601. キッド(1921)
《ネタバレ》 -The Kid- “坊や”。 一本の映画の中に悲劇と喜劇が混在する作品は、本作が映画史上初。とのこと。自分で書いたレビューを振り返ると、この映画が最も古い映画なので、喜劇はともかく、悲劇のみの映画とか、ちょっと想像がつかないな。 大人と子供の組み合わせ映画だけど、男手一つで子供を育てる映画なら、事情があって母親の居ないシングル・ファーザーの話でも良かっただろうけど、偶然拾った血の繋がらない子供にしたのは、きっとチャップリンが第一子を生後すぐに失っていることと大きく関係するんだろう。そして本作を単純に“喜劇のみ”に出来なかった理由も、きっとその辺なんだろう。 注目はジャッキー・クーガン演じる子供の可愛らしさ。そして演技。今から100年も前の映画なのに、5歳ほどのジャッキー少年が、当時はきっと珍しかったカメラを気にすることなく、ノビノビとした演技と、はっきり解る喜怒哀楽の表情をしているのが素晴らしい。 2人の食事風景がとても印象的で、謎の煮込み料理を、自分と同じ量を子供の皿にも盛る男。あんな大人でも食べ切れない量なのに、次のシーンではぺろりと食べ終わってるのが面白い。 同じ量。パンケーキは枚数まで数えて同じにする。不足分は“半分こ”してまで子供に与える。お腹いっぱい食べることは生きるうえで一番の幸せ。男が子供を商売に利用しているのではなく、対等なパートナーとして扱っているようで、とても好きな場面。 ガラス修理する男の後ろに警官が立つ場面の“?”の字幕の意味がわからない。何だろうあれ? 子供が風邪を引いた時に「一度帰りますが、また来ます」と言った母親。きっと看病の日に再会してるんだろうけど、その場面を描かなかったのは、手紙をダメ医者に見せる時に母親が居ては、ここで話は終わってしまうから? 数日後、子供の風邪が治ってから、孤児院の車が来る日になって、やっと母親も来るのでは、遅いよなぁ。でも屋根を伝って追いかけるシーン。右手に孤児院の車も観える立体的なチェイス・シーン(のんびりしてるけど)が、こんな大昔に撮られていたことに驚く。 男と子供と母親が揃って再会ハッピーエンド。 最初、夢の国の天使=母親だと思ったけど、別人だったんだ。男と母親の間に恋愛要素は無いのか。 その後3人仲良く暮らしたのかは解らないけど、この作品のテーマが“失った人と再会する”であれば、それはそれで納得。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2022-02-23 10:51:36)(良:1票) |
602. TAXi3
《ネタバレ》 軽快な自転車アクションから、いきなりスタローン。あの軽快な身のこなしで、中の人がスタローンなのを連想する人はまず居ないだろう。ちょっと予想外で笑ってしまったけど。更に007風のオープニング。自転車、スタローン、007とチグハグで、何を目指したのか解らない。 高速警備隊のランエボ、TGV追い抜きなど派手なカーアクション映画に回帰したかな?って思ったけど、どうもノリは2のままらしく…妊娠検査薬の薬局コントは面白かった。 1は無難で硬派な感じに、ドイツ人の強盗団でメルセデス乗り。「ニンジャ~~!!」が連呼された2は、日本人ヤクザにランエボ乗り。こう続いたら、フランス+プジョーと対戦するライバル国と名車って流れを期待してしまうけど、今回は中国人で何故かサンタクロース強盗団。この辺もチグハグ。どうしてアメリカやイギリスにしなかったのか。 更に残念ながら中国には、国を代表するような世界的に有名な車がない。=プジョーとのカーチェイスも期待できない。 速さすら放棄して雪山を登る雪上車モードのタクシー。「そうそう、こう言うのをね、見たかったのよね。」って人はまず居ないと思うけど。 カーチェイスはおまけ程度に期待せず、コメディとして観るなら、そこそこ面白く、シリーズ物ならではのキャラへの愛着もあるから、最後まで観ることも問題ないけど、この方向性は好きか?続編として期待通りか?って言われると、う~ん… 1だけたまたま、私の好みに近い路線だったのかもしれない。 [インターネット(字幕)] 4点(2022-02-21 00:08:52) |
603. 疑惑(1982)
《ネタバレ》 よくもまぁこんな、ふてぶてしくも憎ったらしい女を創り出せたものだ。 もう死刑一直線、この女が殺したことは間違いない。最後はスカッと有罪判決を出してくれるのを期待して観てしまう。 犯人が意外な人物のドラマ、計画的な殺人トリックに見慣れたせいか、この自然体で直情的で、何がしたいのか解らない球磨子が新鮮に見える。裁判の席でも自分の感情を隠さない球磨子。憎たらしいけど、確かに、自分の無罪を主張するなら間違ったアピール方法。 観ていて球磨子が本当に犯人かどうか、解らなくなる。逮捕後の生存ルートに、どうにも計画性がなく、無罪が期待できない状況に自分を追い込むなんて、犯人だとしたら頭が悪すぎる。 絞首刑の夢で取り乱すシーン。豊崎が言うように「はずみで人を殺すかもしれないけど、計画的に殺すとなると…」こんなのを見ていると、球磨子が犯人じゃ無い可能性が、自分の中でも芽生えるから不思議。 映画の視聴者ではなく、裁判の傍聴人として、とても残念な判決。球磨子が保険金を手に入れられなかったのは、律子のせめてものファインプレーに見えたけど…そうだろうか? この裁判の重要アイテム、靴とスパナ。靴が脱げていたことを怪しむ律子の法廷発言を「そんなのどうでも良いのよ頭悪いわね」と遮る球磨子。 豊崎の証言に取り乱して退廷させられた時、律子に「名演技だ」と言われ、顔の見えない方で口角ニヤリ。 この事件が自殺だったら、豊崎はどこから『ケネディ事件』なんて情報を仕入れて持ち出したのか。(※今回はじめて知った。当時誰でも知ってるような、有名な事件だったのかは知らないけど。) やっぱり球磨子が「一人では生きていけない」とか何とか、福太郎に無理心中をしようと誘い、自殺の方法から手順なんかを指示したんじゃないかな。 