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イニシャルKさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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961.  侠客列伝 《ネタバレ》 
マキノ雅弘監督による高倉健主演の任侠映画。夏に何本か見た石井輝男監督の「網走番外地」シリーズと比べるとやはりマキノ監督の演出はオーソドックスで手堅く、見ていて安心感があるし、高倉健、鶴田浩二、若山富三郎、藤純子といったオールスターが出演しているのだが、それぞれの見せ場の描き方もうまい。とくにかつて恋仲であった鶴田浩二と藤純子の再会エピソードでは藤純子の鶴田浩二に対する思いがよくこちらに伝わってきて印象に残る。その鶴田浩二や、組を破門されて姿をくらましていた若山富三郎のドラマもよく出来ていて面白かった。それに藤純子に惚れている長門裕之の描き方もマキノ監督らしい。東映の任侠映画をここ数年見てきてそろそろ飽きが来たかと思ったりもするのだが、やはりクライマックスの殴り込みシーンでは盛り上がってしまうし、それがマキノ監督ならばなおさらのこと。この映画でも殴り込みのシーンは大盛り上がりで見ることができた。高倉健と鶴田浩二の共演シーンは多くはないが、この二人の斬り合うシーンもとても熱くて見ごたえがあり、同時にマキノ監督らしい義理人情を思わせる。しかし、その最中に鶴田浩二が発砲されて死ぬのはちょっとと思う。ほかにも少し不満はあるし、シリーズものでないにも関わらずややマンネリ感もあるが、それでも全体としてはいかにもマキノ監督らしい作風の映画で、最後まで楽しめる映画だった。
[DVD(邦画)] 7点(2013-10-30 17:33:51)
962.  犬と私の10の約束 《ネタバレ》 
「犬の十戎」をモチーフとした本木克英監督による映画。ありがちなファミリー映画で毒気がなく安心して見ていられる反面、やはりあっさりしすぎていて物足りなさもある。「犬の十戎」そのものは泣けるのだが、子供が見る事を意識しているのか、福田麻由子に「犬の十戎」を説明する高島礼子のセリフを吹き出しで画面に出していたり、ソックスが死ぬシーンでもそれを反復していたりして少々あざとさを感じた。でも、自分も今年10歳になる犬を飼っているのでソックスが死ぬシーンではそういったあざとさを感じながらも「うちの犬はあとどれくらい生きるのだろう」ということを考えてしまった。トヨエツにこういうお父さん役のイメージがないので、最初は少し違和感を感じたが、慣れると気にならなくなった。(最初は犬嫌いというのが犬を飼い始めた当時の自分と同じで共感できる。)福田麻由子が後半田中麗奈になるというキャスティングも自然。加瀬亮はドラマ「SPEC」の瀬文役よりもこういう役のほうがはまり役だと思う。
[DVD(邦画)] 5点(2013-10-20 22:37:44)
963.  太陽の王子 ホルスの大冒険 《ネタバレ》 
高畑勲監督のデビュー作。高畑監督といえば宮崎駿監督と違ってあまり活劇寄りの映画はやらない印象があるのだが、デビュー作となる本作は冒険アクションもので、どちらかと言えば宮崎監督の作品に近い印象で、保護者を亡くした少年が仲間を求めて旅に出る冒頭は「未来少年コナン」、登場する銀色の狼は「もののけ姫」の山犬を思わせていて、本作にアニメーターとして参加している宮崎監督に与えた影響が大きいことがうかがえる。ストーリーはやや子供向けにしては暗めで爽快感に欠け、そのくせつっこみどころも多いが、人間同士の信頼や団結といった社会的側面をこういった子供向けアニメに持ち込んでいたりするのは今ではちょっと考えられないこと。このあたりにスタッフの本気度が伝わってきて、ただの子供向けには終わらせないぞという熱意が感じられる。(このあたりも宮崎監督の作風に影響してそう。)ヒロインであるヒルダの存在感も子供向けとは思えぬもので、それが本作をより印象深いものにしている。(とはいえ、声は市原悦子で、ヒルダが喋るとつい「まんが日本昔ばなし」を思い浮かべてしまうのだが。)本作は現代のアニメを見慣れていれば、古臭く感じるかもしれないが、ストレートなメッセージ性があり、一度は見るべき映画だと思う。それにしても高畑監督は最近は「金曜ロードショー」でも監督作を放送しなくなり、新作の話も聞かず、忘れさられたような存在になってしまっているのはちょっと悲しい。
