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民朗さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1317
性別 男性
ホームページ http://minrou.seesaa.net/
年齢 36歳
メールアドレス baker221b@live.jp
自己紹介 全体的に甘めの評価になりがちです。
当然映画のジャンルによって評価にバラつきがあります。以下参考までに……。

評価が高くなりやすいジャンル:ミュージカル、B級アクション、ロマコメ、バカコメディ
評価が低くなりやすいジャンル:ミステリー、サスペンス、ラブロマンス

基本的に過激な映画が好きです。暴力的な意味でも、性描写的にも、人間性の描き方でも
どれだけ感動的な映画であっても尖った所が無い映画より、過激な表現がある映画の方を評価しています。

13.4.27(追記)……TOHOシネマズが6月1日から高校生料金を1,000円にするとのこと。
今は若い方が映画館に少ない状態なので大変素晴らしいと思います。
(日本の料金はそもそも海外に比べて高すぎる。価格も一律で決められているから劇場間の競合も生まれにくい)
でももうちょっとシネコン自体が上映する映画のラインナップを改めた方が良いのでは。
客が集まる邦画をバンバンかけるのは経営としては正しいけれど、いつか必ずしっぺ返しが来るのは判り切っていることなのに。

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81.  椿姫(1937) 《ネタバレ》 
元々ヴェルディのオペラであるだけあって、お話は古典中の古典。今観れば娼婦のラブロマンスというのもなんら珍しいものではありません。とは言ってもグレタ・ガルボ演じるマルグリット美しさは格別。 あと元が大変有名なオペラであるので仕方がないのかも知れませんが、筋をとにかく追いかけているような印象を受けました。何か映画ならではの要素を取り入れても良かったのではないかなと。
[DVD(字幕)] 6点(2014-10-03 23:08:14)
82.  サニー 永遠の仲間たち 《ネタバレ》 
ド直球の青春映画。過去と現在が並行して描かれ、段々とキャラクター達に深みが増していくという構成自体は、結構いろんな映画で良く見ますが、矢張り良い効果を生んでいると思いました。特に終盤の未来の自分たちに向けたビデオレターの場面は、それまでキチンと明るい未来を夢見ていた少女時代と、厳しい現実の中で生きている大人時代を描いているだけあって、かなりグッと来てしまいました。誰だって100%の理想の人生を進めるわけないですものね。 但し、結構力技で欠点を無視してる点もあるなとも思いました。例えば、主人公が頭がいいって設定はあんまり活かされない。作劇的には絵が上手いで充分です。初恋のイケメンとのロマンスは少女たちの友情物語に無理に挿入している感が否めず、なんかその部分だけ他と浮いているなぁとも思いました。そもそも余命2か月のガン患者を街中の喧嘩に巻き込んでいいのか、というか喧嘩できる程元気なのか、とつい気になってしまいましたね。それから結構な人が気になる部分でしょうが、最後に遺産が皆に分与されてメデタシメデタシってのはどうかと。死んでしまったリーダーをみんなが改めて目標にして新たな人生を自らの力で築いて欲しかったです。 まあそんな野暮な不満点を吹き飛ばすのが、最後のダンスシーンですね。これぞ青春。
[映画館(字幕)] 7点(2014-10-02 07:06:42)(良:1票)
83.  チョコレートドーナツ 《ネタバレ》 
骨太な感動作でした。ダウン症とゲイのカップルという二つのマイノリティー要素を取り入れながら、世に未だ蔓延る偏見をそれに伴う悲劇を描いています。マルコの為の裁判が、いつの間にかゲイのカップルの監督責任能力の有無についての話に、敵の弁護士が誘導する様には本当にアタマに来ました。日本ではあまり問題視されていないような話でしょうが、未だにゲイに強い偏見が残っているアメリカ、しかも70年代ですから、そのストーリーも非常に実在感あるものになっています。 最後の新聞記事が同封された手紙の演出は素晴らしいと思います。映画を観ていると当然私たち観客は主人公であるルディとポールに感情移入しながら、世間のアレコレに憤りを感じてしまっている訳ですが、あの手紙のシーンで突然ポールから私に語っているかの様に思えました。だって大多数の人々はダウン症の子どもを養っている訳ではなく、同性愛者でもない。結果としてそういう人たちがマルコを死なせてしまったのですから。逆に言えばあの手紙を受け取った人たちの内の一人でもマルコのためを真剣に考えればマルコは死なずに済んだでしょう。そういう部分でも色々と観た後に考えてしまう映画でした。
