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鉄腕麗人さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2593
性別 男性
ホームページ https://tkl21.com
年齢 43歳
メールアドレス tkl1121@gj8.so-net.ne.jp
自己紹介 「自分が好きな映画が、良い映画」だと思います。
映画の評価はあくまで主観的なもので、それ以上でもそれ以下でもないと思います。

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81.  東京タワー オカンとボクと、時々、オトン(2007)
暗がりの中に照る“光”を前に、腰掛けていた体がどんどん沈んでいく。なぜか?泣きじゃくってしまって仕方がなかったからだ。 泣けて泣けて仕方がない映画はいくつかあるが、エンディングロールが流れても、映画館から出ても、油断すると涙が込み上げるどころかむせびそうになってしまう経験は初めてだと思う。 「泣ける」という触れ込みに、まんまと乗っかってしまっては世話ないが、何と言われようが泣けるものは仕方がないし、良いモノは良い。  冒頭のモノローグにもあるが、何か特別な物語というわけではない。節々で印象強いエピソードは盛り込まれるが、その大筋は、この国のどこにでもある普通の母子の小さな物語である。 九州の田舎町で母一人子一人で健気に暮らし、やがて息子は上京し、成功し、母親を郷里から呼び寄せる。悲哀に溢れているわけでも、特別な幸福感に溢れているわけでもない。同じような母子は、日本中にいるだろう。 あまりにストレートでオーソドックスな母子像。この物語が、日本中の涙をとどめる事を許さない要因は、まさにその“普遍さ”だろう。 母を持ち、子を持つ誰しもが、持つ感情と経験。そのまっすぐな姿を丁寧に丁寧に描き出す。どこまでも広がる“何気なさ”の中に溢れる情感がスバラシイ。  リリー・フランキーの自伝的小説から始まり、SPドラマ、連続ドラマ、舞台と社会現象と言えるほどにそのすそのを広げてきた「東京タワー」。今回の映画化作品以外はひとつも見ていないが、あえてこの映画「東京タワー」こそ最高の到達点だと断言したい。それくらいそのすべてが素晴らしかった。 もう言葉など必要ない。持参したポケットティッシュだけでは、とめどない涙にはとても足りなかったことが、すべてだ。
[映画館(邦画)] 10点(2007-04-15 16:58:22)
82.  ゆれる
実のところ、こういうじっとりとした暗さを終始携えた映画は得意ではない。が、この作品に対しては「なんて面白い映画だろう」と思った。 “ゆれる”吊橋から端を発した二人の兄弟の心の“ゆれ”を、これ以上ない繊細で緻密な人間の心理描写で描き出している。西川美和、この女流監督は只者ではない。  弟の兄に対する思い、兄の弟に対する思い、ずっと秘めていたそれぞれがぶつかり、混ざり合い、壊れ……その先に見えたものは何なのか?その深層(真相)を深く深くえぐり出す。 二転三転する「事実」に対する「証言」が、まさに人間の心理がゆれ動く様をまざまざと表していて、映画のテンション自体はあくまで淡々と展開していくにも関わらず、ぐいぐいと観ている者を引き込んで離さなかった。  兎にも角にも、表情の捉え方、巧みな脚本による会話のリズムとタイミング、的確なカット割とすべてが巧い。ストーリーとしての曖昧さや、時に見せる荒々しさまで、すべてが計算されつくされ、完成している。 核となる兄弟を演じたオダギリジョー、香川照之の演技がそれぞれ素晴らしく、特に香川照之の“危うさ”を踏まえた表現力は最後まで「圧巻」の一言であった。  吊橋は無情なほどに激しく揺れ動いた。だが、まだ崩れ落ちてはいない。この兄弟が、再び手を取り合って、あの吊橋を渡る日がくることを望みたくなる。
