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鉄腕麗人さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2593
性別 男性
ホームページ https://tkl21.com
年齢 43歳
メールアドレス tkl1121@gj8.so-net.ne.jp
自己紹介 「自分が好きな映画が、良い映画」だと思います。
映画の評価はあくまで主観的なもので、それ以上でもそれ以下でもないと思います。

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881.  アタック・ザ・ブロック
漆黒の闇の中で蛍光色に光るエイリアンの牙、真っ黒なフードを被った少年ギャングの目、両者は互いにメタファーとして対峙し、“襲う者”と“襲われる者”が突如として入れ替わり立ち替わる。 ヒップホップに彩られたSFとバイオレンスとコメディの中で痛烈な社会風刺が差し込まれる。 この英国産のエンターテイメント映画は、ポップカルチャーの体裁を示しつつ、想像以上にハードで、それに伴うカタルシスに溢れた映画に仕上がっている。  少年ギャングが巣食う団地にエイリアンが襲来してきて決死の攻防を繰り広げるというプロットだけを聞くと、とても気軽に楽しめる類いの娯楽映画のように思う。 実際、この映画は表面的にはそういう方向性でプロモーションされているが、そもそもの発端となる舞台設定、ストーリー展開、そして映画の到達点は、非常に根深い社会問題に根ざしていて、予想外に深い感慨を観客に訴えてくる。  英国の社会問題となっている低所得者層の不遇。そこからある意味必然的に派生している暴力と犯罪。 文字通り“降って湧いた”凶暴なエイリアンとの攻防の中で、少年たちは、暴力と明確な「死」に曝される。そのプロセスにおいて、自らが置かれた社会環境の問題性と、自らが犯してきた罪の深さを知っていく。  前述の通り、この映画は表面的には敢えてライトに作られている。上映時間も88分と短く、映画内の時間経過も、事態の異常性のわりにはほんの2~3時間程度の出来事として描かれる。 そういったコンパクトさこそが、この映画で描かれていることが社会の「縮図」であるということの明確な意思表示のように思える。  この映画の製作スタッフは、自らが楽しみながら、あらゆる人々にとって楽しい映画を作り、同時に大きな付加価値を付けることに成功している。見事。
[ブルーレイ(字幕)] 8点(2013-03-11 11:12:22)
882.  ピラニア リターンズ 《ネタバレ》 
馬鹿馬鹿しいほどに悪趣味なB級モンスター映画であることは明らかなのに、想定外のクオリティーを見せ、世の好事家たちを興奮のるつぼに叩き込んだ前作はサイコーだった。 続編の製作が早々に決まったということで期待はあるにはあったが、前作とは監督が変わってしまった時点で、この続編がB級以下の映画に成り下がってしまうことはある程度予想できた。 そもそもが“お下劣上等!”のスタンスで臨んでいる映画なのだから、間違っても真っ当な娯楽映画的なクオリティーを求めるべきではないのだ。  そうやってハードルを十二分に下げ切って、ある意味開き直って鑑賞に至れれば、まだまだ楽しめる映画だとは思う。 前作に対してピラニアの恐ろしさも、被害の規模も明らかに縮小してしまっているが、その分というかなんというか、エロさと、ナンセンスなユーモアは、過剰な程に増幅している。 前作よりもユーモアとしての程度は遥かに低く、映画としての良さには全く繋がっていないが、馬鹿馬鹿しさと悪趣味さは、より突っ切っている。  「ナイトライダー」のデヴィッド・ハッセルホフが本人役の自虐的キャラクターとして登場するくだりや、彼と絡む“坊や”の顛末などは、無意味さと悪趣味さが脇目も振らずに突っ走っているようで、それに対して悪態をつく方が馬鹿らしく思え、逆に印象深い。  “悪役”と言えるキャラクターが二人登場するが、両者とも“ピラニア”に襲われるのではないのに誰よりも痛々しい死に方をするのが、この映画世界のブラック性を象徴しているようで良かった。  間違いなくクソ映画だけれど、鼻糞でもほじりながら無意味に馬鹿馬鹿しいというか、はっきり「バカ」な展開と、“おっぱい”を楽しめば、それで充分だろう。 個人的には、前作に続きクリストファー・ロイドの健在ぶりを確認出来ただけで良し。
