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イニシャルKさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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901.  今年の恋 《ネタバレ》 
今年になって何本か木下恵介監督の映画を見ているが、シリアスな作品が続いたせいか喜劇映画はかなり久しぶりに見る気がするのだが、これがまた面白く、肩の力を抜いて気楽に見られる楽しい作品だった。「永遠の人」に続いての木下作品出演である田村正和が「永遠の人」の息子役とは違うちゃらい学生を演じているが、やはり「永遠の人」の役柄とは別人に見える。(近年の彼は何を演じているのを見ても古畑任三郎にしか見えない。)映画はこの田村正和の兄である吉田輝雄と悪友の姉であり、料亭の娘である岡田茉莉子が主演のラブコメなのだが、印象に残るのはやはりこの二人が車を走りながらの掛け合いのシーンで、その掛け合いが面白く、なんとも爽やかでロマンチックだ。ほかにも思わず爆笑してしまうようなシーンが多く、岡田茉莉子が弟を説教しているところへ両親がいちいち割って入るシーンは両親の配役の妙もありかなり笑えるし、弟たちの担任を演じる三木のり平もいい味を出している。とくに弟たちの素行の悪さについて話しているうちにいつの間にか自分の風邪が大変と言い出してしまうところなどは最高だった。それにベタではあるが、電話を使ったギャグも面白い。東山千栄子演じるばあやがこれまたいい味を出していて、雨の夜中に吉田輝雄と田村正和が寝ている寝室に入ってくるシーンには思わず笑ってしまった。ラストは大晦日の除夜の鐘をつくシーンで終わっているのがいかにも正月映画らしく、今度本作を見るときはできれば大晦日に見てみたいと思う。木下監督は一般的にはシリアスな映画で評価されることの多い監督だと思うのだけど、それだけではなくこういった軽めの喜劇もうまく、喜劇でももっと評価されていい監督だと本当に思う。とくに本作は監督自身が楽しみながら撮っている姿が想像できるような映画だった。
[DVD(邦画)] 8点(2014-10-04 13:26:01)
902.  死闘の伝説 《ネタバレ》 
終戦直前の北海道を舞台に、疎開してきた一家があることをきっかけに現地の住民たちから疎まれたことから起こる双方の対立を描いた木下恵介監督による映画。その対立を激しい暴力描写を伴って描いているのが木下監督の映画としてはかなり異色であり、とくに後半部分の登場人物たちが激しい殺し合いをはじめる展開は一見本当に木下監督の映画なのかと思うほどだが、その暴力描写のみを売りにした娯楽映画などでは決してなく、最初から最後まで重苦しい雰囲気で展開する社会派映画である。戦時中に疎開した者と疎開先の住民との確執は本作で描かれるほど極端でなくても実際にはあったことだと思うし、木下監督もそれに怒りを感じていたのだろう。(現在でも差別による対立はじゅうぶんあり得るし。)そしてそれを描くにはあえてこうするしかなかったのではと思うし、木下監督のいつもとは違った一面を見れたのも新鮮だった。木下監督らしさがまったく出ていないのかというとそうではなく、登場人物たちに戦争批判的なセリフをストレートに語らせるなどメッセージ性もある。ラストはなんとも言えない虚しさがあるが、木下監督はこの事件と戦争を重ね合わせて、人間の愚かさや争いの虚しさというものを描いているように感じられ、確かに異色作ではあるが、木下監督の信念のようなものはちゃんと貫かれていて、作風のブレは感じられない。ただ、主演は岩下志麻で脇に菅原文太が出ていて、とくに岩下志麻はまだ若手の清純派の頃なのだが、先に後年の東映映画を見ているせいかこういう暴力描写の多い映画でこの二人が共演していると木下監督の映画としてはちょっと違和感を感じてしまうのも事実ではある。
[DVD(邦画)] 7点(2014-09-28 10:28:11)
903.  血染の代紋 《ネタバレ》 
