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はち-ご=さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 327
性別 女性
年齢 37歳
自己紹介 知的障害を持つ23歳女性です。
1週間に40時間働いているから多分社会人だと思うけど
今は旦那や発達障害者仲間とルームシェア生活です。

知能指数は11歳ですが、
この映画レビューサイトでは
見よう見まねで大人びた文章で気取らせて貰っています。

ちなみに登録自体は旦那がやっていますので
■妻投稿■がついているのが私です。
あ、でもそうじゃないので一人称が「僕」なのも
実は私が投稿していたものもあったり
「ドラえもん」とか「A」とか(^_^;)

インターネットの書き込みは初めてに近く
インターネットルールは一通り勉強したつもりですが、
「場の空気を読む」などの高度な技術は難しいので
そんな時にはスルーしてください。

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41.  SLAM DUNK スラムダンク 湖北最大の危機!燃えろ桜木花道 《ネタバレ》 
妻投稿■赤い坊主頭の桜木君めちゃくちゃかわいいですね。先生と生徒が方針をめぐって対立し、最後にバスケが楽しいという原点に帰って試合をするという相手チームの様相は、なんとなく豊玉高校を連想させますね。マイケルはすごくいいライバルだけど、双子の敵選手はなんか構図的に美しくないかな。■スラムダンクの映画はこれでおしまいみたいですが、もし続編を作るなら、ぜひ山王工高との試合を3時間くらいかけて映画化してほしいです。あの試合はスポ漫画試合の歴史に残る試合で、映画化しない手はないです。
[ビデオ(邦画)] 7点(2011-07-09 03:58:52)
42.  もののけ姫 《ネタバレ》 
妻投稿■この映画はちょっと私と価値観が違うかな。私は絶望と破滅に遭遇したとき、戦わなくちゃいけないものは「憎しみ」という感情よりも「無力感」だと思う。無力感は本当に身を滅ぼすから。(「キリング・フィールド」の農場のシーンみたいに)。一方この映画は、憎しみと人間が持つ万能感を自然の反乱という物語を利用して批判している。■ただ人間が死や殺戮に憎しみを持ち、自然に対して万能感を持つようになった、つまり自分たちは自然の中ではなく、自然の外に生きているのだという認識が変化したころって、もののけ姫の時代じゃないかと思います。味噌汁を食べるジゴ坊さんとまったく子供がいないタタラ場、そこから終盤の優しい森とトキの台詞の変化にそれがうかがえるんじゃないかな。この映画は死者を埋葬ではなく屈葬していた時代からの意識の変化、自分の命と自然の命に対する世界観の変化を、実際は何百年もかけているのを数十分で表現しているのではないかなあと、知ったか妄想爆裂させている私です。
[DVD(邦画)] 7点(2011-07-02 08:33:13)
43.  キリング・フィールド 《ネタバレ》 
妻投稿■あたりまえだけど私は殺人被害にあったことはない。せいぜい何年も前のセクハラ程度。でも暴力のある世界って、悲鳴もドカバキボコボコズドーンという音も一切しないんですよ。本当に静かなんです。この映画の後半20分みたいに。一見すると世界は普通に回っているんです。でもちょっと何かに躓くと、気づいてしまうんです。世界がすごく残虐である事に。沼地の人骨のシーンは息が上がるくらい怖かった。■映画の時間配分は欧米人の戦場紀行が大半で、ポルポト派の大虐殺シーンは実は後半30分くらいしかない。さらに欧米人の人情ばっかに焦点を当てて、カンボジア人を尊重していないという意見も日本公開時は聞かれたみたいだが、私はこの映画が間違っているとは思わない。