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かっぱ堰さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1244
性別 男性
自己紹介 【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。
【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。
【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。
5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。
また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。

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921.  南極料理人 《ネタバレ》 
事前知識なしで見たら意外に笑わせる映画だった。こんなふざけた隊員が実際いるかとも思うわけだが、まあ男所帯の中で現実に起こりうる範囲のことであり、非現実的というほど羽目を外した印象はない。基本的にがさつでむさい感じの連中ではあるが、1年ほども一緒にいればまあ愛着もわくだろうという気はする。 隊員の中では主人公の調理担当がなぜか例外的に爽やかで、これは役者の持ち味ということもあるだろうが、多少何があろうと柔らかく受け止める人柄のよさが好印象だった。当初はこの一家の人間関係がよくわからないところもあったが、最終的にはこの男あってこその妻子のあの態度だったのだろうと思わせるものがある。ほかに弄られキャラの若い男もなかなか愛嬌のある奴だった。 劇中の感動ポイントとして用意されているのは主に家族関係であり、最後の「本さん」の顔つきもよかったが、東京との中継で主人公が娘と話したところも何気に泣かせるものがある。そのほかKDDインマルサットオペレーターの清水さんは、出演者としてクレジットされていながら声だけなのかと心配したが、最後にちゃんと顔出ししていたので安心した。 別に誰かの人生を変革するほどのドラマでないのは終盤の「本当に南極になんて行ったのか」という台詞の通りだろうが、帰って来てみての感慨はあったようだし、観客としてもここに出る人々の気持ちを感じ取って共感できればそれでいいのだろうと思われる。  ところで劇中では専門の観測スタッフと、サポート役の医師や通信・車両担当などとの間で気合いの入り方に微妙な差があったようだが(暇の度合いも違っていたようだが)、調理担当に関しては基地の運営を根底から支える点で日々責任重大だったらしい。食というものが単に生存だけでなく、人間としての文化的な生活を維持する機能について、いわば極限状態(というほど厳しくもないが)のもとで描いてみせた映画というように取れる。劇中人物の中では「本さん」の感覚が自分に最も近いわけだが、こういう場所であればやはりそれなりに料理人に感謝する機会も多いだろうとは想像する。
[DVD(邦画)] 7点(2015-05-25 19:55:21)
922.  かもめ食堂 《ネタバレ》 
食い物には関心がないのでその点は評価対象にならないが、海苔がパリッというのは少しよかった。また舞台がフィンランドである必然性も感じられないが、主人公の話すフィンランド語が結構それらしく聞こえていたのは感心する。全編にわたって微妙な可笑しさが醸し出されているのは見ていて意外に楽しく、うち一つだけ書くと、五寸釘おばさんの泣きの場面は笑えて仕方ない。 劇中では登場人物の来歴がほとんど語られず、そのことが互いの人格を尊重し、過度の密着を避けるような雰囲気を出している。またみなそれなりの年齢ということもあって、別々に生きている人間がたまたま同じ時間と場所を共有しているだけのようにも見える。いわゆる自分探し的な観点からすれば、後から流れついた2人がここに居場所を見つけたことが重要なのだろうが、しかし主人公の「ずっと同じではいられない」という台詞には無常観も感じられる。この主人公としては束縛のない自由さをあくまで尊重する姿勢だったようだが、それでもやはりいつかは失われるこの関係をいとおしむ思いがあるのだろうし、逆にそう思えばこそ、今という時間のかけがえのなさを感じるということかも知れない。そのような時間を切り取ってみせた形の映画だったようにも思われる。 なおどうでもいいことだが、原作では五寸釘おばさんに相当する人物に藁人形の話を教えた際、「人を呪わば穴二つ」に相当する内容を同時に教えていたが、映画で知らせなかったのは不親切だ。本来は他人に見られないようにしなければならないわけだが、人口密度が低いので普通にやっても大丈夫なのだろうと思われる。
[DVD(邦画)] 6点(2015-05-25 19:55:17)
923.  神聖ローマ、運命の日 オスマン帝国の進撃 《ネタバレ》 
