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鱗歌さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 3885
性別 男性
年齢 53歳

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841.  海峡
高倉健と吉永小百合、二大スターを主役に据え、青函トンネル工事という題材にかこつけて実際は二人の男女の恋愛を描いた人間ドラマ・・・かと思ったら、これが正反対。壮絶な工事の模様を描いたスペクタクル路線の映画で、もう、小百合さんなんかそっちのけ。物語の発端から関わってくる三浦友和なんて、普通ならかなりのキーパーソンのはずなんですけれども、惜しげもなく雑魚キャラへと追いやられてしまってて。かろうじて「オヤジ」こと森繁久彌は、存在感を出すことを許されておりますが、まあとにかく、トンネル工事の映画です。ひたすら、湧き出てくる水との戦い、かなり大がかりなセットを組んでいるようですが、実際のトンネル工事現場でのロケ撮影もあるのでしょうか、とにかく臨場感はかなりのもの(実際の工事中に映画が製作され、映画の中でトンネルが貫通してから間もなく、実際のトンネルも貫通)。 トンネル内だけではなく、吹雪などの厳しい大自然もみどころで、『八甲田山』ふたたび、といった趣きも。いい「画」をとるためならば、たとえ火の中、水の底。俳優もスタッフも体張ってます。シケの中、小船が荒波にもまれているシーンからして、かなり危険な香りが。 終わりの方の居酒屋で、健さんと吉永小百合が二人きり、ここだけとってつけたように恋愛ドラマになってて、ちょっとヘンなんですけれども、それよりも、トンネルが貫通して涙する健さんに、猛烈に違和感を感じてしまうのは、何なんでしょうね。健さんだってそりゃ、泣くときもあるんでしょうけれど。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2020-04-06 20:59:33)
842.  七人の無頼漢 《ネタバレ》 
B級西部劇の魅力満点の作品、これは拾い物。 初老の保安官と若い夫婦連れが、ひょんなことから道中を共にすることになるのですが、その一行にさらに、ヤな感じのチンピラたちも加わってきて。いろいろと過去が絡んでくることでオハナシが膨らんできます。ようするに無法者たちに妻を殺された保安官の復讐譚、いわば過去の物語なんですけれども、こうやって様々な登場人物が加わってくることで、物語が現在進行形で進んでいきます。何だかアヤシイ人間関係、中でもチンピラ役のリー・マーヴィンが、一癖もふた癖もあって、何を考えているのか、何をしでかすのか、予測不能。自由自在に銃を捌いて見せる手つきが、またアヤシイ。 おまけに夫婦連れの若奥さんと初老保安官が、何となく憎からず、という関係にもなってきちゃったりして、旦那の方はもう全然存在感ないよね、なんて思ってたら、実はとんでもないキーパーソンであることがわかってきて、また物語に大きなうねりを加えるとともに、なかなかオイシイところを持って行ってしまったり。 こういう無責任スレスレの展開が、やっぱり魅力ですよね。 カメラもB級の無責任さを最大限発揮して、多くの見せ場を提供してくれます。奥行きや前後の動きを多分に取り入れる大胆さ。酒場を訪れたリー・マーヴィンが相手に銃を突きつける場面の細かいショットなんて、「俺たちに明日はない」の終盤のシーンすらも彷彿とさせるではないですか。 恐るべし。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2020-04-04 15:26:05)
843.  寄生獣 完結編
私、ほとんどマンガ読まないんですけど、この「寄生獣」は大学時代の研究室に先輩が買ったのが転がってて、夢中で読みました。コミック最終巻の発売は先輩の卒業後だったので私が買って寄贈してきましたが。 で、当時は「まるでターミネーター2みたいだけど、コッチの方が面白いんじゃない?」ってな会話を周囲としていた程度だったんですが、私が認識していなかったのは、実は「ターミネーター2の公開より、寄生獣の連載開始の方が、ずっと先だった」ってことなんですね。この映画化にあたって、後藤さんとの対決シーンの舞台を紅蓮の炎の中に設定したのも、何やら意味ありげ、まるで「マンガ」と「ハリウッド」を両方、ここに取り込もうとしているかのような。