841. カツベン!
《ネタバレ》 おそらく「舞妓はレディ」で、日本の映画職人のハートを掴んだんだろうね。 この映画は、映画職人の力なくしてはできない。 後半のドタバタは、007のような映画に慣れてる向きには冗漫と映るかもしれないが、 映画愛に満ちたシーンと捉えれば、微笑みすら出てくる。 実際、日本の昔の活劇は(語るにはまだあまり観てないが)、長いことドタバタが展開する。 そして、敵との攻防も押したり引いたりの繰り返しである。 さらには、絶体絶命の場面が次々続くとこもそう。 昔の映画へのノスタルジーだけでは、ここまでは引っ張れない。 そこを弁士として売れるまでの苦労など人生譚を重ねることで、 あの時代に引っ張り込まれる。 周防さん、ナイスジョブ! [DVD(邦画)] 7点(2020-09-12 23:09:34) |
842. ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 Birds of Prey
《ネタバレ》 「スーサイド~」で物足りなかった人には、 2時間丸ごとハーレイクイン! アクションの見せ場が遊園地って、ヒッチコックもビバリーヒルズコップ3(未見)でも よく使われるシチュエーションだけど、女の子のアクションにはピッタシかもね。 ラストは女性の友情かと思いきや、さすがにジョーカーの元彼女。 そう簡単に飼いならされるタイプでなかったね。 ゴッサムシティの荒れ放題ぶりも最近ではもうお馴染みのシリーズ。 新しいバットマンに期待! [DVD(字幕)] 7点(2020-09-12 18:25:26) |
843. ひとよ
《ネタバレ》 田中裕子、圧巻の存在感! 子どもたちも重量級の役者をそろえて、バランスがイイ。 田中裕子とエロ本のくだりが好き。 次男が子どものころ、万引きして、引き取りに行った帰り。 そして、皆が無茶苦茶になったとき、スネて、田中裕子がエロ本を万引きして、 家族と一緒に帰るとき。 何かむしゃくしゃしていた時に、観たら、 観終わったら、スッキリした。 頭に浮かんだのは、田中裕子のコンチキショーメーといった演技。 スカッとするのだ、これが。 [DVD(邦画)] 7点(2020-08-28 23:05:04) |
844. フォードvsフェラーリ
《ネタバレ》 2時間半が苦もなく、すんなり観られた。 男くさい話で、苦いラストにもじんわり来た。 レース上のライバルは、フェラーリなのだが、敵はあっさり途中で全車リタイア。 どっちかというと、フォードの会社内部の男たちの軋轢という内容だった。 クリスチャンベールが渋い。 この渋さ、「ライトスタッフ」のサムシェパードを思い出した。 孤高のヒーローといった感じで、カッコいい。 [DVD(字幕)] 7点(2020-08-22 20:00:19) |
845. アンジェラの灰
《ネタバレ》 アランパーカー追悼の意を込めて鑑賞。 アランパーカーの初期の青年の成長を描く映画が好きだった。 「フェーム」「バーディ」 この映画でも、不況にあえぐアイルランドで、 経済的に困窮していた家族の、少年から青年へと成長していく様をじっくり描いている。 アイルランドと言えば、ジョンカーニーの映画でもお馴染みの国である。 いつだって、経済的にきつい、閉塞感のある国のイメージがある。 この映画では、そこから逃げ出すようにアメリカへと旅立っていくラストだ。 父親が入り浸ってたバーの店先に飾ってあった自由の女神を眺めていた青年が、 ラスト、本物の自由の女神を船上から眺めるとこが印象的だ。 閉塞感たっぷりの2時間のあとに、アメリカのイメージがまぶしい。 この後、この青年にどんな人生が待ち受けているのだろう・・ [ビデオ(字幕)] 7点(2020-08-15 21:42:59) |
846. リチャード・ジュエル
《ネタバレ》 イーストウッドの監督演出自体は、薄味である。 なぜイーストウッドの監督作品になると、期待が膨らむのかは、 イーストウッドその人の存在感である。 だから彼が出ない映画は、見せ場の少ない映画になってしまう。 イーストウッドは、高齢になってから、アメリカの正義をテーマにするようになった。 一見、どの映画もテーマが同じように見えるが、アメリカ人から見ると、色んな角度からのアメリカ人の正義を 取り上げているのだろうと思う。 自分は日本人なので、その辺が微妙にしかつかめないので、ますます薄味になってしまう。 残念。 ジュエル享年44歳、国とFBIに目をつけられて、寿命をすり減らしてしまったのだ。 これまた残念。 [DVD(字幕)] 7点(2020-08-15 15:50:05) |
847. 君の名は 第三部
