941. ワールド・オブ・ライズ
《ネタバレ》 冒頭の凄まじいアクションでグっと掴みながらも、後は中々骨太で社会派なテロサスペンス。キレモノで行動派のCIAディカプリオ、その上司で冷酷な机上の嘘つきで太っちょのラッセル、そして嘘が嫌いな食わせ者で男前なヨルダン情報局長の三者三様の動きが面白く、役者には文句なし。まったく無実の人間を巻きこんだり、テロをでっちあげたりととんでもない嘘が飛び交う戦争のフィクションでありながら、ストーリーやキャラクターがおざなりになっておらず、難しそうだが意外と分かりやすく、一歩先も読めない脚本も申し分なし。アメリカはこのぐらいのことやってそうだもん。 面白く、スケール感のある娯楽作でありながら、リアリティがあり、真実に対して誠実で問題提起がしっかりしているという、映画のお手本みたいな映画。と言ったら褒めすぎでしょうか。 それにしても無能な上司はもちたくないっすねー。事件は現場でおこってるんだ! [DVD(字幕)] 8点(2009-05-10 00:17:44)(良:1票) |
942. フォーリング・ダウン
《ネタバレ》 むぅ、最初は痛快エンターテインメントコメディと思って笑いながら観てたが、実はなかなかの社会派。キレた中年、ダグラスさんの思考にはなかなか同意できることも多い。交通渋滞、リストラ問題、ファーストフードの誇大広告、無駄な工事…これらに怒る気持ちは皆一緒だ。しかし、彼は罪があろうがなかろうが自分の邪魔するヤツは皆、成敗。正義は我にあり。それではアメリカのやっていることと同じじゃないか。この映画は病んだアメリカを散々見せつけ、それに怒りをぶつける男すらも悪(狂人)として見せる。「これがアメリカだって言うなら、アメリカって最悪なトコロだな」と苦笑しながら観てしまいました。ともすればアメリカ全体を真正面から批判する気概すら感じたのは僕だけでしょうか? [インターネット(字幕)] 8点(2009-05-08 00:14:52) |
943. 馬鹿が戦車(タンク)でやって来る
《ネタバレ》 田舎での差別といえば陰湿なものを思い浮かべるが、この映画での差別者である村人達はそこまで陰険に描かれておらず、正面きってのただの嘲笑であり、村人には(ごく一部をのぞいて)差別する意識も悪意もないように思われます。要するにサブはバカキャラといったところ。しかも、村人達も同程度にマヌケに描かれているため、意外と仲良くやってるように見てとれます。 しかし、悪意があろうとなかろうと、傍から見ればうまくいっているようでも、バカにされてる側が深刻に苦しんでるとなると、やはりそれは悲劇…なんですが、ここからが喜劇足るところで、戦車に乗ったサブは怒りのやり場に困ってしまう。誰に怒ってるのか、何に怒ってるのかわからなくなってしまう。こんな滑稽さが喜劇であり、復讐の悲劇を回避しています。 この微妙な喜劇への転化が少し苦しいのがこの映画をもう一歩楽しめなかったところですね。それぞれの人物像がただのバカ(この映画のほとんどのキャラクター)、ただの強欲、ただの偽善者なので深みを感ぜず、村内で「馬鹿が戦車を乗り回す」以上の話、いわゆる人情喜劇になっていないところが少し物足りない。 [DVD(邦画)] 6点(2009-05-07 18:15:48) |
944. ドラえもん のび太のパラレル西遊記
《ネタバレ》 楽しい! やっぱりドラえもんはハラハラして、その上楽しくなくってはイカン。問題の発端も責任も全てドラえもんという、自分でまいた種きっかけだと、過剰な説教臭さがなくて気持ち良い。ドラえもんはいい加減道具を出しっぱなしにするのをやめなさいっ!(映画版のお約束だけど) 子供の頃はゲームも西遊記も大好きだったから、この映画も大好きだったなー。 不穏になっていく世界での先生や、パパの影や、ママの階段のシーンはなかなか怖い。西遊記の流れに乗ったストーリーも面白いストレートなアクション活劇。 本作のドラえもんは異常に役立たずで、ドラミちゃんを出した意味がわからないし、今観ると絵が意外と雑だったり、挿入曲がミスマッチだったり(割と好きですが)もするが些細なこと。スネオのちょっとした活躍が観れたのも嬉しかったし(地味なシーンだけど割とレアだと思います)、ラストシーンとエンドロールの素晴らしさはトップクラス。 [DVD(邦画)] 8点(2009-05-06 10:39:41) |
945. ドラえもん のび太と竜の騎士