[DVD(邦画)] 7点(2013-10-17 23:30:54)(良:1票)
964.  やればやれるぜ全員集合!! 《ネタバレ》 
ドリフ映画第2作。ちょうど「8時だよ!全員集合」が放送を開始したころに作られていて、三木のり平ふんする駅長を主人公にしていた前作とはうってかわって本格的にドリフが主演をしている。冒頭で五人はそれぞれの成功を夢見てバラバラになり、前半はいかりや長介と加藤茶の絡みが中心に描かれている。このころから加藤茶はいかりや長介のいじられ役になっているのだが、このシリーズではずっとこのパターンなのだろう。ほかのメンバーは後半になってから合流するが、ドリフ全員のコントシーンは見ていて楽しい。しかしやはりテレビの彼らを知っている故か、映画だとなんかイマイチ物足りない。脚本にデビュー前の森崎東監督が参加しているが、彼らしい破壊的な笑いもなく至って平凡。ラスト近くでドリフのメンバーを逮捕する警官役が犬塚弘、安田伸、石橋エータローというナベプロの先輩グループであるクレージーキャッツのメンバーだったのが印象的。(彼らが画面に登場するとなぜかホッとする。でも、加藤茶を逮捕するのは殿山泰司だったりする。)それにワンシーン出てる田中邦衛が強烈だった。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2013-10-16 01:20:52)
965.  名探偵ホームズ1/青い紅玉の巻 《ネタバレ》 
宮崎駿監督がイタリアの製作会社と組んで手がけたテレビ用の短編なのだが、テレビ用とは思えないほどのクオリティーの高さがあり、面白い。中でも空中でのアクションの見せ方がうまいのが宮崎監督らしいところで、見事としか言いようがない。やはり宮崎監督の作品は最近のものよりこの時期のもののほうが楽しめると改めて思った。映画としてどうなのかと言われると少し微妙な気もするが、単純に楽しめる娯楽ものに徹していて、比べるのは自分でもどうかと思うが、劇場公開時に同時上映だったという「風の谷のナウシカ」よりも個人的にはこっちのほうが好みかもしれない。ゲストヒロインの声を「天空の城ラピュタ」のパズーを演じた田中真弓が担当しているが、ボーイッシュな外見ではあるが、竜之介のような男勝りのキャラクターではなく、言葉使いにちゃんと女らしさがあり、少年役のイメージが強いだけに多少違和感がなくもないが、田中真弓のこういう女らしい演技はけっこう新鮮に感じる。(とはいえ前半はミスリードを狙っている感じなのだが。)「私は女よ。」と竜之介のようなセリフを言ったシーンでは思わず笑ってしまった。
[DVD(邦画)] 8点(2013-10-14 13:02:17)
966.  アウトレイジ ビヨンド 《ネタバレ》 
自身最大のヒット作である「座頭市」でもやらなかったたけし映画初の続編だが、前作が続きがあるような終わり方に思えなかったため、ちょっと無理やり感のある映画なのかと見る前は思ったが、そこまで無理やり話を続けているという印象はなく、むしろ続編としてはよく出来ていて面白かったと思う。しかし、登場人物が殺されまくる映画をというところから企画が始まったという前作に対して、今回はストーリー重視の作りになっているせいか前作のような勢いはなく、これでもかと言わんばかりのバイオレンスが全開だった前作に比べ暴力描写もかなり控えめになっていてインパクトには欠け、何やら普通に東映の任侠映画でも見ている感覚で、その分物足りないと感じるのも事実。(前作では印象に残る殺しのシーンが多くそれを楽しんで見ていたところがあり、それが面白さにつながった部分が大きかったのだが今回は普通に射殺が多い。)前作で新鮮な印象を残した三浦友和や加瀬亮のヤクザも2作目となるとやはり慣れて鮮度が落ちてしまっている。それでも三浦友和は好演しているが、加瀬亮はちょっと切れすぎで、前作ではもっと落ち着いたクールなキャラという印象があっただけにこれは残念。(見ていて「spec」じゃないんだからと思ってしまう。)今回は関西のヤクザが新たに登場し、その幹部のひとりを西田敏行が演じているが、普段温厚なイメージがあり、ヤクザ役を見るのは初めてにもかかわらずほとんど違和感を感じさせていないのは良かったか。「極道の妻たち」シリーズにおいて最後に岩下志麻に仕留められる役回りの多い中尾彬が序盤であっさりと殺されるのが妙に印象に残る。キャッチコピーでは完結と謳いながらラストは3作目がありそうな雰囲気だったがどうなのだろうか。この映画でたけしらしさがいちばん出ているのはラスト近くのパチンコ屋で三浦友和が殺されるシーンの無音の演出。たけしはこのシリーズや「座頭市」で大衆的な娯楽映画もできることを証明していて、こういうたけし映画も嫌いではないのだが、個人的にはまた初期の作品のような静かな雰囲気の映画を作ってほしいと思う。