映像的には現代風だが、特殊効果が安っぽくスケール感もあまりない。また人間ドラマ部分が見事に軽いので心に染みるものが全くなく、登場人物が泣いてもわめいても白々しいばかりである。 ただし実際に起こった事件が題材のため、歴史的背景に関心を持って見れば一応見られる内容になっている。ベネチアの修道士、オスマン帝国大宰相、神聖ローマ皇帝、ポーランド国王といった主要人物は実在の人物であり、映画の展開も実際の歴史からそれほど外れてはいないようである。ストーリー上もオスマン帝国側とキリスト教国側をほとんど対等に扱った感じで、トルコ側の登場人物もちゃんと人間味を出していたのは現代における最低限の良心的な作りといえなくもない。しかし一方でウィーンの皇帝を貶める形にしていたのは、ポーランド国王らを相対的に持ちあげるために叩きやすいところを狙ったような感じもある。  ところで劇中では宗教がらみのことが重要な話題になっていたようだが、何が言いたいのかはよくわからない。話を聞く限りトルコ側が寛容でキリスト教側が偏狭に感じられたが、イタリアとポーランドのカトリック教徒にとってはその方が心地よいということなのか。ドラマ部分では敵味方の区別なく理解しあえる雰囲気を出しておきながら、結局はキリスト教だけが絶対正しいと言い張るのもかえって人が悪い気がする。史実としてはこれがきっかけになってオスマン帝国の領土拡大が阻止されたということのようだが、それをもって結果的にキリスト教の優位が証明されたといわれても必ずしも納得できるわけではなく、それを最大の感動要素として押し売りされて素直に同調できる観客など世界にどれほどいるかという感じだった。葬式仏教徒がいうのも何だが。  なお余談として、途中でオスマン軍に合流したクリミア・タタールの首長役は日本人俳優(Hal Yamanouchi)で、これはクリミア・ハーンの系譜を遡るとモンゴルのチンギス・ハーンに至るという知識あっての配役と思われる。ただし本当にこういう東洋人顔だったかは不明である。
[DVD(字幕)] 4点(2015-05-23 20:44:35)
924.  ドラキュラZERO 《ネタバレ》 
15世紀の史実と小説「ドラキュラ」から少しずつ要素を取り入れて、あとは勝手にストーリーを作ったような形である。 ヴラド公の生地は実際にトランシルヴァニア(ルーマニア北部)であり、オスマン帝国に人質に取られたのも事実だが、同地の君主という設定にしたのは小説に合わせたものである。史実としては隣接のワラキア(ルーマニア南部)の君主であって、メフメト2世の大軍を迎え撃ったのもここである。このメフメト2世も歴史上の著名人のため、終盤の対決の場面ではどちらも死ぬはずはないと思っていたらメフメト2世がやられてしまったので驚いた。ここで死んだのだとすれば、これが史実からの最大の逸脱ということになる。またDraculaの意味について、映画の序盤でSon of the Dragon、終盤でSon of the Devilと言っていたのは、実際に両義性のある言葉だったのをストーリー展開に合わせて使い分けたもので、これは少し感心した。 そのほかラストで現代に飛んだ場面はロンドンだったようだが、これは小説の内容がロンドンにドラキュラが来るストーリーだったことによるもので、ここで女性の名前がミナだったのは小説の登場人物と同じである。 長くなったが考証的なコメントは以上である。  それでストーリーに関しては、一応まとまったお話ではあるがダイジェスト感が強く、意味不明な人物や事物が目につくほか特に序盤の展開が急で、あっという間に大軍が攻めて来るので呆れてしまう。ドラマ的にも薄味で、現実問題として息子を人質に出すのが当時としてそれほど過酷だったか疑問なため、悪魔と契約してまでの反抗に至る動機に全く共感できない。ラストは時代を超えて二人の魂が共鳴し合うといったところだろうが、それで特に心が動かされるようなものでもない。 結局は映画の中身自体より、この時代のこの地域の歴史を扱っていることが個人的に興味を引くというだけのものだった(デタラメだが)。ちなみに本物のワラキア公ヴラド3世は、敵兵だけでなく自国民も他国の一般民も必要があると思えば串刺しにする恐ろしい君主であり、庶民感覚で共感できる相手などではなかったろうと思われる。
[DVD(字幕)] 4点(2015-05-23 20:44:30)
925.  大怪獣バラン 《ネタバレ》 
劇中の岩屋集落の所在に関しては、最初の方で出た日本地図が不正確なため特定するのが困難だが、おおむね一関市や平泉町に近い奥羽山脈沿いのようである。ただし大怪獣のいた湖は、自衛隊の地図では猪苗代湖と同じ形をしている。桐野洋雄氏の台詞で「なるほど日本のチベットだよ、あまり気持ちよくありませんね」と言っていたのは東北の山村とチベットに対して失礼だろうが、本多監督も実はそういう場所の生まれだったはずである。  ところでこの映画では陸海空自衛隊の大活躍が目立ってしまって本来のテーマが埋没したような感じだが、序盤の千田是也博士の言葉(「いやあ、信じてはいないがね…」)を聞けば、こんな映画の中にもそれなりのメッセージが含まれていたように思われる。 まず科学の発達ということに関して、明治以後に近代文明が浸透していく過程では、一般庶民のレベルでも“科学的でない”との理由で俗信を軽侮する風潮が生じ、この映画の時点でもそのような態度が幅を利かせていたと想像される。