■いざとなったらアメリカ軍が助けてくれる状態で、戦地で泣き叫ぶ子供を撮影する欧米人。吹っ飛んだコカコーラトラックと泣き叫ぶ子供というコントラストはピューリッツアー賞を取る良いコントラストなんだろう。でも実際大人を奴隷のように働かせ、拷問し、撃ち殺しているのは子供たちなのだ。映画で描かれた彼らの無表情で刺し殺すような表情こそ、欧米の戦争認識に対する最大限の皮肉じゃないのだろうか。■私はチャップリンの独裁者を見て、「ヒトラーをバカにしてホロコーストを否定できるのか」と疑問に思っていた。じゃあ、自分をカンボジア虐殺の少女兵士、強制労働させられる人々に置いてみて、どうやったら殺戮を否定できるだろうか。たぶん生きたいというあたりまえの願望や、社会性、常識といった生きる上で不可欠なものすら一度否定しないと無理なんじゃないかと思う。自分が生きている世界が少し変化した「ズレ」の中に大量の人骨が埋まっている構図は、そういう事を語りかけている気がする。
[レーザーディスク(字幕)] 8点(2011-07-02 05:54:08)
44.  ジョニーは戦場へ行った 《ネタバレ》 
妻投稿■いろんな意味で惨い映画であることは間違いない。この映画が描き出す恐怖は「もしこんな風になっちゃったらどうしよう」というものであり、その方針も間違ってはいないはずだ。■だが、私はその恐怖よりも大切な恐怖があると思う。それは「こういう人を前にして自分はどうするべきか」という恐怖と葛藤。それを医者や看護婦は体現仕切れていない。戦死者、戦傷者はこの映画を見れない。故にこの分野の映画の恐怖は、生きる者に向かうべきである。
[DVD(字幕)] 8点(2011-06-26 07:06:02)
45.  ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない 《ネタバレ》 
妻投稿■私自身はずっと前に給料ゼロ、腎臓破裂級暴力、性的虐待が当たり前な職場に勤め、HIVになって放り出された口である。なんでそんなことが起こるのか。それは私が知的障害であり、それとは別の意味でも馬鹿だからである。私みたいな馬鹿を助けるメリットが世の中にない以上、本来私は相手の欲望を満足させることでしか生き残れない。しかし、今旦那は私の「私が6時間飲むのがずれただけでウイルス抗体が出来て死にいたる」薬を飲ませるために、あるいは私の友人の職場内強姦で生まれた女の子の学資保険を払うために本業の農業とは別にアルバイトをしてくれている。旦那のほかにも、いろいろ助けてくれるルームメイトがいる。この映画を見て、私はいろいろ劣っているのに、なんでこんなに「生きる」事に恵まれているんだろうと思った。■私は自分に「生きる権利」があるから、生きていると思っていた。でもこの映画を見てわかった。私が生きているのは周囲の人という運がよかっただけだ。■人権の尊重なんてものが都市伝説という昨今、主人公の出した生存手段の結論は、私なんかよりよっぽど強い人じゃないと出せない結論だが、とにかくその方法でもどの方法でも、主人公が自分が生きることを肯定できればいいと思う。人間は自分が生きることを肯定するために頑張っているのだから。■と、ここまで書いたのだが、上司がただのイカレポンチみたいに描かれているのがいまいち。暴力にしろパワハラにしろ、相手を絶望させ、完全に言うことを聞かせるために巧妙に用いられる計画行動だと思う。周囲が「尊厳を一切認めない」世界で、自分の尊厳を信じるという行為は組織や社会に対する許されざる犯罪行為であり、故に非常に難しい。これを映画では描ききれていない。カンバスはいい映画なので非常に残念。
[DVD(邦画)] 7点(2011-06-26 06:35:06)
