941. めぐり逢えたら
《ネタバレ》 1990年代から映画をたくさん見始めた年代の者にとって、トム・ハンクスとメグ・ライアンという俳優は「絶対的」な存在であると言って間違いない。 そんな二人のもっとも幸福な共演作こそが、この「めぐり逢えたら」だということは、この映画を観ていようが観ていまいが、映画ファンにとっては常識であろう。 今作の直後、2年連続アカデミー主演男優賞を受賞したトム・ハンクスは、コメディ出身のナンバーワン俳優としての片鱗を存分に見せつける。息子役の子役とのやり取りは“父子もの”として、映画史上に残る絶品だと思う。 ただし、このラブコメ映画において、何よりも素晴らしいのは、やはりメグ・ライアンだ。 90年代、“ラブコメの女王”として、男女問わず世界中の映画ファンと虜にした彼女のキュートさは、その存在感そのものが映画史に残る“宝物”だと思える。 彼女がこの作品で演じる“アニー”というキャラクターは、決して清廉潔白な女性ではない。 あまりに自分本位で、身勝手な愚かな女である。 「なんてクソ女なんだ!」と心の片隅では感じているはずなのに、観客のほとんどは、無意識的にそれを無視して全力で彼女の盲目的な恋の成就を願ってしまっている。 ハリウッドにメグ・ライアン以上の名女優は数多いるが、おそらく彼女以外のどの女優が“アニー”を演じたとしても、これ以上の成功は見込めなかったと思う。 この映画の中で、主演の二人が邂逅するシーンは、たった3つだが、この二人の共演でなければ、この映画の幸福感は導き出されなかっただろう。 振り返れば振り返るほど、なんて自分勝手な映画なんだと思う。 しかし、「恋」とはそもそも自分勝手なものであり、映画くらいはその自分勝手を貫き通した愛すべき人たちの姿を見たいと、世界中の人が思っている。だから、この映画は世界中に愛されている。 P.S.メグ・ライアンに一方的な婚約破棄を言い渡される誠実で可哀想過ぎる男を演じたのは、ビル・プルマン。 彼はこの3年後、アメリカ合衆国大統領としてエイリアンを迎え撃つ。 攻め込んできたエイリアンはいの一番に“あのエンパイア・ステート・ビル”をぶっ壊すので、彼にとってはいささか胸のすく思いだったはずだが、彼はそんな私情をまったく挟まず、自ら戦闘機に乗り込みエイリアンを追っ払う。 「やっぱりあの大統領は信頼できるぜ!」と、映画ファンならではの妄想が加速する。 [インターネット(字幕)] 8点(2003-10-30 17:29:18) |
942. リベリオン
まずガン=カタという新しいアクションの試みは、非常に迫力と痛快感があり素晴らしかった。これは、新たなアクションスタイルとしてインパクトがあり確立されるものだと思う。加えて、戦争の防止のために感情を廃した社会というのも、テーマとしてとても斬新であった。あまり複雑にならず、単純に仕上げたストーリーもアクションが際立ち良かったと思う。アクション映画としては文句のない映画に仕上がっている。 8点(2003-10-29 17:22:21) |
943. メン・イン・ブラック
1500年前地球は宇宙の中心と考えられていた 500年前まで地球は平ら 15分前まで君は宇宙人を信じていなかった 常識なんて儚いものさ という台詞は、トミー・リー・ジョーンズが新人エージェントしてウィル・スミスをスカウトするシーンで発せされる。 とても良い台詞で、想定以上にハチャメチャなテンションで描かれたこの映画が、頭のいい人たちによって目論見通りに作られた作品だということが垣間見える。 最新作のパート3を劇場で観たばかりで、おそらく最新作を観た多くの人が同じように思ったことだろうが、第一作目である今作を無性に観たくなり、TSUTAYAを巡り借りてきた。 久しぶりに観ると、この映画が、スピルバーグを筆頭にエンターテイメントとしてのSFの何たるかを熟知している人たちによって、表面的に伝わる娯楽性以上に”しっかり”と作られていることがよく分かった。 主演俳優二人の絶妙なバランスも含め、いろいろな要素がとても絶妙な塩梅で合致した幸福なエンターテイメントだと思う。 [映画館(字幕)] 8点(2003-10-29 14:14:49) |
944. イベント・ホライゾン
