741. 隣りの八重ちゃん
《ネタバレ》 隣り合う2軒の間のあれこれ、という内容しかないのに、何とそこに丁寧な描写があることか。「隣の家でご飯を食べさせてもらう」というそれだけのシークエンスが巻き起こすスリリングさ。一足の靴下をめぐる、コメディのようでコメディではないぎりぎりの可笑しさ。そこに岡田嘉子扮する姉が登場し、ステージは自然に一段上がっていく。ここでは、映画館や料亭でじわじわにじみ出てくる八重ちゃんのヤキモチ(もちろん「嫉妬」とは書きたくない)を堪能しましょう。着席位置だけで一瞬むっとする、そうそうこれなんですよ。そして川辺のシーン、迫り来る姉の情念をさらっと、しかしきっぱりと当然のように断る恵太郎君、余計なことをごちゃごちゃいわないからこそシーンとしての意味があります。野球の関係が微妙にしつこいのが難点ですが、その辺も含めて、今日の制作者もこれを見て参考にすべきほどの作品としての価値があります。 [DVD(邦画)] 6点(2024-01-22 00:11:32) |
742. アメイジング・グレイス/アレサ・フランクリン
1972年1月、アレサ・フランクリンがLAの教会で2日間にわたって行ったコンサートの映像化です。場所が教会なので、何と、アレサは説教台のような演台で歌っています。あと、バックのコーラス陣が終始座ったままというのも、あまり想像しない光景でした。ライブとしては、演者たちは終始心底楽しそうですし、また聴衆の側は、熱狂しているというよりも、まさに対象を崇め奉るように全身で聴き入っているという趣です。あと、よく考えるとアレサはMCなしで、喋っているのは常に進行担当のジェームズ・クリーブランド牧師です。これもあまり見ない形態かも。 [DVD(字幕)] 6点(2024-01-20 18:34:37) |
743. 新・喜びも悲しみも幾歳月
《ネタバレ》 紺野美沙子の出番が多い。大原麗子の出番も多い。そして2人の共演シーンもたくさん!私にとっては、これだけで低い点はつけられません。ただし、麗子さんの口うるさいシーンが多めなのはちょっと残念。●もっとも、キャスティング頼りというわけではなく、内容的にも、各地の灯台回りというコンセプトは露骨ながら、各地の展開がつながっていないようでつながっているという不思議な世界を構築している。●で、終盤までは上々だったのですが、広島の夕食会+宮島のシーン+五島のくだりというしっかりした着地をしていながら、その後の2幕がまったくの蛇足。というか、五島に居を定めるというのが感動ポイントだったはずなのに、さっさと東京に出てくるって、何よそれ。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2024-01-05 01:39:16) |
744. 天使の宿り木
「飾り窓」の娼婦がある日突然、見知らぬ女から、自分の息子を孤児院から引き取って連れてきてほしいという無理矢理な依頼を受ける、という出だし。しかもそれをつけ狙ってくるマフィア的存在も見え隠れします。そうするとこれは「グロリア」的世界かと思ってしまいますが、あそこまでサスペンス色はないですし、もちろんハードボイルドでもありません。むしろ、あまり物事を深く考えていない主人公と、割と冷静な突っ込みを入れてくる少年(むしろ青年に近いですが)の会話術が楽しいです(ところどころコメディチックですらあります)。ただその中でも、フランスなだけに(?)、少年と娼婦の禁断のラブストーリー風味もほんのりあったりはしますが、そんなに露骨ではないです。全体としては、どこか特定の場所に行こうとしているという体裁で実はどこに行っているのかよく分からないという描写も含めてファンタジックな雰囲気に覆われていますが、それもそれで味わいがあったりもします。 [DVD(字幕)] 6点(2024-01-02 23:47:32) |
745. ラスト・クリスマス(1980)
《ネタバレ》 生来の症状により、無菌室で育った(したがって人と握手することもできない)少年と、離婚状態のその両親のお話。筋立て自体はすごく感動的であり、また強烈で寓話的ですらあるラストも含めて、焦点も定まっています。その割にインパクトが薄いのは、特に前半の描写が今ひとつ平坦で、少年が平素有している危機感みたいなものが浮き彫りになっていないからでしょうね。また、脱出後にはむしろもう少し時間をとって、外に出てからの変化を表してほしいところでした(そうであるからこそのラストです)。ただし、普通は「昨年の」とかの意味になるのに実はそのまんまの意味だった、というこのタイトルはなかなかですし、懐かしさ満載の音楽もいい感じです。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2023-12-31 15:44:34) |
746. メイキング・オブ・モータウン