こういうアレンジは賛否両論あるとは思いますが、劇的な盛り上がりとなっていて私は結構、好きです。映画化にあたっては、2本分の尺を使いつつ、取捨選択しつつも、全体としてはやや原作に引きずられ過ぎ、盛り込み過ぎで、少し消化不良な感じもあるんですけれど、でも、1作目もこの完結編も、ここぞという場面では大胆にアレンジを加えて、映画ならではの見せ場になってます。 ただ本作、ちと後藤さんに冷たくないですかね。もうちょっと活躍させてあげて欲しかった(笑)。三木さんの挙動不審が印象的なのは、これはどうやらホントにヤクをやっていたみたいなので、とても太刀打ちできませんけれどね。でも、作品自体の関心が、我らがヒーロー・後藤さんよりもむしろ、しがない親父・倉森の方に向かっているようなところがあって。「倉森vs田宮」が、一番のクライマックスでした。
[DVD(邦画)] 7点(2020-04-04 14:31:57)
844.  ジャンヌ・ダルク(1999) 《ネタバレ》 
最初の方は結構、イイなあ、と思ったりするんですけどね。少女時代の主人公が、イギリス軍の焼き討ちを目撃する場面。この少女、もともと、信心深いというよりは神がかり的な、少なくとも相当レベルに浮世離れしたところがあって、見てる我々もそういうもんだと思って見ていると、突然走ってくる狼の群れが不穏な空気を漂わせ、そして唐突に目前に現れる、放火と虐殺。一体何がおきたのか、何が現実で何が非現実なのか、という衝撃。 導入部としてはもう、「ツカミはOK」なんですけれども。 ただ、成長した主人公が戦乱に身を投じる主部に入ってくると、合戦シーンにイマイチ乗れなくって。それなりにエキストラを動員してそれなりの物量を投じていることはわかるんですけど、こうも接近した撮影が続くと、やっぱり規模感が希薄になっちゃう。もしかして大半のシーンは少人数・小面積で、チマチマ撮ってるんじゃないの~とか思えてきて。やっぱりもっと、引きの映像での規模感とか、距離感を伴った動きとか、取り入れて欲しいなあ。 主人公をいちいち迷わせることなく「信念の人」として描いているのも悪くないと思うのですが、それが終盤に揺らぎはじめる。これはこれで確かにひとつのアプローチ、ではあるんでしょうけれど、物語としての魅力には、やや欠けている気がして。「神が英国人を殺すことをそそのかすなんて、やっぱりヘンだよね」と、英国マーケットを気にして日和ったのかどうか、それは知りませんけれど、いずれにせよ、映画自体が急に主人公と距離を取り始めたようなよそよそしさを感じさせて、違和感、あるんですよね。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2020-04-04 13:26:39)
845.  パパはわるものチャンピオン
製作委員会に新日本プロレスと親会社のブシロードが名を連ねており、要するにこの企画、映画をダシにしてプロレスやりたいだけなんでしょ、とか思っちゃうのですが(実際、新日の選手が多数登場してプロレスを披露するのですが)、これが意外に、ドラマ部分がたっぷり盛り込まれていて。正直、もっとプロレスを観たかった、という気が。ははは・・・。 ドラマ部分が多いのはいいんですけれども、「わかりやすさ」重視のあまりに、いささか描写がクドい。これがちょいと残念。ちょいとゲンナリ。「ああ、さっきのエピソード、さっきのシーンが、ここに繋がるのね」ってのは、見てりゃ誰だってわかるのに、いちいち、わざわざ、それを回想シーンの挿入で「復習」してしまう。だんだん、もう回想なんかしないでくれ!っていう気持ちになってくるのですが、それでも容赦なく回想シーンが連発されて。 だから、そんな回想シーンを挿入してるヒマがあったら、もっとプロレスシーンを入れてくれ、と。 あ、この映画見てると、プロレスファンが周囲から鬱陶しがられる理由が、少しわかりました。私は一応、気をつけているつもりなんですけど(←どこが?)。 それはともかく、回想シーンを減らすなど、もうちょっと、省略の美学みたいなものがあってもいいと思います。例えば、棚橋が凶器のスプレー缶を落とすカットがあり、すると次には落とされたスプレー缶のカットが挿入される。いや、どうせ「落とされたスプレー缶」を見せるのなら、「スプレー缶を落とす場面」そのものを見せなくっても、例えば「落とす音」だけでもよかったのでは?とか。 しかしそれでも何でも、クライマックスの一戦は、ドラマと並行して試合自体もしっかり描き、これを新日看板レスラー同士が演じていることもあって、なかなか盛り上がります。