[DVD(字幕)] 5点(2013-03-09 00:50:23)
883.  フライト 《ネタバレ》 
いきなり映し出される或る女性の乳房。そして、その女性と一夜を共にしたらしい主人公は、元妻からの電話に叩き起こされ、苛立ち億劫に応答しながら、真っ裸でうろつく女性の下半身を凝視する。 おおよそ“ロバート・ゼメキスの映画らしくない”そのアダルティーで、どこか退廃的なムードが漂う描写に「おや?」と思う。どうやらこちらの想定外の映画が展開されるらしいということは、この冒頭数分の映像で明らかだった。  機体トラブルによる旅客機墜落を奇跡的に回避した機長。「英雄」となるはずだった彼の血液からアルコールが検出されたことから生まれる疑惑。主人公は「英雄」なのか「犯罪者」なのか。 ストーリーの大筋はこのイントロダクションの通りである。しかし、この映画は、そこに隠された真実を追っていく類いのありふれたサスペンス映画ではない。 冒頭のシーンで明らかな通り、デンゼル・ワシントン演じる主人公が決して“清廉潔白”な人間ではないという事実からこの物語は始まる。  詰まるところ観客は、映画の序盤において、「英雄か?犯罪者か?」という問いに対して、「そのどちらも当てはまる」という答えを知ることになるのだ。 すなわち、この映画が伝えようとしているものが、主人公の社会的顛末などではなく、彼の人間としての「決断」の物語であることに気付く。  人間は、歳を重ねるにつれ、自分の非を認めるということが困難になる。 それが内省的なものであればあるほど、曝け出し、悔いること自体に多大な勇気が必要になってしまう。 この映画が描くことはまさにそういうことだ。 大事故に遭遇し自らの功績により生き残った主人公が、強制的に自分自身を省みなければならない日々を経て、最終的にどのような道を選び取るのか。  そういうことが、非常に巧みな映画づくりの中で表現されている。 一見すると、無駄に思えたり、やけにまどろっこしく思えるシーンの一つ一つが、この映画が伝えるテーマに繋がっていき、上質なドラマに昇華される。 ロバート・ゼメキス監督の映画を久しぶりに観たが、安定した演出力もさることながら、齢60歳にして非常に精力的に新境地を開拓してみせたと思う。
[映画館(字幕)] 9点(2013-03-02 17:04:48)(良:2票)
884.  BRAVE HEARTS 海猿
「海猿」シリーズもなんだかんだと第4作目。もはや毎度のことではあるが、これでもかと「奇跡」という言葉を連発する予告編に興ざめしてしまい、映画館へは二の足を踏んでしまった。 が、これももう毎度のことなのだが、いざ本編を観ると映画作品としての精度は別にして熱くなる。 それは、奇跡、奇跡と安直にのたまう海上保安官たちのことをあざとく感じる反面、こういう仕事をする人たちにはそういうことを言い続けていてほしいという願望がきっとどこかにあるからだと思う。 そうして、映画としての出来が良かろうが悪かろうが、シリーズ通じて結局目頭を熱くする自分が居た。  ただ今作においてはっきり言えることは、そういう個人的な趣向は別にしても、間違いなく及第点の出来映えを誇っていいパニック映画に仕上がっているということだ。 エンジントラブルを起こしたジャンボジェット機が決死の海上着水を試みるというプロットは、航空パニックと海難パニックの見事な合わせ技を見せ、往年のパニック映画の名作「エアポート」+「ポセイドンアドベンチャー」の図式を彷彿とさせる。  これまでのシリーズ作は、頭に馬鹿が付くほど愚直な主人公がただただ自らの精神論を武器に無闇矢鱈に人命救助に望むという構図が全面に出過ぎてしまっており、それがリアリティを著しく削ぐ大きな要素になっていた。 しかし今作においては、そういった主人公のこれまでの言動そのものをバックグラウンドに敷き、一定のリアリティと説得力をもってストーリーを進めることに成功している。 そこに3・11以降の「結束力」に対する価値が加味され、我々日本人にとっては特に感慨深いドラマ性を孕ませられていたと思う。  ラストの顛末など、相変わらずの御都合主義はあるけれど、それを分かった上で映画の中の保安官たちを応援してしまう。じゃあそれで充分だと思う。
[ブルーレイ(邦画)] 7点(2013-02-22 07:45:41)(良:1票)