深作欣二監督が「仁義なき戦い」以前に菅原文太と梅宮辰夫を主演に起用して手がけたヤクザ映画。冒頭のナレーション(小松方正)とテロップは「仁義なき戦い」を思わせていて、いよいよ実録ものの前夜という雰囲気。でも印象としてはやっぱりまだ義理人情の世界を描いた任侠映画で、菅原文太も梅宮辰夫も「仁義なき戦い」ほどの凄みはなく、インパクトも感じなかった。でも、映画はなかなか面白く、スラムをつぶしてのコンビナート建設をめぐる二つの組織の利権争いが描かれるが、本作は主人公ふたりをそのスラム出身としているところが新鮮で、これがよく利いていてドラマ性を出すのに成功していると思う。スラムの描写もリアルでうまく、メッセージ性も社会性も時代性もあり、ただのヤクザ映画にしたくないという深作監督の思いも感じられる映画になっている。ラストは東映任侠映画ではお決まりの殴り込みなのだが、このシーンが激しく、敵である渡辺文雄だけでなく、主人公ふたりも死んでしまうという壮絶な結末が深作監督らしい。いちばん最後に出るナレーションとテロップは東映任侠映画にしては異質な感じがして、後味はあまりよくないように思うのだが、こういうのも新鮮で良かった。「仁義なき戦い」シリーズに比べれば物足りないのも事実なのだが、深作監督の権力に対する怒りというものも感じられ、彼の作風はちゃんと出ている。ところで菅原文太の兄貴分役で鶴田浩二が出演しているが、ちょっと本作では浮き気味だし、それにやはり鶴田浩二は東映任侠映画では菅原文太より高倉健の兄貴分を演じているほうがしっくりしている気がする。少し甘めだが7点を。
[DVD(邦画)] 7点(2014-09-24 19:35:01)
904.  チャップリンの冒険 《ネタバレ》 
冒頭の砂浜での追いかけっこシーンからすでに笑える。砂の中から現れて追っ手から逃げるチャップリンの動きがバスター・キートンみたいだった。チャップリンも初期の頃はこういうドタバタをやってたんだなあ。後半登場するヒゲのおじさんが読んでいる新聞に顔写真が載ったのが元で見つかりそうになったチャップリンが新聞の自分の顔写真にぼうぼうのヒゲを書いて誤魔化すシーンが最高。上でアイスクリームを食べていたチャップリンがアイスを落としてしまい、それが下にいる女性のドレスの中に入ってしまうシーンにも大爆笑。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2014-09-21 17:03:32)
905.  顔役(1965) 《ネタバレ》 
石井輝男監督による鶴田浩二と高倉健のダブル主演のヤクザ映画で、脚本に石井監督のほか、深作欣二監督と笠原和夫という「仁義なき戦い」のコンビが参加しているという豪華さを感じさせるパッケージの映画で、これだけでなにか期待させるものがあるのだが、実は本作は当初は深作監督が笠原和夫の脚本で手がける予定だったものだが、脚本でもめて(このときもめた二人が後年、「仁義なき戦い」で一世を風靡するのだから世の中分からない。)深作監督が降板、かわって石井監督が脚本を手直ししててがけたもの。話としては笠原和夫らしい見ごたえのありそうな感じなのだが、石井監督が好き放題やってしまったという感じで、どこかカルトめいていて変な映画という印象があるし、脚本にも不備を感じる。高倉健が劇中で「網走番外地」の主題歌を歌っているのはご愛嬌かもしれないが、これだけで本当に「網走番外地」シリーズの一本を見ているような気にさせられるのはちょっと違和感があるし、クライマックス近くで健さんの恋人である孤児院の職員(三田佳子)が夜中に孤児院でピアノを弾きながらこの歌をうたっているのもシュールで、これがシリアスなクライマックスの緊張感を若干削いでいるような気がする。佐久間良子演じる鶴田浩二の妻が目が見えないという設定がまったく生かされておらず、むしろその設定は空気と化している。最初の脚本ではどうなっていたのかが気になってしまった。ほかにもいろいろツッコミどころが多く、脚本段階での混乱ぶりがうかがい知れる。でも、そういうツッコミどころの多いところも含めて見る前に思ったより楽しめたのは事実。しかし、やはりもっと普通にやってもよかったのではと思ってしまうのもまた事実ではある。高倉健や鶴田浩二、それに天知茂はいつものようにカッコ良かったし、まだお竜さんを演じる前の藤純子もかわいらしい。撃たれた後にパンを食べながら死ぬヤクザは思わず笑ってしまった。印象に残るシーンがないというわけでもなく、鶴田浩二が詰めた指を親分が「こんなものは鳥の餌にもならない」と突き返すシーンはとくに印象に残る。でもやっぱりこの映画、あまりおすすめはしないな。
