61. ブロークンシティ
《ネタバレ》 ミステリー仕立てになっているので興味は引かれるのですが、いかんせん退屈。リアルや重厚さを重視した結果、スピード感やテンポが犠牲になっている印象。俳優陣はそうそうたる顔ぶれ。にもかかわらず、この退屈さ加減はいかんともしがたい。 人物の印象付けが弱いので、顔と名前を一致させるのに集中力がいります。そんな努力を必要としちゃう時点で、映画としてはいまいち。会話の中だけでも、人物名や企業名が次から次へと出てくるので、置いていかれないように必死です。 『・・・ここはきっと驚くシーンなんだろうなぁ・・』ってのがわかるところでも、見せ方が上手くないので驚けない。 そこそこの尺にも関わらず、片付いていない問題がそのまま放置ってのもよくない。 結局恋人のナタリーとはあのまま別れてしまったのか。主人公のタガートは分別のある人物のようだが、なぜ黒人の若者を容疑が固まらないうちに射殺してしまったのか。警察署長は『射殺された黒人は犯人ではなかった』みたいなことをオープニングで言っていたが、そんなことを言われたらその事件の真相が気になって仕方が無い。にも関わらず、その事件の真相を全然教えてくれないのはなぜなのか。 そーいった気になるところがすべて放置。市長を失脚させてめでたしめでたしって空気出されても、全然すっきりしないんですけど。 助手役のケイティが魅力的だったのが、今作唯一の見どころかもしれないです。 [ブルーレイ(字幕)] 4点(2023-11-08 02:08:37)(良:1票) |
62. 殺人漫画
《ネタバレ》 アイデア勝負とバカにできない、とても丁寧に作られたホラー。 最近ではアメリカの幽霊ものもスプラッタに頼らず頑張ってはいますが・・・。やはり日本や韓国のホラーのほうが、怖さでは一枚上手。そもそもアジア系ののっぺりとした顔や細い目って幽霊向きなんですよねー。 この映画では登場人物1人1人にエピソードがあり、背景があり、そのどれもがシンプルながらとてもよくできています。幽霊に殺されちゃう人たちにはすべて理由があったんですね~。恐怖演出だけでなく、ミステリー仕立てのストーリーに好奇心が刺激されます。 序盤、前半の編集長と葬儀屋のエピソードは人間の業を感じられる力作。ただの陽キャラ要員かと思いきや、ヨンス刑事にも人に話せない恐ろしい過去アリ。う~ん、『まさか』の演出が巧みですね~。 とまあここまでは良かったのですが、ラストが・・・。 まずヨンス刑事の死の真相。そりゃあ驚きましたが、それはないんじゃないですか。そこはストレートに女の子の霊の仕業で決着のほうが良かった気がします。しかもそんなつまらない死に方で怨霊になっちゃうし・・・。 そして一番納得できないのはカン・ジユン。どうやらソヒョンを殺しちゃったことで、ソヒョンの能力が身についちゃったようですが・・・。自身の出世欲という一番くだらない欲で人を殺したこいつが、最後まで生き残っているというのが、なんか違う気がします。 [DVD(字幕)] 8点(2023-11-05 17:36:18) |
63. インシディアス 第2章
《ネタバレ》 1作目で慣れたのか。それともミステリー要素が強くなったためなのか。前作より怖さが若干緩和されたような・・・。 こーゆーお化け屋敷系ホラーが苦手な私としては、これぐらいのほうが助かります。 それでもなかなかびびるシチュエーションもちらほら。 ピアノが鳴って、階段を下りて行ったら鳴りやむとか、ありきたりだけどゾッとします。でもそれは本物ジョシュが助けを求めていただけだったってのは笑えます。 でもそんな事情がわからない前半は、ひとつひとつの現象がとにかく怖い。ああ、また知らない女の人がうろうろしているよ~。まじでやめて~。・・・やっぱ、1人で家にいるときに・・・っていうシチュエーションが一番怖い気がしますね。 あとはクローゼットかなぁ・・。なにが潜んでいるのかわからないっていうのが怖い。幽霊でもなんでも、姿が見えちゃうともう怖くないんですけど。 オープニングでもエリーゼがクローゼットに手をつっこむシーンがあるし。 中盤でも糸電話がクローゼットの中からのびているシーンがあるし・・・きゃーーー。って、クローゼット好きだな、おい。 後半は集団行動が多くなるし、謎解きメインなので、恐怖心より好奇心が勝っちゃう感じ。 そもそもVSゴーストではなく、VS殺人鬼になっちゃってるし。 前作の謎も答え合わせしてくれるし、なんだかスッキリしちゃいました。 前作のような後味の悪さが無かったのも良かったですね。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2023-11-03 02:03:25) |
