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かっぱ堰さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1244
性別 男性
自己紹介 【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。
【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。
【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。
5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。
また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。

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901.  日本沈没(1973) 《ネタバレ》 
初見がいつかは忘れたがかなり昔である。原作のストーリーをけっこう克明に追っているようだが総集編のようでもあり、特にドラマ部分はブツ切れに見えた。密度の濃い長編を映画にするとこんな風にしかならないのか、というような失望を初めて感じた映画だったが、今回見返してみると140分もあり、これでも可能な限りの内容を詰め込もうとしたらしいことはわかる。 内容としては原作本来のテーマも表現しているようだが、原作既読の立場としては改めてそれを映画に教えてもらう必要はない。それよりこの映画で衝撃的だったのは、東宝特撮の大迫力で描写された都市破壊場面の方だった。制作側の意識としては東京大空襲あたりの記憶も入っていたのだろうが、古くは関東大震災の教訓も生かし、また高層ビルのガラスの雨といった現代的な危険も含めて、巨大都市を襲う巨大災害の恐怖を映像化して見せたインパクトは大きかった。 今は昔になるが90年代前半頃、東京東部の某区の職員が“今やわが区は23区で最も安全な区になりました”と防災対策の現状を語ったのを聞いた気がするが、そのような対策が現実に行われてきた背景にも、こういう災害パニック映画が一役買っていたのではなかったかという気がする。劇中でも“とんでもない大バカ者が騒いでおけば360万人は死なずに済んだ”といったような台詞があったが、その大バカ者の役をこの映画も現実に担ったのだと考えたい。 加えて個人的にはプレートテクトニクスの考え方を初めて習ったのがこれであり、映画ではコンニャクのようなのがプルンという映像が印象に残っている。そういうお勉強の面でもためになった原作/映画だった。
[DVD(邦画)] 7点(2015-06-29 23:28:30)(良:1票)
902.  赤々煉恋 《ネタバレ》 
原作由来のダークファンタジーを基本にして、若年者向けメッセージとエンタメ要素を加えた形になっている。主人公が死に至った経過も加えてあるが、当初の楽しかった学校生活や本人の愛すべきキャラクターと、その後の行動との間にギャップがあり過ぎて説得力がないのは残念である。 一方で映画の宣伝文句を見ると「自殺というテーマに挑んだ意欲作」とされているが、そういう前提でいえばストレート過ぎる内容である。現実の遺族が見れば心に刺さる場面もあるだろうが、しかし現に苦しんでいる人間にわざわざ“悲しいだろう?”と語りかけてさらに泣かせるような感覚であり、それ自体はあまり有益とは思われない。またこの映画では些細な動機で死んだ主人公と、その後も苦しみ続ける遺族とを直接対比させた結果として、死なれた側の立場だけが強調されて死んだ者は加害者扱いになっている。しかし現実の人間が死ぬ理由としては、本当は生きていたいのに、生きているのが死ぬほど苦痛だから死ぬ、ということもあるはずで、そういう観点が欠けたように見えるのは感心できない。 ただ、もしかするとそう感じるのは大人が見たからであって、初めから若年者向けに見せる前提なら案外この程度でいいのかも知れない。真剣に作っているはずの映画にマンガじみたCGアニメを出しているのも、子ども向けにやったことと思えば理解できなくはない。 そのほか、自殺者の霊は死後も苦しむといった検証しようもないことを材料にしては実社会に向けたメッセージになりえないと思うわけだが、ラストの締め方はよかったと思われる(少しほっとする)。こういう境遇の者が周囲にいなかった理由もこれである程度は説明できる。  なお主演女優は初めて見たが、カワイイかどうかは別としてなかなかいい感じの女優のようで、映画の内容にそれほど感心できなくてもあまり悪く言えないのはこの人のせいも大きい気がする。また主人公の友人のミドリについては、昔はあんなに可愛かったのにその後はこうなったかと残念に見えるところもあったが、ただしこの女優本人(吉田羊)は実年齢より10歳近く(正確には8歳?)若い役を演じる形になっており、何でも対応可能な女優さんというところか。
