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フィンセントさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 202
性別 女性
自己紹介 閲覧&良票を入れて頂いた皆様ありがとうございます(*^-^*)
良票を頂けると励みになります!作品に対する意外なヨミと、読んでいて楽しいレビューを心がけています。楽しんでいただければ幸いです☆

ジャンルを問わず鑑賞していますが、ホラーを観るときは手で目を覆って指の隙間から観ますw

★好きな俳優★
M.ファスベンダー、E.マクレガー、J.ロウ、D.クレイグ、O.ブルーム、ジョナサン・リース=マイヤーズ・・・・・はい、そうです。イギリス俳優好きですw
さらには、ドナルド・サザーランド、S.ブシェミ、M.フリーマン、フランコ・ネロ、B.ウィリス、H.ジャックマン、C.イーストウッド、女性では、ユマ・サーマン、M.ジョヴォビッチ、C.セロン、A.セイフライド・・・などが好きです。

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81.  イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密 《ネタバレ》 
中学時代に母親にシネスイッチ銀座へ連行されてイギリスのホモ映画「モーリス」を見て以来、イギリス人のホモ文化には違和感のない私。  いやそれ以前に、小学生からリアルタイムファンだったボーイジョージもジョージマイケルも同性愛だったし(ファンとまではいかないがクイーンのフレディもエルトンジョンもそうだし)大学の卒論でとりあげた英文学者モームも同性愛(厳密に言えば両性愛だが)だし(ついでにオスカー・ワイルドも同性愛だし、「モーリス」書いたE.M.フォースターも同性愛だし)とにかくイギリスは同性愛者で成り立ってるんじゃないのかとさえ思うほどにイギリスの同性愛に違和感のない私。    そんな私から見ると、この映画は、”叶わぬ初恋を引きずり、亡き恋の相手の後を追ったホモ男の生涯”という見方もできる。  学校で初恋をした、暗号が得意な男子生徒クリストファーは心打ち明ける前に病死  そのトラウマを引きずりながら大人になると、手がけた暗号解読マシンに亡き初恋のクリストファーと名づけ彼の幻影を復活させる  戦後にそのマシンが極秘作戦の証拠として残らぬよう破壊を命じられたが「ボクのクリストファーを殺さないで!」と言わんばかりにコッソリ自宅保管  ホモ有罪判決を受け「服役で部屋にいるクリストファー(というマシン)と離れるのイヤ!」と言わんばかりに、服役代わりのホルモン治療の刑を受け入れる。  でもやっぱりホルモン療法で同性愛癖が消されたとして、それでクリストファーへの想いまで消えてしまうなら、「今クリストファー(というマシン)と共に命を絶つほうがマシ!」と言わんばかりに自殺し、天国にいるクリストファーのもとへ昇天    といった流れである。  この物語は  「へー、エニグマ解読マシンてのがあったんだー」  「へー、開発して有効利用されるまで紆余曲折があったんだー」  という表面的な”しらなかったー”、”おもしろかったー”だけではすまさせない、開発者が同性愛であるがゆえの、もうヒトヒネリなドラマ性が、単調で終わらない面白さを生み出していると思う。  この映画がただの暗号解読マシン開発者の奮闘話だったら5点だったけれど、同性愛要素が入ってひねりがきいていたので7点である。  ちなみに映画冒頭で盗難にあった彼の部屋で彼が青酸カリを掃除してる場面があったので、ひょっとして自殺は青酸カリかな?と思って調べてみると興味深いことにやはり青酸カリで、しかもベッド脇にかじりかけのリンゴがあったことや、彼が「白雪姫」の毒リンゴを模した自殺をほのめかしていたことから、リンゴに塗った青酸化合物を口にしたのではという分析があるらしい。  とすれば、彼は同性愛の男としては”女役”(同性愛でもやはり男役と女役の役割分担がある)として、自分をいじめから守ってくれた”男役”クリストファーを愛していたのだろう。  「リンゴをかじって死んで、次に目覚めたときには目の前に王子様(クリストファー)がいるはずだわ」なんて、乙女な思考だったに違いない。  アランはリンゴを口にする前に、暗号解読マシン(クリストファー)にそっと最初で最後のキスをしちゃってたかもしれない。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2016-02-22 14:17:04)(良:1票)