64. 007/スカイフォール
《ネタバレ》 なんか退屈。時間も長い。007ってこんなんでしたっけ? スパイ要素なんて後半ほとんどなくて、アクションばかり。 しかも任務とかじゃなくて、内輪でのごたごた。言ってしまえば復讐劇。 う~ん、これじゃあ007っぽくないなぁ・・・とでも思ったのか、とりつくろうかのように出てくるボンドカー。しかもヘリにハチの巣にされて見るも無残なスクラップ。そしてボンドガールもすぐ退場。 ・・・いや、もしかして今作のボンドガールってあのおばちゃん・・・?いや、まさかね・・・。 なんか007ならではのワクワク感や爽快感ってのが皆無で、エンターテイメント性に欠ける気がするのです。 いえ、この映画、007というつもりで見なければ、それなりに高評価をつけられたかもしれません。 スパイ映画を見たかったのに、なんか全然違うもん見せられた気分。そこがちょっと不満。 [ブルーレイ(字幕)] 5点(2023-11-02 02:14:29) |
65. 監視者たち
《ネタバレ》 韓国のサスペンスなので、ごりごりのやつかと思ったのですが、割とポップでライトな仕上がり。エンターテイメント性の高い作品でした。とはいえ、あくまで韓国映画にしては・・・、なので、仲間が死んじゃう衝撃的で辛いシーンがあったりもします。 好きなキャラだったんですけどねぇ。いいところでやられちゃって・・・。最後まで活躍してほしかったなぁ。エースだと紹介されていたし。このエースを瞬殺する影。ここまでの流れがほぼ完ぺき。非常にサスペンスフル。最高に面白い。 オープニングの採用試験からすぐ物語に引き込まれます。そしてその採用試験のときに、子豚(主人公)と犯人がニアミスしていたのも面白い。主人公が終盤、それに気づくシーンはドキドキです。 犯罪のプロ集団。警察の監視専門チーム。プロ対プロ。そしてチーム戦。否が応にも盛り上がります。 ハヤブサとかリスとかモグラとか、コードネームで呼び合うのもかっこいい。チームを動物園に見立てて、『開園』の号令で作戦開始なのがすごく良い。 そもそも尾行なんて地味な作業にスポットをあてて、かつこれだけスリリングにかっこよく見せてくれる映画はなかなか無い。 ただ、なんだろう、見終わった後の物足りなさ感は・・・。 多分、この映画、どちらかと言えば連続ドラマ向きだと思うんですよねぇ。 ストーリーの密度と映画の尺を考えれば、1人1人にスポットをあてるわけにもいかず。基本は中心人物達をメインにストーリーを構成。そしてそれはおそらく正解なんですが、この魅力的な登場人物たちを、1人1人のドラマや特性をもう少し丁寧に見たかったなぁと思う次第です。 [DVD(字幕)] 7点(2023-10-27 06:04:55) |
66. ジャック・リーチャー NEVER GO BACK
《ネタバレ》 やばい、見てからまだ数日しか経っていないのに、もう内容を忘れかけてきている気がする・・・。 えっと、ジャック・リーチャーが逮捕されそうになったけど、逆になんか捕まえて・・・。 で、ターナー少佐っていう女性軍人ナンパして・・・。 会いに行ったらターナー少佐スパイ容疑で捕まってて・・・。 で、ジャック・リーチャーには弁護士殺害の容疑がかかって・・・。 ジャック・リーチャー捕まって。でも脱獄して。ついでにターナー少佐も脱獄させて。 あ、そうだ。ジャック・リーチャーには実は娘がいましたみたいな。 この娘も殺されそうになったから保護して・・・。 3人で仲良く逃避行する物語だ~。良かった、思い出せて。 なんかターナー少佐とのバディものみたいになって、個人的にはその辺が前作より面白かったかなと。 