タイトルから推測できるとおり、モータウン全般というわけではなく、主として発足時に焦点を当てたドキュメンタリーです。よって、基本的には、最初に出てくる創始者のベリー・ゴーディとスモーキー・ロビンソンが喋りまくる内容です。ただし、スプリームスやスティーヴィー・ワンダーやジャクソン5など、有名どころの(特にデビュー前後の)あれこれはきちんと出てきますので、ただ2人が喋るだけというわけではないです。作り方としては、特に系統立てられているわけではなく、むしろ未整理にいろんな情報や映像が次々に提供されるという感もありますが、その後膨大な規模にまで発展したこのジャンルがどのようにスタートしたのかという歴史探究的観点からすれば、意義深いものがあります。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2023-12-21 00:55:14) |
747. ボンベイ
《ネタバレ》 若い男女が一目で恋に落ちるが、両家の宗教が異なっているため、両家の父親からは猛反対を食らう。おおこれはボリウッド版「ある愛の詩」か、どんな怒濤のラブロマンスが展開されるのか、と期待が高まります。しかしその辺は前半であっさりクリアされてしまい、子供まで順調にすくすく育っていきます。そして後半は一転し、動乱だのテロだのというのが前面に出てきます。これはこれで凝っていて力も入っているのですが、しかし、結局家族のドラマはどこかに行ってないか?という気になってしまいました。クライマックスのところは、結局、主人公家族の側から見れば、「行方不明になった子供と無事再会した」というだけですからね。途中でせっかくストーリーに合流した双方の両親も、一瞬で退場してしまうのがもったいない。双方の父親が、最初は憎しみ合っていたのが徐々に和解するプロセスとその先とか、そういう側面からむしろ描いてほしいところでした。中盤のこの辺のコメディチックなところはなかなか面白かっただけに。●とはいえ、実際の暴動事件からこの当時はまだ間がなかったわけで、むしろ制作者の真意はそっちの方だったんだろうなあ。 [DVD(字幕)] 6点(2023-12-20 00:39:14) |
748. 婚前特急
《ネタバレ》 やたら観念的で設定ありきな導入部では期待が下がったのですが、一番のダメ男の田無が前に出てきてからは、話がぐいぐい引っ張られる。チエが不自然に暴力的なところに目をつぶれば、この2人のやりとりは、コメディとして完成しています。一つ一つのやりとりもシーンの置き方も丁寧です。一方で、難点は、田無以外の男がほとんど機能しておらず、最初にもっともらしく言っていた5人の分析とかどうとかが意味をなしていないこと。それなら、最初から2人に絞った上で、スパイスで西尾を出してくるくらいの方がよかったのではないでしょうか。●ラストは今日の基準ではえらくあっさり切り上げ風味ですが、50年以上前の映画ではむしろこういうのが普通であり、この作品はその辺のクラシカルな作風を意識したのではないかと思います。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2023-12-08 01:09:09) |
749. 油断大敵(2003)
《ネタバレ》 刑事と泥棒の、立場が正反対であるがゆえの友情類似の感情(極端にいえば「ヒート」のような)に着目した発想は悪くない。これを発展させるならば、刑事が泥棒から何を学び取るか、はたまた刑事は(まっとうな取調では落ちることがない)泥棒を、どうやったら変えられるのか(このあたりは「羊」か?)といったあたりが縦軸になるが、ネタの仕込みはもっと欲しかったとは思うものの、その筋を尊重しようという気配は窺える。●一方で、夏川結衣のパートは短時間の割に出来が良すぎるため、かえって宙ぶらりんな結果となっている。あれなら、絶対に後半にも登場しないとおかしいよね。そのため、結局、娘との関わりと泥棒とが、終盤に進むほど、横軸として絡まなくなっている。ソーセージのくだりが強烈だっただけに。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2023-12-03 00:19:15)(良:1票) |
750. 可愛い悪魔(1982)<TVM>
《ネタバレ》 これは「火曜サスペンス劇場」なのですが、当時のテレビでは「月曜ワイド劇場」「水曜ドラマスペシャル」「木曜ゴールデンドラマ」「金曜ドラマスペシャル」そして「土曜ワイド劇場」と、連日連夜、単発の二時間ドラマが見られたのです。その中には優秀な作品も数多くありますが、ほとんどは本放送一発きりで後は再放送頼み、もちろんソフト化すらされておらず、今では見ることができません。今だったらウェブアーカイブとかもできるはずなので、何とかしてほしいなあ。●そんな中でこの作品ですが、きちんとDVDにもなっているのは、やはり大林監督だからかな。内容的にも、テレビの枠内とはいえ気合が入っています。というか、よくぞゴールデンタイムに堂々と放映できたというような内容です(オチも含めて)。導入部はほんのり「オーメン」ですが、むしろベースは「悪い種子」ですね。いくつか、思いっきり下敷にしている場面もあります。脚本は突っ込みどころはいろいろありますが、まあ許容範囲内でしょうか。ただ、主人公が反撃らしい反撃をせず、ひたすらやられっぱなしなので(それがラストにつながるともいえますが)、見ていてストレスはたまります。わざわざ最初に、主人公もかつては異能力者だったという設定をしているのですから、そこが後で何か出てくると思ったのですが(それともまさか、あれは本当に単なる事故だったってこと?)。●というわけで、高い点かといえばそうではないのですが、火曜サスペンス劇場というフォーマットを物的な形として後の世に残した功績は大なので、この点数。 [DVD(邦画)] 6点(2023-12-01 02:19:51) |
