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 > アンドレ・タカシ さんの口コミ一覧。40ページ目
アンドレ・タカシさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2127
性別 男性
自己紹介 2022/3/26に以下のような自己紹介文をアップしました。
ロシアのウクライナ侵攻が始まってひと月経過。
映画は観ていますが、侵略戦争のせいでレビューする気になれません。
私の映画レビューと戦争は直接関係しませんが、
楽しく文章を考える気分じゃない、ってことですね。
ロシアが撤退するか、プーチンがいなくなったら再開します。


そして、
侵略戦争が膠着状態に入り、
いつ終わるか識者にも判断できない状況になりました。
まぁ正直、痺れを切らしたので、レビューを再開します。
ウクライナ、頑張れ!

2024年3月17日更新

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781.  影の車 《ネタバレ》 
このところ、松本清張原作の映画をまとめて何作か観た。自分は「鬼畜」「天城越え」や今作のように、子供や少年の心理を描写した作品に魅かれました。起こる事件の社会性という意味では「砂の器」や「ゼロの焦点」などに比べてスケールダウンするが、パーソナルな事象を扱った作品の方が軒並み高質だと思った次第。さて今作。子供の虚飾のない感受性に晒されると、大人たちの事情はどうしようもなく自分勝手で穢れて感じられる。子供の視線はその後ろめたさを写す鏡でもある。だから加藤剛は子供を問い詰められないまま、ずるずるを恐怖を募らせて行った。子供の純真に怯える不倫スリラーってところだろうか。そんなテーマとは別に、岩下志麻ってこんなに美しい人だったのかと感嘆! 自分が映画に興味を持った頃にはすでに姐御肌スタイルが定着していた感があり、今作のような献身的で可愛いタイプの芝居は観た記憶がなかった。露出が多い訳じゃないが、脚線から伺えるスタイルの良さも逸品。実は岩下志麻だけで得した気分でした。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2010-03-01 21:08:58)
782.  地球が静止する日 《ネタバレ》 
60年ほど前のオリジナルに続いて観賞。設定は似ているけど、テーマは全く別の映画です。オリジナルは宇宙人のクラトゥが「ケンカは止めなさい」と言いに来た映画だったが、今作は「こんな害虫、滅ぼしてしまえ」を実行する映画です。私はオリジナルと同じくらい面白かったけど、ここでの評価は低いですね。自分にとってツボだったのは「複雑な生態系が育つ環境は貴重」という理由で人類の抹殺を決めたクラトゥの判断基準です。お前に何の権利が、とも思うが、言いたい内容には激しく同意する。ちょっと話が逸れるが、産業文明が発達して、わずか数十年で地球の環境は大きく変わった。汚れた、と言っても良い。それ以前は、何千万年も、あるいは何億年も美しい環境だったはずなのに。それを真摯に警告している人も少なくないが、巷に溢れるのは大手企業の宣伝文句としての環境保護。あんなものはホントにただの宣伝文句で、何の役にも立ちませんよ。本気で地球環境を元に戻したかったら、人類が一度滅んでしまうくらいじゃないと駄目だと、自分は真面目に思っている。あるいは、自動車を一切使わないとか、電気を一切使わないとか、それくらいの思い切りがなければ無駄な足掻きだ。もし、思い切ったテコ入れが出来る者がいるとしたら、責任を負う必要がない宇宙人くらい。不謹慎に聞こえるかも知れないが、映画の中でクラトゥがそれ実行に移したことは自分には爽快だった。この映画がダメな部分はクラトゥが翻意した理由の曖昧さと、米国の国防長官だけでクラトゥに対応する傲慢を無理矢理に演出したことだ。特にクソガキとしか思えない少年と血の繋がらない母の関係に希望を見い出すような作り方は、適当にヒューマニズムを見せれば観客が納得するだろうと馬鹿にされた気分で、「複雑な生態系が…」に比べると説得力皆無。あの局面で宇宙人が論理的に納得できるような理由があったなら、映画としてはさらに良い出来になっていたはず。でも、そんなものがあったら、自分は先述したほど人類の行く末に絶望していないだろう。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2010-02-24 01:20:54)(良:1票)