もちろんホンモノのプロレスの試合ほどではありませんが、これ以上のものを見たけりゃ、実際の試合を見ろ、って話で。 リングを後にする棚橋は、持ち前の大きな背中で、我々に無言で語りかける。こういうのもまさに、本物のプロレスラーが演じてこそ、のシーンですね。 それにしても田口はどうしてこうも、映画の中でノビノビ、活き活きとしているのか。まさに水を得た魚のような。「パパはどうして最近、プロレスの試合では変なコトばかりしてるのに、映画ではこんなに演技が上手なの?」「それがパパの天職なのよ」。なんてね。 天職はいいけど、転職までしないように。 あと最後に、どうせ新日が製作に関わってるんなら、実際のプロレス会場でお客さんにエキストラになってもらって、プロレス会場の観客の「群衆シーン」を撮影できなかったもんですかねえ。客席の暗さを利用してエキストラ数をケチったかのような、熱気の乏しい会場の描写、何だか貧相で残念でした。
[DVD(邦画)] 6点(2020-03-29 07:14:27)(良:1票)
846.  ビッグ・アメリカン
まず冒頭、壮大なる西部開拓時代のオハナシか・・・と思ったら、これが実は単なる見世物(仰々しい邦題もここではミスディレクションに貢献しちゃってます)。要するにあの、バッファロー・ビルがやってたという、ワイルド・ウェスト・ショーのオナハシ、なんですね。アメリカ開拓史ってのは、土地の開拓が終わったら、今度はビジネスの開拓が始まって、休む間もありません。 バッファロー・ビルを演じているのがポール・ニューマン、だもんで、すでに何だか胡散臭い。そもそもこのヒトは本物のバッファロー・ビルなのやら、もしかしてニセモノなんじゃないの、とすら思えてきたり。冒頭のクレジットでも役名は単にThe Starとだけ書かれてるし。もっとも、他の登場人物もみな、役名が名前では書かれていなくって、本物だろうと偽物だろうと、もうどうでもいいのですが。 実際、劇中で行われるショーは、代役あり、失敗による流血沙汰あり、まあ、テキトーなんです。 そんな中で、先住民役として雇われている(本物の)先住民のオジサン、こちらは本物のシッティング・ブルっぽい(でも、そもそもシッティング・ブルなどというキャラクターの来歴自体、ギミックじみた少々アヤシイところがあるのですが)。で、言葉数も多くなく、いつもどこか醒めた表情をしていて、それがユーモラスであると同時に、強烈な皮肉を漂わせています。 皮肉と言えば、バート・ランカスターの存在。何かと登場はするけれど、この状況に関わる気が、あるのか無いのか、超然と涼しい顔。作家の彼がこの状況を作り上げたのかも知れないけれど、もう彼にもどうにもならないし、多分、どうする気もなさそう。 ショーの中で大事故でも起これば、映画としては娯楽色が出るけれど、本作は、物語をそういう娯楽路線へ開放することもなくって。「事故が起こったら大変だよね」というサスペンスはもちろんあるけれど、あくまでその中途半端な不安定さのまま、主人公が取り残されたようにフイと映画が終わっちゃう。 一方で現実世界の商業主義は、紆余曲折はあれど行き詰まることなく拡大の一歩をたどって、この先、壮大なカタストロフが待ち受けているのか、どうなのか。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-03-23 17:21:31)
847.  愛と誠(2012)
ミュージカルとしては、あの、その、まあ、何ですね、歌がやや苦手そうな方から、かなり苦手そうな方まで、イロイロと出演されておりますが。 ドラマに挿入される歌(懐メロばかり)と踊りが、ドラマの一部になってはおらず、むしろ「コイツ何やってるんだ」と周りが引いてしまっているのが、パロディめいていて。 もっとも、それを言い出すとすべてがパロディじみていて、少々悪乗りが過ぎる部分もありますが。主人公が周りにツッコミを入れるだけならまだしも、高校生役の伊原剛志が自分をオッサンと認めたりヅラかぶってる事を認めたり。そりゃそうなんですけどね(笑)。 しかし、それらのデフォルメされた登場人物たち(武井咲演じる早乙女愛の、この鬱陶しさたるや。絶品です)が、ドラマの中にピタリピタリと的確に配置されており、バカバカしいと思って見ていたはずが気が付いたら妙に納得してこの世界を受け入れている自分がいて。 ミュージカル部分がドラマの中で浮いているように、斎藤工演じる岩清水クンはこの物語の中で完全に浮いているのですが、ラストで彼が床の血痕を目撃したとき、まさに彼はそれを目撃するためにこそ存在していたこと、だからこそこの物語に不可欠の存在であったことを思い知る訳で。 映画全編、ガラ悪そうな人たちのドツキ合い取っ組み合いの連続ですが、スローモーションを交えるなどの変化をつけ、見せ場も盛り沢山。 しっかしコレ、PG-12らしいんですけどね。子供に何を指導しろってんですかね。見りゃワカルと思うんですけども。
