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はちかつぎひめさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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81.  レネットとミラベル 四つの冒険 《ネタバレ》 
映画とは全く不思議なもので、観たあとすぐは興奮してよかった!と思っても日がたつにつれだんだん評価が落ちていくものと、観たときはそんなでもなかったのに自分のなかでどんどん存在が大きくなっていくものがある。この映画はまさに後者の典型。この映画はレネット(ジョエル・ミケル)という田舎育ちの少女とミラベル(ジェシカ・フォルド)というパリジェンヌの少女という対照的なふたりの物語です。レネットはフランス語で「りんご」、ミラベルは「あんず」という意味で、いってみれば、都会のネズミと田舎のネズミ的な構図。もっとも素晴らしいのは第一話の「青い時間」。まぎれもなくわたしがロメールの虜となった決定的作品。その作品は30分にも満たないのに極上の短編小説のような香りを漂わせている。「夜と朝の間には完全な沈黙が存在するのよ」と言い張るレネットに、それならといっしょに朝を迎えることを約束するミラベル。しかし翌朝、その沈黙が訪れるべき瞬間に車が通り、「沈黙」はかき消されてしまう。激しく泣きじゃくるレネットにミラベルはもう一晩泊まることを約束する。早朝、そっとひとりでベッドを抜け出すミラベル。そしていつの間にか彼女のあとにやってくるレネット。「青い時間」にミラベルがレネットを制して手をのばす場面は、映画史上最高の名場面。このときわたしはなぜかいつも泣いてしまいます。もう何度も観ているにもかかわらず。
[DVD(字幕)] 10点(2006-12-16 23:28:07)(良:2票)
82.  ナポレオン・ダイナマイト 《ネタバレ》 
話がどこにいくのか、何を表現しようとしているのか途中までまるでわからない映画です。今までに観たことのない映画でした。とにかくまずオープニングからしてクスクス笑っちゃいます。私は爆笑するってとこまではいかなかったけれど、一緒に観ていた高校生の息子はお腹を抱えて笑っていた。なんでなんだか、ものすごくハマッてしまったようです。やたら元気のいいおばあちゃんとか、32歳のひきこもりの兄さんとか、怪しげな叔父さんとか、もちろん本人のナポレオン、友達のペドロ、デビーなどなど全員キャラがたっていて、すごくよくできた映画だと思います。英語の発音とイントネーションがまた独特というか、ネガティヴな発音なのがなんか腹にきます。たるい感じの間もすごくいいです。観終わったあと気持ちがゆるゆるとハッピーになる映画ですね。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2006-11-20 12:43:35)(良:1票)
83.  イルマーレ(2000)
キスもなく思わせぶりなラヴシーンもなく、ひとを好きになることの切なさや怖さをちゃんと描いている。もちろんキーになるのは時間のずれなわけですが、韓国映画のこういうところにはまいりますね。終わり方にはいろいろ異議があるみたいだけれど、わたしはなんかわからんうちに終わってしまうのがいいような気もします。あれどうなるんだろう…みたいな。それにしてもチョン・ジヒョンさん、相変わらずチャーミング!服の着こなし方とかひとつひとつのしぐさが洗練されていて、わたしはすごくすきですね。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2006-10-28 12:28:37)
84.  恋人たちのポートレート 《ネタバレ》 