[DVD(邦画)] 5点(2014-09-21 11:31:29)
906.  悪魔が来りて笛を吹く(1979) 《ネタバレ》 
金田一ものらしいドロドロしたストーリーなのだが、明るすぎる画面からはおどろおどろしさを感じることができず、また、同時期に「西遊記」で八戒を演じていた西田敏行が演じる金田一は彼の持ち味を生かしたコミカルなキャラクター造型がされていて、どちらかといえば金田一というよりはイメージはのちに「釣りバカ日誌」シリーズで演じる浜ちゃんに近く、これはこれでアリだとは思うが、やはり金田一のイメージでは無い。(「八つ墓村」の渥美清の金田一はもし寅さんが旅先で殺人事件に遭遇したらという想定で見ていくと違和感はそれほど感じないのだが、西田敏行(浜ちゃん)の場合はそれは難しい。)映画としてもこの二つの要因のせいか、雰囲気が出ていないし、「悪魔が来りて笛を吹く」という怖いタイトルに内容が負けてしまっている。それに本作だけでは重要な部分が理解できないような構成は原作を未読でありテレビドラマ版も未見である身にはつらいものがある。金田一を先生と慕うヒロインを演じる斉藤とも子も「女王蜂」の中井貴恵ほどではないがあまり魅力を感じなかった。彼女の足を強調するようなカットが何回か出てくるが、少しあざとい。(単に監督が彼女のファンなだけ?)宮内淳が重要な役柄で出演しているが昔に再放送で見ていた「太陽にほえろ!」のボンが懐かしい。全体的に見てなんか横溝ブームの中で東映が急いで作った感のある映画だったが、同じ監督の「戦国自衛隊」よりはマシだったかな。でも、出来れば市川崑監督と石坂浩二のコンビで見てみたかった気がする。
[DVD(邦画)] 4点(2014-09-18 22:52:09)
907.  危いことなら銭になる 《ネタバレ》 
中平康監督による犯罪コメディ映画。本作に登場する主要人物4人はそれぞれどことなく「ルパン三世」のレギュラーキャラ(宍戸錠=ルパン、長門裕之=次元、草薙幸二郎=五右衛門、浅丘ルリ子=不二子)に似通ったところがあり、作風も漫画チックな喜劇で、まさにアニメをそのまま実写にしたような荒唐無稽さのある映画だが、それがとても楽しい。脚本に加わっている山崎忠昭がのちに「ルパン三世」にも参加しているというので納得したが、にせ札をめぐるストーリーというのも「カリオストロの城」をつい連想してしまった。(「カリオストロの城」の脚本にはこの人は参加していないのだが。)「あいつと私」でも思ったのだが、中平監督は本作でも登場人物たちに早口でセリフを喋らせていて、展開もスピーディーなのだが、このテンポの良さがちょうどいい感じになっていて心地よい。ラストのオチまでもいかにもマンガ的なのが最後まで作風が一貫していて逆に良かった。宍戸錠の主演作を初めて見た気がするのだが、三枚目のコミカルな役どころが意外に合っていて面白いし、ショートヘアの浅丘ルリ子が明るくて可愛らしい。いつもはクールな印象が強くこういうイメージがあまりない女優だけにこれがまた新鮮に見えた。彼女が銃撃戦のあとに死体を見て嘔吐をするというシーンは確かに邦画では珍しい気がするが、これも中平監督のこだわりのひとつなのかもしれない。にせ札を作る贋作の名人を演じた左卜全とその妻を演じる武智豊子もいい味を出していて、とくに二人で西部劇ごっこに興じているシーンはお茶目で微笑ましい。映画としてはけっして傑作というわけではないのだけれども、肩の力を抜いて気楽に見られる娯楽映画で、個人的にはとても気に入った一本だった。
[DVD(邦画)] 7点(2014-09-16 11:58:05)
908.  刺青一代 《ネタバレ》 