[DVD(邦画)] 6点(2013-10-03 18:41:40)(良:1票)
967.  ジャンケン娘
美空ひばり、江利チエミ、雪村いづみの三人娘シリーズ第1作。高校生役のひばりとチエミが修学旅行先の京都でいづみ演じる舞妓と出会い、そこから話が展開していく。今見れば確かに他愛ないストーリーではあるのだが、主演の三人がそれぞれ魅力的に描かれていて、それを見ているだけで楽しい。ラストのジェットコースターに乗って三人が歌うシーンが有名な映画だが、それよりも中盤あたりで日劇のショーを見に行った三人が自分たちが舞台に立って歌っている姿を想像するシーン(以前見たこのシリーズ別の作品では三人が見ているレビューショーの出演者を三人が二役で演じていたが、このシリーズではこういう演出が恒例なのだろうか。)のほうが印象に残り、今見るとむしろジェットコースターのシーンよりこのショーのシーンのほうが本作いちばんの見せ場のように感じる。主演の三人はまだこの時10代後半でかわいらしく、とくに雪村いづみは前にシリーズの別作品を見た時も思ったが、現代でも通用するようなスタイルの良さだ。(でも、個人的には江利チエミのほうが好み。)美空ひばりは三人の中ではやはり貫ろくがあり、とても10代とは思えないようなオーラを放っているが、それでもこの映画ではかわいいと思えるから不思議だ。「大当り三色娘」を見た時は三人で歌うシーンで彼女のパートだけこぶしが利いていて違和感を感じたのだが、この映画ではそれもあまり感じなかった。このシリーズで見ていないのはあと1本、「ロマンス娘」も近いうちに見てみよう。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2013-09-12 17:12:08)
968.  僕達急行 A列車で行こう
自らも鉄道マニアであるという森田芳光監督が手がけた鉄道をテーマにした映画で、森田監督の遺作でもある作品。出来不出来が極端に激しい監督だけに遺作でちょっと見る前は不安が大きかったが、最初から最後まで安心して見ていられる映画で、なかなか面白かった。同じ趣味を持つ二人の男(松山ケンイチ、瑛太)が出会い、お互い友人となるという言ってしまえばありがちな展開かもしれないが、この二人を通して趣味を持つことの素晴らしさ、その趣味を共有できる友人の存在の素晴らしさをあらためて感じるし、なによりもその趣味を糧にして日々を生きている二人には勇気づけられるものがあり、それだけでもこの映画を見てよかったと思えるし、人間なにか一つでも打ち込める好きな趣味を持っていればどんなことがあっても頑張って生きていけるという森田監督のエールのようなものも感じられた。登場人物すべて鉄道に関する名前がつけられているあたりに森田監督のこだわりが見え、本当にそうとうに鉄道が好きなんだなというのもよく分かる。それだけに自分の趣味をテーマに映画を撮ったという森田監督の喜びがこちらにも伝わってきて、才気は感じないものの、きっと森田監督は楽しみながら撮影していたのだろう。それだけにこれが遺作というのはやっぱり惜しく、ましてや本作の公開を待たずして亡くなってしまったことは監督本人がいちばん悔しかっただろうし、まだまだ作りたい映画があっただろうにと思うと非常に残念に思う。あまり本数は見ていないし、今まで見た10本ほどの映画も出来不出来がかなり激しいのだが、それでも独特の個性があり嫌いにはなれない監督で、61歳という若さでの死が本当に惜しい。もっと長生きしてたくさん映画を作り続けてほしかった。
[DVD(邦画)] 7点(2013-09-10 16:03:56)(良:1票)
969.  終の信託 《ネタバレ》 
