81. ゲームの規則
《ネタバレ》 また見てしまいました。滅び行く階級がその末期を意識することなくひたすら呑気な時間を過ごす。これもまた退廃美。巻かれたぜんまいは行き場を失っても力尽きるまで動き続けるしかないのです。どれが真実の恋愛なのか、きっと恋している本人たちですら意識できないし、意識する必要もないのだろう。俳優としてのルノワールは、決してうまくないけど、本当にいい味出してます。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2006-12-23 23:59:20) |
82. ルートヴィヒ(1972)
何度見てもこの四時間が飽きない。非常に贅沢なひととき。ひたすら豊かな時間の流れ。この至福は言葉で説明できません。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2006-12-23 23:52:11) |
83. 若者のすべて
こんなに貧しい生活を送っているのにこんなに端正な顔つきを保っていることなんてできないよと、客観的には思ってしまうけれど、このアラン・ドロンの高貴なる貧しさにはただただ脱帽です。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2006-12-23 23:46:57) |
84. タイタス
《ネタバレ》 最初に映画館で見たときは、とにかく予想以上のグロテスクさで拒絶反応が先行してしまって、冷静に鑑賞出来なかった。改めてみてみると、随所にちりばめられた視覚的趣向の凝り具合にひたすら感心させられた。『タイタス』というのはシェイクスピアの作品の中でもあまり完成度が高い作品とは思わないけど(タイタス自身の性格の欠陥に対する内政が描かれていないんで)、何故か人気の演目でもある。カーニバル的な祝宴に満ちているからなんだろうな。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2007-10-17 05:32:58) |
85. 魔術師
《ネタバレ》 うん。軽く楽しめるベルイマンだ。でもホント言うと、最後の最後に救われないような展開ならもっとよかったなって思ってしまった。ブラックユーモアで終わってほしかった。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2007-10-01 23:47:45) |
86. かもめ食堂
《ネタバレ》 ゆるくてよかった。のんびりしててね。このゆるゆる感が受けたんだろうね。でも、最後の最後に大繁盛のサクセスストーリーになってしまって、そこは、ちょっと違和感。繁盛しないまま終わった方がよかったんじゃないかなって。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2007-10-01 23:45:52) |
87. 若い川の流れ
《ネタバレ》 『乳母車』『陽のあたる坂道』とあわせて、裕次郎-田坂-石坂トリオの三部作と言っていいんじゃないか知らん。でも、この作品が完成度では一番落ちるかな。三作品すべてに出ている芦川いづみ、相変わらずの可憐さだが、この作品の彼女の存在が一番不可解だった。最後に裕次郎から手を引くのなら、最初から思わせぶりなそぶりを見せるなよと、突っ込んでみたくなる。もちろん、それがなければ物語は始まらないのだけど、あんまりじゃあないかな、と思ってしまう。ただ、ストーリーは破綻してるけど、バスの中を俯瞰で映したりとか、面白い試みもあるし、スピーディで飽きないのも確か。 あ、もうひとつの視点から言うと、この作と上記二作とで、「どうしようもない父親三部作」ってくくり方もできるね。何だって、みんな、そろいもそろって、外で女を作るかね? そのうち二作で千田是也が演じているのも興味深い。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2007-09-23 21:35:44) |
88. 博士の愛した数式
《ネタバレ》 よく作ってあったと思う。丁寧なつくりは、黒澤直伝なんだろうな。原作読んでいても、素直に楽しめた。 ただ、原作の、シングルマザーの視点を息子の視点に変えてしまったことで、原作の中にある母の苦悩の描写は薄くなった。原作のそこの部分に共感した身としては、それは残念だ。あと、ルート先生のあの話を教室でじっと聞く中学生は、今時いないかな、とも思う。今時の中坊にはぴんと来ないんじゃないかなあ。実際の中学生の父はそう思ってしまったよ。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2007-09-13 23:01:28) |
89. 夜の河
《ネタバレ》 山本富士子の魅力ぜんっかい。でもちょっと露出の多いショットで二の腕が意外と太かったのが気になってしまいました…(ごめんなさい!) 吉村監督も、女心を描写するのに長けた監督として知られてますが、私の知る限りでは、この作品のように、女心の「純」な部分を前面に押し出しているのがむしろ珍しいように思います。『夜の蝶』っていう、同じ山本富士子主演でよく似たタイトルの作品がありますが、山本vs京マチ子の火花のちらしあい、ってのも、それはそれで見事でした。って、ほかの映画の話をここで書いてどうする!(いや、まだ『夜の蝶』がこのサイトでアップされてないもので。 ほかの方も書いておられますが、色彩が見事です。山本富士子にはこういう純日本風の風景がよく似合う。三隅研次監督の『白子屋駒子』を見たときにもそう思いました。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2007-09-10 21:41:11) |
90. あした来る人
《ネタバレ》 「風船」と同じく、はるか昔に録画したビデオ。昔は民放でも深夜枠ではこういう映画をやってくれてました。すれ違いばかりの内実の伴わない夫婦生活っていうのは、どこか成瀬を連想させます。成瀬のような男と女の内面をえぐり出すような鋭さを期待するのは、この時期の川島雄三には酷なのかもしれませんが、それでもそこそこ面白かったです。三橋達也は、ホント、川島雄三作品では好感が持てない男ばかり演じていて、それが、今となっては新鮮で、むしろ好感が持てます(どういう文じゃ)。 [地上波(邦画)] 7点(2007-09-09 20:31:35) |
91. 乳母車