[DVD(邦画)] 6点(2015-06-29 19:30:45)
903.  スクールガール・コンプレックス~放送部篇~ 《ネタバレ》 
そもそも女子高というのが自分にとっては異世界だが、さすがにガールズラブ(以下GL)には全くついて行けない。劇中で登場人物の感情があふれ出す場面では、その感情自体は伝わるものの、自分としては共感できずに気恥ずかしいので笑ってしまうということを3回くらい繰り返した。主人公の親友(演・近藤真彩)の告白場面は切なくて笑ったが(笑ってごめんなさい)、最後の発表会の場面もいたたまれなくなって悶えながら笑い泣きした。  その一方で、部活の場は意外に規律正しいので安心できる。屋上の練習風景は常に青空で清々しく、これこそが明るく正しい青春という感じを出していた。その延長で、発表会でも最終的にはちゃんとやってくれるはずと信じていたわけだが、しかしそこでGL世界からの悪しき影響力が及んでしまい、規律担当の副部長(怖い方/演・吉倉あおい)の組織力で何とか支えようとはしたものの、結局全てがぶち壊しになってしまった。 これはいわゆる黒歴史だろうと思ったが、しかし終わってみれば「みんなふられちゃったね」とか言って意外に気分が明るい。どうやら一部の部員の生々しい心情の吐露が青春の真実の一端を明らかにし、この年の3年生だけのユニークな価値を太宰治の短編小説に付加したと解されるようである。ラストもまた開放感のある爽やかな屋上に戻り、全てが明るく正しい青春の一幕に組み入れられて終わったらしい。 結果として、この劇中世界ではGLというものが全面肯定されていたことがわかり、なるほどそういう映画だったのかと呆れるというか感心した。究極のノーマライゼーションともいえるが、あるいは女子高という環境からすれば、異性との恋愛に踏み出せないまま学校内部で悶々としている状態の表現と取れる。 自分の立場としては感動的ともいえないが、後味が変にいい映画だったので(エンディング部分の手書きと音楽)悪い点はつけられない。ほか細かいところでは貞子の場面が好きだ(意味不明だが)。  登場人物としては、女子高が舞台ながらいかにもな美少女はほとんどいない。特にW主演の一方は高校生には全く見えず、脂ぎったような顔が誰かに似ていると思ったらうちの同僚Aであって、その連想もかなりマイナス方向に働く(本人のせいではないが)。もう一人の主演は個性的な風貌が非常に好印象で、単なる普通の女子のようでいながら場面によって愛らしさも美しさも出せるという特徴を見せている。副部長2人も存在感を出していたが、その他の部員は関西弁しか記憶に残らないのが残念だった。
[DVD(邦画)] 7点(2015-06-29 19:30:41)
904.  都市霊伝説 幽子 《ネタバレ》 
学園ホラーのような感じで特に凝ったところもないようだが、映像・音響面の印象が良好で雰囲気としては悪くない。 ストーリーとしては何がどうなっていたのかよくわからないところもあるが、最後に主人公が題名の人物(本名は夕子)を受け入れてやろうとした行動は少し意外だった。この決着のつけ方が当初の事件の背景を暗示していたようでもあり、また終盤からエンディングにかけての意味不明な映像は、主人公が夕子を抱いたまま火葬炉に入ったと取れなくもない。ほかに各種の疑問点が残るが(成人の役者と子役の人数が一致しない、一人だけ同意書に署名していないなど)、意図的なものかどうか不明のためあまり突っ込んで考えないことにする。  ところで自分がこの映画を見た動機は女優のキャスト順で1番目の人を見るためだったが、前年の別のホラー映画であまりにかわいすぎる演出だったのに比べると今回はそれほどでもなく、普通にすごくかわいいという程度である。この人を含めて、この映画では若手女子が6人も揃っている点が大きな見どころになりそうなものだったが、実際問題としてはやかましい連中という印象の方が強かった。 そのほかDVD特典によれば、夕子の中の人も当時17歳程度の若年女子だったようである。劇中の目だけ見てもこれはやはり女の子だなとは思うわけだが、実際に素顔を見ると、この相手なら主人公の最後の行動もありえなくはないと思ってしまう。  なおどうでもいいことだが、劇中の児童がプールで死んだのを見ると否応なしに「告白」(2010)とか「麒麟の翼」(2011)を思い出させられる。この映画は殺された本人が復讐する話であるからごく自然な展開であり、また隠蔽した教員が最初に死んだのも真っ当な因果応報ということになるだろうが、それが前記映画のようなメッセージ性につながっているわけでもなく、単に思い出させられて終わりのようだった。
[DVD(邦画)] 5点(2015-06-29 19:30:36)
905.  がじまる食堂の恋 《ネタバレ》 