《ネタバレ》 導入部のサスペンスチックなスネオ失踪までの流れから、竜の騎士の初登場シーンは全シリーズの中でも最高の掴みだと思います。しかし、中盤からのたるみっぱなしで堅っ苦しい物語展開は結構退屈。笑いもないのに緊張感もない…。ドラちゃん達は新世界の神となってしまいました…って。設定や地底の世界観は素敵なんですが、流れが鬼岩城とかと同じなんだし。竜の騎士にもっと活躍してほしかったところです。 [DVD(邦画)] 5点(2009-05-06 10:34:43) |
946. ドラえもん のび太と鉄人兵団
《ネタバレ》 ドラ映画のベストになることも多く、子供の頃熱中した作品ですが、改めて見るとなんか違う・・・。ドラえもん達に(能動的に)地球を救ってほしいとか思ってないんです。 自分たちでまいた種とか、なんか巻き込まれて成り行きで、とかじゃないとどうにも乗れない。なんか説教臭いし、作画も雑な気がしたし、泣かせようとするし、しずかちゃん以外キャラクターの見せ場がないし、これといったボスキャラもいないし、興奮できなかった。 ちょっとぐらいのズルはドラえもんなら許せるけど、この映画のラストはズルすぎるでしょう。ドラえもんならではの捻りもなかったし。これは本当に子供向けな気がしてしまいました。ドラえもん映画全盛期作品としては、残念ながらあまり好きでなくなってしまった一本。 [DVD(邦画)] 4点(2009-05-06 10:30:59) |
947. ドラえもん のび太の宇宙小戦争
《ネタバレ》 長編六作目にしてドラえもん映画史上最も激しいアクションが繰り広げられる、ガチのSFアニメ。他のドラより、寄り道が少なく、全編しっかりとした戦争映画となっております。このメンバーが挑んだ最も過酷な戦争は子どもが手を出せる代物ではなく、スネオのビビり方が一番正しい。それだけにスネオの勇気にはテンションが爆上がりです。 他にも最高の主題歌「少年期」、ホントに悪い悪役、サブキャラの魅力などなど、全く隙のない布陣で固まっていて隙がない。 それだけに、いかにスモールライトを奪還するかにかかってると思いきや…ドラえもん最初と言ってることが違うよ…と突っ込みたいのはヤマヤマだし、そこだけが惜しまれるのだが、クライマックスはいやがうえにも盛り上がったので水に流そう。 面白かった!! [DVD(邦画)] 8点(2009-05-06 10:22:40) |
948. さまよう魂たち
《ネタバレ》 霊体の見える主人公が生身の狂人からもあの世の狂人からも追っかけまわされ、この世とあの世を行ったり来たりしながら壮絶な殺し合いを繰り広げる…コメディ? もはやジャンル不定。笑えるところも多々あり、B級の流れではあるのだが、死神や壁からうごめく霊体の動きが滑らかでやたら出来が良くて迫力があってテンション上がります。しかも、伏線の散らし方と回収がうまくできていて、物語も何気にしっかりと面白い上、ちょっと先の展開も予想できないくらい意外な展開の連続に最初から最後まで楽しませてもらいました。うーん、こりゃ面白いや。 [DVD(字幕)] 8点(2009-05-05 22:27:17)(良:1票) |
949. アクロス・ザ・ユニバース
《ネタバレ》 ビートルズの曲オンリーのミュージカル。普通のミュージカルと比べて曲数がとにかく多い。それぞれの演出はやたら凝っていて、ミュージカルというより、ビートルズカバーミュージックビデオ集のようで、分かりやすいストーリーあっても、映像に目が行ってしまい、ストーリーとかどうでも良くなってしまいます。いちいちビートルズの曲に載せていくのにも強引さを感じずにはいられませんでした。 レットイットビーのゴスペルはちょっとグっときましたが、全体的なカバーのセンス、レベルとしても悪いとは言わないまでも期待以上のモノはなく、サントラで改めて聴こうという気になるほどではありませんでした。作者がビートルズを好きだというのは十分に伝わってきましたが、なんといっても長いし、退屈で幾度となく眠くなりました。一気に観ないで、数曲ずつ観る方が良いかも。 [DVD(字幕)] 5点(2009-05-05 18:07:14)(良:1票) |
950. ドラえもん のび太の魔界大冒険