《ネタバレ》 う~ん、俺の心が歪んだのかなぁ・・ あまり気持ちのいい映画には思えなかった。 俺はやっぱり歪んでるな(笑) 断然、淡島千景のほうが好みだな。 カツノリのエピソードは、「冬のソナタ」に似てるね。 おばさまたちの韓流ドラマファンって、かつての日本映画への心の郷愁だったのかもね~ [DVD(邦画)] 7点(2020-07-26 22:17:16) |
848. 君の名は 第二部
《ネタバレ》 さぁ、この二人の男女はどうなるのか? と思ってみてたら、カツノリの子どもは流産するわ、アヌイ娘のフミは 摩周湖に身投げするわ・・ しかもフミの騒ぎの後に、帰京する真知子に「帰したくない」とか言ってのける春樹。 でこの話のラストに、二人は結ばれるであらうか、と来た。 こりゃ、あんたたち、結ばれても良いことないって!!! 韓流ドラマのほうが、まだ命を大事にするって! うわ~、暗澹たる気分で最終話へ。 唯一の収穫は、こんなにカッコいい笠智衆見たことない(笑) [DVD(邦画)] 7点(2020-07-25 19:00:00) |
849. 君の名は(1953)
《ネタバレ》 旦那の浜口がつまらん。 そもそも真知子が心に思ってる男と、二人を添い遂げさせたいと、 真知子に付きまとうこと自体、ナンセンス。 そんなんほっとけばいいんであって、 人の恋路を邪魔するやつは・・というやつだよ、これ。 あれかな~、戦後、意のままならぬ男女関係が多くて、 お坊ちゃんの浜口は、真知子に光を感じて、惹きつけられたのかな~ でも浜口がいなければ、スムーズに真知子と春樹は、一緒になれたんじゃないのかな~ さて第2部は? [DVD(邦画)] 7点(2020-07-25 15:55:03) |
850. 人間の條件 第五部 死の脱出
《ネタバレ》 第4部での戦場。そして敗戦し、敗残兵としての内地に帰るための大陸逃避行である。 「戦争に負けた国の女ほど惨めなものはないよ」 途中、出会った日本人女性たちの一群の言葉である。 その言葉の意味することの、残酷さを考えさせられる。 そしてロシア兵に暴行された女性に乱暴する日本兵。 この大作「人間の條件」のいよいよ最後の問題提起かもしれない。 いよいよ最終回へ。 (最終話を見たが、問題提起はさらにさらに続いた・・) [DVD(邦画)] 7点(2020-07-24 18:13:19) |
851. 花と龍(1973)
《ネタバレ》 前半の金五郎とマンの夫婦の生き様は、 「日本侠客伝 花と龍」の方がまとまってて、分かりやすかった。 が、後半の息子のカツノリが成長してからの話は、やはり原作に忠実な本編ならでは。 恐らく、このカツノリが原作者の火野葦平なのだろう。 ストライキつぶしに刀で斬り合うなんて、本当?と思ってしまうが、 北九州は、こういう町なのだろうか?う~む・・ ここが「日本侠客伝」との違い。 「日本」は組の抗争で蝶々牡丹が活躍するのだが、 本編では組合のストライキつぶしの抗争(でも結局、組同士のつぶし合いなのだが・・)で 蝶々牡丹の、しかも娘が活躍する。 同じ原作使っても、料理は様々ですね。 [DVD(邦画)] 7点(2020-07-24 12:39:19) |
852. トキワ荘の青春
《ネタバレ》 NHKの「わが青春のトキワ荘」を見ていると、誰が誰か分かりやすく、 この作品のテーマも読みやすい。 というか、市川準は、漫画にそれほど愛情を持っていると思えず、 いつもの市川節ならば、もう前述のNHK特集を見ればいいわけで、あまり制作の意図が読めない。 本木くんの映画と思えば、すっきりはするが・・ 長回しというか、淡々と情景を撮るというか、長いCM(昭和に流行った感じの)のようである、 市川節では、この素材はもったいなさすぎである。 でも自分を殺さず、時流に取り残されていく作家の話としては、 見応えがありました。 [ビデオ(邦画)] 7点(2020-07-22 01:35:37) |
853. 日本侠客伝 花と龍
《ネタバレ》 火野葦平の「花と龍」を日本侠客伝シリーズに取り込んだバージョン。 一本一本が独立した話のシリーズと聞く。 監督は、あのマキノ監督。 本当は「花と龍」を観たかった。 が、本編も面白い!侠客シリーズ、面白いんだ。 一体、どこからどこまでが「花と龍」なのか分からないが、 本編の魅力は、高倉健を愛する二人の女にある。 下町の女性とヤクザの世界に身を置く藤純子。 ラストの修羅場を、ともに生き残って、奥さんに「私の負けだわ」というアタリ。 カッコ良すぎです!藤姐ェ! [DVD(邦画)] 7点(2020-07-13 22:49:34) |
854. 記憶にございません!
