781. 12モンキーズ
《ネタバレ》 テリーギリアムが、あの世界観を活かしつつも、 サスペンスタッチに挑んだ、一皮むけた作品。 劇中、ヒッチコックの鳥が出てくるが、正統派サスペンスの映画を勉強した跡がある。 これまでの「バンデットQ」や「バロン」とは違い、箱庭ではなく、 街にカメラを持ち出した、後の彼の映画につながる興味深い一本。 女性を描いてる意味でも彼を語る上で、欠かせない。 なんというバッドエンド。 鑑賞後の絶望感とアームストロングの歌の落差が心に残る。 [ビデオ(字幕)] 7点(2022-02-20 01:04:44) |
782. BLUE/ブルー(2020)
《ネタバレ》 映画好きな人間としては、ドラマ性がイマイチで残念だったですが、 ボクシングをしてる人間群像として観れば、よく出来てると思います。 男たちの詩という感じでした。 瓜ちゃん(松山ケンイチ)が、小川(東出)の試合に熱くなっているのを見て、 この人と私は縁がなかったのだと千佳ちゃんが涙を流していたのが、非常に心に刺さりました。 本当は、瓜ちゃんがこれから、どう生きるか、第2の場所で芽が出るか、 またボクシング界に何らかの形で戻ってくるか、そこまで観たかったです。 しかし人生って簡単に答え出ねえんだよ!っていうのが、メッセージだったかもしれません。 [DVD(邦画)] 7点(2022-02-19 02:47:05) |
783. 北斎漫画
《ネタバレ》 田中泯の「HOKUSAI」と比べると、興味深い。 あちらの方は、名作誕生に迫ったものだが、 こちらの新藤兼人の北斎は、老境に立っても、 俄然、創作意欲がわいてくるとこに、結構力点置いてた。 タコと美女の作品誕生に拍手。 老人になってからの魔性の女との再会、若さが欲しいと いいながら、ぐったりなるところに人生の皮肉が感じられて 面白い。 滝沢馬琴との辞世の句の差に、また味わいがある。 馬琴のすました人生と、迫力ある北斎の辞世の句の比が見事。 [DVD(邦画)] 7点(2021-12-23 00:15:40) |
784. デューン/砂の惑星(1984)
《ネタバレ》 えぇ!?あの鬼才ヴィルヌーブがリメイク!そんなに有名なドラマなのか?と思い、鑑賞。 そしたらまぁ80年代のカルチャーがこの1本から始まってたのを、この歳になって知りました(笑) 変態チックな男爵が、高貴な一族をなぶりものにしようとする。 果たして父親はその手にかかるが、復讐を誓う母子が逃げ出した先で、怪獣みたいな虫と遭遇、 その虫と共存する一族とともに立ち上がるというスペースオペラなのだ! なぜ生命の水を主人公が飲む必然性があったのか? なぜ皇帝に戦をしかけたのか? 原作知らない私には、「?」が多かったですが、2時間たっぷり楽しめました。 感心したのが、生命の水で早産した天才肌の妹と、主人公の側近たちの話の中での様々な人生模様。 これぞ!オペラだ!特撮に凝るなら、こんな原作でやってほしい! あ、そうか!だからヴィルヌーブなのか(笑) [DVD(邦画)] 7点(2021-11-25 00:28:18)(良:1票) |
785. 空に住む
《ネタバレ》 よく話がまとまってて、面白かった。 完全役者のこの男は、ホンモノか、ニセモノか・・ それを確かめるべく、多部ちゃんがインタビューに挑む! 最後の質問、あなたの夢は? 「地に足をつけること・・」 それを聞いて、多部ちゃん自らKISS💛 い~ですねぇ。 「僕は君にどうも甘い・・」の編集長も素敵です。 [DVD(邦画)] 7点(2021-11-21 22:25:24) |
786. すばらしき世界
《ネタバレ》 寅さんなら、ドラマの最後には、ポンシユウ達が待っていてくれた。 しかし、令和の今は、そうはならない。 自分でいられない役所演じるミカミは、最後、仲間の成れの果て、ゆくゆくは 自分の未来の姿をみて、死んでしまうのである。 そして、まっすぐなミカミの死を描き切った、このドラマの最後、 画面に「すばらしき世界」と表示される。 我々は、ただ自分たちが正しいのか、正しくないのか、よく分からなくなって、 映画を鑑賞し終わる。 ただ一つ言えることは、今の我々の社会は確実に何かを失った。 それが良いことなのか、悪いことなのかは、やはりよく分からないのだが・・ [DVD(邦画)] 7点(2021-11-06 22:44:32) |
787. 超高速!参勤交代
《ネタバレ》 踊る大捜査線の監督、やるもんだと思ってたら、本木監督なんですね(汗) 本広克之監督と名前似てるから、間違ってた。 いやぁ、この発想、長い時代劇映画の中でなかったんじゃない? 参勤交代そのものを取り上げるって・・ しかもお決まりの7人だし・・ 新鮮でよかった。 え?続編もあるの?こんな地味な素材で、よく続くね~ 陣内一人の大悪ぶりに分かりやすくて楽しめる。 [DVD(邦画)] 7点(2021-10-24 22:52:53) |
788. 初恋(2019)
《ネタバレ》 面白かった! 三池監督がラブロマンス? でも、コッテリギトギトのアクションヴァイオレンスに、 薬物中毒と戦う女性と、ボクサーのカップルを絡ませる。 決して、ほんわかした味わいではないが、祝福を送りたくなるラスト。 ギトギトしてなかったら、日本的なウォルターヒルですよね、三池さんて。 いや、三池は三池だ、と怒られそうだけど(笑) 染谷君、ベッキー、最高のキャラでした♪ ラスト見せ場のアニメーションが、日本版ハーレイクインのベッキーの存在感と重なり、 全然、違和感なかった。 [DVD(邦画)] 7点(2021-10-24 18:26:24) |
789. トリガール!