[ブルーレイ(邦画)] 8点(2020-03-22 21:07:20)
848.  巴里の屋根の下
パリのアパルトマンが、登場人物の背景に遠く映し出されたり、上下に(どうやって撮影したのか)移動しながら映し出されたり。特にラストのカメラを引きながらの街並みの様子が、印象的です。 半分はトーキー、半分はサイレント風(セリフ無しで音楽のみ)、という構成がちょっとコミカルですが、サイレント風の部分は字幕も無しの文字通り手振り身振り。一方ではサイレントの対極を行くように、暗闇でセリフを投げつけあう場面なんかもあったりして、さまざまな趣向が凝らされています。 カメラは、表情を捉えたかと思えば、手元を捉え、足元を捉え、セリフ無しの部分はそれが制約になることなく、むしろ表現の自由度が増しているようですらあり、さらにそこに音楽の魅力も加わって。レコードの針が飛んで同じフレーズが繰り返されるところなど、ちょっとミニマルミュージックのはしりみたいでもあります。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2020-03-22 16:05:54)
849.  グレイテスト・ショーマン
フリークショー、などという昨今なかなか映画の題材には取り上げにくいテーマを、とことん前向きなミュージカルで正面突破しているのがまず、大したもの。脚色は多々あれど、意外なくらいに実話ベースの部分も多かったりして、映画観終わった後では、色々と考えること・考えさせられることがあってよいと思いますが。 マイノリティたちの哀しみと、それを乗り越えるエネルギーの力強さ。 しかしそれもこれも、まずはこのミュージカル映画としての手腕があってこそ。劇中、時間なり場所なりが思い切ったジャンプを見せて、こういうのはまさに映画の特権、自由に時空を飛んでみせ、重力からも解放され、場合によってはスローモーションで時間を自由に伸び縮みさせたりもする。だけど何から何まで自由勝手なんじゃなくって、ミュージカル映画として、「リズム」がこの映画を支配しているかのようです。「リズム」には登場人物たちも逆らえず、時には彼らの動作すらが拘束される。だけどそれが不自由なのではなくって、グラスの音が刻むリズムが次の音楽へ繋がって行ったり、新たな流れを生み出していくのが、実に心地いいのです。 ヒュー・ジャックマンというヒトは、映画ではウルヴァリン役に代表されるようにアクション俳優の印象が強いけど、出自はミュージカルらしく、本作でも歌って踊って、若い連中には決して引けをとっていません。 ミュージカルとしての魅力が詰まった作品です。
[ブルーレイ(字幕)] 9点(2020-03-20 05:47:09)
850.  終電車 《ネタバレ》 
ドイツ占領下のパリで、とある劇場の人間模様。さぞかしナチスの弾圧で苦しんでいるのかと思いきや、さにあらず、意外に皆さん伸び伸びとしてます。冒頭、ドイツ兵に撫でられた子供の頭を「汚らわしい」とばかり、せっせと洗う母親が出てきたみたいに、なかなかの逞しさ。だからこんなご時世でも、劇場なんてものをやっていられる訳ですが。時々、停電が発生したりして、そういう時だけ、戦時下であることを思い起こさせます。 で、劇場には看板女優のドヌーヴがいて、そこにややテキトーなところのある俳優、ドパルデューがやってきて。何だかんだとウダウダやってるので、こんなんじゃきっと、この映画が終わるまでに上演に辿り着かないんじゃなかろうか、と思えてきたり。 一方で劇場の地下には、看板女優の夫である演出家が、周囲には亡命したと思わせておきながら実はひっそり、潜んでいる。壁の穴から階上の劇場の様子が聞こえてくるもんで、そこが彼の指定席。 で、意外にもちゃんと上演にはたどり着くのですが、準安定状態だった占領下から、終盤に突然戦局が動いて(その唐突さがややコミカルですらあります)、そのせいで何だかむしろ、不安定になってしまうようなところもあって。駆け足でハッピーエンド(なのか?)に向かって行きます。 怪人の登場しない、「オペラ座の怪人」。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-03-20 02:32:38)