どうやら性別で観客を選ぶ映画のようである。内容としては登場人物の繊細な心理描写がなされているということらしく、日頃こういうものに親しんでいる人ならこれでいいのだろうが、自分が見る限りは面倒くさくてたまらない。嘘と秘密と不意打ちのせいですれ違うばかりで、「わかるかよ」と怒鳴って終わりにしたくなる。 また四角関係の中で恋愛関係に発展した2人以外は切り捨てられた感じになっていたが、うち男1人は自分で身を引いたのでいいとしても、謎の美女の方は完全に捨て石のようになってしまったのが哀れである(帰りの飛行機では泣きどおしで客室乗務員に呆れられただろう)。そもそもこの人は企業経営者の婚約者というにはあまりに女の子じみており、もしかすると同性の観客からは排除されることが期待されるタイプであって、最初から脱落するのが目に見えていたということか。どうも登場人物の取扱いが非情である。 そういうことで基本的には共感できない映画のはずだが、しかしラストシーンはなぜかそれなりに感動的で、そこからエンドロールにつながる流れもいい。最終的には何となく見てよかったという感慨を残したのは意外だったが、監督はもともと恋愛映画を得意とする人物とのことで、この辺はやはり上手いということなのかも知れない。  なお主演女優は、近年では「潔く柔く」(2013)で個性的な美女役だったのを見たことがあるが(過去にもっといろいろ出ていたが)、この映画ではいかにも不器用で健気で側にいてやりたいが少し面倒くさい人物像を好演していたように思われる。外見的には目が印象的なわけだが、また序盤で敬語を使うのが「かもめ食堂」(2005)の小林聡美のように聞こえたのは意識していたのかどうか。 そのほか今まさに時の人のような感じの名護市長が映っていたのは少し驚いたが、この映画自体は基地建設の是非について特に見解を示していなかったようである。当然だが。
[DVD(邦画)] 6点(2015-06-21 19:20:28)(良:1票)
906.  1/11 じゅういちぶんのいち 《ネタバレ》 
人気マンガを使って適当に作って適当に稼ぐタイプの映画かと思ったらそうでもなかったようで、控え目な背景音楽が落ち着いた雰囲気を出しており、少し台詞をじっくり語りすぎる感じはするが誠実に作られた印象がある。 最初の方では話がばらばらに見えているが、それがかえってその後の展開を期待させる。前半で主人公と新入部員2人、またそれぞれに関わる女子の思いを描いておき、後半にその大元になった事件を出して、全てを一つの流れにまとめていくのは説得力のある構成である。主人公の受けた影響がサッカー部だけでなく、それ以外の人々にも波及していくのは「思いの数だけ未来がある」というコピーにも素直につながり、最後の試合の場面でカメラ女子と演劇部がまた顔出ししていたのは微妙に感動的だった。終わってみれば「キラキラ」という言葉が印象に残り、真面目に語るのが恥ずかしい内容ではあるが心情的には全面肯定したくなる。 ただ重要な要素として心霊現象が出て来るのは感心できることではないが、これが原作由来なのであればまあ仕方ない。  ところでヒロイン役は体型がサッカー選手のようには全く見えず、実際にやらせるとボロが出るのではと危惧したがそのように見える箇所はなく、顔の表情の方が強く印象に残るので問題ない。このヒロインは前半ほとんど出ないのでいつ出るのかと心配になるが、その間も他の主要キャストの女優を見ていれば飽きることがない。特にマネージャー役が可愛らしいので心和むものがあるが、主題歌もこの人の持ち歌であり、声もきれいで張りがあるのが印象的だった。ほかにカメラ女子や演劇部も味のある人物像になっており、うち演劇部の部長は大人びた感じだが小柄で可愛らしくも見え、自分としても昔こういう先輩がいたなと思い出すものがある。そのほか、男連中も好印象だったと一応書いておく。
[DVD(邦画)] 7点(2015-06-21 19:20:23)
907.  生贄のジレンマ 《ネタバレ》 
よくもこれだけ似たような映画を次々に作るものだと呆れるが、加えてこの映画はとにかく長く、DVD3本の時間表示を単純に加算すると4:37:09にもなる。連続して見る前提でなければまあ退屈せずに見られる内容だが、長さに応じた内容が詰まっているかというとそれほどでもない気がする。 特に問題なのが主人公の行動に全く共感できないことで、死ぬな死ぬなと怒鳴るばかりで自分も死なずに言い訳するとか出来もしないことをやろうとして予定通り失敗するとか俺は何もできないと暴れておいて結局何もしないで終わるとかで本物の馬鹿にしか見えないが、ラストのカミングアウトまで聞けば動機だけはわかる。行動面でうまくいかなくとも、まずは心の指向性(=こころざし)をしっかり持つことが大事だと若年者に訴えるために、あえて逡巡と試行錯誤と愚行の部分を描いてみせたと取れなくもない。これはこれで新しい試みかも知れないが、しかしとにかく見ていて苛立たしい主人公であり、最後はヒロインにまで馬鹿が伝染したように見えるのはやめてもらいたかった。 また終盤で明らかになる真相が後付けで妄想話をでっち上げた印象しかないこと、最後に死人が生き返るのではこの映画自体が人生は簡単にリセット可能というゲーム感覚のように見えること、及びバグだらけのクソゲーというのがこの映画自体の言い訳のように聞こえることを苦情として挙げておく。個人的には最後に残った連中よりも、初回に青木さんの様子を見かねて自分に投票した男に最も共感した。  