761. ブリキの太鼓
《ネタバレ》 好きな作品。 オスカル少年の独特な語りが面白い。 この作品、冒頭でおばさんがジャガイモ?を、とてもおいしそうに食べているのが印象的だった。 そして、オスカルのお母さんが魚をまずそうに食べているんだけど、何故かおいしそうに感じた。 しかし、あの魚を獲るシーンの「牛」は気持ち悪すぎるでしょう。。。 僕は何度も再生してしまいましたよ。 シュールな作品だが、とても壮大な一つのドラマだと思う。 でも意味が分からない。 なぜ小人なの? なぜ太鼓なの?なぜガラスを割るの? なぜ成長しないの?不思議なことだらけ。 でも、とても素晴らしい。 [DVD(字幕)] 8点(2007-12-04 02:37:44) |
762. ウルフ
《ネタバレ》 ちょっと古く、良い時代を感じさせるサスペンスホラー。 地味ではあるが落ち着いた良質サスペンスな雰囲気が深まる秋の鑑賞にぴったりの作品だ。 コッポラ監督が映画界にひっそりと巻き起こしたゴシックリバイバルに便乗する形で作られた映画の一つかもしれない。 狼男という古典的ホラーな題材が、マンハッタンの摩天楼を舞台にして描かれる。 昔から人々に恐れられてきた狼の持つ幻想性がしっかりと描かれている。 舞台となる出版社の吹き抜けの雰囲気が良い。 夕陽に包まれる泉を前にして座る恋人のシーンのどことなくメランコリックな美しさは心に残る。 動物霊の博士の家のオカルト映画な雰囲気など、 (子どものころから何度か見てると)そういった細々とした場面場面が心に沁みついてしまってる。 自分にとってはちょっと愛着のある映画だ。 パーティーで発作を起こした中年よりちょい上の男(ニコルソン演)を介抱し、やがて彼を愛する美女。 美熟女とまではいかないが、婚期をちょい逃したであろう年齢の美女は、 誰もが美しいと思う彼女の外面とは逆に誰にも理解されない面があった。そこが何か彼女はセクシーだ。 しかし彼女にそんな趣味があったなんて・・・ちょっと引いてしまう。 仕事上での「やられたらやり返す、倍返しだ!」といったような、いい気味のするシーンなどもあったりで楽しかった。 男の戦いや略奪が描かれるがそれは一元的ではなく、仕事から女まで多岐にわたるところが本能的でいい。 全体的に地味ではあるが漆黒な闇の描かれ方は上品でいて幻想的、オーソドックスでも賢く丁寧に作られてるのかなと思う。 ロマンス映画らしく見当外れな外野をよそに永遠の愛と哀しみに暮れるヒロイン。 魔女のように妖艶な印象を帯びる彼女の心の中には漆黒の森が生い茂り狼が駆けていた。 怪奇幻想にどっぷりと浸れる名場面。 この地味といわれる作品を絶賛する人は少ないだろうが、自分は幻想映画の良作だと感じる。 [DVD(吹替)] 7点(2007-12-04 02:34:37) |
763. アルタード・ステーツ/未知への挑戦
《ネタバレ》 なんか思っていたよりも普通だったかも。 しかし、「トリップ」したときの映像がとても神秘的で良かったと思う。 顕微鏡で覗いたような「ミクロコスモス」のような模様が幻想的で綺麗だった。 羊の額に沢山の目がついていて、そのとき凄いインパクトがあってビックリした。 最後の場面が凄く怖かった。日常の風景から別の次元に迷い込んだようで凄かった。 なんだか急に覚醒したというか、次元が狂ったというか、異次元が垣間見えたというか、 全く別の世界が顔をのぞかせて侵食したというか、、、 なんといったらいいのでしょうか?とにかくあの場面はおかしかったです。 どこか「昔のアメリカのB級TVゲーム」みたいなグラフィックだったような、、、。 とても不安だった。 [DVD(字幕)] 7点(2007-12-04 02:32:09) |
764. 七人の侍