[DVD(邦画)] 10点(2007-04-07 12:40:59)
83.  さくらん
軽く酒に酔った雛祭りの深夜、ふらりと立ち寄った映画館で、“色”と“艶”に包まれる。 圧倒的な“感覚”に元々の“酔い”は益々広がり、吸い込まれていった。  遊郭の女たちのパワーとモロさ、そしてどうしようもない切なさが、極彩色の映像美の中でめくるめく。 もちろんそこは、華やかさの反面くるおしいほどに「不条理」だが、何かそれ以上に本質的な“美しさ”を感じた。 どうやったって“生き抜く”ということの美しさ、想いを通すことの美しさ、女の根本にある絶対的な美しさ、そういうあらゆる「美」がビジュアルのそれ以上に伝わってきた。  映画初監督となった写真家・蜷川実花の“創造性”は「本物」だ。すでに「完成」されている安野モヨコの原作を、映像作品としてさらに「完成」させてみせたチカラに文句のつけようはない。 さらにそこに、音楽の椎名林檎、主演の土屋アンナが加わり、交わり、今や“ジャパニーズ・ガールパワー”の先頭をぐいぐいと走る才能による物凄い映画が誕生したのだと思う。  雛祭り。まさに“女の祭り”、その夜にこれほどふさわしい映画はなかっただろう。
[映画館(邦画)] 10点(2007-03-04 11:30:18)(良:1票)
84.  江分利満氏の優雅な生活
普通の人生をできるだけ普通に送ろうとする普通な男の、笑いと悲哀。 誰にでも起こり得る、というか誰にでも実際に起こっている人生における事象を、独特の映画のリズムに乗せ“映画感情”たっぷりに描き出す。  オープニングをはじめとする映画のテンポ感は、まるでディズニー映画のミュージカルシーンのようだが、延々と描かれるのは、しがないサラリーマンの酒に酔ったひとりごとである。ただそれが、少しも飽きずクドくもない。むしろどんどんと引き込まれていく。何気ない台詞回しや、それを発する抑揚が絶妙で巧いのだ。  ひたすらに人間の滑稽さを描き連ねたかと思えば、次の瞬間には同じシーンであるのに、じわりと込み上げてくるものが生まれる。 人間とは、滑稽さと悲哀が表裏一体で構築されているものなのだなあと、改めて思う。  主人公・江分利満を演じた小林桂樹の演者としての深みを感じると共に、今更ながら娯楽映画界の大巨匠・岡本喜八の“巨大さ”を感じずにはいられない。
[DVD(邦画)] 10点(2006-12-30 08:05:42)(良:2票)
85.  フラガール 《ネタバレ》 
本当に良い映画というものは、そのファーストシーンから観客を包み込む。 最初のシーン、福島の“なまり”で語り合う少女たちが映し出された瞬間、「ああ、これは良い映画だ」と思った。  毎度のことであるが、映画が“良い映画”であるほどに、こうやって感想を紡ぐことは困難で、むしろナンセンスだとさえ思う。 節々で溢れ出る涙と反比例するように、映画を語るにたる「言葉」は出てこない。  それは、この映画が、その中で描かれる人生が、決して「理屈」ではないということを物語っている。  この映画は、昨今流行りのストレートな“スポコン”では留まらない。 廃れゆく炭鉱のまちで、自分が生きるため、家族を生かすため、まちを守るため、彼女たちは未知なる舞台へと上がる。 まったくの素人集団が、荒涼とする寒空の中ひたすらにレッスンに励み、困難と別れそして数々の笑顔を経て、紛れもないフラダンサーへと成長していく。ただその姿を見るだけで、感情は激しく揺さぶられる。  東京から流れてきた女流ダンサー(松雪泰子)、廃れゆく炭鉱の中で新しい時代に踏み出そうとする少女(蒼井優)、かつての隆盛の時代から炭鉱に生き続けてきた母親(富司純子)、という三様の女性の視点からこの映画の物語は紡ぎだされる。 その他の女性たちも含めて、それぞれの感情がぶつかり合い、混ざり合うことによって、物語は濃厚な広がりを見せる。 変化する時代と環境に対し、しっかりと向き合おうとするそれぞれの“女性の強さ”こそ、この映画がもっとも雄弁に語るものだと思う。  厳しく悲しい実情を抱え、それでも尚、自分たちが立つべき舞台に凛と立ち、ひたすらに踊り、絶えずスマイルを放ち続ける“フラガール”たちの姿そのものに、涙が止まらなかった。スバラシイ。 