783.  地球の静止する日 《ネタバレ》 
60年前の映画ながら、最後まで興味深く鑑賞できる。宇宙人・クラトゥのキャラクターに対する興味でストーリーがぐんぐんと引っ張られる。現代ではCG技術を駆使した派手なスペクタクル表現が本流になっているSF映画だけど、本来の魅力は未知のものに対するワンダーや期待感であることを再認識しました。高速で飛ぶ円盤や破壊光線を発するアンドロイドも出てきますが、この映画の見どころは別にある。観賞側からは宇宙人と知れているクラトゥとそれを知らない地球人との会話や、宇宙人の目から観た地球人の価値観表現に引き込まれる。展開が容易に想像出来ないという意味で、SF的な好奇心をそそられます。よくよく考えると「スタートレック」の最初のテレビシリーズなども、カークやスポックが今作と同様に会話劇としてSF的な面白味を演出していたのだと思い至りました。二次大戦終結から数年後の作品なのに、すでに冷戦構造下の国際情勢への危惧や、核が従来兵器と決定的に違う意味合いを持つことをメッセージとして残していることも慧眼と言える。一部のデザインやファッションには古さを感じますが、面白さと見応えに古さはありません。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2010-02-24 01:02:52)
784.  ダーティハリー 《ネタバレ》 
ハリー・キャラハンの職業意識の根底にあるものは「正義」というより「怒り」である。この怒りが犯罪者だけではなく、犯罪を生む社会全体に均等に向けられているように感じられる。劇中でダーティハリーの由来を同僚に尋ねられて「汚れ仕事が多いからさ」と答えていたが、違うと思う。彼がその怒りを捜査に持ち込むと、自然とダーティな領域に踏み込んでしまうからだ。それは矛盾した制度や世の中に対する強烈な皮肉である。派手な刑事ドラマが多い中で錯覚している方もいると思うが、警察が行うことは検挙までであって刑の執行ではない。その意味で怒りに任せてスコルピオを撃ち殺したことは明らかに行き過ぎ。あれこそがダーティであるが、鑑賞者の目には正当に映る。ある意味、危険な映画とも言える。ラストで警察バッジを投げ捨たことは、制度に対する怒りなのか、その制度に収まりきらない怒りへの自己嫌悪なのか…。いずれにせよ正義とは言い難い決着の付け方は、世間の鬱憤を肩代わりして晴らしているようで、ネガティブな感情を昇華させてくれる。アンチヒーローのひとつのお手本。
[地上波(吹替)] 6点(2010-02-20 16:39:38)(良:1票)
785.  インビクタス/負けざる者たち
スポーツものは動感を感動へ繋ぎやすい題材。わだかまりがある関係を繋ぐものは共通の目的。そんなモチーフを国家規模で見せてくれます。ベタな手法だけど、上手くまとめている。反目していた者たちが喜びを分かち合うシーンには胸が熱くなる。モーガン・フリーマンって、何気にネルソン・マンデラ氏に似ている。それはけっこう大事なことだったと思う。マット・デイモンは最近の他の映画で太ったなぁと思っていたんだが、この映画のためだったのかな。その体格的存在感も含めて好演でした。マンデラ氏の赦しの精神は、マット・デイモンがひとりで肉付けしたようなものでした。マンデラ大統領の時代に比べて、今の南アフリカはかなり荒んでいるようです。殺人事件と強姦の発生率が世界最悪で、国民の4人に1人がHIV感染者って異常です。今作のラグビーワールドカップが和解への契機になったように、今年のFIFAワールドカップが治安好転への契機になることを願います。監督の想いは、この国に再び世界の目が向くことにもあったように思います。
[映画館(字幕)] 6点(2010-02-18 01:32:26)(良:1票)
786.  涙そうそう 《ネタバレ》 