周防正行監督が「それでもボクはやってない」に続いて手がけた社会派作品。「それでもボクはやってない」と同様にメッセージ性の強い作品で、周防監督がこの映画を通して言いたいことはよく分かる。しかし、出来としてはかなり微妙で、まず、主人公の女医(草刈民代)にほとんど感情移入ができないのが残念。(「それでもボクはやってない」のように題材が身近でないということもあるかもしれないが、それだけではない気がする。)また、この女医と担当患者(役所広司)との関係が医者と患者の信頼関係以上のものが描かれておらず、患者が死んだあとの女医の対応にも違和感を感じる。このシーンは本来笑ってはいけないシーンなのに思わず笑ってしまった。ここまでははっきり言ってダラダラしている部分も多く、退屈に感じていたが、クライマックスの女医を検事(大沢たかお)が追及するシーンは、大沢たかおの迫真の演技のおかげで非常に見ごたえがあり、ここから急に面白くなった。でも、この検事は悪役として描かれているが、主人公がどう言い逃れをするかよりも、検事がどのように主人公を追い込むかに興味がいってしまうというのは映画としては少々まずく、やっぱり主演の草刈民代の演技力不足を感じてしまった。全体的な構成もバランスが悪く、ラストあれで終わりではなく、裁判まできっちりと(字幕で説明するのではなく)描いてほしかったし、現在進行のシーンを検事局ではなく、裁判中の法廷にすれば可能だったはず。周防監督の作品は今まできっちりと作り込まれたものが多かっただけにこの映画は凡作という印象が拭えないし、奥さんである草刈民代を主演に起用しているからか、周防監督が気を抜いてしまったように感じる部分もある。(さっき書いた死んだ患者を前に主人公が号泣するシーンは役所広司を周防監督に置き換えて考えたほうが自然かもしれないが、劇中の設定は夫婦ではなくあくまで医者と患者なのでそれでもリアリティーはまったく感じられない。)しかし、検事の追及はきちんと周防監督らしいリアリティーを感じるし、テーマや題材は悪くない。でもこの映画は主役に草刈民代を起用したことが、周防監督にとっても映画自体にとってもよくなかったのではないかと思えてしまう。とにかくこの映画の主役に草刈民代というのはミスキャストで、もし、周防監督が伊丹十三監督のように奥さんを女優として売り出したいと考えて起用したならこういう重い映画ではなく、もっと娯楽要素の強い映画で起用したほうがまだ良かったかもしれない。
[DVD(邦画)] 5点(2013-08-12 16:33:25)
970.  俺の空だぜ!若大将 《ネタバレ》 
今回は若大将の上司が青大将という設定が面白いのだが、脚本自体はかなり適当に作られている印象であまり面白くない。銭湯の立ち退き交渉を描いた前半は若大将が青大将と衝突し会社を辞職したことで有耶無耶なまま終わってしまったような印象だし、そうするなら今回の節子は銭湯の店員という設定でないほうがいいだろう。そんな前半は若大将と伴淳演じる銭湯のおやじとのやりとりが面白く、伴淳の喜劇俳優としてのうまさも出ているが、この前半だけで退場してしまったのは惜しい。シリーズも既に末期となり、次回が一応シリーズとしての最終回ということだが、加山雄三がシリーズを降りた後も主人公を変えてシリーズを続けようとしたのか大矢茂演じる太田茂夫が登場するが、なんだか地味な感じがする。レギュラーである祖母役の飯田蝶子は映画ではこれが遺作みたいだけどまだ元気そうだ。
[DVD(邦画)] 5点(2013-08-11 23:00:54)
971.  息子(1991) 《ネタバレ》 
まだ「男はつらいよ」シリーズをやっていた頃の山田洋次監督の映画には珍しく、山田作品の顔である渥美清や倍賞千恵子が出ておらず、そこに山田監督のいつもと違う雰囲気の映画にしようという意気込みのようなものが感じられ、地方に住む父親と、東京に住む息子たちの関係を描いていて、ストーリー的には小津安二郎監督の「東京物語」や「一人息子」を思わせており、実際に小津監督の作品のような雰囲気がある味わい深いものになっている。映画はこの父親と、東京でフリーター生活をする次男を軸に三部構成で展開していくのだが、この親子を演じる三國連太郎と永瀬正敏の演技が素晴らしく、二人の方言でのやりとりがリアルでまるで本当の親子のよう。また、次男の東京での暮らしぶりを軽いタッチで描く一方、父親の次男以外の子供たちとのシーンでは「東京物語」でも描かれた親子のすれ違いが描かれており、その対比のバランスもいい。(父親と次男以外の親子のすれ違いは「東京物語」よりもシビアに描かれているような気がする。)次男と和久井映見扮する聾唖の女性(初々しく好演。)との恋をもう少し膨らましてもよかったような気がしないでもないが、そうすると焦点がぼやける可能性があるのであくまでもサブ的なエピソードにしたのは正解だったかもしれない。