思ったよりもグロくショッキングなシーンが多いが、映像の美しさとクオリティが洗練されているので、見応えのある映像世界に仕上がっている。ストーリーも宇宙空間の闇と虚無感に包まれた恐怖感が秀逸で、スリリングな展開に引き込まれる。あまり知られてはいないが、SFホラーの傑作と言っていい作品だと思う。 [映画館(字幕)] 8点(2003-10-28 14:37:53) |
945. エイリアン3
それぞれの作品が、別の監督によって作風の違った秀作に仕上がっているところがエイリアンシリーズの優れたところであるが、今作もデビッド・フィンチャー版のエイリアンとして良作になっている。監獄星を舞台にしたことで全編が密閉感に包まれた熱気と泥臭さに溢れており、明らかに一線を画す世界観は見事だった。シリーズの中では最も派手さはないが、衝撃的なラストシーンなど見応えは大きい。 8点(2003-10-26 03:29:20) |
946. フィフス・エレメント
評価の対象はいろいろあるけど、やはり特筆すべきはミラ・ジョヴォヴィッチの存在だと思う。今や売れ筋映画として女性が主人公のアクション映画は多発されているが、その今のブームの先駆けとなったのが今作のジョヴォヴィッチのインパクトではなかったかと思う。リュック・ベッソンだからこそ作れたこの芸術的な娯楽大作は、間違いなく傑作である。 [映画館(字幕)] 8点(2003-10-25 13:45:15) |
947. モスラ(1961)
ゴジラ映画を初めて観るより前に、この単体怪獣映画「モスラ」を観たように思う。なにしろ幼年時なので、あの卵の大きさに素直に衝撃を受けた気がする。ストーリーはシンプルではあるが、無理のない展開に引き込まれた。別にゴジラと闘わなくても、見応えと存在感のあるモスラというキャラクターは、やはり秀逸である。あー、あとフランキー堺のコミカルな演技も印象深い。 8点(2003-10-23 17:34:18)(良:1票) |
948. エイリアン2/完全版
完全版しか観ていないので、オリジナルとの比較については何も言えないが、ジェームズ・キャメロンの持ち味が良く出ている映画に仕上がっている。エイリアンシリーズに通じて言えることたが、それぞれ持ち味の違う監督が独自の色合いを出し、「エイリアン」という映画に仕上げていることが、このシリーズの質の高いところだ。今作はシリーズの中では最もアクション基調であるが、キャメロンらしい迫力のあるアクションの中のドラマ性が、見応えのある作品にしている。 [地上波(吹替)] 8点(2003-10-23 16:51:26) |
949. 戦火の勇気
一見すると、らしくないメグ・ライアンのシリアスな演技に違和感を感じるかもしれないけど、映画的には、兵士たちの食い違う証言を巧みに描いた秀逸な戦場サスペンスに仕上がっている。ラブコメでないメグの演技にかまえてしまう部分はあるが、謎に包まれた女性軍曹を魅力的に演じていた。意外に観るごとに味わい深さが広がる映画だった。 8点(2003-10-23 10:48:24) |
950. ユージュアル・サスペクツ
初めて観た時のラストの衝撃は評判どおりで満足感が高かった。最近、再度今作を観たが、さすがに初見時のようなスリリングは無かったけど、オチを知っているからこそケビン・スペイシーの曲者ぶりが際立つ部分があり、2度目ならではの面白さがあった。デルトロの細さも際立つ。 8点(2003-10-22 22:48:43) |
951. 誘拐(1997)
全体的にテレビ的な映像はマイナス点であるが、ストーリーは実に秀逸なサスペンスであった。渡哲也の大げさなくらい男臭い演技はキャラクターにマッチしていて良い。衝撃的かつ感動的なラストのくだりは、思わず涙が溢れた。芸術性には乏しいが、エンターテイメント性には優れた映画に仕上がっている。 [映画館(邦画)] 8点(2003-10-22 15:51:08) |
952. シャイン
全編が美しい映像と音楽で包まれた映画ではあるが、核となる物語は非常にシリアスで悲壮感とともに展開していく。厳しい運命を生きてきた主人公の放つピアノの旋律は、美しく力強さに溢れているが、それ以上に自分の人生への想いが折り重なっているようで感慨深い。圧迫され続けた主人公だからこそ、ラストの解放感の感動は計り知れなかった。 [ビデオ(字幕)] 8点(2003-10-22 15:22:36) |