[映画館(字幕)] 8点(2014-09-27 22:24:57)(良:1票)
84.  猿の惑星:新世紀(ライジング) 《ネタバレ》 
あ~、泣いた泣いた。劇場でこれだけグズグズ鼻に来てしまったのは久し振りです。泣ける映画=良い映画という訳では勿論ないですが、素晴らしく、また悲しき映画であったと思いました。 恐らく方向性はキューブリックの『2001年宇宙の旅』を目指したのだと思います。オープニングのシークエンスの音楽が、同作の猿人がモノリスに触れ進化するシーンや、ボーマン船長がスターゲートをくぐり、より高次の存在=スターチャイルドに進化するシーンの音楽と似ていますし、なにより猿が人間へと進化することの罪を描いた作品でもあるのですから。 本作で猿たちは自らに不可侵のルールを設定しており、それは“Apes do not kill apes”というフレーズとして度々挿入されます。人間と動物の違いは何か?という問いに対し、一つの意見として、“人間だけが同族同士で殺しあう。他の動物は同族を意味無く殺さない”という意見は良く耳にしますね(実際には一部の動物は同族殺しもします)。少なくともこの映画では、人間性を得るということは、「同族を殺すこと」=「戦争をすること」として捉えられている。 大変悲しかったのが、最後にシーザーが、猿たちの集団でファシストになってしまったコバを殺す場面です。コバも味方の猿を殺してしまいますが、それは人間たちを殺られる前に殺るという非常にラジカルな思想に基づくものでしたが、シーザーは人間との共存を望んだのにも関わらず、同族を殺さなければならなかった。 リーダーのシーザーが同族を殺し、猿が人間と対等になったことで、このシリーズは新たな局面を迎えることでしょう。最早、猿たちは「コミュニティは皆家族」と言う様な、本作のオープニングに描かれる平和な理想郷は恐らく二度と築けない。 猿たちは最後に夜明けの前に立つ。その夜明けは明るいが、それは血塗られた猿たちの歴史の始まりに過ぎないのだと思います。そして全ての争いは他者への無理解・他者とのすれ違いによって生じることまでも丁寧に描いている。猿の進化を、人間が大地に生まれてから連綿と続いてきた戦争の歴史に喩えて描いた、新しい戦争映画の傑作だったと断言します。
[映画館(字幕)] 9点(2014-09-22 16:13:03)(良:1票)
85.  小悪魔はなぜモテる?! 《ネタバレ》 
劇中でも何度も言及されていますが、本作のモチーフはアメリカの小説家ナサニエル・ホーソーンの名作『緋文字』です。ホーソーン自身は魔女狩りが起こったことで悪名高いセイラムの出身であり、『緋文字』には彼が抱えていたピューリタニズムへの批判がありありと見て取れるのです。 だから本作を理解するには根底にキリスト教の存在が色濃くあることに気付かなくてはいけません。そうでなくてはラブコメとしては凡庸であるし、イジメを描いた物語としては悲劇性はそれほど強くないし、青春映画としてもそれ程傑出した内容と言わざるを得ないでしょう。 姦通は果たして罪であるかどうか?噂が伝播しそれを糾弾する生徒たち。その根っ子にいるエヴァンジェリストたち。彼らたちが神を賛美する歌を歌いながら燥いだり、悪魔のマスコットを排他すべき対象としていることは何も冗談ではありません。アメリカには実際にああいう人たちがいます。ゲイの男の子が苛められているというのもここに真の理由がある。劇中で生徒会長の一派が「我々がどれだけ祈りを捧げても、ゲイやアバズレは罪を重ねるのよ」と言っているのですから。結構軽い学園コメディにこういう要素を入れるセンスには脱帽です。 演出面では、コメディとしてもパーティーでヤッてる振りをする場面を筆頭に中々楽しかったです。終盤に出てくるミスリードにもまんまと私は嵌ってしまって上手いなあと思いました。 個人的にちょっと残念なのは、エマ・ストーンがとっても可愛いとはいえ、矢張りファーストカットの時点でとても地味子に見えないことです。この映画は矢鱈と『ブレックファスト・クラブ』にオマージュを捧げているシーンが多いと思ったのですが、それなら同作で地味子を演じたアリー・シーディ位のビジュアルで登場してから、変身して欲しかったですね。まあエマ・ストーンは魅力的に映っているし別に良いと言えば良いのですが。ちょっと気になりました。 ああ、言うまでもないですが邦題のセンスは0点。別に小悪魔でもなければ、モテている訳でもない。
[DVD(字幕)] 7点(2014-09-21 22:59:03)(良:3票)
86.  マイ・フェア・レディ 《ネタバレ》 