[映画館(字幕)] 10点(2006-10-01 18:19:36)(良:1票)
86.  花よりもなほ
「時代劇」は数多く観てきたが、これほどに“おもしろい”時代劇はなかなか無いと思う。貧乏長屋を舞台にした人情劇。そこに住む人々の、何気なくもあらゆる意味で“雑多”な生き様が、笑えて、泣ける。 「仇討ち」が賞賛された時代、しかしそれは同時に、「武士」という生き方自体に“疑問”が生まれ始め、見直され始めた時代だったのだと思う。そんな中において、「仇討ち」という行為の是非をある面では滑稽に、そしてある面では真摯に描き上げたユーモラスかつドラマ性に溢れた“新しい時代劇”の姿がここにあると思う。 武士道の美談として語られる「赤穂浪士」にしたって、実情がどうだったかなんて本当は誰も分かるハズはない。もしかしたらこの映画は、「武士」という時代そのものの人間性をリアルに切り取ったドキュメンタリーなのかもしれない。そう考えると、是枝監督初のストーリー映画である今作も、実に彼らしい映画だと思えてくる。
[映画館(字幕)] 10点(2006-06-07 17:33:53)
87.  バタフライ・エフェクト/劇場公開版
サスペンス映画で、これほど切なく、涙がじわりと溢れたことは初めてだと思う。 ストーリーの完成度が物凄く高い。主人公の能力についてのアイデア自体も斬新だが、それもよりも、物語としての整合性と全編通してのバランスが素晴らしい。「何が起きているか分からない」緊迫的な“恐怖感”溢れる導入部から紡ぎ出し、テンポのよい“緊張感”と“謎”を展開しながら、“切なさ”溢れるラストへと結びつける。作品のテンションにふさわしい、秀逸に練られたストーリーテリングだった。 日本公開され、DVDがレンタルされるようになってから少し経つが、今の今まで観ていなかったこと自体が悔やまれる“傑作”だと思う。 
[DVD(字幕)] 10点(2005-12-27 22:18:03)
88.  Mr.&Mrs. スミス
やっぱり最高だなこの映画。 激しい銃撃戦とスタイリッシュなアクションシーンに彩られているけれど、今作は見紛うことなき「夫婦映画」だ。 言うなれば、ジャンル的には、「夫婦善哉」だとか、「ブルー・バレンタイン」だとか、「ビフォア・ミッドナイト」などと並ぶ夫婦映画の傑作だ。  初見時から大ファンの僕は、たとえ年老いたとしても、ブラピとアンジーが夫婦である限り“続編”を期待していたのだけれど………。
[映画館(字幕)] 10点(2005-12-26 18:48:26)
89.  シン・シティ
どこまでも果てしなく“遠慮”がない映画というものは、それだけで素晴らしく、偉大である。 徹底的に造り込まれ、限りなくキワどく、限りなくクールな映画世界に圧巻という言葉すら出ない。ひたすらに血生臭く、非道なこの街の空気感を彩る豪華な俳優陣それぞれのパフォーマンスと、悪趣味とスタイリッシュさとの絶妙な塩梅をこれでもかと見せつける映像感覚が凄まじい。 圧倒的なテンションの連続を見たかと思うと、描かれるストーリーは極めて繊細で切ない。まさに「こんな映画みたことない!」と断言するにふさわしい映画が誕生したと思う。スゴイ。 これは、ロドリゲス流超ハード“パルプフィクション”だ!!
