841. リトル・プリンセス
《ネタバレ》 バーネットの「小公女」。 グリーンを基調とした衣装や美術は芸術的、撮影もとても美しいのですが、セーラの元気であっけらかんとしたキャラ(舞台もアメリカになっています)などアレンジが過ぎて原作の味を損なっている部分もあると思います。 オーセンティックな「秘密の花園」とちがい個性的ではあって、時折挿入される父親クルー大尉の俳優が演じる「セーラのお話」もユニーク。 ラヴィニアとの歩み寄りはファンの望むところかな? [映画館(字幕)] 6点(2005-12-23 21:25:02) |
842. オール・ザット・ジャズ
実物は「星の王子さま」のスネークとしてしかお目にかかることのなかったボブ・フォッシーの分身、ジョー・ギデオン。 身を削ることとなっても常にSHOW MUST GO ONの人生。 死に向かって疾走する彼の表情は実に穏やかだ。 「キングコング」より3年後の復帰作となったジェシカ・ラングの美しき死神も、浮世から魂が離れつつある彼の心が生んだ幻か。 I THINK I’M GONNA DIE・・・♪ ギデオンが恋人の団員に告げる「偉大なダンサーにも優秀なダンサーにもしてやることはできないが、よりよいダンサーにすることはできる」という言葉が心に刻まれ、ジップアップな身仕舞はあまりにドライな幕切れ。 BYE BYE LIFE! [映画館(字幕)] 9点(2005-12-21 20:05:30) |
843. インターステラ5555
見る前はどうかなって思ってたんですけど・・・’02に作られたとは思えないほど、ストーリーも作画も曲も妙に懐かし~雰囲気でズルズル引き込まれ、3、4回見たかな?1時間ちょっとのランタイムも丁度よく、銀河小旅行してきましたって感じ☆ [CS・衛星(字幕)] 6点(2005-12-20 19:30:20) |
844. アンネ・フランク<TVM>
アンネの面影を持つハナ・テイラー・ゴードン。ベン・キングスレーもまたオットー・フランクを演ずるに相応しい。この2人を得て、物語は日記のページから鮮やかに現実味をまとって立ち上がる。普通の幸せな少女から籠の鳥へ、そして・・・。実際の日記は隠れ家を発見された時点で途切れるが、その後の彼らの足取りも生存者の証言や新たな資料を駆使して組み立てられ、アンネと姉マルゴのベルゲン・ベルゼンでの最期の日々までが再現される。TVムービーらしく極端な描写は抑えられているが、作品の質を損なうことはない。フランク一家らの保護に尽力し、日記を保存することともなったミープ・ヒースを演じたリリ・テイラーも印象的。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2005-12-19 19:09:37) |
845. アイス・エイジ
アイスエイジ=氷河期。PXやDWのような派手さはないけれども、心をこめて作られた温かさが伝わるブルースカイ・スタジオ作品。白い雪や氷の表現もそれ自体が美しいのに加え、素朴なキャラクターデザインを際立たせ、毛皮の奥の体温を感じさせるのにも一役買っている。ゆったりと進む物語はCGアニメというより動く絵本を見ているようだ。騒がしいシドやスクラットとは対照的に静かなマニーやディエゴの内なる葛藤もしっかりと描かれている。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2005-12-18 09:19:32) |
846. リトル・ダンサー
《ネタバレ》 UKロックの名曲を散りばめ、ケレン味たっぷり、質素に見えて実はゴージャスなリトルダンサー。親が尊い犠牲を払い、清貧の才能ある少年がスターとなって羽ばたくこの作品は、実に巧みに観客の心を掴む。作り手の熱意ばかりでなく、観客のツボを知るアタマの良さ、英国ワーキングクラス映画の枠に収まらないバランス感覚も相まって生まれたこのヒット作。言葉より体で真情を吐露するビリー、質入する母親の形見に触れる父親の手、スト破りを敢行し兄に絶叫する父親、いずれにもパブロフズ・ドッグのように泣けてしまう。邦題が通俗的であることは認めるが、原題のままだったらこの国でここまで広く親しまれる作品にはなっていなかったと思う。 [映画館(字幕)] 8点(2005-12-17 20:40:06) |
847. 危険な関係(1988)
フランス文学の伝統である自堕落な恋愛遊戯。 同じ原作を使ったファースとベニングの「恋の掟」もまた別な意味で艶かしいのだが、印象はこちらの方が強い。 マルコヴィッチは不思議とおフランスが似合い、TV「レ・ミゼラブル」ジャベールや「ジョニー・イングリッシュ」パスカルなど嫌ったらしいムッシュウを演じさせると最高の魅力を発揮する。 [ビデオ(字幕)] 7点(2005-12-16 19:59:31) |
848. ライフ・イズ・ビューティフル