大好きです、この映画。男女9人くらい?の群像劇。(アダ・ポール・リーズ・アルフォンス・エマ・イヴ・ニナ・グイド・ソフィ・・・・)出演者たちのひとりひとりの表情が印象的。アメリカ映画とゼンゼン違う。アメリカ映画は俳優の表情が画一化されている気がするけれど、そう思うのはわたしだけ?あるいはアメリカ映画はある程度アクターズスクールや大学での演技法などが確立しているのでそうなってしまうのかな? 個人的には買い物依存症でダメ女役のエルザ・ジルベスタン(エマ)にもっとも惹かれた。親近感というか。彼女の歌もうまいというわけではないけど、なんか好き。美人というわけではないけど、なんか好き。女には百戦錬磨のアルフォンスをものにしてしまうのもうなづける。DVDは出ていないので、観たい人は気長にTVで深夜放送されるのを待つしかないですね…でもなんでだろ、いい映画なのに。ラストがせつなくハッピーで、泣いてしまいました(アニー・ホールのパクリと言われると痛いけど)。原題は、「Portraits Chinois 」。映画にも中国に関するものは出てなかったと思うし、意味不明。芸術は最後には人を殺してしまうものだとわたしは思っているので、よけいに思い入れが深いのかもしれない。テーマ曲を聴いただけで、泣いてしまうね。 
[地上波(字幕)] 9点(2006-10-03 11:47:00)
85.  ボーイズ・ドント・クライ
主演のヒラリー・スワンクは計算された演技と独特の美貌で心を奪う。この映画はその一点だけで成り立っているような感じがする。感情をまじえず、事実として性同一障害者の現状・悲しみを描こうとした意図はよくわかるけれども、かえってそれが現実をなぞるだけに終わってしまっているような気がする。アカデミー賞をとったのが主演女優賞だけというのもむべなるかな。でも人には絶対お勧めしない。あまりにも悲しすぎるから。おすぎさんとかはどう思うんだろう、こういう映画。どういう批評をしているのか知りたいと思いました。 
[CS・衛星(字幕)] 7点(2006-10-03 11:32:48)
86.  フライ,ダディ,フライ
小説は未読なので(面白いって聞いてますけど)よくわかりませんが、もう始まったときから「ああなって、こうなって、こういう感じで終わるんだな」ってわかる映画ですよね。小説としてはどうなのかはわからないけど、映画としての意外性は全く感じない。じゃあ見所はというと、役者の演技、あるいはビジュアルってことになってしまって…でも脇役のキャラは全然たってないし、結局堤真一のだめっぷり演技(かなりうまい)と岡田准一のかっこよさみたいなものを観るしかないのかな? それにしても岡田准一って人は「東京タワー」といい、なんか恵まれてない。今が旬な感じがするし、賞味期限もあるだろうし、ここらへんでちゃんとした映画に出演しといた方がいいのにと思う。ストーリーを上からなでただけっていう脚本がやっぱりチープにしちゃった原因のように感じられます。
[CS・衛星(邦画)] 4点(2006-09-30 07:32:46)
87.  夏物語(1996) 《ネタバレ》 
もう何十回観たかわからないくらい大好きな映画。エリック・ロメールのなかでベスト3に確実に入る映画です。ガスパール(メルビル・プポー)がもうどうしようもないダメ男なんだけど、すごくキュートで、ソレーヌといっしょに車に乗っているところを見つけられたときのおどおどした顔がたまらん。しかもマルゴ(アマンダ・ラングレ)は鬼みたいな顔で睨んでるしねぇ。でもこの二人の会話が(ほとんど歩きっぱなしで会話会話の連続)いかにもフランス的でおもしろい。女性3人が3人とも怒って走り出し、ガスパールは必死で追いかける。それにしても性格(ほんと悪いよ)も容姿も一番劣っているはずのマルゴがとても魅力的なのです。歩き方や話し方、雰囲気…わたしがガスパールなら迷わず彼女ですね。ロメール映画ではいつものことだけれど、エンディングが秀逸。
[DVD(字幕)] 10点(2006-09-22 08:56:54)
88.  クレールの膝 《ネタバレ》 
待望の「クレールの膝」を観る。が、しかし、感想はちょっと複雑。予想していたものと違っていたということもあるが、主人公ジェロームの心理がいまひとつ理解できないというか、共感できないというか。第一膝のなで方がなってない!「恋の秋」のベアトリス・ロマンが16歳のときの作品で、生意気な少女役で出演。わたしとしてはローラ(ロマン)の生き生きとした演技やくるくると変わる表情、少女特有の聡明さの方にずっと惹かれる。クレールには魅力を感じなかった。というわけで、ジェロームにもクレールにもあまり心惹かれず、ローラだけが印象に残った映画でした。ただ、ジェロームがまるっきり見当違いな自己満足して帰っていく落ちは、いかにもロメールらしくて好き。 
[DVD(字幕)] 6点(2006-09-22 08:43:42)