851.  リミット・オブ・アサシン
同じ年の『ヴァレリアン~』にもイーサン・ホークとルトガー・ハウアーが出てましたが、本作では義理の親子の役で共演。 イーサン・ホーク演じる殺し屋が、新しい任務を請け負うも、逆に命を落とすハメとなり、映画開始早々に主人公が死んじゃってどうするんだろう、と心配になるのですが。というのはウソで、当然生き返るんだろうと思ってると、やはり当然のごとく生き返ってくれます。というか、生き返らされちゃうのですが、残された命はわずかだよ、というゾンビコップ方式。命はあと24時間、しかもなんと、残り時間が腕にデジタル表示されるという親切設計。残された時間で彼ははたして、自分を利用した組織に対し復讐を果たすことができるのか。 再度の死を間近にした上に、薬が無いと幻覚を見てしまう主人公の、危うさ。この不安定な感覚が、イーサン・ホークのいかにも不健康な感じにぴったりで(いやホントに不健康かどうかは知らんけど、少なくとも10代の頃はこんな印象のヒトではなかったんだけどなあ)、作品の不安感みたいなものにつながってます。←「不」の字ばかりが続きますね。さすがイーサン・ホーク。 という訳で本作は、どこか破れかぶれな、やや暴走気味の復讐譚になっていて、キレのあるアクションとともに作品の魅力になっています。すでに棺桶に片足をつっこみ生死の境目にいるような彼に対し、死者の側には彼の妻と子、生者の側には妻の父。演じるルトガー・ハウアーの存在感が光ります。 主人公の好敵手みたいなヤツも登場して、彼と主人公との一筋縄ではいかない関係が、これまた作品に微妙な陰影を与えていて。 見どころの多い作品でした。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2020-03-15 21:24:32)
852.  ローグ アサシン 《ネタバレ》 
リー・リンチェイとジェイソン・ステイサムが激突!ってんだから、さぞかしマーシャル・アーツをお腹いっぱい堪能できるのかと思いきや、すぐに銃が出てくるもんで、なかなか格闘アクションにたどり着かない。途中、ケイン・コスギが何とかリンチェイに食らいつき、見てる方としても「リポD魂でガンバレ!」と、つい力が入ってしまうのですが、イマイチ、見せ場を作らせてもらえず。じゃあしょうがない、石橋凌でもいいから頑張っておくれ、という訳で、終盤には一応、チャンバラ・アクションが。 最後の最後に、ようやくリンチェイvsステイサムの格闘にはなるのですが・・・この監督、こういうアクションには向いてないんでしょうね。「動ける男」たちを出演させた以上は、彼らの動きをもっと信頼してもいいだろうに、映像をムダに細切れにしたりムダにいじってみたり、どうこれカッコいい映像でしょ、といかにも言いたそうですが、その分、アクション自体のカッコよさが損なわれてしまって。 物語は、ラストにちょびっと意外性を持たせているのですが、こういうのも「おお、なるほどそうだったのか!」と思わせるものと「今さら何言ってるんだよ!」と思わせるものがあって、本作は残念ながら後者ですね。オチが単なる説明でしかない、納得感の乏しさ。 それにしてもあの、あちこちに貼ってあるニホンゴの標語モドキ(?)みたいなのは、一体何なんですかね。絶対、ワザとやってますよね、コレ。くれるのなら、一枚欲しいぞ。
[CS・衛星(吹替)] 5点(2020-03-15 20:23:35)
853.  エアポート’75
エアポートシリーズというとあの、「アランドロンが操縦するコンコルドが小型機と衝突してバミューダ海域に沈没するけど、ジョージケネディが何とかしてくれる」ってヤツですね。←色々混ざっちゃってますが、要するにこの2作目以降は、似たり寄ったり、ということで。ただし個人的には、シリーズ中で一番印象深い作品ではあります。 この第2作、シリーズ中でも一番の低予算らしいですけど、確かに、映画のかなりの部分を占める機内シーンからは、あまり気合いが感じられません。まあ、群像劇としての体裁でさまざまな乗客を登場させておきながら、物語の中では彼らをほとんどホッタラカシにしてしまっている脚本にも、責任がありそうですが。 とは言え一方で、本物のジャンボを飛ばせて撮影したらしい空撮シーンの数々、これはなかなかスゴいです。見応えあります。「次から次に大事件」というタイプの映画ではなく、小型機との衝突後もやや地味な展開ですが、空撮のリアリティが緊張感を(何とか)維持しつつ、終盤を(何とか)盛り上げています。不測の事態によりCAが操縦桿を握るという設定は、『乱気流 タービュランス』あたりにも影響を与えていそうです(何と小さい影響力・・・)。あの、よくわからん装置と計器に囲まれながら恐る恐る操縦する、不安感と楽しさ。 それに、本シリーズ無くしては『フライングハイ』も無い訳で(だから?)、そういった後の映画界への貢献を称えて、ソルトレイクシティ空港を「ジョージケネディ空港」と名付けてはどうだろうか。
