861. ピンポン
これを見ると、邦画もすてたもんじゃない、と思う。「ナマミの人間が動いているマンガ」というタイプの映画、大好き。ARATAは「ワンダフル・ライフ」もよかった。不思議な役者、と思っていたら、役者じゃなかったのね。スマイルにはピッタリだった。ARATAみたいな表現者を前にしたら、もろに向かい合ったらけっこうビビルのではないかと思うのだけれど、窪塚がちゃんとペコになっていて、いいハーモニーになっていたので、すごいと思った。窪塚は私には何故出たのか理解不能な映画にも出ているようだが、少なくとも「GO」やこれを見る限りは、いいブレーンにめぐまれているのではないかと思われる。(そうそう、私が好きだ、好きだと言っていたら神様が会わせてくれたのではと思うのだけれど、ロケに偶然遭遇して握手してもらったの。うれしかった~。それにみんななんだかんだいって彼のこと好きなんじゃないの? 私がうれしがってその話をいっぱいしたら、「おすそ分け、おすそ分け」とか「ごリヤク」とか言っちゃって、何人も私に握手しに来たわよん!) 9点(2003-03-21 05:25:48) |
862. ニキータ
初期のベッソンはいいのう。なぜこのCOOLさが今はかげをひそめてしまったのかしら? 個人的には8かなと思うけど、平均点が低すぎるから、9をつけたいです。(追記:個人的には、この映画はストーリーを楽しむ作品じゃないんでは?と思うんですけど。孤高に生きていく人間の切なさ、かっこよさを、もっと見てほしいんだよなあ・・) 9点(2003-03-21 05:15:07) |
863. ドクター
私にとっては絶対にはずせない名作なんですが、レビュー少ないですね。残念。 医療過誤やドクター・ハラスメントがホットな話題である今、医師の人間性やモラルに関心の高い人は多いでしょうから、そういう人にはぜひ見ていただきたいです。 米国の大病院の雰囲気、手術や診察の様子、さまざまな医師たちといった、ディテールも興味をそそります。 オーソドックスな美人女優、エリザベス・パーキンスがすごく印象的な役で出てきますが、主人公と安易に恋愛なんかに陥らないところが、大人のテイスト。 ウィリアム・ハートはひいきにしてる俳優の一人ですが、中でもこれはベスト2くらいに気に入ってます。 ラストの少し手前、屋上のシーンが私は好き。 鮮やかに迎えるラストは意外とさわやかです。 関係がよくなかった夫婦が、夫の病気を通じて変わっていく様子にも、ぐっときました。 社会派映画なのかそうでないのかというあたり、軸足がブレているように感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、医師を等身大の人間として描いている点に好感が持てます。 [ビデオ(字幕)] 9点(2003-03-21 05:11:03)(良:2票) |
864. ダブル・ジョパディー
面白いよ。6点はあげられる。ハーレクイン・ロマンスみたいなノリだから、女性向けかもしれないけど。 ところで、あのひどい男を演じた人が、別の映画(「13デイズ」)ではJFK役だったのを見たときは、ものすごくびっくりしました。 この映画よりその事実のほうが「面白かった」かも。(^_^;) でも、「ああけっこううまい俳優さんだったのだなあ、だからあのベタなストーリーでも(本作のこと!)、何とか見るに堪えられたのかも」なんてね、思いました。 6点(2003-03-21 05:03:24) |
865. タイタニック(1997)
遠景のときのあの船、腹たつほどショボイでしょうよ。カップル、どう見たって惹かれあう二人、に見えないでしょうよ。あの海、いくら「これは海だ、海だ」と思おうとしてもプールにしか見えないんですけど。 「だ、だめだ、死んでしまう・・」という緊迫感が伝わってこないのよねえ・・。なぜ人気があるのか、まじにわからない。いいかも、と思ったのは最初のシーンだけだった。ディカプリオも、ウィンスレットも、ほかに何百倍もすばらしい映画に出てるのに!(これとほぼ似たようなことを息子が一緒に見たガールフレンドに言ったら、速攻でフラレタらしいですが・・。) <03/12/02追記>BBCの視聴者アンケートでは、堂々の?ワースト1位やったんやて。どんだけ好きやちゅうお人が多てももうええわー、ちゅう気分になりましたわ。byエセ大阪人おばちゃん。 0点(2003-03-21 05:00:35)(良:3票) |
866. 存在の耐えられない軽さ