この映画は二人の人間の成長を描いていますね。一人は当然ながら花売り娘のイライザ。訛りが酷く、上流階級にでても恥ずかしくない言葉を話すべく努力する姿は魅力的でかつ面白いです。彼女がスパルタ教育にイラついて「ア"ア"ー!!」って叫ぶだけで面白いからズルいですね。 んで彼女は結局ヒギンズ教授に賭けを勝たすだけの上達を見せるのですが、そこでチャンチャン♪と終わらないところが良かったです。キチンと上流階級の主役は男であり、女はそこで品評会に出されて娶られるのが唯一の役目ということを確りと描写し、そんな世界を疎ましく思うイライザも描く。こういう世界は今もあるでしょうし、当時のイギリスなら尚更でしょう。 もう一つはヒギンズ教授の成長。イライザの話が終わったと思ったら、ヒギンズ教授にもスポットライトが当たるので良い意味で驚きました。彼が序盤から利己的で独善的な男と描写されていた伏線が良く効いています。女心が分からない、いい年したオッサンがイライザを求めて右往左往する姿は笑えます。 そして今日ではスタンダード・ナンバーとして知られている「I Could Have danced All Night」を元気に唄う(吹き替えですが)このシーンがあるだけでミュージカルとしてはOK。オードリー・ヘプバーンの持つ少年性が活かされた名場面でした。 しかしちょっとばかし上映時間が長いことが気になりもしました。特にイライザの父親とピカリング大佐はストーリー上で絶対に必要な役柄ではないと思えるので、父親のダンスシーンや大佐が知古の友人に電話をするシーンなどは映画化に際し切っても差し支えなかったのではと思います。 とは言っても、老若男女問わず楽しめ、且つ味わい深いストーリーを内包した、ハリウッド映画の良さを存分に感じられる作品と思えました。
[DVD(字幕)] 8点(2014-09-19 23:24:53)
87.  ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー 《ネタバレ》 
観終わった後に真っ先に思ったことは「尺が足りてない……」ってこと。いや、脚本も良く出来ていて一見はキチンと始まりから終わりまで綺麗に収束していると思うのですが。なんたって個々のキャラクターが魅力的すぎる。正直テレビシリーズか何かで1クルー使った様な作りの方が良かったかなーと思いました。こういうチームもので宇宙を股に掛ける大冒険なのだから、一つ一つの惑星で魅力的な面々が段々と登場し、各々の勝手な動機(金儲け、復讐、等々)により、仕方なくチームを組む。当然チームワークはバラバラですが、シリーズ終盤で悪役が銀河を滅ぼせる力を持ってしまい遂に一致団結!……となればアガると思うのですが、今回の2時間の映画ですと、たった1時間で彼らが一致団結するまで持っていくので正直唐突に感じました。「お前らそんなに仲良かったの?」って。 少なくとも悪役のロナンがなぜあの惑星の人間を根絶やしにしようとしているのかの理由は絶対に必要でしょう。悪役の動機なんだから。父と祖先を殺されたとかセリフで説明されても具体性がないので分かりません。あとはガモーラとネビュラの関係性も映画だけだとイマイチ分からない。確執があるなら映画内で描いてくれないと因縁っぽい対決にも燃えない。 あとそろそろラスボスが「強大な力をもってるのになぜか使わない」って展開止めませんかね。ラストバトル近くで軍隊が敵の戦艦をシールドで守って抵抗し敵幹部も焦ってるので「やった!」と思っていると、終盤近くになって急にラスボスが杖振るだけで全壊するって……。最初からやれよ。若しくは、その杖を振るにはパワーをチャージする時間が必要とかの時間的な制約を付けるとか工夫してほしい。最後に仲間で手を繋いでいってパワーを制御できるって理由も良く分からん。ロナンが「一体どういうことだ、なぜそんなことができるんだ」って驚いてましたが、私も全く同じ気持ちでした。それに対する主人公の答えが「俺たちはガーディアンズ・オブ・ギャラクシーだからな!」ってそれ理由か? お気楽なナンバーの数々は作品の軽いテンションとマッチしていてとてもよかったです。ランナウェイズの「チェリー・ボム」で出撃するって新しいですね。ここは燃えました。
[映画館(字幕)] 6点(2014-09-17 07:15:02)
88.  アニー(1982) 《ネタバレ》 
個々のキャラクターに芸達者な役者を起用しているのに、イマイチそれを活かし切れていない様に思えます。ティム・カリー演じる悪役も、単なる悪役に過ぎず、可也拍子抜け。だってあの『ロッキー・ホラー・ショー』のフランクフルター博士ですよ?もっとミュージカルなんだからおいしい使い方があるだろうに。 憎めないオールドミス、ミス・ハニガンを演じたキャロル・バーネットも素晴らしい演技だっただけに、最後まで奥深いキャラクターにならなかったのは残念。終盤で「何も殺すことはない!」と弟に懇願していましたが、そこに至るまでのステップ無いから唐突に感じます。2015年に公開されるリメイク作では非常に改善してほしいところ。 あと、子ども向けのファミリー映画であろうに、ダンスシーンでは結構の女性がスリットの大きく開いた際どいスカートで躍るのでびっくりしてしまった。まあセクシーで観てる分にはいいんですが、監督の趣味か?
