661. スティル・クレイジー
一時代を築きつつも現在は落ちぶれたロック・バンド仲間が、ン十年の時を経て再結集し、夢と絆を取り戻そうと奮闘努力する姿を描いた、イギリス映画十八番のダメ人間再生コメディ。もう少し感動させて貰えるかと思ったんですけど、意外にあっさり終わってしまいました。ここは語り部であり観客の分身であるビリー・コノリーを、もっと前面に出した方が良かったと思います。一番感心したのはラストのロック・フェスのシーン。これだけこじんまりした映画でも、大規模ロック・フェスが「大規模」に見える様に、金をかける所にはちゃんとかけている。こういうことは重要です、6点献上。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2005-09-20 00:08:28) |
662. マーサ・ミーツ・ボーイズ
単純なラヴ・コメディではなく一捻りしてある物語展開ながら、個人的には印象薄。やっぱり何人かの方が指摘されてる通り、役者に華の無い所為だと思う。私は男ですから、三人の男の側で物語を追うことになりますが、マーサに一目惚れさせる程の魅力を感じることがどうしても出来なかった。それに、この女はどー考えても鬱系の自己中。同じ役でも、例えばケイト・ハドソン辺りだったら全然違ってたかもしれませんが…。また、男の側も自信過剰な友人二人に共感は抱けないし、プリンス系の顔を持つジョゼフ・ファインズにラヴ・コメは似合わないとも思う。そんな訳で、5点献上。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2005-09-20 00:07:49) |
663. 月下の恋
本作のケイト・ベッキンセールのヌードは、引きの後姿も含めて全部ボディ・ダブル。それ所か後半のベッド・シーンに至っては、エイダン・クインのヌードまで吹替えです。つまり、このベッド・シーンはアップになる部分を除いて、全くの別人二人が絡み合っているのです。こんなことまでして、このシーンを入れる必要があったのか? 一体プロダクションに何があったんだ? それに、「まさか、こんなオチじゃないよなぁ」と思ったオチがまんま待ってるし、“Haunted”という原題に対し、文芸映画を連想させる邦題も酷いセンス。とにかく、一から十まで凄くいい加減な作品です、4点献上。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2005-09-20 00:07:20) |
664. 眺めのいい部屋
旅先で出会った自由の香りを漂わせる男と、親の決めた家柄のあるガチガチの堅物。これまでなら本作同様、前者を選ぶのがロマンスの定石でしたけど、後者を選んだブリジット・ジョーンズは同じ英国人でも、現代的な女性だったことを改めて思い出しました。で、本作のヘレナ・ボナム・カーターの家柄はもの凄い上流という感じはせず、上の下くらいの感じなんでしょうか。旅行できること自体が贅沢だったのだとは思いますけど、フィレンツェの宿も超高級ホテルという感じじゃない。この辺が多くの人の共感を集めるのに一役買ってるんだと思います。そういうことで、5点献上。 [ビデオ(字幕)] 5点(2005-09-20 00:06:50) |
665. 恐怖の魔力/メドゥーサ・タッチ
イギリスの名優とフランスの名優が共演したB級オカルト・スリラーの隠れた佳作。発端は一つの殺人未遂事件。最初はトレンチ・コートを着たリノ・ヴァンチュラのリードする刑事サスペンス風に始まり、捜査が進むに従いリー・レミックのリードするサイコ・スリラー風に方向が変わり、最後はこの映画の真の主役・リチャード・バートンが支配するサイキック・ホラーへと変貌する。何と言ってもこの脚本構成が秀逸。また、ヴァンチュラの存在感も凄いですけど、それ以上に彼をキャスティングした人が素晴らしい。クライマックスの大聖堂崩壊シーンも、ミニチュア・ワークと実演との編集が巧みなので、かなりの迫力とサスペンスを味わえます。多分マーク・ペリントン辺りは、本作から多少影響を受けてるんじゃないですかね、7点献上。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2005-09-20 00:06:17) |
666. シンデレラマン