《ネタバレ》 幼少の頃、余りの恐さに興奮して何度も繰り返し見た(変な子供だ)最も思い出深いドラ映画。物語性や伏線の張り方はドラ映画でも随一。序盤の恐怖のシーンは言うまでもないし、ドラえもんの世界が魔法の世界になるなんて最高じゃないか。朝窓を開けると魔法のじゅうたんが行きかっているシーンは、かなりワクワクしたものです。 ラスト近辺の演出が割りと淡白で子供の頃の興奮は丸っと蘇りはしなかったのは、一人一人の活躍が薄かったからかな。 ドラミちゃんは万能すぎて、出てくると安心しきっちゃうから映画では参戦しない方が良いかも。優秀すぎるが故に参戦できない出木杉君もしかりですが、彼の素晴らしい博識っぷりに唸らされました。魔法って、本当にあったかもしれない。なんて、思わせてくれたのは出木杉君のおかげ。そういった意味で、この映画のMVPは出木杉君でしょう。 [DVD(邦画)] 8点(2009-05-04 11:30:44) |
951. MIND GAME マインド・ゲーム(2004)
《ネタバレ》 定まらない絵柄とアバンギャルドな映像の数々に圧倒されながらも、序盤のダイナミックでパワーのあるストーリー展開にガッツリ心を掴まれました。造形不明な神様とのやりとりなんか最高でした。 しかし、中盤以降の映像はもはや歯どめがきいておらず、ストーリーそっちのけ。ジェットコースターに乗っていたと思ったら誰かの脳内美術館に放り込まれてたような気分。 終わってみれば何が何だかわからなかったけど、面白かったような気がする。整然とされない怒涛の映像の情報量を受け止めきれなかったなー。 アニメの可能性を示した意欲的な一品でした。このスタイルでもう少しエンターテイメントよりな映画も観てみたいっす。 [DVD(邦画)] 7点(2009-04-30 12:00:25) |
952. パラダイム
《ネタバレ》 宗教話や小難しい理論をB級オカルトでグダグダ言われても、わけがわからない。大魔王降臨とかスケールのでっかい事をいってる割に、なんだかチマチマしてます。せっかくなら大魔王様にでてきてほしかったとことろです。 気味は悪いんですが、展開がなく緊張感や恐怖感もあまりないので、終始退屈してしまいました。ちょん切れた首を自分で拾うところが可愛かったです。 [DVD(字幕)] 4点(2009-04-30 00:35:31) |
953. デッドゾーン
《ネタバレ》 事故による昏睡から目覚めると、人に触れただけでその人の過去や未来が見えてしまうという能力を持った男の話ですが、今観てみると取り立ててもの珍しい設定でもなく、意外な展開などもない地味なものでしかありませんでした。ウォーケンの哀愁に+1点。 [ビデオ(字幕)] 6点(2009-04-30 00:27:55) |
954. ドラえもん のび太の海底鬼岩城
《ネタバレ》 スペクタクル度は弱く、テンポも悪い気はする。説教臭さは、子供向けとしては丁度良い塩梅だとして、世界観や敵キャラの造形や設定、演出が渋く、絶望感すら漂う、独特な雰囲気のある一本。序盤でジャイアンとスネオがガチで死にかけ、ドラえもんが自害しようとするなんて展開は中々ない。バギーとしずかちゃんの恋物語が美しく、最後のシーンが泣ける。親御さんはドラえもんを信頼して子供を預けてるのに、毎回子供たちは命掛け。 [DVD(邦画)] 7点(2009-04-28 23:48:56)(笑:1票) |
955. ドラえもん のび太の大魔境
《ネタバレ》 「ぼくドラえもん」「ポケットの中に」が聞けないのが残念だが、主題歌も新たに絵柄も少し新しめになってきた長編三作目は、その名の通り魔境探検から始まり、内乱に巻き込まれるという壮大なスケールを持った物語。 なんといっても、この映画はジャイアンのための映画といってもいいでしょう。やたら上機嫌で冒険を始めるジャイアン、酷い目にあってやられキャラのジャイアン、横暴でワガママなジャイアン、自分のせいで皆を危険にさらしいじけるジャイアン、犬と心を通わせ涙を流すジャイアン、責任感と勇気をもち立ち上がるジャイアン。この映画のおいしいところはほとんどもっていってます。今後の劇場ジャイアンの活躍の原点。 かといって、他のキャラクターもおろそかにしているわけでなく、それぞれ見せ場があります。のび太がほどよく脇に回っているのが良い。探検で常にしずかちゃんをエスコートするのび太に感心させられたと思ったら、逃げ出す時は一目散なところなんか、やっぱのび太だなーと思ってにやけてしまいます。 敵もガチでのび太達を殺しに来て、槍だけでなく戦車や飛行戦艦でドンパチのスペクタクルが熱すぎる。命がけの戦いで緊張感があるのに常にどこか軽くて笑えるという要素が共存しているのは奇跡的。制作者の愛を感じます。ジャイアンのテーマが流れ、鉄也の曲に切り替わり、皆が立ち上がるシーンは鳥肌立ちました。見事な脚本、演出。これぞドラえもんムービー。 [DVD(邦画)] 9点(2009-04-28 23:44:20) |