ただミステリー要素は薄味。はっとするようなサプライズはありませんでしたね~。 要はアメリカと契約を打ち切られた軍事企業が、武器を横流ししたり、その証拠を掴もうとした人たちを暗殺したり、武器に麻薬仕込んで密輸したりとやりたい放題。それをジャック・リーチャーが成敗するってだけのお話。 軍事企業と、その企業が雇っている殺し屋と、軍の腐りきった上層部がみんなグル。なかなかの巨悪。そこは良かったかなと。 終始ウロチョロしていた娘もどきも、なかなかのハラハラ要員で良いスパイスになっていました。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2023-10-23 03:09:48) |
67. ゲットバック
《ネタバレ》 ニコラス・ケイジの良いところがしっかり出ている映画。 大作ではないが、B級とも言えない、しっかり地に足の着いた感じの作風。 わかりやすい内容。個性的な出演者。テンポの良い展開。ハラハラしすぎないハラハラ。うまくいきそうでいかないもどかしさ。 どれも私と相性ぴったり。 『めっちゃ面白かったよ。』と人に勧めるほどではありませんが、『これ面白い?』と聞かれたら素直に面白かったと言えるレベル。 もとが銀行強盗ですから。素直に主人公に肩入れはできませんが。でも娘を助けるためにFBIに助けを求めたり、もう足を洗ったのに金塊強盗に手を出したり。娘のためのブレない一貫した姿勢はとても好感がもてます。主人公が共感できる人物というだけで、その映画はそれなりに面白くなるものです。 娘の脱出劇パートも面白い。ウィルパートだけだったら物足りなかったかもしれません。トランクから穴開けて、乗車客の服を掴もうとするところなんか妙にドキドキ。白バイに停められるシーンも好き。そこで女の子が逃げ出せちゃうってのは意外ではありましたが、結局行き止まりでまた捕まっちゃうっていうのはあるある。こーゆーあるある、定番が好きだったりするのです。 FBIの刑事も憎めないキャラで良かった。『金塊を盗んだのはヴィンセントだ。そうだろう?』って、ウィルを見逃す刑事さん。罪を憎んで人を憎まずってか~。もしかしたらウィルの言うことに耳を貸さず、ウィルの娘を危険な目に遭わせてしまったっていう負い目もあったのかも~。 小気味良いオチも大好きです。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2023-10-23 01:28:36) |
68. ハッピー・シェフ!恋するライバル
《ネタバレ》 いたってオーソドックスなラブコメ。王道、と言って差し支えないでしょう。この時代に、こんなド定番のラブストーリー、なんだか安心するというか落ち着くというか・・・。 さて、お互い好き同士なのは間違いないのに、なぜか踏み出さないその一歩。なぜなら踏み出しちゃうと話が終わっちゃうから。 ニッキーはロンドンで一流シェフを目指しているみたいなのでわからんでもないですが、レオのほうにはこれといった理由はないみたい。だったらもっとガンガンいってもよさそうなものですが・・・いかない。なぜなら成就しちゃうと話が終わっちゃうから。 そういえば、ニッキーがサッカーボールもってレオを訪ねたときに出てきた女の人は結局誰だったの?放置したまま映画終わっちゃいましたけど? とまあ気になる粗があったり、ストーリーがいたって普通だったり。じゃあいったい何が面白いのか。うん、登場人物が魅力的ですね。主演二人も含め、個性的な人ばかりなので見ていて飽きません。おじいちゃんとおばあちゃんが結婚をカミングアウトするシーンなんか最高。ゲイのルイージも良いキャラでしたね~。 でもなんといってもエマ・ロバーツ。最高にキュートです。ジュリア・ロバーツより、アン・ハサウェイに似ています。彼女の一挙手一投足を見ているだけで眼福です。 ありきたりですが、エマ・ロバーツ演じるニッキーが、ラストでレオに勝ちを譲るシーンも素敵でした。 でも空港の告白はちょっとやりすぎ。周りに迷惑かかっちゃうから。気になって仕方なかったです。 まあ細かいところで気になる点は数あれど、手堅くまとまった良質のラブコメ。 あ、でも両家が、というより父親同士がいがみあう理由があまりに弱いのは気になりました。いくらなんでもそんな理由で10年以上もいがみあうわけないでしょ。ましてや店を2つに分けるなんて・・・。現実味なさすぎです。 [DVD(字幕)] 7点(2023-10-18 01:47:55) |