落ちぶれたロートル・ボクサーが番狂わせを起こし、大恐慌時代の生活苦に喘ぐ人々へ夢と勇気を与えたという実話を基にした人間版「シービスケット」。70年前の実話とは言え、どん底の生活をしていたボクサーが急遽、当て馬として試合に出され、そこでチャンスを掴み取るというのは、ほぼ「ロッキー」と同じ展開。従って、予定調和のサクセス・ストーリーでしかありませんが、じっくりと描かれる悲惨な大恐慌期の生活や試合シーンの迫力で、2時間半近くを一気に観せて貰えます。たまにはこういうストレートな映画も気持ち良いですし、生活苦の拡大する現在の日本にはぴったりだとも思います。余程「セカンド・チャンス」に賭けようという人が多かったのか、試写会場で珍しく拍手まで起きたのには少し驚きました、7点献上。 [試写会(字幕)] 7点(2005-09-09 00:09:59)(良:1票) |
667. 愛についてのキンゼイ・レポート
最近の伝記映画の中では最高に楽しめました。常識と戦うエキセントリックな人物の物語は、それだけで充分面白い。特に前半の、面接調査のリハーサルとして自分で作った設問に、キンゼイ博士自身が答えていくという自然な構成が秀逸。有名な「キンゼイ報告」についてはもちろん「熟知」してますけど、博士本人については全く知らなかったので非常に勉強になりました。この人は正に近代のガリレオ・ガリレイ。単なる迷信でしかない宗教的倫理観から「異端」扱いされる科学者というのは、「キンゼイ報告」から350年遡った「ガリレオ裁判」の時と全く同じ。生物の本質は「多様性」にあるという結論に辿り着いた動物学者は、ヒトの持つ多様性の素晴らしさも信じていました。それにしても良い奥さん見つけたよなぁ…、7点献上。 [映画館(字幕)] 7点(2005-09-09 00:09:25) |
668. フォーガットン
私「いや、俺は馬鹿馬鹿しい三流SFを観せられたんだ! どんでん返しも何も無い、時代錯誤的な設定を大真面目に描いた映画だった」 ゲイリー・シニーズ「そんな映画は存在しない。君が観たのは親子の絆を描いた、虚実の入り乱れた心理スリラーなんだ。余りにも衝撃的な内容だったから、君の脳が勝手に駄作の記憶を作り上げたに過ぎないんだ」 私「そ…そんな筈は無い。確かにジュリアン・ム…」 ズバコーン! 私「あ~れええぇぇ~~…」 謎の男「駄作ヲ誤魔化シテ傑作ニ見セル実験ハ中々成功シナイ。モウ少シ時間ヲク…」 ズバコーン! 謎の男「ア~レエエェェ~~…」 と、こんな映画。てか、この人達も誰彼構わずズバコーン出来るんなら、何でさっさとジュリアン・ムーアを捕まえないんだろ? 3点献上。 [映画館(字幕)] 3点(2005-09-09 00:08:53) |
669. ザ・インタープリター
国連本部内での初めてのロケや空撮を駆使した映像、主演二人の存在感等で重厚な映画にはなってますが、サスペンス色は薄い仕上がり。それは、物語が「暗殺計画」と「通訳の過去」に二分されてしまう為。これなら暗殺計画を偶然聞いてしまうシーンはカットして、最後までニコール・キッドマンの証言の真偽を伏せておいた方が良かった。それに、私には本作のキッドマンの人物設定が凄くご都合主義的に見えた。てか、そもそもこんな人間を国連が雇うか? 物語の背景となる国際政治情勢の描き方も中途半端なので、社会派作品としても今一な印象。それでも最後まで飽きさせずに観せる所が名匠の実力なんでしょうか。ところで、バスのシーンはロンドン同時爆破テロを思い出させて、少しゾッとしましたね、6点献上。 [映画館(字幕)] 6点(2005-09-09 00:08:21) |
670. ル・ブレ
そう、「TAXi」シリーズとほとんど同じ作りで同じノリ。これじゃフランス人も「同じ様な映画を大量生産する」と言って、アメリカ人のことを馬鹿に出来ないゾ。凸凹コンビが周りの物を破壊しながらエキゾチックな場所で珍道中を繰り広げるコメディってのは、それこそ30年以上昔のアメリカ映画的。しかし破壊は序盤で終了。後は砂漠の中で繰り広げられるのんびりとした追いかけっこと寒いギャグだけ。それに忍者のパルチザン(?)ってゆーセンスは、B級の帝王リュック・ベッソンと全く同じ。やっぱり笑いの要素として本作に最も欠けているものは「新鮮さ」ではないでしょうか、3点献上。 [地上波(字幕)] 3点(2005-09-09 00:07:55) |
671. NOVO/ノボ
