701. レニ
《ネタバレ》 レニ・リーフェンシュタール。 才能ある女性が、美を求めたら、こうまで突っ走るか・・ ただ彼女は、醜いものは避け続ける。 人間の醜い部分、特に突出しているのが戦争だ。 ヒトラーと同時代に生きた彼女は、技術と美学の創作本能にのみ、力を入れて、 ナチス宣伝映画「意志の勝利」、あるいはヒットラーご満悦五輪の記録映画「民族の祭典」を魅力的に創り上げてしまう。 結果、歴史の判定で、彼女は罵倒し続けられる。 その後、アフリカ、水中生物へと、美なるものを求めて、彼女はまい進する。 女性が力を持ってきた現代、美を追求させたら、女性の方がスゴイかも、などと考えてしまった。 ただ人間の闇を捉えることは、男性の方ができるかもしれない、などと・・ [DVD(字幕)] 7点(2023-06-20 01:42:27) |
702. 八日目
《ネタバレ》 八日目のタイトルの意味が大きい。そして、鑑賞後、疑問が湧いてくる。 6日目に創られた人間の男と女と子ども。 そして、それだけでは不足と、神が満足すべき存在として創られた障害者ジョルジュ。 しかし、ドラマは過酷な現実を前に彼の死を描く。 そこで、さぁ「我々」は生きていかなきゃと捉えるべき内容なのか? これは「現実」が壊れていると言っているのではないか? ジョルジュは、問題行動が多く、健常な女性には受け入れられない。 しかし、セールスマンの絶望的な孤独(これも現実社会がもたらしたものなのだが・・)の前に ジョルジュは神がかりな精神的ケアを男にほどこす。 「僕は皆と違う」と嘆くジョルジュに対し、男は言う。 「そう、君はすばらしい」 このセリフがあるから、救われた。 [DVD(字幕)] 7点(2023-06-17 21:23:47) |
703. 青春の門 自立篇(1982)
《ネタバレ》 信介と織江のコンビが、東京で色んな人間関係を見守る体の映画。 筑豊カップルは、揺るがない。 できれば、この後も、シリーズもので二人をずっと見続けていたかったが、 本作で終わりなのが、残念。 この映画が映画館で公開された後、小生、本作でもお馴染みのキャンパスに通ったが(但し夜間)、 「なんで早稲田に来たの?」という質問を多数投げつけられた。 「青春の門」をみて、やっと理由が分かった(笑)、 当時、このシリーズに感化されて、この大学に来たものが多かったのだ。 [DVD(邦画)] 7点(2023-06-03 23:07:36) |
704. 青春の門(1981)
《ネタバレ》 佐藤浩市、初お披露目! なんともフレッシュな記念作である。 小生も福岡ながら、この有名すぎる福岡作品をやっと初めて観た。 放映当時は、杉田かおるが脱いだと話題だったが、やっと鑑賞(泣) いや~色んな作品観てますけど、炭鉱で働いてる映像がある映画って この原作ものくらいじゃないですかね? 世界遺産の山本作兵衛の絵くらいでしか見たことないです。 地元のローカルのニュースで、炭鉱で働いてるニュース映像をたまに見るくらいです。 貴重なシーンですね。 次の自立編は、東京の大学、しかも早稲田に行く話らしいですね。 人生劇場もそうですが、何かと義侠モノと早稲田は相性がいいのですかね? [DVD(邦画)] 7点(2023-06-01 00:07:52) |
705. ザ・フォッグ(1980)
《ネタバレ》 今では、当たり前の演出でもある映画の中の夜の霧。 スピルバーグもよく使いますよね。 「レイダース」の冒頭や「E.T」がそうですね。 でも「未知との遭遇」で、宇宙船から下りてくる宇宙人の演出は、 本作よりも前です。 案外、カーペンターもこの演出、温めていて、スピルバーグがやっちゃったから、 もういっそ霧だけの映画を創ろうとしたのかも(笑) 発明気質のカーペンター、先を越されて、はがゆかったのかもしれません。 [DVD(字幕)] 7点(2023-05-30 22:46:14) |
706. 老人と海(1958)
《ネタバレ》 スペンサートレイシーが、見る角度によっては、 どこかロイシャイダー似である。 ロイシャイダーと言えば、あの「ジョーズ」である。 ニヤリとしてしまった。 [DVD(字幕)] 7点(2023-05-29 22:01:44) |
707. リコリス・ピザ
《ネタバレ》 アンダーソン監督は、映画通に評価高いんだけど、 なるほど、どの作品も面白い素材を扱ってるなぁって気はしてた。しかし、 どストレートの青春もので、この質の高さは、やはりこの監督、すごいと 思わざるをえない。 年上の女性との、ひと夏の思い出って内容は、アメリカ映画で、ニューシネマが流行ってた頃も、 スター俳優を起用した映画などで、70年ごろに結構、創られ続けていた。 例えば、「おもいでの夏」など。 ツルゲーネフの「初恋」みたく、苦い思い出になりがちな内容だったが、 この映画は違う。 年下のお坊ちゃんに幻滅はするものの、やはりラストは、ヤッターって感じだ。 いいね、この鑑賞後の気持ちのよさ。 [DVD(字幕)] 7点(2023-05-28 22:48:53) |