46.  少年時代(1990) 《ネタバレ》 
妻投稿■震災後、家が一部損壊し電気が通じなくなったため、視聴覚教室で使うような小さな映写機を借りて、小学校のジャングルジムに自宅のシーツをかぶせて即席の画面にして上映しました。もちろん上映会ではなくご家族内で楽しむためですよ。うしろにさらに人がいたような気もするのですが、多分不可抗力です(笑)■映画の中でも小学校でヒトラーの上映会をやっていましたが、これにみんながハイルポーズをするシーンを見て、何で武君が信二君にこんな屈折した愛情表現をするのかがわかった気がします。ここに出てくる子供たちは強力なリーダーが統括する多数派に身を置きたいわけで、決して友情で結ばれているわけではない。多分彼は信二君への友情と自分の地位との間で葛藤していたのだと思います。女の子に自分の矜持を試されて多数派リーダー大原君を拒否する信二君、しかしその信二君も須藤君の支配下に組み込まれて大原君を裏切ってしまう。■こうしたシークエンスが憲兵におびえて好きな事も出来ない大人や、日本が負けた途端に軍歌におびえる駅員といった子供たちの権力構造と変わらない日本社会と並行して描かれる脚本が「ほんものの友情の怖さ」を的確に表現していて凄くうまい。「軍歌しか知らない」と言う子供たちに「周りを気にせず軍歌を唄え」というシーンは新時代を生きる子供たちへのメッセージである前に、友情というものの前に戸惑う子供たちへのメッセージだと思うし、全てを許し合ってようやく最後に「友達」になれた大原君がトンネルに消えて行く場面は、「青春の1ページ」という文章表現では簡単にできる単語を、「いじめ→友情→別れ」という大人が勝手に考えている少年ジャンプシークエンスを見事に裏切った脚本とともに、最高の形で映像表現していると思う。
[ビデオ(吹替)] 8点(2011-04-20 11:03:20)
47.  僕の彼女はサイボーグ 《ネタバレ》 
妻投稿■カク・ジェヨン監督の妄想三部作の最終章。多分彼は中坊そのまんまの自室にあるダッチワイフからヒントを得て脚本を書き続けたに違いない。タイムパラドックスがどうとかいう問題はSF作品なら重大な問題だろうが、中坊の妄想に要求されるサイドストーリーにはどうでもいい問題なのである。その証拠にこの映画、設定の整合性やストーリーのバランスは最低限の配慮しかされていないが、綾瀬はるかが横向きに街路を歩いて胸が強調されていたり、未来の女子高生の制服(綾瀬はるかの友人が制服で強調された胸を手で押さえながら走ってくるシーン)や、綾瀬はるかとメイドのダッチワイフ的な歌声とシュールな首振りといったシュールな光景といった「画」にかける拘りが物凄く強い事が見て取れる。「好き」を職業にする事は非常に難しいと「自分探し」を批判する人が良く口にしているが、「妄想」を職業にする事はもっと難しいと思う。妄想の上に芸術を塗りたくれば一応相応の作品は出来るのだろうが、妄想そのものを作品化して受け入れられるには、自らの妄想を的確かつ徹底的に分析する必要があるに違いない。「花ざかりの君たちへ」や「イケメンパラダイス」を存分に楽しんだ私としては、この監督は素晴らしい監督だと思う。
[DVD(吹替)] 9点(2011-03-01 21:02:11)
48.  ザ・コーヴ 《ネタバレ》 