751. 永い言い訳
《ネタバレ》 初期設定に溺れない丁寧な描写。何より、2人の妻を事故後は回想シーンですら出さないという慎み深さが、不在による「喪失」を強く実感させ、かえってその存在を強める効果を発揮している。また、子役兄妹の演技力の高さも驚異的。主人公2人の方が、むしろ押されている。●で、そのような地道な積み重ねは優れていますし、ありがちハプニングなんかがないのも良いのですが、結局そこで終わってしまったような・・・。例えば、ティーラウンジでの津村とマネージャーの会話の切り返しなんかは、静かな緊迫感に溢れています。下書メール発見の一瞬がもたらすパンチも強力です。誕生会のじわじわした会話内容もスリリングです。しかし、それらの前後を通じて、登場人物が何も変わっていないのです。したがって、それらをどう「受けた」のかが分からないので、せっかくの誠実な作りも、もやもやを残す結果になっています。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2023-11-30 01:40:38) |
752. 西部無法伝
白人と黒人が組んで、奴隷として黒人を売っておきながら、後で黒人が脱走する詐欺、という驚くべきコメディ設定。邦題はえらく古めかしいのですが、71年にまで下ればこういうのもありだったわけです。中心の2人は、丁々発止のテンポの良いやりとりを繰り広げながら、時にはタランティーノばりのダラダラ無意味会話もあったりします(タラは絶対にこれ見てるだろう、などと想像したりもします)。そしてそこに、まるで峰不二子のような敵か味方か分からない女性キャラが絡んでくるという展開。また、サブで登場する黒人少女もいいアクセントになっています。全体としては、もうちょっと引っ張れそうなネタでもすぐ次に行ってしまってかなり目まぐるしい印象も与えるのですが、それでもぎりぎりのところで一本の筋が通っています。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2023-11-28 00:33:44) |
753. 顔(1999)
《ネタバレ》 最初の家にしても、ラブホテルにしても、スナックとその2階にしても、ごちゃごちゃした生活感が的確に表されている。また、プチ長回しの連打をはじめとするカメラワークの数々にも工夫が見えます(2階と路上で上下会話する藤山と大楠を離れて撮るショットの美しさ!)。●喫茶店の女性が何なのかが不思議だったのですが、そういうことだったんですね。●難点は、生活の中での主人公の「逃げてる感」があまり感じられず、むしろ堂々としているように見えていること。また、年月の経過が今ひとつ不明確なこと。●そしてそして、早乙女愛様登場には秘かに大期待していたのですが、1シーンだけ、ものの1分足らずでした・・・。しかし、きちんと全身ショットも入れてくれて、その麗しのお姿は画面に刻まれています。この時期はすでに引退寸前だったんですよね。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2023-10-11 00:50:03) |
754. イコライザー
《ネタバレ》 何と、デンゼルがセガールになるとは思いませんでした。どんな演技でもできるデンゼルに、まさかセガールばりの完全無敵無双主人公をやらせるなどということは、畏れ多くて誰も考えなかったのでしょう。その最強最大の実力は、カフェの「彼は戻ってこない」の1シーンに凝縮して集約されます。もっともらしく登場し、「俺なら見つけられる」と決め台詞を発しながら、僅か数秒で出番が終わってしまった彼に、慰め賞をあげたい。わざとらしい危機に陥るとかでなく、あくまでも敵の残虐さと冷酷さだけで危険を煽るという割り切り方。ただあの敵ボス、途中からは実力発揮の場面が全然なく、むしろサンドバッグ状態になってた気も・・・。●クロエが途中からも何か絡んでくるかと思いきや、解決まで登場なしというのも潔い。ただ、ラストシーンは蛇足ですね。あれなら、更生した彼女をデンゼルが陰から見つめる、とかの方がよほどいい。タンカー爆発も蛇足。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2023-10-10 02:23:12) |
755. 志乃ちゃんは自分の名前が言えない