885.  モダン・タイムス
チャールズ・チャップリンの映画を初めて観た。 と言うと、映画ファンとしての見識を我ながら疑ってしまうが、事実なので致し方ない。 自分自身、何らかの作品は観ていた“つもり”になっていた。 が、どうやらその曖昧な記憶は、数々の映画において“引用”されるチャップリンの映像によって刷り込まれていたものらしい。 言い換えれば、それくらいチャールズ・チャップリンという映画人は、世界中の映画ファンの記憶の中に最初から埋め込まれているような存在なのだと思う。  そうなると、初めて観るチャップリン映画を何にすれば良いのか?ということを悩まざるを得なかったが、何となく感覚的にこの「モダン・タイムス」を選んだ。 常に揺れ動く社会において、「仕事」とは何なのか?「働く」とは何なのか?ということをひたすらに描いた今作は、今まさに「仕事」に対して思い悩む日々を過ごす自分にとって相応しく、運命じみたものを感じた。  資本主義社会の中で、文字通り機械的に働き続ける男の姿を発端として、世知辛い世の中を風刺した今作。 働けども働けども光明が差してこない厳しさを、チャールズ・チャップリンによって笑い飛ばすこの映画は、きっと公開以来現在に至るまで世界中の“働く人々”に様々な影響を与えてきたことだろう。  素晴らしいと思うのは、人間味が薄れた厳しい社会情勢を下敷きに物語を展開させつつも、この映画は決してそのすべてを否定しようとはしてないことだ。 主人公の言動が終始一貫表しているように、たとえ世の中がどんな状況であろうとも、それでも人は働かなければならないし、働けるということに喜びを感じなければならないということを、きちんとこの映画は伝えている。  だからこそ、主人公は常に前を向いていられるし、ヒロインが打ちひしがれるラストでも、“スマイル”を促し彼女の手を引いて進み出せるのだ。 辛い世の中だからこそ、すべてを否定するのではなく、肯定すべき部分に目を向けなければならない。 この映画が長きに渡り世界中の人々に愛されているのは、そういった“力強さ”に溢れているからだと思う。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2013-02-17 08:42:03)(良:1票)
886.  ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還 - スペシャル・エクステンデッド・エディション -
長い長い旅の果て、極限まで憔悴した主人公たちの意識が乗り移ったかのように、観ているこちら側も確実に疲弊していることに気付く。 もちろん映画が長過ぎて疲れたということではない。これほどまでに深遠な物語を、これほどまでに完璧に映し出した映画世界を体感して、“疲れ”を感じないわけがない。 そう断言出来るくらい、この映画の完成度は物凄く、あらゆる否定を寄せ付けない絶対的な存在感を誇っている。  劇場公開以来2度目の鑑賞。劇場公開版でも充分にこの作品の凄さは感じていたけれど、今回初めて“スペシャル・エクステンデッド・エディション”を観て、映像構成から人間描写までこの映画世界のあらゆる緻密に裏打ちされた奥行きの広大さに驚嘆した。 主人公はもとより、彼を支える仲間たちの一人一人、そこに集う人物の一人一人、そして対峙する“悪”の存在の一人一人に至るまできめ細かい描写がきちんとされ、その一つ一つのドラマ性がこの深遠な物語を象っている。 そういうことを映画という表現の中で、余すことなく創造しきったピーター・ジャクソン監督をはじめとする製作陣には、ただただ敬服するしかない。  一つの指輪をめぐる冒険の果ての、世界の平穏と、主人公の喪失感。 ファンタジーに関わらず、世界中の数多のストーリーが、この"行きて帰りし物語”をベースにしているのだろうが、この映画の絶対的な存在感は、この先時を経ても決して揺るぐことはないだろう。  ただし、個人的にはこの物語に唯一対抗し得る作品があると思う。 「風の谷のナウシカ」の原作漫画である。 もちろんこれも、宮崎駿がJ・R・R・トールキンの「指輪物語」に影響を受けていることは明らかだ。今回、「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズを見直してみて、「風の谷のナウシカ」が類似する要素が数多いことに気付いた。 「風の谷のナウシカ」の原作漫画の大ファンにとっては、その実写映画化は禁断の夢だ。 ただもし、その禁断が破られるのならば、それを託せるのはピーター・ジャクソンをおいて他にいない。