69. スペシャルID特殊身分
《ネタバレ》 潜入捜査ものにしては雑な仕上がり。アクションさえ頑張っていればいいだろうと思ってそうなストーリー。潜入捜査ならではの、ひりつく緊張感や悲壮感はまるで感じられません。それどころか、女刑事ファン・ジンとのラブコメを定期的に差しはさんでくるものだから、サスペンスがどんどん薄味に。 これはもう頭からっぽにして、ドニー・イェンのカンフーを楽しんでりゃいいんだろうと気持ちを切り替えてみる。 でも中盤以降はファン・ジンがやたらと頑張りだして、ドニー・イェンのアクションは控えめに。なんだかなぁ。この程度のアクションで終わらせるなら、「イップマンのドニー・イェン主演」なんて謳わないでほしい。期待しちゃうじゃないですか。 コメディというほどには笑えず。サスペンスというにはあまりにぬるい。 アクションは・・・中盤まではまあまあ。ラストのカーチェイスと、サニーとのタイマンはちょっとしつこい。 中盤の殺し屋の狙撃シーンあたりまではワクワクしながら見ていたんですけどねぇ・・・。後半が盛り上がりませんでしたね。 全部をほしがって、何もかもが中途半端になっちゃったいい例です。 [DVD(字幕)] 5点(2023-10-14 01:29:35) |
70. ハチェット レジェンド・ネバーダイ
《ネタバレ》 おおお…これは…3作目が一番面白いんじゃなかろうか。 シリーズもので、2作目、3作目となるにつれて、パワーアップして面白くなっていく作品なんてかなりめずらしい。いや、ホラー系は1作目が超低予算だったりするので、意外とあるのかな・・。 前作では民間の義勇兵みたいなのを集め、今作では本職の警官隊が参戦。更にはSWATまで参戦してくれるという充実ぶり。 まあでも結局やられっぷりは前作同様で、いったんヴィクターとのバトルになれば誰も太刀打ちできません。 ただ、ヴィクターが現れるとみんなで一斉砲火。こーゆーシチュエーションは凄く好き。ただ小屋に対しての集中砲火だったり、茂みに対しての集中砲火だったりが残念。やはりヴィクターが姿を現してから一斉射撃をして、撃たれても撃たれても前に進むヴィクターを演出してもらいたかったものです。 SWATのリーダーと元妻でジャーナリストのアマンダ、必要なキャラとはいえ、若干うざかったですね~。特にアマンダ。もう少しウザさを抑えてほしかったかなぁ。ヴィクターの父親の遺骨を手に入れるシーンは、もっとスッといってほしかった。若干間延びの原因になっています。 とまあ細かいところで気になるところはありますが、全体的には概ね良かったと思います。 みんなちゃんと戦うし、ちゃんと逃げる。ちゃんと隠れるところも良かったです。 「そんなバカな選択せんやろ」みたいな行動はほとんどありませんでした。 最後まで船の中に隠れることを選択したアジア系の人が助かったのも良かった。 ラストのメアリー・ベスはなんか意味深。このまま死んで、第2のヴィクターになったりすんのかな・・・ [DVD(字幕)] 7点(2023-10-13 13:40:29) |
71. インシディアス
《ネタバレ》 この映画たいして怖くないって話を聞いて・・・ ここのレビューでも全然怖くないっていう意見もあったりして・・・ 『パラノーマルもグレイヴ・エンカウンターズも制覇した俺の敵じゃないぜ~』 って見始めたんですが、怖い怖い。 こーゆータイプのホラーって全然なれない。これ怖くないっていう人マジで凄いです。鉄の心臓ですね。・・・うちの嫁もその1人ですが・・・。 誰もいない家に1人でいて、そこに何やら誰かがいるみたい、っていうシチュエーションがほんと苦手。いや、幽霊もモンスターもゾンビも、出てきちゃうと別に怖くないんです。出てくる前が怖いんですよ。 この映画はその『何かが出てくる前の演出』が圧倒的にうまいです。