彼女が聾唖であることを揶揄する田中邦衛や中村メイコに「いいではないか!」と叫ぶ次男には思わず感情移入できたし、次男が結婚相手としてその女性を父親に紹介するシーンはとても良かった。そして、岩手の家に帰ってきた父親が過去の幻影を見るラストシーンは一人残され、老いていくしかない老人の孤独が痛いほど伝わって来て切ないと同時に山田監督の優しさというものも感じられて印象に残るし、あまりあざとさを感じさせることなく素直に感動できる。この映画は山田監督、そして主演の三國連太郎、もちろん永瀬正敏や和久井映見にとっても代表作と言っていい名作だと思うし、「釣りバカ日誌」シリーズで脚本家と俳優という関係で長年組んでいた山田監督と三國連太郎の監督と俳優でのコンビ作がこれ一本きりなのはちょっと惜しい気がする。そうそう、本作には最初に書いたように「男はつらいよ」シリーズのメンバーはほとんど出演していないが、今になってよく見ると三國連太郎のほかにも「釣りバカ日誌」シリーズのメンバーである浅田美代子や奈良岡朋子、中本賢がそろって山田作品に出演しているのは面白い。(浅田美代子と奈良岡朋子はこの当時はまだシリーズには未登場だったけど。)
[DVD(邦画)] 8点(2013-08-09 19:47:20)
972.  ステキな金縛り ONCE IN A BLUE MOON 《ネタバレ》 
自ら演出の舞台や、脚本を担当している「古畑任三郎」でも法廷劇を扱ったことのある三谷幸喜監督が手がけた法廷映画であるが、ただの法廷劇ではなく、証人が戦国時代の落武者の幽霊であるというのはいかにも歴史マニアの三谷監督らしいところで、この設定だけで面白いし、よくこの奇想天外な設定を生かしきっていると思う。主演の深津絵里と西田敏行のやりとりなど三谷監督らしい笑いも多く安心して見ていられた。前作「ザ・マジックアワー」でもそうだったのだが、本作も犯行のあった時間に被告が泊まっていたホテルが「犬神家の一族」の那須ホテルを彷彿とさせていたり、フランク・キャプラ監督の映画に言及するシーンがあったりと三谷監督の映画好きぶりが垣間見えるのが楽しい。(幽霊である小日向文世が「スミス都へ行く」や「素晴らしき哉、人生」の上映時間を細かく記憶しているのには笑った。)ストーリーも思っていたより面白く、長いわりには退屈しなかったのだが、ただ、裁判のシーン以外のところで詰め込みすぎた感があり、少し不満も残る。その中でもやはりいちばん気になるのはラストで、エミ(深津絵里)に六兵衛(西田敏行)の姿が見えなくなるというだけで良かったのに、そこからさらに死んでいるエミの父(草彅剛)の幽霊を登場させたのは「感動させてやろう」という魂胆が見え見えでやり過ぎ感があり残念で、この父親との再会シーンを削ってしまったほうがもっとキレイに終われただろうと思うと惜しい。それでも主役ふたりが歌う主題歌はけっこう良かったし、本作は三谷監督の映画では「THE 有頂天ホテル」よりは好きなので少し甘めかもしれないが7点。でも、同じく7点をつけている「ザ・マジックアワー」のほうが本作よりも好きだな。最後にもう一言、「ザ・マジックアワー」の主人公である村田大樹(佐藤浩市)が登場してエミに自己紹介するシーンではつい「ザ・マジックアワー」での村田に高千穂マリ(深津絵里)が自己紹介するシーンを思い出してしまったことも書き加えておこう。
[DVD(邦画)] 7点(2013-08-06 23:34:08)(良:1票)
973.  上意討ち 拝領妻始末 《ネタバレ》 
小林正樹監督が「切腹」に続いて橋本忍とコンビを組み、滝口康彦の原作を映画化した時代劇。見る前はスタープロである三船プロの製作のため、あまり小林監督らしさは出ていないのではとも思ったが、見てみるとまったくそんなことはなく、「人間の条件」にも通ずるようなテーマが実に小林監督らしいとても重厚な見ごたえのある映画だった。藩が笹原家に出した要求はあまりにも身勝手で、藩の圧力にひたすら耐える伊三郎(三船敏郎)、与五郎(加藤剛)、いち(司葉子)にとても感情移入ができるし、主演の三船がなかなか刀を抜かずに静の演技が多いところにも、俳優の魅力よりも映画自体のストーリー性で魅せようという小林監督の意図が感じられる。