《ネタバレ》 5年くらい前、1回目に見たときは韓国版の激安輸入DVDだったからか、 劣悪な画質と異国語字幕のためかあまりいい印象ではなかった。 その上で少々背伸びをしたのであまりに酷い感想文になった。 それを少し改めたい。 まずこの映画は 農民たちの貧窮を見事に描いている。 ここまで絶望的に弱者を描ききった映画もなかなかないと思う。 戦のシーンは圧倒的だった。 この映画ほど臨場感のある戦のシーンは他に見ない。 ここまで徹底して戦を描いた映画は知らない。 たぶん映画におけるリアリティとはこういうことをいうんだろうと思った。 実は自分が1回目に見て一番印象に残っている場面は仲間集めの場面でも戦場面でもなかった。 最年少の勝四郎が森に入って行き、まるで少年のようにはしゃいでいる場面。 川のせせらぐ静かな森。 祠の辺に咲いている花を摘んだ後のことだ。 奇妙な音楽が流れだして花の咲き乱れる不思議な世界に迷い込む。 花の上に寝転んでボーっとしていると川のせせらぐ向こう側に 花を摘む不思議な服装をした若い女性が現れるという場面。 まるで桃源郷か竜宮城かわからないが不思議な世界。 この幻想的な場面が忘れられずにいた。 もうひとつ、菊千代 (三船)の演技は愉快であるが常軌を逸していて狂気ともいえる。 この七人の侍は正統派映画ど真ん中でありながら物語の中に神秘性や狂気を盛り込むことをも忘れていないところが個人的に素晴らしいと思う。 キャラクター性が素晴らしいのに”キャラクターもの”に成り下がらないのはそれだけ物語が強いからだろうか。 ちなみに自分はキャラクターの中では久蔵が好きだ。 [DVD(邦画)] 9点(2007-12-04 02:28:15) |
765. ヘルハウス
《ネタバレ》 怪奇映画が好きな人ならノックアウトしてしまう程の濃厚な怪奇幻想の雰囲気。 序盤の退廃的な風景は素晴らしい。 タナー嬢のゴスロリな美しさ、フィッシャーの精神的に憔悴した感じが見事。 演技を超えたキャラクターは本気度があり迫力が漲る。 この映画の霊現象もまた迫力が凄い。 そして重苦しい恐怖が暗い。 本物のオカルト映画という感じがする作品だ。 洋館の雰囲気はどのホラー映画よりも素晴らしい。 ベラスコの狂気の人間像がこの作品の中で生きている。 タナー嬢が中盤から終盤にかけて色気を増してくのがヤバい。 若くて美しいタナー嬢の霊媒体質が性的に利用されてゆく様が生々しく描かれている。 これはオカルトホラーとして非常にレベルが高い。 この作品は呪いのようなものが感じられて気が重くなる。 この作品の古臭さはカルトさと幻想的なムードを高くしているので本格ホラーの魅力だと感じる。 目新しいホラー演出が好みの人には全く向かない。 淡々としていて物語の運びが少々悪いのかもしれない。 ただそれは飾ることよりも描くことに専念しているからだと僕は感じた。 そのリアリティー重視なところが良い。 あまり納得がいかないのは、霊的な力を科学の力で打ち消してしまうということだ。 これだけ邪悪な霊力を見事に描いた作品が何故そんなガッカリな事をしてしまうのか。 最後は邪悪な霊力よりも人間の狂気にゾッとしてしまった。 [DVD(字幕)] 8点(2007-12-04 02:16:07) |
766. リリイ・シュシュのすべて