708. その手に触れるまで
《ネタバレ》 ダルデンヌ兄弟のヒューマンドラマ。 あまり馴染みがない宗教の話だが、本質はそこじゃない。 異教徒の恋人ができた恩師の女性への憎しみに、ちょうどこの宗教がはまったのである。 基本は、同じ地球人。 だが、この主人公の青年、異教徒の女性とキスした経験がなければ、どうなっていたか? 最後の最後まで、恩師に危害を加えようとするが、それも失敗。2階から落ちて、地上に叩きつけられる。 そして、恩師との対面。そこで青年は泣いて謝るのであるが、 その理由は、この邦題にある、という話。 [DVD(字幕)] 7点(2023-05-24 01:53:13) |
709. 騙し絵の牙
《ネタバレ》 やっぱ、騙し騙され、最後に笑うのは誰?って映画は、観るのがウキウキするね。 それを、悪人を裁かない吉田監督と大泉洋だから、なおさらテンションMAXです! 全員悪人、って前作の「羊の木」で撮ってらしたけど、 今回、全員クセモノの実社会(出版社)を舞台に、「アウトレイジ」みたいなテンポで二転三転と描いていく! 吉田監督は、本作のような娯楽作品も悪くないけど、今までの問題意識も忘れないでくださいね~ [DVD(邦画)] 7点(2023-05-20 14:33:49) |
710. 耳をすませば(2022)
《ネタバレ》 ハッピーエンド? いや、いい話ですよ。 でも、衰退していく日本から世界に発信していくって、あなた・・ これから、聖司君の日々を考えたら、二人は晴れて一緒になったものの、 聖司君は日本の交響楽団に履歴書を書く日々が待ってるわけで、 しかし、職は見つからず、働きながらチェロをして、生活者の音楽を目指すとか 言い出したりして、それじゃ「蜜蜂と遠雷」ですからぁ~ 挙句の果ては、地球屋を継いだりして・・ ちゃんと「愛」を奏でてくださいよ! そして、世界に打って出てくださいよ! 頼みますよ、もう! [DVD(邦画)] 7点(2023-05-05 23:47:58) |
711. PLAN 75
《ネタバレ》 全国の満男たちが、あ然とする映画。 あのラストじゃなきゃ、いたたまれない。 ラストの車の暴走は、若者たちの「僕らはどうすればいいんだぁぁぁ」という 叫びにも似たものを感じた。 それを抑えつける警官に、少し笑った。 [DVD(邦画)] 7点(2023-05-05 01:32:09) |
712. 眼には眼を
《ネタバレ》 大陸の人間は、発想のベースが違うよね。 昔、あまり有名じゃない映画なのだが、ロシアからインドまで歩いて渡った人間たちを 描いた映画を観たが、ありゃ嘘だな。 (※「ウェイバック~脱出6500キロ~」と言う映画です) この映画の方がリアルだよ~ 怖っ!人間も、地球も・・ [DVD(字幕)] 7点(2023-04-29 23:28:13) |
713. ビリー・ザ・キッド/21才の生涯
《ネタバレ》 製作者側と大ゲンカして、カットされた部分が修復された作品を鑑賞。 ラスト、ビリーを撃つギャレットが、自分が映ってる鏡も撃つシーンが削除されていたらしい。 本編は、そもそもビリーを追いかけるギャレットが、もともと無法者であり、 役人になってから、皮肉にも友だちのビリーを追いかけなければならないという話である。 であるから、ギャレットが本当に「自分」でいられるか、その辺がポイントであり、 ラスト、友だちのビリーを撃ち、鏡の自分も撃つというのは、とても大事なシーンなのである。 ビリーの仲間になる、ひ弱そうな若者が、ボブディランである。 劇中、彼の曲が西部の荒野にピッタシとマッチし、観てるものに、男の切なさを伝える いい効果を出してる。 西部劇には、何人かの実在の人物を採りあげる映画も多い。 ワイアットアープやビリーザキッドであり、その関連した映画も多い。 ビリーに関しては、近年、「ヤングガン」シリーズがそうであり、ギャレット役のジェームズコバーンも 出演している。 追う側と追われる側が友だちというのは、ラスト、ビリーが恋人と愛し終わるのを待って、 銃を撃つとこなどに、その何とも言えない情があり、哀しい。 [DVD(字幕)] 7点(2023-04-23 18:40:33) |
714. 城取り