文学の香りのする映画。トマシュは一見なげやりな人物像だが、ダニエル・デイ・ルイスの美しさともあいまって、実に魅力的。軽さと重さは実は共存している、ということを、自らの肉体で具現化している彼という役者は、やっぱり本当にすごい人だ。でもそんなことを考えるまでもなく、この映画はただ彼の美しさを楽しむだけだっていいと思う。もちろん丁寧に観て、当時の社会背景に思いをはせるのもいいけれど。終盤の、ストーリーというより、画面からにおいたつ雰囲気がいい。ビノシュは共演者によって、好きな女優にも、嫌いな女優にもなる。本作は、3人の役者のバランスがよく、ビノシュ、オリンとも、ルイスに負けない輝きを放っていた。それがこの映画の最大の魅力かもしれない。<追記:あや、フォローしようとしたわけじゃないんですけどね(ポリポリ・・)結果的に何かが伝わったなら嬉しいんですけど、難しい映画を観たとき、理解しなくちゃなんて思わなくていいんじゃないかな、ということは、ちょっと言いたかったかな・・ポリポリ・・。> 8点(2003-03-21 04:58:05)(良:1票) |
867. 青春の殺人者
親殺しの描写が実に凄惨だったけど、何か切実感にあふれていた印象もあって、今の時代にこそぜひ見直したい映画の一つだと思います。後半、うろ覚えだから違っているかもしれないけれど、水谷豊と原田美枝子の逃避行のようなシーンも、わるくなかった気がする。原田の胸がすごく大きかったので、同性だけどちょっとドキドキしながら見た覚えもあります。<追記:このレビューを書いたあとでビデオを発見し見てみました。逃避行シーン、ありましたね。その部分の映像は凄惨なシーンとは裏腹に、とても幻想的で、きれいでした。ラストもよかった!という記憶でしたが、今回もまたそう思いました。親を殺した青年に共感する、というのも、何か説明のつかない感情なのですが、やっぱり私は好きですねえ、この映画。若い頃見た印象そのままで、古さを私自身は感じなかったし、あまり精神的に成長してない?自分も感じることとなりました。もちろん殺人、それも親殺しが肯定できるはずはないけど、(映画の)経過の中で彼がもつ感情に、圧倒的に寄り添える自分がいるのです。多くの人の心の中にもあるであろう、親に対する「勝手に産んだくせに・・」という感情があるからかもしれません。但しとことん厭世的なニュアンスではなく、妙にすがすがしいというかフシギな魅力があります。私は読んではいないのですが、中上健次が書いた原作の持っている力によるところが大きいのかもしれません。> 8点(2003-03-21 04:53:09) |
868. スティング
作家、小林信彦の著作『ぼくが選んだ洋画・邦画ベスト200』を読んでいたら、「『スティング』は、落語と推理小説の好きな人は必見」と書いてあった。「いい映画だけど、今見るとテンポがのろい」と思っていた私は、まさか「スティング」を落語のノリで見るとよい、なんて考えてみたこともなかったから、ビックリ。またストーリーで私が「何か説明不足でわかんないじゃん」と思っていた2-3点も、小林氏の解説で「なーるほどー」ということがありました。興味をお持ちになった方は文春文庫で読んでみてください。『スティング』、近いうちに観直してみようと思っています。余談ですが、『黒澤明が選んだ百本の映画』というリストもあって、これは黒澤著『夢は天才である』に収録されているとか。小林氏曰く「この百本の選択は非常に面白い」とのことです。 7点(2003-03-21 04:41:51) |
869. 白いドレスの女(1981)
ウィリアム・ハートとキャスリーン・ターナーという配役から格調の高さを予想すると裏切られる、B級半的映画。 そこが面白い。 但し、「白いドレスの女」なんていう陳腐な邦題より原題のほうがなんぼかよかったのにねえ。 今みたいな、原題生かしの発想が薄かった時代の作品だからしょうがないのかなあ・・。 7点(2003-03-21 04:36:55) |
870. シリアル・ママ
個人的には好き。でも、人には薦めない。こっそり自分だけで楽しむ映画。 6点(2003-03-21 04:31:59) |
871. Shall we ダンス?(1995)
周防監督がこれ以後作品を作ってくれないことに大いに不満をもっていましたが、彼は監督というより、映画作家といったほうがふさわしいのかも。そもそも『シコふんじゃった。』以前は、かなり長いこと年収100万円台だったという話を聞いたことがあります。本作がここまでヒットしたからといって、「もっと儲けられるものなら・・」という欲はないんでしょうね、たぶん。名誉欲もなさそう。無名人で『変態家族・兄貴の嫁さん』を撮っていた頃が一番楽しかったんだろうなあ、きっと。ま、そんなこと言ってないでちゃんとレビューしよう。えーとこれ以前の周防スタイルはさらに円熟し、かつ「真面目な人のおかしみ」を真正面からとらえた、というところに、国際的に評価された理由があったのだと・・一応ビデオ化されている周防作品は全部見た私としてはそう思います。その中では、完成度は最高、チャーミングさにおいてはイマイチ。なのでやっぱり、次回作を見たいよぉ・・。