《ネタバレ》 繊細すぎる!観ていてとても痛いです。 高校のときを思い出します。できれば高校のころに観ていたかった作品。 校舎にピアノの伴奏が鳴り響くのもまたとても繊細な空気を感じる。 ピアノの繊細な音色がとても良い。時間の流れ、空気を感じる。素晴らしい演奏です! こういう作品って主人公がボコボコにされていると、 「本当に本気でやってるんじゃないの!?」とか思っちゃう。 うわっ、この作品、重い! 中学生っていうより高校生に見えます。 映像に惹き込まれる。だから僕まで痛いです。ヒドい。 もしかしたら、高校時代に「閉じていた人」ほど、この作品に惹き込まれるのかもしれません(ていうか僕が)。 不良役のリーダーの女の子が可愛いなあ! あと、この作品に出てくる女性たちが不思議とエロティックな雰囲気を放っている。 あと誰もがもつ(?)子供時代、学生時代の少年特有の同性愛的な雰囲気も感じた。 星野君は嫌いじゃない(そりゃアンタ、チケット捨てちゃった件はヒド過ぎよ!)。僕も高校の頃にあれだけキレていれば、人生が変わっていたのかもしれない。 高校生の頃に「エヴァンゲリオン」と、この作品を観れなかったのが僕の人生の失敗だ。 窓から暖かな日差しが差し込んでいて、それがとても奇麗で、懐かしさを感じさせる。 それが遠い学園生活を想わせる。 僕はこういう学園生活を見事に描いた作品が大好きだ。 最後のほうの、面談室で先生が「なんか悩み事ある?」って、 そりゃクラス内であんだけの事が起こっていれば何も無いワケないでしょう! 「インターネットの文章」みたいのがとても「現代的」で、現代人の心の闇や葛藤みたいなものが効果的にあらわれていたように思います。 「ウソっぽくない」作品です。 そんなはずは無いけど、「現実」より「リアル」!? まさか~、、、 [DVD(邦画)] 9点(2007-12-04 02:11:38)(笑:1票) |
767. 髪結いの亭主
《ネタバレ》 おじさんがとても面白かった。 ダンスしているときにとても良い動きをしていた。 お店の雰囲気が素晴らしい。 暖かくて静かで、時間が止まっているような感じ。 そこはまるで、周りとは切り離された別の空間。 柔らかな明かりを取り入れて、それがお店の様々な物に反射して、とても奇麗な色合いを出していると思いました。 コロンって飲んでも大丈夫なんだ。 最後がどうしても意味がわからないんだけど! でもお洒落な作品でした。 [DVD(字幕)] 8点(2007-12-04 02:07:41)(笑:1票) |
768. ミヨリの森(TVM)
《ネタバレ》 つまらなすぎです。倦怠感を覚えました。 「もののけ姫」などでは「森」の神秘的な雰囲気が出ていたと思いますが、 この作品の「森」や、そこに生きる妖精たちの「薄っぺらさ」がとてもダメです。 制作費が何億円かかったかもう一度言ってみよ! こういった「ポスト宮崎」作品を観るたびに、宮崎駿監督の偉大な才能を思い知らされる。 これぞ、現代アニメの「退廃」が見事にあらわれたものです。 [地上波(邦画)] 1点(2007-12-04 02:03:50) |
769. シャイニング(1980)
《ネタバレ》 始まりの場面からとても強いインパクトを受けた。 広大な大自然を美しい映像で見事に捉えている。 この大自然をスピード感のあるカメラワークで大地を滑るように写しているので、 観ている側が空を飛んでいるかのように気持ちいいのだ。 家族が車の中で「ドナー隊の遭難」の話しをしているが、 それがこの家族の「これからおかれる状況」を暗示している様に思う。 父親の孤独感、疎外感が描かれている。 憔悴し、疲れ果てた父親の表情がヤバい。 ウェンディーがすごいホラーっぽい顔立ちをしている。 ウェンディーが驚くのがとても上手。 「シャイニング」という作品には家族が描かれているんだと思う。 その家族のかかわりが面白いと思った。 そして父親には父親だけの世界があるんだと思った。 家庭的では無いというか、どこか非現実的な、自分のすがりたい世界が。 ハロランさんが食料庫の食材の説明をしている時、とても楽しそう。 ハロランさんの「アイス好き?」っていう表情が一番怖い。 双子の少女はすごい存在感。