これに対して通俗的知識や固定観念にとらわれず、まずは世界を虚心に見つめる態度が必要であり、それこそ真に科学的だ、というのがここでの主張と考えられる(もっともその具体例が怪獣出現というのでは少々寒い結果だが)。 また社会的な面から見れば、その時点の常識で迷信や悪習と思われても、我々と同じ知能を持つ人間が継承してきたからには必ず何かの意味があるはずである。確かに、かつての意義が失われて惰性的に継続しているだけのものもあるだろうが、それでもむやみに革新ばかりを言いたてて、何の考慮もなく全てを切り捨てるのが正義とはならないだろうということである。 宇宙ロケットを飛ばすような科学万能の時代でも、自然や人間に対してあくまで謙虚であるべきだという主張が、ここでの博士の言葉に凝縮されていたように思われる。そうすると、いかにショボい感じの怪獣映画でも、やはりそれなりの敬意をもって対しなければとの思いが個人的には持たれるのであった。  なおこの映画のヒロイン役は園田あゆみさんという人で、ふっくら系で可愛らしく見えなくもないので自分としては嫌いでない。劇中では新聞記者なので生意気な面もあったが、わずかながらにこやかに笑う場面もあったのが嬉しかったりする。もう少し若いうちなら普通に可愛らしかったかも知れないが(外部情報によると当時25歳)。
[DVD(邦画)] 5点(2015-05-16 16:00:04)
926.  空の大怪獣ラドン 《ネタバレ》 
まず背景設定はいい加減な感じである。この頃からすでに地球温暖化が問題になっていたというのは少し驚いたが、そのせいで異変が起こったわけでもなく核実験の影響とのことで、やはりどうしても怪獣映画は核の脅威と無縁でいられないらしい。 またドラマ部分も貧弱であり、前半こそ若い2人が互いの愛情を確かめ合う過程を描いていたが、後半は特撮に重点が移ってしまうために白川由美さんと東宝特撮初主演の佐原健二氏(若い)も存在感がなくなってしまう。ラストの一同の表情も取ってつけたような感じで、ここは若い2人が怪獣のつがいに同じ立場で同情を寄せた、という解釈ができればいいのだろうが、実際のところは兄弟だったのだろうからそうとも言えない。  ところでこの映画で個人的に最も注目するのは、何といっても昭和30年代初めの九州各地の景観である。まずは昔の本物の炭坑と炭住風景が興味深い。 また福岡市の場面では、怪獣は上から吊られているのが明らかだったりするが、ミニチュアセットの迫力の方は圧倒的である。風圧で瓦は飛ぶわ外壁が失われて骨組みまで飛んでいくわで大変細かい作り込みになっており、また戦車が砲撃する前面に電線が垂れているのが邪魔に見え、これが市街戦というものだと実感させられる。道路の植栽を戦車が半分踏みつけにしているのは痛々しく、また風で飛ばされた車両が「豊楽遊技場」(パチンコ店)に突っ込んで火災が発生し、隣接の「軽食 喫茶 筑紫」に延焼していくのは無残だった。特定の商標が出る場面も多く、森永ミルクキャラメルのネオンサインなら他にも例があるが、アサヒビールとか武田薬品工業とかは協賛をもらったのか。昔のカルピスの看板をわざわざ踏み倒して戦車が進んでいくのは何かの寓意だろうかと勘繰ってしまうがこれは単に受け狙いかも知れない。こういうのが見られた当時の福岡市民の皆さんは大喜びだったのではないかと思うと非常にうらやましい。 福岡のほかにも佐世保市内の実写風景が映ったりするので、当時を知る人がいれば懐かしいかも知れない。西海橋の場面では、バスガイドの誘導が適切なため観光客に被害がなかったのが幸いだった。変なところに感動してしまったが。
[DVD(邦画)] 7点(2015-05-16 16:00:00)
927.  近キョリ恋愛(2014) 《ネタバレ》 
原作は読んでいないので映画限りの感想である。 まずオープニング部分の「本気にすんなよ」の辺は普通に可笑しい。これに続けて基本的にはラブコメだろうと思って見ていると実際はあまり笑えないわけだが、お約束の胸キュン場面がわざとらしくちりばめてあるのでまだしもおおらかな気分で見ていられる。 しかし後半に入ると変に真面目なラブストーリーになってしまい、前半では雰囲気で見過ごしにしていたものが常識人として許せなくなる。受験前という大事な時期に、これまでヒロインが頑なに守っていた精神的安定をぶち壊して大混乱に陥れ、将来の夢さえ奪う形で自分のものにしようというのでは人間としての最低条件を満たしていない。ストーリー的にはやむを得ずこうなった経過を作り込んだようではあるが、そもそも大人の男として、また教員として当然に予見すべきことをしないでこうなったのだから言い訳にはならないだろう。さらに最後まで結婚にこだわっていたのはもう頭が変としか思えないが、ただしこれは「耳をすませば」(1995)の聖司君と同じ心境と思えば納得もいく。まるで中学生の役を30前の役者が演じているような映画だったということである。  一方で個別の登場人物に関していえば、主役の男には当然ながら全く関心がない。それはいいとして、ヒロイン役は注目されている女優というのはわかるが、この映画ではあまりに無表情なのが不気味に見えて、キャスティングとして本当にこれでよかったのか怪しい。劇中人物としても、いちいち細かい仕草で心理を表現するのが煩わしく、また妙な理屈をこねてコミュニケーションを拒絶し自分を守ろうとする態度は病的で痛々しいとさえ感じられた。ヒロイン/主演女優の魅力の面でも評価できなかったことは、個人的にはこの映画の致命的欠陥である。 劇中の女子で最も好印象だったのは、キャーキャー騒いでいた3人組(邪悪な勢力でない方)だった。陽気で後腐れのない感じのこの連中なら、その後に歳を取ってから再会した時などに普通に懐かしがってくれそうな気がする。