妻投稿■旦那の日本語訳で見ました。映画の内容はイルカがいかに素晴らしい生き物で、それを殺戮する和歌山県太地の人たちとそれを容認する日本人たちがいかに残虐な民族であるかと言う事が描かれています。プロパガンダとしての質はやらせ感のおかげでマイナスですが、冒頭の光影逆転で表現された日本の風景、太地町なのにやたら京都っぽい神社仏閣が出てくる描写、水俣は明らかに日本文化に対する嫌悪感で満ちていまる事はわかります。■■私はこれを当然の描写だと考えています。なぜならこの映画はイルカを虐殺する事が許せない、イルカを救いたいという人たちが作った映画であり、彼らにとってイルカを食っちゃう文化はあってはならない文化だからです。■私はイランで性暴力被害者の女の子が処刑されたり、同性愛というだけでクレーンで首を吊らされている事に凄い嫌悪感を感じていて、そういうものを容認するイランの社会に不信感を持っています。もし私に金と能力がありそれを映画にする事があったら(馬鹿なので私自身が首つり死体にされる可能性が高いですが)、あっちの文化や政治的な事情抜きにしてこっちの価値観のみでザ・コーヴも真っ青なプロパガンダ映画を作ってみせます。日本人の方も自然保護団体の非合法行為に合法的な生計を邪魔される太地町の人や、欧米植民地において行われた「先住民」という名の「動物」の虐殺を描いた映画を作ってもいいのです(その時はせめてもう少し完成したプロパガンダでよろしく)。■■「それでは中立な映画が出来ない」「映画人同士での和解が出来ないじゃないか」と思うかもしれませんが、映画は中立でなくてもいいのが私の持論です。双方、あるいは片方だけでも見たものをしっかり自分で考え、自分なりの「中立」を見つけるのは、視聴者の役割なんだと思います。■■それにしても「殺していい存在」「殺しちゃだめな存在」の境界って何なんでしょうね。製作陣はどう考えているのか一度聞いてみたいと思います。ちなみに私は人間同士の強弱に差がありすぎたり、世の中が荒れていたりして「自分の人権を侵害されるリスクを減らす最大の方法は他人の人権を守る事」という原則が成立しない場合、人間も動物も命の大切さにおいては変わらなくなると思います。北朝鮮なんて牛一匹殺したら銃殺でしょ。
[インターネット(字幕)] 7点(2011-02-22 07:08:10)(良:1票)
49.  ムルデカ17805 《ネタバレ》 
妻投稿■何で日本人が「あの映画は日本が一方的に悪い戦争じゃないんだ」「連合国だって植民地支配で悪い事をしていたんだ」「アジアの人は日本軍の到来を待っていたんだ」という映画を作ると、こういうどこをどう感動したらいいのかわからん映画が出来てしまうんだろう。ブラックホークダウンでも書いたけど、本国の人は勝っている時は○○の解放の為に兵士が戦っていると錯覚し、負ければ戦争中毒、残虐行為の為に戦っていると都合よく錯覚する。でも前線の兵士は戦友の為、部隊全体の為に戦うほかないのだ。その事実を踏まえた上でもアジア解放の大義は描けるし、日本軍の絶対悪論に一石を投じる映画は作れるはずだし、それは多くの人の心を打つ映画になるはずなのだ(オランダ軍の尋問場面はこの映画でかろうじて映画の価値を考えられる場面)。日本人の心が「もし」日本絶対悪に染まってしまっていると言うなら、それは「所謂」日教組の自虐史観とやらのせいではなく、日本軍のブーツにキスをするインドネシアの山姥…もとい貴婦人というインドネシアを馬鹿にした構図でしか、「戦後日本人の第二次大戦で戦った兵士たちへの都合のよい解釈・錯覚」に対し反省を促す事が出来なかった保守メディアが悪いと思う。
[ビデオ(邦画)] 4点(2011-02-17 15:44:48)
50.  運動靴と赤い金魚 《ネタバレ》 