82.  ベイマックス 《ネタバレ》 
ベイマックスが自分がこの世から消えるのを承知でヒロを生かすために身を滅ぼすシーンで、次女(小6)が号泣していたが、私はそれほどでもなかった。  ベイマックスって、かわいいが、しょせんロボットやんという冷めた心があったのかも。   ベイマックスのする事なすことはすべて、ヒロの兄がディスクに書き込んだプログラムによる作動でしかないし、優しさやスキンシップも大切なひとを失った人のケアの仕方をパソコン経由で自主バージョンアップしたり、つまり、ヒロにみせるすべての言動は、ベイマックスの感情ではなく”感情風”なのだと思うと「面白~い」とはおもえても「泣けるぅぅぅ」とまではいかない。   あと日本語ではベイマックスはケアした後に「あなたは大丈夫ですか?」と聞くのだけど(そしてケアした相手が「大丈夫だよ」と言うとミッションコンプリートになって充電用ケースに戻るのだけど)英語で視聴すると、ベイマックスは「Are you satisfied?(あなたは満足しましたか?」って聞き、ヒロが「I'm satisfied」と言うとミッションコンプリートとなる。   私の場合、その”満足”っていうワードが、CMでよくある「顧客満足度ナンバー1!」みたいな、サービス業者みたいな感じで、どうも安っぽく、企業的なノリのベイマックスに感情移入することに違和感があったのもあるだろう。   使用後のご感想は1から10で言うとどれに該当しますか? アンケートのご協力ありがとうございます。 今後の顧客サービス向上のためこのデータを利用させていただきます。的な。  ベイマックスはいったん滅ぶものの最後の場面では、ヒロを救うために放った自分の”ロボ手”にハードディスクを握らせてあって、ヒロがベイマックスの外側を作り直して、そのハードディスクを入れて、はいベイマックス復活♪みたいになっちゃったのも、少ししらける。  「ローマの休日」のアン王女と新聞記者が、最後はそのまま駆け落ちして二人の愛をまっとうしちゃったみたいなストーリーを見せられたような気分だ。   ピクサーは、「インサイド・ヘッド」でリンボンを、命を賭して友を救うという泣けるキャラを投入する勇気があるのだから、ベイマックスを復活させないという筋書きの選択肢は不可能ではなかったと思う。  リンボンはサブキャラだから消してもいいけど、ベイマックスはメインキャラだから消せないという判断だったのだろうが、結果としては私は復活前提で消えたベイマックスでは泣けず、二度と戻れないのを覚悟で消えたリンボンは毎度見るたびに号泣、である。  それに「リメンバーミー」でもほら。。。(ネタバレになるので自重)  ベイマックスはベイマックスが主人公のようでいて、実際の原語タイトルは「Big Hero 6」なのだから、あくまでもベイマックスは主人公ヒロの相棒であって、どうしても途中で抹殺しちゃいけないキャラではないはず。  命は1回きりだからこそ、身を滅ぼして誰かを救うことに価値があり、人を感動させるものではないだろうか?   そして、あれだけ泣いた次女だが、見終わったら 「でもヒロたちは仮面男をやっつけるのにあんな面倒なパワースーツとかベイマックスのバージョンアップするより、マイクロボットを倍の数作って対抗すればよかったじゃんね?」と、これまた冷めたことを言っていた。  私としては、キャラハンの娘を危険にさらし、キャラハン教授を鬼に変え、ヒロの兄が巻き添え爆死する状況を作った、そのそもそもの大凶源クレイが、結局そんな大打撃受けないまま終了しているところに”これでいいのか”感がいっぱいである。  とはいえ、全体としては無難にまとめたダイナミックな映像。  結局ディズニーピクサーはどんな話でもこういうアクション的要素はどこかにすべりこませてくるので、チカラワザで7点をつけさせられた感はいなめないが。  最後に。ゴーゴー・トマゴという名前が「キルビル」のゴーゴー・ユウバリを彷彿させたのだが、英語圏ではゴーゴー・ナントカっていう名前がけっこうあるのだろうか?
