41. バリー・リンドン
《ネタバレ》 美術・カメラ・すべて美しくこの点いうことありません。脱帽です。 普通、人の一生を描く作品だったら、少年ジャンプ的とは言いませんが、 何らかの人間的成長・能力、知性の向上を期待してしまうものです。 ・・・ですが、この作品、主人公がまったく・・・まったく成長しません。 原作は痛快な悪漢小説だそうで、この映画がそうでない、とすれば キューブリックの主張なんですね。これ。 [DVD(字幕)] 7点(2008-12-21 18:22:54) |
42. うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー
僕は原作のファンです。また、ドタバタという笑劇に高い評価をしています。 そういった点では押井監督の作品は、落第です。 ギャグができない人(こういう人ほどファンタジーに逃げる)、「自分の主張はドタバタより高度だ」と思う人の作品と、今でも思ってます。 [映画館(邦画)] 1点(2008-12-21 13:40:43) |
43. ラスト サムライ
《ネタバレ》 言うまでもなく、この作品はフィクションです。事実ではありません。 米国の歴史がめんどくさいので、日本の映画監督が架空の人物で米国建国史を描いたら 失笑ものです。 しかし・・・私達が日ごろ読み、感動してる歴史小説は「事実」でしょうか。古来私達が慣れ親しんだ数々の歴史物語も決して「事実」ではない。では、私達は何に感動しているのでしょう。私達は「事実」を自らの脳内で再構成し、そうして醸した幻影に酔っているのです。私達は原料には酔えません。歴史は「平家物語」「太平記」等など、優れた文学作品となることによって我らの血肉となったのです。 その点を理解した上で、この作品を観ると、これは決して悪い酒ではありません。 また、この作品。米国人にとってはセンス・オブ・ワンダーです。近代合理性の非情さに憤り、自滅の美学に感動する自分に気づいたとき、彼らは自分の内にある衝動に驚き愕然とするわけです。 [映画館(字幕)] 7点(2008-12-20 22:18:21) |
44. 2001年宇宙の旅
《ネタバレ》 この映画を観たのは、リバイバルされた高校の頃。上映前もずっと音が鳴り続け、 月地球太陽のあの場面が始まった。 クラークの小説版は、宇宙に対して愛情深いものを感じるけど、キューブリックの 映画は違う。大画面で見る宇宙はそれはそれはおっかないところだった。 TVじゃわからないところ、それはけし粒のように見えるまで遠ざかる宇宙服が、 ものすごく遠くにあることがわかること。くるりとくびすを返して襲いかかるスペースポッドも衝撃。木星軌道上に流れるリゲティ。「人間こんなとこ来ちゃいけないよ」生きて彼岸を覗くタブーを犯したようだった。 ほかにも色々書きたいがくどいのでやめるけど、40年も前に液晶TVを描いてるのは立派だった。 [映画館(字幕)] 10点(2008-12-20 20:53:04) |
45. アイズ ワイド シャット
《ネタバレ》 原作を読んでいないので映画を観たのみの感想です。 キューブリックといったら思い浮かぶのは、上流階級の低俗さ。 お高くとまって、その実自堕落な人々に対し、監督の猛烈な嫌悪を以前は感じたものです。 でも、この作品はちょっと違いました。貸し衣装屋の娘が彼にアドバイスします。 「王様のマントがいいわ」。この言葉、主人公ビルの役割を言い当ててるように思います。彼は優秀な医師で、裕福で、穏健・善良で、若く、魅力あるハンサムな男です。誰も彼も彼に惹かれるんです。彼と相手することを嫌がってる男女がいないことに注目!まさにサラブレッド、王の資格をもつ男なのです。 ここまで裏表なく善良な男を描くのは、監督初めてではないでしょうか。 そんな彼を監督は、どうやって愛情こめてからかってやろうか、可愛い子をいじめたく なるように、撮っていった風に思います。と、いうわけで僕はそのからかいを楽しむ映画のように、単純に捉えているのです。 [DVD(字幕)] 7点(2008-12-20 02:18:36) |
46. 青いパパイヤの香り
《ネタバレ》 50年代ベトナムの典雅な風景と日常が、少女の目を通して描かれる。 静かで瑞々しい映画。しゃがんで料理するのが普通なんですね。 料理は旨そうでした。失踪する親父さんは謎の人。 武満徹風の音楽は、フランス人の趣味なのかなぁ。ハリウッド風では向かない とは思いますが。 (2016年追記) HDニューマスター版BDを入手して再鑑賞しました。今回の画質は従来とは比較にならないほど精彩です。 上映時、ビデオ発売時、DVD、どうしてあそこまで劣化してしまっていたのか不思議なほどです。 これを見て、いままで見落としていた美術の作りこみ、色の鮮やかさ、調度の良さ、群集の表情まで楽しく見ることができました。 一度別の媒体で見た人も、機会があれば、ぜひ観てみてください。おすすめします。 [ビデオ(字幕)] 7点(2008-12-16 23:33:35) |
47. 女王陛下の007
「007はやっぱり新兵器」なんて思っていたガキの頃、この映画は衝撃だった。アクション・ドラマ・小道具いろんな意味で勉強になる作品で、自分のリアル志向はこの映画が原因と今でも思う。 最初に見たときしびれたのは、夜明けのヘリによる攻撃の場面のジェームズ・ボンドのテーマ。自分の秘密基地が爆発するのを見たブロフェルドの泣きそうな顔も良かった。原作に忠実なので小説ファンにもたまらない作品だろう。 [DVD(字幕)] 8点(2008-12-12 01:25:55)(良:1票) |
48. 戦争と平和(1965-1967)
《ネタバレ》 長い長い物語ですが、大味ではありません。しっかりと作り上げた名作です。 斬新な演出もあり、ピエール役もしたボンダルチュク氏の巨大な創作欲がうかがえます。ソ連陸軍総動員の戦争シーン、火事の場面は町ひとつほんとに燃やしてたり、ソ連でなきゃぜったい作れなかった映画。広大なロシアの平原での狩りのシーンも良かったです。 しかし、「デジタルリマスター版」と、いう事で画質を期待していたのですが、 お金を大してかけていません。ソ連のフィルムも品質が悪く、明滅を繰り返します。 アメリカで徹底的に補修してリバイバルしてくれないでしょうかね。 [DVD(字幕)] 8点(2008-12-11 00:45:59) |