953. ベイブ
数ある動物物の映画の中では際立ってよく出来た作品だった。ベイブをはじめ牧場の動物たちの言動がとても愛嬌があって楽しい。牧場主役のジェームズ・クロムウェルの動物たちとは対称的な物静かな演技も印象的だった。ラストは爽快かつ感動的で後味もとても良かった。 8点(2003-10-22 14:36:39) |
954. 美女と野獣(1991)
昨今のディズニー映画は映像の精巧さばかりを追い求めていて内容に不満を感じるものが多いが、今作は、近年のディズニー映画の中ではやはり秀逸な作品だった。おとぎ話的な雰囲気から、一気にディズニーでしか描けないラブストーリーへと昇華させていく展開は実にファンタジック。 正月休みの最終日、自宅で親族との新年会を終えた後、膝の上の愛娘(4歳)と一緒に随分と久しぶりに今作を観た。 愛娘は途中、主人公が悪役を中心とした村人たちに迫害を受けるシーンを観た途端に号泣していた。 そして、ハッピーエンドでは明らかな多幸感に包まれていた。 子どもの感受性豊かな様は素晴らしいと思う。それをちゃんと引き出すディズニー映画はやはり素晴らしいと思う。 [CS・衛星(邦画)] 8点(2003-10-20 20:40:54) |
955. プリティ・リーグ
戦争中に発足した女子プロ野球という設定自体が、とてもエンターテイメント性とドラマ性に溢れたものだけに、面白い映画になることは間違いなかったと思う。曲のある監督を演じたトム・ハンクスの演技が非常に良くて、女性だらけのキャスト陣の中で核となる存在感を見せてくれた。 8点(2003-10-17 14:39:54) |
956. マルサの女
マルサと脱税者の対峙という普通に生きていては知りえることはない人間模様をユーモアとリアルをもって描き出した伊丹十三という監督はやはり、凄い人だと思う。脱税者の腹の内を映し出すよな、殺伐とした薄暗い映像が見事だった。 8点(2003-10-17 14:27:21) |
957. ピノキオ(1940)
子供の頃は何気なく観ていたけど、考えてみればもう60年以上も前の映画で、その時代にこれほどのアニメーションを作り上げたことにまず感慨深さを感じる。古き時代のディズニー映画は、確実に大人が見るということもあるせいか、実に芸術性が高い。技術的には、確かに近年の作品の方が映像が綺麗で見やすいけど、映画作品としての深みを感じるものが少ない。思うに、アニメーションを作る上で重要なことは、より実写に近い滑らかさを出すことではないと思う。アニメーションである以上、アニメらしい動き、滑らかさを出すこと求めるべきではないかと思う。 8点(2003-10-17 00:48:22) |
958. グラン・ブルー/グレート・ブルー完全版
美しい映像というのは作品を語る上でよく出る言葉であるが、この映画の場合、素晴らしいものは、その美しい青である。海というものはその存在のみで美しく、素晴らしいものだが、その魅力を100%映像として引き出すのはとても難しいことだと思う。この映画の偉大なところは、海の青を、その魅力を全力をもって映しつけ、主人公の海に対する狂おしいほどの純粋な思いを描き出したことである。 8点(2003-10-16 01:36:26) |
959. 告発
ケビン・ベーコンは全体的に秀逸な演技を見せてくれたが、特に娼婦にフェラをしてもらうシーンの演技がとても切なく深いものがあり巧かった。あまり評価されてないけど、クリスチャン・スレーターの演技もなかなか良かったと思う。物語の核となる2人の配役がこの映画の成功を決めたと思う。 8点(2003-10-14 15:25:10) |
960. イル・ポスティーノ
作品中にも詩が出てくるけど、全体的に詩的でとても美しい映画だった。世の中の物事の真の価値や世界の美しさを教えてくれる。撮影直後に亡くなったマッシモ・トロイージの眼差しがとても深く、美しかった。感動を売りにした映画は多々あるけど、この映画は本当に感動の底が深い。 [ビデオ(字幕)] 8点(2003-10-14 14:35:55)(良:1票) |