[CS・衛星(吹替)] 7点(2020-03-15 10:19:04)(良:1票)
854.  あゝひめゆりの塔
映画開始早々の運動会シーンで、登場人物たちの顔立ちも話し言葉も、その他何もかもが「こりゃ沖縄じゃないよなあ」という感じなのですが、製作は1968年、まだ沖縄が返還される前ですから、仕方ないっちゃあ、仕方ない。というよりも、女子学生の運動会に何とか忍び込みたい男子学生たち、それをたしなめる吉永小百合、なんていう日活青春テイストが、映画を観る人々と登場人物たちとの距離感を縮めるのには確かに必要なのかも知れませぬ。だから、冒頭の渡哲也にわざわざ釘を刺されるまでも無いだろう、とは思うのですが。 という、まず馴染み深い日常があって、戦火が近づきつつあることをナレーションが解説しつつもその実感はなかなか湧かないのですが、次第に不穏な空気が流れるようになり、やがて日常は、過酷な戦場へと変化していくことに。米軍による攻撃の描写が、いろいろ違和感を感じさせる部分も多いのですが、少なくとも、「日活青春路線の映画がここまでやるか」と思わせるだけのものはある、激しい描写になっています。一方で、吉永小百合は清純派でなければならず、清純派は演技がクサくなくてはならぬ、みたいなこの感じは、ちょっとどうなんでしょうね。むしろ「表に出さずに堪える」ことが感情表現につながる場合もあると思うのですが。 最初の方で、男子学生の列と女子学生の列が、それぞれ別の歌を歌いながらすれ違う場面、異なる歌が重なりつつ、さらにそこにセリフまで重なって、映画的なポリフォニーになっているのですが、その後も、卒業式の場面で「仰げば尊し」の歌声と砲声が重なったりとか、切断された手足が砲撃で飛び散った中に花が咲いているとかいった対比が織り込まれており、「平和vs戦争」という対立軸を強調しています。そういう意味では、戦争映画と青春映画とが本作の中で必ずしもうまく混ざっていないこと自体が、作品の欠点もありながら、一方では本作の独自性にもなっているように思われます。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2020-03-08 12:42:23)
855.  夜は短し歩けよ乙女
ホラー映画ならぬ、ホラ映画。デタラメがデタラメを呼んで、どこまでもホラが連鎖してきます。学生生活「あるあるネタ」の体裁でありながら、実際はほとんどが「無い無いネタ」ばかりという・・・。 デフォルメされたアニメーション、スピード感あるアニメーション、デタラメ極まり無い展開に、ワケわかんなくとも退屈しない。というか、退屈したくとも退屈しているヒマがないのですが、終盤はちょっとモタついた印象で、主人公ふたりの関係に主軸を置くなら確かにこれがクライマックスということになるのかも知れないけれど、正直、ソコは元々どうでもイイのであって。引っ張った挙句に最後、ああやっと夜が明けたか、とは思うものの、何だか印象の薄い普通の夜明けだな、とも。 京都=学生の街、ということで、同じ登場人物があちこちにグルグルと再登場するコミュニティの狭さがまた、学生生活っぽさを感じさせたりも。だもんで、基本的にはデタラメなのにどこか懐かしく、懐かしいけどワケがわからない。 まあ、この作品、「やったもん勝ち」みたいなところは、ありますね。
[地上波(邦画)] 6点(2020-03-07 16:51:37)
856.  昼下りの情事 《ネタバレ》 