目撃者の証言、福太郎の足の傷から、やっぱり球磨子が運転。怖くなってブレーキを踏まないようにと説明して、ブレーキの下に靴とスパナを入れた。目的は福太郎が急に怖気づいて助手席側からブレーキを踏まないように。 福太郎には2人の無理心中と思わせて、実際は自殺教唆。その実、世間からは事故に見えるように細工。だとしたら球磨子は相当したたかだ。 宗治君の証言で、球磨子の目論んだ『事故』でなく『自殺』にはなった。でも有罪まで持っていけなかったのは、律子の完敗に思える。 最後の打ち上げ。律子の腕にワインを浴びせるシーンは息を呑む迫力だった。 桃井かおりが悪女役をする作品が、他に何作品あるのか知らないけど、私の知っている桃井かおりの憎たらしさをストレートに出したのが、まさしくこの映画の鬼塚球磨子だと思う。それだけ自然で、私がイメージする桃井かおりそのまま。 [インターネット(邦画)] 8点(2022-02-13 16:27:18)(良:1票) |
604. ジーパーズ・クリーパーズ
《ネタバレ》 -JEEPERS CREEPERS- “ジーザス・クライスト”のスラングで、“何てこったい!”とか“うわビックリ!”なんて時に使うらしい。 モトはジャズのナンバーでルイ・アームストロングらが演奏してるそうです。“何てこったい!君の瞳はなんて魅力的なんだ!”みたいな歌詞。 …ジーパーズ・クリーパーズが怪物の名前かと思ったけど、ダリーの目を狙ったからこの曲のこのタイトルなのかもしれない。この怪物、気に入った獲物の体の一部を奪う時、それぞれの部位に応じて、ラジオで曲を流すのかもしれない。腕だの脚だのハートだの。で、超能力者イゼルは怪物が狙う部位と曲を知っているから、ダリーには「ジーパーズ・クリーパーズ(曲)が聞こえたら気をつけろ」と…続編があったの知らなかったから、この予想が外れてても当たってても、こんなコト大発見みたいに書くの、ちょっと恥ずかしいかも。 ちなみにこれ、劇場で観ました。当時なんかやたらと『コッポラの最新作』と謳ってたから、コッポラの名前押しに負けて、スゲー大作ホラーなのを期待して観ました。悪魔のいけにえや激突を彷彿とさせる序盤。暴走する錆びた小型トラック怖い。夜にゆっくり近づいて来るハイエースと同じくらい怖い。教会の地下に死体を投げ込む怪物が、ジッとこっち見てるのも怖い。首を切られて死んだカップルの話とか、都市伝説映画としてよく出来てた。 恋人でなく姉弟なのもちょっと新しい。2人の仲の良さもくすぐったくて良かった。ナンバー当てクイズとか、「アーハーン」合戦なんて、どこで勝敗が決まるのかこの2人しか解らない感じが、姉弟らしくてとてもイイ。 中盤から怪物をハッキリ見せすぎたのが、低評価の原因だろう。怖いだろ~って顔をハッキリ見せてしまうから。でもダリーの目を盗む理由付けとして、濁った目を見せておく必要もあったんだろうな。あとひき殺そうとする車をヒラリ、ヒラリとかわすのは、なんかユーモラスに見えて怖さが半減してしまう残念展開。そうそう、車に轢かれた怪物が翼を開くけど、あのニチャ~ッとした感じ、ムワッとしてて臭そう。 弟ダリーの最後、予想外だったけど、あぁしちゃうんだぁ…って、私の期待と違うことへの残念感。 二度と見る必要無いなって思ってたけど、今回再視聴してみたら、思いの外楽しめた。エンディングの抑え気味なブギーマンの歌もいい。駄作と呼ぶには勿体ない要素が多い映画かもしれないので、1点オマケ。 続編知らなかったなぁ、ちょっと観てみたい。 [映画館(字幕)] 6点(2022-02-13 12:45:18) |
605. オクラホマ・キッド
《ネタバレ》 -The Oklahoma Kid- “オクラホマ小僧” ってところか? 西部劇なんかでよく『○○キッド』って出てくるけど、Kidって仔ヤギの意味らしい。 仔猫のキティ、仔犬のパピイみたく。どうしてChildの砕けた言い方に仔ヤギを充てがったのかは解らないけど、当時はアメリカだけで通じた使い方らしい。 1939年、第二次世界大戦中の映画で、私が観た中では駅馬車と並んで古い西部劇。舞台となるタルサに街が出来たのが1894年とあったから、舞台は45年前なんだな。相手を殺しても正当防衛であれば許された時代。たった45年でこの違いは面白い。 クリーブランド大統領が「先住民に適正な銀貨を渡し、保留地を明け渡させて開拓する」と宣言。…なんかちゃんとお金払ってるし、良い大統領にも思えるけど、この当時アメリカで大量の銀が産出されて、世界的に銀の価値が下がっていった時代。まさに“目先のあぶく銭でインディアンを追い出した”カタチ。 肥よくなオクラホマに集まる開拓者たち。チェロキー族に渡す銀貨を奪うマッコード一味。更にそれを奪うオクラホマキッド。『チェロキー族と自然保護のために戦うオクラホマキッド』なんて、この映画の方向性が見えてきたと思ったけど、なんか違う。 保留地のインディアンは一切出てこないし、キッドは盗んだ銀貨でギャンブルしてる。キッドが文明が発達することを拒むのは、街が栄えると悪党が私腹を肥やすから。強いものが奪う世界。まだ法律では身を守れない世界。悪党の煽動で殺された無実の父。スレスレの正当防衛で父の仇を倒すキッド。最後は仲違いしてた兄との絆も復活。 製作年を考えると、モンロー主義で、ヨーロッパの戦争(土地の争奪戦と街の発展)は、自分と無関係な立場を取っていたアメリカがキッド。 法を守って無残な最期を遂げた父は、ナチスやソ連に侵略されたヨーロッパ諸国。ジムと兄弟なのを認めない、実直な兄ネッドはイギリスだろう。 今の目で観ると、追い出されたインディアンのその後とか、盗んだ銀貨のその後とか、色々もやもやするけど、ジェーンと結婚してハッピーエンディング。 これでいいのだ。当時は。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2022-02-13 10:50:24)(良:1票) |
