61. ダンテズ・ピーク
《ネタバレ》 パニックものとして楽しめるのだが、ツッコミどころ満載という作品です。私は火山の噴火を間近で感じたことはありますが、溶岩が流れるとか火砕流に襲われるといったものではなく、「ドーンっ!」という爆発音と火山灰が降ってくるのを経験しただけです。ですから、火山弾が飛んでくるような恐怖は未経験で、リアリティはわからないのだけれど、映画の描写にはハラハラドキドキでした。 さて突っ込んでおこう(笑)。 (1) 火砕流が発生するような火山ではサラサラの溶岩が流れるような噴火は起こらないらしい。どっちかひとつ。 (2) 溶岩流を車で横断するシーンがあるが、どう考えてもあれは無理でしょ。ゴムタイヤはすぐにとけてしまうし、エンジン関係の配線だって溶けてしまう。車ごと溶けて流れて終わりだよね。 (3) 酸性になった湖はありうるのだが、ボートで走っている間に溶けるような強烈な酸性になるとは思えず、ちょっと速すぎ。 とこれくらいのことは素人でも思いつくのですが、専門家が分析してましたね。 http://www.geo.chs.nihon-u.ac.jp/tchiba/dantej.html さてさて、ツッコミどころはいろいろありますが、映画としては楽しめたのでオッケーです。発信器の伏線もニヤっとしたしね。 [地上波(吹替)] 7点(2005-05-10 23:06:41) |
62. デッドマン・ウォーキング
演技派ふたりががっぷり四つに組んだ作品なんだけれど、題材がどうにも受け付けられない。私は死刑賛成論者だ。しかしながら死刑廃止を納得できるほどの論拠は受けとめられなかった。受刑者の育った環境であるとか、社会的立場であるとか、罪のない家族への社会的制裁とか、いろいろと挙げられる材料はあるが、それらがあったからといって、罪のない人を殺してしまったことが許される理由にはならない。被害者の家族を訪れるスーザン・サランドンの論理がどうしても納得できない。彼女の言い分には腹立たしささえおぼえる。キリスト教的な贖罪の意識はなじめないのが大きいのだろう。その彼女を受け入れるデラクロア氏の立場が私にはいちばん共感できるような気がする。 [ビデオ(字幕)] 6点(2005-05-10 22:53:03) |
63. ホーンティング
前提はおもしろそうだったが、なんかガッカリ。「なぜ?」という疑問が大量に残っただけのエンディングには拍子抜けしてしまった。ただひとつの収穫は、ブルース・ダーンくらいかな。「サイレントランニング」での青年があんなに老けちゃっていてビックリ!(笑) 時の流れを感じるね。それと、屋敷内の植物園のような場所が、あの宇宙船のプラントとダブって見えたのだけれど、それって彼のイメージに引きずられすぎたせいかな?(笑) [地上波(吹替)] 5点(2005-05-10 22:36:31) |
64. フラッド
なんとなく「ポセイドン・アドベンチャー2」を連想させられる。こういう大自然パニックものは、皆さんご存じの通り、さりげない日常が描かれて、じょじょにそれがおかしくなっていくのが常道であるが、本作はいきなり水浸しで始まる。それがダラダラとした印象を与え緊張感の”き”の字も出て来ない原因だろうか。思わせぶりなダムがあるにも関わらず、それが微塵も見せ場を作らないのがなんとも消化不良である。「ナバロンの嵐」くらい派手に吹っ飛ばして欲しかったものだ。 [地上波(吹替)] 6点(2005-05-10 22:32:19) |
65. スティグマータ/聖痕
