61. 地獄に堕ちた勇者ども
重厚。退廃にも本物とフェイクがある氣がするが、ヴィスコンティの描く退廃美はフェイクでは無い。唯一、ナチスをファッションとして美学として描くことが許される監督だと思う。役者の使い方も上手い。けれどあまりにその完璧な造形美の中に埋もれさせられてしまうため、役者としては育たないのがザンネン・・・ヘルムート・バーガーのあだ花美が一番堪能できる一作。 9点(2003-10-02 00:55:30) |
62. ドンファン(1995)
ケレン味たっぷりながら、何か作品全体に可愛らしさを感じさせるとこがミソ。ドンファンの身の上話は言ってみればたわいもないもので、何の説得力もないのに、彼の影響力の及ぶところに近づいた連中がみんなコロリとやられてしまう。その「コロリ」を、ジョニーの目力と雰囲気に頼ってしまうかなりの力技。でも成功しているからよしなのだ。手に花を持ち、大事な人に愛を語ることで生きる力を取り戻していく。原点ですね。ある意味ジョニー本人と被るキャラが、妙な説得力を持っててマル。しかしマーロン・ブランドは妖怪入りすぎ・・・ 8点(2003-09-14 22:06:05) |
63. 大魔神
子どものころ、街中で蒸気機関車に追いかけられる夢を良く見た。この作品にはそれに近い、なんかとても日本的な恐怖がある。怒ったハニワにどこまでも追っかけられるという、理不尽な恐怖。しかしてその呼び名が「神様」。ハニワが激怒するに至る筋書きの単純さがまたいい、歩きのゆっくりさ加減もいい、屋根に上って目と目が会う程よい大きさもいい、おどろおどろしい音楽もよし。やたらSFXに凝って中身すかすかになっている昨今、特撮恐怖映画の作り手は、恐怖の中身を良く考え直してみるべきだ。そのきっかけにこの作品鑑賞を強くお勧め。 8点(2003-07-16 23:15:18)(良:1票) |
64. ジャグラー/ニューヨーク25時
決してニューヨークのいいところなんか描いてないのになぜかすごくニューヨークに行きたくなる不思議な映画。期待せずに見ると拾いものかも。 7点(2003-07-16 00:37:02) |
65. ダンサー・イン・ザ・ダーク
私の映画鑑賞史上最低最悪の映画。カメラワーク、ストーリー、テーマ演出演技何もかも駄目。駄目というのは駄作というのじゃなく、自分として受け入れられるところが全然ないということ。不快感の塊になって映画館を出ました。ビョーク演じる主人公の弱い子ぶりっこの偽善母には小麦粉一粒分も共感できなきゃ感動もできなかった。0点どころかマイナス10点じゃ。穴掘って埋めて墓標でも立てたい作品です。 [映画館(字幕)] 0点(2003-07-16 00:16:07) |
66. キャリー(1976)
好きです。キャリーに自分を重ねるかどうかで見方も変わってくると思いますが、十分すぎるほど説得力のあるキャリーの悲しさがダイレクトに伝わってきて、自分とかぶりまくりでせつなかった。切なければ切ないほど、クライマックスでのカタルシスはすごい。恐怖感と爽快感と切なさを同時に味わえるなんて、やっぱりこりゃ名作。 8点(2003-07-11 01:16:36)(良:1票) |
67. リービング・ラスベガス
久しぶりに胸のそこにまでずんと来る映画。生き方の良し悪しじゃなく、語られる人間の結び合いの切なさ。そこに嘘はない。好き嫌いで分かれるだろうけど,完璧に主人公(男のほうね)とシンクロしてしまう自分が怖い。掛け値なしの名作と思う。 [映画館(字幕)] 10点(2003-06-27 09:39:35) |
68. 妹の恋人
ジョニデでみせる作品,ひたすら彼の演技が見もの。話もキュートであたたかくてよかったけど、彼以外の役者があまりに凡庸。特に「妹」が駄目。 7点(2003-06-25 16:42:51) |
69. 2001年宇宙の旅
映画という表現手段でしか与えられないインパクトを堪能した。意味ありげな映像をつなげただけの芸術気取りの作品は大嫌い 、のはずなんだけど、美しく青きドナウの使い方だけでもう10点放り投げたくなる、なんという映像と音楽の圧倒的な端正な美しさ。冗漫な最近のSFはまず、宇宙を静けさから学んでほしい。沈黙は時に何より饒舌。この作品の沈黙の中に、コンピューター「ハル」の意思と、彼が知っていて人類が知ってはならない秘密の深さが隠されている。テーマ?自分の解釈でいいかどうかわからないんだけど、このさいそっちはもういい。この作品の一シーン一シーン切り取ってもそれぞれに10点あげられる。私の望む名画の究極の姿はそれなんです。 [映画館(字幕)] 10点(2003-06-25 16:38:43) |
70. ベニスに死す
正直、生きてて良かった!と思わせてくれた作品。最初から最後まで、あの教授とシンクロしまくってました。完璧な美は神の意志へと至る道、そして人間の感受性を通るからこそそこにはエロスとエゴというワナが不可欠。そこに落ちて恍惚と死ぬ芸術家の至福。わが人生の収穫と言える作品です。 10点(2002-09-19 02:13:29) |