ただそこにいるだけで怖い。 バーテンのロイドは、照明のあたり方がとても不気味で、どこか陰になっている。 グレーディーにも同様のことが言える。 庭に巨大迷路があるが、それもまた現実世界から非現実の世界に迷い込むきっかけになっているように思う。 床のカーペットの装飾模様もどこか気持ち悪く生きているように見えてきてしまう。 トイレはどこか今までとは違う未来的な空間になっている。 これは父親が「家族側」から「ホテルの住人側」に移るきっかけになっているように思う。 (もしかしたらそれ以前のロイドのお酒を飲んだ時点で悪に身を売っていたのかもしれない。) 食料庫の、食品の缶詰や箱が大量に山積みにされていて、その様々な食品のパッケージ模様が独特の雰囲気をつくっていて面白かった。 だから僕が一番好きな場所は「食料庫」。 やはりキューブリックの映像の魔力はスゴい。 [DVD(字幕)] 10点(2007-12-04 01:56:46) |
770. エル・トポ
《ネタバレ》 このような異様な凄みのある作品はなかなか無いと思います。 神がかり的な映画だと思います。 物凄い異様さと迫力で迫ってきます。ヤバいです。 それから宗教的で瞑想的で、荘厳で神秘的な感じがします。 いろいろな教えと芸術があります。 しかし、とてもおぞましい人間の残酷な歴史や、人間という生き物の醜さを、縮図のような形で見たような気がしました。 それは日常的に隠れているものや隠されているものだと思います。 そういったものを見るとちょっと心が滅入ったりしますが、 血が騒いだり、なぜか心が落ち着いたりもします。 前半の寓意のようなところがとても面白くて好きです。 「音」がとてもヤバいです。 腐敗臭がしそうです。笛の音色はとても神秘的で美しいです。 聖書を読んでから見たらもっと面白いのでしょうけれど、自分にはそんな知識はありません。字を読むのは苦手です(長文コンプレックスはたぶんその為です)。 磔刑になるかのようなあの木の橋の上の場面では、ちょっと怖いです。 足元が凄く怖いですよ。命がけですよね? 大佐の最後が少しだけ可哀想でしたね。 この作品には「死」というものが色濃くあります。 そういうところがとてもいいです。 においが伝わってくるかのようです。 後半は、 姿の醜さと心の醜さを比較しているみたいです。 そして幸せとはなんなのでしょう? 何が救いなのでしょう? 村の地獄風景は、パゾリーニ監督の「ソドムの市」と比較した場合、どちらが上でしょう? どちらも本物の地獄に近い光景だと思ったので比較してみました。 銃撃アクション場面で、なぜか「逆ゾンビ映画」という謎の単語が浮かびました。 ひそかにRPGゲーム化を望んでいます。 しかしこの作品を超えるカルト映画には、未だに出会えていないと思います。 カルト映画というか、この映画がカルト教みたいです。 久々に見たら震えてしまいました。 (※このような映画のためにも、“カルト”といったジャンルが必要だと提案したいです!) [DVD(字幕)] 10点(2007-12-04 01:50:25) |
771. ネバーエンディング・ストーリー
《ネタバレ》 とても素晴らしい作品。 この作品には「夢」があります(え、ウソっぽい?いいじゃないですか)。 子供の頃見た時には永遠の広さを感じました。世界が広すぎて怖かったんです。 誰もいない校舎の雰囲気がとても怖かったです。 みんな算数のテストみたいなのをしていて、自分だけ違う状況にいるのがとても孤独に感じました。 そして、学校の倉庫がこれまた暗くて怪しくて、怖い反面とてもワクワクした記憶があります。 とにかく、あの学校の雰囲気がなんか変だったと思います。 ファンタージェンの妖精や怪物のユニークなデザインもシュールで奇妙な感じが強く印象に残りました。 