《ネタバレ》 ひとことで言えば竜頭蛇尾ですねえ。前提がおもしろかっただけに、あんな結論で残念です。映画の後半で彼女は単なるメッセンジャーだったと明らかになりますが、それにしても(←口癖(笑))、「なぜ彼女が選ばれたの?」という疑問が大きくありますし、アラム文字やバチカンの陰謀を持ち出したりまでして、結局たいしたことは主張していないし、エクソシストまがいの殺人行為まで出てきたのには苦笑してしまいました。 教会がたくさんのことを隠していたり、信仰の対象がキリストの教えではなく教会そのものに成り下がっているという主張は、本作以外でもあちこちで言われていることですし、その点だけを取って目新しいことではないですしね。 とにかく前提が興味深いものだっただけに、もっと科学的な分析や、別の結論が出てきたら納得できたかもしれません。 ただひとつ興味深かった点は、本作のガブリエル・バーンもロバート・デニーロと同じような路線を行くのかなあと予感させるところですね(笑)。どちらも悪魔と神父を演じ、時代物に出ているしね。これからの彼はコメディ路線か?(笑) 6点(2005-01-09 18:00:25) |
66. チキンラン
《ネタバレ》 まずまず楽しめました。前提として「大脱走」と「飛べ!フェニックス」を観ておくと、よりいっそう楽しめます。ロッキーとファウラーの役どころには”フェニックス”のモチーフがとても大きく影響してますし、最後の脱出なんかは、もろにそうだしね。”大脱走”のマックイーンの役を、ジンジャーとロッキーがそれぞれに分けてしまったのはちょっと残念だけれど、”クーラー”の中でひとりキャッチボールをするシーンとか、自転車で鉄条網をジャンプするシーンは、ニヤリとしてしまいました。そういえば、”大脱走”のブロンソンの役もジンジャーとロッキーが分けていたねえ。トンネル掘りするシーンと暗闇を怖がるシーンで(笑)。 7点(2005-01-09 17:42:06) |
67. スポット
《ネタバレ》 楽しかった! 「いったいFBIの捜査犬と郵便配達人がどこでどう出会うんだろう?」って、ずっと思いながら観てました。ストーリー的には先が読めてしまうような展開なんですが、こういうライト・コメディは好きですねえ。やっぱり登場する犬たちの演技を観ているだけで楽しめます。凄いよね、あの背中に食い付いて離れないジャックラッセルテリアなんか!(笑) いちばん笑えたのは、”11号”が幼犬時代を想い出すシーンです。マイケル・クラーク・ダンカンの妙なズラに爆笑してしまいました。犬のしつけって、あんなに強烈にインプットされるのかな?(笑) ところで、ファンキーな強面の殺し屋コンビを演じている、我らがジョー・ヴィッテレリは2004年1月にお亡くなりになっていたそうで、残念ですね。遺作は「アナライズ・ユー」になるのかな? ラストシーンでの華麗な(笑)ステップが見納めになったのか……。どうかご冥福を。 8点(2004-12-31 20:56:37)(良:1票) |
68. 点子ちゃんとアントン
金持ち、非金持ちに限らず、母親が家にいなくて寂しい思いをしている子供というのはたくさんいると思います。私がそうでした(笑)。ほんわかした雰囲気とか、登場人物のほとんどが好い人だという設定は、観ていて癒されます。ドイツ映画という雰囲気がしなかったのが不思議です。なんとなくイタリア映画かフランス映画という感じがしませんか? アントンのお母さんが好いですね。病気をおして、サッと着替えてフープで踊る姿とか、影絵で即興劇をするシーンとか、とても素敵でした。ああいうお母さんは好いですね。男の子の憧れです(笑)。点子ちゃんが駅でパフォーマンスをするシーンとか、家庭教師と家政婦が懐中電灯を使ってショーをするシーンとか、ひとつひとつの小根多が魅力的に思えました。期待しないで観たから、儲けものって感じです。 8点(2004-12-31 11:59:08) |
69. トランスポーター
《ネタバレ》 「つかみはオッケー!」だったんだけどねえ……。BMWが爆発しちゃったあとからつまらないものになってしまいました。細かいツッコミどころはいっぱいあるしね。そもそもキャスター付きのイスに縛り付けられた彼女が、どうやって車に乗り込んだの? そこからしてありえねー!(笑) また、パラシュートで降りるシーンだって、彼女が乗っている車がクラッシュする可能性があるのにそのまま捨てちゃうしね。どうもその辺の計算がずさんな設定でダメです。また、BGMがかったるくってまったく画面に合ってない。映像の迫力はあっても、アクションの切れはあっても、あの音楽が雰囲気をぶち壊してます。(「TAXi」+「スズメバチ」)/2 って感じの映画ですね。どうせなら、”BMW版のTAXi” にでもして欲しかったね。そう思いません? 5点(2004-12-29 18:29:01) |