[DVD(字幕)] 10点(2013-02-14 16:56:55)
887.  ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還 《ネタバレ》 
映画史百余年、おびただしい数の映画が生まれ数多くの傑作が誕生しているが、その歴史に燦然と残るという映画はやはり数少ない。ひとつの映画において映画史に残るという肩書きには凄まじいパワーが必要だからだ。そして、この強大な3部作はまさしく「映画史に残る作品」にふさわしい映画としてその全貌をあらわしたと思う。あらゆる娯楽映画を超越したそのエンターテイメント性にもはや言葉がない。ただただその映画世界に包まれ没頭することしか一観客としては許されない。そんなとてつもないエネルギーを感じずにはいられなかった。 旅の仲間たちによる指輪をめぐる壮絶な冒険を綴ったこの物語は、指輪を葬り、大団円を迎えただけではその結末を許さない。ラストに描かれる指輪を背負った者の宿命。その果てしなく深遠な喪失感こそ、この壮大なファンタジーの真のテーマだったのだと思う。指輪をめぐる旅は終わった。しかし本当の旅はこれから始まる。
[映画館(字幕)] 10点(2013-02-14 16:13:32)(良:2票)
888.  ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔 - スペシャル・エクステンデッド・エディション -
“5日目の朝日”と共に白い魔法使いが軍勢を引き連れて戻ってくる。大軍勢が一挙に斜面を下り、待ち受ける敵方の大軍勢とぶつかり合う。 起死回生のこのシーンの迫力は物凄く、劇場公開時に初めて目の当たりにした時の興奮は忘れられない。 個人的には、この「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズが、ファンタジー映画の範疇に留まらずエンターテイメント映画として唯一無二のものとなっているのは、この第二作の圧倒的なクオリティーによるところが大きい。  シリーズの前日譚「ホビット」の公開、鑑賞を受け、この“スペシャル・エクステンデッド・エディション”を初めて鑑賞。 本当はもっと早く観ておきたかったけれど、何せ上映時間が223分もあってはなかなか機会を見出せず、結局今回のタイミングに至った。  エンターテイメント映画としてのクオリティーの高さは、先述の通り言うまでもなく物凄い。 長ーーいエンドロールが、この映画に携わった人間とそれに伴う情報量の膨大さを顕著に物語っている。  今作はメインキャラクターはもちろん脇役も含めた登場人物たちの群像劇としての趣が強く、映画世界に息づくキャラクター達の緻密な人物像とそれに付随するドラマ性も見所だと思う。 その分、逆に主人公フロド周辺の描写は少なく、彼においてはそれほど大きな進展もないのだが、周辺キャラクターの魅力が深まる今作があるからこそ、この三部作は強固な娯楽性を持ち得ていると思う。  さあて、この勢いのまま「王の帰還」の“スペシャル・エクステンデッド・エディション”に挑むかな。
[DVD(字幕)] 10点(2013-02-13 23:25:14)(良:1票)
889.  ラスト・ボーイスカウト
「ダイ・ハード」で確立されたキャラクターを踏襲しただけのアクション映画だという印象だったが、ものすごく久しぶりに観てみると、想定外にぶっとんだ娯楽性を楽しめた。 改めて観てみると、続編が製作されなかったことが不思議に思える程だった。  何と言ってもこの時点ですっかり“定着”しているブルース・ウィリスのキャラクターが良い。 伝説の元シークレットサービスでありながら、堕落ししがない私立探偵に成り下がっているというキャラクターは、他に演じるべき俳優が思いつかないくらいに彼にフィットしている。 この作品の後、今作と同様の性質をもったキャラクターを何作も演じ続けていることを考えると、いかにそのフィット感が揺るぎないものだったかが分かる。  と言うと、実にありきたりなブルース・ウィリス映画だと思われがちだが、この映画そのもののキャラクター性は極めて独特だ。  冒頭から映し出されるのは豪雨のアメリカンフットボールの試合シーン。