鈴木清順監督による任侠映画。話自体はストレートな任侠映画なのだが、クライマックス、主人公(高橋英樹)の弟が殺されたあたりからはそれまでの流れとは明らかに違う鈴木清順の世界が展開され、雷の光で影が映り込む障子や、延々と続くふすまのカラフルさ、どこか舞台劇か歌舞伎を思わせる殺陣と、とにかく清順美学と呼ばれる清順監督のこだわりが炸裂していて、とくに対峙する高橋英樹と河津清三郎を真下からとらえたショットはあまりも斬新で見事としか言いようがなく、このクライマックスだけで単なる任侠映画が前衛的な芸術映画に変貌してしまっているのは本当にすごいし、「東京流れ者」もそうなのだけど、本作も清順監督のほかの監督にはないような独特の映像感覚を堪能できる映画になっていて、もうこれだけでファンならば見る価値はじゅうぶんにある映画だと思う。出演者に目をやれば主演の高橋英樹は同じ時期の日活のスター俳優たちに比べると顔立ちが濃いのでさわやかさを売りにする青春映画よりもこういう任侠映画のヤクザ役のほうが役的にハマっていたと思うし、和泉雅子の役柄も悲壮感を感じさせず、逆に明るさや可愛さが際立ったキャラクターに描かれていて、東映の任侠映画に出てくる女優ではこういうのはあまりないので、新鮮に感じたし、また、こういうところに東映とは違う日活のカラーがよく出ていると思う。親方役の山内明も良かった。しかし本作はやはりさっき書いたようにそれよりもクライマックスの清順美学を堪能するための映画だと思う。
[DVD(邦画)] 7点(2014-09-05 20:29:09)(良:1票)
909.  衝動殺人 息子よ 《ネタバレ》 
木下恵介監督が「香華」以来15年ぶりに松竹に凱旋して手がけた社会派映画。一人息子を通り魔に殺されたことをきっかけに犯罪被害者遺族に対する補償制度の実現に向けて動き出す父親を実話をもとに描いたストーリーで、見る前はちょっと硬すぎないかと思っていたが、いざ見てみるとすごく見ごたえのある骨太な力作映画になっていて最後まで見入ってしまった。今でこそ被害者遺族に対する補償制度は存在するのだが、この映画が製作された当時は無かったわけだから、木下監督はそこに疑問を持って本作を手がけたことが分かるし、実際に本作公開の二年後に補償制度が運用開始しているのは本作の影響もあるのではないかと思える。誰でもよかったという理不尽な殺人事件で家族を奪われた登場人物たちの悲しみがリアルにこちらに伝わってくるような心理描写はいかにも木下監督らしいし、きっと実際にこういう事件で家族や友人を亡くした人たちも同じ思いなのだろうと思わずにはいられなくなる。しかし、ドラマとしてはやや物足りない部分もあり、とくに主人公が自分と同じような境遇の人たちに会うために全国を渡り歩く部分が思ったよりもあっさりしていて、ここをもう少しじっくりと描いていればもっとストーリーに厚みが出たはずでそこが残念。本作で映画賞を総なめしたという主演の若山富三郎は東映ヤクザ映画での印象が強くなりかけていたが、本作ではそれをあまり感じさせることはなく、評判どおりの素晴らしい演技を見せていて間違いなく本作は「悪魔の手毬唄」と並ぶ若山富三郎の演技派としての代表作だと思う。そしてもう一人、そんな若山富三郎演じる夫を支える妻役の高峰秀子はこの頃はもう女優業は散発的になっていて、本作が最後の出演作とのことだが、衰えというものをまったく感じさせておらず、その存在感と演技はやはり別格だ。全国各地にいる被害者遺族を演じる出演者も豪華なのだが、大阪のシーンで登場する夫を殺された中年の女性を中村玉緒が演じているのは、同じシーンに若山富三郎がいるだけに「殺された夫=勝新」というリアルな想像をついしてしまい、この中村玉緒の登場シーンだけなんだか妙な気分になってしまった。
[DVD(邦画)] 7点(2014-08-28 16:56:20)
910.  眠狂四郎 殺法帖 《ネタバレ》 
雷蔵の代名詞的シリーズである「眠狂四郎」シリーズ第一作。シリーズものは一作目が最高傑作と言われることも多いのだが、本作はそれほどでもなく、このシリーズはそれほど見ていないのだが、本作の狂四郎はニヒルさやクールさが足らず饒舌でソフトなキャラに描かれている気がする。これはこれで悪くはないのだが、やはり狂四郎がキャラとして弱く感じてしまう。敵役となる若山富三郎演じる陳孫のキャラクターも中途半端な印象しかなく、クライマックスの円月殺法対少林寺拳法という対決もイマイチ盛り上がりに欠ける。(とはいえ一作目の今回早くも円月殺法が陳孫に真剣白刃取りされるのが印象的。一作目のクライマックスなのに。)そんな中でヒロイン役の中村玉緒は好演しており、悪女を演じた後年の「炎情剣」ほどではなかったが、それでも印象に残る演技を見せている。全体的に見てまだ試行錯誤という感じの一作目だったが、シリーズとして本格的な路線が出来上がるのは二作目である「勝負」以降なのだなと感じたし、もしかしたらシリーズ化されずにこれ一本で終わった可能性もあったかもしれないだろうから、そうならなくて本当によかったと思えた。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2014-08-28 16:54:54)