もうずっとおっかなびっくり見ていました。 エリーゼ達が参加してからは若干テイストも変わり、少し落ち着いた気持ちで見られましたが・・・。 幽体離脱して、お化け屋敷に行ってからがまた怖くなっちゃって・・・。 大きな音で驚かされるのが嫌なので、途中でちょっとだけ音消しちゃったりして・・・。 でも一番怖かったのは、引っ越した直後かなぁ。かけていた曲が勝手に変わって。外から戻ってこようとすると家の中に誰かがいる。箪笥の下からのぞく足・・。ひえ~、だれが考えるのさ、こーゆーのー、怖いって~(;'∀') で、こーゆータイプのホラーは、個人的に最後は丸くおさまってほしいので、オチはと~っても残念でした。 エリーゼ達には次作でも頑張ってほしかった~。 [DVD(字幕)] 7点(2023-10-13 13:26:14)(良:1票) |
72. PARKER/パーカー
《ネタバレ》 ジェイソン・ステイサムが裏切られ、報復し、大金をゲットする。 王道も王道。安定供給のステイサム印のサスペンスアクション。 今作のステイサムは、かなりかっこよく撮られてます。それもこの映画の魅力の1つかと。 『悪党だけど、悪人ではない』ステイサム。でもカタギの人間の足撃ちぬいちゃったり、オープニングでも強盗やってるわけですから、ま、悪党だし悪人ですよね。 ステイサムアクション絶好調なんですが、特に至近距離から有無を言わさず足を撃ち抜いて行動不能にするステイサムの銃さばきが本当にかっこいい。 そしてタイプの違う2人のヒロインも魅力的。むさ苦しい内容にうまく華を添えています。敵も個性派ぞろいでいい感じ。 強面のメランダーや凄腕の殺し屋、小者臭漂うハードウィックも雰囲気を盛り上げてくれます。 オープニングの強盗シーン、終盤の強盗シーン、どちらもよくできています。 ステイサムが病院から抜け出し、車や衣服を調達し、プチ強盗で資金をつくり、その資金で偽の身分証を手に入れる。その辺りを1つ1つ丁寧に、わかりやすく、面白く、そしてときにコミカルに描いてくれます。でも決してダラダラはせず、小気味良いテンポでさらっと見せてくれるのが良い。 B級映画のようなノリですが、ここまで完璧に仕上げてくれればもはや立派なA級作品。 ちなみに、基本ステイサムの無双状態なので『ハラハラ』とは無縁ですが、スカッとすることは間違いないでしょう。 [ブルーレイ(字幕)] 8点(2023-10-11 01:17:16) |
73. マニアック(2012)
《ネタバレ》 うおお、つまんねー。頭がおかしい人の奇行凶行を延々と見せつけられるだけ。なにしろ頭がおかしくなっているから、犯行も無計画で行き当たりばったり。殺して、髪の毛むしりとって、マネキンにかぶせて、悦に入る。なぜそのような心理状態になったのか。 クールに無機質に犯行をするようなタイプなら説明は要らない。でもこの主人公のように、何かがトラウマになって、感情の起伏が激しいタイプなら、その背景の説明は必須でしょう。 母の幻や過去の思い出がちょこちょこ挿入されはしますが・・・足りない。決定的な何かが足りない。主人公が精神分裂ともとれる症状や強烈な片頭痛に悩まされるほどの説得力が足りないのです。 更には、一人称視点にも関わらず、そんな主人公に同情も共感もできない、何一つ感情移入できないままなのも辛い。辛いというか、退屈になっちゃう。ショッキングな映像を使っているにも関わらず退屈。 この映画で良かったのはアンナと過ごすひとときかな。いっそラブストーリーを主軸にしてもらって、2人の仲を親密にしてもらい、そのうえで「フランクが殺人鬼」と察してしまう流れにすれば、悲劇として盛り上がるのに。これだけの題材を扱いながら、まったく心を揺さぶられないのはある意味すごいよ。 つまりは、この映画そのものが、ものすごくマニアックな世界でした。ちゃんちゃん。 [ブルーレイ(字幕)] 4点(2023-10-04 01:57:47)(良:1票) |
74. ゼロ・ダーク・サーティ