70. マイ・ボディガード(2004)
《ネタバレ》 なかなか好かったです。なんとなく「レオン」を彷彿とさせるのは、子役と無骨な男という組み合わせからかな。いきなり出てきたクリストファー・ウォーケンが、あんなに老けて太ってしまったのはビックリだし、ミッキー・”猫パンチ”・ロークの醜悪なデブ姿(耳毛の演出つき(苦笑))には嫌悪感すら抱くのですが、ダコタ・ファニングの魅力の虜になってしまいました。上手いよなあ。クルクル回るお目目に魅了されました。それだけに、誘拐以降のデンゼルの復讐劇が、テレビの「必殺仕事人」か、あるいは、今は亡きブロンソンの「デスウィッシュ」シリーズをを観ているようで、思わずニヤニヤしてしまいました。ジャンカルロ・ジャンニーニがスケベオヤジを好演していたのも好かったけれど、お相手の女性新聞記者、「コン・エアー」の女性警官だったんだね。それにしても(←口癖(笑))、メキシコ・シティーって実際にもそんなに誘拐やら物騒なところなんだね。こういう話を観ると、日本はつくづく安全なんだなと実感できます。 ところで、ラストでデンゼルは(レオンのように)自爆すると思っていたんだけれど、「なんでそれは思いとどまったんだろうか?」というところがひとつスッキリしない感じです。ハリウッド的にはあそこまで殺人をしてしまった人間は、自分の命であがなうのが王道でしょうから、車に乗ってバーンかと思っていたんだけれどね。これって、アメリカ映画に毒されてます?(笑) 8点(2004-12-24 18:53:29) |
71. ジョニー・イングリッシュ
《ネタバレ》 期待してなかったから、まずまずおもしろかったですね。回転寿司のシーンでプラス1点です(笑)。あの台詞、たとえ日本向けだとしても大ウケしました。イタリア語を意識しているんだろうか?(笑) 次に何が起こるか、たいていの場面では予想できるのですがあのシーンだけは予想もつかなかったので、まさに「やられた!」という感じです。2004年12月にローワン・アトキンソン氏がイギリス下院で「特定宗教への批判を禁止する法案」に反対する演説をした背景には、本作のようなアイロニーがあるんでしょうね。カンタベリー大司教をいじくって笑いをとろうとするんだからね。ま、あれが高尚な表現の自由と言えるかどうかは疑問だけれどね(苦笑)。それにしても(←口癖(笑))、マルコヴィッチのフランス語訛の英語は雰囲気もあっておもしろかったし、戴冠式のシーンは身長もあるから格好良く見えたね。悪役としてはたいしたことを狙っていないのが拍子抜けだけれどねえ。ところで、あんなアストンマーチンなら乗ってみたいなと思いました。で、実際に彼があんなスピンターンをやったの? 8点(2004-12-18 16:51:17) |
72. 悪霊喰
《ネタバレ》 営業の方、「原罪喰」にしてください。ある程度キリスト教の原罪の意味がわからないと理解は難しくなるかもしれませんね。相変わらず「ロック・ユー!」のお姫様は魅力がないのは大きな問題ですが、”罪喰い”のピーター・ウェラーは好かったです(なんとなくゲイリー・オールドマンを彷彿とさせる)。いちばん注目したシーンは、サンピエトロ寺院の建築現場。手動式のクレーンを使って石を運び上げている作業があったのだけれど、あれは中世の建築物を造るときには、まさしくあの形で作っていたそうで、その現場を目の当たりにできたのは嬉しかったです(笑)。ただ、あの現場の撮影にお金を使いすぎたのかどうかわからないけれど、他の場面の描写が物足りなく感じられたのは残念でした。 6点(2004-12-15 23:01:55) |
73. アンダーワールド(2003)