911.  日本暗殺秘録 《ネタバレ》 
桜田門外の変から226事件までの日本の暗殺テロ事件の歴史をオムニバス形式で描いた東映のオールスター大作。描かれる9つの事件はそれぞれを題材に個別に映画化していてもじゅうぶんに見ごたえがありそうなボリュームを感じるのだが、それをオールスターのオムニバスでやってしまったところがいかにも東映らしい企画で、東映だからこそできた映画だろう。最初の20数分間にダイジェスト的にひたすら暗殺シーンを描いているが、普通なら単調になってしまうような構成でも勢いがあり、それをほとんど感じさせないのがいい。その中で印象に残るのはやはり高橋長英主演のギロチン社事件のエピソードで、冒頭の土手で友達に自らの思考を話すシーンや、最後のシーン、死刑台に向かうときの独白がどこかこの主人公 古田大次郎の切なさが感じられて良かった。そして本作のメインエピソードである千葉真一主演の血盟団事件。このエピソードだけはたっぷりと時間を割いて描かれており、単なる見世物的でなく、主人公 小沼正の生き様を描いた人間ドラマとしても見ごたえのあるエピソードだ。小沼を演じる千葉真一は「仁義なき戦い 広島死闘篇」の大友役で、狂犬のようなキレた演技が印象に残っているが、それから4年前の作品である本作ではそれとは逆の繊細さもある青年役を演じていて新鮮だし、この小沼も大友と同じくハマリ役だと思う。「広島死闘篇」で北大路欣也が演じた山中を最初は千葉真一が演じることになっていたというのも本作の小沼を演じる千葉真一を見ればよく分かるし、もし演じていたらどんな山中になっていただろうとつい思ってしまった。その小沼の同志である藤井を演じる田宮二郎はこれが大映を解雇されたあとの初出演映画だそうだが、やはり存在感があり、熱演を見せていて素晴らしく、その熱演に本人のやっと映画に帰ってこれたといううれしさも垣間見えた。それからお竜さんとはまったく違う印象を残す藤純子も良かった。最後の226事件のエピソードが途中まで白黒というのもドキュメンタリーチックで効果的だった。主人公を演じる鶴田浩二が年齢的にちょっと無理のある青年将校の役だが、きっちりとハマっていて、存在感があり、ヤクザ映画でのカッコ良さとは別のカッコ良さがある。そして、死刑を待つだけの仲間たちが入った牢を横切るときの演技がなんともいえず、その鶴田浩二に一人ずつ声をかける仲間たちにも切なさを感じずにはいれない。このシーンはまさに名シーンだろう。全体的に見るとちょっとオムニバスとしては不満があるのも事実なのだが、骨太な力作で、見終わったあとはじゅうぶん満足できる映画だったと思う。
[DVD(邦画)] 7点(2014-08-16 09:32:12)
912.  眠狂四郎 女地獄 《ネタバレ》 
シリーズも終盤の第10作で、1作目を手がけた田中徳三監督が再登板している。1作目は印象としてはかなり平凡な出来だったのだが、今回はなかなか面白かった。話としては「魔性剣」同様に狂四郎がお家騒動に巻き込まれるストーリーで、狂四郎が劇中出会う女たちのほとんどが刺客というのも「魔性剣」のような展開だが、今回はそこに父(小沢栄太郎)を斬ろうとしている浪人(田村高廣)や狂四郎の前に現れる竹光を持った浪人(伊藤雄之助)を絡めてマンネリにならないように工夫しているのがいいし、実際にこの二人はとてもいい味を出している。とくに伊藤雄之助演じる浪人は彼ならではの持ち味が存分に発揮されていて面白く、狂四郎を斬るために真剣を買うシーンの店主とのやりとりや、狂四郎との対決で折れた刀を見てつぶやくシーンなどは最高で、どこかコミカルでありつつもこの浪人の哀愁のようなものも感じさせる演技が特に印象に残った。ラストの雪の中での斬り合いのシーンも美しく、これぞ大映といった感じで、狂四郎が雪の中を去っていくラストカットもカッコよく印象的だ。このシリーズいつもと違う雰囲気の渡辺岳夫による音楽も良い。それにしても雷蔵はもうかなり晩年の頃で、それを分かって見ているからかもしれないが、こころなしか今回の狂四郎が今まで見たどの回よりも枯れて見えたのは気のせいだろうか。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2014-07-30 23:06:10)
