81. アメリ
《ネタバレ》 アメリの世界観は体が水みたいに溶けたり心臓がバクバクしたり、絵の中のキャラクターが話し始めたりするいわゆる少女趣味が強く、いわゆる無垢な少女のような純真さを感じさせる。しかしその一方で、他人のSEXを冷静に恋愛/人生の一部として見つめ、自分がSEXしている最中も表情ひとつ変えずに、SEXという行為を客観的に観察していたりと、夢見る少女とは到底言えない一面も持っている。そういうアメリの視線の冷静さ、客観性は世界に積極的に飛び込めない消極的な性格の裏返しで、SEXに対して冷静ではある一方、好きな男性に対しては真正面から向き合うことができないという矛盾、アンバランスさに人間らしさを感じる。そして「人間らしさ」という観点からすれば、「アメリ」はリアルな人間ドラマである。最後におじいさんの言葉で世界に飛び込む勇気を持てたアメリ。あんな風にそっと肩を押してくれる人の大切さに気付かされた。 7点(2004-02-07 03:06:04) |
82. パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち
《ネタバレ》 ストーリーも分かりやく、暴力もコミカルで、安心して見られるというのはディズニーならでは。ただ、ウィル(ローランド・ブルーム)の血が不死の海賊たちの呪いを解く鍵であることは後になって分かってきたり、ジャック・スパロウ(ジョニー・デップ)が不死の海賊の元船長で色々な過去があったりと、それぞれのキャラクターの置かれている状況が変化しすぎて状況把握するのが面倒。主人公たちは水面下での駆け引きや、相手の裏をかこうとしているのだが、状況が把握しずらいのでどんな駆け引きをしているのか分かりづらくなってしまっている。単純にお姫様(エリザベス)を救い出して終わりという単純すぎるストーリーにはしたくなかったのかもしれないが…。ただ、どんでん返しは小さいのをばらまくよりも、大きいの一つだけ、ド~ンと最後に持っていけば十分。妖艶な魅力を持ったベテラン俳優ジョニー・デップ、正統派で美形の若手俳優ローランド・ブル-ム、清潔感がありながら力強さをかもし出している若手女優キーラ・ナイトレイ。本編に冒険のシーンが少ないが、このキャスティングがちょっとした冒険だったのかも。 7点(2004-02-07 02:57:25) |
83. いちご同盟
テレビでやっていたのを何となく見たんですけど、期待していなかった分、めちゃめちゃ泣いてしまいました。岩井俊二と北野武作品以外で邦画で好きな映画ということこの映画です。 7点(2004-01-29 00:11:56) |
84. 息子の部屋
《ネタバレ》 家族の再生がテーマで、息子を失った後の家族の悲しみはすごくリアルで、涙してしまいました。しかし、悲しみの後どう立ち直るのかというところはちょっと疑問が残ってしまいました。監督の意図が理解できませんでしたが、愛する人を失う悲しみは痛いほど伝わってきましたし、父親より先に死ぬのは避けたいなと思いました。 7点(2004-01-26 00:05:48) |
85. 8人の女たち
《ネタバレ》 1人でDVDを見てたんですが、「FIN」の文字が出たとき思わず拍手してしまいました。すごく楽しかったんで。ストーリーはいたって単純。しかも設定は使い古されたありきたりのサスペンス。しかし、この映画は本当に独創的で、まるで舞台を見ているかのようでした。お父さん殺しの犯人を探るために女同士で足の引っ張りあいして、だんだん皆の化けの皮がはがれて行くところが怖いな~と重いながらも楽しく見れてしまうのです。余りの暴露話の数々と衝撃的告白のオンパレードで、もう途中からは笑うしかなかったです。そしてこの映画の見所は主人公の女8人がミュージカル調に歌う歌。これが見ていて本当に楽しくて楽しくて…。僕はこの8人の歌う歌がかなり気に入ってしまった。お父さんを殺した身内の誰かを探すという設定なのに、こんなに楽しい映画にしちゃうなんて驚きです。そして、結局お父さんは最初から死んでなかった・・・っていう最初の前提を覆してしまう結末はサスペンスではよくあるって言えばよくあるんですが、その後、8人の女たちの本性を知って、絶望して自殺する展開が面白い。それでもって父親は最後まで顔を見せないんです。脇役のいないこの映画、まさに「8人の女たち」という題名そのまま。今度、他のフランソワ・オゾン監督作品を見てみたいですね。また、この映画では1人だけ妹役のリュディヴィーヌ・サニエが気に入ってしまいました。天真爛漫でボーイッシュなキャラなんですが、唄っているところなんてマジでキュート。 8点(2004-01-25 22:59:19)(良:1票) |