ファルコンの顔は幼い僕には印象的過ぎました。 旅の途中で「大いなる謎の門(?)」があり、そこにある二つの対になるスフィンクスがとても巨大感があって、 これまた幼少の僕にはとても怖かったのを覚えています。 旅の途中でアトレイユがお弁当を食べようとした時に、 本を読んでいる少年バスチアンが「グッドアイディアだ!僕もお腹ペコペコだ」みたいなことを言いながら、 パンを食べるところが面白くて大好きです。 いつも「なんでやネン!」と、心の中で微笑みながら突っ込みを入れてしまいます。 (そして僕もいつか画面の前で『僕もお腹ペコペコだ!』と言いながらパンを食べてみたいです、、、 そうするとネバーエンディングになりそうじゃないですか?) アトレイユは、男の僕から見ても「絶世の美少年!」って感じで、なんかウットリしちゃいます。 彼はボロ布を纏っていて、胸がはだけているのってエロティックじゃないでしょうか? 彼はファンタジーの少年主人公の鏡です。 象牙の塔にいるお姫様はとても神秘的な美しさです。天使とか妖精とかそんな次元の美しさです。 まさにこれまたファンタジーのお姫様の鏡です。 昔の「SF」「ファンタジー」「ホラー」って、とても神秘的ですよね。 CGでは絶対に出せない感じがあるんです。CGで全てやってしまうと、簡単で嘘っぽくなってしまうと思います。 薄っぺらく狭くなるのです。 CGファンタジーなんてファ×クです。 この作品にはファンタジーの要素が沢山詰まっているように思います。 僕はこの作品をファンタジー映画の金字塔だと思っています。 [DVD(字幕)] 9点(2007-12-04 01:46:08)(良:1票) |
772. アリス(1988)
《ネタバレ》 シュヴァンクマイエルのアニメーション映画の最高傑作。 カルト性と芸術性が非常に高い。 アリスが最高に可愛い。 シュヴァンクマイエル独自のアリスワールドであるが、 この人はアイディアの鬼であろうか。 ただでさえシュールな原作をさらに不条理にし、見てる方は混乱させられる。 全く一筋縄ではいかない、常識を裏切られる面白さがある。 音の使い方が独特で、物の質感が伝わってくる。 童話の世界であるがとても気味が悪い。 幼い頃に絵本(ヨーロッパの古い童話など)に感じた怖さと近いものがある。 ウサギとかキ×ガイとしか思えない怖さだ。 [DVD(字幕)] 9点(2007-12-04 01:42:28) |
773. エコール
《ネタバレ》 とても神秘的です。夢、王国、楽園、天国といったような風景がそこにある。 その「現実」から隔離された「王国」で少女達が戯れる。 5つの寮に分かれているとか、外灯に沿って歩くとか、そういったシステムというか秩序みたいなものがとてもシュールで怖かった。 寮に番号をつけたり、少女たちが見えないものに管理されている感じが良い。 また少女達を管理している「黒幕」みたいな存在がどこにも見当たらないのが怖い。 柱時計などのオブジェもとても良い雰囲気を出している。 音楽も極力使わないで、鳥のさえずりや木々のざわめきが静寂的で耳に心地よく、神秘性を高めている。 どこかPCゲームの「ミスト」を連想させられる。 「ゴシックロリータ」っていう単語がありますよね。 「少女」と「棺桶」、この二つの相性はとても美しいと思う。 「少女」と「死」、この二つは美と酷の相反する物の対比で、それがとても美しい(エロティックな)のかもしれない。 でも少女ならアジア系よりもヨーロッパ系のほうが絶対に美しいのにね。。。 観ていてとても不安になる。とても神秘的な作品。 [DVD(字幕)] 9点(2007-12-04 01:25:42) |
774. エイリアン