913.  北斎漫画 《ネタバレ》 
北斎と馬琴、それにその他の絵師たちのやりとりの中に当時の雰囲気をうまく醸し出しているのがうまいし、北斎を演じる緒形拳の演技もパワフルならば、新藤兼人監督の演出も当時70歳近いとは思えないほどにエネルギッシュで、北斎の作品に対する情熱や執念がよく伝わってくるし、それは新藤監督の映画に対する情熱や執念でもあると感じることができる。見る前はもう少しシリアスな映画かとも思っていたが、想像以上にコメディ色が強く最後まで肩の力を抜いて楽しく見ることができたのも良かった。中でも後半、晩年を迎えて老人となった北斎と馬琴(西田敏行)のやりとりはコントのようで笑える。まだ若い田中裕子も北斎の娘を少女時代から老年期に至るまでを違和感なく演じている。彼女と樋口可南子演じるお直という二人の女性の対比も良かった。二人とも北斎の絵のモデルとして豪快に脱いでいるのが大胆。北斎が「蛸と海女」を描くシーンでの樋口可南子(妙に色っぽい。)とタコとの絡みは、タコが作り物丸出しであるにもかかわらず、強烈なインパクトを残していて、とても印象的だ。(かなり笑えるシーンでもあるのだが。見たのが深夜で良かった。)馬琴の妻を新藤監督の映画の顔である乙羽信子が演じているが、西田敏行と乙羽信子は後年の「釣りバカ日誌5」で親子役を演じており、その印象が強くて見る前はちょっと不安だったのだが、二人の演技力のおかげかとくに違和感は感じなかった。この二人のやりとりも楽しい。
[DVD(邦画)] 7点(2014-07-20 15:45:47)
914.  極道の妻たち 決着 《ネタバレ》 
岩下志麻主演のシリーズとしては最後の作品となる第10作。前作である「危険な賭け」と同じく中島貞夫監督が手がけているが、前作に比べると正統派のヤクザ映画という感じ。岩下志麻の演技も最後ということもあってか気合が入っている。あまりこのシリーズは見ていないのだが、今回のクライマックスは、岩下志麻ひとりではなく、かたせ梨乃と一緒に敵方である中条きよしを仕留めて二人で去っていくというのもこれが最後というのを意識しているのが分かる。(今まで見た作品はクライマックスは岩下志麻がひとりまたはゲストの俳優とで敵方ヤクザを仕留めて終わりというのが多かった気がする。)たけし映画の常連である大杉漣(この人をヤクザ映画で見るとつい寺島進を探してしまう。)や、いかつい竹内力、ワンシーン出演だが中尾彬も出ていて、一見豪華に見える脇の出演者たちだが、なんかこれまで見たシリーズと比べて大物感のある出演者が少なくそれが残念で、とくに最後をうたう今回は敵方ヤクザも中条きよしではちょっと物足りない。流れ者のヤクザ役で愛川欽也が出ているのだから、この役は菅原文太あたりでも良かったのではと思ってしまう。
[DVD(邦画)] 6点(2014-07-13 14:09:26)
915.  極道の妻たち 危険な賭け 《ネタバレ》 
これでこのシリーズ見るのは3本目。毎回設定の変わるシリーズだが今回は岩下志麻演じる主人公の旦那が最初から死んでいて、主人公の立場も組長という設定になっているのが前に見た2本と違っていて、最後に中尾彬を仕留めるのが岩下志麻ではなく、かたせ梨乃であるという展開も新鮮に感じられる。それに話自体も思ったよりずっと面白かったし、中島貞夫監督の映画としては見るのは2本目になるが、前に見た「激動の1750日」よりは本作のほうが好み。しかし、本筋となる四代目の跡目をめぐる話が面白いのに、その本筋にまったく絡まない工藤静香と原田龍二のエピソードははっきり言って邪魔で、この二人の存在があるためにちょっとバランスがおかしくなってしまった感があり、そこが残念で、この二人はいないほうがもっとスムーズな映画になっていた気がする。また、音楽は大島ミチルが担当していて、要所要所で感動的な音楽がかかるのだが、ちょっとこの手のヤクザ映画には不釣り合いのように感じた。エンディング直前のお茶を飲む岩下志麻の姿が印象に残る。