「メメント」ではサイコ・スリラー、「50回目のファースト・キス」ではラヴ・コメディの題材となっていた「前向性健忘」をモチーフに、男女関係の新しい形を模索しようとしたフランス製のミステリアス・ラヴ・ストーリー。翌日には今日のことを忘れてしまう恋人ってのは、ある意味魅力的な存在。相手に過去の記憶が無い訳だから、自分が記憶となって相手をコントロールすることが可能だろうし、どんなに恥ずかしい行為をしたとしても翌日には綺麗さっぱり忘れてもくれる。しかし二人で歴史を作ったり、精神的に結びつくことは永遠に不可能。ここに重点を置いて、且つアナ・ムラグリスの方を主人公に据えて物語を組み立てれば、愛の欲求をテーマにしたもっと面白い作品になったと思う。ということで、神々しいミューズの裸体に4点献上。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2005-09-09 00:07:25) |
672. フェリックスとローラ
女性の抱く子供染みた憧れ(変身願望?)に振り回される男の姿を、何故か徹底してシリアスに描いたミステリアス・ラヴ・ストーリー。こんな馬鹿馬鹿しい話を大真面目に作る、パトリス・ルコントという人のセンスが時々良く解らなくなる。こんなの、どー考えたってコメディの題材ですよ(つーか、コメディにもならんか?)。で、散々引っ張っておきながらこれで終わり? 「そりゃ無いんじゃないの?」ってのが本作を観た多くの人の感想だと思う。それに、本作当時で30歳を迎えようというシャルロット・ゲンズブールに、私は余り魅力も感じないので、本当に見所が無かったです、3点献上。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2005-09-09 00:07:02) |
673. リプリー
《ネタバレ》 原作を知らないので判りませんが、犯行動機が「金持ちへの妬み」から「痴情のもつれ」に変わったことで、原作に近い物語になったのでしょうか。アンソニー・ミンゲラとしてはサスペンス映画にせず、リプリーの苦悩に重点を置いたお得意の文芸作品を目指し、また、アラン・ドロンを髣髴とさせる二枚目ジュード・ロウを殺され役に据えることで、「太陽がいっぱい」も葬りたかったのかもしれません。本作のリプリーは殺人隠匿の為だけに行動する。問題はラストの捉え方。私は、ピーターを殺したのは犯行がバレるのを恐れた為ではないと思う。彼はピーターに犯行を知られるのを恐れたのでしょう。と同時に、逃げ場の無い船上での殺人は、リプリーにとって自首にも等しい最後の凶行になった筈です、6点献上。 [DVD(字幕)] 6点(2005-09-09 00:06:32)(良:1票) |
674. 恋するシャンソン
台詞の合間に新旧織り交ぜた様々なヒットソングをオリジナルのまま挿入し、それを出演者が口パクで歌うという、一風変わった演出のミュージカル風恋愛群像劇。話自体は毒にも薬にもならない、本当に他愛の無いフランスらしい男女の痴話言。この映画で圧倒的に楽しいのは、会話の間に突然挿入される歌。ミュージカルの様に踊ったりせず、また、歌を聴かせる訳でもなく、単純に台詞代わりに歌が使われる。しかししかし、多くの日本人が私と同じだと思いますけど、使われる歌のほとんどに馴染みの無いことが致命的です。これで本作の楽しさは半減してしまう。これは過去数十年のオリコン・ヒットチャートから、新旧、そしてジャンルを織り交ぜて代表曲を選抜した日本版リメイクを切望します。そういうことで、5点献上。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2005-09-09 00:05:58) |
675. 太陽がいっぱい
日本でだけ突出した評価を受けてるってのは初めて知りましたけど、本作の評価をここまで高めた原因は、一にアラン・ドロンの魅力、二にニーノ・ロータの音楽(見直して気づいたんですけど、有名な旋律は余り流れないです)、そして三にラスト・シーンの鮮やかさだと思う。才能に恵まれつつも卑屈なチンピラをドロンは魅力的な主人公に仕立ててる(日本人は悪人や弱者に共感し易いですしね)。世界を手に入れた様なラストの笑顔は本当に眩しい。そして、店員に呼ばれたドロンが爽やかな笑顔のまま画面から消え、太陽の燦々と輝く美しい海辺の風景だけが残される。こういうラスト・カットは、最近はとんと見られなくなりました。これなら途中で少しくらい退屈しても、名作を観たという気分にさせられるってもんです、7点献上。 [映画館(字幕)] 7点(2005-09-09 00:05:35)(良:2票) |