956. ドラえもん のび太の宇宙開拓史
《ネタバレ》 やっぱしギャグマンガテイストの画風と雰囲気の初期ドラえもんは楽しい。しっかりジャイアンの悪ガキで乱暴なところを描いているのがよくて、参戦までの展開が盛り上がる。シリーズを重ねていくごとに、最初っから無条件でジャイアンがイイヤツというパターンがちょっと嫌なので、この引っ張り具合が嬉しい。 宇宙生物のキャラクターの遊び心、敵のボスも大企業の影で悪いことをしている悪党という微妙なリアルさ、更に小悪党や殺し屋の妙味、のび太達に活躍させるまでの流れの無理のなさなど、アイデアが有り余っています。のび太君の二丁拳銃がイカす。 [DVD(邦画)] 8点(2009-04-28 23:40:48) |
957. ドラえもん のび太の恐竜
《ネタバレ》 この度、個人的にドラえもんブームが来てるので初期劇場版再評価させていただきます。ドラえもんは子供だけのものじゃない。 一作目ということもあってか、短編ではめったに見せないのび太の自立をみせるのが本作では重要だったからか、ジャイアン、スネオ、しずかちゃんの活躍がほとんどなく、脇役なのが残念。 前半のコメディタッチの演出は、初期ドラえもん独特なもので笑ってしまいましたが、中盤以降シリアスな展開になるとやや物足りない。敵もなんか小悪党だし。そもそも冒険の発端の無理矢理な設定と融通の利かなさが気になる。ドラえもんで細かいことは気にしたくないが、気になっちゃうということは傑作ドラとくらべると脚本がイマイチなのかな。気にならないだけの勢いがなかったというか。 しかし、この時代のドラえもんの絵のタッチや、キャラクターのノリ、音楽の使い方が大好きです。主題歌は「あったまてっかてーか♪」で、 エンディングは「ポケットの~中には~♪」なのも良いなー。 [DVD(邦画)] 6点(2009-04-28 23:36:47) |
958. 乙女の祈り
バカスプラッターから脱却し、真面目に実話の残酷な事件を映画化してみたジャクソンさん。実話を使ったことで、程よく歯止めがきいているのかマトモな映画風に仕上がってますが、監督の変態性は隋所に垣間見えるし、どこかバカっぽい世界観にらしさが見えて面白い。やっぱり血が好きなんですねこの監督。 二人の(可愛くない)少女がキャッキャしてるシーンが多いので、ちょっとだれてしまいましたが、ファンタジー描写や、風景描写は綺麗で今後の大成功の基盤ともなっている重要作なのではないかと思われます。 [DVD(字幕)] 6点(2009-04-26 22:54:27) |
959. わが谷は緑なりき
《ネタバレ》 少年の眼を通して描かれた炭鉱一家と、その谷の人々の数年での変化が自然に描かれています。悪意も善意もある町で、色んな困難にも直面しながらも、逞しく真っ直ぐと育ち、正しいことを見極められるようになったのも素晴らしい家族に囲まれていた故。次第に精悍な顔つきになっていくヒュー君がかっこいい。 宗教的な話は苦手なんですが、後半での牧師さんの演説は(逆ギレ気味だけど)本質をついていた気がします。天罰が怖いから教会に行ってるけど、慈愛のない人々を批判。本当に信じていれば宗教も正しいかもしれないが、義務的に行ってたら何にもならない。キリスト教の信者だらけのアメリカで犯罪が多いのも結局こういうことかもしれませんね。と、変に納得。ワンシーンワンシーンの印象深さや、ラストの美しさもあって、面白いとか面白くないとかを抜きにして、純粋に「良かった」と感じた僕にとって稀な作品。 [DVD(字幕)] 8点(2009-04-25 21:29:42) |
960. 吹けば飛ぶよな男だが
《ネタバレ》 無鉄砲なチンピラと家出娘にふりかかるあまりにも痛く悲惨な出来事の数々…まともな人間だったら絶望感に襲われることでしょう。しかし、寅さんと同じような服装をまとった吹けば飛ぶよな男-サブもまともじゃない。何の取り柄もなく、ヤクザ稼業で酷いことも良いことも平然とする。そしてどんな苦難があっても、なんだか悲愴感がない。ただのバカなのかもしれないこんな男が堪らなく魅力的。取り巻く人々も映画の中でホントに生きているようで、飛び交う下品な会話も軽快で気持ち良い。花子ちゃんが可哀そうすぎるけど、悲しみを引きずらないサブの能天気さと真っ直ぐさに明るい気持ちになるのでした。 [ビデオ(邦画)] 8点(2009-04-25 13:42:37) |