[DVD(邦画)] 6点(2014-07-08 21:34:03)
916.  野火(1959) 《ネタバレ》 
第二次大戦末期のフィリピン戦線を舞台に敗残兵となった日本兵たちの末路を描いた市川崑監督による戦争映画。市川監督の戦争映画といえばこの映画の数年前に日活で手がけ、後年自身によってリメイクもされた「ビルマの竪琴」が知られていて、そこでも捕虜となった敗残兵が描かれていたのだが、どちらかと言えば謳歌的で情感たっぷりに描かれていたあちらとは対照的に、この映画はかなり生々しく、より戦場における敗残兵となった日本兵の過酷な状況がリアリティを持って描かれていて衝撃的であり、怖い。飢えに飢え、極限状態に陥った敗残兵たちが人間を殺してその肉を食べるということがこの映画の大きなテーマとなっているが、きっと実際の敗残兵たちも同じようなことをしていたのだろうと考えさせられるし、見ていて非常に重苦しいなんとも言えない気持ちになるのだが、一方で見ているうちにだんだんと引き込まれていき、目が離せなくなった。白黒の映像も効果的で、極限状態の人間の異常さ、恐ろしさといったものがこれでもか、これでもかと伝わってくる。そんな異様な状況の中でラスト、野火の上がる方向へ向かう主人公の「普通の暮らしをしている人間に会いたい。」というモノローグは、それでも人間らしく生きていたいという悲痛な叫びであり、ここに市川監督がこの映画にこめたメッセージというものを感じ取ることができた。主演の船越英二は撮影前に体重を減らして臨んだそうだが、一見すると船越英二とは分からないような風貌でまさに田村一等兵という役柄になりきって演じており、その鬼気迫るリアルな演技が見事で、彼の代表作と言われている映画だが、まさにその通りだと思う。また、「ビルマの竪琴」で描けなかった戦争の狂気的な部分を見事に描き切った傑作で、市川監督にとってもそれに並ぶ戦争映画の代表作だろう。あまり知られていないのは残念だが、是非とも2本セットでご覧になることをお勧めしたい。
[DVD(邦画)] 8点(2014-06-28 15:55:45)
917.  女経
増村保造、市川崑、吉村公三郎の3監督による女性を描いた全3話のオムニバス映画。第一話「耳を噛みたがる女」は増村監督が担当し、増村映画の顔である若尾文子が主演。男たちを騙し続けながら生きていく悪女を描くという増村監督らしい作品で、もちろん若尾文子の演じる主人公も魅力的で、作品も面白いのだが、せっかくこのコンビなら短編でなく一本の長編でこの話を見たかった気がする。その増村監督がデビュー前に「処刑の部屋」と「日本橋」で助監督としてついていた市川監督が担当の第二話「物を高く売りつける女」はとにかく山本富士子が印象的で、前半のミステリアスな雰囲気を持った清楚な部分と後半の本性を現わしたあとのしたたかな悪女ぶりという二面性の演技が見事。話自体も男女の駆け引きが面白く描かれていて、また30数分という短い時間の中でもしっかりと市川監督らしい凝った演出も堪能できて最後まで飽きさせず、3本の中ではこれがいちばん面白かったし好きだ。最後の吉村監督の「恋を忘れていた女」。吉村監督の映画は実はこれで初めて見たのだが、戦前から活躍する大御所だけあって味のあるオーソドックスな大人の恋愛映画に仕上がっている。ただ、悪い作品ではないのだが、ほかの二本を見た後だとそのオーソドックスな作風が少し物足りなさを感じるのも事実だ。しかし、ラストの京マチ子の橋の上での表情がとても印象に残る。全体的な総括をすると3話それぞれに主役で登場する女優が三人とも美しく魅力的に描かれ、この三人の女優を堪能するという意味でも楽しめる映画だと思う。しかし、やはり個人的にはまったく違う三人の監督の作風がよく分かる映画だった。(脚本は3話とも八住利雄。)中でも市川監督と増村監督の「師弟対決」が見られるのは双方が好きな自分にとってはこの映画の大きな見どころのひとつだ。
[DVD(邦画)] 7点(2014-06-20 08:51:54)
918.  日本橋(1956) 《ネタバレ》 