[DVD(字幕)] 5点(2014-09-17 06:49:06)
89.  ブレックファスト・クラブ 《ネタバレ》 
青春映画の傑作と言うことで可也ハードルを上げた上での鑑賞でしたが、その期待を裏切らない出来の映画だったと思いました。 所謂スクール・ヒエラルキーを描いた草分け的な作品なのでしょうか、出てくるキャラクターは教師と用務員を除けばたった5人、ジョックス(体育会系ヒーロー)、クイーン(誰もが憧れる女学生)、ガリ勉、不良、不思議ちゃん(バスケット・ケースって原語はヒドいですね)。しかしそれぞれに等身大の悩みがあり、それを普段の学生生活では絶対に交わることのない者たちに打ち明けていく。 この映画が優れている点は上の様にレッテルが張られている学生生活の役割で簡単に割り切れるもんじゃないことを教えてくれるところだと思います。だから彼らは「自分とは何か?」という題の作文を遂に作れなかった。レッテルなんてどうでもいい、自分は自分だ。 唯一気になったのは、アリー・シーディが演じた不思議ちゃん。彼女は最後にクレアにおめかししてもらって変身しますが、どうにも上記の様なテーマなら最後まであの風変わりな見た目でいてほしかったです。変身することが、彼女にとって他者と交わる大きな一歩を表していることは分かるのですが。 あとマリファナを吸うシーンがあって、結構恐々吸っているのも面白いですね。昨今のアメリカ映画ではティーンがマリファナを吸うなんて普通に出てきますが、30年前はまだまだイケナイことをしている意識が強かったのだなぁと。勿論今でもライセンス無しではホントはやっちゃいけませんが。
[映画館(字幕)] 8点(2014-09-15 09:11:35)
90.  舞妓はレディ 《ネタバレ》 
この映画には二つの大きな軸があります。一つは京都の芸者、舞妓のジャンル映画としての側面。もう一つは方言ギャップコメディとしての側面。それにミュージカルを加えて、かつ違和感なくどちらの要素も充分に描いている、これは大変凄いことだと思います。丁寧な脚本じゃなきゃ絶対にどちらかがお座なりになるか、どちらも半端な出来になることでしょう。 私は濱田岳演じる大学院生と同じく舞妓さんも所詮は水商売の一つと思っていて、キャバクラや接待など、仕事が介在する酒の席は正直気苦労しか感じたことがないので、所謂芸妓さんの世界には興味も憧れも無かったのですが、舞妓さんのお稽古の大変さ、男衆という芸妓・舞妓の身の回りの世話・着付けをする専門の職業があること、なぜ一見さんは断られるのか、舞妓さんのアルバイトを雇わないといけない状況、等舞妓さんにまつわる薀蓄は初めて知って面白かったです。 またミュージカルでありながら、着物でお遊びをする芸妓さん・舞妓さんの美しさはキチンと描いている点が非常に好印象でした。着物で現代的なダンスをする舞妓さんも面白かったけど、要所要所で入る舞妓さんの舞踊の美しさも忘れていない。特に富司純子さんは素晴らしい立ち回りで、その舞踊の一挙一動の艶やかな動きには惚れ惚れしました。まるで上村松園の美人画を見ている様で眼福でした。歌舞伎もそうですけど、ああいった舞踊ってキメがあって見栄を切るから、独特の美しさがありますよね。現代的なミュージカルシーンに安直に混ぜず大正解。 ちょっと残念だったのは主演に抜擢された上白石萌音さんが大変歌が上手であるのに、その歌の尺がやや物足りないこと。特に長谷川博己演じる言語学者への恋を自覚した時に、花街の真ん中で歌うシーン(照明が実に良かった!ただの街がいきなり舞台に変貌する感じ!)は物語上でも重要な筈で、そのスコアも良かったのに結構あっさり終わってしまう。もう少しじっくり歌を聴かせてほしかった。 後はややストーリーが予定調和に進み過ぎる感もありますが、真っ当な青春映画としてはこれくらいが丁度良いかも知れません。芸に厳しい人はたくさんいるけど、真の悪人が一人もいないというのも良かったですね。舞妓さんの魅力を今に伝える良作だったと思います。
[映画館(邦画)] 8点(2014-09-14 22:48:21)(良:1票)
