61. 沙羅双樹
《ネタバレ》 映画文化は、今までは男の手によるところが大きかった。 そこに河瀨直美は殴り込んで、男には撮れない映画を次々、生み出す。 その産声を上げたのが、この映画とも思える。 あの赤ちゃんの泣き声は、女性映画の産まれた瞬間なのかもしれない。 [DVD(邦画)] 8点(2023-11-29 23:03:00) |
62. ボヴァリー夫人(1991)
《ネタバレ》 どうして道楽野郎のスケコマシの手に堕ちるかなぁ・・ 満たされなかったとはいえ、あまりに辛い・・ そこからだらしない女になり、分不相応な買い物に走り、 借金漬けになってしまう。 最後は、悲惨である。 ボヴァリー夫人の若い頃が描かれていると、より説得力を増す。 イザベルユベールは、「ピアニスト」でも弱い女性を演じている。 印象的な顔立ち。 美人なんだけど、ガラスみたいな、割れそうな顔立ちなんですよね。 [DVD(字幕)] 8点(2023-11-27 09:24:31) |
63. エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス
《ネタバレ》 前半は、酷い映画だなと思っていたが、最後まで観ると、成程これもアリだな、と思った。 母と娘の映画は実は少ない(愛と追憶の日々とか乙女の祈りとか・・) 奇妙なことをするとパワーが出るという前半も、在米中国人の生きづらさの寓意と思えば、 なるほど観られる。 敵が家族問題というカンフーアクションと思えばいいのだ。 メンヘラな母親が強くなって、後半、娘とのバトルをする。 そして、難問だらけの家族だが、最後はハッピーエンドとなれば、 コンピューターを駆使した、現代社会への奏とも思える。 ミッシェルヨーのど根性女優魂に唸った。 [DVD(字幕)] 7点(2023-11-25 19:45:58)(良:1票) |
64. 鏡
《ネタバレ》 祖国ロシアから、なかなか受け入れられないタルコフスキーには、 自ずと国家と対峙する自分が映画の中に滲み出てくるのだろう。 「ノスタルジア」のラストの、周りは建物で覆われてたとこなんか、特にそう感じる。 ここでは、話は理解できなかったが、タルコフスキーに対峙する 祖国や家族が、自ずと、にじみ描かれているようだ。 それが「鏡」なのかどうかは、ロシアを勉強しないと、 分かりづらいのではないか? [DVD(字幕)] 7点(2023-11-24 22:27:08) |
65. 夜明けまでバス停で
《ネタバレ》 店長と主人公の二人が出会ってから、ドラマが始まれば、 日本版「テルマ&ルイーズ」だね。 あの静かなコロナの夜に、こんなドラマが展開していたら・・ そう考えると、今、普通に戻ってきてるけど、 コロナ禍のことは、総括しなくちゃいけないんじゃないかなぁ・・ バブルが弾けた時も、酷かったよ、この社会は・・ それは、それは・・ もう変わらないよ、この社会。 厳しいです。うう・・ [DVD(邦画)] 7点(2023-11-23 23:12:34) |
66. ストーカー(1979)
《ネタバレ》 素晴らしい! 光、影、霧、ロシア人の顔のアップ、哲学的な台詞そして、とりわけ、水の描写。 映像詩人タルコフスキーの傑作である。 (実際、昔、ロシアあたりに隕石、落ちたよね?有名な話だと思うけど・・) ゾーンは、悟りを開いた者のたどりつける場所のようだ。 こういうテーマで描くって、作家の野心の極みだよね。 そういう映画が、民主主義の映画から出てこないで、ロシアから出てきたのが、興味深い! あの超名作「2001年」より言ってることが明確であるし、思わせぶりじゃない。 唸るのは、哀しい現実を歌った弟がゾーンに殺され、探しに行った兄が 弟の死を知り、絶望の変わりに、お金持ちになり、自殺してること。 寒いロシアでは、物質文明の楽しみより、人生についてグダグダ語って、酔い潰れちゃう文化なんだろうね。 「崇高な思い」を持って、欲にまみれず、生き抜いたが、死ぬ前にこれで良かったのか、とか言ってるような映画。 深い! [DVD(字幕)] 10点(2023-11-23 23:03:39) |
67. フットライト・パレード