《ネタバレ》 痛快娯楽時代劇決定版! 石原裕次郎の見せ場が多く、もうそれ一色ですね。 とにかく裕次郎が強い強い! 一人で大勢に向かって行って、勝つんだから、言うことないです。 ラストは時代劇の大物、近衛十四郎に、忍者みたいな勝ち方するし。 たった二人の侍が、城を落とすなんて、もう前代未聞なんですが、 冒頭はロードムービーみたいに、旅の途中で仲間をつくり、 金で町民を味方につけて、嘘みたい(いや、嘘のお話なんですが)に 城を攻め落としちゃう。 いやぁ裕次郎は、時代劇には向かないです。 だって、スター過ぎて、泥臭く死なせないでしょ、映画会社側が・・ 千秋実も強いんですね。 この二人、関ヶ原でも出会うんでしょうか?そっちが興味がある。 [DVD(邦画)] 7点(2023-04-15 19:28:51) |
715. 博士と狂人
《ネタバレ》 最初は、狂人の手伝いによる辞書の編纂で、 主人公の編纂者も狂人になっていくという話かと思った。 狂人の文章読むうちに、壊れていくというような・・ でも違った。テーマは「償い」だった。 ショーン・ペンって「デッドマンウォーキング」でもそうだけど、 一線超えてるけど、女性が心開く犯人を演じるんだよね~ 善人じゃないんだけど、何か子どもが微笑むような何かがある。 もうね、狂人を正そうとする医師側が「カッコーの巣の上で」の女医みたいに見えてくるんだよね。 そして、編纂者がこりゃ酷いって、ついには政治家を動かしてまで、それがしかもチャーチルだったりするわけで、 事実の映画化には、びっくりするような展開があるなぁと思いましたね~ [DVD(字幕)] 7点(2023-04-15 01:27:05) |
716. 線は、僕を描く
《ネタバレ》 主人公の成長と、芸がそれに伴い、向上する映画は多い。 特に近年、成長後の芸を、観客に披露する映画も増えてきた。 絵で言えば「酔画仙」「燃ゆる女の肖像」などなど・・ こういう映画は、その国の文化の成熟を感じる。 何と言っても、江口洋介の描くライブドローイングのシーンが圧巻。 見事です。 [DVD(邦画)] 7点(2023-04-09 19:28:28) |
717. 狼よ落日を斬れ
《ネタバレ》 物語は、池田屋から始まる。 立場の違う、めっぽう強い剣士が4人。 主役の杉、薩摩の半次郎、新選組の冲田、徳川の伊庭。 鳥羽伏見までの間で、4人は共に笑い、酒を飲む場面がある。 そこから、それぞれの人生である。 観客にしてみれば、波乱の時代の4人の宴が とても切ない。 三隈監督の遺作でもある。 本作は、時代的に「新選組始末記」の続きみたいである。 時代が変わり切ったところまで描かれた、時代劇の巨匠、三隈研次。 [DVD(邦画)] 7点(2023-03-21 00:49:31) |
718. オリ・マキの人生で最も幸せな日
《ネタバレ》 うふふ・・ タイトルが捻ってあることがラスト、分かる。 ま、いいか、って感じです。 白黒であることで、淡々とした話がじんわり残る。 こんな映画もあったなぁって感じ? [DVD(字幕)] 7点(2023-03-14 23:23:55) |
719. 椿姫(1937)
《ネタバレ》 グレタガルボが、とにかく美人。 映画が生まれて、すぐこんな女優が出てたことに驚き。 内容は、昭和の少女漫画のような話。 それを漫画のように鼻が高く、すっきりした美人が演じる。 何人の少女漫画家がこれに影響を受けたのだろう・・と思うくらい。 [DVD(字幕)] 7点(2023-03-09 07:44:04) |
720. ハロウィン(1978)
《ネタバレ》 祈りのない映画。 つまり、これほどニューシネマらしい映画はないくらいのラスト。 あのBGMが聞こえてくると、近くにブギーマンが!って感じで、非常に呪い度の強い映画。 映画とは落とし前の芸術だと思ってる僕には、非常に不安な気持ちが残ってしまい、 低評価を与えたいが、カーペンターの奇才ぶりのつまった内容から、やはり低評価は与えづらい。 とにかく尻軽カップルのイチャイチャなところは、小生もむかつく。 これが、イチャイチャ斬殺ホラーの始まりなのだろう。 カーペンターの発明したモノは、後世色々なところで応用されてる。 ダースベイダーばりの息づかい、夜の密室・女性一人で不審者に立ち向かう、などなど。 (しかし、あの白い覆面の下にちらりと見えるイケメンが不死身のブギーマンってとこが未消化なんだよなぁ) でも、今観ても新しい、カーペンターの鋭角なセンスには、ただただ舌を巻く。 前の方のレビュワーさんの、映画には必ずしも過剰なサービスは必要ないのでは、という意見に 我が意を得たり!です。 [ビデオ(字幕)] 7点(2023-03-04 22:16:37)(良:1票) |