ところで個性的な若手女優が多数出ているのは大変結構なことで、これが長時間それほど飽きずに見続けるための大きな要因になっていると思われる。ヒロイン役の女優はこれと同時期(少し後)の似たような映画にも出ているが、こっちの方が出演時間がはるかに長いので見ごたえがある。また当初は冷たい感じと思ったミステリアスな少女が、実は弟思いのお姉さんだったというのは心和むものがあった。ほか自分としては2組の保育士志望の生徒(演・佐々木萌詠)の卒業ビデオに泣いた(が生き返った)。 なお余談として、映画部の男2人が「大林」「大森」だったのは微妙な冗談である。また「仮面ライダーW」<TV>(2009)で恋人役だった2人が揃って出ていたが、この映画ではくっつかないのだった。
[DVD(邦画)] 6点(2015-06-21 19:20:20)
908.  麒麟の翼~劇場版・新参者~ 《ネタバレ》 
予想よりもかなり軽い映画だった。最後に誰も幸せにならないのは原作者の他の著作にもあることだが、全体がお手軽なTVドラマにしか見えないために、例えば死んだ男の娘が最後に少し救われたような場面がないことがかえって理不尽に感じられる(あれだけ泣かせておいて放置か)。また死んだ男が日本橋まで歩いて行く動機が全く納得できないため、「メッセージを受け止めるのは生きてる者の義務」という台詞との関係が形だけのものにしか感じられず、中学教員がやらかしたこととの対比も明瞭になっていない。ただし、中学教員に対して言うべきことをはっきり言ってやったのは大変結構なことだった。  以上が映画を見た際の感想だが、その後に原作を読むとかなり忠実に映像化していたことがわかり、どうも原作自体がTVドラマ向きの軽い話だったということらしい。ただし映画では原作にあった最後の場面を省略して映画独自の盛り上げを優先したために、残った少年らがその後にどこに何をしに行ったか不明瞭になっているのは非常に問題である。この少年らの覚悟の程度(と中学教員のその後)をちゃんと示してもらわなければ、死んだ男が浮かばれないだろう。
[DVD(邦画)] 4点(2015-06-21 19:20:16)
909.  100,000年後の安全 《ネタバレ》 
淡々とした映画だが、映像的に美しいのでそれほど退屈しない。余計な人間が映っていないため世界の果てのような印象がある。背景音楽としてシベリウスのValse Triste(劇音楽"Kuolema"(死)の1曲)を流していたのはわざとらしくもあるが、使い方としては効果的だった。 現地は地質的に安定した場所とのことで、この映画でも技術的なことはあまり問題にされておらず、制作者も「地震や火山のない地域」であれば可と考えていたようである。代わりに後世に危険をどう伝えるかの方に重点が置かれた形になっており、この辺は日本人としてはずれを感じるところだが、ナレーションが未来の人間に語りかける形式のため、映像の印象と相まって10万年後の伝説を語るようなファンタジックな感覚がある。ナレーションに出る「君」は英雄志向の若者のようなイメージだが、最後は洞窟の怪物の返り討ちに遭って終わったらしい。 登場人物としては、一緒に出ていたスウェーデン人のオジサンとオバサンが微妙に慣れ合った感じで和む。一方でフィンランド政府の当局者?(肩書きがアドバイザー)は、映像的には黒で悪人イメージながら人物がいかにも頼りなく、これは本物かどうか疑わしいような気もする。  なお公式発表によれば、わが国でも先月下旬の閣議決定で最終処分の基本方針が改定され、これまでは外部の法人に任せていた候補地選定に「国が前面に立って」取り組むこととし、「国が科学的有望地を提示し、調査への協力を自治体に申し入れる」ことまでするらしい。同時に国民の理解を深めるためとして全国でシンポジウムなり説明会を始めているようで、そういう点で時宜にかなった映画とはいえる。
[DVD(字幕)] 7点(2015-06-18 00:58:44)
910.  渋谷怪談2 《ネタバレ》 
関わってしまうと絶対逃げられないのは呪怨のコインロッカー版という感じである。呪われるという噂のほかに、恋の願いをかなえる噂が同時に流れていたのは犠牲者を集める邪悪な企みとも取れるが、あるいはチェーンメールに「不幸の手紙」と「幸福の手紙」の両面があるようなもので面白い。また個別の場面としては、カラオケでの出来事が音響面で少し独創的な感じだった。  今回もストーリー中に複数の都市伝説が含まれていることになっているが、これほど有名な怪談ネタをオチの部分で使うのでは驚きも何もなく、明らかに逆効果になっている。 また前作に続いて登場人物が基本的に好きになれない(主人公の女子高校生は除く)が、特に医師が終始不快な男で同情を呼ぶキャラクターには全くなっていない。すぐ傍で人が死にそうになっているのにわざとらしく10秒くらい置いてからやっと気づくのが苛立たしく、さらに当該人物が死ぬまで黙って見ていて死んでしまってから騒ぎ出すような馬鹿は存在そのものが許せない。早く死ねこのクソバカがと思っていたがなかなか死なず無駄に騒いで回り、死ね死ね死ね死ね死ね死ねと思い続けてラスト近くになってやっと死んだが死ぬのが遅すぎるという気分だった。こういう人物を出す意図はわかるが感情的に全く同調できず、ここは個人的には大失敗に見える。 また高校生の三角関係に関しては、主人公の友人役が好演しても相手の男がこれほど軽薄でバカで知性レベルそのものが疑われるのでは全く共感できない。どうも登場人物の面で全く評価できないシリーズ(1と2)だった。  ところで今回の主人公は、前作では中学生だったのがいつの間にか高校生に昇格していたらしいが、撮影時期は同じだろうから女優は14歳のままである。堀北真希にとってはこれが初主演映画とのことで、今となってはその面での価値が大きいかも知れない。