《ネタバレ》 実話ベースのサスペンス。この映画を見ると、本当にビン・ラディンなる人物がいたのかどうかさえ疑わしくなってきますね。まあいたんでしょうけど・・。最後のマヤの涙の意味がわからなかったのですが、他の方のレビューを見て、ああ、そうゆうことかと。私はなんだか歪んだ解釈をしてしまいまして。もしかしてビン・ラディンの死体じゃなかった、あるいはどちらかわからなかった。けれど、もうこの件に終止符をうちたいマヤ。最後の最後で事実を捻じ曲げて終止符をうってしまった、そのことへの贖罪と後悔の涙なのかと思っちゃいました。これ以降アルカイダのテロって収まったんでしたっけ?う~ん・・・。 あまりにリアルに作ってしまったため、鑑賞者にはやや不親切な仕様になっているかもしれません。 衝撃的なテロシーンを定期的にはさむことで、緊張感が途切れることはありません。ですが物語の大部分を占めるのは会話劇。会話の中だけで重要人物の名が飛び交い、会話の中だけでストーリが進行していくものですから、難解な推理小説を読むときのような集中力を要求されます。けっして気楽に見られるようなエンタメ重視の映画ではないでしょう。 ラストのビンラディン襲撃のシーンは絶賛されている方が多いようですが、暗い画面が苦手な私にはいまいち。だってもう真っ暗なんですもん。建物の中に入ってからはそこまで気にならなくなりましたが。屋外では暗すぎて、正直どーゆー状況なのか、何をしているのかがわかりづらい。まあリアルではありますが・・・。 ビン・ラディンの潜伏先であるパキスタンが最前線。そこで共に働いていたCIAの同僚や上司たちは、ワシントンに戻ったり殉職したりでどんどん現場を離れていきます。伝記的な要素もある作品なので仕方ありませんが、そういったこともあって登場人物に感情移入しづらい部分はありました。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2023-10-02 14:47:57)(良:1票) |
75. アウトロー(2012)
《ネタバレ》 白昼堂々の無差別殺人。オープニングから衝撃の展開。 容疑者ジェームズ・バーはただ一言『ジャック・リーチャーを呼べ』 導入はなんだかダーティハリーみたいだと思っていたのですが、全然違いました。 無差別だと思われていた白昼の凶行が、実は無差別ではなかった・・・!ストーリの面白さにこんなにひきつけられたのは久しぶり。 前半~中盤にかけては、ミステリーとしてもサスペンスとしても最高。 で、残念だったのは後半。 中盤までのミステリアスな展開が嘘のように、突然始まるカーチェイス。このカーチェイスがくどいし長い。途中で飽きちゃう。 で、どんな頭脳プレイで逆転していくのかと思いきや、頭脳プレイどころかパワープレイ。しかも急に出てきた射撃場のおっちゃんが、なぜか相棒みたいになっていて。いやいや、あんたは完全に部外者でしょ?突然湧いて出て、仲間になって、ジャック顔負けの活躍をして、前半までとの温度差がすごいんですが。 ジャック・リーチャーが真犯人の背後をとったあと、なぜか銃を捨てて素手のタイマン勝負。そんなばかな。ジャック、今までそんなキャラじゃなかったでしょ? 黒幕のゼックも出てきた時こそ危険なオーラ出しまくりの大物感がすごかったのに、その幕引きのしょぼいこと。 そしてエマーソンがなぜこの人たちに力を貸していたのかをはっきりさせないまま、あえなく昇天。 すごくワクワクさせてくれた前半に比べて後半の完成度の低さ。なんかもったいないです。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2023-10-01 04:12:36)(良:1票) |
76. クロニクル
《ネタバレ》 POV方式にありがちな、画面の揺れなどはそこまでひどくない。むしろ、空を飛ぶシーンやラストのパニックシーンでは、POVだからこその臨場感を味わえます。わざわざテーマパークまで行かなくとも、ここまでの映像体験ができるなんて良い時代になったものです。 ストーリーは青春サクセスストーリー風ながら、終盤は一気にサスペンスへと模様替えしていきます。主人公のアンドリューが、まるで共感できない人間なので、見ていてイライラしたり、辛い気分になったりすることもしばしば。友人のマットとスティーヴが良いやつなので余計に辛い。 