91.  アメリカン・グラフィティ 《ネタバレ》 
ほぼ平成生まれの身としてはジョージ・ルーカスといえば『スター・ウォーズ』シリーズしか知らず、更に劇場では悪評も多い新三部作しか見たことがなかったので、この作品には驚きました。こんな優れた青春群像劇を撮ってた人だったのですね。 青春映画らしく非常に成長というテーマを真摯に描いた作品ですね。どの登場人物も初登場時とは一夜の小さな街での冒険を経て、その心情が大きく変わっている。オールディーズナンバーに乗せて青春を描いているので、懐古趣味的な映画として受け止めている方が多いと思いますが、寧ろ「あの頃はよかったな」という望郷からの脱却ともいえると思います。 最も興味深いのは所謂ツッパリでカーレースに興じているジョン・ミルナーです。彼は最後にカーレースの勝負に勝ちますが、その後に「マシンの性能では負けていた。本来なら敗者だった」と呟きます。彼も自分がそろそろツッパリを卒業しなければいけない、若しくは街の外に出てレーサーとしてキチンと経験を積まなければいけないことは理解している。それでも最後に「いや、君は確かに勝っていたよ!」と励まされ、もう少し地元で頑張ってみるかという表情を浮かべる。本当にこれからの彼を応援したくなりましたね。 その後にエンドロール前で彼らのその後が簡単にテロップで流れますが、彼が自動車事故で亡くなったのは非常に悲しかった。人生の悲哀を感じます。
[映画館(字幕)] 8点(2014-09-08 08:10:54)
92.  るろうに剣心 京都大火編 《ネタバレ》 
問答無用に面白かったです。前作に続き漫画原作のアクション映画としては上手くできていたと思います。今作に入って、敵もより豊富になり、瀬田宗次郎を始めとして漫画では表現できても「こんな敵の能力をどうやって映像化すんねん……」と思っていましたが、そこは殺陣の取り方を工夫しているので余り違和感を感じませんでした。 問題は当然ながら二部作として作っているので話が寸断されている感が強いことでしょうか。クライマックスに配置されている京都大火も結局は不発に終わっており、やや物足りない感じもありました。それから前作と同様ですが、薫役を演じる武井咲が全く武道を嗜む人間に見えないのは可也残念。弱弱しそうだからどうせ誘拐要因なんだろうなーと思っていると、案の定簡単に拐かされてしまう。矢張り一貫してヒロインと言うよりは足手まといと思ってしまうシーンが多いです。 あとは後編の出来次第という話になりますが、キャラクターを沢山投入しており、それをキチンと消化できるのかはやや不安ですね。
[映画館(邦画)] 7点(2014-09-08 07:27:16)(良:1票)
93.  イントゥ・ザ・ストーム 《ネタバレ》 
すっごく楽しかったです。終わり。……では味気無いので良かった点を箇条書き。 1.主役が竜巻(台風?)ということを理解している。騒動に巻き込まれる人間を一通りスピーディーに描いた後は、基本的に凶暴な竜巻の挙動にハラハラするのみ。最初は一つ二つだった竜巻が、どんどん増えていき、最後には超巨大になるって展開もモンスター映画の定石を採っている様で観ていて非常にワクワクしました。 2.阿呆は直ぐにフェードアウトしてくれる。こういうパニック映画では「え?なんでそんな行動するの?明らかに危ないし、脚本の都合じゃねーか」と毒づいてしまう作品が多いですし、本作でもYouTubeにビデオをアップしようとしているバカ二人組が出てきますが、竜巻の凶暴さを身を以て観客に教えた後はさっさと本編から除外されるので良かった。ああいうキャラが終盤まで足を引っ張ったり周囲を混乱させると凄くムカつくので。もう一人、ビデオカメラを取りに行こうとして、炎の竜巻に巻き込まれちゃう男もバカと言えますが、その行動はビデオクルーのリーダーに諭されての事で、その後にリーダーが自分の軽率な行動が引き起こした結果を見つめ直すことで、その犠牲がストーリー展開にまで寄与している。実にうまいなーと思いました。 3.人間のモラルが真っ当なこと。そこういう災害映画の場合、大抵学者とかが調査のためにその災害に“自分から”巻き込まれるという体で、ストーリーを成り立たせようとしますが(命の危険があればプロでもなんでも逃げるべき、本作のリーダーみたくそれに憑りつかれている訳じゃない限り)、本作の場合、息子を助けに行く父親を登場させることで、そのストーリーに無理が生じていないと思います。そりゃ「息子の命が危ないから災害なんて関係ない!」と言われれば観客も納得するしかありません。 ……最後にバカ二人組が生きていたってオマケは正直要らなかったかなーと思います。