86. 耳に残るは君の歌声
《ネタバレ》 ジプシー、ユダヤ人に対するナチスの迫害の歴史を生き抜いた1人の少女の悲劇。しかし、その悲劇を過剰に描かなかったのが狙いだったのでしょうか。そのせいでストーリーが淡々としてしまったような気がします。色々なことがスージーの身に降り起こり、歴史の波に翻弄されますが、スージーが本当のところは何をしたいのかがよく見えてこない。フランスに行くにしろ、アメリカに行くにしろ、自分の意志というものが伝わって来ない。そして、あれよあれよと言う間にさっさと父親に再会してしまうのにはやはり物足りなさを感じてしまう。がむしゃらに父親に会いに行こうとする姿勢が少しでも感じられれば違ったのでしょうが…。僕はスージーより、C・ブランシェット演じるロシア人ダンサーの生涯の方が興味あった。彼女の人間臭さのある生き方と呆気ない不幸な死に様、こちらもなんとドラマチックなことか。 4点(2004-01-24 22:59:36)(良:1票) |
87. ミザリー
子供(小学生)の頃見た映画で怖かった映画は結構いっぱいある。「エイリアン」、「IT」、「バタリアン」、そして「ミザリー」。大人になってそれらの映画を思い出すと、「エイリアン」なんて作りものだし、怖いというか、ちょっとかわいく見える。「IT」はほとんどギャグ。ピロだ、ピエロだと笑ってしまう。「バタリアン」は実際に見直したら、恐怖なんかそっちのけで懐かしさで泣いてしまうかもしれない。しかし、「ミザリー」は違う。今思い出しても怖い。「ミザリー」で描かれている恐怖は人が人に対して抱く歪んだ感情。クリーチャーに対する恐怖は慣れれば薄れてしまうけど、独占欲だとか、嫉妬だとかっていう感情は今も昔も誰でも持っている根源的なもの。その恐怖は今も色褪せずに、僕を震え上がらせる。あ~、こわい。 9点(2004-01-24 06:31:49) |
88. マルコヴィッチの穴
《ネタバレ》 マルコヴィッチのことをよく知らないと何でマルコヴィッチの中に入りたがるのか?と疑問に思っちゃいますが、理由はちゃんとあります。彼の演技は他の俳優から見ても異色であるが故に、彼の演技から何かを学ぼうと多くの映画関係者がマルコヴィッチと仕事をしたがっているのです。それはジョン・マルコヴィッチは俳優としてだけでなく人間としても他の人とは全く違う感性を持っているからです。その感性の源とされるのが、マルコヴィッチは常に自分とは何かという哲学的な問いを自分に課していることです。そのこだわりは他の人に比べて異常に強いようで、マルコヴィッチと一緒に劇団を立ち上げたことがあるゲイリー・シニーズは「マルコヴィッチは20年間、自分の目の裏、自分の心の裏にあるものを理解しようとして演技をしてきた。」と言っています。実際、映画の中でマルコヴィッチは自分の頭の中に入り、新たな次元を垣間見ることになります(この行為はまさにマルコヴィッチが20年間続けてきたこと、そのもの)。そういう意味ではこの映画「Being John Malkovich(マルコヴィッチになること」はマルコヴィッチの考えていることを知ってみたいというマルコヴィッチのファンの欲求に応えたものであると同時に、マルコヴィッチが抱える彼独自の問いに対する一つの解答を映像で示したものだと思います。この映画で見られる世界がまさにマルコヴィッチが求めていた解答だとは思いませんが、マルコヴィッチの穴(Being John malkovich)という映画はマルコヴィッチの人生観をそのまま表したもので、本当は彼だけのための映画なのではないかと思いました。 7点(2004-01-24 05:52:04)(良:3票) |