[DVD(吹替)] 7点(2015-12-02 12:11:03)(良:2票)
83.  インターステラー 《ネタバレ》 
娘の部屋の本棚にある本の奥はブラックホールの中でしたってのは、のび太君の部屋の机にある引き出しの向こうはタイムマシンでしたっていうのと同じくらい、奇想天外な世界観。  本棚の裏からトンツートントンツーも面白かったが、それ以外に面白かったパートは2つ。   マット・ディモンが来ていた星は住めない星なのに、無駄に信号を送って呼び寄せたあげく、マコノヒーを殺して生き延びようとするという、まさかの展開と  NASAの偉い人による「ゴメン…住める星なんてないんだ」発言からの、ラストでアンハサウェイがたどりついた星でヘルメット脱いで普通に呼吸しちゃって重力も通常な感じでトコトコ歩いてるっていう「えっ…ここに住めるやん笑」というまさかの展開である。   ただ、地球を救う系の作品って、小惑星がドーン!とか派手な理由が多いが、こちらは地球環境変化というリアルな理由で、年を追うごとに悪くなる一方…ってところは、昨今の海水温度の上昇で日本列島に強烈な破壊力の台風が必ず規模の大きさを毎年更新しながらやってくる…っていういやぁな現実と重なって、地味に暗い気持ちにはなる。   とはいえ、地球救済映画は、だいたいにおいて主人公は死ぬのだけど、この映画では死なないっていうところはスゴイ。   娘はおばあちゃんになったがギリギリ生きててマコノヒーと再会できちゃったし。   アンハサウェイに至っては、成り行きでカレシが先に行っていた星でカレシと再会できてるっていうオチだったし、しかも立派ななコロニーまでちゃっかり出来てる景色のシーンを見せて終わるものだから、ここまでハッピーエンド祭りな地球救済映画はなかなかないと思う。
[DVD(字幕)] 7点(2015-10-19 11:41:23)
84.  パワー・オブ・ザ・ドッグ 《ネタバレ》 
つい先日ゴールデン・グローブ賞が発表され、この作品が、ドラマ部門最優秀作品賞、監督賞、助演男優賞の3冠となった。  ということで早速Netflixで鑑賞。  そして見終わってこちらに他の皆さんの感想を見に来たらレビューがたったの3人…。  アカデミー賞ノミネートの噂も当然流れている中で、3人…。  コロナのせいで、話題作になるべき作品もこの状況。  コロナ前のような、映画は公開前からTVCMやネット情報で期待を煽り、そして映画館で満を持しての公開というスタイルが 今ではガラガラと崩れ去り、 世の中全体が、新作も配信でっていう流れが一気に推し進められてしまい、 話題の新作もサブスクと契約しなければならぬという縛りを受けなれば見れない嫌な時代になった。  スピルバーグ監督が「配信映画はアカデミー賞のノミネートとして認めるのはどうかと思う」と言ったところで 世界全体の潮流はどうにもならない。  これまでのように作品1本に1800円払ってみるより、1000円ほど払ってサブスク契約してその作品を見れば ついでに他の映画も見れるという点ではお得に見えるが  見たい映画の配信先と契約していない人の心理は 「作品に1800円払うのは惜しくないが、その作品見たさにその作品を提供して儲けようとしてるサブスクの企業に契約料を払うのは、払い先が”作品”ではなく”サブスク企業”なのが、なんとなく嫌だ」 というものがあるのではないか?  まぁ愚痴が多いですが、サブスク映画には偏見はあるが、作品に罪はないので鑑賞した。   結論からいうと、やたらと物静かな殺人映画。  見終わってしまえば、あの青年はもともとサイコパスっぽいし、何考えてるかわかんないヤバイ顔だから ママを虐めた男を殺してもなんら不自然ではない。  でも、見てる間は、男女のもつれが入ってくるのかなとか、男と男のもつれ(笑)が入ってくるのかなとか 思ったら  「いえ、これ、怨恨殺人映画ですから」  と、ラストシーンでバッサリとやられた。  カンバーバッチ演じる牧場主フィルによる弟の嫁いびりで、嫁はアル中になるし 嫁の連れ子の青年は女々しいやつとバカにされ、母子にとっては居心地悪い牧場。  弟は悪いやつじゃないが、兄に対してそこまで強い権限がないのと 女の扱いが苦手なことで、嫁に対してそこまでケアができない。  そこで、動物をさばくのは得意な青年(伏線は、母親が営業していたレストランで母親に 「フライドチキン作るから、鳥をつぶしてきて」って言われて「はいよ」ってなったシーン)が思いついたのが 伝染病殺人。  荒野で野垂れ死にしていた炭疽症の牛の皮を手袋をしてはいできて それをタライに入れてフィルのところに持ってきて、牛革でロープを作ろうとしていたフィルに使わせ、 見事に病気に感染させることに成功して、ばれることなくフィルを牧場から消し去った。  バイオリンの練習みたいな、ギ~コギ~コという不穏感いっぱいの曲も この青年の不気味さを助長させる。  