89.  めぐりあう時間たち
感想を一言でいうなら、誰にも見せたくない映画。ヴァージニア・ウルフの書くことへの狂気に戦慄を覚える。出演俳優が脇役にいたるまで高水準なので、こういう難しい脚本も映画として成り立ち得たのだと思う。脚本はとても示唆的でものごとをはっきりとうちだしてはしていないので、観客は推理しながら観ていかざるを得ない。それが鬱陶しいというひとにはむかないだろう。でもわたしにはとても心に残る映画だった。こと映画に関しては脚本第一主義のわたしだが、今回の映画はこの映画に関わるすべての人たちの技術・心意気が混ぜ合わされ、むずかしい脚本を助けているという感じがした。精巧につくられたガラス細工のようにすべての要素が一瞬の均衡のうえに成り立っている。ストリープ、ムーア、キッドマン、ハリス、全員の演技が匂いたつように素晴らしかった。娘役のクレア・デインズは大物の予感。。  
[DVD(字幕)] 9点(2006-09-22 08:34:28)
90.  プライドと偏見
映像・カメラワーク、そしてキーラ・ナイトレイは素晴らしかったと思うのですが、なにせ原作がジェーン・オースティン。一筋縄ではいかないのはあたりまえかもしれない。かつて岩井克人氏のこの作品の評論を読み、彼の「資本主義の倫理を真に思考する文学」という説に強く共感しているので、映画にこのオースティンの真髄が少しでも生かされたならばと期待していたのですが、んんん…なんだか後半ハーレクインロマンスみたくなってしまって正直つらかったです。もちろんそんなもの求めんなよ!といわれちゃえばそうなのかもしれないけれど、いやしくもこれだけの名作を映画化するんですから、もっと志をもってほしい…というのはいいすぎでしょうか? キーラ・ナイトレイの美しさにプラス1でこの点数。
[DVD(字幕)] 5点(2006-09-21 21:43:02)
91.  日曜日が待ち遠しい! 《ネタバレ》 
トリュフォーの遺作ということでものすごく構えて観てしまったのが災いしたのか、ちょっと肩透かしをくらいました。犯人はもう出てきたときからバレバレなんですけど、ファニー・アルダンのきりっとした演技にひっぱられてついつい…二人で車で逃走中、川べりでしんみりと語り合う場面がいかにもトリュフォーって感じで、あとはサスペンスコメディ。わたしはラストのカメラのレンズ(キャップ?)を少女たちが蹴りあっているシーンがわけもなくすきですね。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2006-09-17 10:11:38)
92.  フライトプラン
「タクシードライバー」以来のファンであるジョディ・フォスターが主演とはいえ、こんなお粗末なサスペンスがあっていいのか…としばし思案いたしました。アイデアと雰囲気だけのサスペンス映画。「伏線」という言葉を知らないのかっと思わず叫びたくなってしまいます(ジョディの演技はやっぱりすごいと思うんですけどね)。やはり脚本あっての映画。しかもこのての映画はほとんど脚本命だと思うので、もう少しよろしくお願いいたします。
[DVD(字幕)] 3点(2006-09-10 08:26:40)
93.  蛇イチゴ 《ネタバレ》 
個人的に信じられないほどすきな映画です。なんとなく樋口一葉の「大つごもり」を思い出した。わたしは一葉のなかでは「大つごもり」がもっともすきな作品。西川美和監督に新しい才能を感じたし、宮迫博之はたぶんこれ以降評価が変わることは間違いがないだろう。家族みんながそれほど大きくもないこじんまりとした家のなかで、それぞれに誰にもわからない暗闇をもち、そのほころびは大きく破れそうになっていく。映画のなかに答えはなく、もちろんハッピーエンドでもない。土のついた蛇イチゴに蟻が這い、そこに光があたっている映像がたまらなくすき。
[CS・衛星(邦画)] 9点(2006-08-31 23:08:17)
94.  運命じゃない人
もうほんとに痛快でした。日本映画も捨てたもんじゃないぞ!こういう脚本・監督がでてくるんだからまだまだやれるんじゃないでしょうか? 最近ではむしろメジャーな映画にがっかりさせられることの方が多いような気がする。。。端役のキャラクターなど隅々まで気持ちが行き届いた作品。ラストがよくって久々に観てよかった~と心から思いました。監督・スタッフ・出演者の方々、すべてに感謝!