《ネタバレ》 とてもいい! なんかもう、「エイリアン」という文字が浮かび上がってくるところからカッコいい。 並外れたセンスを感じる。 デザインが素晴らしい。 ギーガーのクリーチャーデザインはもちろんのこと、背景の宇宙船や装置がとても良い。 それが過剰じゃなくて、必要最低限の機能的なデザインだからリアルに感じる。 今観ると、「昔のSF映画」の良さがあると思う。 色彩は色鮮やかというよりも、むしろモノクロで、その色あせた感じが落ち着いていてカッコいいと思う。 宇宙の「黒」と、宇宙船の銀色がかった「白」とが対比されているように思えた。 エイリアンは生物的だけど、どこかメカニカルな感じがする(ロボットとは違う)。プラスチックとか、そういう無機質な感じがするけど、デザインが昆虫のように複雑な形態でグロテスク(生物的)だ。 なんだかエイリアンの赤ちゃんは「男性器」にしか見えない。 エイリアンは暗闇に隠れてあまり表に出てこないし、人が殺される(過剰な)描写もあまり出てこない。しかしそこがいい!あえて見せない。だから映像がうるさ過ぎないでリアルだ。 そして静寂的な怖さもあり、暗くて不気味な雰囲気もあり、全体的にクールだ。 また、この頃は「組織」の存在感も不気味だ。 そして独特のリアリティがある。 やはりシリーズ第一作目はリアリティを徹底している。 [DVD(字幕)] 9点(2007-12-04 01:18:27)(良:2票) |
775. ソドムの市(1975)
《ネタバレ》 「悪」に関心がある人にはこの作品の存在感に興味を示さずにいられませんね。 「悪魔のいけにえ」が「肉」映画なら、「ソドムの市」は「糞」映画(ちがいますか、、、)。 もちろん「糞」だけではなく、同性愛、暴力、支配、、、でも「糞」が強調されやすい。 「糞」ってとてもスキャンダラスでインパクトありますからね。 スカトロ嗜好者でもこの作品には顔を歪めるかもしれません。 おっさんが糞する場面で、そこで一瞬映像が途切れるのですが、それが映像的に面白い効果が出ていると思います。 しかし下品で最低なこの作品、やけに荘厳な雰囲気を感じる作品。 (宗教的行為を禁じているが)宗教的な厳粛さ、重苦しさが漂っているように思えました。 悪徳も極めるとそれが品格になるのかもしれませんね。 地獄に限りなく近い作品。 僕の趣味ではあまり「美少年美少女」って感じじゃないなあ、、、(話のなかでは少女なんだけど)これを子供でやってくれ(ウソです)。 この作品は僕の中の「悪欲」をくすぐる。僕の所有しているDVDの中では強烈な存在感を放ち過ぎている作品。 「わたしはこの映画に完全に恋をしている」 はい、僕もこの映画に「恋」をしていますよ。 「愛」してはいないけど。。。 [DVD(字幕)] 7点(2007-12-04 01:09:00) |
776. イレイザーヘッド
《ネタバレ》 非常に暗く生理的にグロテスクなカルト映画です。 精神的に暗いところを見事に形にしています。 まるで心の癌細胞です。 社会的に見てはいけないものがたくさん凝縮されてます。 その中で闇が圧倒的な力を持ってます。 閉鎖的で暗い世界観ですがそれがアートみたいに展開するので、 アンダーグラウンドなのに愉快なところもあります。 畸形児はグロテスクに生々しいですが、不思議と可愛くも見えます。 マジで生きてるみたいです。 この作品の音には迫ってくるような怖さと深さと迫力があります。 映像には質感があります。 この映画を観ていると工場の狭いところにいるか、地底の深いところにいる気持ちになります。 デイビッドリンチの「闇」の世界が最も濃く表れ、圧倒的な暗い世界が広がる素晴らしすぎる作品です。 [DVD(字幕)] 9点(2007-12-04 01:04:01) |
777. 死霊伝説