[映画館(字幕)] 10点(2005-10-01 19:01:43)(良:1票)
90.  インファナル・アフェア 終極無間 《ネタバレ》 
すべての結末を得た時、もう、ひたすらに絶句させられた。 二人の男の運命を軸とした人間の“業”の螺旋を描きつけた完璧な三部作だった。 三部作の各作品が、明確なひとつのテーマ(=無間地獄)をしっかりと描きつつ、それぞれがテイストを違えた映画として存在していることがスゴイ。もちろん、映画世界の雰囲気は変えずに。 PART1は、物語の核となる素材を軸として描きつつ、二大スターの対決を全面に押し出したサスペンスアクション。 PART2は、PART1で描かれなかった過去の時間に遡りつつ、マフィア側と警察組織側両面の様々な人間の心情を描いた一種の強烈な群像劇。 そして今作PART3は、残された謎と残された人間を更に深く描いたサスペンスドラマというふうに。 これほどまでに、テーマとしての重い一貫性を保ちつつ、文字通り“多面性”を持つ、凄まじい三部作を他に知らない。 特に、ラストの主人公ラウの葛藤が物凄い。“善人”になろうともがき続け、行く先を無くし、ついに“死”を選ぶが、それでも彼は“無間地獄”を歩き続けなければならない。何という悲痛な物語だろうか。心から底から滲み出るように「堪能した」と言える映画だったと思う。 香港映画は、またひとつ、世界に対し新たな衝撃を打ちつけた。
[DVD(字幕)] 10点(2005-09-26 01:41:13)
91.  スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐 《ネタバレ》 
歴史的なスペースオペラの頂なる映画が今完結した。  個人的には、SW自体の面白さに気が付くのが遅く、最近になってまとめてシリーズを見直し感嘆しこの最終作を迎えたのだけれど、それでもこの長き年月に渡って世界中を風靡してきた大作の壮大さと崇高さを感じて余りあった。  公開に際して多くの人々が「泣ける」ということを口にするので、さすがにそれはないんじゃないかと疑問を感じていた。 しかし、すでに分かりきったことであるはずなのに、アナキンがベイダーへと転じジェダイの騎士たちを葬りさっていくシーンでは胸が詰まった。 暗黒面のままに“成すべきことを成し”ひとり涙を流す様には、これまでのシリーズ作すべてを制する感慨深さが滲んでいた。  この映画を観たすべての人が「ほんとうに馬鹿な男だねえ……」という、まるで古い日本映画のよう普遍的な感想を持つはずだ。 普遍的ではあるが、観客が受ける心の揺れは計り知れない。 そうジョージ・ルーカスがその映画人生のすべてをかけて生み出したこの果てしない映画世界は、アナキン・スカイウォーカーという男の人生における愛情と苦悩が幾重にも折り重なった哀しく愛しい“不器用さ”を描くためにあったのだ。  結局、最愛の妻までも亡くしてしまった黒ずくめの彼の最後の叫びは、その後20年余り暗く乾いた闇の中で、静かに静かに響き続ける。  “新たな希望”に出会うその時まで。
[映画館(字幕)] 10点(2005-06-25 16:10:51)
92.  エターナル・サンシャイン
離れたくない映画に対する余韻。“映画を観る”という幸福は、まさにこの余韻のためにあると思う。 もはやハリウッドにおいて“天才”“気鋭”の名を欲しいままにしているカウフマン×ゴンドリーの、この類まれなるラブストーリーの余韻をぼくはしばらく忘れることができないだろう。さりげなく、大胆に、そして淡々と奇抜に描かれるその絶妙な映画世界の奇蹟に心が震える。恋愛にまつわる切ない“代償”と美しい“価値”を、まさに永遠なる輝きの中に表現してみせたまったく新しい視界に、自分の脳裏まで一掃されたような感覚だった。 しかし、奇妙で革新的な映像世界ではあるが、描かれる物語は実に普遍的な感情だ。“何気ないこと”から深まる愛情と亀裂。そして、記憶の消去という衝動的な行為から見えてくる何気ない日々(しかしそれこそが“幸福”なのだ)の輝き。それを消されてたまるかと逃げ回る主人公の純粋な感情。さらに秀逸なのは、すべてを経て、すべてを知ってしまっても、互いを愛さずにはいられないという、ある種滑稽でだからこそ素晴らしい愛の本質である。 そうこう書いているうちに、またじわりじわりとこの映画に“脳ミソ”が侵食されていく……ああたまらない。 
10点(2005-03-27 01:44:25)(良:2票)
93.  茶の味