606. TAXi2
《ネタバレ》 2ってどんなだっけな?って観てみたら「ニンジャ~~!!」のやつでした。私の中で「ニンジャ~~!!」のやつは、3作目か4作目の印象だったので、2作目で「ニンジャ~~!!」だったのは、ちょっと残念な気持ちになった。 というのも、「ニンジャ~~!!」以外、内容を殆ど覚えてない=印象に残らない映画。ってポジションだったから。まだ2なのに。 序盤のラリーカーぶち抜き、妊婦さんのコテコテのコント、ネズミ捕りネタ2連チャンなんて、シリーズの良い所、私が好きな空気が出てて良かったと思う。あと後半シラク大統領が出てくるなんて、この続編は相当期待されて作られたんだと思う。 けどねぇ、この映画の魅力、迫力のカースタントが前菜となり(黒いランエボ3台はトリプル・ドムみたいで格好良かったよ)、車に翼が生えて飛ぶCGがメインディッシュとなると、どうも期待していた方向と違うなって、思った。 コメディ面は前作以上に強化されていて、ペトラやジベール署長の見どころ・笑いどころが増えたし、前作の急いでる客とか自動車学校の教官とか出てきて楽しい。ベルティノー将軍や、「う~チクショウ!最悪だっ!」のユリも面白いキャラ。だけど笑いの相性が悪いと、ひたすらダダ滑りの連続に。 “迫力のカースタントの合間にコメディが入る映画”だったのが“面白キャラクターのコメディを前面に出して、合間にカースタントが入る映画”になってた。シリーズ2作目で早くも。3観るの、どうしようかな… [地上波(吹替)] 4点(2022-02-12 11:32:39) |
607. ブラック・レイン
《ネタバレ》 -Black Rain- “黒い雨”。原爆のことを表しているのかと思ったけど、親分の「3日間防空壕に入っていた」ってセリフから、恐らく本土大空襲全般のことを表現してたんだな。爆弾の熱は日本人を焼き殺し、生き残った日本人には黒い雨が降り注いだ。そして親分曰く“金を崇拝するアメリカ人のような日本人”佐藤が生まれた。 監督はアメリカ人が映画を観てイメージする、スキヤキ・ゲイシャのステレオタイプな日本人像ではなく、家電や車で世界を席巻した、生まれ変わった今の日本を表現しようとしたんだろうか? そういう意味では今までの日本表現に比べ、スタイリッシュな都市像が表現されている。リアル・ブレードランナーの世界。 新しい日本人・佐藤と対極なのが松本。松本のような実直で真面目な古い日本人が、如何にして戦後から現代を生きているか。英語を学び、チャーリーとカラオケを歌い、ニックから“時にはブチかます”ことを学ぶ。古い日本人はアメリカから学び、どんなものでも吸収して今に至っている。 若くて気さくなアメリカ人チャーリー。どんな相手でも仲良くなれる彼は、さしずめ新しいアメリカ人だろうか?何でも吸収する姿勢は松本に近い。 そしてニックだ。妻と別れ、雨の日に子供をバイクで迎えに来るダメな父親(ってか母親も窓から見送るなよ、風邪引くだろ。きっとニックに懐いてる自分の連れ子には愛情がないんだわ、この母親)。仕事でも仲間の汚職に加担して、自分も賄賂を受け、それをチャーリーに言えないでいる。 金を崇拝とまでは行かないが、汚い金で子供を養う彼は、本質では佐藤と似ているのかもしれない。 この映画、本当はニックという汚職警官のダメっぷりを、もっと丁寧に描くべきだったと思う。だから最後の空港のシーン、シャツの下の偽札原板の意味がイマイチ“??”な感じになった。 ニックは日本の警察に原板を渡さなかった。松本はニックが原板を隠していることに薄々気が付いていたと思う。でも原版の話はするけど、調べるつもりもなかった。原版の使いみち、オイシイ話をするニック。 ここでお別れだと言ってシャツを渡す。そもそも松本に、日本で買ったシャツを渡すのは変なのに。空港には警護の警官も来ていたと思うと、松本と2人きりで話せる場として、あの狭い立ち食い蕎麦は好都合だったんだろう。 「後ろに気をつけなカウボーイ」原版をバレずに上手く使えよ。と、松本は絶対そんなコトしないの解っていて原版を託すニック。 ちなみにこのセリフ、内務調査前の別れ際にチャーリーがニックに掛けた言葉。 あの時、チャーリーもニックの汚職に薄々気が付いていたけど、ニックの自発的な更生を望んでいたのかもしれない。 …とここまで、松本に影響されて汚職から足を洗う決意をしたニックの照れ隠し。ニューヨークに帰ったら内務調査で真実を話す戦いが待っている。 あの戦争で日本人が変わったように、ニックのようなアメリカ人も、きっと変われるハズだと。 はにかみ笑顔のマサと、満面の笑みでサムズアップのニックさん。テーマソングも相まって、2人ともカッコええ… [ビデオ(字幕)] 7点(2022-02-11 15:46:12)(良:2票) |
608. 愛と哀しみの果て
《ネタバレ》 -Out of Africa- “アフリカから離れて”。アフリカ要素と恋愛要素を天秤にかけて、恋愛の方がウケるって判断した結果のタイトルでしょう。最後“果て”とした所が、地の果てアフリカな感じも辛うじて出していて、ニクい演出に思えます。類似タイトルで迷った時は“果て=アフリカ”とインプットしておけば、この作品を思い出せるかもしれません。 何不自由なく裕福なカレンがアフリカに移り住む。物欲に縛られないデニスは、彼女にとってアフリカそのものだった。 ヨーロッパの文明、人との繋がりとは対局な、孤独な生き方を選ぶデニス。 彼に近づけば近付くほど、彼女の裕福の象徴、文明との繋がりは足枷となっていく。 梅毒で生死の境をさまよい、子を持てなくなったカレン。生きるために不可欠な文明との共存。彼女はデニスのようには生きられない。 無情にもアフリカの神は彼女の築いた文明(農園)を焼き尽くす。人間のちっぽけさ。文明の儚さ。 カレンの影響で徐々に文明を受け入れたデニスは、皮肉にも文明の象徴である飛行機の事故で命を落とす。 残った財産を売り払い、すべてをアフリカに残し、文明の元デンマークに帰るカレン。 天に召されたデニスと文明に戻ったカレン。2人の肉体はアフリカを離れたが、2人の魂は永遠にアフリカに残っている。 …“美しいアフリカの自然”と“雄大なテーマ曲”というパワーワードを抜きに、この映画を語ることなんて、自殺行為だなって思ったわ。 そのくらい、この映画のアフリカ要素重要。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2022-02-11 11:45:19) |