89. マイ・レフトフット
《ネタバレ》 優しさ、愛情、嫉妬、怒りなど、クリスティーの感情がよく描かれてましたね。結婚する相手がそばで自伝を読みながらクリスティーが自分の過去を回想するというストーリー構成も好きでした。ただ、結婚相手の彼女とのエピソードをもっと盛り込んで欲しかったかな~とは思いましたが…。最後に、この「マイ・レフトフット」はクリスティー・ブラウンの半生を綴ったものなのですが、同時にクリスティーの母親がクリスティーに与えた続けた愛の軌跡(奇跡)の話でもあったように感じました。 7点(2004-01-22 11:29:31) |
90. TAMALA 2010 a punk cat in space
《ネタバレ》 タマラの喋り方が面白い。かわいく「ムカツクの」、「ぶっ殺すの」とか言われると思わず笑えてくる。しかしタマラの魅力だけのような映画で、タマラは死なないという設定があるのだけど、その設定は果たして必要だったのかが疑問で、マニア向けな作りを意識したかったのかな~と余計な想像してみたり・・・。正直、そのタマラが死なないという設定もそうだけど、ストーリー自体もよく分かりません。ゾンビネコが長々とタマラの話を聞かせてくれますが、この説明はむしろ要らないわけで、せっかくアニメーションなんだから映像で表現してくれやって感じです。しかもゾンビネコの話も分かりやすいとは言えないし・・・。タマラのキャラクター、独特の世界観、死なないネコと企業の関係など、面白い要素が満載なのに、それらを全然活かし切れていません。勿体無いな~と思いました。 5点(2004-01-13 04:09:58) |
91. ブルース・オールマイティ
《ネタバレ》 神様の力を使って次々に騒動を巻き起こすシーンの数々は面白いし、ダメ男が自信満々で色んなことを成し遂げる様子は本当に爽快。そして、次はどんなことをしてくれるのかとワクワクしっぱなしでした。しかし、それほどジム・キャリーらしさが出ているかと言ったらそういうわけでも無く、むしろ脚本・演出で笑わせるタイプの映画でしたね。(面白ければ何でも良いんですけどね。)ただ、十分笑わせてもらったのには大満足なのだけど、土台となるはずのドラマ部分が甘かったのがちょっと不満です。神様の力を手に入れたブルースは何でも出来るようになるが、人間の意志までは操る事は出来ないというところがこの映画のミソなわけで、今まで普通にあった大切なものを改めて見つめ直し、最愛の彼女・グレースとやり直す事がこの映画の主軸なのです。しかしこのメインテーマであるはずのブルースとグレースの恋愛ドラマが「おまけ」程度ぐらいにしか描かれていません。だから映画のラストで「グレースが幸せであればそれで良い」というブルースの願いが希薄に感じてしまうしまうし、映画自体に締まりが無くなってしまいました。欲を言えばブルースとグレースのドラマをもう少し丹念に描いて欲しかった。そうすれば大いに笑った後にはホロリと泣ける良い映画になったはず・・・。 7点(2004-01-13 01:49:31) |
92. CUBE2
《ネタバレ》 キューブに閉じ込められた人間たちにはそれぞれ自分の職業に秘密があり、それが明るみに出ていく事でキューブの全容が少しずつ暴かれていくという展開は前作同様。しかし、登場人物のキャラクターが前作とかなり似通っていて(精神科医、精神障害者、善人タイプ、悪人タイプなど)キャラクターに目新しさが感じられなかった。さらにキューブの目的や理由を一切明らかにせず、最初から最後まで限られた空間の中で繰り広げられる人間の極限状況だけを描いた斬新さは薄れてしまっていて、むしろ今回は新しいキューブ(ハイパーキューブ)それ自体の謎と解明に主眼が置かれていて、極限状況での人間模様の描写が二の次になってしまっている。CUBE2になってキューブが進化したことには驚いたが、CUBEでしか描けないものを描くべきだったのではないか。相対評価を下すならば前作には大きく劣るものの、シリーズものとして考えれば相変わらず斬新であることには変わりは無く、続編(出るかどうか分からないが)での新たな展開に期待したい。 8点(2003-12-25 11:05:50) |