やっぱり私の思いは結局そこに行き着くんであります。<追記:最近のTV放映後のレビューはおおむね高採点が多いですね。かくいう私も、今まで数回観た中では、一番よいな、と思ったかも。今回最も気づいたのは、舞さんの一本調子のしゃべり方は、ダンス教室にうんざりしていた様子だった彼女のキャラを強調する意図がかなりあるな、ということと、それはかなり成功しているのでは?ということです。それと、青木や豊子さんのように間近にいたらちょっと困ってしまうような人たちに対しても、そのひたむきさに対する視線が優しい周防監督が、ほんとに私は好きだなあ、としみじみ。監督ってやっぱりインテリが多くて、たいていがイジワルそうか、ないしは無理してイイ人ぶってない?という人が多いような気がするんですヨ。そんな中、周防さんの優しさは本物って、私は勝手に思ってるんです。ところで、ハリウッドのリメイク版は、確かリチャード・ギアとジェニファー・ロペスというキャスティングで、すでに撮影は進行しているはずですよね。いつ頃公開なのかなあ。ギア苦手派としては見るのをためらってしまいそうですが、どんな映画になるか気がかりです。ハリウッドがリメイク好きなのは単に題材を探しているだけでなく、「字幕」を嫌う観客が多いから、と聞きますから、そのまんまを映像化してくれてるんではないか、とは思いますが・・。> 9点(2003-03-21 04:29:27) |
872. シャイン
実のところ、この作品はいつも涙なくしては見られません。 あそこまでの抑圧を受けたわけではないけれど、私自身が親の望むコースに抗えなかった一人なので、他人ごととして受けとめられないのです。 しかも、私の涙をさらにしぼるのは、監督が、泣かせよう、という作り方をしていないから。父親の描き方があざとくなくて、父のほうもいっぱいいっぱいだったのがよくわかる。 その悲劇性も心にしみます。 でも、いくら愛情から出発したことでも、個人の人生を抑圧しちゃいけない。 そちらのメッセージのほうが上回っている。 だから、その人間理解の深さ、監督が人間に寄せる愛の深さに、余計に泣けるのです。 このストーリーを、芸術家の特異な人生、と読む人も多いかもしれないし、それも間違いではないと思いますが、普遍性をも描ききれたからこその、名作だと思います。 過去を浄化する力も持っている音楽の力にも感動しますが、それ以上に、後半、運命的に出会ったパートナーと交わす、シンプルで豊かな愛情表現に心打たれました。 [ビデオ(字幕)] 10点(2003-03-21 04:18:35)(良:1票) |
873. シザーハンズ
白眉は、エドワードの風貌を、異形、それも白塗りという表現にしたことでしょうね。 「あの姿はいったい?」という興味で見て、気に入った人、運がよかったですね。 あのジョニーの顔に抵抗を感じて見てないという人、損してますね。 ファンタジーもの、賛否両論作品の多いティム・バートンだから、ということで見ない人も多いかも。 まムリには薦めません。そういう人は、ずっと損しててください。 ストーリーは、気に入って連れてきたもののそれが悲しいお話の始まり、ということで、アメリカ版「かぐや姫」みたいな趣き。 でもただきれいで切ないだけじゃなく、映画という表現方法のさらなる可能性を教えてくれる作品でもあると思います。 [ビデオ(字幕)] 10点(2003-03-21 04:11:48) |
874. CUBE
見た当時はけっこう面白いと思ったけど、じゃあ今また見たいか?というと、まずその気にはならないですねー。頭おかしくなりそ。でも、映像といい展開といい、ほかにこんな映画見たことあったか?と考えると、それはない。だからやっぱり、お薦めできない映画ではない。こういうものは見といたほうが、映画を見る際のこやしにはなるだろと思う。でも、んなものはいらない、と思う人は、あえて見る必要はないと思う。 7点(2003-03-21 04:06:25) |
875. シークレット/嵐の夜に
《ネタバレ》 あらそうお? もうちょっといい映画だと思ったんだけどなあ私は、と思いました。長女役のジェシカ・ラングっていい女優さんだよ。この映画でも、わるくなかったと思う。派手さには欠けるけどね。私は次女のミッシェル・ファイファーも三女のジェニフアー・ジェイソン・リーも好きだから、それで点が甘いのかな。あと、ネタばれですみませんが、次女が乳がんになって・・といったストーリー展開も、やや唐突に思った人もいたかもしれないけれど、アメリカではすごく乳がんにかかる人が多く、9人に1人の発症率なんだそうです。だから、アメリカの女性にとっては、身近で、また切実感のある設定だったのではないでしょうか? 私としては、うもれた名作、くらいに思ってるので、特に女性にはもっと見てもらいたい作品です。(まああまり話題にならなかったのは、マスコミでもあまり評価が高くなかったのかもしませんが、映画はやっぱり自分で見てどうか、ということがほぼすべてではないでしょうか。私はやっぱりお薦めできます) 7点(2003-03-21 04:01:10) |