609. キャタピラー
《ネタバレ》 -CATERPILLAR- “芋虫・毛虫” 寺島しのぶのベルリン映画祭最優秀女優賞受賞が印象深くて、この映画のタイトルはよく覚えている。トレーラーのインパクトから、機会があったら観てみようと思って、今回ようやく。 やたらと連呼される「御國のために」と、イチイチ映される天皇皇后両陛下の写真に、何か監督の伝えたいことが詰まってる気がした。 言葉の使い方から「御國のために」が「御國(天皇)のせいで」って脳内変換される作りになっている。 誰かのせいにするのは一番簡単な逃げ道。あの戦争を『御国(天皇)のせい』にしておけば気持ちが楽になるのかな。婦人会の人なんかも、面倒を人に押し付けるとき「御國のためだから」。自分は悪くないし、被害者の立場にもなれる。便利な言葉かもしれない。 映画は日中戦争、主人公久蔵による中国人女性のレイプ(殺人)から始まる。痛ましい映像だけど、安っぽい作りと、レイプに至った背景を描かないのは疑問。背景もなしに“戦争中こんな酷い事が起きてました”って部分だけを映像化しても、それでは説明のない死体写真を見せられてるのと変わらない。 そして久蔵はモトからシゲ子に暴力を振るうような、今で言うDV夫だった事がわかる。その久蔵が戦地でも最低なことをしていて、手足を失って帰ってきても、シゲ子に命令して食ってヤッて寝るだけ。別に戦争で理性を失ったとかはなく、モトから最低な男。 時代は日中戦争から太平洋戦争に突入して、原爆投下、敗戦と続く。久蔵とシゲ子の立場が逆転したように、久蔵が中国人女性にしたことがフラッシュバックするように、日本が中国にしてきた酷いことを、今度はアメリカから受けることになる。って事だろうか? 黒川家とは無関係の原爆はもちろんだけど、B・C級戦犯の絞首刑まで入れるのは詰め込みすぎ。それに呼応するかのように久蔵の自殺。 クマとシゲ子が「戦争が終わった。バンザイ!」と笑顔。負けた。でなく、終わった。クマはともかくシゲ子はどんな感情で笑っていたんだろう。 余談だけど、小学校3年生の頃の担任を思い出しました。道徳の時間に、戦争の悲惨さというか、日本軍の非道な行為を詳しく教えてくれました。なんか、そのまんまな考えの映画でした。 [インターネット(字幕)] 2点(2022-02-10 14:52:20) |
610. TAXi
《ネタバレ》 ワイルド・スピードと双璧とも言えるカーアクション映画シリーズ。コメディ色が強いので、みんなが楽しめる作品。 どこにでもありそうなセダンが、スイッチひとつでカリッカリのチューニングカーになる馬鹿らしさ。この有り得ない展開が、公開当時は受け付けなかったけど、年々許せるようになって、今では結構好きになった。 地を這うようなローアングルショット。路面を縫うようにスイスイ車線変更するカメラワーク。改造車の馬鹿らしさとは対照的に、カーチェイスは迫力満点。車線変更直後に同車線上に自転車が走ってたり、車の間をギリギリですり抜けたりと、観てて結構危ないシーンもあった。 コメディ部分はオーソドックスなのとコテコテなののミックス、エミリアンのアホさ加減が笑えるか許せるかで評価変わりそう。 ジベール署長のドイツ人嫌いとか、韓国人タクシーのネタ“顔の区別がつかないから”とか、人種国籍ネタは結構ブラック。 あんまり深く考えないでボヘ~~っと観るのに適してるね。 [地上波(吹替)] 6点(2022-02-10 12:23:01) |
611. コンスタンティン
《ネタバレ》 キアヌの代名詞的なアクション映画シリーズって、これだっけ?と、ジョン・ウィックと間違えて視聴。ヘビースモーカーで青白い顔したキアヌのキャラと、ダークな宗教観と夜の街がバッチリ決まってて、思いの外楽しめた。 社会の裏側でワラワラと存在するハーフ・ブリード。事件に巻き込まれる美女。悪魔を倒す聖なる武器。特殊能力を持つ主人公と、そんな能力のない仲間。これは、私の好きな某ヴァンパイア映画によく似た世界観とストーリーではないか。スプリンクラーが印象的に使われるのも、悪く言えば既視感だけど、コレはコレで。あっちはマーベル、こっちはDCコミックが原作なんだね。 ハーフ・ブリードの倒し方がバッチリ決まっていて、倒す為の聖なる武器の数々がアツい。十字架の銃にメリケンサック。キーキー虫やドラゴンの息といった小物まで、まるで007のQの発明品のような面白さがあった。シリーズ化してたら、次はどんな武器が出てくるか楽しめたと思う。 羽の生えたガブリエル登場で思い出した。あれ?これ一回観てる。でも最初の方初めて観た気がしたから、きっとテレビで流れてたのを途中から観たんだろうな。その、ガブリエル役のティルダ・スウィントンの“人じゃない感”が凄く印象に残ってた。 その手があったか!なルシファーの選択。最後のガム。よくまとまっていて面白かった。 最後のチャズがよく解らなかったな。モトから?新たに?ハーフ・ブリードが定員制で、ガブリエルの席が空いたからそこに収まったってことなら、バルサザールの席も空いたからって感じに、続編が作られそうだったけど… [DVD(字幕)] 6点(2022-02-10 10:42:53) |
612. チーム★アメリカ ワールドポリス