[DVD(邦画)] 4点(2015-06-08 00:12:40)
911.  渋谷怪談 《ネタバレ》 
劇中に複数の都市伝説を取り入れているのが特徴らしいが、ストーリーと関係なく断片的に使っているため、よくある月並みな怖がらせネタというようにしか見えない。 また問題なのは不快な登場人物が多いことで、死んでもらいたくない人物がいない(女子中学生は除く)ので最初から全員死なせるために出したように見える。特に主要人物の大学生連中はその場その場の感情で騒ぐのがやかましく、都合が悪くなると激昂して叫ぶのでは知性のかけらも感じない。渋谷という場所にはこういう連中しかいないことを表現するのが目的なら別だが、せめてもう少し万人が共感できそうな登場人物であってもらいたい。 全体的にも今作だけで終わらせる気がないのは明らかであり、2の鑑賞を強いられる作りになっているので満足感は全くない。個別の場面で少しよかったのは、交通量の結構ある路上で突然無音になった場面くらいのものだった。  ところで主演女優の水川あさみは最近時々見る人だが、若い頃(2003/6/11のクランクイン時点で20歳直前)にこういうことをしていたのは初めて見た。今でもそうだがカワイイ系の人ではないので、この映画でも見事に可愛気のない女子大生になっている。まあもともとそういう方向性ではないのだろうからどうこう言うようなものでもなく、またその面では家庭教師先の女子中学生が可愛らしい(女優はこの時点で14歳だったようである)ので救われる。 なおDVD特典を見ていると、「サッちゃん」役の人も素顔では屈託ない感じで大変結構だった。変な動きが多くてお疲れさま。
[DVD(邦画)] 3点(2015-06-08 00:12:35)
912.  絶対領域 《ネタバレ》 
劇中のアイドルユニットは歌とダンスに素人感があって微笑ましい("A to Z"のところの振りがキュート)。歌自体もなかなか味があり、フルコーラスで聞いてしまうと忘れられなくなる。 この連中は外見的にも持ち歌を聞いても純真無垢な少女などとは全く思われず、業界自体のいかがわしいイメージもあって裏は当然いろいろあると思うのが普通である。ファンとしては裏の現実を冷たく意識しながら同時に表の虚像を熱烈に崇拝する必要があるわけで、そういういわばDoublethinkのようなものが求められるとすれば、アイドルを愛するというのも結構高度な精神的営みということになる。  しかし、そのことを劇中のキモオタ男がどう捉えていたかはよくわからない。あまりにバカで愚直なために、たまたま虚像の向こうの実在の人物に触れることができたようだが、終盤で紹介されていた手紙の内容を聞くと、どこまで現実を的確に捉えていたのか怪しいものがある。この男自体はバカなので最後まで手紙に書いた通りに信じていたかも知れないが、一方で元アイドルがこの内容に自分が近づけるよう元気づけられたということなら、結果的にはこれが真実になっていく希望もあると取るべきか。虚像を挟んだ両側が、互いに元気をもらえる関係がアイドルの理想ということなのかも知れない。 この男が最後にどうなったのかもよくわからなかったが、元アイドルが一歩を踏み出すための礎になったとすれば本望だろう。自分ならそれでもう思い残すことはなく、エンディングで再度出た歌を心に携えて冥土でも極楽浄土でも行ってやるという気分だった。母親はもう少し複雑だろうが。  なお主演女優はアイドル顔にはあまり見えないが、本人はアイドルではなく役者なのでこれで十分である。劇中では少しキュンとする表情とか、この顔で迫ってきたら思わず引くだろう、と思うようなところも出ていてよかった。 出演者インタビューによると本人は自称アイドルオタク(ドルオタ)とのことで、“世界中の人々がアイドルを好きになれば世界が平和になる”と言っていたのは非常に共感できる(そういうことを言う人を初めて見た)。ただし、それは作られた偶像のイメージに全員が乗ることで初めて個別の利害を超えた場を共有できるのであって、これは宗教対立を乗り越えるのと同じくらい難しいかも知れないと思ったりする。
[DVD(邦画)] 6点(2015-06-02 20:07:16)
913.  地球防衛未亡人 《ネタバレ》 