《ネタバレ》 映画でなく舞台劇であったなら、これほどの批判を受けたかどうか。題材によっては執拗にリアリティを求められる映画ならではの宿命。ベニーニのあまりにあっけない退場とラストの一人の男性のモノローグで、このにぎやかな物語は新たな寓話へと変貌を遂げる。良い意味でイタリア映画らしくなく、あの独特の自己憐憫や哀れっぽさが希薄なのがすがすがしく思える。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2005-12-15 18:47:08) |
849. タイタニック(1997)
特殊効果映画としては高い価値をもちアクション映画としても優れているが、ことドラマとなると紙のように薄い様相を呈する「タイタニック」。大味な台詞は若き演技派のディカプリオとウィンスレットが気の毒に思えるほどで、キャメロンの手になる脚本だけはノミネートされなかったのは納得。最後の階段のシーンは大勢の人間に賞賛されることを好むアメリカらしさふんぷんで鼻白む。高い技術点だけでは総合評価は上がらないのはフィギュアスケートも映画も変わらず、傑作群像劇との「タイタンとポセイドンの戦い」となればまったく分が悪い。 [映画館(字幕)] 6点(2005-12-14 19:09:20) |
850. Emma/エマ(1996)
ジェーン・オースティン作品の中では明るくライトで他の作品とはちがっていますが、別な面白味があります。 エマ(グウィネス・パルトロウ)は恵まれて育ったせいで自惚れがつよく、「プライドと偏見」のレディ・キャサリンのように他人を自分の思いどおりに動かせると思いこんでいる人ですが、まだ若いので従兄弟ナイトリーの手痛い助言によって矯正がききました。 エマの玩具にされるウブな娘ハリエットは、芸達者なトニ・コレットがやっているので本当に上手い。 そして新しくやってきたエルトン夫人も自信家なので、他人にほめてもらいたくてしょうがない人。 でも誰もそうはしてくれないので、さも他人が言ったように見せかけるわけです。(具体的な名前を出さないのがミソ) この「自演する女」を、40才のジュリエット・スティーブンソンは実に滑稽に演じていると思います。 [映画館(字幕)] 7点(2005-12-13 19:27:39) |
851. ウォルター少年と、夏の休日
《ネタバレ》 「ビッグ・フィッシュ」のカラフルなカーペットに対して、枯れた草原の風情のこの作品。今回は監督も務めるT・マッキャンリーズのテーマは「老兵は死なず」か?と思えるほど、父なき子、広漠たる風景、かつては武勇で鳴らした兵(つわもの)の構図は前作「アイアン・ジャイアント」にも通じる。心の儘に生きて老いた今、何かが足りなかった老兄弟と、母親に振り回され居場所のなかった少年。ハブの信念についての力のこもった言葉にはウォルターでなくても引き込まれるだろう。紙芝居のような昔話の映像もどこかのんびりとした温かみ。この風変わりな共同体を家族と呼ぶかどうかはどうでも。成長し漫画家となったウォルターの絵に刻まれた日々がすべてを語って。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2005-12-12 19:16:19) |
852. あなたが寝てる間に・・・
このシンデレラの王子様は二人。冬物語ゆえ人の温かさが身に滲み、素朴な手触りはヒロインが身を包む父の形見のコートにも似て、心和ませる。 [映画館(字幕)] 7点(2005-12-11 07:42:12) |
853. ギャラクシー・クエスト
《ネタバレ》 「スクール・オブ・ロック」と同様に、既成のカルチャー(?)をバックボーンとして内包するギャラクエ。お笑いを期待しつつ駆けつけたが、夢破れるマセザー&クエレック絶命に思わずボロ泣け。しぼんだハートしか持たぬアーシアンたちが徐々に生気を取り戻す様も観客に希望と勇気を与えずにはおかない。オタクとピュアネスの際どい境目をあえて縫い合わせる2本柱の脚本に抜かりなく、ツワモノを揃えたメインキャスティングも値千金。J・ゴールドスミスのSTのテーマをライト+キッチュにアレンジした「GQのテーマ」がコスミックに鳴り響く。 [映画館(字幕)] 8点(2005-12-10 12:31:18) |
854. アラン・ドロンのゾロ
オペラ座の怪人やマスク、そしてこのゾロと仮面物にはめっぽう弱い。 ZORROは狐の意味だそうで、この「黒いきつね」が大のお気に入り。 深刻で暗いイメージの強いドロンだけど、息子のために作ったこの映画では精悍なヒーローそのもの。 陰謀に倒れた亡き友人の身代わりとなるニセ総督の周りを煙に巻くオカマぶりも、意外なほどハマッていて楽しい。 悪役(ベイカー)やヒロイン(ピッコロ)も魅力的。 シンプルで小気味良くまとめられたこの快作には、バンデラス&ホプキンスのダブルゾロが束になってかかっても敵わないと思われるのだ。 先頃めでたくDVD化され、♪ZORRO IS BACK♪ 弾むテーマ曲も心を奪う。 [地上波(吹替)] 8点(2005-12-09 19:10:03)(良:1票) |
855. サハラ(1983)