《ネタバレ》 パールハーバーを観たらこの映画を観たくなるよね。FUCK YEAH!! 世界一金を持っている軍隊、アメリカ軍。それを一番格好良く撮影できる監督がマイケル・ベイで、当時一番稼いでいた映画監督でもあったと思う。 金も権力もある監督にズバッと“パールハーバーはクソ”と言って、彼らに一体何の得があるんだろう? 自分たちの利益になることしかしない世界の警察、アメリカへの皮肉。 テロリストに武器を売り渡し、独裁政治を続ける金正日。でもズバリ北朝鮮を攻撃するより、日本や韓国に武器を売って睨み合いをさせておいたほうが金になる。極東の小国はアメリカにとって大して脅威じゃなかったし、資源の乏しい北朝鮮を攻撃するくらいなら、中東の産油国を攻撃対象にしたほうが金になる。 パールハーバーの歌だけでなく、エイズの歌もモンタージュの歌も素晴らしい。 人形劇なのに痛々しく見える死の場面の完成度。ハンスが鮫に食われる表情なんて人形とは思えない表情してた。話題のセックスシーンも、格闘シーンより力入ってるんじゃないかってくらいの完成度。終わった後のリサの、指がゲイリーの目に刺さってるのにOKな“ヤル気の無さ”もイイ。 毎回、どうしても笑ってしまうのがゲロのシーン。リアルなゲロの出方と色。下品極まりない音。そこで掛かる壮大な音楽。 スポッツウッドがズボン下ろすところも。あのやり取りと2人の表情がもう、ダメだ。この歳になってこんなの観て笑ってしまうなんて。 [DVD(字幕)] 6点(2022-02-08 22:26:43) |
613. パール・ハーバー
《ネタバレ》 -PEARL HARBOR- “真珠湾” 今回『トラ・トラ・トラ!(以下“トラ!”)』初視聴に併せて、改めて視聴。トラ!との比較が多くなるけどご容赦を。 真珠湾攻撃を真面目に映画化したって、歴史好きしか観ないであろう所を、タイタニックのような恋愛要素と、スターウォーズのような迫力の戦闘描写を入れてエンターテイメントにしたのが本作。興行収入的には大成功だったと思う。 数時間の奇襲作戦に、複雑な三角関係を収めるのは難しいから、過去に遡って恋愛を描くのは解るけど、恋愛と真珠湾が全く絡んでないのは問題だ。真珠湾攻撃中、男女は全く顔を合わせていないから恋愛は停滞。 この三角関係は、取ってつけたようなドーリットル作戦まで解決を見ない。創作だから幾らでも絡められただろうに。 イヴリンがダニーとの新しい愛に生きるのは否定できない。だけど真っ赤なチャイナドレスで男だらけの基地に行き、戦闘機に乗って、基地の倉庫でセックス…は無いわ。これをラブストーリーとして映像化された際、実際に戦争で夫を失い、生きていくために再婚した大勢の女性は、どう思っただろうか?ま、イヴリン独身だけど。 編集のしかたも疑問で、時系列をグチャグチャにしている。真珠湾攻撃から遡って恋愛を描くのは解るけど…具体的には日本パートで真珠湾攻撃前日(12/6)に、山本長官が「敵を混乱させるために敢えて暗号電文を送れ」と言っている。そのあと暗号電文に混乱するワシントン情報部の動きが入るけど、字幕では7月と。=山本長官の命令の5ヶ月前だ。トラ!では執拗に、情報を掴んでいたのに活かせなかった、米政府・軍部の失態が描かれたが、コレではまるで、ズル賢いヤマモトの策略にハメられたように観える。 またトラ!で丁寧に描かれた、日本が開戦直前まで戦争回避に奔走した外交的努力なんて、今回これっぽっちも描かれていない。トラ!では結果的に奇襲になってしまった描写があったが、今回は完全に奇襲を狙ったように描かれている。 あと日本軍人の日本語が吹替えで残念。きっとオリジナルだと、聞くに堪えない言葉で話してるんだろう。出演者全員が流暢な日本語を話していたトラ!より30年以上も経過してるのに、何だろうこの不自然さ。一番日本語が上手なのが、ハワイ在住のお医者さんなんて… でも写真にきちんと日本語で『戦艦オクラホマ』と書いてあったのは、唯一トラ!より勝った点。 言葉といえば、英単語も読めないレイフが、数ヶ月でイヴリンと手紙をやり取り出来るのが謎。この設定必要だったの? 零戦に果敢に挑むレイフとダニー。史実から日本軍の一方的な勝利の印象だったから、ウソだろ?創作だろ?って思って観てたけど、2人のモトになったパイロットが居たことを、最近になって知った。この2人はトラ!にも出ていて、タイタニックの“ジャック・ドーソンの墓”のように、想像力を膨らませる存在だ。 最新鋭の零戦に対し、非力なP-40を技量でカバーする2人。ってなっているけど、戦闘機は敵機を落とすのが任務だから、人を殺したり建物を壊すのは目的ではない。逃げ惑う非武装の兵員を盾に、基地低空を縫うように飛ぶ主人公機。誇り高い零戦乗りは攻撃がしにくかったろう。と解釈。 でも戦闘シーンの迫力は素晴らしく、ここは素直に評価したい。スターウォーズ特別篇のように、トラ!の追加映像に入れてほしいくらいだ。戦闘シーンだけ垂れ流しで観ると良いかも。 でもここで終わりでなく、この後まさかのドーリットル作戦ブチ込みにはズッコケた。真珠湾攻撃とコレは無関係なのって、当時の私でも解ってた。よっぽど、アメリカの負けで終わりたくなかったんだな…って。でも関係ないでしょ?パールハーバーと。 戦闘機乗りを畑違いの爆撃機に乗せて、看護婦のイヴリンを銃殺刑ものの機密作戦の無線室に入れて、あれだけおしっこ出させてまで機体の重量にこだわってたのに、拳銃と弾薬はたっぷり持って行くし。そして都合良く殺されるダニー。 どうせこんなの入れるなら、“悪のヤマモト長官”が彼らの爆撃でギャーッ!!って吹っ飛ぶシーンくらい、適当に入れればよかったのに。 パールハーバーというタイトルで映画を作るなら、真珠湾攻撃を核に物語を進めないと。起承転結の“結”も真珠湾にしないと。 この大人気ない映画が、誰の何の目的で作られたのか、いまいちピンとこない。国内の反日感情を高めたかったのか。日本が嫌いな大金持ちが自己満足で作らせたのか。そもそも日本なんて相手にしてなかったのか。 [映画館(字幕)] 2点(2022-02-08 22:21:10) |
614. トラ・トラ・トラ!