《ネタバレ》 「村」というものがよく描かれている。 平穏な村が徐々に崩壊してゆく描かれ方が素晴らしい。 村には狂気が根強く感じられる。 登場する人々の多くが心に闇を抱え、少し狂っている。 その狂った部分がこの村全体で渦巻いている。 警官が酔っ払い男を脅す場面は狂気がみえる。 ビール好きのデブ男が銃を構えたときの笑顔は狂気がみなぎる名場面。 ホラー映画でこの場面を超えるシーンはそうない。 この映画はオカルト映画としての演出が神がかってる。 観る度にその素晴らしさに気づいてゾクッとする。 この映画で闇はひっそりと忍び寄るがその力は強い。 「悪」が魔力を帯びたかのように根強くある。 窓から少年が泳ぐように進入してくる場面はこれまた非凡なものを感じる。 不思議な不気味さの漂う場面だ。昔の本物オカルト映画にしかない恐怖だ。 墓守の男の演技はユニークで面白い。 ヴァンパイアの手下の老人の内から発せられる迫力は凄い。 たぶんキューブリックの「ロリータ」で共依存にとらわれた男を演じた役者だ。 ドラキュラの館は荒涼としたところが幻想的だ。 トビーフーパーの手腕が「悪魔のいけにえ」の次に冴えている作品である。 「悪魔のいけにえ」のリアリティはこの作品にも少しだけ表れる。 土埃の感じが古臭くて良い。 このレトロでローカルな村の雰囲気が魅力的でならない。 平穏な村にも裏の顔が存在する。 これほど吸血鬼を実在するかのように描く作品は知らない。 吸血鬼が村や人に及ぼす影響力をここまで描いた作品を知らない。 [DVD(字幕)] 7点(2007-12-04 00:58:59)(良:1票) |
778. 悪魔のいけにえ2
この作品は何度も観ているが、とても好きな作品。 観れば観るほどに深くなっていく。 前作にあった「暗くて退廃的な雰囲気」を失った変わりに、 全編を通してこれまでかというほどのハイテンションだ。 それがなんだか普通じゃない感じ。 独特の開放感がハイになる、 どこか遊園地のように楽しい作品。 始めのレザーフェイスとのカーチェイスの場面は観ていて興奮する。 なんかみんながバカっぽくて楽しそうです。 ストレッチは可愛いが、叫び声が少々うるさい。 デニスホッパーってどこかおかしいですよね? その彼が演じる「レフティ」がヤバイい。 お店で「レフティ」がチェーソーの切れ味を(振り回して)テストしているとき、その後ろで店のオッチャンの笑い方がヤバくて、それが変な感じで面白い。 いや、オカしいでしょ!あの笑顔は。 LGがマイペースで良い感じ。 「ドレイトンさん」頭がおかしいですよね?だって笑いながら怒っているんだもん!絶対に変だよ。 大会に優勝したドレイトンさんは帰りのトラックで歌っているが、その時の彼は超うれしそう。イカレている。。。 ラジオ局もどこか独特の雰囲気があって好きです。 人肉工場の遊園地跡は、だだっ広いために「暗さ」がなくて、前作あったリアリティが感じられない。 ディズニーランドのアトラクションみたい。 ドロドロしたものなのに徹底した明るさで描いている。 (でも人の皮を剥ぐところは気持ち悪いよ) このシーンは皮をはがれた「LG」が、フックに掴まって立っているシーンが、 「ベルセルク」に影響を与えているように思う。 あと、家族の「おじいちゃん」の目がとても人間じゃない。 なんか普通じゃない感じ、フーパー作品は脳裏に焼きつく。 もしかしたら、1回観てダメだった方は、もしかしたら3回くらい観ていただくとメチャクチャ好きになるかもしれません。 [DVD(字幕)] 8点(2007-12-04 00:51:29)(良:1票) |
779. 遊星からの物体X