この映画は奇妙だ。そしてそれと同時に、とても身近でとても深遠な“幸福”を備えたファンタジーだと思った。突飛なアイデアと抜群の色彩に彩られた映像世界もさることながら、この映画の成功は、何と言っても俳優たちが醸し出すユニークで自然な“鬱積”とそれに対する“解放感”の見事さによるところが大きい。その中でも特に幸子役を演じた若干6歳の女優・坂野真弥のたたずまいは、浅野忠信、三浦友和ら名だたる名優たちを抑えて抜群だったと思う。 “人の生”は「茶の味」だ。いろんな要素がごった返して混ざり合って、苦い旨さが、ほっとする。そしてそれは、宇宙の壮大な混沌とも類似するほど、深く、果てしない。
10点(2004-11-01 21:59:26)(良:1票)
94.  ドッグヴィル
なんという映画だろう。と、思う。この作品の核心を語る言葉など無いような気がする。ただただとめどない感情が心情を駆け回って抑えつけることができない。何が正しく、何が間違いか、何が愚かで、何が崇高なのか、そんな結論などは遠く彼方で彷徨っている。すべてが終わり、あまりにも大きな重圧に押し潰されそうになった時に残るのは、何とも言い難い疲労感と恥辱感、そして自らで認めざるを得ない屈折した爽快感だった。この映画には点数などあまり意味がない。あるとすればそれは0か10かだ。そしてそのどちらであっても本質に違いがあるとは思えない。ただぼくは10点をつけた、本当にそれはただそれだけのことだと思う。
10点(2004-08-11 17:54:15)
95.  切腹 《ネタバレ》 
「竹光」というものの存在を、7年前にこの映画を初めて観た時に初めて知った。 この映画における「竹光」の用いられ方は、あまりに哀しみと痛みを秘めており、暫く心に焼き付いて離れなかった。  いわゆる「勧善懲悪」の娯楽時代劇とはまさに対極に位置するこの作品は、武家社会の様式の厳しさと美しさ、そして根本的な無情さを鮮烈に描き出す。 その無情さは、ストーリーが深まるにつれ更に深化し、深い深い“愚かさ”として露になる。 そのほとんどが屋敷の庭先で展開されるストーリーは、極めて予測不可能。時代劇でありながら秀逸なサスペンスの雰囲気さえ感じずにはいられなかった。  何よりも、大胆かつ神妙な語り口で主人公を演じきる仲代達矢の振る舞い、眼光、発せられる声質まで総てが圧倒的だ。まさかこの当時30歳とはとてもじゃないが信じられない。彼に対峙する三國連太郎の独特の存在感も素晴らしかった。  初見時は、遷移する時代の“ひずみ”の中において起こった武家の非道な仕打ちに対して、主人公が自らの命を賭してその在り方を問う映画だと思えた。 もちろんそれも、この映画の中でメインで描かれている側面だとは思う。 しかし、数年ぶりに見返してみて、また違う側面も垣間見えた。  それは、この映画の物語の中で描かれるある種の無情さと滑稽さそれに伴う愚かさは、必ずしも非道な仕打ちをした武家に対してのみ描かれていることではないということだ。 むしろ"愚かさ”ということに関しては、主人公自身の悲しみの中にこそ描かれていたと思う。  誰よりも愛する家族に対して非道だったのは、“刀”を捨てきれなかった自分自身だったということに、主人公は気づき、己の愚かさに打ちひしがれたのち、「切腹」を覚悟し武家に赴いたのだろう。  仲代達矢演じる主人公が、三國連太郎演じる家老に放った激情ほとばしる一つ一つの言葉は、実のところ自分自身に向けたものだったように思えてならない。  移りゆく歴史の流れの中でひっそりと蠢いた一瞬の裏側を見事に切り取った大傑作だと思う。
[DVD(邦画)] 10点(2004-05-24 01:39:54)(良:3票)
96.  ビッグ・フィッシュ
悲しいわけではない、物語自体が極端に感動的だというわけでもない。ならばどうしてこんなに涙が溢れるのだろう。と、とめどなく流れる涙を拭いながら思った。ただただ主人公の希有で幸福な人生を見ていることに心が揺れるという感じだった。それがつくり話かどうかなどということはもはや関係なく、紛れもない彼自身の幸福感に対して、その幸福な人生を見ることができたことに対して涙が溢れた。ひとりの男が人生を通して繰り広げる現実と空想の境界。その境界線上ですべての人がハッピーになる。感動するなんてことは、理屈ではない。まさにただ「感じる」ものなのだ。そういうことを改めて教えてくれる素晴らしい映画がまたひとつ誕生した。
10点(2004-05-22 22:15:46)(良:2票)
97.  黒蜥蜴(1968)