「タッチ」「ラフ」と立て続けにあだち充作品に登場した長澤まさみ嬢。今作はタイトルこそ違え、中身は「みゆき」でした。同居を始めて薄着で兄の眼を楽しませるところなんてそっくりだ。血の繋がらない兄と妹が、男と女になるのか、それとも兄妹のままなのか。それがいちばん難しく見応えのある命題だと思っていたのに、安直な病死で投げ出してくれました。勿体ない。後半はそこをテーマに構成して決着を付けてくれたら、名作になる可能性を秘めていたのにね。タイトルを変更してでもチャレンジすべきだったと、あえて言っておきます。主演の二人の演技は良かった。今作の長澤まさみは高校1年生から大学生2年生までを微妙に演じ分けていて、すこし感心。自分にあんな妹がいたら人生が変わってた。でも、あのにーにーをやる自信はまるで無し。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2010-02-15 19:36:16)
787.  ALWAYS 続・三丁目の夕日 《ネタバレ》 
前作が好評だったので2作目は作りにくかったと思うのだが、悪くない。やっていること自体は1作目のバリエーションでしかないけど、素直に引き込まれた。現代劇としてこんな赤面人情ものを見せられたら、たぶん辟易するのだろうが、「時代劇」にすることで一種の寓話として咀嚼できるのだと思います。「TOHO SCOPE」から始まるゴジラのオープニングは迫力ありましたよ。本家ゴジラ映画より良く出来ている。新作を作るときは山崎監督、よろしく(たぶん本人もそれを狙っているのでは…笑)。 あっ、その前に実写版「ヤマト」という大仕事がありますね。期待しています。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2010-02-11 02:33:51)
788.  レッド・サン 《ネタバレ》 
これ、子供の頃に初めてテレビで観て以来、番組表などで目にする度に必ず観ているタイトルです。何だかニッポン人として嬉しい映画なのね。「ラストサムライ」の何十年も前に、しっかり武士道の精神を表現しようとしたアチラの映画があったことは、今にして思うと奇跡的。技を極めた武士としての三船敏郎の描写に不満はないし、何よりブロンソンやアラン・ドロンに対して存在感で負けていないところが嬉しいのだと思う。先日久しぶりに観て、ブロンソンの奔放さや柔軟な対応力みたいなものを武士道と対照させる狙いがあったことを感じました。どちらが優れているということではない。思想や文化の違いを、それぞれをリスペクトしつつ描こうとしたのだと思います。それは、三船とブロンソンが、道中でお互いを徐々に認め合うストーリーとして心地よく映される。生き残ったブロンソンが、三船の生き様に敬意を払っていたことを感じさせるエンディングには爽やかな風を感じました。
[地上波(吹替)] 6点(2010-02-10 22:37:39)(良:2票)
789.  羅生門(1950) 《ネタバレ》 
今回、デジタル技術で復元された「デジタル完全版」なるバージョンをハイビジョン放送で観たのだけど、この作品の映像の素晴らしさには改めて見入ってしまった。アングルの切り取り方。動感と静寂のバランス。モノクロならではの光と影の美しい階調。名カメラマンと言われる宮川一夫氏の手腕がいかんなく発揮されていると思います。自分は勝手に、黒澤映画の多くは宮川氏の撮影によるものを思い込んでいたのですが、記録を辿ると今作と「用心棒」だけでした。映像的には稀代の才能がタッグを組んだ稀少作品ということですね。映像のレベルに言及されている方はたくさんいらっしゃいますが、この「デジタル完全版」のハイビジョン視聴はオススメです。ストーリーの方は、いきなり志村喬の親切で結ばれる流れに、初めて観た学生時代から食い足りなさを覚えています。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2010-02-06 14:56:04)
790.  ビルと動物園 《ネタバレ》 