まず冒頭、パリではどこもかしこも、イチャイチャする男女ばかりなんですよ、と、フランス人への偏見モード全開。まあ、この後の物語展開に対する言い訳みたいなもんかも知れませんが。 とあるオッサンが妻の浮気調査を私立探偵に依頼、結果、これはクロですなあ、という訳で依頼人のオッサンはピストル片手に浮気現場へ。一方、この話を盗み聞きしてしまったのが、私立探偵の娘であるオードリー・ヘップバーン。揉め事を未然に防ごうと現場のホテルへ先回り、依頼人の妻と、浮気相手である大富豪でプレイボーイのジジイ(=プレイジジイとでも言うんだろうか)に、カクカクシカジカ事情を伝え、その場は丸く収まる・・・はずが、今度はジジイとオードリーが何となくいい感じになっちゃう、というオハナシ。何でこんなジジイがモテるんだよ、一体このジジイ何者だよ、とか思っちゃうんですが、何者も何も、ゲイリー・クーパーなんだから仕方がない。でも、いつの間にこんなに老けたんだ、クーパー。メイクかも知れませんが、かなりのジジイ感です。 で、オードリーがこのジジイに弄ばれるのか、心配だなあ、と思って見ていると、ジジイはジジイで彼女に弄ばれてるようなところがあり、お互いヤキモキしてる。大人の恋愛かと思ったら、少年少女のようなところもあって。 中盤、オードリーが手紙を何度も書き直した上で封筒に入れ、しかしそれを投函することなく燃やしてしまうまでの一連の挙動を、長々とワンカットで描いているのですが、確かにワンカットで捉えるだけの魅力が、彼女の仕草に溢れています。そりゃジジイも参るでしょう。 でも結局は、ヘボ探偵かと思ってた彼女の父が、一枚も二枚もウワテでした、というのがなかなか気が利いてます。もっとも、もしも彼女の父がラストで一枚噛んでいなかったら、「そんな終わり方でいいのか!」と暴れたくなるところですが。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-03-07 15:42:36)
857.  危険な情事 《ネタバレ》 
蝶々夫人が自刃するも死にきれず、自分を捨てたピンカートンにストーカーのごとく付き纏う、ってな感じのオハナシ。 マイケル・ダグラス演じる主人公、「蝶々夫人」のクライマックスに涙したとか何とか言いながら、自分は自分で妻子のいない間にチャッカリ浮気して、相手とさっさとオサラバしよう、ってんだから、虫がいいにも程がある。どう考えても主人公の方が悪い訳です。 アメリカの恐怖映画というと、無関係の事態に巻き込まれるとか、得体の知れないモンスターみたいなヤツに襲われるとか、そういう理不尽さがベースとなっている印象があるのですが、本作はそうではなく、他人からの「恨み」というものが恐怖の源泉にあって。どっちかというと、日本の「うらめしや」系のコワさですね。でも暗がりにボンヤリ現れるだけ(?)の日本の幽霊とは違って、本作のグレン・クローズはアフロな髪型をなびかせ、積極的にワイルドに、迫ってきます。でもただただ迫ってくるだけではなく、押したと思えば引いてみたり、この辺りの匙加減が本作の上手いところです。 クライマックスの舞台が風呂場になってて、これが妙に生々しくてコワいんですね。風呂場というのがそもそも、人間が最も無防備になる場所で、なのに硬そうなモノが色々とあり、争うには最もヤな場所なんですけれども、それに加え、本作では「水」のイメージがまたヤな感じを醸し出してます。二人が親密になるキッカケとなった雨の場面とか、彼女が自殺未遂を企てる中盤の場面とか。とにかく、妙に生々しいんです。ヤな感じです。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-03-01 16:02:11)
858.  スマホを落としただけなのに 《ネタバレ》 
説明ゼリフ乱発で、演じている俳優さんたちも喋りづらそう、高橋メアリージュンは普通に演技がヘタなだけだと思うけど、他の皆さんについては、見ててちょっと気の毒にすらなってきます。テーマがテーマだけに、スマホ犯罪への心構えを説いた啓発ビデオを見ているような気分にも少しなってきちゃいますが。 そういった部分も含めてコレ、本当に、見ている人を怖がらせようという気があるんですかね?? ピントをワザと外してるんじゃないか、と思えてくるセリフと言動の数々。明らかに盗み撮りされた浮気(?)の映像を見て、相手をなじるのも結構だけど、そもそも盗撮が誰の仕業か気にならないのか? ストーカー疑惑をかけられたバカリズムが、自分は無実だと反発して腹立てるのも結構だけど、そもそも自分の成りすましが存在していることにそんな無頓着でいいのか? これではまるで、登場人物全員が、犯人の存在を知りつつも、わざとそれを無視しているかのような。 しまいにゃ、犯人と対峙するクライマックスで、犯人とは無関係な、自身の身の上話をトクトクと語り始める北川景子、ここまで犯人を無視してくれれば、もはやアッパレです。