《ネタバレ》 THE亜米利加!!!! 太平洋戦争の前に、もうここまで出来てる国を相手にしたら、 それは・・・(汗) 今の日本の芸能レベルでも、人材の多さからして、果たして可能なのか・・ 圧巻!とは、この事! 皆さ~ん、「雨に唄えば」位の国とか思ってませんか~!? (それでも、かなり凄いんだけど・・) オリンピックの開会式のレベル! やっぱり大自然の中で培われた表現力は、日本は敵いませんって・・ やはり別の道考えないと・・ 大谷君の活躍で皆さん、勘違い起こしてませんか~ 凄すぎ(涙) [DVD(字幕)] 10点(2023-11-19 23:27:33) |
68. ラビング 愛という名前のふたり
《ネタバレ》 法律を超えた愛を、我々はどうするか?というテーマである。 人種を超えた愛は、法では罰せられるが、そこには確かに愛があった。 最高裁の裁判の前に、 「何か言いたいことは」 「私は妻を愛している」 これ以上の論点はないかのようだ。 [DVD(字幕)] 7点(2023-11-19 20:49:13) |
69. 青いパパイヤの香り
《ネタバレ》 ベトナム映画史は、ダン・ニャット・ミンから始まる。 このサイトには登録されてないが、「十月になれば」が有名である。 小生は、この次に有名な「河の女」を観たことがあるが、 ベトナムの革命時のの埃っぽい町が印象的だった。 それから、数年して、アジア・ヌーベルヴァーグが起こり、 この映画が出てくる。 ベトナム映画史的には、次の波である。 この映画、金持ちで働く使用人の女の子の視点から見える 金持ち一家の様子である。 何より驚きなのが、失踪癖のある旦那が亡くなった後、この家は落ち込み、 次の奉公先で、いいとこの息子に見初められ、嫁に居座るというハッピーエンド(笑)? 観てて、ほっこりする佳作。 [DVD(字幕)] 7点(2023-11-19 00:37:41) |
70. 太陽に灼かれて
《ネタバレ》 2023年の現在、問題大アリのロシアだが、 ロシア文化は嫌いじゃない。 ニキータミハルコフは、大好きな映画監督だ。 だが、本作で、ウクライナ侵攻を納得させるような文化の違いに気がついた。 スターリン政権下での諜報員と、かわいい女の子のやりとり。 (また、この子役が実にまぶしいくらいカワイイ) それ自体は、まぁ面白い素材ではあるかな、とは思うが、 西側ではありえない文化表現だ。 それは、こんな鈍感な女性も子どもも、普通、他の国だったら映画でも描かれない。 どんな女性や子供でも、つきあう大人の影に敏感である。 それがヨーロッパやアメリカの映画文化だ。人間への信頼に根ざしている。 ロシアの諜報員は、自分の影すらも消せるくらい訓練されているのか? 何か意味そのものが分からない存在だ。 ミハルコフの映画は好きだ。 これからも観るだろう。 だが、少し残念な気持ちになった本作である。 後記 (レビュワーさんの一人が言っているように、チェーホフの現代版のつもりで、こんな映画になったのかもしれない。 それほどのチェーホフ好きってことかも・・ミハルコフは大好きな作家だ。そう信じよう・・) [DVD(字幕)] 8点(2023-11-13 20:59:59) |
71. パッション(1982年/ジャン=リュック・ゴダール監督)
《ネタバレ》 映画への情熱が、なにより大事なんでしょうね。 大事な人より・・ 労働だからと言って、女性に過酷な撮影を強いる。 しかし、ゴダールの撮影現場でも女優は言いたいこと言うんだね。 ラースフォントリア―やフランソワオゾンの現場なんか、 女優の金切り声でいっぱいなんじゃないかな(笑) [ビデオ(字幕)] 7点(2023-11-09 19:59:46) |
72. ウンベルトD
《ネタバレ》 「自転車泥棒」デ・シーカ監督のネオリアリズム映画。 公務員勤め上げた老人の年金額の不足による、もの哀しい映画。 家賃滞納のなか、年金日までどうやって暮らすかという切なさが来る。 老人とペットといえば、アメリカの「ハリーとトント」を思い出す。 あちらは、元気にやっていたが、こちらは戦争前のイタリア。 ただでさえ、戦争に敗けたイタリアのモノぐるしい空気が手厳しい。 自分に身を置き換えて観てしまう。 現代に置き換えるなら、ケンローチの「ダニエル・ブレイク」だろうなぁ。 寒い。うぅ・・ [DVD(字幕)] 8点(2023-11-07 22:06:24) |
73. 1秒先の彼女