意図的に闇が強調された映像の中で、八百長試合に溺れたプレイヤーが相手プレイヤーに向けて拳銃をぶっ放し、挙げ句自らのこめかみを撃ち抜く。(しかもこの選手役があのビリーズブートキャンプのビリー隊長だというだから驚く) また後のアカデミー賞女優ハル・ベリーがストーリーの発端となるストリッパーとして登場し、序盤に悪党どもによって蜂の巣にされてしまう。 主人公の親友だった男は、彼の妻を寝取った上に、非常に危険な仕事を押し付けた途端に爆死する。  と、序盤からぶっ飛んだハードボイルド展開が連続し、初見ではないのに面食らってしまった。 果たしてどうなってしまうのだと思うが、最終的には痛快な娯楽性で締めてくれる。 このトータル的なエンターテイメント性の高さは、監督のトニー・スコットの流石の力量だと思う。  他にも娘からの助け舟を受けての強烈なぬいぐるみジョークや、随所に挟み込まれる小気味良い台詞回し、そしてラストの“ダンス”に至るまで、時を経て観ると意外なほどに見所に溢れたアクション映画だ。
[CS・衛星(吹替)] 7点(2013-02-06 23:56:45)
890.  トータル・リコール(2012)
「アンダーワールド」シリーズのレン・ワイズマン監督による映像世界は流石に流麗で、アクションシーンにもメリハリがあり良かったと思う。これが、何のバックボーンもない新作SFアクション映画であれば、もう少しシンプルに好評を得ることも出来ただろう。 しかし、この映画が「トータル・リコール」のリメイクである以上、そういうわけにはいかない。  22年前にポール・バーホーベンが描き出したあの“特異”な映画世界と比較せざる得ない状況では、やはり今作に対しては「凡庸」という言葉が常に先行してしまう。 オリジナルとの大きな違いとして、今作の舞台は火星ではなく、荒廃した地球の表と裏という設定になっている。 貧富の格差をあからさまに表したこの舞台設定を結ぶ通勤電車“フォール”の存在は剛胆で良かったけれど、オリジナルの広大な世界観に比べてしまうと、どうしてもこぢんまりとした印象を覚えてしまう。 詰まるところ描かれているものは、圧政に対しての小規模な反乱に過ぎず、SF映画としての迫力に乏しかったと思う。  完全に「ブレードランナー」を意識した街並や小道具の造形は秀麗ではあったものの、バーホーベンの毒っ気溢れた世界観に比べると「フツーだな」と思ってしまう。 あの“顔面割れおばさん”を演じた女優に「二週間よ」という台詞を言わしたり、売春婦の"三連おっぱい”などバーホーベン版を彷彿とさせるオマージュ的描写が随所に挟み込まれていたことは、オリジナル作品に対してのリスペクトが感じられて好感は持てたけれど。  監督のリアルな奥方でもあるケイト・ベッキンセールが、オリジナルでシャロン・ストーンが演じた“鬼嫁”役を演じ、彼女にとっては珍しい“悪役”を楽しんでいた。 相変わらず美しいので、しつこく主人公を急襲する悪役ぶりをずっと観ていたい気もしたが、さすがに最後まで引っ張り過ぎなような気もした。おかげで敵ボスの存在感が薄れてしまっている。 だいたい、ベッキンセールの役は結局のところ職務に意欲的な公務員であり、よく考えれば決して悪党ではないというキャラ設定も中途半端だったと思う。  今思えば、オリジナル作品主演のシュワルツェネッガーは、あの馬鹿っぽさが適役だったんだなあと思い知った。
[ブルーレイ(字幕)] 5点(2013-02-06 13:50:30)(良:1票)
891.  ザ・レイド
「痛ッッッ!!」 と、思わず鑑賞者に言わせる回数は、アクション映画における重要な評価の指針になり得る。 唯一無二の目的として、相手を“殺す”ために殴り、蹴り、刺し、撃ちまくるこの映画のアクション性は、ひたすらに“痛い”。 ほぼ全編通して映し出されるその鮮烈なアクションとそれに付随する痛々しさは、紛れもないこの映画のオリジナリティであり、世界が熱狂したことも頷ける。  麻薬王が支配する30階建ての集合住宅に20人のスワット部隊が乗り込み、死屍累々の激闘を延々と繰り広げる。 まるでストーリーが無いように見えるが、実はそうではない。この映画の場合、見せたいアクションを突き詰めた結果、ストーリーが極限まで削ぎ落とされ、アクションそのものがストーリーと化しているのだと思える。  ひたすらに延々とアクションシーンが繰り広げられるため、いくらそれが鮮烈だと言っても、それなりのアクション映画ファンでなければだれてしまうことは否めない。 ただ、「それの何が悪い?」とこの映画は堂々と開き直っている。  インドネシアの映画産業がどれほど栄えているかは知らないが、決して潤沢な資金があったわけではないだろう。 しかし、そんな中でも、自分たちが世界に誇りたい格闘を世界に通用する映画の中で表現したいという強い思いが、今作には溢れている。 その意識の強さこそが、もっともエキサイティングなものだと思う。  こいつらこそまさに誇り高きエクスペンダブルズ(消耗品軍団)だ。