スティーヴがアンドリューを誘って、マジックを披露させるまでの流れがかなり好き。 虐げられ続けてきたアンドリュー。怒りをため込み続け、常に被害者意識に囚われている。そのアンドリューが、最も強いサイキックパワーを持ったことで、いつ爆発するかわからない緊張感がずっとあります。 そのストッパーになっていたのがスティーヴ。アンドリューが車を誤って転落させてしまい、そのせいでマットとアンドリューが気まずい感じになってしまった翌日、2人の前で空を飛んで明るい空気に変えてしまうスティーヴ。そのスティーヴが途中退場してしまったことで、アンドリューの暴走は歯止めが効かなくなっていきます。 こーゆー破滅への暴走を見ているのは、引きこまれますがやはり辛い。 個人的にはアンドリューの置かれた環境は、恵まれてはいないがよくある話で。その後スーパーパワーと親友二人を手に入れたのなら、むしろ普通の人より恵まれているわけで。もう少し前半に、これ以上ないってくらい理不尽な暴力や圧力を受けるアンドリューを描いてくれていたら、キャリーのような歪んだカタルシスを得ることもできたかもしれないです。 [ブルーレイ(字幕)] 8点(2023-09-25 00:25:09) |
77. ボディ・ハント
《ネタバレ》 7点か8点かくらいで迷うくらい面白かった。終盤のどんでん返しまでストーリーがよく練られていて面白いです。 ラストは「妹思いの兄が妹と共に死ぬ」、そんな物悲しいホラーを想像していたのですが、全然違いました。 ヤク中でサイコパスな母に育てられた、サイコパスな兄の、サイコパスなサスペンス。 あるシーンで、「あ、妹は終始暴れているわけではないし、鍵を取るような知恵もあるんだぁ~」と思ったら、まったく違いましたね。そもそも妹ですらないし。部屋に入ってきた兄に襲い掛かったのも納得。そういえばライアン以外の人間に襲い掛かるシーンはひとつもない。よくできてるな~。部屋から抜け出すときに包丁を手にしたのも、ライアンを刺すため?じゃあライアンに見つかって口を塞がれたときに、ライアンを刺すことはできなかったんだろうか?う~ん。 あと、視聴者をミスリードさせるためとはいえ、少女のあの走り方はいただけない。逃げようとする人の走り方じゃないでしょ。なんか獲物に襲い掛かるかのような走り方。少女がなにもしゃべらないのも不自然。エリッサの家まで来たなら、「助けて~」の一言くらいあっても良さそう。 とまあ、振り返ればツッコミどころはわんさかあるのですが、観ているときはもちろん気付かないわけで。 エリッサとライアンのハッピーエンドを期待していた身としては、気持ち良いくらいに騙されました。 両親は女装させられたライアンに殺されちゃったのねぇ~。そりゃ両親が悪いわ。 ・・・・・Σ(゚□゚;) なんか見覚えある女優さんだと思ったら・・・・カットニス・エヴァディーン演ってた人だ~ [ブルーレイ(字幕)] 7点(2023-09-24 22:58:24) |
78. HATCHET After Days/ハチェット アフターデイズ
《ネタバレ》 思ったよりずっと良かった。まさかの前作からの続き。前作のボートでヴィクターに襲われた直後からのスタート。 「前作のことなんてぼやっとしか覚えていない・・・」大丈夫。 「そもそも前作見ていない・・・」大丈夫。 今作は今作で楽しめます。 まあそうは言っても、前作を見ていたほうが良い気はします。なにせ前作の関係者がそろって参加。前作では高みの見物を決め込んでいた聖ゾンビをまきこんじゃう。だから前作を見ていたほうが、ちょっとだけ楽しめるかもしれません。 聖ゾンビだけでなく、前作で殺されたツアーガイドの兄ちゃんも参加。前作と違い、今作ではヴィクターの存在を確信しているメンバーが、ヴィクター殺しに沼へ行く。1作目はゴリゴリのホラーで、2作目からアクションっぽくなっちゃうのはよくある話。 ただねぇ、聖ゾンビとメアリー・ベス以外は、そこまでヴィクターの存在を信じちゃいないんですよね。 だから雰囲気がなんだかゆるい。油断しているところにヴィクター登場。なすすべもなくやられていくみなさん。銃で応戦する人たちもいますが効くわけもなく。ハゲの強面、トレントっていうおっさんだけは頑張っていましたが。あとはヴィクターの一人舞台。彼の殺戮ショーを楽しむだけの、悪趣味全開映画です。 13日の金曜日とか、そーゆースラッシャーもの、スプラッタものが好きな人のための映画です。 昔のスプラッタ映画はまだ家族で見られるレベルでしたが、最近の今作くらいの内容になってくると、家族で見るのはギリアウトかもしれないな~。 [DVD(字幕)] 6点(2023-09-24 22:39:24) |