《ネタバレ》 -Tora!Tora!Tora!- “ワレ奇襲ニ成功セリ”の意味だけど、タイガーの虎ではなく、トとラをくっつけた通信暗号で、意味は持たない。 真珠湾攻撃を真面目に映画化した作品。当時は第二次大戦の史実をもとに、ダイナミックに戦場を描くことが、戦争映画という娯楽映画のいちジャンルとして成立していた時代。空母の甲板に並ぶ水兵たち。真珠湾基地の風景、居並ぶ軍艦と航空機たち。日米両側の軍備に迫力を感じる。もちろん開戦からおよそ30年も経っているし、模型だったり現行兵器そのままだったり、当時のものを完全再現した訳じゃないだろうけど、やっぱ凄いわ本物。 見終わってから知ったけど日米合作とのことで、それで日本の描写も丁寧なんだなと感心。ハリウッド映画の日本人に有りがちな怪しい日本語ではなく、きちんとした日本語で、しかも関西弁まで出てきて驚いた。でも写真の『U.S.S.ARIZONA』はカタカナ表記が正解でないかな?極力公平に作ろうとしたためだろう、アメリカ人俳優と日本人俳優を1人づつ交互に流すエンドクレジットにも注目。 魚雷訓練で低空飛行をしている攻撃機に手を振る遊女。鳥居のそばで釣りをするおじさんなど、日本軍と民間人の身近さが感じられた。敵艦のシルエットクイズ風訓練風景なんか、とても日本人らしく和やかに描かれている。一方で大海原を走る空母赤城の勇姿。発艦する零戦の朝焼けに映える美しさ。いざ開戦というピリッとした空気が、日本は怒らせると怖い国だという事が、ビシビシ伝わってくる。アメリカ映画なのに、血が通った日本人が描かれている。 序盤中盤と政治的な駆け引きが多いが、後半に集中する真珠湾攻撃は迫力満点。 滑走路で一発撮りの爆破シーン、逃げ惑う兵員たちの命がけの撮影は、CGでは絶対に出せない臨場感。 容赦なく破壊されるP-40にカタリナ飛行艇。逃げ惑うB-17。基地内で働く日系人青年に向けられる敵意の目。 ハレイワ飛行場のケネスとジョージの活躍、機銃を撃つ黒人調理師が、辛うじてアメリカ・サイドの溜飲を下げる。 映画の大半は開戦に至る過程を丁寧に描写していて、特に日本側の、戦争を避ける為の努力が感じられる。 アメリカ側は、日本との開戦に危機感を感じている者と、あの場に及んで呑気にしているものの落差が大きい。 でも詳しくないけど、そもそも開戦前のアメリカが、日本と大使館の暗号電文を傍受して解読するのって、国際法的に犯罪じゃないの? 日系アメリカ人のゲリラ活動を恐れて滑走路に集められる航空機。もみ消された空襲前の潜水艦撃沈事件。たまたまB-17編隊の到着と重なったレーダー基地での未確認機影のキャッチ。 真珠湾で大打撃を被った失態。これは変えようのない事実で、この映画はあの時、何故そうなったか、些細な行違いと不運なミスの重なりに、真摯に向き合っている姿勢が見て取れる(…言い方を変えるとミスした士官に責任を擦り付けているようにも)。 一方の日本側は、開戦に前向きな士官に対し、実際にアメリカを見てきた山本長官の言葉に重みが感じられる。 戦争を回避できなかった野村・来栖両外交官。目的の空母を沈められず、艦隊を引き上げる南雲長官。開戦の最後通牒の前に攻撃をした事実を受け止める山本長官。みんな他人のせいにはせず、自分自身の責任として受け止める姿勢が、今も昔も変わらない日本人らしさに思えた。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2022-02-08 22:16:11) |
615. 髪結いの亭主
《ネタバレ》 -Le Mari De La Coiffeuse- “美容師の夫”。美容師を髪結い、夫を亭主にすることで、味気ない訳になるところを、独特の雰囲気を出しています。まるでおとぎ話のような、リアルじゃない世界。 え!?あのプロポーズ受けるの?? から2人の生活がスタートし、 えぇーーーー!!!?という結末。 時々、黒バックに悲しそうなアントワーヌの映像がインサートされてたから、ず~っと幸せって話じゃないとは思ったけど。 シェーファー夫人の最後。手編みの海水パンツ。ブルドーザーの思い出。ウエディングドレスで髭剃り。オーデコロンで乾杯。これだけのアイデアを一本の映画に詰め込むなんて。極めつけがアントワーヌのダンス。あの変なダンスに子供メッチャ魅了されてる。なんて素敵な時間だろう。 美しいマチルド。ジャン・ロシュフォールとアンナ・ガリエナの年齢差24歳。この幻想的とも言える奇妙な物語には、きっと“童謡、実は怖い歌詞の意味”みたいな、違う一面があるようにも思える。 でもな、何かこう、そういうのは知りたくないというか、映画で観せられてる世界で完結したいって気持ちになってしまう。 2人で過ごした期間、マチルドもアントワーヌも、最高に幸せでした。みたいな世界で、この場合は良いんだと思う。 [インターネット(字幕)] 7点(2022-02-05 16:32:11) |
616. 龍の忍者