[ブルーレイ(字幕)] 7点(2013-02-06 00:09:45)(良:1票)
892.  ACRI
「ego ?(イーゴゥ?)」 と、海洋学者を演じる藤竜也が独特の言い回しで食い入るように応える。 このワンシーンを迎えるとついつい真似て声を被せてしまう。 個人的にフェイバリットな映画において、そういうことは多々あると思う。 つまりは、世の中では圧倒的に酷評され、石井竜也という“創造者”にとってかなりマイナス要因の強い分岐点となってしまったこのSF映画が、僕は個人的に大好きだということだ。 何年ぶりかに鑑賞しなおしてみて、そのことを改めて思い知った。  岩井俊二が用意したファンタジックなベース(原作)に乗って、石井竜也というクリエイターの趣向がある意味独善的に繰り広げられている作品であることは間違いない。 はっきり言って、その趣向にそぐわない限り「陳腐」だとしか感じられないことは致し方ないのかもしれない。  決して大衆にはウケないという必然性を備えていることを今はよく理解出来る。 でもだからこそ、生まれて初めて買ったCDが米米CLUBの「君がいるだけで」で、小学校の文集の「尊敬する人」の蘭に「石井竜也」と書いた“信者”にとっては、唯一無二の作品であることも改めて必然だと思った。  前述の藤竜也をはじめとし、俳優として駆け出しの浅野忠信、トレードマークの長髪が若い江口洋介、色々な意味で感慨深い裸体を披露する吉野公佳と、キャストは魅力的だ。 そして、岩井俊二の原作から導き出されたプロットは、充分に理にかなった空想科学であり、そのファンタジックでもある世界観は石井竜也の創造性にとてもよくマッチしていたと思う。  まあこれからも再評価されることなんてないのだろうけれど、石井竜也、岩井俊二、浅野忠信、そして原案にはよしもとばななも携わったらしいこの作品を、「俺が好きと言わずに誰が言うのだ?」と勝手に使命を持ち続けようと思う。 
[CS・衛星(邦画)] 10点(2013-02-04 14:16:43)
893.  マグノリア
もともと群像劇は好きなので、よくできたキャラクターやそれぞれのドラマ性だけでも存分に楽しめるものだったが、圧巻のラストシーンに一気にしてやられた。映画がいくらなんでもアリの世界だと言っても、なかなかあれほどの離れ業をやれるものではない。唖然とするほどの衝撃に脱帽だった。
[ビデオ(字幕)] 8点(2013-01-13 21:49:20)
894.  サイダーハウス・ルール
ラッセ・ハルストレム作品は例外なくそのテーマ性の奥深さにいつも感服させられる。一見感動作に見える今作も、そのテーマは非常に痛烈で重厚なものだ。映画の真理だけを見ればとても生々しくなるところを、非常に上質なオブラートに包み上げ映画として美しく完成させる。その手腕にこの監督は優れ、結果として秀逸作を量産している。
[ビデオ(字幕)] 9点(2013-01-13 21:47:11)
895.  花様年華 《ネタバレ》 
憂い、惑い、迷い、哀しみ……この映画の感情のすべては、マギー・チャンの“腰つき”に映し出される。悩ましげなその曲線美は、秀逸なる官能美と危険な恋の色香に溢れている。マギー・チャン自体ももちろんそうだが、映画全体の艶かしい空気感が圧倒的に美しい。「2046」を観た後に、それが「花様年華」の続編的作品であることを知り、慌てて観たのだけれど、なんだか今作を後に観たほうが、互いの作品の味わい深さをより感じることができるように思う。2作品に渡り、トニー・レオン演じるチャウは一人の女性を想い続けるわけだが、ついに二人は一線を越えることは無かった。そのことが、尚更に切なく、大人の“焦がれ”がじわりと染みわたる。
[DVD(字幕)] 9点(2013-01-13 20:57:15)