《ネタバレ》 オオカミとしては観ないわけにはいかないでしょう(笑)。主役のケイトは、ハードなアクションをほとんど自分でこなしたそうで、銃撃戦の時に目を閉じなかったというのが評価高いですよね(笑)。ヴァンパイアという設定だから、なんかダークな雰囲気が好かったです。肝心のライカンですが、なんか雰囲気は今ひとつでしたねえ。あれじゃ、オオカミというよりは熊って感じです。ラストの対決シーンでヴァンパイアとライカンの混血がどうなるのか期待していたのですが、あんな様でかなりガッカリしました。あれさえ出さなければ好い線行っていたのにねえ。とくにライカンのリーダーのかつての経験として扱われた奴隷の話など、おもしろい設定だったのにね。とにかくラストにあのミックス野郎を出したのが失敗ですね。残念! 6点(2004-12-15 22:37:06) |
74. ビーン
Mr Beenの真骨頂は、観ているものをイライラさせ、その上でクスリと笑わせることだと思ってます。大人の人間ではなく、大きくなった子供が騒ぎを起こすことが本質だと思うから。ただ、その背景にはイギリス的なブラックユーモアの精神があるわけで、アメリカ映画として作られてしまった本作の背景には、あまりそれが感じられません。コメディの手法がアメリカナイズされてしまっているからでしょうね。それから皆さんお書きのように彼はしゃべらない方が好いんです。説明的な台詞はアメリカ映画にはアリだとしてもMr Beenには必要ないんです。わかりやすくしようとしたのだろうけれど、「よけいなお節介」ということでしょう。英米のカルチャーギャップにしても最後の「中指」くらいしか感じられないしね。ただ、不覚にも絵画の除幕式での演説にはある意味感動してしまったので(笑)、この点数を献上します。宗教規制法への挑戦も頑張って欲しいしね(笑)。 2004年12月10日21時23分JST追記: そっか、「どこか別の場所からアメリカ人の家庭にやってきて、その家の子と仲良くなったストレンジャーがさまざまな事件を巻き起こし、その家庭をめちゃくちゃにして嫌われ者になるのだが、やがて家族ともうち解け、感動のハッピーエンドを迎える」っていうのは、典型的なアメリカのファミリー・ムービーだったね(苦笑)。なんか、Mr. Beenが「ハリーとヘンダーソン一家」とか(犬の)「ベートーベン」とかに見えてきた気がする(笑)。それじゃあ、イギリスのテレビ版とはまるで正反対だよね。 7点(2004-12-10 21:06:12) |
75. ロボコップ3
なんか評価低いですが、私はけっこう本作好きですよ。展開が読めるし、典型的なヒーローものの作り方だし、クライマックスへ向けての盛り上がりの高揚感もあるし、ところどころでの台詞にもニヤリとさせられるし。まあ安心して観ていられるってところでしょう。ただ、特撮がちゃちに見えてしまうのは10年ちょっと前と今とで技術の差ができたってことなんでしょうね。そこは物足りないけれど、この手の作品はストーリーの出来次第でどうにでもなるから、そういう意味では私はまずまずだと思っています。日本企業を悪者にして忍者を登場させればアメリカ人は喜ぶんだろうかね?(苦笑) マコさんは相変わらず好いですね。個人的には悪役よりも変わったオヤジの役の方が好きですけどね(「コナン」とか)。ところで、あの装甲車はドラグーンの改造版だろうか? 7点(2004-12-09 22:59:16) |
76. イノセンス