93. 魔女の宅急便(1989)
何度見てもトンボを助けるシーンでは「頑張れ~!」と応援してしまいます。関係ないですが、キキがパイを焼くのを手伝ってあげた上品なお婆さんの家で使用人をしているお婆さんがお茶目で良いですね~。ジブリ映画はサブキャラにも愛情を注いでいるところが好感が持てますね。 9点(2003-12-24 06:23:52) |
94. マジェスティック(2001)
「ショーシャンクの空に」、「グリーン・マイル」ともにいまいち感動できなかったので嫌な予感がしていたのですが、またもや感動できませんでした。こういうことが言いたいのだろうと無理やり解釈することは出来ても、どうしてこういう方法でこういうメッセージを伝えようとしたのかという疑問の方が大きくて、素直に感動できなかったんです。「ショーシャンクの空に」、「グリーン・マイル」そして「マジェスティック」の3作品を見終わってみると、フランク・ダラボン監督の映画は全部、好意的に解釈して納得するのが精一杯で、物語に素直に感動することが出来ないということが分かりました。きっとこの監督との相性が悪いんでしょうね。 5点(2003-12-24 06:05:17)(良:2票) |
95. マグノリア
《ネタバレ》 12人の迷える子羊たちのドラマはどれも胸を打つものばかりで、そのドラマだけでも見る価値はありました。ただ、それらのエピソードが最後にどのように繋がるのかがこの映画の見所だったのですが、カ○○が○ってくるとは誰が予想できたでしょうか。このラストは誰も予想は出来なかったし、表面的に見ればこれらのエピソードは繋がりきってはいません。カ○○が○ってきたのは救済の象徴だったと言われればそうかもしれないけど、その出来事はただの偶然かもしれません。必然か偶然か、それはこの映画の冒頭でも問われていたことでなのですし、答えはありません。だからカ○○が○ってきたという出来事は人それぞれの解釈に委ねられるべきなんだと僕は思いました。ただ、その出来事が必然であろうが偶然であろうが、12人の迷える子羊たちの心が少し洗われたのは確かです。 7点(2003-12-24 05:41:02) |
96. マイ・ライフ・アズ・ア・ドッグ
他の方のレビューを見てみるとかなり感動されているようなのですが、僕は退屈でしょうがありませんでした。恐らく見ているところが違ったんでしょうね。他のラッセ・ハルストレムの作品もいまいち伝わってくるものが無いので、フランク・ダラボン監督同様、この監督さんとは相性が悪いようです。 4点(2003-12-24 04:43:57) |
97. マイノリティ・リポート
殺人事件を未然に防ぐプリコグというシステムは犯罪大国ならではの発想で、犯罪を身近に感じる国に住む人にとっては興味深いものなのだろう。しかし、殺人事件の無い一見平和な世界の背景にはプリコグの人権侵害が潜んでいたりするところが何か示唆的でもあった。 7点(2003-12-21 00:46:29) |
98. マイ・ドッグ・スキップ
《ネタバレ》 主人公の少年は犬のスキップがいないと何もできなくて、ドラえもんに頼りきっているのび太を思わせてかなりムカつきます。そんな少年もスキップと一緒にだんだん成長していくのですが、犬好きの人にとっては正直、少年の成長物語なんてどうでも良いのです。スキップの賢さ、優しさに愛しさを覚え、スキップの死を悲しみ、「自分ってやっぱり犬が好きなんだな~」と素直に思わせてくれるのがこの映画の魅力なんですから。だから犬好きの人から絶大な評価を受けているのでしょう。 9点(2003-12-20 23:38:33) |
99. マーヴェリック
《ネタバレ》 あんなにキュートなジョディ・フォスターに騙されるなら本望です。 7点(2003-12-20 21:32:32) |
100. ホワット・ライズ・ビニース
《ネタバレ》 What lies beneathというのには幽霊が隠れているという意味だけでなく、別の意味もあったんですね。一見幸せそうな家庭の裏にはパパが不倫相手を殺していたという秘密が…。 7点(2003-12-20 13:05:40) |