896.  魔界転生(1981)
個人的に題材に対して少々、小馬鹿にするところがあったのだけれど、圧倒的に特異な世界観に引き込まれた。妖艶に人の心につけ込んで自らの復讐のために利用する沢田研二の天草四郎が鮮烈。千葉真一の柳生十兵衛、佳那晃子のガラシャ夫人も存在感がある。燃え盛る江戸城でのクライマックスは圧巻だった。同監督作「柳生一族の陰謀」に続けて今作を観るとなかなか興味深い相違があって楽しめる。まだ未見だけど、今作を観ると窪塚洋介版「魔界転生」が大きくかすむのも仕方ないかもしれない。
[DVD(邦画)] 9点(2013-01-13 20:51:02)
897.  モンスター(2003)
もし神なるものがあるとするならば、自ら死に向かおうとする“彼女”を留め、哀し過ぎる狂気へと突き進む“愛”へと導いた理由は何だったのだろう?言葉にならない苦しみを一人の女性の運命に詰め込み、それを歩ませた意味は何だったのだろう?果たして、彼女の真の罪は何だと言うのか?渦巻く人間の業についての疑問が永遠につきまといそうで、とても苦しい。でも、結局、その答えは、“たった一つの愛”なのだと思う。苦しみと屈辱の中で生きてきた女に訪れた、とても小さな愛。その結末さえ、あまりに悲劇的な愛。その一瞬の安らぎと許しのために、彼女の生はあったのだろう。とても不条理すぎて理解さえ及ばないが、それでもそこに一寸の救いがあったことを僕は信じたい。彼女のモノローグのように、そんなものさえ罵声ともに一蹴されるのかもしれない。でも振り返った彼女の最後の瞳は、そうは言っていなかったと思う。 “最高女優”の称号を得たセロンの演技は、何の余地も無く圧倒的だ。そして、“アイリーン唯一の愛”を演じたクリスティーナ・リッチも素晴らしい。この映画はこの二人の女優の存在が無ければ成立しなかっただろう。
[映画館(字幕)] 9点(2013-01-13 20:47:25)(良:1票)
898.  バルカン超特急(1938) 《ネタバレ》 
サスペンス映画好きのくせに、実はヒッチコック映画を観ていない。 過去に見た作品は、「サイコ」と「北北西に進路を取れ!」くらいである。 久しぶりに物凄く古い映画を観たくなって、70年前に製作された今作を手に取った。  特急列車の中で突如姿を消した中年女性。主人公は彼女の行方を同乗者に聞いてまわるが、誰もが「そんな女性はいなかった」と彼女の存在を認めない。 という「奇妙」から端を発し、コトの真相が、列車に乗り合わせた群像と人間心理の中で徐々に描き出されていく。  おや、どこかで観たことがあるストーリー展開だなと思えば、まるっきりジョディ・フォスターが主演した「フライトプラン」ではないか。 当然、「フライトプラン」の元ネタが今作というわけなのだろう。  とにもかくにも、70年も前に製作されたサスペンス映画が、今も変わらず映画としての“面白味”という輝きを放ち続けていることに、アルフレッド・ヒッチコックという映画史の巨人の言うまでもない巨大さを感じずにはいられない。  ただ単に、謎とそれに対する真相を追い求めるだけでなく、登場する人物の性格や、言動、心理描写に映画としての核心があり、そのことがこの作品が劣化しない最大の要因だと思う。
[DVD(字幕)] 8点(2013-01-13 17:05:29)(良:2票)
899.  ロザンナのために
あまり知られていないが、夫婦愛という点ではこの映画の右に出るものはないのではと思えるほど素晴らしい作品だった。夫婦が置かれている状況も、旦那であるジャン・レノが起こす行動も本来なら非常に切迫したものである。しかし、映画の空気感はそうではない。あくまでコミカルにほのぼのとした雰囲気が逆に涙を誘う。予想外に爽快感たっぷりのラストも心地よく印象深い。
[ビデオ(字幕)] 10点(2013-01-12 23:46:04)(良:1票)
900.  紅の豚
戦友の死を引きずりながら空に生きるという、非常に男臭い話を、主人公を豚にすることで一気にアニメ的なファンタジーへと昇華させていることに、やはり宮崎駿の天才ぶりを見ずにはいられない。宮崎映画の中では最も大人向けと言えるこの作品は、シャンソンにのって異国の空へと誘ってくれる。
[地上波(邦画)] 10点(2013-01-12 23:43:46)
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