前作との因果関係云々言われているようだが、私の場合何も知らずに本作だけを観ている。それでも独立した作品として楽しめたと思う。とにかくメカにしろ背景にしろすべてに緻密な描写が素晴らしい。DVDで観たのだが、アニメ作品で「劇場で観た方が絵の迫力も音の好さもマシだったろうな」と思えるのは久しぶりな気がする。 後半のキムの館でのくり返しシーン。あれは、「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」(1984)の夢邪鬼とあたるのやりとりを想い出すね。そういう意味では20年経っても進歩がないとも言えるし(笑)、逆にそれだけこの手法が好きなのだとも言える。この辺を意識した人はどれだけいるだろうか? 山ちゃんと大塚さんという「心地好い声」の声優がメインをはっているのも嬉しいことだ。この二人の会話にさまざまな引用を絡めて、斜に構えた人間関係が築かれていく過程は、ニヤニヤしてしまう。孔子や世阿弥を理解できなくても雰囲気が楽しめるだけで充分だろう。それはとりもなおさず、最初の頃に大木さん(これも心地好い声)が言う「シーザー云々」の台詞がそれを暗示している。別に理解できなくたってかまわないのだろう。 と言いつつ7点なのは、やはり1度で理解できなかったというのが大きい。2回観たがまだスッキリしない。もう1度は観ないといけないなとは思っている。それくらい、「何度も観ないといかんな」と思わせる作品だ。つまらなければ2度と観ない。その結果点数は変わる可能性がある。今回はとりあえず(←口癖(笑))こういうことで。 (2004年12月9日11時23分追記) エンディングで流れる"Follow Me"って、私にとっては「アランフェス協奏曲」の一部にしか感じないから、よけいな歌詞つけて歌うなよって印象です。ギターソロの方が好いね。 7点(2004-12-09 10:05:52)(良:1票) |
77. ミスティック・リバー
《ネタバレ》 ラストのパレードの前に、ローラ・リニーがショーン・ペンに言い聞かせるシーンを観て、「お、マクベス夫人かよ」と思っていたら、DVDの解説バージョンにはしっかり出てきてたね(笑)。全体の流れはそういう映画です。 いつもは典型的な悪役であるケビン・ベーコンが、今回は抑えめの演技でしたが、それでも”何か”を期待してしまう私がいます(悪い癖だね(笑))。ま、これもラストのパレードで銃を撃つ真似をしますが、あれは”仕送りをする彼”に対する挑戦状だろうと私は受け取りました。ティム・ロビンスは老けちゃったねえ。それとも役の上だけ? デカイ身体なのに、おどおどして嘘ばかりつくのは、そういう違和感を感じさせる演出だったのかな。テレビでドラキュラを観ているシーンの演技はなかなか好かったですね。そして、解説版でも絶賛されているマーシャ・ゲイ・ハーデンの演技! ひとめ見て、何を考えているのかが伝わってくるように魅せるのは凄いね。そういう細かい役者の演技は引き立っているのだけれど、全体的なストーリーの緩慢さがあるため、サスペンスとしての盛り上げは後半の「ふたつの緊迫」が交錯するオーバーラップシーンくらいでしか感じられず残念です。 撮り直しをしないというイーストウッドのこだわりが生んだ迷シーンがひとつあります。例によって車のウィンドウに人影が映ってしまった奴ね(笑)。後半をよくさがしてください。 それにしても(←口癖(笑))、イーライ・ウォラックにはビックリだった! 「荒野の七人」のあのカルベラですぜ、旦那ぁ(笑)。あの脂ぎった盗賊の首領があんな酒場のジジイになっていたとは(笑)。どうせなら、銃を一発撃つシーンを観たかったですね。 7点(2004-12-03 18:25:22) |
78. ハウルの動く城
《ネタバレ》 冒頭の街中、ソフィーが路面電車に乗る場面で、手すりの錆びた感じがとてもリアルに描写されています。同じようなリアルさは、背景やハウルの城の中でも数多く見受けられ、細部に配慮が行き届いた絵作りだなと思わせてくれます。そしてハウルの登場シーン。カッコつけ野郎の面目躍如といったところで、ソフィーの右肩に手を置くところがしっかりと描写されるところは、「ああやって私も素敵な女性をさらってみたい」と思わせます(笑)。時代は、風俗を見る限りでは18世紀のヨーロッパという感じですが、戦争の道具は、空を飛ぶ要塞にしても軍艦にしても19世紀末以降のものに見えてしまうので、その辺に違和感はあります。そして、最大の疑問点は「この戦争はなぜ始まったの?」ということです。