妻投稿■うちらのルームシェアではみんな発達障害ゆえにダチの娘の4歳のチビに相当お手伝いさせてしまっているのですが、いやはやこういう映画を見せられるとチビに大変申し訳ないという気持ちと、これのどこに「貧しくも“美しい天使のような”世界」があるんだと英題つけた人に口泡飛ばしたい気持ちでいっぱいなのですが、とりあえずチビに運動靴はちゃんと買ってあげると心に誓いました(笑)。■私は映画の中で、おっちゃんとアリが自転車に乗って高速道路を走るシーンで、道路の両端にガラス張りのビルが建っているというシークエンスと、子供たちが走る区画されたコンクリートロードで名誉と栄光を叫ぶ大人たちが興奮している真ん中を走るsceneがかぶりました。子供が赤い靴の為に頑張るのと同じように、大人たちも同じくらいささやかな物の為に大人の世界で頑張っているのだと言う事が、メッセージとして表現されていたような気がします。金魚が足にまとわりつくラストと、高級住宅街で息子に自転車の上でしがみつかれて嬉しそうな父親の姿。あの父親の姿は、父親の物語のラストシーンだった気がします。父親が天使ではないように、子供も天使ではない。等身大。だからこそ美しいのだと思います。
[ビデオ(字幕)] 8点(2011-02-11 03:09:15)
51.  キャピタリズム~マネーは踊る~ 《ネタバレ》 
妻投稿■私は10代後半の2年間を奴隷労働と性暴力やりたい放題な職場に捧げた口であり、それは行政も司法も容認していた。理由は簡単。私みたいな池沼の人権を保護するより経営者のやりたい放題を容認した方が世の中の利益になるからである。これは健常者の世の中が悪いのではなく、障害者が健常者にとって価値のある人間になればいいだけの話である。私はそこまでの甲斐性はないので(あとダチが妊娠した事もあって共同保育が必要だった)、仲間と徒党を組んで友人の農家でルームシェアを始めた。資本主義も社会主義も民主主義も全体主義も宗教も関係ない。「金も人権も与えられないならそんなものなくても生きていける方法を考えよう」的なノリだった。最初の2年くらいはみんなでホタルの墓に入りそうな状況だったが、ダチの努力とダチが家を相続出来た幸運がかなり貢献して何とかチビの学資保険をサボらず払い続けている。■このDVDを入れたパソコンを前でブドウジュースが入ったグラスを片手に「私の味わった恐怖と絶望を健常者どもも味わうが良い」などとムスカ目線で右往左往するアメリカを見ている自分が浅ましい。でもその横で旦那は「こういう社会で農家はどうあるべきか」を真剣に考えている。ダチも「障害者は守らなくても社会秩序は維持できていた。でも健常者が守られないと、何もかもが紙くずになる。意味が違う」と真面目に言った。確かに、少数派が秩序を信じられなくなることと多数派が秩序を信じられなくなる事は全く違い、前者は個人が崩壊するだけだが、後者は社会が崩壊する。民主主義は社会の崩壊を防ぐ多数派を歯車とする装置なのだ。この映画の価値は、貧困の悲惨さを描いた事でも、資本主義の悪党ぶりを描いた事でもない。これらが民主主義によって作られた社会を崩壊させていく危機を描いているところにある。今他者への想像力と行動は、人助けという絵でも柄でもなくなっている。後に待っているものは全体主義でも共産主義でもない。多分ソマリアだ。
[DVD(字幕)] 8点(2011-02-10 20:15:01)
52.  カッコーの巣の上で 《ネタバレ》 
妻投稿■実は民主主義社会に「人を殺してはいけない」というルールは存在しない。「人を殺す」という選択肢を採用していいのである。ただしそれを選ぶと「責任」というものが背中に落っこちてくるが…。■私は何年も前に当時の上司から性的虐待を受けたとき、「暴力の恐怖」と「凌辱」を選ぶ自由を与えられ、「凌辱」を選んだ。従って社会的にも責任的にも、私は「凌辱」というものを自由意思で選んだ事になっている。■この映画は精神病院システムへの非難や管理という業に対する批判を描いているわけではない。むしろ「自由」を描いているのだと思う。主人公は女をはべらせ、お酒を飲み、脱走の機会を作り出した。ロボトミーは「自由選択」に対する「責任」にしか過ぎない。この映画は「自由というものは誰でも行使できるが、自由を行使したうえで尊厳が守られるには、自分の尊厳が守られる事が誰かの得になるような人間にならないといけない」という事実の存在を描きたかったのだと思う。