ラストシーンで、成年が窓から外を見下ろすと フィルの葬儀を終えた母親と義理父が車から降りてから、まるでフィルが死んでホッとしたかのように 抱き合ってキスをする…  振り返った青年は  「ふふっ…めでたしめでたし…大成功」  というアヤシイほほえみを浮かべ…映画は終わる。   人を殺して、犯人が微笑んで終わるなんて、これはバッドエンドなのに…いや、フィルが死んでまわりはみんな それはそれでホッとしてるから…ハッピーエンドなのか?  なんとも複雑な…そんな作品。  フィルが最後まで青年をいじめてた訳でなく 途中から融和策に転じて、なんだか二人が仲良くなってBL的関係に発展するのかと予想させるストーリー展開だったので フィルの態度に軟化していく青年の態度があくまでも伝染病殺人遂行のための罠だったのは まったく読めなかった。  でも二度目で見たら、フィルが革でロープ作ってあげるって言われた時 「これでヤれるな笑」って思ったのか、その後二ヤッとした表情の微妙な変化を見せるんですよね。  「障害はない。いかに上手くやるかだ。」  メイキングでカンピオン監督が言ってたシメの言葉、かなり同感。
[インターネット(字幕)] 6点(2022-01-12 15:02:22)
85.  ホテル・ムンバイ 《ネタバレ》 
「スラムドッグミリオネア」でその顔を知られることとなったデヴ・パデル(アルジュン)が、この映画の主人公。  だから彼に死亡フラグは立たない。 最後まで活躍して最後まで死なずに、心配してる妻子と再会してめでたしめでたしになろうことは予想がつく。   テロリストの首謀者は、リアルにどいつこもこいつもタチの悪いイジメっこでして、「神は偉大なり」の一言で少年を洗脳してテロリストに仕立てるのも、彼らにとっては日常のちょっとしたお遊びみたいなものなのですよね。   とにかく無差別に殺してショッキングな感じを楽しんだり、 気が向けば金持ちを生け捕りにして、ちょっと身代金要求しちゃおうかなとか、 ダメならストレス発散に殺して、関係者を苦しませちゃえとか、 その場のノリでやることを決めるので、本当にタチが悪い。   それにしても、この映画は実話だそうだけれど 赤ちゃんを連れて逃げてたあの女性が最後まで無事だったっていうのはホント?  あの年齢の赤んぼなんて、ずっと寝てるか、オムツ濡れてるかミルクが欲しいときだけ目ざめて泣きわめくのに、 あんな状況でベッドにも寝かせてもらえず、それが何日も続いてたんですよね?ミルクどうしてたん?オムツどこに替えあるん?  あんな真っ暗で狭いクロゼットに入っただけでも、一発で泣き出しますやん。  どうも赤ん坊を殺すのは悲惨だから生かしておきたい気持ちはわかるけど、そこはリアリティがなかったですね。    でも実際、ホテルの従業員がお客さんのために居残って殺害されてたなんて。   生き残った金持ちは、金があるから守られたってことですよね極論を言えば。   ちゃんと金持ちたちは、死んだ従業員の一生分のチップを遺族に払ってやらないと死んだ従業員に呪われますよ。
[インターネット(字幕)] 6点(2021-06-17 11:13:36)(良:1票)
86.  バード・ボックス 《ネタバレ》 
目隠ししてサバイバル…この設定はかなり面白い。   闇を抱えてる人たちは、自殺病にならずに、目隠しなしで生きていける(そして健常者を襲う)という設定も面白い。   肝心の、目に見えないヤバいあいつは、落ち葉を扇風機でバアアアーっと吹き上げたり、木の枝葉をスタッフが見えないところでワサワサ動かすだけで、低予算(多分)なのに設定でうまく作ってる。  でもあのラストはなんなんですか。  盲学校だからなるほど、あいつらを見ないで済んで助かったんですねと言いたいけれど そんなに単純じゃないでしょう  食料はどうやってじゃぁ今まで手に入れてきたの?  成長していく子供たちの洋服は?  犬までいるけれど、ドッグフードはどこで手に入れてるのこの5年間も…?笑  盲学校だから罹患しない人がほかの場所より多かったでしょうけれど 説得力がちと弱い。  天井は緑で目隠しされているが、バラの花みたいなものが所々咲いていて、なんかあまりにも出来すぎてる。  中庭にいる人たちはみんな幸せそうにニコニコしてるけど、こんな状況で5年間も過ごしてきて あんな別世界だから幸せです~っていうテンションになれるとも思えない。  ここだけ、こぎれいなファンタジー映画を見せられてる感じになっちゃって白けてしまった。  他のレビュアーさんの言う通り、視力を失って助かるっていうくらいのオチじゃないと これまでのグロテスクな修羅場を潜り抜けてきた後のオチとしてふさわしくないんじゃないかな。
[インターネット(字幕)] 6点(2021-05-01 18:45:39)
87.  レベッカ(2020) 《ネタバレ》 