《ネタバレ》 -Ninja in the Dragon's Den- “龍の巣の中の忍者”。 シャカニンジャー!!インパクト大なテーマソングと『忍者の平凡な毎日』みたいな、夢たっぷりなオープニング映像。何やら濡れ衣を着せられる伊賀忍者の皆さん。興味津々に見ていたら、アッという間に舞台は中国に移って、偽ジャッキー映画みたいな話に変わってしまう。 偽ジャッキーなんて失礼な書き方だけど、コナン・リーのアクションは華麗さと重みがあって格好良い。のに、個性を殺され、髪型も雰囲気もジャッキー・チェンっぽく、そう演じるよう指導されてるっぽい。何とも勿体ない。 お祭りだ。竹馬に乗った仙人と、牛魔王が、なんか、戦って、いるよ。知らんけど。使用人のケイをイジって遊ぶジン坊っちゃんのコントとアクション。もう最初の伊賀忍者のこと忘れてる。 って言ってる間に玄武登場。JAC仕込みの真田広之、全盛期のアクションはキレッキレ。マスクしてるから全部本人か解らないけど、中盤以降のノーマスクのアクションもキレッキレ。茜役の津島要も可愛いし、きちんとバランス見ながら編集したら、面白いストーリーになっていたように思う。 ジンと玄武のバトル。痛い身体をかばって戦うのとか、互角な感じで面白い。「バイチャ」かぁ、そんな時代かぁ。 何の前フリもなくジャッキー映画でおなじみの悪役、ウォン・チェン・リー登場は盛り上がるところ。映画最後の大ボスなのに、フザケた技ばかりでお茶を濁すのは、ちと残念。 でもヤムチャvs透明人間の元ネタっぽいおっぱい光線は笑った。 [インターネット(字幕)] 5点(2022-02-05 15:43:43) |
617. 友だちのパパが好き
《ネタバレ》 フワついたタイトルから、おっさんの願望をそのまま映像化したような作品を想像してたけど、なんか違った。 そう視点が違った。自分の世界に入っている人を、一歩引いて客観的に撮ってるから、主要人物の殆どに感情移入出来ない視点で観えるんだな。 恭介がマヤと(劇中)最初にキスするシーンは通行人同様、たまたまその場で見てしまったように観せる。二人の関係も、LINEの交換、ファーストデート、ファーストキスといったドラマチックな場面を省いて、もう関係が出来上がってからをぶつ切りで見せる。 食堂のミドリと川端の会話も、たまたま食事中、向かいのグループの会話が聞こえてしまった風に。仕事外で何かあった事を匂わすだけ。客観的に観ている私は、二人に何があって今に至るかを、会話から想像する造りになっている。もの凄い演技力も要求されるわこの撮り方は。 自殺を図る先生。主観的に撮れば、先生の辛さを感情移入できるくらいドラマチックにも出来たろうに、そこをたまたま通りかかった他人のハヅキ視点で観せる。おじさんに自殺を止められて、説教されて、逃げようとして、生徒に見られて。客観的に観ると、何とまぁカッコ悪い。 広いようで狭い世の中で、それぞれ点だった登場人物が徐々に、モヤモヤモヤ~~~っと線で繋がっていき…結末は割愛、ご自身で。 話は逸れるけど、便秘になってモヤモヤ。それがスカッとするほどでないけど、ようやく出てきました。 一応どんなの出たか見ますね。でもマジマジとは見ないですね。ありがとう。とか、さよなら。なんて感情は抱かずに、冷たい視線を送って、機械的にジャーっと流しますね。 「やぁーやあ」「やあ、やあ」 身体から出たウ○コが、その後どうなったかなんて、ホンッットどうでも良いですよね。 いやぁ~面白かったわー。 [インターネット(邦画)] 8点(2022-02-05 14:34:50)(良:2票) |
618. エクスペンダブルズ3 ワールドミッション
《ネタバレ》 ウェズリー、メル、ハリソン、アントニオと、今回も超豪華な顔ぶれ。…なんだけど、若手で新チームを作っちゃったのはどうだろう。新旧の融合なら“消耗品”って皮肉なタイトルに、これからの若手俳優が出てくるのって、ねぇ? 見せ場に苦労したのか、それとも最初から用意されていたのか、バイク、女格闘家、ハイテク…う~ん、私の無知もあるけど、代表作のないメンバーだから、おぉ!?とか、出たっ!!とはならない。ずーっとエレベーターシャフトを登ってたりなんて、やってる事は凄いんだけど、交戦中に何してんの?ってなった。単に人数が増えた印象になったから、『自軍vs敵軍の雑魚キャラの乱戦』ぽくなってしまったね。 出すならニコラス・ケイジ、ウィル・スミス、サム・ワーシントンら、若手チームと言えど40~50代の、名の通ったアクション俳優で、一時期大人気だったけど最近あまり見ない人で固めてほしかった。この作品はそれぞれ役名は付いているけど、かつて映画で見たヒーローの“今”を味わう作品だと思っているから。 最後のシュワとリーのアレ、この映画だから出来た豪華なジョーク。だけど観たかったか?ウケたか?と言われるとね。リーの当時の体調から、アクションで見せ場を作れなかった為ではあるだろうけど、昨今は普通のゴールデンのドラマで、大したオチでもなく、あぁいうのを故意に自然に入れる、不自然な世の中になってしまった。でもこの作品は、無理に今風にしないで、頑張ってもせいぜい'00年代風のテイストを出していれば良いんだよね。 ウェズリーの救出劇~仲間との会話は面白く、シリーズの醍醐味を感じた。最後の戦いでアントニオにデスペラードな二丁拳銃や、ウェズリーにブレイドな銀の杭替わりに銀のナイフを使わせたのは、最高だぜ!ヒャッフー!!だった。 最後の救出ヘリのメンツの豪華なこと。そこに1人ぶら下がってるスタローン。「この作品も俺も、みんなに助けてもらって成功したんだ、ありがとう」的に、この映画のスタローンの気持ちを表現したシーンに思えた。あぁみんな最高。和む。 [インターネット(字幕)] 6点(2022-02-05 09:27:24) |
619. キリング・ミー・ソフトリー
