイとして送り込むところは何か怖かったが、己のためなら他人がどうなろうとかまわないという人間の身勝手な態度はじゅうぶん現代にも通ずるような感じでさらに怖く、社会派サスペンスとしては今見ても映画のメッセージ性が失われていないと感じる事のできる見ごたえのある映画だと思うものの、一方で増村作品としてはさきほど書いたスパイとしてライバル社に送り込まれる田宮二郎の恋人を演じる叶順子の描き方にそれらしさを感じさせるものの、ほかの増村作品と比べるとその描き方がなんか弱いような気がするし、何か物足りなさも残る。そうそう、田宮二郎の単独主演作を見るのはこれが初めてだと思うが、どう見ても高松英郎が主人公のような感じなのもちょっとびっくりした。
[DVD(邦画)] 7点(2010-01-21 13:52:50)
573.  悪名一番勝負
「悪名」シリーズ第15作。このシリーズは5年ほど前に1作目と2作目を見ただけだったが、その状態でいきなり事実上最後の回である本作を見た。このシリーズに馴染みがあると田宮二郎が出ていないのは違和感を感じるかも知れないが、まだこのシリーズを見るのは3本目ということもあってか、そこは全く気にならずに楽しめた。勝新演じる朝吉のドスの利いた河内弁や豪快なキャラクターはとても魅力的で、座頭市とはまた違った良さがある。それに本作はマキノ雅弘監督が手がけた作品ということもあってか、勝新以外の脇役たちも実にイキイキとしていて、それぞれの登場人物がみんな魅力的に描かれていてその面でも非常に面白かった。マキノ監督の映画ってまだあんまり見てはいないのだが、この頃には東映で任侠映画をたくさん手がけていたみたいで、大映の本作もその頃の任侠映画ブームに乗ってマキノ監督を起用してるんだと思うのだが、東宝の「次郎長三国志」シリーズのようなお祭り的な雰囲気のある作品に仕上がっていたのが嬉しい。「次郎長三国志」といえば本作に津川雅彦がドモリのヤクザ役で出演しているが、重傷を負ったのと引き換えにドモリが治るあたり森の石松を思わせていて、これもマキノ監督の石松への愛着を感じさせていてなんだか嬉しかったなあ。
[DVD(邦画)] 7点(2009-12-24 14:39:18)
574.  不知火檢校
それまで二枚目風の役柄を演じていた勝新が、初めてダーティーな汚れ役を演じ、のちの自身の代表作である「座頭市」シリーズにもつながることになる時代劇。ここで勝新は座頭市と同じく、盲目の按摩を演じているのだが、この主人公・杉の市の悪人ぶりが凄まじく、同じような風貌でありながら座頭市とはキャラクターからうける印象が全く違う。しかしこんなひどい悪人なのにこうも魅力を感じるのはやはり演じる勝新の存在感、この俳優の独特なオーラと杉の市のキャラクター性が見事に合致しているためだろう。勝新はやっぱりこういう役柄の方が二枚目風のキャラクターより断然あっているし、この映画を見るとこの杉の市のキャラクターが座頭市の原型になったというのもよく分かる話で、この杉の市も座頭市同様に勝新でなければ表現できないような凄さを感じずにはいられない。この映画での共演がきっかけで勝新と結婚することになる中村玉緒はこの頃のほかの出演作同様にとても可愛らしい。勝新との共演は「悪名」、「続悪名」などで見ているが、この映画が初の本格的な共演なのかな。そういえばこの二人の共演って座頭市シリーズでは一本もないような気がするのだが、原型となるこの映画で共演してたのか。でも一度でいいからこの二人の共演を座頭市シリーズの一篇で見たかったなあ。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2009-12-22 14:06:30)
575.  座頭市関所破り 《ネタバレ》 