Netflixオリジナル映画で、ヒッチコックの「レベッカ」のリメイク。 しかも今が旬なリリージェームスに、デビュー作「アンダーザチェリームーン」でヒロインを演じたクリスティンスコットトーマス(おそらく彼女にとってこのデビュー作は黒歴史笑)とくれば、見ないわけにはいきません。   オリジナルのほうはまだ見ていなかったのですが、あちらは白黒なので、 リメイク版のカラーで見る、海の色や、マンダレー屋敷にあふれる美術品や、華麗なる衣装…そしてラストシーンのバグダッドっぽい煤けた光…どれもが鮮やかで、カラー向きな内容だと思いました。   前妻は実は何かの事情で生きていて、どこかに隠れてるのでは?  私にはそう思えたのですが、実は男遊びが大好きなレベッカがそのツケがまわってきたかのように子宮の病気になったことを思い悩み、マキシムに”自殺ほう助”させたっていうことだったわけですね。 そしてマキシムも彼女を好きどころか憎んでいたと。   ヒロインは、身分は低いし、高身長だというレベッカより背も低いし、レベッカは絶世の美女だというけれど自分はそれほどでもないし、ただでさえ自信がないところに、マキシムもレベッカのことをまだ好きな感じで(実は殺したことをカモフラージュする演技だったわけですが)うつ状態になっていた矢先に、マキシムとレベッカの関係性の真相が発覚!  「マキシムは、レベッカが好きじゃなかったんだ! レベッカもう死んでるし! それにマキシムは私が好きだって言うし! ヤッター!!」  と、途端に浮足立ちます。  そして、ならばマキシムを私が絶対守ると、急に逞しい女に変貌。   うん、私もこのヒロインならそうなる笑 ずっと嫉妬と愛されていないのではという不安で苦悩してたんだから、その呪縛から解放されたら 無限のパワーで全力で愛する人(裁判にかけられて弱ってるし)を守ることに命がけになるな絶対。  最後はふたりで国外に居場所を求めてバグダッドの旅の途中…という場面ですが そこで二人が抱き合い、そしてマキシムの背中がこっち側に見えるアングルで、ヒロインの目元だけがマキシムの肩の上から見えます。   その時の睨みをきかせた目元でカメラをジッと見る…   おお怖い…もしマキシムが彼女を裏切ったら、マキシム、あなたが今度は殺されそうだ…笑    つまりこの映画は  ”マキシムは女難の相が出ています”  っていうお話ってことでよろしいでしょうか?
[インターネット(字幕)] 6点(2021-02-04 09:51:18)
88.  プラダを着た悪魔
2020年に初めて見て、劇中でマドンナの大昔のヒット曲「VOGUE」がかかっていて  「え…これってそんなに古い映画!?」って驚きました。   まぁアンハサウェイやエミリーブラントがめちゃくちゃ若いのでそれくらい古いものだとは思っていましたが。   ミランダが着ているコートの毛皮率が高かったのも、古い印象。   今では動物愛護の観点で、毛皮を扱わない宣言をしているハイブランドがほとんどですから。   女のキャリア追求っていうテーマも古さはあります。   時代を反映してる映画の宿命ですね。   それでも次々出てくるステキなファッションは見ていて目の保養になるし、自分も特に太っているわけではないけれど、もっと体をひきしめたいなっていうモチベーションにも繋がりますね。   スタンリーおじさんは、字幕では通常の男言葉だけれど、ちょっとオネェ入ってるイメージ。  「あんた、ダサい恰好してるとナメられちゃうわよ?ほら、この靴をあげるから履いてみなさいな!」  みたいな。   映画の内容というより、それこそVOGUE誌のページをめくるような、見ているだけでいいやぁ~っていう気分にさせてくれるオシャレな映画。
[インターネット(字幕)] 6点(2020-09-27 18:25:18)
89.  ボーダーライン: ソルジャーズ・デイ 《ネタバレ》 
デルトロの父性が出まくりだと感じる作品。  イサベルを輸送中(まだ偽装工作計画の中止になる前)に、後部座席でイサベルの顔を見つめながらわずかな微笑を浮かべたデルトロの目が、父が娘を見るそれであったことは見逃せない。  ラストシーンは、デルトロがミゲル相手に何やらお説教タイムが始まりそうなムードで終わったが、それも父として  「コメカミじゃなくてホッペタ狙って本気で人間を殺せないお前は、暗殺者にはなれないし、根っからのワルになれないお前は、もう組織から足を洗ったらどうなんだ?」  と息子を諭す父親の醸し出すムードそのものだ。    父が思春期の子供たちとせめぎ合うボーダーライン。そんな映画。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2020-07-24 15:35:49)
90.  バニラ・スカイ 《ネタバレ》 