876. サウス・キャロナイナ/愛と追憶の彼方
《ネタバレ》 ニック・ノルティは、ハリウッドの同業者のあいだで、人間性が評価されている、という意味のことを何かで読んだ覚えがあります。そんなことが彷彿とするような映画。これがバーブラ・ストライサンド自身の監督作だということには驚き。かなりいい出来栄えです。監督作はほかにも観ていますが、「愛のイエントル」などは正直なところひどいレベルだったので、格段の進歩! 性暴力による心の傷、トラウマを扱った映画ですから、うっかり見ると辛い人もいるかもしれませんが、映画としての起伏はよく練られていて、後味も悪くありません。ストライサンドが苦手、心を扱ったものが苦手、という人も、先入観は捨てて、まず観てみてくださいな。 8点(2003-03-21 03:48:48) |
877. 告発
発売が同じ頃だったのではないかと思うのだが、私がビデオを借りたのは「ショーシャンク・・」とほぼ同時期。刑務所を舞台にしているという共通点があるが、率直な感想として、あちらは娯楽作、テーマ性と演技では本作のほうが上、と感じたものだった。ケビン・ベーコンのこれまでのベストアクトだろうということは、皆さんの感想とも同じだが、私はクリスチャン・スレーターも、正義感あふれる若手弁護士を、類型的でなく見事に演じていると思った。だがその後、彼の出演作での演技は、過去の輝きとは裏腹に、さえない印象で残念。ケビンのほうは、シリアスな役とクレージーな役の両極端をこなして快調だから、レビューによっては「ケビンが善人役でびっくり」とか、その逆の書き込みもあって、面白い。両極端の役柄を演ずることで、自分がつぶれないようにしようとしているのか、それとも単にイッパイ仕事をしたいだけなのか、職人かたぎということなのか、よくわからないが、何色もの色を出せる役者ケビン・ベーコンが私は好きだ。でも、スレーターもがんばってね。 10点(2003-03-21 03:41:42)(良:2票) |
878. 激流(1994)
あのお父さんて、「黙秘」でもお父さんやってた人ですよね。ほぼ同時期に、正反対の役柄を見てしまったので、いまいちこっちにのれなかった。こういうのって、誰のせいでもないけど、何か損したような気がしません? 映画はふつうにハラハラしましたけど、この中のケビンはちょっと単調な感じ。肩の力を抜きすぎてた気がしないでもない。まあその程度のストーリーだとは思うのだけど、そう考えると、メリルというキャスティングはこの作品に対して、重すぎ。うーん結局バランスが悪い感じがして、7点以上はつけにくいです。 6点(2003-03-21 03:31:19) |
879. トレマーズ
地面がモコモコっていうのと、ケビン・ベーコン、どうしてこんなに「合う」んだろう(笑)? 笑って、ヒヤヒヤして、最後はスカッとして、楽しい映画です。でも、これも点数づけが難しい一作ですわ。7点じゃほんとは物足りないけど、8点以上の優秀作?(私の個人的な感覚ですが)じゃない。でも、ことモンスターものに限って点をつけるとするなら、間違いなく10点です。お金をかけなくても、いい映画はできるってことですね。但し日本は土地が狭いから、これを仮にリメイクしようと思ってもムリですね。ハア~残念! 7点(2003-03-21 03:18:27) |
880. 恋人たちの予感
ビリー・クリスタル、この映画ではそんなにわるくなかった。メグをたててた感じ? メグ・ライアンは似たキャラをいっぱいやっているけど、このときの演技が最もよかったですね。特に例のあのシーンはなかなかなものだった。メグのことけなす人もいますけどね、あのシーンなんか、じゃあ日本人の女優でやれそうな人なんていまっかね?と思う。そのほか、とにかく2人の「表情」に注目! ボロ泣きのメグのかわいさ、一晩たってのビリーのあの表情のおかしさ。凡庸なお話なのに愛らしく楽しいのは、ああいうディテールのおかげでしょ。ところで、ほんとにこの映画は、男と女に友情は成立するか否か?っていうテーマなんだろうか? 私は違うと思うんだけど。私には不器用でかわいいカップルを、ナチュラルに描くための「しかけ」にしか見えない。そもそも、どんな恋愛がほんとの意味で恋愛として成立しているかだってあやしいもの。友情も、しかり。私は、たまたまあのカップルはあーだった、というお話として、楽しみました。(これもまた邦題がひどいねー。このタイトルのせいで、みんなテーマを誤解してるんじゃないの? 原題をよく見てほしいんだけど・・。) 8点(2003-03-21 03:07:16) |