ああ、なんて凄いんだろう。これでもかと押し迫ってくる世界観に衝撃を通り越して呆然としてしまいそうになる。戯曲のストーリーの映画化だけに役者のエネルギーがことさらに迫る。言うまでもなく、美輪明宏の存在感が物凄い。あのセクシーさ、妖艶さ、男優・女優という枠を超越したその物腰に惑わされずにはいられない。ああ、ほんとうに、凄いとしか言いようがない。是非ともDVD化を望む。
10点(2004-05-01 00:51:52)
98.  CASSHERN 《ネタバレ》 
これほどまでに悲哀と残酷さに満ちたヒーロー映画がかつてあっただろうか。そのあまりに過酷なヒーローの運命に対し、予想を覆された僕は大いに戸惑ってしまった。しかし、残酷な環境を打開すべく、自らの悲しい運命を打開すべくために立ち上がったヒーローの厳しい宿命としてこれほどふさわしい物語はない。常軌を逸するほどのビジュアルセンスで描かれた鮮烈で秀麗な映画世界は現実とはかけ離れているが、描かれる人間たちの悲しさ、テーマとして語られる人間の憎しみの螺旋の本質は限りなくリアルであった。そう、アニメ版「キャシャーン」と同様に作られていたヘルメット(ソーラーメット)をこの映画の主人公はついに被ることはなかった。それはこの映画のヒーロー:CASSHERN、しいては敵キャラも含めたすべての登場人物がただの人間であること、そしてこれが生身の人間たちの闘いであるということの象徴に他ならない。新進の映像作家が撮り上げたこの処女作を「散々たる」と安易に酷評することは実に容易である。事実、改善すべき箇所は大いにあろうが、僕はこの映画世界に溢れる確固たる厳かさにも似た空気感に圧倒されずにはいられなかった。
[映画館(邦画)] 10点(2004-04-28 19:16:30)(良:1票)
99.  緋牡丹博徒
観終わった直後は単純に、「参った」とか「凄い」という言葉しか出てこない。圧倒的にパワフルな任侠渡世を描いた映画世界に、ただただ没頭させられる。冒頭の仁義から、ラストの襲名挨拶までひたすらに魅力的な藤純子が素晴らしい。今の日本映画にはない作品の良い悪いの以前に存在する映画としてのパワーに溢れている。背景が絵だろうが、主演女優の唄が下手だろうが、すべてがその世界の産物と納得させ、その空気の中で息づく俳優たちの一喜一憂に息を呑む。「映画」という絶大なパワーで観客を包み込む。そういうものがこの時代の日本映画には、ある。
10点(2004-04-22 02:27:15)
100.  花とアリス〈劇場版〉
6年ぶりに観たこの映画は、もはや「感動」なんて通り越す。そのあまりに眩しい映画という「結晶」に対して、悶え、嫉妬じみた感情すら覚える。  6年前、自分自身の結婚を控えた頃にこの映画を観ていた。 劇場鑑賞時から大好きな映画なので、それ以前もその後も事あることに“花とアリス”のことは思い出す。 そして、今日、自分の愛娘が幼稚園に入園した日に、またこの映画を観た。 なんだか、嬉しさも、憂いも、いろいろなことが入り混じって、たまらなかった。  最初から最後まですべてが名シーンなのだが、“親”というものになって数年経ち、愛娘の成長をまさに目の当たりにした日においては、蒼井優と平泉成との父娘のシーンが、無性に愛おしかった。 この映画は、恋と友情の間を奔走する少女たちの物語であり、少女たちの自立の物語であり、彼女たちを取り巻く家族の物語でもあるのだと思えた。  蒼井優と鈴木杏、今やこの世代を代表する女優となった二人の“競演”は、彼女たちの確かな実力を踏まえても、「奇跡的」だ。 こういう類いの「奇跡」を幾度も見せてくれた岩井俊二という映画監督は、やはり自分にとって特別な存在なのだと思える。   この映画の少女たちの人生はまだ始まったばかりで、映画の中で泣き笑うことなんて、ほんとに些細なことだけれど、その一つ一つにひたすらに向き合い、エネルギーを注ぎ、くよくよしたり、晴々したりする姿に、問答無用に感動する。 ユーモラスで眩しいノスタルジーと、そこに不意に垣間見せる厳しく切ない現実。それらすべて含めて彼女たちの日常。   嬉しいことも、辛いことも、楽しいことも、悲しいことも、みんなひっくるめて少女たちは生きていく。  その純粋で、無防備で、ひたすらな姿に、胸が熱くなる。僕はこの映画に対して、この先も何度も、“ウォーアイニー”と呟くだろう。
[映画館(字幕)] 10点(2004-04-09 22:37:49)(良:2票)
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