この映画の中でも現実的にも、世間の人間にとって「患者の尊厳が守られる事」より「婦長の措置で患者が統制される事」の方がメリットがある事なのだ。■監督は生まれが東欧で自由というものが当たり前じゃない環境で育った人だ。その影響でアメリカで生活しても「自由」というものがよくわからなかったに違いない。この映画はアメリカおよび西側の民主主義社会を生きる人々に「自由って何ですか」という反響を期待して作ったに違いない。アメリカ英語って疑問文の後「?」がついたりアクセントが上になったりと特異な形になるけど、ラスト真っ暗な中患者の奇声とともに夜の闇に消えて行く特異なシークエンスは、「希望」いう名前の句読点ではなく、明らかに疑問文の最後のクエスチョンだ。となるとこの映画が描きたかったのは「自由」というより「自由?」という事になるが、ラストが疑問文である以上主人公が感情移入出来る存在だったら、純粋な疑問ではなく「確認」「疑念」になってしまう。この映画のキャラ設定は必然だったのだと思う。
[DVD(字幕)] 7点(2011-02-08 21:28:17)
53.  生きる 《ネタバレ》 
妻投稿■人生において他人を満足させる事、もっと言えば他人とってに意味のある人生を送る事は実は簡単。財産を全部ささげるか無報酬で奴隷のように他人の為に働けば良いのである。が、反対に人生において自分自身を満足させる事は非常に難しい。自分の人生を自分に据え置く行為は、他者や社会に何の利益ももたらさない「無意味な行動」なのである。■主人公はこの無意味な行動に終始した。その姿はその場では狂気に見え、その狂気を持った人間が単なる物体化した後に「客観性」の立場とともに人々に再評価、回想される。が、結局その「無意味な行為」は何かを変えたりする事はない。そもそも「無意味な行為」は「人間に尊敬、評価、肯定」され、「啓蒙」する事が目的ではないのだから、それは当然なのである。■はっきり言おう。主人公には生きる価値などなかった。そもそも「生きる」という事はそういう事なのだ。故に、社会で生きるよりもハードな責任感が実は必要なのだ。
[ビデオ(邦画)] 9点(2011-02-08 01:14:43)
54.  日本海大海戦 《ネタバレ》 
妻投稿■大河ドラマの坂の上の雲の日本海海戦まで待ちきれなくなり本作を鑑賞。歴史の事はよくわからないけれど、海戦の様子はさすが円谷。そういえば円谷って戦前は戦闘機の特撮を撮っていて、戦争が終わった後そのために大勢の若者を死ぬよう仕向けた事を後悔し、SF特撮映画という分野で「人間の正義」を格好良く描きつつも、その傲慢さもしっかりと描く事に傾注したと「偉人漫画」に書いてあった。円谷が最期の最期に再び人間が実際に起こした戦争の特撮に加わったのは、「戦いに召され、戦いに勝って、真のものの怖れを知った者の姿でないであろうか。今この人からにじみ出ているものは、まさに戦いに勝ったことを怖れる心である。戦争は勝つことさえ恐ろしいことを知った人の心である。黙々として怖れ、黙々として歩み、歴史を通りすぎた人。その人の名は東郷平八郎」という台詞で自分の特撮人生を締めくくりたかったのかもしれない。ロシア艦長と東郷の会見は、ゴジラVS人類、人類VS宇宙人といった、円谷特撮で描かれた「戦争」の、和解だったのかもしれない。
[ビデオ(邦画)] 8点(2011-02-08 00:48:38)
55.  宋家の三姉妹 《ネタバレ》 