人間の欲望が原因だとは思うけれど、具体的な理由が見当たらず、偶発的なことだけであそこまで拡大するのは「映画的」には納得ができないところです(笑)。なにか動機説明が欲しかったね。 わき役達の個性が楽しませてくれます。個人的にいちばんのお気に入りは「カブ」です。無表情のまま何かを感じさせるのは難しいことですし、それがとくに2次元の絵ですから、台詞もなしにあれだけの間をひっぱるのは凄いと思います。 それにしても(←口癖(笑))主役級の「女性」3人が皆リアルでは60歳以上な点は、非常に意図的ですね。映画のパンフもその辺を意識した感じになっているしね。ただ、美輪さんは、もっと何かをやるのかと思っていたのにあっけなかったのが物足りなかったし、加藤さんは、善人のイメージが強すぎて、ヒールのイメージが出てこなかったのは残念です。倍賞さんは、年齢の幅の広い役をひとりでこなしたわけだけれど、これはまずまず好かったですね。でも、エンドクレジットにかかるあたりでの歌は、他の人で聴きたかった(笑)。それと、最大の疑問は、外見が90歳に変えられたからといって、中身は18歳なのだから、考え方まで年寄りになるはずもないってことです。だから「歳をとるとどうのこうの」というソフィーの台詞が出て老けバージョンになるたびに、違和感がありました。 最後に、主人公のソフィーは「ナウシカ」を意識させるし、ハウルは「もののけ姫」のアシタカを連想させるし、花火のシーンは「ファンタジア」を彷彿とさせるし、ラストの城は「ラピュタ」を想起させるし、そういう意味では集大成なのかもしれませんね。 7点(2004-12-03 12:34:16) |
79. シービスケット
《ネタバレ》 私にとっては、「涙を流して感動する」ほどの作品ではありませんでした。期待感が9点くらいあったので、正直言って「ガッカリ感」が強いです。人間ドラマを描くには、2時間ちょっとで主役クラスが3人では多すぎです。たとえば、同じ人間の目線でも、主戦ジョッキーが引退後に人生を振り返るような形で、トビー・マグワイヤの目線だったら違った印象になったかもしれません。調教師役のクリス・クーパーがいい味を出していましたね。ああいう抑えめの演技も好いが、これがレースに負けた直後にいきなり上着をむしり取って突然ダイナマイトを見せつけるような役だったら……(←違うって?(笑) 参照:「アメージング・ハイウェイ」)。 でも、J・J・アノーの「小熊物語」や「トゥー・ブラザーズ」のような演出方法の方がしっくりくる身としては、やはり馬の目線で描いて欲しかったという気持ちが強いです。できれば、彼が生まれた頃からのね。 個人的にいちばん印象に残ったのは、ゲイリー・”顔がデカイ、アゴがデカイ”・スティーブンス!(笑) JCでゴールデンフェザントで優勝したジョッキーですぜ、旦那ぁ。それと同じくらい彼の登場には衝撃がありました(笑)。しかも、最後のレースで美味しいところ持って行っちゃうし(笑)。あれはどう見ても八百長でしょう?(笑) ま、そんなことは抜きにしても、久々に強腕の手綱さばきを堪能しました。やっぱり本物の一流ジョッキーは追い方が絵になるね。 7点(2004-12-02 16:20:00) |
80. エンド・オブ・デイズ
《ネタバレ》 書いていたと思ったら、書いてなかったんだね。シュワちゃん主演のアクションものとしては、なんか竜頭蛇尾で終わってしまった印象が強いです。悪魔が復活するためにひとりの女性を狙うという設定は、他の作品でもいくつも取り上げられているし目新しいものではありません。また、悪魔の魅力にしても、ガブリエル・バーンは「仮面の男」ほど輝いてなかったし、不気味さという点では、「エンゼル・ハート」のロバート・デ・ニーロや「ディアボロス」のアル・パチーノと比べるともの足りませんでした。なによりも、エンディングだなあ。家族再会でめでたしめでたしですか。ミレニアム直前に作られた世紀末ものとしては、小粒な印象が否めません。 6点(2004-11-25 20:28:40) |