[映画館(字幕)] 7点(2014-09-03 17:17:30)
94.  TOKYO TRIBE 《ネタバレ》 
園監督の作風は大きく分けて二種類あると思います。落ち着いたリアリティのある作品と、エキセントリックな作品です。 さて、エクセントリックな方の作品では、とにかくやりたいことを詰め込んでいる様な、謂わばタランティーノ監督の『キル・ビル』の様な作品が多いのですが、私はその作風には非常に好感を持っています。観客の目線・ウケを気にして凡庸な作品を作る、簡単に言うと最大公約数的な作品を固持する監督よりも、1%の観客でもいいから途轍もない感動を与える園監督の方が遥かに好きなのです。 今回は単に1%の人間に入らなかったとも言えますが、納得できない点を述べてみたいと思います。 まず役者さんたちのオーバーアクト。園監督の映画において役者の演技がエキサイトしているのは何時ものことですが、殆どの作品において最低限のリアリティラインは、少なくとも作品世界内で守られていたと思う。しかし本作の場合、竹内力を初めとして、怪演と言うには余りにもやりすぎな演技をする。かと思えば佐藤隆太などはそれなりに普通に演技していてどうも、そのラインが一致していない。そもそもラップ少女を筆頭に顔芸を映画で見るのは好きではありません。面白くないよ。 次は話が単に詰まらないという問題。「いろんなチームが団結して悪い奴を倒しました。終わり」と物凄く単純。しかもチームが団結する理由が、佐藤隆太演じるテラさんが死んだからですが、テラさんがどういう風に好い奴だったかも大して描写されないので、とても展開が性急に感じる。もっと分かり易く言えば、個々のチームがノリで行動しているとしか思えず、中学生的なバカ騒ぎを観ているようで恥ずかしかった。 園監督の映画は、いくらエキセントリックとは言え、登場人物の行動に確固たる意志があり、だからこそそのパワーに圧倒されつつも感情移入してしまう部分が魅力と思っているのですが、本作の登場人物には一切のめり込めませんでした。主人公的ポジションの海にも大した意志は無いんですもの。「LOVE&PEACE」とか言われてもね。悪役と言えるメラの行動原理も結局は「海のチンポは俺よりデカイ」という心底アホらしい理由でしかない。アホらし過ぎてちょっと笑いましたがね。そんなアホらしさは観て1日で忘れる。 本作には一切乗れなかったのが本心です。日本語ラップでミュージカルというのは初めて観たし、退屈はしませんでした。
[映画館(邦画)] 4点(2014-09-02 03:44:33)(良:1票)
95.  戦場でワルツを 《ネタバレ》 
アニメーションの可能性を広げた画期的な傑作、と言っても過言では無いかと思います。恐ろしくも、素晴らしい。 まず恐ろしいのは、作中で語られるレバノン紛争に関するインタビューにおいて、証言者たちの戦争に参加している“動機”がスッポリと抜け落ちていること。少なくとも劇中では「何故彼らは戦争に参加していたのか?」は語られない。大義なき闘争・戦争、これは怖い。それは主人公も同様です。するとどうなるかというと、主人公はその記憶を失う。証言者たちは淡々と記憶を語るが、その様子はまるで劇中でPTSDの心理学者が語る「カメラのレンズごしに見ている」状況に他ならない。彼らは現実に触れていないのです。 さて、現実に触れていないのは観客も同じです。たとえどんなに臨場感に溢れた戦争映画『プライベート・ライアン』だろうが、『ブラックホーク・ダウン』だろうが、『プラトーン』だろうが、我々はレンズ越しにその戦場を傍観している意識をどこかで持っている。