シリーズ第9作。今回は市が父親の面影を見る老人との絡みなど人間ドラマに重点が置かれていてシリアスな話なんだけど、登場人物それぞれのエピソードが丁寧に描かれていて見ごたえのある作品に仕上がっていて面白かった。特に市と老人とのエピソードが良く、老人が実は敵の仲間だった事が分かっても彼を斬らない市には思わず感情移入してしまった。それに今回の市は倒した用心棒(平幹二朗)にそっと上着をかけてやるなど優しさがいつもより強調されてる感じがする。余談だがこのシーンを見て「ドラゴンへの道」でブルース・リーがチャック・ノリスを倒した後、彼に胴着をかけるシーンを思い出した。ブルース・リーはこのシリーズのファンだったようなのでこの映画の影響なのかも。市を演じる勝新の殺陣は今回もすごくてカッコイイが、今回はそれ以上に人間としての市の魅力を存分に感じられる話だったと思う。そうそう、シリアスな話の中にあって中田ダイマル・ラケットによる漫才のような会話や市のモノマネなどちゃんとシリアスになりすぎないよう工夫されているのも好感が持てる。市のモノマネに関しては次の回でも三木のり平がやっていて、人気シリーズとしての安定した余裕が感じられる。
[DVD(邦画)] 7点(2009-12-10 11:22:23)
576.  麻雀放浪記
麻雀とは自分は全く縁がないのではじめのうちは淡々としていてちょっと退屈だったが、登場する男たちがみんな魅力的で見ているうちについ引き込まれてしまった。とにかくみんなそれぞれ個性がきっちりと描き分けられていて、演じる俳優たちがみんな実にいい芝居をしいている。鹿賀丈史は普段はあまり意識していないが、味のある存在感をじゅうぶんに発揮していてとても印象に残り、いい役者だなと思った。名古屋章もいつもの感じでいい味を出していて素晴らしいが、ここはなんといっても高品格だろう。これまでも悪役などで何本か見ている俳優だが、この映画ではまさに本作が代表作と言っていいくらいの名演を見せていて、とても素晴らしい。それから俳優だけではない、終戦直後の日本を舞台にしているのだが、それを描くのに全編白黒で撮影したというのも正解で、これにより時代の雰囲気を出すことにより一層成功していると思う。小栗康平監督の「泥の河」もそうだったが、やはり、過去を舞台にした映画の場合にはカラーより白黒の方が効果的だと思うし、これが監督デビュー作となったイラストレーター出身の和田誠監督もそれを分かっていたんだなあ。構図もちゃんと練られていて長まわしなどのショットも美しく印象的だった。80年代の角川映画と言えばアイドル映画全盛の印象が強いのだが、こんな味のある渋い映画もあるんだと少し意外に思ったが、面白かった。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2009-12-04 21:21:45)
577.  ひとごろし
松田優作を時代劇で見るのは黒木和雄監督の「竜馬暗殺」の右太役に続いて二度目。「竜馬暗殺」では助演ながらギラギラした存在感を見せていてとても印象に残っているが、時代劇初主演となった本作では、臆病者の腰抜け侍をコミカルに演じている。日本テレビの「探偵物語」でも主人公・工藤俊作をコミカルに演じていたが、本作ではダンディーさが全くない分すごく新鮮に感じた。丹波哲郎とのやりとりもかなり笑えて、「ひとごろし」という物騒なタイトルなのに軽く楽しい映画になっていて面白かった。見るからに低予算な感じの映画だが、スタッフがほぼ大映のチームだからだろうか全体的に作りが丁寧で、その面でも安心して見ていられた。しかし、やはりラストが唐突すぎて何の余韻も感じられなかったのは残念だったかな。ちなみに本作と同じ原作はこれ以前に野村芳太郎監督がコント55号主演で映画化しているらしいので機会があれば見てみたいなあ。
[DVD(邦画)] 7点(2009-12-03 13:47:27)
578.  極道の妻たち 最後の戦い
山下耕作監督の映画を見るのが初めてならば今までテレビ放映でチラリとしか見ていなかった極妻シリーズを最初から最後までちゃんと見るのも初めて。見る前はどうせつまらないだろうと思っていたが、意外に楽しめた。ヤクザの世界を女性の視点から描いたシリーズということを聞いてたが、女性が主役の任侠映画のような作風で、これも東映で数々の任侠映画を手がけていたという山下監督の成せる技なのかと思う。(まあ、初めてこの監督の映画を見る自分がいうのもなんなんだが。)それからなんといっても岩下志麻の気迫。最近は松竹時代に出演した映画を中心に見ることが多かったせいか、「鬼畜」など一部を除いて怖いイメージが無くなりかけてたが、この映画の岩下志麻の存在感はなんとも強烈で、「鬼畜」でもそうだったが清純派時代を知っていると本当に別人にしか見えない。