妻投稿■三姉妹が喧嘩をするたびに「ジャッキーに何とかして貰えよ」と隣で喚いている旦那。蒋介石のプロポーズを見て「ああいう気の利いた事する奴に限って、いざ結婚したら亭主関白になるんだぜ」とうるさい旦那。日中戦争が終わって映画も終了しそうな状況で、「これから戦前の何倍も虐殺があって中国の歴史はさらに拗れ切るのに、ここでおしまいかよ」とさじを投げる旦那。図書館で映画を見るときは黙っていろ(笑)■でも旦那の言う事も一理あって、三姉妹の評価は1945年以降の中国の激動でこそ決まるんですよね。まあ、中国の歴史を扱った中華圏の映画は、ここんところを描けないのか描きたくないのか、1945年で物語をおしまいにしちゃう映画が多いですよね。自動車で滑走路を照らし出すシーンはいいから、文化大革命や2.28、国共内戦、台湾で民主主義がやっと成立した時、共産党に保護された姉と、蒋介石の妻として台湾の前面に出た妹がどのように評価され、どのようなまなざしを国に向けるのか、その対比こそが三姉妹の話を2つの中国共和国の歴史物語に昇華する要素だと思うし、この映画の価値のある表現だと思うのですが。
[レーザーディスク(字幕)] 7点(2011-01-28 01:32:24)
56.  エビータ(1996) 《ネタバレ》 
妻投稿■エバと聞いてヒトラーと一緒に自殺した奥さんの話かと思いましたが、実際はアルゼンチンの大統領夫人のお話。尻の軽い女で偽善者、列車からカネをばらまくシーンなんてなんていやな女なんだろうと思いましたが(さらに言えばそういう嫌な女の部分が私およびおそらく女性なら誰でもあるから始末に負えない)、何で彼女がこんなにアルゼンチンで人気なのかと考えてみたら、最後の方の病床のエバの顔を見てなんとなくわかりました。彼女はアルゼンチン全体が見たショーの主演女優だったのですが、彼女自身も「アルゼンチン」という舞台演劇のたった1人の観客だったのだと思います。死の直前のエバの顔は、今までの腹黒偽善女ではなく、映画が終わった後の焦燥感の中にいる(彼女がかつて叩きだしたのような)思春期の少女そのものだったんです。33年というのは上映時間としては短かったかもしれませんが、富、名声、愛というものがどんなものか、十分彼女(そして彼女を視点を借りた私たち)に伝わった映画だったのではないでしょうか。私は人生の目的なんてものがあるとは思えませんが、仮にそれが間違いならば、人生の目的とは富でも名声でも愛ですらなく、一生懸命生きる事そのものなのかもしれません。■余談だけど、私が映画を見る限り、エバが民衆を扇動したと言うよりも、民衆がエバを良い気にさせて扇動した気がするのですが。民衆たちの「ペロンペロン」というフレーズには、こっちの方も映画見ながら舐めていたべっこう飴を舐めつくさなければいけない気にさせてくれましたしね(笑)  エバの傲慢さよりもこっちの方が問題があると思います。
[ビデオ(字幕)] 8点(2011-01-19 23:40:55)
57.  相棒 -劇場版Ⅱ- 警視庁占拠!特命係の一番長い夜 《ネタバレ》 
妻投稿■まずこれほどまでに映画の内容が予告編で予想できる映画も少ないのですよ。予告編でそれらしく見せかけて別の方向に持っていこうとする相棒の常套手段を期待したのですが、ストーリーは「過去に船が爆発」→「籠城事件」→「警察組織の陰謀」→「右京と神戸が官房長と監察官に捜査をさせてもらえない」→「官房ちょおおおおお」と、名探偵コナンの映画並みに予測可能でした。多分映画館でデジャビュに襲われた方も多いはず。これは人間が知らず知らずに頭に描くストーリー予想そのままの展開をしたからだと思います。■相棒シリーズは私が知る限り外務省、防衛省、厚生労働省、財務省、国土交通省、法務省などでやりたい放題してきたある種のゲテモノドラマシリーズなのですが、いくら話を大きくしても女の人が涙を流すパターンとかが一緒だと飽きてきちゃいます。杉下右京シリーズはどんな小さな事件でも大きな事件でも風変わりな事件でも面白く対応できる物凄く守備範囲の広い、それこそ世界中から食材を供給可能なレストランみたいなシリーズなので、映画第3作を作るとしたら、国家的陰謀話以外のあっというような謎をひたすら追求するミステリーを期待するのですが。■あ、最後に一つだけ。うちの旦那はやたらと「官房ちょーーー」と言いながら、キッチンにいる私に指で浣腸をしてくるのですが。そんな事は(顔を震わせて)、けして許されるものではありません。恥を知りなさい。