79. ハミングバード
《ネタバレ》 ジェイソン・ステイサム主演のサスペンスアクション。・・・となると、いつものB級エンターテイメントを期待するじゃないですか。でも今作はなんか違う。毛色がちがう。どちらかというとドラマ色の強い作品。 過去に戦場で仲間を殺された報復に、民間人を殺害してしまった主人公。軍法会議から脱走し、アル中ホームレスに。ホームレス中に親切にしてくれた女性イザベル。イザベルは後に変わり果てた姿となって川で発見される。ジェイソン・ステイサムは偶然逃げ込んだ家に住み着いて、裏社会で富を築いていく。その一方で、シスターと恋に落ちる。その一方で、イザベルを殺した犯人を捜す。その一方で、元妻と娘のことを気にかけ、稼いだ金と写真を届ける。 ・・・・・・・・・・そう、盛り込みすぎ、盛り込みすぎなのです。 メインはシスターとのラブロマンスのような気がするのですが、なんだかサスペンス色も強いんです。シスターはシスターで訳アリの過去あり。シスターも主人公も、それぞれが自分の人生を取り戻す、たぶんそんなストーリーなのです。 でもあまりにいろんなジャンルを盛り込んで、いったいどーゆー気持ちで見たらいいんだろうと思っていたら映画が終わってしまいました。 つまり、そんな映画です。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2023-09-20 02:42:43)(良:2票) |
80. セブンス・サン ~魔使いの弟子~
《ネタバレ》 こーゆーRPGのような世界観の映画はハズレも多く、それがわかっていてもついつい見ちゃうのはドラクエ世代だから。ファイナルファンタジー世代だから。このジャンルには心惹かれてしまいます。それに、『この映画はアタリかも』という期待もあります。 で、今作。数多くある同ジャンルの映画のなかでは、どちらかと言えばアタリだと思います。もちろん、この世界観にそもそも興味がない人にまでウケルような、そんな映画ではございません。 野良ゴーストやボガートなどのクリーチャー。あ、スケルトンナイトみたいなのに襲われるのも良かったですね。まぁなぜそんな物騒なモンスターが家のなかにいるんだとか、そーゆー疑問はすべてスルーされていますが。 魔女軍団も、熊や豹や竜に変身したり、4本腕で剣をふるったり、個性あふれるキャラクターたちがなかなか楽しませてくれます。 ヒロインが魔女サイドってのも良い。禁断の恋的な盛りあがり。自分が思春期だったらドキドキしちゃうシチュエーションです。 ヒロイン魔女アリシアを演じるアリシア・ヴィキャンデルさん、とってもキュートで魅力的。主人公のトム・ウォードを演じるベン・バーンズも負けず劣らずのイケメン。まさに美男美女カップル。ラストは二人別れちゃいましたが、アリスがトムの馬に跨って、2人で旅に出るような終わり方でも良かったんじゃないかな。 この映画で難を言うなら、魔使いグループの攻撃のレパートリーの乏しさでしょうか。杖や剣をぶん回すだけ。ときどき投げナイフ。多種多様な魔女軍勢やクリーチャーたちに対し、あまりに貧相。終盤は、ペンダントの力と杖の力がリンクして、杖でつつくだけで魔女の幹部たちが灰になっちゃうチート仕様。せっかく訓練のシーンに尺をとったのに、戦闘面での主人公の成長が感じられないのでカタルシスに欠けます。最後、杖の先からぼっと火が出て、マルキンを焼くシーンはチャッカマンかよって思っちゃいました。 主人公たちにもう少し華のある闘いをさせてほしかったものです。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2023-09-19 14:31:51) |