特に自分の足に日本刀を突き刺すシーンはすごい迫力のある演技で思わず圧倒された。「最後の戦い」というサブタイトルをつけながらこのあとも何作か岩下志麻でシリーズを続行したのもなんか分かる気がする。とはいえ映画としてはもう少しドラマに深みが欲しかったのも事実で本来は6点というところだが、この岩下志麻がものすごくかっこよかったので1点プラス。山下監督にとっては晩年の作品となる本作が自分にとっては初めて見る映画になったが、映像的にも印象に残るなかなか美しいシーンがあり、この監督のほかの映画も見てみたいと思った。東映の任侠映画ってほとんど見たことがないのだけれど。
[DVD(邦画)] 7点(2009-11-26 16:06:25)(良:1票)
579.  死に花
老いというテーマが背景にあるため、シリアスな部分も当然あるんだけど、基本的には軽いコメディーで、前半あたりに少し退屈な部分があるものの、なかなか楽しめた。時代が時代なら東宝でクレージーキャッツ主演でやっていそうな印象も残り、穴を掘るメンバーに谷啓や青島幸男を起用していたり、メンバーが最終的に7人構成になるあたりはクレージーキャッツの映画を意識していると強く感じられ、クレージーキャッツの映画が好きな身(とはいえ最近は機会に恵まれず見れてないのだけど。)としてはなんかうれしい。しかし、(比べるのもどうかと思うが。)シリアスな部分があるからか、クレージーキャッツの映画ほどの爽快感はなく、最後のシーンあたりはなんか湿っぽく感じてしまったのも事実で、本当に60年代にクレージーキャッツ主演で古澤憲吾監督あたりが手がけていれば、爽快なままラストを迎えたのではないかとつい思ってしまった。とはいえ、山崎努をはじめとする主役の老人たちを演じている俳優たちはみな好演しており、安心して見ていられる。(長門勇が岡山を連想させていて笑える。)それからこの映画はちょうど一週間前に亡くなった森繁久弥の遺作である。出番は少なくセリフも一言だけなんだけど、さすがに登場シーンでは風格が漂い、出てくるだけで圧倒的な存在感を放っていて、まさに名優であると思う。また「社長シリーズ」などの喜劇映画で活躍したこの名優の遺作が喜劇映画なのは偶然ではないような気がする。白寿の老人役なのだが本当にこの映画の役柄のように白寿や百歳まで生きていてほしかったし、あらためて残念に思う。森繁久弥だけじゃなく青島幸男と藤岡琢也にとってもこれが遺作なんだなあと思うとなんだか切ないなあ。
[DVD(邦画)] 7点(2009-11-17 20:32:29)(良:1票)
580.  死刑台のエレベーター(1958) 《ネタバレ》 
冒頭の有名な「ジュテーム、ジュテーム(愛してる、愛してる。)」の電話口のジャンヌ・モローのせりふからもうかなり印象的で、シンプルなサスペンスながら、白黒の映像が緊迫感を出しているし、ルイ・マル監督の演出はこれがデビュー作とは思えないほどにスタイリッシュで、見ていて思わず惹きこまれた。映画全体の雰囲気がかなりよく、ストーリーそのものよりはこの雰囲気で魅せられてしまう映画だと思う。マイルス・デイビスのジャズも非常に効果的で、この音楽がなければ映画の魅力が半減してしまうのではないかと思うくらいにこの映画の雰囲気に合っていて、特にジャンヌ・モローが夜の街を歩くシーンは彼女の美しさと音楽が見事に調和していて、とても印象に残るし、またこのシーンだけで彼女の心理描写がうまく表現されているのもよかった。実はこの映画を見るのは初めてではなく2回目だったのだが、最初に見た時はまだ中学生(15年くらい前。)でハリウッド映画を中心に映画を見ていたため退屈だった記憶があるのだが、久しぶりに見てみると、このなんともいえない雰囲気に魅了されてしまい、とても良い映画だと思った。やはり映画の感想というのは時を経て変わるものなんだなあと実感できた。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2009-11-08 15:39:44)
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