《ネタバレ》 三谷節が良く弾けてる。 まず大筋が面白い。 記憶喪失のまま、総理大臣を続ける。 そして国をいい方向に向けていくべく、周りがサポートする。 そして最後はホロリと来るラスト。 器用に大河ドラマも、歴史も政治もこなすが、 彼の、ありえない状況から来る笑いは、日本映画に新風を入れてくれて、 今ではお馴染みの監督になった。 [DVD(邦画)] 7点(2020-07-11 22:28:28) |
855. 見えない目撃者(2019)
《ネタバレ》 面白いサスペンスでした。 「羊たちの沈黙」と「暗くなるまで待って」を足したような作品。 猟奇殺人犯がもっとも身を守るのに不利な目の見えない女性を襲ったら、どうなるか しかもその犯人が身内のはずの警察官だったら、とか最悪な設定で創り上げた作品でした。 最初は乗り気じゃない、感じの悪い警察官(大倉孝二)が 「正義ってものをみせてやる」と言って、犯人にもっとも残虐な殺され方を されるところにこの監督のセンスを感じました。 [DVD(邦画)] 7点(2020-07-11 16:47:04) |
856. 荷車の歌
《ネタバレ》 明治終り頃から、第二次世界大戦終戦までの 二人の夫婦の一生をずっと描いている。 時代おくれの荷車挽き、生活苦、姑の子供虐待、年を取っては夫が妾を作ったり、そして戦争になって、 送り出した子が病気で帰って来たり、そして戦死して、もう苦労苦労の連続である。 今の時代も、失業やらコロナやら、悩みだしたらキリがないが、 いつの時代も、この国は悩みだらけなのだなぁと思う。 それでも養女に出した娘が帰って来たり、姑との和解があったり、 ホッと一息つける時間もある。 「人生とは絶望と希望の戯れである」 ゼミの先生の言葉であるが、まさしくそれを映画化したような映画だった。 [DVD(邦画)] 7点(2020-06-20 14:47:05) |
857. 火口のふたり
《ネタバレ》 最初は???って感じだった。 いとこ同士のセックスシーンばっかり。 でもある時、はたと気がついた。 これは神話の世界なんじゃないかと・・ 近親相姦、地殻変動・・ 国づくり神話でもこんなんばっかりじゃないかと・・ (古事記とかよく知らないけど(笑)) そんなんで最後は富士山が噴火で納得のラスト・・て? でも日本的ですよね。 同じようなラブストーリーでも欧米のベルトルッチ「ドリーマーズ」やメルヴィル「恐るべき子供たち」は ちょっと違ったテイストだったもんねぇ。 追記)荒井さんは「身も心も」で柄本親子両方の濡れ場を描いちゃったことになる。 [DVD(邦画)] 7点(2020-06-13 13:25:16) |
858. 事件
《ネタバレ》 ハツ子は義父に暴行を受けながらも、健気に前向きに生きようとしていた。 しかし、チンピラの宮内は浮気を繰り返す男だった。 ヨシ子の彼氏の宏は誠実そうだった。 そこで、義父の毒牙が妹ではなく、姉の自分に向けられて、 自分の人生がこうも満たされないものになった妬みが 妹の彼氏を誘惑することだった。 いや、宏がちゃんとしていたら、こんな間違いもなかったろう。 しかし酒の力も手つだって、ハツ子に甘えてしまう。 義父を迎えることになった、少し弱い母親を乙羽信子が好演している。 ここがポイントなのだ。 「私の何が悪いの」そんな絶望の叫びのような表情を浮かべて、 ハツ子は宏に刺される。 男の弱さにふりまわされたハツ子だった。 何とも寂しい話だ。 [ビデオ(邦画)] 7点(2020-06-11 11:55:49) |
859. 異母兄弟
《ネタバレ》 田中絹代が堪える、耐える。 彼女は戦時中の国民の嘘を呑み込んで、演技していた。 末の男の子が好きになった女中を、二人一緒にさせない絹代の演技の深さ。 「陸軍」の絹代と比べると興味深い。 三国連太郎も怪演。 軍人の時、出世していく息子を褒める時、戦後、ボロボロになった時のそれぞれの三国。 目力を演技できるのかなと思ってしまう位の変わりよう。 このズレた夫婦を通して、戦争を描いてる。 どちらかというと兄弟の軋轢を描く映画ではなかった。 [DVD(邦画)] 7点(2020-06-07 11:28:59)(良:1票) |
860. セブン・イヤーズ・イン・チベット
《ネタバレ》 有名な登山家とダライラマの友情の話である。 この友情は事実らしい。 この登山家との出会いがなければ、中国のチベット事件のときに ダライラマは亡命しただろうか? そして、チベット文化は残り続けたろうか? 中国は恐ろしい。 戦後すぐで気が立っていたからだろうか? でも今の香港を見ても、中国のホントのところは分からない。 中国映画を観ても、人情もあり、魅力ある人たちの国だとは思う。 でも政治が国を動かしているからなぁ・・ スコセッシの「クンドゥン」も似た話である。 こちらはダライラマを主人公にして、チベット事件を描いてる。 [DVD(字幕)] 7点(2020-06-06 22:54:12) |