しかしアニメーションというのは不思議なもので、実写ではないアニメという手法で語られることで格段にその戦場の風景は現実味を帯びる様になる。少なくとも私はそう感じました。イメージとしてはノンフィクション・ノベルを読む時に実際の映像を想像してしまう感覚に近いかと思います。 ただ、そうは言ってもアニメーションもレンズ越しに創造した映像であることに変わりはない。……が、最後にアニメーションの映像と実際の映像がオーバーラップする。サブラ・シャティーラの虐殺によって、居場所を失い廃墟の前で泣き叫ぶ女性、道端に山の様に積まれ転がっている死体の数々、そして頭部と手だけ瓦礫から覗かせている少女の遺体。そこで唐突に映画は終わる。正に観客は最後に現実に触れてしまった。これは地獄だ。 普通はFLASHアニメーションというと、最早時代に逆行した手法の様に感じますが、本作の様に淡々と戦場の様子を語ることが必須の作品においては実に効果的であると思いました。
[DVD(字幕)] 9点(2014-08-23 07:04:26)(良:1票)
96.  マイネーム・イズ・ハーン 《ネタバレ》 
非常に丁寧に作られている作品だと思いました。しかしこれは皮肉も込めた意味としてです。とにかく判り易い演出で感動を誘う作りになっていると思います。劇的なシーンで繰り返されるスローモーション、深刻な場面(9.11テロの場面やサミールが暴行され命を落とすところ、ハリケーンがジョージア州を襲う場面など顕著)で鳴る深刻な雰囲気の劇伴。あたかも観客に泣けるシーンを教えているかの様です。そういう演出が全面的に悪いとは思わないですが、要は使いどころを絞ったほうが効果的だと思うのです。 脚本には無駄が無く上映時間が長いとはいえ、単に9.11後のイスラム教徒への差別を描く前にハーンとマンディラのロマンスをキチンと丁寧に描いていたのは好印象です。但し、穴が無いとはとても言えず、特にテレビクルーが何故かハーンの居場所を中々突き止められないのはおかしい等の突っ込み点もあります。当時でもSNSをはじめインターネット社会な訳で、あれだけ全米で話題になった人物なら目撃情報は山程転がっている筈でしょう。 とは言え、イスラム教への差別を描いた作品をヒンドゥー教徒が多数を占めるインドで作られていること、主人公がアスペルガー症候群(具体的な症状を描写している点も良い)であること、イスラム教への偏見とその解消をブッシュ政権からオバマ政権への交代に象徴させていることなど、意欲的な作品であることは事実ですし、そういう映画がヒットしたことは実に有意義なことでしょう。
[DVD(字幕)] 5点(2014-08-22 00:31:40)
97.  ガメラ3 邪神<イリス>覚醒 《ネタバレ》 
三部作として作られた映画の場合、大抵一作目、二作目が傑作・良作であることに対して、三作目が平板な作品に成り下がってしまう場合が散見されると私は思っています。多分ですが、それは完結編として無理にでも終わらせてしまわなければならない、シリーズで撒いた全ての種を全て回収しなければならないという脚本上の必然から来ていると思われます。 本シリーズも例に漏れず、そういうバランスの作品になっていて、無理矢理にでもガメラが発生するメカニズムとそれに呼応して目覚めるイリス、マナの不足によって大量発生するギャオスが描かれますが、メカニズムを明らかにしたことによりガメラの神秘性が薄まってしまっていることは否定できません。 最後の打ち切りみたいな終わらせ方も個人的には好きではありませんでした。
[DVD(邦画)] 5点(2014-08-19 19:55:26)
98.  ガメラ 大怪獣空中決戦 《ネタバレ》 
95年というとCG技術が徐々に進化を遂げ、それに伴い特撮技術の軽視(衰退ではない)が進んだ時期だと何となく想像できます。そんな中で作られた平成ガメラ三部作のその一作目。まあ兎に角素晴らしい出来の映画だと思います。巨大な生物ガメラとギャオスが街の其処に居るという実在感、ハードな都市破壊描写、政府と鳥類学者との舌戦、等々明らかに「大人の鑑賞に耐え得る重厚な特撮映画」を目指しているのだなと思い、その志には心底感心しました。 とりわけ、終盤の化学工場の上で繰り広げられるガメラとギャオスの最終決戦は素晴らしく、主人公たちと一緒にガメラの戦いをまさに対岸から観ていると錯覚する程の実在感ある名場面でした。