特に見たいとも思っていたわけでもないが、この監督の「地球防衛少女イコちゃん」(1987)に始まるシリーズの最新作として一応見なければならない気がして見た。前作「地球防衛ガールズP9」(2011)との連続性は特にないが背景音楽を流用しているところがあり、最後の荒川河川敷の場面で流れていたピアノ曲は同作関連曲「虹色のステージ」のアレンジである。 今回は冒頭がくどい映像とともになぜか「祝典行進曲」で始まったので失笑したが、以降もけっこう笑う場面が多い。主演女優が普通に演技しているだけで可笑しいので、これでこの女優が微妙に好きになってしまった。この主人公を未亡人という設定にするためだけに人が死んだのは気の毒なことで、このシリーズで死亡者が表に出たのは初めてと思われる。また新聞社の編集部員役で南郷勇一氏が出ていたがこれは毎度のことである。 自分としてはそれなりに面白かったが、評判があまりよくないようなので対抗して少しいい点を付けておく。  なお大した話ではないが、防衛軍のオペレータは「愛川ワコ」という名前で、これは旧作のイコちゃんの氏名が「カワイイコ」というネーミングだったのと同じ趣向かと思って少し考えた。しかしアイカワワコではどうも意味をなしておらず、これはいわゆる一杯喰わされたということか。この女優は他の比較的まともな(主観的判断)映画にも出ているのでこんなバカ映画に出てはもったいないが、主演女優と並べると十分に初々しいので、あるいはこの人が「地球防衛少女」「地球防衛ガールズ」の正当な継承者だったのかも知れない。
[DVD(邦画)] 6点(2015-06-02 20:07:13)
914.  都市霊伝説 クロイオンナ 《ネタバレ》 
分類としてはホラーだろうが、怖い場面はごく限定的である。あとは意味ありげな構図の取り方とか小道具とか控え目な音楽で一貫した不安感を出しており、その雰囲気だけでも一定の評価をしたくなる映画である。誰かがジーッと見ているのを「ジーッ」という音で表現していたようなのは面白い(微妙なので勘違いかも知れない)。 劇中では心霊現象が外的に起こっているのか、あるいは登場人物の内的な現象なのか区別がつきにくくなっているが、また一方では心霊現象なのかどうかの境界上にあるようなエピソードも見られる。例えば風船割りの夢は病気の予知夢とも取れるが、あるいは尻が痛いという事実がまず先にあって、これを深層心理で合理化しようとした結果が夢になって出たとも取れる。また電池の入っていない目覚まし時計が鳴るのは明らかに異常だが、このとき従業員が「わけわかんね」現象に分類して日常の中に押し込めたように見えたのは非常によかった。自分のことで精一杯で、心霊現象のことなど考える余地が全くないというのは意外に強いのかも知れないと思わされる。 そのほか微妙なことだが、登場人物が車内で話しているすぐ外を自転車に乗った人間の姿が流れて行ったのは一瞬驚かされた。これは別に心霊現象ではないのだろうが、仮にそうだったとすれば、衣服の色が白いことが邪霊でないことを意味していたのかも知れない。  ところでストーリーとしては何がどうなっていたのか丁寧な説明はなかった感じだが、基本的には母親と子の関係が主な話題になっていたらしい。劇中では、関係が破綻したようでも母の愛は確かな事例、母親に拒否されて自棄的ながらも柔軟に生き延びようとしている事例とともに、母親に呪詛されているとしか思えない事例を並べていた。この3番目がどういう経過でこうなったのか不明だが、これはこれで歪んだ愛ということなのか、あるいは母親の自己愛の延長ということなのか。こういう問題の当事者になったことがないのでわからないが、とりあえず母の愛は強かったということだと思っておく。 なお主人公姉妹は二人とも美形だが、顔だけでなく体型的にもきれいな人を揃えたのが印象的である。姉役はともかく、妹役の女優はほとんど映画初出演(多分)ながらこんな役というのも大変なことだった。どうか今後とも頑張っていただきたい。
[DVD(邦画)] 6点(2015-06-02 20:07:10)
915.  巨大アメーバの惑星 《ネタバレ》 
冒頭のドラムマーチが勇ましいので期待が高まる。続く管制室の様子がけっこう本物らしく見え、管制員も本当に何らかの仕事をしているように見えて感心する(これは本物を撮影したのか)。火星の風景映像は単純な技法なのだろうが異世界の感じは出ており、これで造形物の貧弱さもある程度ごまかされている印象がある(が、ただの絵だけのものはさすがにごまかせない)。 当方としてはコウモリグモの映画と思って見たわけだが、そのほかの火星生物も出て来るので結構豪華である。まあ邦題の生物は出ない方が変なわけだが、人が食われるところなど見ているとThe Blobのようで結構恐ろしく、これに食われるよりなら感電死の方がまだましだと登場人物も言っていた。火星人ははっきり見せてしまうと失笑モノだったろうから、半分隠れているくらいにしておいてよかったと思われる。 またコウモリグモ(字幕ではコウモリ蜘蛛)は英語で"Rat Bat Spider"と言っており、日本語にはないネズミも入っているが、それでもカニ(エビ?)の特徴を捉えていないので一言では言い切れていない。