えっ…これってバッドエンド?  トム・クルーズは、「夢から覚めて現実を生きるのだ」って言ってビルから飛び降りましたが、その後真っ暗の画面で  「open your eyes…」って女性の声がしましたよね。  あれってペネロペの声ですけど、もう彼女は150年前の人で既に死んでるわけで、トムに声をかけられるわけがない。   冒頭でキャメロン・ディアスが「open your eyes…」って自分の声を録音したのをトムの部屋で自動再生させていたのと被らせていて面白いなと思いますが、キャメロン・ディアスが言っていたのは純粋に朝起こさせるためのものだったのに対して、ラストシーンでペネロペが囁いていたのは、結局トムは現実世界で生きることは不可能で契約通り永遠に冷凍保存状態のまま夢を見せられ続けることになっていて、”夢からさめる”選択をしたトムを、夢からさめたという形で結局夢の世界に沈める(そして、目覚めるにあたって、愛しいペネロペの声で起こす)っていうことなんだと思います。   おそらく、あの夢の継ぎ目の場面に戻されて、それ以降の悪夢は消去。今度こそ修理済みのシステムで、ペネロペと幸せになる夢を見るのではないかと。   どんな災害でもこのシステムは壊れないということなので、永遠に目覚めることができず夢だけ見せられ続けるなんて、ちょっと想像するだけでオソロシイ。  現実逃避のツケは大きいという教訓と、チャーミングすぎるペネロペがズルい作品。
[DVD(字幕)] 6点(2020-05-31 17:29:27)
91.  女と男の観覧車 《ネタバレ》 
ヒロインの女性、元3流舞台女優という設定だが、そこがすごくウマイと思う。  芸術に関わる人間っていうのは、人間として魅力的だが、同時に”わがまま”で、”自己中心的”で、”感情的”で、そして、”倫理観に乏しい”。  でも、それが実は魅力でもある。 芸術家たちに破天荒なひとが多く、同時に異性のエピソードが多いのはそのせいだろう。 (ピカソとか、ゴーギャンとか、クリムトとか、・・・)  ヒロインは、最初の結婚時に、不倫をして、夫を悲しませて子連れシングルマザーとなった。 釣りなんて興味なんてないのに、今の夫と結婚するために興味あるふりをして再婚した。 そのようなムリのある結婚がうまくいくわけもなく、彼女は海のライフセーバーの男が劇作家志望だと知って、あっというまに年下男に打ち解けて、将来の再婚相手とさえ妄想に走ってしまう。  夫への罪悪感なし。 ライフセーバーが夫の娘に気があるのを知ると、彼女に嫉妬の炎を燃え上がらせる。 彼との再婚を望む気持ちが前のめりになり、高価な誕生日プレゼントを渡して引かれてしまえば彼の前でブチギレる。  息子の放火グセを治そうとカウンセリングに通わせるが、そのお金は夫のお金を盗んで使う。 ライフセーバーとのデートの約束優先で、息子をひとりでカウンセリングへ行かせちゃって、息子は二の次に。  こうして整理してみれば、この映画の中でヒロインはどうしようもないほどのクズっぷりであるが、なんだろう、この女性像の悲壮感。  これだけダメダメ女房なのに、ケンカしたあとに自分から折れてやった夫は彼女に「今度釣り一緒いくか?」と声をかける。 彼女は、いろいろもがいてきたけど結局このパっとしない話しも合わない中年夫とうまくやっていくのが残された唯一の道なんだと悟って「YES」と答えるのかと思いきや、それでも「NO」とつきつけて、この映画は幕を閉じる。  「あぁ、こうして彼女はこの狭い土地の中で、これからもずっと、話しの合う若い男性と出会って不毛な関係を結んでは、また相手を失って偏頭痛とお酒とヒステリーを繰り返すんだな・・・」と、なんともいえない閉塞感。  でも、とても現実的な話で、彼女の家の前で来る日も来る日もグルグルと回る観覧車のように、こういう出会いと別れのパターンをグルグルと回り続ける無限ループに囚われもがき続ける人たちはこの世界にたくさんいるのだろう。(特に芸術家タイプ)  だからからこそ、このような作品が生み出され、共感する人も多いのだと思う。  ウッディ・アレンのリアル恋愛劇は、いつもヒリヒリさせる。
[ブルーレイ(字幕)] 6点(2019-02-10 18:32:24)(良:1票)
92.  あるスキャンダルの覚え書き 《ネタバレ》 