黒澤明監督の「用心棒」や「椿三十郎」で三船と敵対する役を演じていた仲代達矢が今回は伊三郎の友人役で出演しており、本作でもクライマックスで決闘をすることになるのだが、敵対することになっても今回は友人同士という設定のためか、重苦しさがあり、派手さもなく、爽快感もないというのがやっぱり先の2本とは違うところで、本作は単純な娯楽時代劇というわけではないということもあるかもしれないが、このあたりに同じ二人の決闘でも印象の違いを見ることができる。(仲代が本作でも負けてしまうのはやっぱりお約束だろうか。)しかし、終盤30分はそれ以外でも三船の殺陣の見せ場が多く、それまでのドラマで魅せる展開を考えたら少しそこだけ浮いてしまった感もなくはない。殺陣による見せ場を三船と仲代の決闘だけに絞っても良かったのではと思う。そこだけがちょっと残念。でも、内容的に見るべきもののある映画で、「切腹」には及ばないものの、この映画もまた小林監督の時代劇での代表作と言っていい名作だと思う。
[DVD(邦画)] 8点(2013-08-05 23:18:33)
974.  大鹿村騒動記
原田芳雄があたためていた企画を阪本順治監督に持ち込み、映画化を実現した作品。友人の妻と駆け落ちした男が記憶障害になった妻を友人のもとに返しにくるという話はよく考えたらドロドロしているが、そういうふうには描いておらず、登場人物もすべて善人なので物足りない人には物足りないかもしれないが、ほのぼのとした人情劇で、傑作とまではいかないものの面白く見れたし、舞台となる信州の風景が美しく、この大自然いっぱいの中で繰り広げられる物語にいつの間にか惹きこまれている自分がいた。これが遺作となった原田芳雄はこの数年前から闘病生活を続けていたみたいだが、劇中ではそんなことをまったく感じさせずに演技をしていて、この映画の試写会の舞台挨拶でのやせ細った姿がウソのようで、本作だけを見ていると公開直後に亡くなってしまったことが信じられない。いや、ひょっとしたらこの時既に自分の死期を悟っていて、この映画だけはなんとしても自分で実現させたかったのかもしれないと思うとこの「大鹿村騒動記」という映画にかける原田芳雄の思いというものがひしひしと伝わってくるのだ。もうこれだけでこの映画は原田芳雄という俳優の代表作の1本になっていると思うし、先週見たデビュー作である「復讐の歌が聞える」から既にハードボイルドなイメージが強かった原田芳雄の遺作がこのような優しい映画であることは少し意外かもしれないが、自分の思いを最後の最後に実現させて安心して旅立って行ったのだろう。映画はそんな原田芳雄扮する善、大楠道代扮する貴子、岸部一徳扮する収の三人を中心に展開していくが、ほかの出演者で印象に残るのはやっぱり三國連太郎。出番は多くないのだが、悪役や癖の強い役柄が多かった若い頃とは違い、仏様のような穏やかで優しい顔立ちになっているのが印象的で、それでいて登場すると画面がビシッと引き締まる。彼が戦時中のシベリア抑留の話をするシーンは戦争経験者だからこその説得力と重みがあるシーンだと思う。そんな三國連太郎もこの四月に亡くなってしまい本当に惜しい。あらためてこの映画に出演している二人の名優、原田芳雄と三國連太郎のご冥福を心よりお祈りするとともに素晴らしい出演作の数々を残してくれたことに感謝を申し上げたい気持ちでいっぱい。本当にお疲れ様でした。
[DVD(邦画)] 7点(2013-07-31 00:56:17)(良:3票)
975.  復讐の歌が聞える 《ネタバレ》 
7年ぶりに出所した男(原田芳雄)が、父が社長を務める会社を乗っ取り、家族を自殺に追い込んだ城戸(内田良平)一味を次々と殺していく姿を描いた復讐劇で、話の筋としては同年に加藤泰監督が同じ松竹で手がけた「みな殺しの霊歌」と似ているところがある。ただしこちらは背景のドラマを丹念に描くというよりは、主人公がどんな方法で一味を殺していくかという見せ場に重点が置かれた作品で、「みな殺しの霊歌」よりも娯楽性が強い。殺しのシーンがバラエティに富んでおり、自殺の替え玉や、標的三人が乗っているセスナを故意に墜落させるのはまあ普通なのだが、ラーメンを食べている標的にコショウといって毒を渡したり、入浴しようとした女性の標的を煮えたぎる浴室に閉じ込めて殺すシーンはつい笑ってしまうし、ゴルフクラブの暴発で殺すシーンもあり、とにかく見た目のインパクトを狙った殺しのシーンが多いのが印象的で、二人いる監督のうちのひとりがのちに「必殺」シリーズを手がけることになる貞永方久監督なのだが、ちょっとなるほどと思える部分もある。(永田靖がレントゲン中に刺殺されるシーンで、刃物がレントゲンに映りこんでいるのはとくに「必殺」っぽい。)