[映画館(邦画)] 7点(2011-01-19 11:40:18)
58.  ドラえもん のび太の宇宙開拓史 《ネタバレ》 
妻投稿■ドラえもんって「夢を与えるロボット」というコンセプトだけど、「夢を与える」というコンセプトでプロジェクトX的に作られたものって結局は「人間の欲望を実現する事」であって、ドラえもんもその例外ではないと思う。■さて、私は紫の大地と一面を襲う洪水(私はこの洪水の水の「サラサラした感じ」がたまらなく好きだ)、急激に広がる緑と奇妙な動物、そこにうまく適応している人たちを見て確信した。これはポニョにもあるような「誰でも睡眠時に見るよくわからない世界」だ。■私は作者は大長編を書くときに「夢をかなえる」=「欲望を実現する」で必ずしもいいのかと悩んだんだと思う。ドラえもんの映画の初期において、原作者はとにかく「人間が睡眠時に見る夢」をドラえもんで実現させ(コーヤコーヤ星に行ったのはドラえもんが関与したのではなく偶然の産物)、「夢を与えるという事は何か」を追求し始めたのではないかと思う。■この映画は鉄人兵団や宇宙小戦争みたいなメッセージ性はまだ強くはない。でも言葉では表現不可能な色と音による哲学性が含まれていると私は勝手に解釈しているのです。
[ビデオ(邦画)] 8点(2010-12-22 01:19:49)
59.  ゴルゴ13(1973) 《ネタバレ》 
妻投稿■ゴルゴの姿はどう見てもパロディなのに(女を助けないで隠れているシーンはそこはかとなくシュールで爆笑してしまった)、演出はかなり上手く、最後まで飽きずに見れてしまった。
[ビデオ(邦画)] 7点(2010-11-29 00:19:01)
60.  Coo/遠い海から来たクー 《ネタバレ》 
妻投稿■こういうテーマって大御所「のびたの恐竜」とどれだけ差異がつけられるかが勝負なんだけど、その差異というのがイルカが殺されたり村の老人が殺されたりと無駄にシリアスな所。うーん、+に働いているとは思えないなあ。こういうテーマって「少年が友情の為に大人の汚い部分と戦わなくてはならない」という、ある意味自分が存在する世界を否定する「シュール」さが求められるのであって、「シリアス」さが求められているのではないと思う。さらに軍艦や最新装備の軍隊や核兵器の話をされてもそれは「国際問題」の話で、「暮らしなれた等身大世界への挑戦」という少年の冒険談には絶対なりっこない。挙句にスピリチュアルに頼る後半は安っぽく見える。■フィジーという国はこの映画が出来てから今まで3回クーデターが発生している国だ。こういう日本ではあり得ないけどリアルに存在する「大人と子供の社会の日常」に潜む怖い問題を絡めた方がもっと奥の深い作品になったのではないかと思う。 ■とはいうものの、フィジーの自然と文化、情勢を濃厚かつ面白く描いた演出や、クーという生命体の動きの臨場感という名のかわいらしさ、映画前編の展開の面白さを鑑みれば6点はいける。
[ビデオ(吹替)] 6点(2010-11-28 16:23:08)
051.53%
182.45%
292.75%
3164.89%
4206.12%
5278.26%
6309.17%
75617.13%
86921.10%
94714.37%
104012.23%

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