ジュディおばあちゃんには「一生のレズ相手が欲しいのは分かるけど、ソッチの人じゃないひとをコッチにさせようとが強引なことはやめましょうよ」と世間は言うのだろうけど、彼女にとってはソレはムリだというのも理解できる。 ソッチの人がたまってるバーとかでナンパすれば簡単に見つけやすいはずなのに、「そういうのはいやだ純粋な出会いで結ばれたい」というこだわりがあるのだと思う。  ケイトには「だんながもう年取ってアッチがごぶさただからって、未成年の生徒に手出すのはやめましょうよ」と世間は言うのだろうけれど、彼女にもソレはムリだというのも理解できる。 彼女の美貌をもってすれば成人男性とのエッチもむずかしくはないはずなのに(実際、学校の同僚男性は彼女に惹かれていて後は彼女次第だったはず)「そういうのはいやだ、本当に自分が好きだと思った相手としたい」というこだわりがあるのだと思う。  二人の悪い面を指摘するのは簡単だし、やれ狂気だの怖いだのとこの作品を評価するのも簡単だろう。  しかし人間というのは、自分の感情(特に性愛の方面の)を抑えることはまことに難しい生き物。 だからこそ、タブーな性愛をテーマにした映画はゴマンと作られ続けているわけだが、この映画で特筆すべきところは、そういうタブーな性愛のエピソードを主人公1人だけのお話しとして描くよくある”1点モノ”ではなく、2人の主人公がそれぞれが違う相手(どちらもタブー)への性愛を抑えられず、突っ走っていくサマが、自然と絡み合い進行していく”2点セット”になっているとこだと思う。  二人の安定した演技力も助けとなり、この2点セットの形をなすことで、よくある”レズ作品”や”教師&生徒のR指定作品”と一線を画した、独特な<タブーな性愛映画>になることに成功したと言える。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2019-01-21 12:14:54)
93.  エクス・マキナ(2015) 《ネタバレ》 
劇中のセリフに「プロメテウス」というワードが入れられている。  このプロメテウスは、そのまま「プロメテウス」という映画があるくらい、あるいはディズニーシーのフォーカルポイントになっているあのお山もプロメテウス火山と名づけられているくらい、けっこう意味深に使われるワードである。  プロメテウスはギリシャ神話の神様で、ゼウスが人類から火をとりあげたにも関わらず、「人類は火がないせいで暖をとれなかったり温かい料理が作れないのがかわいそう」と、独断で人類に火を与え、結果的に人類はその火で武器を作り戦争を起こし誤った道に進むようになり、プロメテウスはゼウスに罰として山頂のはりつけられ、鳥に肝臓をついばまれる苦痛を、不死がゆえに生きたまま味わい続ける拷問を受けることになったというストーリーの持ち主。  この映画では、まさにケイレブがプロメテウス、そして社長がゼウスだといえる。  ゼウスは、あちゃこちゃの女神や妖精とイチャイチャしている女好きなスケベおやじ。まさに社長と一緒だ。  ケイレブは、ルールを破り独断でAI娘に火もとい”自由”を与えた。まさにプロメテウス。 その罰は、あの部屋にとじこめの刑ということか。  かくして、プロメテウスから火を得た人類が核爆弾さえ作ってしまったように、ケイレブから自由を得た彼女は相当よからぬ世界を作り出してしまうような不吉な予感を鑑賞者に与えながらこの映画は幕をとじる。   おそらくこの作品、オサレな視覚効果と、このオサレな哲学的ニュアンスのおかげで、実際以上にイメージが良くなってる。 やっぱり、見た目と雰囲気で、トクするのってありますよね。アリシアディキャンベルのAI娘が、まさにそれ。  映画もAIロボットも、見た目と雰囲気で七難隠せます。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2018-04-22 13:14:25)(良:1票)
94.  ジャッキー・ブラウン 《ネタバレ》 
つまるところこの映画は、自分を悪用したサミュエルLジャクソンを抹殺しつつ、ヤツのお金もマックスおじさんのハートも奪った、したたかな女性の物語。この3大サクセスを、159分かけて段階的に成就させていくお話しです。  個人的には、オジサンのハートを奪っちゃったところが一番しびれましたた。それは、彼女がサミュエルLジャクソン抹殺やお金泥棒のように、完璧な計画を立ててやったことじゃないから。 マックスおじさんが彼女が同じ部屋にいたとき、彼女がデルフォニックスのLPをさりげなくかけ、その後日マックスがデルフォニックスのカセットをお店で買って車でかけている場面。人の恋心を表現する場面はいろいろな手法があるが、私はこういった”相手の好みに影響されている”という状況をもって、恋心を描くソフト表現のジワジワ感が大好きですよ。  最後の場面で、ジャッキーと一緒に行かないかと誘われていったん断ったマックスだが、きっとあの後黒人の相棒に話しをしてお店をどうするかの算段をしっかり着けてから、その黒人相棒にジャッキーの居場所をつきとめてもらい、ある日突然さりげなく彼女の家をたずねるんだろうな、と思う。  そんなジャッキー役の女優は、私が好きなジーナ・ガーションに似ていて、ニヤリとするときの唇のゆがみ具合がグっときました。 そしてブリジットフォンダという芸能一家の出である由緒正しき女優や脇役で光るクリスタッカーから大御所デニーロまで、ようしゃなくサラっと殺すタランティーノの心意気も素晴らしい。  確かにちょっとまどろっこしいところもあったけど、また数年後に時間があればまた見てみてもいいなと思える後味が爽やかな映画でした。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2017-08-25 09:00:25)