[DVD(邦画)] 1点(2015-05-06 01:28:40)(良:1票)
928.  ホットロード 《ネタバレ》 
原作者の年代が自分に近いので、このお話に理解を寄せる素地も絶対ないとはいえないはずだと思っていたが、しかしシリアスな少女マンガが原作となるとさすがに素直に共感できないのが少し悔しかったりする。今どき暴走族というのもどうかとは思うわけだが、そこは大して反感を覚えないようできている。 内容としては一応筋の通ったお話になっているが、やはり端折り気味だったり断片化しているところがある感じで、例えば親友の絵里は“主人公の親友になった人”というだけの扱いで存在感が半端である。しかし終盤で語られるナレーションでの総まとめを聞くと、親友を含めてこのストーリーで何が言いたかったのかは非常に明瞭になっており、原作段階でかなり良心的なものだったろうということは想像できる。 自分が見て印象に残ったのは、主人公よりもその母親がちょっと大変な感じの人物だったことである。他人に挑発されて初めて娘は自分のものと宣言したもののその時点ではまだ本能的な反応に過ぎず、終盤に至ってやっとそれなりの見解を示していたがまだ何となく他人事のようで、この先まだまだ母親としては心許ない気がする。しかしそれは再婚の夫が何とかサポートするのだろうし、みんな徐々に大人になっていくのだからまあ長い目で見ましょうということだろう。  ところで主演女優は、役者として中学生を演じているのはわかるが外見的には14~15歳には思われず、それなりの年齢の人間が他人の世話になっておいて礼のひとつも言えないように見えるのはつらいものがある。ほかの人物も、実年齢に近いのは自分の知る限り序盤の同級生(ユッコ)役くらいのもので、それ以外はほとんど設定年齢通りとは思われない。まあ映画とはそういうものだろうし、年齢が高いことでの安定感は確かにあるが、冒頭の「あの子たち」というのが誰のことかわからなくなっているのは困ったことである。 細かい描写で印象的だったのは、彼氏のいるGSに電話が来た場面で、この男が大事に思う相手ができた、ということをさりげなく映像に出していたことだった。また薬を口移しにする瞬間を風景映像に換えていたのは、今どきこんな奥ゆかしい表現が存在しうるとは思っていなかったので少し驚いた。主人公と彼氏は少しの間同居していたはずだが、その間に何もなかったということだろうから、この辺は古風な良心の現れと取れなくはない。
[DVD(邦画)] 5点(2015-05-06 01:28:35)
929.  はなればなれに(2012) 《ネタバレ》 
2012年の東京国際映画祭などに出品されたのは86分版であり、ほかに今年は100分版というのが劇場公開された(されている)とのことだが、自分が見たのはDVD収録の86分版だけである。映画のほかにノベライズ本があり、読むと少し細かい背景事情や登場人物の心理も記されているが、この映画ではなかったものとして扱うしかない。ちなみに同じ邦題のフランス映画は見たことがない。  そのような前提で思いついたことを適当に書くと、まず主演女優に関しては完全に騙されたという印象があった。この人が出るからには、ほんわかして心癒される笑顔が見られるはずだと思っていたらそれはラストの一瞬だけで、実際は仏頂面が大半だったのは全く意外だったが、まあ当方が勝手に思い込んでいただけのことで怒っても仕方ない。小型で軽快なウシ科動物(通俗表現でいうカモシカのような)を思わせるスタイルの良さだが、劇中ではその運動能力を使い余したような怠惰な雰囲気を出していた。 個別の場面としては、まずは海の見える屋上の絵画的な美しさが目立つ。また3人で腰かけていた火山島の岩場海岸は箱庭的な印象があり、個人的には「春の祭典」第1部背景画を思わせるものもあったが、あるいは皆で銭湯に出かけたようにも見えた(水鉄砲で襲撃されたのはそういう意味だろう)。ダンスやテニスの場面では、一人ひとりの即興的な動きが大きく発展しまた収束していく様子が、人間の理性で仕切れない世界の偶発性とか刹那性の表現に思えなくもなかった。 全体構成に関していえば、ばらばらだった3人がたまたま一定時間だけ居場所を共有し、またそれぞれの動きに返っていったということだろうが、それで以前と何がどう変わったのかはわからない。吸殻入れを常備することにしたとかいう変化はあったようだが、そもそも世界の出来事など全てが偶発的で因果関係を確定できるものでないとすれば、細かく詮索しても仕方ない気がする。 以上、特に映画愛好者でもない一般人の感想としてはこの程度である。正直よくわからない映画だった。  なお映画と関係ない話だが、ノベライズ本にある子どもの写真のエピソードは、人間という存在への根源的な敬意の念を呼び起こすものになっていて感動的だった。これを映像化しても意味不明になりそうな気はするが。