《ネタバレ》 面白かった。 娯楽映画も進化してるんですね。 飽きさせない展開、個性の強いヒロイン、気持ちのいいBGM。 楽しませてもらいました。 [DVD(邦画)] 7点(2021-10-03 11:14:20) |
790. 裸の十九才
《ネタバレ》 原田大二郎が大きすぎて、中卒に見えない。 なので、高卒の集団就職とばかり思ってた。 後で、DVDのパッケージを見て、そうだったんだと理解。 もうちょっと童顔の少年を起用しても良かったのでは? ただ後半のHシーンの多さに、さすがに純朴な少年の起用は無理だったか・・ 十九歳といえば、「十九歳の地図」という傑作がある。 あちらは共感できたんだが・・ 東京に集団就職、都会の洗練を受けて、あえなくドロップアウト。 心身ともにすり減ってるときに、拳銃を手にする。 そして多数の犯罪。 そうですね。前のレビュワーさんも言われてましたが、誰もがこういう立場になるというのが、ヒシヒシと伝わってきますね。 話は、彼の親のなれそめまでさかのぼり、乙羽信子が熱演してた。 新藤監督と言えば、乙羽信子。 華やかさはないが、手堅い演技で脇を固めていく。 [DVD(邦画)] 7点(2021-09-19 17:24:12) |
791. さらば愛しき大地
《ネタバレ》 柳町監督作品が好きだ。 中上健次と組んだ「十九歳~」「火まつり」が特に好きだ。 さて、本作は・・ モンスターのようなダンプに乗って、上から見下ろすような立ち位置が 主人公の気持ちをよく表している。 子を失った悲しみのあまり、浮気をし、やがてシャブ中になっていく。 観客はいたたまれない気持ちのまま、秋吉久美子と同じ目線で、 この根津の演じる男をただ見守るしかない。 段々ラストになるにつれ、根津の目力が変わっていくのがスゴイ。 この変化がわかりやすいように、木村拓哉にも似た目力の強い根津を選んだのではないか? 柳町監督の新作が観たい。 [DVD(邦画)] 7点(2021-09-18 16:13:53) |
792. 鵞鳥湖の夜
《ネタバレ》 「薄氷の殺人」に続く、ディアオイーナン待望の新作。 犯罪者が警官から逃げて、夜の街を謎めいた女性とさまよい歩き、ついに銃撃戦のあとに朽ちる。 いわゆるフィルムノアールというやつだ。 古くは「灰とダイヤモンド」「第三の男」から始まる、魅せる映画の一つの在り方だ。 ※ただし、フィルムノアールの定義は定かではないようです。 本作も、実に渋い。 前作同様、静かなキレのあるアクションシーンで締める。 ただ、アジア映画らしく、ドタくさいのだ。 主人公が、最後、中華麺を貪り食うとこなんか、アジアンノアールなんだね。 [DVD(字幕)] 7点(2021-08-14 17:50:01) |
793. 燃ゆる女の肖像
《ネタバレ》 最初はとまどった。 エマトンプソン寄りの顔なのか、ジェレミーアイアンズ寄りの顔なのか。 ハタと気がついた。 そうか、これはLGBT女優の起用だ。 むむ、けしからん・・ しかし、これも今の時代、アリなのだ・・ 女性の想う永遠の美少年を形にした映画なので、これは高評価・・かな? 美少年ってやがて腐るから、こういう形もあり・・かな? でも、ちょっと疑問が残る。 それは、ちゃんとLGBTという形で映画にしたら、恋愛にならないものを映画にしてるから、だと思う。 キワモノ映画になるか、どうかのスレスレだからだ。 評価は、個人によって分かれるだろうなぁ・・ 個人的には、こういう題材なら、ベルトルッチの「ドリーマーズ」の方が上だと思う。 [DVD(邦画)] 7点(2021-08-14 01:19:09) |
794. 喜劇 愛妻物語
《ネタバレ》 監督は自分のことを書いたんだろうか? 面白いけど、あざとい気もする。 大久保みたいなキャラはそうそういないので、 あり得そうで、あり得なさそうで、やっぱりありそうな話。 濱田岳が最高にはまり役。 ひょっとして、この役をやるために、俳優になったのでは? と、思えてしまう。 ちょい昔なら竹中直人が演じていたところだが・・ [DVD(邦画)] 7点(2021-08-10 23:40:31) |