[DVD(邦画)] 8点(2014-08-19 19:48:19)
99.  LEGO ムービー 《ネタバレ》 
これだけは誰もが認めるところだと思いますが、LEGOの世界を映画にしたアニメーション技術はとにかく素晴らしいし魅力的です。LEGOの設定を活かしたアニメーション、その魅せ方に何度も唸らされました。 但し、観終わった後の印象としては幾分引っかかる点があったことも事実です。一つはギャグの問題。単なる好みかも知れませんが、ひっきりなしにギャグが連発され、その多くが所謂小ネタのギャグなので、思ったより気持ちよく笑えませんでした。色んな映画のパロディネタがジャンジャン入っているのは一応面白くはあるのですが、なんか"最終絶叫計画"シリーズにも通じる脈絡の無さというか、「バットサインですよ、面白いでしょ?クリプトナイトのネタ面白いでしょ?ハン・ソロとチューバッカが出てるなんて面白いでしょ?」っていわれても、その作品のパロディが入ってくる理由が特に無いので余り面白く無いなぁと。あえて言えば、後半に明かされますが、子どもが作ったギャグって感じでしょうか。それを好意的に解釈すれば良く出来ているのかも知れませんが。 あとは「本編は神(人間の男の子)によって操作されていた」というオチですが、それならどんな理由があろうとも主人公が父親の前で気付かれないように動いたりしたら駄目だと思うのですが、それなら『トイ・ストーリー』と一緒になっちゃいますけど、そういう世界観じゃないでしょ?この映画。 一番の問題は「LEGOの世界がアニメーションとして動いてるー!スゲー!!」とはなりますけど、アクションの演出や感動シーンの演出は至って平板であるということでしょうか。なんかどのシーンも非常に既視感が凄くあって、もう少し演出面でもハッとさせるものが欲しかったように思います。でも、子どもが作った話とすれば、好意的に解釈すれば ~(以下略)。
[DVD(字幕)] 6点(2014-08-19 00:32:43)
100.  アップサイドダウン 重力の恋人 《ネタバレ》 
さて、唐突で失礼ですが、私は障害の無い恋愛映画は嫌いです。何の障害も無く結ばれてハッピー幸せに過ごす恋人たち、そんな恋愛は映画で観ても何の糧にもならないし、実際の恋愛においても楽しくないとすら思っています。この映画で描かれる障害は“重力”です。遠距離恋愛とか親の反対とか性格の不一致とか、そんな甘っちょろい障害でなく、厳然たる一つの物理的法則が主人公二人を引き離す。これ程に絶望的な障害は中々ありません。だから二人の行く末を本気で応援できる。 また二つの世界が上下を逆様に向かい合っているビジュアルも純粋にわくわくさせるものでした。こういうアイデア自体はSF・ファンタジー小説や漫画、ゲーム等で既に何度も使われているものですが、矢張りCGの技術の進歩により、そのユニークな世界観を実写で非常に実在感ある形で観れたことはとても嬉しい。 それらの同アイデアの過去作において重力の向きが異なる世界に社会性を付加し、貧困や差別を描くという手法は定番であり、本作もその例に漏れず、(便宜上)上側の大企業が下側の世界を搾取して貧富の差を生み出していたり、という設定がありますが、個人的にはそこは匂わす程度にして主人公二人の運命をしっかり描いてほしかった気もします。少なくとも二人が最初に出会って恋に落ち、愛し合うまでの過程はもっと見せてほしかった。逆に、大企業による暴挙や、それに関する顛末は、無難に纏めたという感じで、やや蛇足に感じた。(この辺りのバランス感覚は傑作SF映画『ガタカ』を見習いたい)
[DVD(字幕)] 8点(2014-08-19 00:15:00)
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