[DVD(邦画)] 5点(2015-05-06 01:28:29)
930.  誘拐(2009)〈TVM〉 《ネタバレ》 
文庫で厚さ2cmくらいの原作を2時間弱にまとめてあり、内容は薄くなっているが不自然なところはなく、ストーリー的な面白さもちゃんと再現されている。背景音楽は軽いがTVドラマなので仕方ない。 時代背景としては明らかに第1次安倍内閣の頃を想定しており、謎の辞任で退いたのも実在の首相に似ているが、人物像まで似せようとはしていない。また当然ながら劇中の友好条約も史実にはないが、原作によれば日本側が適当に譲歩して格好だけつける類のものではなく、過去の完全清算を前提としたものだったようで、これが成功すれば確かに画期的だったろうと思われる(その後にまたひっくり返されるかも知れないが)。  ストーリーに関しても原作をほとんど忠実に再現していると思われる。「金で買えないものはない」とかいう表現は簡単すぎないかとか、最後に明らかになる真相が意外性に欠けるとかいった苦情はないではないが、人情に縛られていてはまともな経営はできない、といった風潮への反発に関しては同感であり、原作者の思いは真直ぐに受け止めることができる。 登場人物としては、まずは何物にも代えられない大事な孫娘というのがちゃんとビジュアル化されており、これが政治家の信念を覆すことにも一定の説得力を付与していた。またドラマ独自の趣向として、捜査官役に二枚目俳優を起用したのは個人的にはどうでもいいことだが、主人公の娘を大きく扱っていたのは非常に印象的だった。劇中ではこの娘の存在が主人公の動機を大きく支える形になっており、これは少しドライな感じのする原作を感情面から補完したものになっている。劇中で最も泣かせるのがこの娘のエピソードであり、いわば切ない愛らしさを表現できている点で非常にいいキャスティングだった。 そのほか最大の特徴点はラストが原作と違っていたことである。ここで主人公がけじめをつけると言ったにもかかわらず、その意図がわからないまま終わっていたが、これがかえって最後に余韻を残す形になっていた。この後に彼がどうするのか、制作側が何を想定していたかはわからないが、自分であればこうするだろうという思いはある。
[DVD(邦画)] 6点(2015-05-06 01:28:23)
931.  さとうきび畑の唄〈TVM〉 《ネタバレ》 
森山良子氏の著名な持ち歌を取り入れたドラマで、最初と最後の現代パートは歌詞のシチュエーションを映像化したものである。ここでは歌の主人公のほかに態度の悪い女子高生もついて来ていたが、これは新しい世代にも伝えていきたいとの趣旨だろう。この歌は情景イメージを含めて時代の記憶を伝える力を持った優れた音楽作品であり、後世に残ってもらいたいというのは自分としての願いでもある。これを見たあと自宅にあったCDを引っ張り出して聴いてその思いがさらに深まった。  ドラマ本編に関しては、歌の主人公(新生児)も出て来てはいるが、全体的に騒がしい感じのため歌に喚起されるイメージとの間でかなりのずれがある。しかし歌自体のドラマ化が目的ではなくネタとして使っただけだろうから、合うとか合わないとかを問題にしても仕方ない。また悪玉にわざわざ過激なことを言わせておいて、そこに善玉が「同じ人間じゃないですか!」などと当たり前のことを突っ込んでみせるような安手のドラマだが、それもまあテレビだから仕方ない。 劇中の主張の中では、学徒動員の青年の考えは普通に理解できる。また親は戦争で死ぬために子を産んだのではないというのもその通りだが、しかし「戦争のない国を作って下さい」というのは具体的に何をどうすればいいと思うのか。戦争がない方がいいというのは平和な市民社会の誰もが願う当然のことだが、相手があることなので自分の国だけでは決められない。むしろ戦争を起こさないために、現実的な対処として何が必要なのかをシビアに考えることが大事であり、そこに沖縄戦の記憶を伝える意味もあるだろうと思われる。 ちなみにこのドラマでは主人公夫妻が関西出身という設定もあり、結果的に“沖縄の利害は国内他地域と相反する”といった分離主義的な印象が強くなかったのは幸いだった。もっとも制作当時は東アジアの国際情勢が現在と異なっており、この時点でそんなことはほとんど誰も考えていなかっただろうが。
[DVD(邦画)] 2点(2015-05-05 00:09:24)
932.  郡上一揆 《ネタバレ》 