市川崑監督の初のカラー映画となる泉鏡花原作の文芸映画。主人公の芸者 お考(淡島千景)の恋愛模様や、ライバルの芸者 清葉(山本富士子)とのバトルなどが描かれていて一見すると王道を行く女性映画なのだが、市川監督らしい変化球演出もある作品になっている。しかしそういった市川監督の演出と作品自体の世界観がうまくマッチしなかった印象が強く、映画としては正直イマイチ。冒頭に幽霊を出してホラー風味を加えるのはいいとしても、熊の毛皮を来た赤熊(柳永二郎)のウジをアップで撮っている意図がよく分からない。赤熊の異様さを表現したかったのかもしれないが、こういう表現をすると単なる変質者のストーカーにしか見えず逆効果だと思う。それに葛木だけでなく赤熊も柳永二郎のようなおじさんではなくもっと若々しい俳優のほうがよかったのではと思えてしまい、この時点で既に失敗しているような気がして、巡査役の船越英二と役柄が逆のほうが良かったと本当に思う。それからしっとりとした前半に対して後半がちょっと急展開すぎるのもバランスが悪い。本来市川監督はこういうジャンルは不得手という印象はないだけに本作はどこか空回りしているのが残念。ただ、お考と葛木が出会う夜の橋のシーンは良かった。ところで、本作は市川監督にとって「処刑の部屋」の次の作品で、主演だった川口浩がチョイ役で出演しているが、子供たちと一緒に若尾文子にちょっかいを出すガキ大将の役というのはギャグにしか思えない。
[DVD(邦画)] 5点(2014-06-12 21:03:29)
919.  処刑の部屋
石原慎太郎原作の太陽族映画というと日活の映画という印象があるが、本作は大映の映画で、日活から移籍してきたばかりの市川崑監督が手がけている。映画としては「狂った果実」よりも面白く見ることができたが、それでもやはり今見ると「狂った果実」と同じく古臭さを感じてしまう映画で、市川監督の演出もそれほどキレを感じない。(ただみなさんがおっしゃるように宮口精二と川口浩が口論をする隣の部屋で岸輝子が新聞漫画を読んでいるカットは市川監督らしさが感じられた。)主演の川口浩は不良らしさがよく出ていて、裕次郎よりもこういう役はハマっている気がする。しかし、「狂った果実」もそうなんだけど本作に登場する大学生たちはどこか幼稚な存在に描かれていて、太陽族ものってみんなそうなのかと思えてしまった。ヒロイン役は市川監督の映画には本作が初出演の若尾文子。この頃はまだ清純派で可愛らしい彼女がけっこうな体当たり演技を見せていて、(とはいえ、まだ本作ではだいぶおとなしいが。)本作に助監督として参加している増村保造監督とのその後のコンビ作での活躍を予感させていたのが印象に残る。
[DVD(邦画)] 6点(2014-06-05 23:01:50)
920.  つむじ風 《ネタバレ》 
久しぶりに見る渥美清主演の喜劇映画。つむじ風のごとく突然現れた風来坊の男の起こす騒動を描いているが、やはり演じるのが渥美清だけあってこの主人公のキャラクターは寅さんそのもので、やはり渥美清にはこういうキャラクターが似合っているし、喜劇俳優としての面白さや魅力も出ている。桂小金治や伴淳、さらには伊藤雄之助とのやりとりも面白く、彼らと渥美清のやりとりを見ているだけで楽しい映画である。桂小金治は女房(沢村貞子)の尻に敷かれた失業者を演じているのだが、希望を持った明るいキャラクターに描かれていて、失業者であることを全く感じさせていないのがいいし、そのことによって見ているこちら側も元気になれる。些細なことから家族を巻き込んでいがみ合いを続ける伴淳と殿山泰司もどこか愛らしい。でも、やっぱり渥美清の面白さがよく出た映画になっていて、渥美清の演技を見ているだけでなにかこう、癒されるし、渥美清という俳優はやはり最高の喜劇役者の一人だと改めて思わずにはいられない。その渥美清のほか、個性的な出演者たちの魅力を引き出す中村登監督の職人監督としての演出も手堅い。はっきり言ってこの映画自体は傑作や名作ではない。それでも渥美清の喜劇俳優としての魅力はじゅうぶんに感じられる。それだけであゝ見て良かったと思える映画だった。この映画で渥美清は主題歌も歌っている。渥美清が「男はつらいよ」シリーズ以外で主題歌を歌っているのを初めて見た(珍しいなあ。)が、これが新鮮で、その歌声も印象に残る。
[DVD(邦画)] 8点(2014-05-26 21:39:56)(良:1票)
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