ブラウン大での学業優先のためブルッキー10代最後の作品となったが、彼女のティーンエイジ映画としては「エンドレス・ラブ」と並んで最も芳しくない部類に入る。冒険映画なのに全く面白くなく、目玉のはずのヘンな男装もほんの一瞬。内容のみならず、本人も実は女優に向いていないのでは?という疑問も頭をもたげるほど印象が薄い。モリコーネ様のSA~HARA~♪って曲とBTTFやインディ、SW/EPシリーズを手掛けるD・ストルーザンの美麗ポスターが至極勿体なく感じる、空虚な大作。 [映画館(字幕)] 3点(2005-12-08 19:05:03) |
856. ケス
同じ「炭鉱町のビリー」でも、「リトルダンサー」ビリー・エリオット(彼の名はこの作品にちなんで名づけられている)の生活の方がまだしも安穏に思えるほどに、少年の日常は貧窮と孤独に満ちる。虚飾や叙情性を排し剥き出しの真実を突きつける様は、共感や同情心を通り越して寒気を覚えるほどだ。捥ぎ取られる希望とそれでも続く人生・・・甘美な絶望の象徴であったザ・スミスのトリビュートアルバムのジャケットにも違和感なく溶け込む、ビリーとケス。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2005-12-07 07:06:56) |
857. サンダーバード(2004)
これだけ見ている分にはそれなりに見られると思うけれど、「サンダーバード」としてはキツイ★ 「新スター・トレック」のライカー副長でもある監督ジョナサン・フレイクスは、TNGの映画を撮っている時はよかったものの、これは考えすぎて失敗。 マニアにも一般の観客にも配慮した結果スパイ・キッズ風になってしまい、兄弟たちやメカは脇へおしやられて、ERのグリーン先生アンソニー・エドワーズのブレインズも期待したほどではなく、「エイリアン2」の気弱なハドソン(ビル・パクストン)が司令官ていうのもいけないよ! 唯一の救いはピンクのお嬢様ぺネロープ(ソフィア・マイルズ)と執事パーカーが操縦するスーパーカーFAB-1かな。 続編の予定があったのにボツになったのも仕方ない。 [映画館(字幕)] 5点(2005-12-05 19:20:06) |
858. バック・トゥ・ザ・フューチャーPART3
2作目の予告編のせいで目新しさが半減したようですが、1作目の100年前の1885年が舞台の3作目。 前作までの近い時代への移動が生む面白さとは違っても、西部開拓時代はアメリカならではの原風景。 時代を大きく変えたことで、2作目に色濃いハインラインの「夏への扉」との明確な違いを出すことにも。 ドクの恋人として新たに「タイム・アフター・タイム」のメアリー・スティーンバージェンが登場するのは粋なキャスティング、ドクとクララの恋がステキ♪(彼女の衣装がパープル系なのは、ドクにふさわしい特別な女性であることをアピール?) ともに科学やジュール・ヴェルヌが好きという共通点があるのもよいし、今までコミカルなマッド・サイエンティストのイメージだったドクにも、運命の恋に悩む人間的な魅力が加わりました。(ドクが普通の人になっちゃった感はあるけど、こういう風にまとまるのはしょーがないかと) 彼のメッセージは若い人が聞いたら希望に胸ふくらむようなもので、ビッグになったシリーズの最後を飾り、マーティも挑発にのりやすい性格を克服し、成長ぶりを見せます。 デロリアンが壊されるのは残念だけれど、ファンの心の中では走り続けるはず。 これからも時間をこえて愛されるであろうシリーズ。 [映画館(字幕)] 8点(2005-12-04 11:23:13) |
859. アバ/ザ・ムービー
「レッド・ツェッペリン/狂熱のライヴ」リバイバル時に併映となり、ZEPを2度見るために鑑賞を余儀なくされた本作であるが、予想外の拾い物でキラ星のごとくの名曲パフォーマンスに圧倒。一人のジャーナリストが独占インタビューを求めてメンバーを追うストーリーや音楽紙編集長の「・・・world WIDE!」の掛け声と共に画面比率を変えるアイディアもなかなか。傑出した作曲能力・歌唱力を持つ彼らは90年代を席巻したスウェディッシュ・ポップの先鞭でもあり、スクリーンでただ一度目にしたステージは実際のコンサートに近い感慨をもって鮮烈な印象を残す。アバはこの後ZEPの第9作録音時にポーラースタジオを貸与することとなり、あながち無関係でもなかった?ラッセ・ハルストレム作品というのも驚き。 [映画館(字幕)] 7点(2005-12-03 08:13:45)(良:1票) |
860. 女王陛下の007
ボンドの結婚式で涙にくれる「心の恋人」マネーペニー。心中を気遣うMやQに健気に微笑む彼女にボンドが投げ与えるシルクハットが心憎い。彼が幾多の美女たちを摘み、愛し、失い、あるいは捨てても、変わらずボンドと共に在るのは彼女である。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2005-11-30 19:29:43)(良:2票) |