《ネタバレ》 面白かった! 始めのシリアスな音楽が良い。ノルウェーの人が手を滑らせて手榴弾を後ろに投げちゃうのもアホらしくて良い。 寒々しい南極っていうのがいいよね。(D2とかコードベロニカに影響を与えたんじゃないの?) クリーチャーデザインが素晴らしい!また、地面に四角い穴が開いていてそこから薄青い光が漏れていたり、グロテスクなだけではなくて神秘的な部分もあると思います。 モニターに細胞が生物に取り込まれるシーンがあるが、良くできたSFは、こういった機材もよく凝っていると思う。 良いSFは、その背景にある機械や道具、生活風景が見事にデザインされ、描かれている。 みんなが娯楽室でそれぞれの時間を過していて、それがとても楽しそう。 こういう映画って、日常から閉ざされた空間の中での人間関係や生活感が見事に描かれていて、それが徐々に崩壊していくのが良いと思う。 それぞれのキャラクターの個性や役割、存在感が見事に描かれているからおもしろい。 おデブちゃんが暴走した時は本気だった! おじちゃんが「大変お忙しいのはわかるが、、、、この椅子から立たせてくれ!」みたいにキレるのがとても洒落ていて面白い怒り方だと思う。 個人的に好きな人物が怪物に殺されてしまうが、僕は毎回その場面で「火炎放射器の火が早くつけよ!」 とか思ってしまう。 こういった作品は、必ず最後にすべてを爆破させますよね。 これは、メチャクチャに歪んで汚染された忌まわしい場所が、 最後に一瞬にして無に「浄化」されるのですからとても気持ちいですね。 リアリズムにこだわった雰囲気の良いSFホラーだと僕は思います。 〈「フーパー」と同じで「カーペンター」も、超傑作を一つ残したことで(たとえ残りの作品が駄作でも)この2人の監督はやけに存在感があると思います。(この2人は似ていると思いませんか?)僕はこの2人の監督が大好きです!〉 [DVD(字幕)] 9点(2007-11-20 02:11:51) |
780. 不思議惑星キン・ザ・ザ
《ネタバレ》 「2001年宇宙の旅」「惑星ソラリス」と並ぶ3大SF映画の一つはこれじゃないか? と思うくらいに素晴らしい世界です。 更には3大カルト映画に入れてもいいような感じがします。 学生のときに観たのですが、「エル・トポ」以来の衝撃でした。 このような独特の雰囲気を持った作品に出会えることはそうありません。 とても変な世界なんですが、それにしても見事な世界観です。 ダリの絵画のような、シュールレアリスム絵画の中にいるような感じです。 全体的にシュールで哀愁漂うデザインが素晴らしく、廃墟好き、異世界好き、変な物好きなら誰にでもオススメできる感じです。 どこか間の抜けた感じがまた素晴らしいです。 音がまた素晴らしいです。音楽の奇妙さもそうですが、 効果音の素晴らしさが、出来事の不思議さと異様さを見事に演出しています。 だから不思議な現象の連続なんです。この映画を見ることは不思議な体験です。 初めて見たときは「見ちゃいけないものを見てしまった!」って感じはかなりありました。 ホロリと来る感じも、最後にちょっと寂しくなる感じもあってなかなかです。 でも最後の方はなんとなく気持ちよくないです。 途中で映る冬景色が美しいです。 夜の真っ暗で空気の薄い無人の惑星での絶望感がとても伝わってきました。 地球みたいな星があって、あそこがなかなか綺麗でした。 そこにいた女性が超美人さんでした。 後半はいつも少しだけダレます。後半だけ見ればとても面白いので、それは自分の精神力が原因だと思うのですが、やっぱ工場の辺でちょっと休憩を入れちゃいますね。 こんな奇妙でブッ飛びきったSFはなかなか無いという意味で高得点です。 この映画が好き過ぎて、家の猫ちゃんに「クーちゃん」なんて名前をつけちゃいました。 [DVD(字幕)] 9点(2007-11-20 02:08:28) |