主演は坂井真紀。「実録・連合赤軍」が良い例だけど、最近観た彼女が出ていた映画はほとんどがイタイ役回りだった。映画界がよってたかって彼女をいじめているような印象。いつの間にこんな芸風の女優さんになったのだろうと思っていたところで、この主演作を観ました。あらら、相変わらずイタイ役だ。30歳手前のOLと卒業間近の音大生のラブストーリー・・・らしい。というのは、20代の男女の恋愛モノといえるような描写がほとんど有りません。コミュニケーション下手で地味な二人の生活が連なります。音大生が窓拭きのバイトをしていた「ビル」で出会い、初めてのデートが「動物園」ということから付けたと思えるタイトルは作品世界を何も象徴しない適当さで、映画全体がその覇気の無さで支配されている(って、ちょっと言いすぎか…笑)。でもこの起伏が少ない映画、自分は好きです。口当たりの良い演出を入れようなどとは微塵も思っていない重さと暗さが、主人公の現実だと思うし、本当にそれを淡々と切り取るだけですが、小細工がない分、痛みがリアルに届けられます。男の自分より、同性の方こそ共感する部分があると思います。劇的な展開が無いストーリーに苦言を呈する方もいるはずだけど、製作者はそれを確信犯でやっているので良しとしますね。ということで、自分の中では坂井真紀がますますイタイ女優として定着してしまいました。応援していますので頑張ってください。彼女の父親役の渡辺哲さんが頑固で嫌なおっさんなのだけど、このお話では重要な役割を演じていて、その存在感が光っていました。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2010-02-03 23:43:07)
791.  U-571 《ネタバレ》 
ドイツ軍の暗号機奪取を描いた戦争サスペンスと同時に「船長」の資質を問う作品でもあった訳だけど、ストーリー的に成功しているかというと、まあまあという程度でした。「船長」の資質に関しては、結果としてそれらしく見えたけれど、マシュー・マコノヒーが船長らしくないこともあって無理矢理な印象が拭えない。でも、全体としてはそこそこ観られたのは舞台が潜水艦だからだろう。話は逸れるが、潜水艦映画に駄作は無い、と言われる。その理由を考えてみた。艦外が見えないことで神経が搾られるような緊張感が容易に演出できるから。狭い場所に人が密集することで人間関係の起伏が作り易いから。動感に乏しく閉塞的な艦内描写と開放的な海上描写のバランスが良いから。人が根源的に持ってる閉鎖環境への恐れなども関係しているような気がする…。こんなところでしょうか。今作はその「潜水艦」に助けられた映画って感じでした。
[ビデオ(字幕)] 6点(2010-02-03 02:42:13)
792.  機動戦士ガンダムII 哀・戦士編
初回放送当時、黒い三連星とあだ名される三機のドムとガンダムの闘いは、過去のロボットアニメの戦闘シーンを全てひっくるめても、ダントツのトップにランクされる見応えがあった。今もなお、パロディとして使われているのを見るにつけ、当時の衝撃がうかがえる。いつも汚いジーンズを履いていた大学時代の友人のヤマグチは、テレビシリーズのこのシーンで「かあちゃん、来てみな。ジェットストリームアタックだよ!」と、母親をテレビの前に呼びつけて一緒に観たと言っていた。ずん胴で鈍重に見えるドムが素晴らしい機動力を持った機体で、黒くペイントされたシンプルなボディが、何色にも塗り分けられたガンダムなんぞより、よほど機能美に優れていた。しかも、先述のジェットストリームアタックなる必殺技まで持っている。「ガンダム」に登場したモビルスーツで、必殺技を使用したのはこの三連星だけだろう。だが、そのジェットストリームアタックを持ってしても、ニュータイプへの覚醒を始めたアムロ@ガンダムは倒せなかった。結局は主人公の引き立て役になってしまったけれど、私はドムと黒い三連星(ガイア・マッシュ・オルテガ)に敢闘賞&技能賞を贈ります。ちなみに三連星に亡き者にされたマチルダ中尉には助演女優賞を贈ります。今作では、テレビシリーズと比べてドムの凄みが少し薄れて見えたことがとても残念でした。こりゃ、ガンオタ丸出しのレビューだね。赤面。
[映画館(邦画)] 6点(2010-01-31 04:03:39)(良:1票)
793.  ハタリ!