撮影手法のおかげもあって結構怖く見えるが、フワフワ(トツトツ)と動く様子はクモの感じを出していて面白い。  ところで異星人が地球からの進出を歓迎しないという話は、日本では「ウルトラQ」第3話(1966年放映)を初めとして何例かあるが(「地球防衛少女イコちゃん」でも言っていた)、そういう発想はこのあたりが出所だったかと思われる。ラストでは、敗戦後に日本人が言われたようなことを地球人類が言われていたが、この頃の日本はすでに一億総懺悔して謹慎中であるから、これはいつまでも経ってもインディアン征伐を続けているつもりのアメリカ人に向けたものだろう。劇中でネズミコウモリグモが退散していく様子は哀れにも見えていたが、そもそも原因は地球側の狼藉だったのであるから向こうに非はないのであり、これはこの連中のトラブルメーカーとしての本質を象徴的に示したものと思われる。アメリカ人はネズミコウモリグモに謝れ。
[DVD(字幕)] 5点(2015-06-01 22:12:17)
916.  地球へ2千万マイル 《ネタバレ》 
序盤で子どもが出るので、この子どもが最後までつきまとって煩わしい映画に違いないと思っていたら、金をせしめた後は出なくなったのがドライな印象だった。代わりに外人男女が親密になっていく様子が描かれていたが、事件が終了したとみた途端に2人でどこかに消えてしまったのは無責任で好きになれない連中である。またラストで科学者の博士が意味不明瞭な教訓を述べていたのはわが国の怪獣特撮にも見られる特徴である。 劇中ではアメリカ軍が執拗に金星竜を捕獲しようとしていたが、これは金星の大気中で人類の活動を可能にする秘密を探るためとのことだった。そのために最後は死人まで出てしまったようで、ここは人間の功利的な態度が手痛いしっぺ返しをくらったというように理解したいところである。しかし実際はその前に科学者連中が一定の成果を出してしまっており、結果的には人間(と金星竜)の生命を犠牲にしてでも欲しいものは獲った、という形になっていたのは共感しがたいものがある。 ただシチリアの現地警察があくまで人命保護を優先し、アメリカ軍への協力を拒否して独自に行動していたのは、人類の進歩を一人で先導しているかのような顔の傲慢な大国に対して一定の意地を見せていたといえなくもない。  ドラマ的には以上のような感じだが、撮影技術の面ではさすが侮れないものがある。金星竜の動きが非常に丁寧に作られており、合成も結構上手いと感じられる場面が多い。またゾウの重量で車がつぶれたあたりも実物感がある。そのほか構図の取り方も格好よく見えたりして、映像面では文句をつける気にならない出来だったとはいえる(が、ロケットを絵でごまかしたのは感心できない)。
[DVD(字幕)] 5点(2015-06-01 22:12:13)(良:1票)
917.  体脂肪計タニタの社員食堂 《ネタバレ》 
実在の社名を出して社屋も使っているが、見れば最初から最後まで作り話のコメディとわかるので誤解を生じる恐れはない。 内容としてはダイエットの基本知識を盛り込んだ上で笑って泣けるドラマをきっちり作った感じで、全体としてかなり満足度の高い映画になっている。映像に出る料理が具体的で種類が多いため料理映画としても一定の充実度があり、また登場人物も主要キャストが全員いい味を出していて、特にワンマン社長の怒鳴り声は嫌味がなくて格好いい。 ラストも基本的にみんなしあわせな感じで結構だが、しかし一人だけ悲運に泣く男が残されたようである。現実問題として異性に好かれたいというのは減量の最も強力な動機付けになるはずだが、この映画の立場としては一応“恋に肥満度は関係ない”と言ってみせたのだろうと思われる。  ところでお勉強の面から見ると、食べる順番が重要とかいう話は勤め先がやった健康食講座でも聞かされた覚えがある(忘れていた)が、2カ月後に壁があるなどという話を聞くと、なるほどダイエットの道が険しいということがわかる。重要ポイントとして「ダイエットの極意」というのが出ていたが、これはダイエット以外の人生全般にも言えることのような気がする。 また副社長が言っていたように、自分がやらなくても他の誰かがするはずだ(かつ自分より上手くやるだろう)と思うことは実際多々ある。しかし、たとえ結果的にでも自分が背負ってしまっているものがある限りは自分がやらなければならないのであって、そのことに副社長が気づくところは少し感動的だった。特に、みんなの思いというようなことを言われてしまうと個人的には弱い。  なお劇中の会社は別として、本物のこの会社に肥満の社員がいないのかどうかは気になる。肩身が狭いくらいならまだしも、“タニタにデ×な男は不要だ”と宣告されて処刑されるとかであれば社員としてはつらいものがあるだろう。
[DVD(邦画)] 7点(2015-05-25 19:55:38)
918.  クレヨンしんちゃん バカうまっ!B級グルメサバイバル!! 《ネタバレ》 