《ネタバレ》 ワンテンポトロイ男性とワンテンポせっかちな女性のラブストーリー。 とても素敵な作品で、台湾好きになりそうです。 この話のミソは、ワンテンポトロイ男性が、神様のご褒美か、一日だけ得するという話。 逆にせっかちな女性は損するのですが・・ いやぁ男の素直な願望だよね。 時間が止まれば、好きな女性のとこに行きたいって・・ でも話はかなり捻ってて、よく出来てる。 (時間が止まるわけではないんだね、太陽はちゃんと動いているから(笑)) バスの運ちゃんと郵便局の窓口の女性のロマンスってのもいい。 地味だけど、大事な仕事だもんね。 素敵です。 [DVD(字幕)] 8点(2023-11-05 21:31:19) |
74. ビューティー・インサイド
《ネタバレ》 面白い! 一日経つと、記憶がなくなるとか、いうのは結構あるが、 ※「恋はデジャブ」とか・・ 一日経つと、別人になるというのはスゴイ。 それを真正面から、真面目に考えてみたとこが、韓国エンタメの力技。 ただ、やはり、というか、ロマンスな気分になるのは、イケメンの日だけ。 そりゃ爺とか、デブとかでは、釣り合わないもんなぁ・・ ちょっと一歩退いて考えてみると、男女関係の、異性の窓口が実際に交際した異性で、 いずれは、すべての人が見守ってくれてる・・とかの寓話ともいえる。 ヒロインがとにかく美人で、こちらまでウキウキしちゃった♪ アマポ~ラ♪ [DVD(字幕)] 7点(2023-11-04 23:22:23) |
75. 月の満ち欠け
《ネタバレ》 もう泣けて泣けて・・ 一言で言うと、この世は愛に包まれてる・・ 柴咲コウ、綺麗になったぁ!誰、この美人、って思ってたら・・ 話は、あだち充と藤子F不二雄を足したような話で・・ 泣けます! [DVD(邦画)] 7点(2023-10-29 21:29:24) |
76. おはん
《ネタバレ》 大正時代の小さな町での話。 ブラタモリで、宇野千代の町が舞台になったので、鑑賞。 ああ、こんな町で、この物語が紡がれる土壌になったのかと、しみじみ・・ ただ、運命の橋での出会いが、美しい錦帯橋であれば、もっと良かった。 残念!9点! [ビデオ(邦画)] 9点(2023-10-29 02:19:31) |
77. パンチドランク・ラブ
《ネタバレ》 コミュニケーション下手な男の一発逆転恋愛ドラマ。 面白いです。 恋愛成就の後、人間が変わって、 猛然とチンピラつぶしに立ち上がる流れがスゴイ! 愛は強いのだ! [DVD(字幕)] 7点(2023-10-28 20:42:56) |
78. 神の道化師、フランチェスコ
《ネタバレ》 「無防備都市」の監督である。 実在の人物、聖フランチェスコと十数名の兄弟たちのエピソードが綴られる。 特にジネプロのエピソードがいずれも秀逸である。 自分的には、暗殺容疑で死刑寸前まで行き、謙虚さが指導者の胸をうち、放免された話が面白い。 1200年代のイタリアが舞台だ。日本の鎌倉時代に当たる。 着ている服が、その頃日本では麻の単衣だったが、西洋でも同じような素材のシャツを着ている。 ジネプロのエピソード中の指導者の鎧が興味深い。 マンガ「鋼の錬金術師」の弟みたいな、ごっつい鎧だ。 動き回れず、何のための鎧か、笑ってしまった。 どつかれてもどつかれても、飄々としている修道士の彼ら。 のどか、の一言に尽きる。 [DVD(字幕)] 7点(2023-10-22 21:09:13) |
79. シャイロックの子供たち
《ネタバレ》 池井戸経済ドラマは、面白い。 今回は、耐震偽装がバレルか、バレないかのさ中、 書類が交わされるとこがクライマックス。 でも、観終わってみると、みんなダメだった・・残念! (上戸彩ちゃん以外、みんな) それだけ人生は過酷ってことか!? 厳しいっすね、ホント。 [DVD(邦画)] 7点(2023-10-21 20:48:21) |
80. アメリカン・スリープオーバー
《ネタバレ》 何とも爽やかな青春学園もの。 って思ってたら、高校に上がる前のお泊りなんですね、これ。 高校に上がる前には、皆、キスを済ませていないとおかしいということでしょうか? うわ~、やっぱりアメリカはススンデマスネ。 お泊り中の3組の男女を追いかける話だが、 一番好きだったのは、双子女子に言い寄られるエピソード。 そりゃ、どっちが好きって双子に言われたら、分からんわ(笑) [DVD(字幕)] 7点(2023-10-13 23:15:32) |