広大な大地を駆けるキリン、シマウマ、サイ、バッファロー。その姿だけでも見る価値ありました。ストーリーに深みや重みはないけれど、可笑しみと大らかさに満ちた映画でした。改めて、ジョン・ウェインは広い場所が似合う人ですね。骨太な人柄も舞台にはまっています。この作品には翳った部分が微塵もない。悪人が出てこない映画って貴重ですね。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2010-01-29 21:58:26)
794.  マーヴェリック
なんてこと無いところがいい映画、かな。徹底してお気楽に話が進んで行くんだけど、それが最後まで不快にならずに観られるという意味で、自分にとっては珍しい作品とも言える。バブルがはじけて四苦八苦していた我国と対称的に、景気が上向いてきた頃のアメリカって背景もあったのかな。 この監督、とても人や世の中が好きなんだなと思います。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2010-01-24 03:04:10)(良:1票)
795.  薔薇の名前 《ネタバレ》 
原作は未読ですが、前半は記号学者でもあるウンベルト・エーコらしい組み立ての推理劇で、名探偵さながらに理知的なショーン・コネリーの好演が光ります。でも後半は少しトーンダウンしました。事件の謎は解かれるが、その原因となった禁書が焼失するドタバタの中で濁流に流されるように終幕する。キリスト教の教義に関わる内容なので、証拠を残さないフィクションに収める必要があったのでしょう。願わくばショーン・コネリーの謎解きで、これぞ快刀乱麻って具合にまとめて欲しかった。まぁ、ジャン・ジャック・アノー監督はそんなタイプじゃないんですが。この監督の映像の多くは、その土地の土が匂っているような錯覚を覚えます。本作はそれが顕著でした。男しかいない修道院の不健全な空気や、薄汚れた衣類など、たぶん中世ってあの通りの見え方だったと思う。それが冷たく湿った土の匂いと一緒に世界観としてまとまっている。いかにもペストが流行して人が死にそうな印象です。その不潔感だけでも観る価値はありますね。「薔薇は神の名付けたる名。我々の薔薇は名も無き薔薇」という意味深なテロップで映画は終わります。この言葉は、原作的には中世の論争にまで遡る思索的意味合いが込められているらしいのですが、映画を観る限りは宗教教義の建前と現実世界との乖離を表現していると解釈しました。劇中の魔女裁判的な異端審問が良い例です。
[ビデオ(字幕)] 6点(2010-01-24 02:47:20)
796.  ワールド・オブ・ライズ 《ネタバレ》 
前半は、対テロ戦争とはどういうものかを見せてくれる。後半はテロ戦争の騙しあいの構図に巻き込まれる主人公の受難。良い役者としっかりした演出でそれなりには見せてくれるんだけど、全体の印象はそれなり止まりかな。自分の不満はテロリスト側の描写ですね。異教徒は皆殺しってノリだけで、どうも薄い。敵側の理屈に説得力がないと、たとえ酷い拷問に掛けられても主人公が生還することは見渡せていて、結果としてメッセージ性が弱くなります。個人的には、ジハードの戦士として自爆テロを命じられ保護を求めてきたイスラム教徒の内面とか興味あるんだけど、その辺りはあっさりスルーでした。ディカプリオはいい演技をしていますが、あんな仕事をやりながら現地女性を好きになっちゃまずいでしょ。ストーリーに沿って中東の国々をいくつも駆け回ってくれるおかげで、ちょっとした中東旅行気分が味わえる映画でもありました。それにしても、リドリー・スコットは相変わらず少しサディスティック。そろそろルーツに戻って骨太なSF映画に挑戦して欲しい。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2010-01-18 01:24:59)(良:1票)
797.  築地魚河岸三代目 《ネタバレ》 
結果だけを追うと、2組のペアがプロポーズに至るまでのドタバタ。話はかなりベタだけど、馬鹿らしいと思うかどうかは観る人による。そんな中で極めつけにベタな台詞だけど、主人公の商社の元上司が言った「自分の気持ちに正直になることが一番の幸せ」が自分には響きました。それは劇中と同様に、自分が現在の不況にどっぷり浸かっていることと無関係ではない…。田中麗奈は個人的にはあまり好きな女優じゃなかったのだけど、今作は良かったです。演技に幅が出て来た印象です。森口瑶子はエンドロールを見るまで安めぐみと思い込んでいました。すみません。魚河岸に関してですが、東京に住む自分ですら別の世界があるなぁと感じた次第。別世界を見せてくれるという意味では「アバター」と同じで、映画の楽しさの原点みたいなものを少し感じました。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2010-01-17 13:27:20)