《ネタバレ》 -Killing Me Softly- “ゆっくりじわじわ殺して”。日本では真綿で首を絞めるように。なんて言うけど、確かに首絞めてたね。その映像のインパクトは結構大きくて、美しい雪山登山の映像とともに、どんな映画かずっと気になっていた。 官能的なエロスを扱った映画で、ナイン・ハーフとか氷の微笑とか、そっち系の映画だったんだ。 平凡な彼氏との生活。影のある男との唐突な出会いと情熱的なセックス。愛情が高まるほど過激に、危険になっていく二人の関係… そりゃ道歩いてたら気になる異性と出会うことはあるけど、会議もうわの空になるほど、その人が気になることって、あるのかな。いや羨ましいことだけど。 これがアダムが最初からストーカーや探偵や詐欺師で、アリスの気を引くよう誘導してたりなら解るんだけど、ホントお互いに交通事故みたいな出会いで、すぐに再会、すぐにセックスって…アダムはそういう性癖だって解るけど、アリスは平凡な彼氏と暮らしてるんだから、それにしてはトリガー軽くない? そう、禁煙してる人が急にタバコ吸いたくなって衝動的に吸う(アダム)のはわかる。でも今までタバコ吸わなかった人が、いきなり衝動的に吸う(アリス)のって、あるのかな?ジョセフ・ファインズにそこまで強烈な第一印象って、あるかな?そう思うと全盛期のミッキー・ロークって凄かったんだな。 アダムは変態気質があるとして、映画的にはアリスに問題があるように思えて。出会う。追いかける。彼と別れる。トドメは真紅のチャイナドレス。そこまで“秒”だったよね。アダムにやらされてるんじゃなくて、潜在的にやりたかったことが出来てるんだろうな。 警察に駆け込んだ時、既にアリスの気持ちはアダムから離れていたし、放っておけば自然消滅しただろうに。その後のデボラとアリスの死体探し~からの真犯人暴露なんて、ギャラリー(映画を観てる人)が居ないと意味のない行動に思える。 アダムの裏の一面を散々観せてきて、最後全部の罪をデボラにおっ被せるようなラストも、どうだろう? モトはと言えば自分からアプローチ仕掛けておいて、スキあらば被害者ポジションに居ようとするアリスの立ち位置が、どうにもモヤモヤする。 アリスがアダムを助けたラスト。アダムはデボラの動きを見てないし、どうせならスコップ持ったデボラを映さずに、アリスが一方的に撃ってたら、“本当にデボラはアダムを襲おうとしたの?”って、藪の中的に出来たかもしれない。 [インターネット(字幕)] 4点(2022-01-30 14:04:01) |
620. ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序
《ネタバレ》 あの旧劇場版から10年経ってたのか。当時はそこまでの時間経過の感覚がなく、ほとぼりが冷めた頃合いにポッと作られた印象。しかもあの話の続きではなく、リビルド作品とのことで『え?またエヴァンゲリオンやるの?…もう良いんじゃない?あの終わり方で』って感じだった。 まさに三度目の正直。あの25話と26話を作り直したいんだろうな。それなら1話から作り直す必要ってある?って思って、公開当時は食指が動かなかった。もともと序盤はあまり好きではなかったし。だけどTV版の最後で失望してエヴァから離れた友人(旧劇場版は未視聴)には高評価だったっけ。 金曜ロードショーで観た。映像は綺麗だけど、まるで間違い探しのようにTV版の内容をなぞり、海が赤いとかちょっとの違いと、カヲルくんとかちょっと後半の展開を入れた感じで、リビルドの必要性は感じられなかった。 う~ん、エヴァ以降TVアニメも観なくなったし、極端に興味を失っていた時なのかもしれない。 再視聴は去年BSでやっていた時で、不思議と面白かった。およそ10年、一切エヴァを観なかったことで、懐かしさと新鮮さが感じられたのだ。 アスカが出てくる前の、スカッとしないシンジとレイの、ちょっと影のある雰囲気。しっとりした音楽がTV版を観ていた当時(うわ24年も前だヤッバ)の自分を思い出させてくれた。 そしてグルングルン動くラミエルの美しさ。ここ全然覚えてなくて、まるで初めて見るような新鮮さを感じた。それほど初見時は適当に観流してたってことか?きっと前回観た時は、エヴァに懐かしさを感じるほど、自分の中で消化しきれていなかったんだ。 宇多田ヒカルの歌も良かった。これ金ロー版では流れてなくて、たまたまエヴァと関係ない何かの動画で聞いていて、いい歌だなって思ってた。エヴァの歌だったんだ、新劇の雰囲気とメッチャ合ってる。 この作品だけでは、新たに作り直した意図は汲み切れないけど、次も観てみたいかなって思えた。 余談になってしまうけど、このまえ「エヴァを観てみたいけど沢山あって。どれ観れば良いの?」って聞かれたんだけど(私に聞くことか?) 例えば“鶏の丸焼き”というのを、一回で良いから食べてみたいとして。 ①コストコなんかで出来上がったやつを買ってきて、それが旨くても不味くても、とりあえず丸鶏を食べられれば良いや。って人は、 新劇だけ観ればいいよ。たぶん「あぁこういうのがエヴァかーなるほどねー(良い作品だけど○○の方がインパクトあったな)」とかって感想になるかと。 ②生きた鶏を買ってきてバサッと捌いて、きちんと下処理して焼いて食べるって人は、 旧劇と新劇を観るといい。人によっては「う…コレが噂に聞いたエヴァか、ちょっと無理。味は良いけど、しばらく鶏は食べられないな…」ってなるかな。 ③ひよこ連れてきて大事に育てて、ひよこと鶏の中間の可愛くないのも体験して、大きくなったら捌いて焼いて食べる。そんな人は、 TV版と旧劇と新劇を順番に観てみよう。コレが私たちが24年前からリアルタイムに体験してきたエヴァ。ひよこが最後どうなるかなんて、考えもしないで観始めた作品。でも私たちがエヴァで体験したことって、こんな感じの事だと思う。 彼女は①を選んだようだ。 [地上波(邦画)] 7点(2022-01-30 12:24:52) |