岐阜県のご当地映画であり、「行こまいか」「だちかんで」「あらけない」といった方言の使用が印象的かつ適度である。また美形の若手女優にお歯黒をさせるといったリアリティ重視の姿勢も見える。 お手軽な映画として作ろうとしたのなら、支配者は全て悪人、被支配者は全て善人にして対立構造を明確にするだろうが、この映画では被支配者の内部にまた身分差があり(「水呑は黙ってろ」という台詞もあった)、その上「立ちもん」「寝もん」の対立もあって全く一枚岩ではない。そのような史実を忠実に描写しようとする姿勢には非常に好感が持てる。 ちなみに検見取りの意味に関しては、役人の匙加減が利くという面もあるだろうが、それより終盤で町奉行が「切添田畑これあり…」と言っていたように、これまで農家が苦労して拡大してきた農地を新たに課税対象にすることへの反発が強かったと思われる。  ところで宣伝文句では「歴史は民が動かす」ことを強調していたが、しかし民衆にせよ支配層にせよ、その時々の経済社会動向を背景にしなければどんな動きも成功しないだろうと思われる。この映画の農民が歴史を動かしたというよりも、世の中の流れの先頭を切って動いたことで、それを契機に幕府も動いたというくらいの見方が妥当なのではないか。 それより個人的にこの映画から感じた最大のことは、どんな時代でもどんなところにも“義の心”を持った人がいるということだった。現代なら“義”などというと中高年からは毛嫌いまたは冷笑されるのだろうが、自分を犠牲にしても多くの人のために行動すること自体が否定されていいはずもない。当時の民衆運動では主導者が本当に生命を失う覚悟が必要だったのは現代と明らかに事情が違うのであり、地元でもこの人々を「義民」と表現していたようだが、自分としてもまずはそういった人々を顕彰する映画と捉えたい。 もっとも、主人公の可愛い奥さんの顔など見ていると、何もこの男がそこまでしなくてもという気になって、その立派な志を手放しで賞賛するのもつらくなるというのが正直なところである。  以上、世間ではあまり面白くない映画と取られているようだが、制作に協力した地元の人々への敬意も含め、自分としては最大限の好意的な評価をしておきたい。 なお余談として、劇中で何気にうちの地元の殿様(のご先祖)が出ていたが、特に悪役ではなかったようで幸いだった。
[DVD(邦画)] 8点(2015-05-05 00:09:19)
933.  たとえ世界が終わっても 《ネタバレ》 
人生は長さだけが問題ではないということなら理解できる。また自分が受け継いだものを次の世代に伝えていくといったことも人生の意義にはつながるだろう。 しかし輪廻転生という考え方に関しては、それ自体が大して人生を豊かにするとは思えない。確かに今回だけで終わりではないと考えることで、生きることが楽になる効果があるのは間違いないが、同時に今回を簡単に考えすぎてしまう恐れもなくはない。そもそも死後のことなど誰も検証できないのだから現実味には欠けており、万人向けに一般化できるようなことではないわけだが、加えてこの映画のように、前世と今生(と来世)で人格的な連続性があるとまで想定するのはオカルトにしても常識外である。そのような人生の繰り返しを見つめる人物が存在するという設定を含め、この映画では少々話を作りすぎている印象があった。さらに重要人物らしい訳知り顔の中年男は外見も言動も気に食わず、こんな男に偉そうに説教されてもまともに受け取る気にならないという点で残念な映画である。 それよりも、主人公の故郷での出来事はこれまでの人生全体の収支をプラスに変えて余りあるほどの幸福感に満たされており、この感覚は観客としても十分に共有できる。またラストでアルバムを見るヒロインの表情は輝いており、冒頭で今にも死にそうに見えた人物とのコントラストが鮮やかだった。上記の理屈はともかくとして、生の喜びを映像上に表現できていたことだけは間違いなくこの映画の価値だと思われる。  なお余談になるが、序盤の自殺志願者のうち高校生くらいに見えた“久美”役(熊谷知花)は、「自殺サークル」(2002)に出たアイドルグループのセンターにいた人であり、彼女にとっては2作目の自殺系映画ということになる。これからも前向きに生きていってくださいねと言いたくなるが、そんなことをわざわざ言わなくとも本人は十分その気と思われる。
[DVD(邦画)] 5点(2015-04-30 23:48:22)
934.  自殺サークル 《ネタバレ》 
最初に見たのは公開の数年後だったと思うが、その時は劇中のアイドルグループの印象が強烈だった。今ならともかく当時としてはダンスのスキルと外見的な年齢との間にギャップを感じ、それが何やら正体不明の連中という印象を生んだものと思われる。これに加えて劇中の事件との関連を疑わせるような扱いをされていたために、外見だけは人に見えても実は人の心など持ち合わせていない不気味な新生物のように感じられ、21世紀にはこういうのが世界中に蔓延していく予兆のようで空恐ろしい気がした。  今回新たに見直して思ったのは、終盤で数字や指の形に意味を見出そうとするのが陰謀論的で、かつある種の病気のように見えるということである。劇中ではそれで実際にコンタクトの道が開き、登場人物にとって何らかの結果をもたらしていたようだが、恐らくそれはカルトの世界でしかなく、普通人が入り込めるようなところではない。現実にはこの世界で起きることに客観的な意味などないのであって、逆にそれが世の中の真実だということが何気に表現されている気もしなくはなかった。 以上、映画全体を論理整合的に解釈するどころでないので断片的な印象だけである。再度見直すとまた違うことが見えるのかも知れないが、そう何度も見たいようなものでもなく、どちらかというと嫌いな映画である。  なお劇中の「デザート」の綴りが場面によって違っているが(DESSART/Desert/DESSRET)、ネット上にこれを解説したサイトがあって一応納得した。