最後の標的である城戸は激しい殴り合いの末に殺されるのだが、そのシーンを演じる原田芳雄と内田良平の迫真の演技が見ごたえじゅうぶん。ところで、主演の原田芳雄はこれが映画デビュー作とのことだが、既にギラギラした存在感を放っていて、デビュー作らしい初々しさがなく、元々むさ苦しいアウトロー的なイメージのある俳優だが、それがデビュー作から確立してしまっているのがすごい。(当時27歳だったらしいが、これがデビュー作だとは言われないとわからないかも。)一方の内田良平も悪役を好演しているが、この人はやっぱり「十三人の刺客」の鬼頭半兵衛のほうが悪役としては印象深い。「十三人の刺客」といえば菅貫太郎も本作に内田良平の元部下のトランプ占い師役として出演しており、一緒に画面に登場することはないが、時代劇である「十三人の刺客」とは立場を逆転させて現代劇である本作に二人そろって出ているのが面白い。でも、もう一度言うが、やはり本作はデビュー作にしてそのキャラを確立させてしまっている原田芳雄につきる映画だと思う。
[DVD(邦画)] 7点(2013-07-25 19:04:06)
976.  新・刑事コロンボ/死者のギャンブル<TVM> 《ネタバレ》 
いつもどおりに殺人の準備をする犯人の様子を描いた後に事件が起こり、コロンボがすぐに犯人に目星をつけてつきまとう、ここまではいつものパターンだが、今回は途中でその犯人が殺されてしまうという捻った展開。でも同じ脚本家の作品でこれも捻った展開だった「マリブビーチ殺人事件」ほどの面白さはなく、終わってみれば印象としては普通の平均的なエピソードといったところで、感想としては可もなく不可もなくと言ったところなのだが、倒叙もので犯人が途中で入れ替わる展開は「古畑任三郎」の「今、蘇る死」に影響を与えていそう。したたかな悪女ドロレスを演じているタイン・デイリ―は「ダーティハリー3」のハリー・キャラハンの相棒である女刑事役が印象に残っている女優(戸田恵子の吹き替えも印象に残っている。)だが、この作品ではラストに刑事であるコロンボに逮捕される犯人役というのがなんとも言えない。また、中年太りが激しく、「ダーティハリー3」の頃の面影があまりない(吹き替えも戸田恵子ではなく、弥永和子だし。)ところになんか時代の流れの恐ろしさを感じてしまった。
[CS・衛星(吹替)] 5点(2013-07-25 15:41:48)
977.  新・刑事コロンボ/奪われた旋律<TVM> 《ネタバレ》 
弟子をゴーストライターに仕立て、映画音楽の巨匠として名声を得た作曲家が自分より才能のあるその弟子を殺してしまう展開は設定が少し違うものの「構想の死角」と似たところがあり、シリーズも(新旧合わせて)最末期の68話ということで、もう脚本のネタは出尽くしていたのだろうなあと思わせる作品になってしまっているし、シリーズに関わりの深いパトリック・マクグーハンが監督のほか、脚本も書いているが、マクグーハンが関わるこのシリーズの作品の中では正直言って雑なつくりでイマイチだった。(今まで見た「祝砲の挽歌」と「完全犯罪の誤算」は面白かったのに。)また、新シリーズはコロンボは初老の刑事ということだったが、この作品は2000年の製作ということもあってか、コロンボを演じるピーター・フォークがかなり老けていて、コロンボが立派な老人になってしまっており、(吹き替えの石田太郎の声もどことなく元気がないように感じる。)ちょっと無理をして演じているように見えるし、犯人との対決もあまりキレを感じられないのが残念。この次に作られた作品が新シリーズ最終回らしいが、この老いたコロンボ(=ピーター・フォーク)を見ると、それも仕方がないのかなと思えてしまうのが少し悲しいところではある。
[CS・衛星(吹替)] 4点(2013-07-25 10:49:58)
978.  真夜中まで(1999)