《ネタバレ》 設定的にもキャスティング的にも(これに北原三枝が加われば)スタッフ的にも(原作&監督)、この後に来る大作『陽の当たる坂道』を予見しているのにびっくり。ていうか、ほとんどリメイクでな?と思わせるかぶり方だよ。キャラクターの魅力っていう意味では『陽の当たる』に負けますが、こちらもなかなか。この映画で宇野重吉の役どころは、あちらでは千田是也。ともに新劇の重鎮なのは、何かの偶然? どちらの映画でも変わらず魅力的なのは芦川いづみ。どちらの映画でも、不幸な役どころが不幸に見えない、稀有な魅力を存分発揮してます! [CS・衛星(邦画)] 7点(2007-08-31 22:02:27)(良:1票) |
92. 泥だらけの純情(1963)
《ネタバレ》 浜田光夫って、こういう危ない、どーしょーもない男のほうが似合うよ。いい子ちゃんの演技は、ちょっと違和感を感じていただけに、つくづくそう思った。 この手の身分違いの男女の恋って、古今東西、繰り返されてきたけど、やっぱり圧倒的に幸せには終われないのだなあ。 ただ、ヌーベルバーグの生みの親みたいに語られる中平康だけど、この映画の時点では、ヌーベルバーグに追い抜かれてしまっているかな。ゴダールもトリュフォーも撮りそうな話だけど(いや、実際撮ってるか)、彼らのような覚めた視点が、もう少しあったらなあ。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2007-08-07 22:56:32) |
93. 草を刈る娘
《ネタバレ》 かつての日本にこういう世界が展開していたことに、まず驚いた。夏の間にひたすら草を刈って、秋になったら去っていくって、モンゴル映画とかチベット映画とか、そういう世界だけのことじゃないんだね。 また、下の方も書いておられるような、糞だとかしょんべんだとか、そういう言葉が吉永小百合自身の口から、あるいは、その周りで口にされるということが、とにかく驚いた。いやあ、昔はアイドルにもこんな演技をさせて平気だったんだねえ。この手の文字通りの泥にまみれた演技を経て、今の吉永小百合はいるんだねえ。それがわかったことが最大の収穫かな。 破綻だらけの映画だとは思うけど、こういう驚きがあると評価が甘くなってしまうのです。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2007-08-07 22:43:48) |
94. 風と樹と空と
《ネタバレ》 別の映画のところで書いたけど、吉永小百合ってあんまり好きじゃない。特にいわゆる代表作の、完璧にサユリストの偶像になっているような演技は、ちょっと入っていけない。しかし、この映画は知らない吉永小百合が見られて、映画の展開としてはどうかと思うところもあるけど、全体的ににんまりしながら見ることができた。何しろ酔っ払ったり、やきもち焼いたり、いろいろな表情が見られて、ああ、吉永小百合ってこんな演技も昔はしたんだ、っていう意外性があったですよ。 東北からの集団就職から始まって、あれ?何だこのデジャブ?って思ったら、『Always』を先に見てしまったが故の、逆転現象。でも、この小百合のズーズー弁は堀北真希よりもよかった。 あともうひとつ、浜田光夫とハッピーエンドに終わらないってところ、展開としてはどうかとも思うけど、意外性という点ではよかったかな。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2007-08-07 22:35:29) |
95. 助太刀屋助六
賛否が極端に分かれてますね。でも、90分の小品としては、十分楽しめたかな。製作に当たっている映像京都は、大映が倒産したあとに残ったスタッフや監督たちが立ち上げた、プログラムピクチャーを支えた職人集団。市川版の映画版『帰ってきた木枯し紋次郎』や、最近の山田洋次監督の時代劇も支えている。今回もかつての大映映画を思い起こさせる職人芸が光ってる。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2007-07-17 21:28:33) |
96. 独立愚連隊
勝新の兵隊やくざシリーズと同じ世界観。こちらもなかなか面白い。しかし、三船、あの出番の少なさとあのキャラはないだろう。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2007-07-17 21:21:01) |
97. ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団
《ネタバレ》 脇の達者な役者たちがしっかりとした芝居をして画面に緊張感を与えているのは、毎度のことだけど、今回は特にそれが際立っていた。まあ、子供に付き合って吹き替えで見てしまうと、その味わいも半減なんだけどさ。ヘレナ・ボナム・カーター、近頃ますますキワモノ女優になってきた。好きな女優さんなんだけどなあ。でも楽しそう。 [映画館(吹替)] 7点(2007-07-17 21:19:39) |
98. 座頭市逆手斬り
《ネタバレ》 名匠森一生のシリーズ2度目の登板。でもそれより何より、本作は藤山寛美の魅力に尽きるかな。でも、後半、出番がなくなってしまって、これは残念。というか、やくざの息子なんて設定になってるのだから、市の最後の立ち回りにももう少し絡めたのではないかな、と思ってしまう。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2007-07-01 22:19:54) |
99. 座頭市喧嘩旅
安田公義監督って大映の監督の中でも語るのが難しい人だ。可もなく不可もなく。平均点の人。でもこういう人の仕事がシリーズを支えてきたのは言うまでもない。本作も座頭市シリーズのクリアすべき水準は保っているんじゃないだろうか。敵役が弱いといえば弱いけど。藤村志保もヒロインとしてはめそめそしていて弱いかな、とも思う。でも、ラストの、出入りの両家を的に舞わしての立ちまわりはなかなか見応えがあった。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2007-07-01 22:14:50) |
100. 座頭市あばれ凧
そんなに悪くないと思うな。平均点。前作に続いての登板、池広一夫は何となく劇画チックだけど、活劇としては非常にテンポがある。まずまずかな。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2007-07-01 22:08:18) |