798.  炎628 《ネタバレ》 
二次大戦を描いた映画の中でもソ連側が舞台になっているものは「スターリングラード」くらいしか観た記憶がなかったが、こちらはソ連の村、現在のベラルーシが舞台。詳しくは読み取れませんでしたが、その地域はドイツに占領されていて、民兵によるゲリラ戦が展開されている様相。その抵抗勢力に対してドイツ軍が行ったことが、ゲリラ戦に参加した少年の目を通して描かれます。DVDの映像特典では、スターリングラードの攻防を実際に体験した監督が、破壊された都市の悲惨な記憶を残すために製作したと言っていましたが、映画を観た印象はちょっと違います。この映画には戦闘という意味での戦争はありません。戦闘に参加していない市民を殺すドイツ軍が描かれています。ゲリラ掃討の作戦行動として、拠点となる村をチェックするのは当たり前だけど、非戦闘員までも無差別に殺すドイツ軍。その様が、娯楽を楽しんでいるかのように映ります。そこにはヒットラーの方針とか、ドイツ軍の軍規とか、戦略的な意義などは見えません。戦争という非日常でルールに規制されなくなった人間が何者になるのかが浮き上がります。残酷、残虐、非道、それとも非人間的。どの言葉も陳腐に聞こえる行為でした。場所が変われば、ソ連軍も似たようなことをやっていると思うし、当時の日本軍も同様だったのでしょう。今作は反戦映画とは思わないし、当時のドイツ軍の行いだけを糾弾しているとも思わない。種の存続以外の理由で他の生物や同属までも殺せる種族、人間。その特殊な存在を描いた映画だと思いました。本当に神の怒りがあるのなら、地上から人間がいなくなっても不思議じゃない。邦題の数字はドイツ軍に蹂躙された村の数とのことです。
[DVD(字幕)] 6点(2010-01-12 03:35:23)
799.  クレヨンしんちゃん ヘンダーランドの大冒険 《ネタバレ》 
「雲黒斎」「戦国大合戦」を観て、自身のクレしん映画3作目。日常生活の流れの中で事件に巻き込まれるしんのすけ。たぶん、これが普通の「クレヨンしんちゃん」の世界観なのでしょう。日常感を損なわないファンタジーの中に、不安や勇気や冒険や笑いが上手に織り込んであって、子供にも安心して見せられる作品でしょう。両親を救うために埼玉・春日部から群馬のヘンダーランドへ一人で乗り込む道程描写に好感を持ちました。「初めての救出」ってところでしょうか。ス・ノーマンはかなり丁寧に作り込まれていて、「作戦タイム!」「認める!」のテンポの良さはケッサク。悪役とはいえ味が有り過ぎると思っていたら、ちゃんとオチがありましたね。そして、最後は家族で協力するところがやっぱり良い。なんだかんだ言っても、あの一家の絆がいちばんのテーマだと思います。どなたも言及されていませんが、ラストのチェイスは「長靴をはいた猫」へのオマージュ? 未見の方は是非そちらも観て欲しい。あの追いかけっこの原型が見られます。また、ありきたりな形容で申し訳ないけど、ぶりぶりざえもんの塩沢兼人氏はいい味でした。めっきり声優事情に疎くなった自分は、塩沢氏の逝去を↓で初めて知りショックを受けました。アニメ好き中年の自分には、癖のあるキャラクターを演じた声優として刻まれている方です。今さらながら合掌。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2010-01-05 02:48:35)(良:1票)
800.  永遠のこどもたち 《ネタバレ》 
ちゃんと怖いし、それ以上に悲しいお話でした。霊の存在の有無をとやかく言うことに無駄な時間を使わず、子供の霊とのコンタクトに執着する描写で母の愛情の深さを滲ませています。そこに主人公の過去と、昔に暮らした施設を絡ませる構成は緻密で深い。とても上質なミステリーホラーです。ギレルモ・デル・トロは「パンズ・ラビリンス 」で死後の世界に安寧を求めました。今作も結果としてはそこに至っている。彼は死後の世界を信じてる人なのでしょう。それは中途半端に現世に希望を描くより潔い姿勢だと思います。悲しい終わり方に説得力を持たせる手法は、彼独特の世界ですね。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2009-12-28 22:30:07)(良:1票)
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