このアニメを見るのは初めてなので認識不足だが、とりあえずこの映画は大人の鑑賞に十分耐えるもののようである。もっともほかの大人の皆さんはお子さんと一緒にご覧になったのかも知れないが。 ストーリーとしては、いい加減な覚悟の防衛隊が解散の危機を結果的に乗り越えて、最後に使命を完遂するというのは一応感動的な構成である。各キャラクターはこれで平常通りかどうかわからないが、初見の立場としては犬が賢明で健気なのが印象的で、この犬がフラダンスで敵部隊を蹴散らした場面が個人的にはツボだった。ここは彼にとって面目躍如といったところだったのだろうと想像する。  ところで今回のテーマに関していえば、高級食材を庶民が食って美味とは限らないことを無遠慮に指摘していたのは笑える。食が芸術たりうるという主張自体は否定しないにしても、他の文化的な分野と違って食は生活に直結するところまで裾野が広いので、各家庭での日常的な創造性の発揮もまた食の豊かさを生むことになる。そのことが劇中でさりげなく指摘されていたのは少し感心した。また一日何も食わないとこれほど腹が減るのか、といったことも、食の基本的な重要性を伝える点で食育的な意味を持つといえなくはない。ただ単に笑わせればいいというのでもなく、ちゃんと題名に沿ったそれなりの内容を込めてあるのは真面目な映画に思われる。 そのほかオープニングのクレイアニメーション+KPPは中身を期待させる出来で結構よかった。それをいえばエンディングも悪くない。  なお一部で有名なようだが参考まで書いておくと、パープルのおねいさんが最終決戦に向けて人々に呼びかけている姿形は、ドラクロワの「民衆を導く自由の女神」から取ったと思われる。人物の前面に死屍累々なのも同じである。 もう一つ、イベント出店者のうち「お京」を名乗る人物がなぜか九州方言だったのは、「トラック野郎・御意見無用」(1975)のモナリザお京(渥美マリ主演の映画ではなく)を思わせるものがあったが、それは深読みし過ぎか。
[DVD(邦画)] 6点(2015-05-25 19:55:33)
919.  武士の献立 《ネタバレ》 
笑いあり涙ありで特に深刻な破綻もなく、良質の娯楽映画と思われる。不満があったのは、いいタイミングで父親が倒れるなど若干の都合良さがあったことと、ラストに再度土下座が出なかったこと程度だった。そのほかエンディングの曲がどこか無関係なところから持って来たような感じだったが、これは聞かなかったことにすれば済むことである。  ところで、料理人が地場の食材を掘り起こして回るというのは当時からあったことなのか、あるいは現在の加賀料理の中に劇中の大名料理がどの程度受け継がれているかといったことはよくわからない。饗応料理の考証などは別にして、実際のところかなりの創作部分が含まれているのだろうが、ただし舟木家が実在の武家であることは間違いないらしい。 武士というからには武を尊ぶのは当然としても、一方では社会の秩序と安定を維持する責任を負った社会階層という面もある。特に江戸時代ともなれば一人ひとりが“公”の心を持ち、それぞれが己のなすべきことを考える、というのも武士の本質をなしていたのではないかと想像され、その手段は剣術ばかりでないはずだという考えも容易に導かれる。御家騒動の一方の首領が単なる悪役ではなく、やはり藩のあるべき姿を考えていたというのは出来過ぎな気もするが、それでこそ終盤に「武士」と「献立」をちゃんと結びつけた台詞が出て来たわけで、出来過ぎではあるが感動的な場面だった。 続いてラストも舟木家の安泰を見通す形で終わっており(最後の地蔵は子宝祈願と思われる)、大名家も一介の武家も、料理を通じて未来へのつながりを残す形になっていた。これも出来過ぎという気はするが、全体としてまとまりのいいお話になっていたのは間違いない。  なおキャストも豪華で申し分ないが、個人的好みとしてはやはり主演女優の存在が映画全体の価値を上げている。江戸の料理屋の娘ならもっと“おきゃん”(時代劇用語)な場面があってもよかっただろうが、今回は武家の妻らしく健気でしおらしい様子も出ていてよかった。こんな可愛い嫁さんに古狸はないだろう、と劇中の親爺と同じ気分になる。
[DVD(邦画)] 7点(2015-05-25 19:55:29)(良:1票)
920.  のんちゃんのり弁 《ネタバレ》 
何をやっているかは大体わかるが、下司な人物や騒々しいドタバタといった感覚的に不快な要素が多くまともに見ていられない。映画とはいえ一応は現実世界を舞台にするのであれば許容できる限度があるだろうし、逆に延々と続く乱闘場面を見ていると、そこまでやるならいっそ殺してしまえという気分にもなる。主人公も突然芝居じみた調子でわめき出したりするのが変人のようで共感を妨げるものがあり、また子役の悪口を言うつもりはないが、主人公の娘の言動までもがいちいち神経を逆撫でする。 そういうことに苛立っているようでは自分もまだ人間ができていないのであって、ここは料理屋の主人の懐の深さを見習わなければならないのだろうと思われる。この人物の人徳には感じ入る。
[DVD(邦画)] 4点(2015-05-25 19:55:24)
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