[DVD(邦画)] 3点(2015-04-30 23:48:18)
935.  クレーマー case2 《ネタバレ》 
目障りな先輩がいなくなって後輩が横柄な態度になっているのは前作との連続性を感じる。しかしクレーム対応の部分は前回よりさらにどうでもよくなり、代わりに普通の心霊ホラーになっている。「制服サバイガールⅠ」「Ⅱ」のように、第1作の設定を引き継いだままで第2作を全く違う印象の話にするのはこの監督の特徴なのかと思う(2例だけだが)。 ホラーとして見れば、わざわざ危ないところへ出かけて行って怖い目に逢うのは現代ホラーの通例であり、どれだけ緊迫していても電話に出なければならないと思っているのも「呪怨」と同様に見える。終盤で親子が出かけた先が伊豆のペンションだったのは貞子が待っていそうなのでやめてもらいたかったが、しかしクライマックスの逆貞子とフスマ閉めは正直面白かった。また最後のライター点火は放火を暗示しているとも取れるし、冒頭の誕生日の場面につながって円環をなしているようでもあって興味深い(意味不明だが)。 そのほか一つの場面が延々と続くのは切れが悪く、また背景音楽の使い方も古臭く感じられたりするが、それはそれでくどい感じの怪談をわざわざ作り込んだようでもある。こういうのは素晴らしいともいえないが嫌いというわけでもない。  ところで小野真弓という人は美形でも何でもないが笑うと愛嬌があり、出演者インタビューなどでにこやかに話しているのを見るとそれだけで和んでしまう。劇中では地味でくたびれた感じでどうしようもないのだが、子持ちの役は初めてだと本人も言っており、劇中の職場でも責任者の位置付けだったらしいので、あえて実年齢より少し上の人物を演じるよう求められていたということかも知れない。今回は「壁男」(2007)などでの実績を買われての起用だったというように好意的に解釈しておく。
[DVD(邦画)] 4点(2015-04-28 00:00:20)
936.  クレーマー case1 《ネタバレ》 
監督が「制服サバイガールⅠ」「Ⅱ」と同じだが、この映画は意外にまともだったので驚いた。これほど何の衒いもなく生真面目に作ってあるのを見ると、制服Ⅱの時などはよほどの悪条件だったか魔が差したのかと同情せざるを得ない。 ただし中身としてはそれほど面白いものではなく、こんな半端に不快な映画を好んで見ることもなかろうと思わせるものはある。自作自演というのもありきたりだが、ラストのもうひと捻りのせいで一気にわけがわからなくなっているのは非常に問題である。 それでも一応の好意的な解釈をしておくと、まず暗い目の映像が入るところはやはり主人公の犯行(二重人格的な)だったと思うことにする。またそこまで主人公を追い込んだ電話の男は、劇中で疑われていた通り職場の後輩が雇っていたものと考えれば、当初から個人情報が漏れていたことも説明できないではない。ただし最後の殺人まで指示されていたとは思われず、それはたまたまこの男がそういう気質だったということかも知れないが、それにしても警察がこれをどう扱ったのかが不明であり(どう見ても他殺と思うだろうが)、この辺はやはり少々難があるような気はする。 そのほか細かい点として、社長の言動が下司な感じで結構だったのと、何気に真夏竜氏が出演されていること、及びラストの場面からエンドロールに続く音楽の使い方は好印象だった。これを含めて自分としては最大限好意的に評価しておく。
[ビデオ(邦画)] 4点(2015-04-28 00:00:16)
937.  壁男 《ネタバレ》 
事前知識はないままで見たが、タイトル部分の空撮で、積雪のある山を越えて都市部が見えたところでいきなり札幌ということが印象づけられる。以降も冬の風景がところどころに挟まって場所感と季節感のある映画になっている。 登場人物としては特に主人公の印象が強烈だが、ヒロインも愛嬌があって色気もあり、自分もこういう人と親密になりたいものだという思いが募ってしまう(が堺雅人には勝てない)。個別の場面としては「だめだなあ」のところで、この女優らしい表情が見えるのが微妙に愛しく思われた。その他のキャストは地元起用とのことで、ちょっとクサくて見ていられない人物もいたが、中村・遠藤役の両人などはけっこう好印象だった。 ストーリーとしても特に怖がらせるでもなく淡々と話が進んでいくので落ち着いて見ていられる。結末のない孤立的なエピソードも多かったが特に気に障ることもなく、全体的な雰囲気としては非常にいい映画だった。  しかし社会批評的な部分は面倒くさい。壁が隔てることで孤立的な小世界が生じていくというのはいいとして、その場合の壁は遮断という機能を持つことになるわけだが、これとメディアを関連づける意味が正直わからない。本来のマスメディアに代わって媒介の機能を果たすのは誰もがアクセスできる情報通信ネットワークだろうが、そのような時代にあえて壁男(それなりに不便なはず)に憧れる動機などあるのかどうか。ちゃんと台詞を聞いていれば納得できるということかも知れないが、そもそも台詞の文章密度が高すぎてわかろうとする気が失われる。 また後半に入ってから“お前は誰なんだ?”という問いかけが繰り返されるのは原作由来かと思うが、これが今回のストーリーにどのようにからんでいたのかがよくわからず、終盤の展開も原作を取り入れた形らしいが唐突で意味不明になっている。若干のグロ映像も不要であり、ここまでせっかくいい雰囲気で来たのだから妙な観客サービス?なしで終わってもらいたかった。ラストの場面は原作にないので映画としては重要なのかも知れないが、ここを含めて最後はもうどうでもいい気にさせられてしまう。  そのようなことで評価が少々難しいところだが、個人的には小野真弓という人が大好きだと思える映画だった(「街の・噂・特捜隊!」が微笑ましい)のと、映像面を含めて全般的に密度の濃い映画だったので、ここは少しいい点を付けておく。