[CS・衛星(邦画)] 9点(2006-08-28 16:28:04)(良:1票)
95.  夜霧の恋人たち 《ネタバレ》 
どうしてでしょうか、観たあとになんだか胸が痛くなる。それはアントワヌが自分の若さをあまりにも無邪気に健気に受け止めているからかもしれない。わたしはどちらかというとずっと自分をしばって生きてきたので、彼のような生き方を目の当たりにすると少し嫉ましいような気がしてしまう。もし時間が戻るならもっと素直に生きてみてもよかったかな…などとね、思ってしまいます。クリスチーヌと過ごした朝、筆談で話し、彼女の指に栓抜き(かな?)をさす場面が大好き。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2006-08-23 22:12:52)
96.  私は「うつ依存症」の女 《ネタバレ》 
クリスティーナ・リッチーはわたしの大好きな女優さんで、常に水準以上の演技をみせ期待を裏切らない。この映画でも彼女の魅力は十分に感じられたし、彼女のファンであれば決して観て損ではない。しかしながら脚本は尻切れトンボという感じ。自分をコントロールできない心情やそれによって起こる悪循環など、リジーの苦しみを描くことはできているが、そこからどうやって抜け出すのかという肝心の部分ははしょられて、「薬の力を借りて本を出しました」みたいになっている。時間とお金が足りなかったのか、それとも原作者自身が病気から抜け出すことができなかったのか、よくわからないが、映画としてはどうかと思った。またジェシカ・ラングが母親役で熱演していた。あの神経症的な演技は彼女にしかできないと思った。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2006-08-19 04:38:17)
97.  花とアリス〈劇場版〉 《ネタバレ》 
はっきりいってこの岩井俊二という監督はすきではなかった。たぶんすきになることはないだろうとずっと思っていた。だがこの作品に関してのみ脱帽せざるを得なかった。たぶん観ている人の視点は映画がすすむにつれ、知らずしらずアリスへと向けられていくと思う。そういうふうにつくられている。だから題名は「花とアリス」ではなく「アリス」としてもいいくらいだ。一見無邪気に見えるアリスが、いつまでも大人になりきれない母を支え、離れて暮らす父親を心の底で思慕し、幸せだった頃に帰りたいと願いながら、どうやってひとりで生きていくかを模索しもがいている。その心の澱のようなものが観ているわたしたちの心のなかにもつもってくる。だが最後にバレエを踊るアリスのなかにはその澱が微塵もない。ひたむきに踊る彼女の姿にただ澄みきった世界を感じるのみだ。そこに人生の秘密が隠されていると感じた。どんな状況・環境においても表現するものの心は何にも侵されない。エロいとかロリコンどうこうはこの映画に関してはどうでもいいと思いました。
[CS・衛星(邦画)] 9点(2006-08-09 23:55:02)(良:1票)
98.  ビューティフル(2000) 《ネタバレ》 
サリー・フィールド監督作品ということで観てみました。美人なんだかよくわからないミニー・ドライバーにも興味があったので。よくあるネタじゃんと思いつつも、主役3人の演技にひきつけられ、だれることなく一気に観てしまった。子役のヴァネッサ役の少女がすごくうまい。日本じゃ考えられないうまさだ。いつまでも子どものような大人になりきれないモナをミニー・ドライバーが好演。また何度も不運にみまわれてもけっして音をあげないルビーにエールをおくりたくなる。「幸せなことなんでしょうね、母親に愛されるって」とつぶやくモナに、「そうね」と答えるヴァネッサ。立場がまるで逆転しているところにこの映画のすばらしさがあると思う。そして母親に愛されなくても子どもから愛されることによって立ち直っていくモナに希望をみる。エンディングはご都合主義といわれれば、もちろんそうなんだけど、でもいいじゃない、こんなにがんばったんだもん。でもあそこで失格になって、それでもちゃんと生きていけることを示すことができたら、もっと深い映画になったかも…。 
[CS・衛星(字幕)] 7点(2006-06-24 22:36:25)
99.  トニー滝谷 《ネタバレ》 
すごく実験的な映画だと思う。淡々と続く朗読、主人公二人の二役、不思議な透明感のある映像、全編を流れる坂本龍一の音楽。抑制された演技も素晴らしい。しかし、、映画としてひとつの成り立ちを考えると???となってしまうのは、つくり手の及び腰が画面にでてしまっている感があるからだと思う。原作者に気を使い、俳優陣に気を使い、教授にも気を使い…という監督の姿勢がほのみえて、せっかくの試みをつぶしてしまっているような気がする。唯一輝いて見えたのは宮沢りえ。わたしはこの映画で彼女の才能の底知れなさを感じた。トニー滝谷がジョギングをしていたり、どんぶり一杯のサラダを食べているシーンでは、どうしても村上春樹を彷彿とさせてしまって、それがいいんだか悪いんだかよくわからない。それから坂本龍一の音楽はこの映画にかぎってはわたしにはうるさかったです。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2006-06-15 07:36:47)
100.  バタフライ・エフェクト/劇場公開版 《ネタバレ》 
カオス理論を題名にしちゃって、なんだか大げさな感じですが、映画自体はそんなに大層なものではありません。何やってもうまくいかなくて、自分の予想とは違う結末になってしまうという、とてもリアルな設定。実際人生ってそういうもんですよね?こういう設定を考えたことは確かにすてきなんだけれど、でもそれによりかかってしまって、単なるアイデアだけの映画になってしまっているのが残念です。最後ケイリーとかかわらないことで自分も彼女も幸せになるという結末なわけですが、そんなわけないだろうーが。それでも絶対うまくいくはずないじゃないですか。そこのところがお手軽すぎて、ちょっと監督の人生観に疑問をもちました。生意気なようですが。 
[DVD(字幕)] 5点(2006-06-11 09:43:54)
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