真田広之扮するジャズ・トランぺッターがライブの休憩時間中に殺人事件を目撃した女性を助けたことから事件に巻き込まれていくサスペンス。全篇夜の街が舞台で、ジャズで統一された音楽も相まって雰囲気はかなりいい。しかし、主人公が次のステージまでにクラブに戻らないといけないと設定してるにもかかわらず、そのタイムリミットをうまく話の中に盛り込めていなかったりしてちょっと雑な印象で、サスペンスとしての盛り上げ方も微妙で、逃走劇なのだからもっと緊迫感を出したほうがよかったのではないかと思う。「真昼の決闘」のように実時間と劇中の時間を合わせたかったみたいだが、これも見事に失敗してる。(そうすると休憩時間が一時間以上になることになる。)それに主人公のトランペットの吹き方になんか違和感を感じる。和田誠監督がジャズが好きなことはなんとなく伝わってくるが、そうであれば演奏シーンにももっと説得力を持たせるべきだった。それでもそこまで思ったほどつまらなくはなかったのだが、今まで見た和田監督のほかの作品、「麻雀放浪記」も「快盗ルビイ」もすごく面白かっただけに本作はそれらと比べると数段落ちる出来になってしまっているのは残念で、また本作以降、和田監督が映画監督としての新作を出していないっぽいのもちょっとさびしい。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2013-07-21 22:07:53)
979.  日本侠客伝 浪花篇 《ネタバレ》 
「日本侠客伝」シリーズ第2作。今回は弟の遺骨を引き取るために横浜から大阪へとやってきた健さん扮する堅気の主人公がそこでヤクザどうしの争いに巻き込まれるというストーリー。1作目とはまた違う雰囲気だが、個人的には1作目よりもこの2作目の方が面白かった。マキノ雅弘監督らしい盛り上がりのある演出がこの映画でも効いていて、とくにクライマックスの鶴田浩二の殴り込みに健さんが助太刀に入る展開は心地よく、そこからラストの二人が雪の中をあるいて行くシーンまでだれることがない。脇役陣もいい味を出していて、前作にも出演していて今回もメインキャストの一人を演じる長門裕之や、健さんが身を寄せる組の親分を演じる村田英雄(主題歌も担当。)、エピローグでちらっと出てくる屋台のうどん屋を演じる藤山寛美に至るまで抜かりなく魅力的に描かれていてあらためてマキノ監督の役者への演出のうまさも感じられた。中でも東映時代劇ではヒーロー役を演じていることが多い大友柳太朗が悪役を演じているのが印象的で、ヤクザ映画では初めて見たが、抜群の存在感を放っているのは新鮮に感じた。前作では長門裕之の恋人が南田洋子というのがややマキノ監督のお遊び的なキャスティングで面白かったが、今回の長門裕之の恋人役は八千草薫、それでいて南田洋子も出ているというひねりが面白い。鶴田浩二は前回の錦之助のような役回りではなく、さっき書いたように健さんと一緒にクライマックスで一緒に殴り込みをする役柄で、健さんを食い気味ではあるが、やはり健さんともどもカッコイイ。でも、冒頭の出演者クレジットで主演の健さんではなく、鶴田浩二がトップなのは無理があるし、一応、シリーズものなので少々違和感を感じる。
[DVD(邦画)] 7点(2013-07-21 18:35:00)
980.  喜劇 一発勝負 《ネタバレ》 
親と大喧嘩をして家を飛び出した男が久しぶりに帰ってきて騒動を巻き起こすというストーリーは「男はつらいよ」の一作目を彷彿としていて、主人公の妹を演じているのが倍賞千恵子であるという共通点もあり、「男はつらいよ」の原型のようなものが感じられる。しかし、演じるハナ肇と渥美清のキャラクターの違いか、そう思って見ているとなんか違うと感じてしまうし、主人公の下の妹が実は主人公の娘であるという設定も少し重く感じる。出来もこれまで見た山田洋次監督とハナ肇のコンビ作の中ではやや落ちる方だと思うものの、それでも、主人公が自分の葬儀の最中に棺から出てくるギャグ(本当にどうなってるんだろう。)や、毒のあるラストなどはやはり後年の山田監督の映画では考えられないものであるが、こういう初期の頃の作風もけっこう好き。いちばん最後の主人公の父親(加東大介)の不気味な笑い(それこそ後年の山田監督の映画では絶対見られない。)がものすごく印象的だ。本当は6点というところの映画なのだが、このシーンに一点プラス。もうひとつ、この時期の山田監督の映画では登場人物の誰かがナレーションをしているパターンが多い(「たそがれ清兵衛」や「母べえ」など最近の作品でもそう。)のだが、今回は珍しく一切画面に登場しない専属のナレーターを三島雅夫が担当していて、映画を見ている者に話しかけるようなその柔らかな口調が印象に残る。 ただ、やはりこの映画の主人公はあまり好きにはなれず、同じようなストーリーなら寅さんのほうが魅力を感じられる。
[DVD(邦画)] 7点(2013-07-11 17:19:03)
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