795. リリイ・シュシュのすべて
《ネタバレ》 [DVD(邦画)] 7点(2021-07-20 01:20:43) |
796. ある映画監督の生涯 溝口健二の記録
《ネタバレ》 興味深い! あらゆる名監督のこういうドキュメンタリーが残っていたら、 後世、その監督の映画を観直すとき、かなり分かりやすく勉強になる。 今、活躍中の監督たちのドキュメンタリーも、後世の映画ファンのために残すべきではないだろうか? それにしても何と喜々と映画について話すのだろう。 溝口の痴情のもつれから、背中をカミソリで切られるとこから、 晩年の田中絹代との噂の真相まで、実に興味深い。 田中はこう言ってる。 「(溝口は)田中絹代に自分の惚れてる女性像を演じさせて、その「女性」に惚れてる」 何より女性映画の名手が、溝口の上司の村田実が男性映画の名手だったため、 会社側から女性映画を撮るように言われてから始めたという出発点は驚きである。 「楊貴妃」では、自分の分からぬ異国の上流階級の女性を描くにあたり、 イライラが募り、美術や女優にあたっていたというのは、とても今では問題になる話である。 しかし「雨月物語」を筆頭(私はそう思っているが)に、名作を数々生み出した 巨匠の実情は、凡人の自分にはホッと一息つけてしまうのであった(笑) 追伸)伊藤大輔ファンの自分には、おお!これが伊藤監督か!という映像があるのに感激♪ [DVD(邦画)] 7点(2021-07-18 22:43:22) |
797. 薄氷の殺人
《ネタバレ》 雪国の閉塞した町。 遠い汽車の鳴らす音が、寂しさを感じさせる。 そんな地域での殺人事件である。 この雪国と汽車、これが上手く話しに盛り込まれている。 どこか「ファーゴ」を思い出させた。 何でだろうと思ったら、雪国のため、派手なアクションシーンがないのだ。 静かな町での、やはりここでも非情な男の存在のための、 貧しい男女が泣いてることから始まった話だった。 楽しみな監督が出てきた。 [DVD(字幕)] 7点(2021-07-17 15:51:14) |
798. ロング・ライダーズ
《ネタバレ》 何と言っても、デヴィッドキャラダインの、娼婦をめぐって、 インディアンの旦那と喧嘩するシーンが光っている。 口にお互いタオルのような紐をくわえて、ナイフで斬り合うのである。 ウォルターヒルの演出が光る、彼の喧嘩場面の中でも光っているシーンであろう。 ジェシージェームズという実在の強盗たちを描くことが中心で、 話は登場人物が多すぎて、冗長であるが、面白い。 [DVD(字幕)] 7点(2021-07-10 23:26:27) |
799. あしたのジョー(2010)
《ネタバレ》 物語りは、ウォルターヒルの世界観に近いBGMでドヤ街から始まる。 刑務所でのボクシング試合といい、まるでヒル監督の「デッドロック」。 おなじみの話が続くのだが、キャスティングがいいですね。 とくに香川照之の丹下は、見応えあります! [DVD(邦画)] 7点(2021-07-10 20:06:04) |
800. レヴェナント 蘇えりし者
《ネタバレ》 「バードマン」でもそうだったけど、アレハンドロ監督は、カメラが被写体に寄りますね。 だから、痛いシーンも自然の厳しい環境も、観客である我々にビシビシ伝わってくる。 復讐ものではあるが、見せ場は何度もひどい目にあって、そこからの起死回生である。 時にはインディアンに助けられたり、時には知恵を使って・・ それにしても冒頭のグリズリーに襲われる場面はどうやって撮影したんだろう? あと愛息子の殺される場面で自分は何もできないシーン。 ちょっと「時計仕掛けのオレンジ」のアノ場面を思い出します。(それほど酷い) [DVD(字幕)] 7点(2021-07-03 21:26:02) |