676. ローレライ
アクション演出には格段の進歩が見られるものの、肝心要のCGのクォリティが非常に低い。これじゃ半世紀近く前の円谷特撮と大差ない。「パール・ハーバー」から数年経過して、その技術もだいぶ安価になった筈なのに、品質はまだまだハリウッドに及びませんね。ストーリーも舞台を太平洋戦争末期に設定しただけで、ちょっと前の戦争ロボット・アニメの焼き直しにしかなってないし、主要登場人物に演説染みた長台詞を喋らせたりするのにも脚本の稚拙さが見て取れる。あと個人的には、綾波レイそのままの萌え系キャラに志の低さが感じられて残念。…と、グチグチ文句を並べましたが、少なくとも「戦国自衛隊1549」や「パッチギ!」よりは楽しめました。私もこの手の娯楽映画はもっとあって良いと思いますよ、5点献上。 [DVD(字幕)] 5点(2005-09-03 00:09:10) |
677. いかレスラー
馬鹿映画ってゆーのは、製作サイドが本気で作るから面白いのであって、馬鹿が作るから馬鹿映画になるのではない。これは、どーしょーもないおふざけでしかない。イカやタコの着ぐるみに笑えるのは、その周りが不釣合いに本格的なればこそ。しかしここにあるのは、不細工な女のAV女優みたいな演技、素人の素人演技、テレビ・タレントの不真面目演技、そして低予算丸出しのチープな映像という、正に着ぐるみにマッチした世界。こんな中途半端なモノに比べれば「クレクレタコラ」の方がなんぼかマシですヨ。ま、それでも少しは笑かせて貰ったので、渋々+1点して2点献上。 [DVD(字幕)] 2点(2005-09-03 00:08:43)(良:1票) |
678. ほたるの星
《ネタバレ》 実話ということで余り文句も言えませんが、それにしても設定が古臭いなぁ。熱意溢れる新人教師、陰険な教頭とその取り巻き、大らかに見守る校長先生、心に傷を持つ少女、etc.…って、いくら実話でもここまで陳腐な話じゃなかっただろうし、脚本家も頭を使い無さ過ぎ。もっと護岸工事のエピソードに重点を置いて町全体の話に広げれば、もう少し良くなったと思う。ま、ハロー!プロジェクト売り出し戦略の一環でしかない、単なるイベント商品だから仕方ありませんか…。でも、ラストの役所広司の登場には意表を突かれて、少しグッときちゃったので、5点献上。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2005-09-03 00:08:18) |
679. アンテナ
演出的には全く異なるものの、雰囲気的には「コンセント」にそっくりな、家族の喪失と性倒錯をモチーフにした田口ランディ原作のサイコ・ミステリー。コンセントが女性器のメタファーだったのに対し、アンテナは男性器のメタファーなんだと思う。しかし本作では、男性器は活躍しませんでした。で、苦痛によって苦痛を和らげるというテーマは興味深かったんですけど、余り題材に馴染んでるとは言い難い地味な演出がネック。それに脚本も、もう少し整理した方が良い。物語上の弟の位置づけが良く解らないし、宇崎竜童の必要性も感じられない。このSMクィーン(小林明美という人は初めて見ましたけど、最初は綾瀬はるかだとばっかり思ってました…)は「コンセント」の主人公の成れの果て(?)なんですかね。ということで、4点献上。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2005-09-03 00:07:44) |
680. 忘れられぬ人々
この作品は老人映画であり、戦争映画であり、仁侠映画であり、今現在の社会問題を提起する社会派映画でもある。しかし、これらを巧みに融合させることには成功していません。だから私的には、中途半端なファンタジー映画という印象。大体、こんな荒唐無稽な話を、重々しく地味なシリアス・ドラマに仕立てようというセンスが理解できない。燻し銀の演技合戦や志は買いますが、この内容だったら戦争部分はすっぱりと削って、痛快なコンゲーム風に仕立てるか、任侠部分を削って告発系の社会派作品にした方が良かった。二兎を追う者は一兎をも得ずということで、5点献上。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2005-09-03 00:07:17) |