しかもこの時間稼ぎのお陰で、警察も易々と到着が間に合ってしまう、という展開、もはや「コワイ映画」にしようという気は、全く無さそうですね。 普通の映画ならヒロインが怯えるところであろう、遊園地における犯人との対峙シーンで、北川景子は途轍もなくキツく冷たい視線を犯人に投げかけ、この時点で犯人の存在感は半分以上無くなっちゃってます。母親に「私の人生を返せ」と言われ続けてきた犯人と、行きがかりとは言え結果的に他人の人生を奪った形となった主人公との差、みたいなもんでしょうか。犯人も、屋内で貞子スタイルをしている時にはそれなりに不気味でそれなりに存在感を出すけれど、女装が解けるとどうも調子が出ないようで。 だからこれは女性の映画なんだ、とか何とか、私も本気でそんなことを思っている訳じゃないのに、何となく中田秀夫監督というところから逆算してそんなことを書こうとしてしまう自分が、ヤだなあ、などと思ったり。
[地上波(邦画)] 4点(2020-03-01 15:12:03)(良:1票)
859.  ヴァレリアン 千の惑星の救世主
要するにコレって、「オモシロい」んだろか。 ってなコトを思う気持ちも映画早々に消え失せてしまい、もう明らかに、オハナシそのもので面白がらせようなどという気持ちは作り手の方にはサラサラ無くって。そりゃま、最後まで観ればそれなりに「ほ~」と思わせる要素も無い訳では無いですが(無いに等しいけど)、どっちかというとオハナシなんてそっちのけ、せっかくCG使いまくるんだから何でもデキちゃうんだよね、とばかり、脈略がないと言ってよい程に様々な事象が画面に現れ続け、様々な光や色彩が画面に溢れ、それを(楽しめる人は)楽しむ、というタイプの作品でしょう。そこは『フィフス・エレメント』よりも徹底しています。 なので、理屈抜きに発生する様々な変容(エイリアンのダンサーのコスチュームが変わるとか、風貌が変わるとか、しまいにゃ砂みたいになっちゃうとか)が、どれだけ我々の意表をつけるか、が腕の見せ所なのでしょうが、正直、『アバター』等々の後では既視感の枠から抜け出せておらず、ついでに宇宙船のフォルムがファルコン号のパクリにすら見えてきてしまって(笑)、いやはや、なかなかムツカシイですなあ。 軽いノリの主人公が繰り広げる陳腐な冒険譚を通じ、我々の前にぶちまけられる既視感混じりの映像の数々。これもまあ一種、広義のポップアート、といったところでしょうか。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2020-03-01 07:15:57)
860.  夕陽の用心棒
ジュリアーノ・ジェンマが何本のマカロニに出演しているのかも知らずに途轍もなく無責任なコト言うのですけれども、これはもしかして彼のマカロニ最高傑作ではなかろうか、と。所詮、ジェンマ的な最高傑作、という枠組みですけれども。 邦題のテキトーさも、作品によく似合っています。レオーネ作品の邦題の繋ぎ合わせ。 銀行強盗の一味が人質をとって立てこもり、そこで動員されるのが、牢屋に放り込まれていた凄腕ガンマン、ジェンマ。強盗一味がまるでお遊びのようにいちいちムダに無辜の人々を殺しまくる残虐な連中なら、ジェンマもまた、絡んできたチンピラ連中をまるでお遊びのように殺しまくって牢に放り込まれている。どっちもどっち、人の命を屁とも思っていないようなところがあって、後ろめたさを伴う小気味よさ、みたいなものを感じてしまうのですが。で、悪党どものあまりに悪辣な暴虐ぶりに、少年が目をそらし涙すると、軽薄極まりないジェンマがこの時ばかりはマジメな顔になって、泣いている場合じゃないだろう、みたいなコトをささやいて見せる。この主人公、ケーハクの極みみたいに見えても実は何か暗い過去を持ち心に傷を負ってるのか。それとも本当にケーハクなだけなのか。だってジェンマだもんね。 という、無責任型潜入捜査官みたいな主人公の活躍を描いていて、さらには人質となった銀行の頭取(?)と犯人一味の女性とがラブラブになる無責任な展開もあったりして、実にスバラシイ無責任さが展開されつつ、でもやっぱりこの主人公には何かが「ある」のではないかと、ホンの少しだけ感じさせるのが、ジェンマ作品のジェンマ作品たる所以、と言えましょう。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2020-02-29 02:40:44)
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