《ネタバレ》 導入部でいきなり吃音をテーマとすることを宣言していながら、そこから逃げない。「歌がきっかけで声が出るようになる」とか、「特定の友人とはナチュラルに喋れる」とか、逆に「メモを駆使してコミュニケートに支障はなくなる」とかいうお決まりパターンもない。カメラは地道に2人(あとせいぜい1人)を追い続けるし、主演の2人の演技も、それにしっかり立ち向かっている。そこがいいです。ラストも、いきなり志乃がステージに上がってめでたくデュオ完成、なんてことにはもちろんなりません。●一番の欠点は、ギターの彼女の好みと実際の演奏音楽がまるで違っていること。あのrockin' on誌は90年代初頭くらいかと思いますが、それにのめり込んでいる高校生が、自分が生まれる前のフォーク、しかも音楽の教科書に載っているような優等生フォークって・・・音楽はこの作品の中心要素なんですから、ここはもっと慎重に選ぶべきでした。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2023-09-21 01:26:05)(良:2票) |
756. 探偵はBARにいる3
《ネタバレ》 前2作がほとんどコンセプト倒れのグダグダ作品だっただけに危惧していたのですが、今度は予想外に良い内容でした。単なる人探しという導入の依頼がいかにもこの作品世界に合っているし、その後も、各登場人物に、何というかB級のうらぶれた雰囲気が共通しているのが良い。北川景子も、いかにも幸薄そうな感じを適度に醸し出していて、過去作のヒロインよりもこの探偵にフィットしています。人探しのところを解決したら、今度はそのファム・ファタールが課題の本丸としてのしかかってくる、という語り口も上手くバランスがとれています。●作品としてのキズは、「出会っちゃった」のくだりを再三繰り返してしまっていること。それと、誕生日の云々をやたら台詞で説明していること(これまた回想付)。もっと見る側を信用しましょう。あと、ヒロインの病気設定はいらなかったんじゃない? [CS・衛星(邦画)] 6点(2023-09-12 00:29:08) |
757. 酔拳2
《ネタバレ》 半分ふざけて作ったような(そこが良かったとも言えるが)1作目と比べて、数段真剣でシャープになっている。ジャッキーのアクションの純度という点から見れば、数ある彼のキャリアの中でもトップクラスなのではないかと思う。その上で、序盤では次々に設定やキャラクターをぶち込んできますから、異様に濃い世界が形成されるわけです。ただそれを制作側が自分で処理できなくなったのか、終盤はそのほとんどが置き去りで、完全にアクション頼みになってしまいました。例えば、せっかく印章という重要ツールを持ってきたのだから、最後の決戦も、その取り合いをめぐって繰り広げられる、とかできなかったのかな。 [DVD(字幕)] 6点(2023-08-31 00:25:47) |
758. ミラクル・ニール!
《ネタバレ》 単純明快でかつ無理矢理な導入部を、自信満々に進める態度に好感。その後も、軸は「期せずして主人公に降ってきた万能力」というシチュエーションからずれません。笑いの部分は、ところどころ面白くもありつつ、もう一歩で広がらないまま最後まで行くのですが、余計な脇道に逸れずに進んでいくのが、60年くらい前のクラシック作品のようでいい感じです。ヒロインが初めて主人公に迫るときに、能力の源が一瞬途切れるのですが、特に伏線になっているわけでもないのにあえてそうしているところに、制作者のさりげない配慮を感じます。●難点は、ケイト・ベッキンセールのキャスティングかなあ。若い頃ならともかく、この時点での彼女は落ち着きと風格がありすぎて、ストーカー男やセクハラ上司にあれこれ振り回されるようには見えません。それと、騒ぎが済んだ後のレイのフォローも何か欲しかったかな。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2023-08-22 22:52:27) |
759. ゴーストライター
《ネタバレ》 中盤くらいまでは割といい感じなのです。落ち着いた進行の中にも適度にそれっぽい手がかりが撒かれていて、じわじわとスリルが増していきます。また、若すぎず老けすぎず、善人すぎず悪人すぎないというユアン・マクレガーのキャラクターも、作品に合っています。キム・キャトラル&オリヴィア・ウィリアムズの適度な自己主張ぶりも、スパイスとして効いています。●ただ、終幕に向けて、結局はありがちパターンに収まってしまったというか、広げた風呂敷を畳めなかったというか・・・ひねりたかったからひねった、というだけのオチになってしまいました。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2023-08-20 20:42:41) |
760. ロニートとエスティ 彼女たちの選択
《ネタバレ》 レイチェル・ワイズとレイチェル・マクアダムス!というキャスティングの時点で、すでにクオリティは保証されています。その彼女たちを信頼するかのごとく、まずは、かつての経緯が影響している話なのに、回想シーンなしという驚くべき構成。そして、当事者の抑圧感を具現化するかのような、感情が爆発しないじわっとした描写。むしろ、この二人には珍しい「メソメソ演技」とさえいえるかもしれません。で、その場にいるだけでも十分な画面構築力を有している二人なので、それを見ているだけで十分楽しめるのですが、ただやはり終幕部分は、観念的にまとめてしまったというか、無難な方に逃げた感があるかな・・・。 [DVD(字幕)] 6点(2023-08-16 02:06:01) |