[DVD(邦画)] 6点(2015-04-28 00:00:12)
938.  ライフ・イズ・デッド 《ネタバレ》 
原作との関係では良心的で良質な映画になっている。ストーリーは原作にかなり準拠した形だが、時間に余裕があったのか登場人物がかえって多くなっており、映画化に当たって内容が拡充された感じである。 劇中世界は原作のように緩い雰囲気ながらも人間関係はけっこう殺伐としている。主人公に対して好意的な人物に見えても、実は自分の思惑で動いているだけで「いい人」というのは誰もおらず、また多少納得していなくてもとりあえずカネだけはもらっておく(主人公の妹も)というような利己主義が基本の世界になっている。その中で恋人への献身は個人的利害を超えていたようだったが、これはたまたま結果的にそうなっただけで、愛が何者にも負けないなどということが示されたとは思われない。間違いないのは主人公一家の絆だけだったようだが(少し波乱もあったが)、これも含めて現実の人間社会の姿が淡々と、多少戯画的に描かれた映画というように感じられる。 ただしコメディというほど可笑しくもない。マンガの映画化ではあるが、冒頭の場面からしてシビアな状況だったのにコメディ風味を残しているのはかえって半端な印象もあり、やはり絵柄がものを言うマンガを実写化するのは難しいのだろうと思われる。 またホラー映画としての怖さもないので、せめてもう少し娯楽要素があった方がいいのではと思うわけだが、そこを補っているのが妹役の女優ということかも知れない。超絶美形というわけではなく、可愛く見える場面も可愛くなく見える場面もあるがいろんな表情が出ていて面白い。沖縄でCMに出ていた時に評判だったらしい変顔も披露してみせており、この人を見られたのは得した気分だった。
[DVD(邦画)] 5点(2015-04-25 19:59:20)
939.  こわい童謡 裏の章 《ネタバレ》 
予定通り「表」の謎は解いているが、真犯人に関していえば映像的にほとんど説明済だったため意外感は全くない。一方「表」では主人公の母親が死んだ理由も示唆されているように見えたが今回は説明がなく、これは観客向けの謎解き要素として残したということなのか、あるいは単に当方の思い違いだったのか。 今回の特徴点は、「表」で心霊現象としか思われなかった事件の謎を音響のプロが合理的観点から解明していく形になっていることである。映像面でのホラー風味は維持しながらも、謎解きの面では“この世に科学で解明できないものはない”というかのような勢いが感じられたが、しかしその説明が面倒臭くて無理やり感があり、また主人公の口調が一本調子なこともあってあまり感心できるものにはなっていない。 ただし、ラストで一つだけ合理的な説明のできない問題を残して終わっていたのは実は期待通りだった。自分としては昔の特撮番組「怪奇大作戦」(1968)を思い出したが、原作・脚本・監督の人物は1967年生まれのようで、これと直接の関係があるかどうかはわからない。 なお今回の主演女優は個人的に好きなわけでもないが、この映画では普通に清楚な正統派美女に見えるので印象は悪くなかった。
[DVD(邦画)] 5点(2015-04-25 19:59:11)
940.  こわい童謡 表の章 《ネタバレ》 
童謡を扱っていること自体は特に目新しいものではない。学者に監修してもらっているのはいいことだが、劇中に出ていた説明がどこまで本当なのか見る側としてはわからない。舞台は今どきお嬢様学校とのことで、これは外見と内情(表と裏)のギャップを表現しようとしたようにも取れるが、ただし全寮制というのはどちらかというと生徒が夜間の学校に出入りするのを不自然でなくするための設定かと思われる。 ストーリーに関しては、初めから「裏の章」で謎を解くという構成のため細かいところはわからないにしても、まあ大体のことは想像できる。この「表の章」で不明なまま残るのは主に何でこの学校にこういう事件が起きるのかということだろうが、普通一般のホラー映画のわけわからなさに比べれば特に支障はない。単純なホラーとして見るならここで終わりにしても問題ないだろうが、裏もあるというなら一応見なければと思ったので総合評価は保留しておく。 なお主人公が可愛いのは大変結構なことだった。これだけは間違いなくこの映画の見どころである。
[DVD(邦画)] 4点(2015-04-25 19:58:49)
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