95.  バイオハザードV リトリビューション
1から5まで見てきてだんだん分かってきた。  バイオシリーズは、ミラジョボの夫でバイオハザード全作に監督なり脚本なり製作なりで必ず関わってきたポールが、  「もし愛しいわが妻をマトリックス風ヒロインにしたら?」(バイオ4)  「もし美しいわが妻をマッドマックス風ヒロインにしたら?」(バイオ2)  「ボクの赤ちゃんを産んでくれてママ業もがんばってるわが妻を、母性をテーマにしたエイリアン2風ヒロインにしたら?」(バイオ5)という、きわめてパーソナルな願望を莫大な費用とスタッフを投入して実現してきた、壮大な”夫によるミラジョボ映像集”なのである。  彼にとっては、妻の映像をとることが目的なのだから、ストーリーのつじつまなんぞどうでもいいのである。  妻がだんだん劣化していっても、夫にとっては「腐っても鯛」なのである。  彼の価値は、ミラジョボへの深い愛だけだ。 離婚を2回繰り返し、夫に恵まれなかったミラジョボが、はじめて”おしどり夫婦”となり2人の子供までもうけることができたのも、ポールのおかげだ。  そしてそんな夫婦愛から生まれた”夫婦の共同制作品”であるバイオシリーズは、彼らの子供であると言える。  我々は新作を届けられるたびに、内容どうこうではなく、  「そうか、また○人目のお子さんが生まれたんだね。おめでとう」  と、素直に受け止めるだけでいいのだ。   もう誰もミラ&ポールの<自己満足型ミラ映像集>の暴走を止めることはできない。  隠れファンの多いレインをつまんない死に方で終了させたり、バイオ3でタバコを一服して笑顔でドカンというせっかくカッコイイ死に方で終了させたカルロスをあえてクローンで復活させておいて即ゾンビに捕らわせて醜いゾンビにさせちゃうのも、ポールに悪気はない。ひとえに  「主役はボクの妻だから、他のキャラはどうでもいいし」  というポールの妻に対する盲目的で一途な愛のあらわれに他ならない。   序盤でウェスカーが「人類破滅の危機だ!!」と言っていたが、その直後に 「アンブレラ社は、NYでのバイオハザード映像をロシアに売り込み、東京のバイオハザード映像を中国に売り込むのダ♪」  とか言っている時点で、周囲のスタッフが  「ポールさん、人類滅亡が迫ってるのに、ゾンビ使って商売って…その設定きつすぎやしませんか?」  と、ポールの暴走を止められないことの方が、人類滅亡より危機レベルが高いことに間違いない。  バイオシリーズで一番危険なのは、ゾンビでもなくリッカーなどのクリーチャーでもなく、そう、ミラ&ポールだったのだ。    子供にいろんな色のお洋服を着せたがる親ばかのように、1では地下の企業内だけの話が、2では外に飛び出し暗い街中が舞台となり 、3では逆に太陽ギラギラの暑い砂漠にしてみたかと思えば、4ではマトリックス風な無機質な世界もおりまぜ、5では冷たい氷水の中…と、ミラにいろんなシチュエーションで演技してもらって、それを映像に残す。  ポールの妻ばかっぷり、嫌いじゃないな。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2017-08-18 08:08:52)
96.  グリーンマイル 《ネタバレ》 
スティーブンキングというと、ホラーか、あるいは「ショーシャンクの空」のような非ホラーのどっちかというイメージでもたれているのか、この映画を”ファンタジー”とか”おとぎ話”としてくくっている人達もいるようだ。  でもキングの作品は”超常現象”をけっこう多用しているところがあって、この映画のように、人知を超えた出来事を現実社会で普通に起こってます的な描き方がいかにもキングっぽさが出ていたと感じた。  この彼らしい世界観に素直に入っていけるかどうかが、この映画を楽しめるかどうかの分かれ道だと思う。  私は普通に入っていけたが、号泣したかといえばそれほどでもなく、少女殺しの真犯人でありジョンコーフィーを冤罪で死刑にさせた諸悪の根源ビリーザキッドが電気椅子で恐怖にまみえながら公開処刑されることなく、銃で瞬殺されちゃったあたりは「いや、ビリーこそデル並みの殺され方しないと!」と、すっきりしないところがあったりした。 (それはそれとしてビリーを演じたサム・ロックウェルのゲイリーオールドマンっぽいラリ顔はとてもワンダフル。)    ただ、痛烈に印象的だったのが、ジョンコーフィーが電気椅子に座らされて恐怖を抑えるように「I'm in heaven...I'm in heaven...」と何度も口づさむ場面。  字幕には「ここは天国だ・・・天国・・・天国・・・」と書かれていたのだけれど、これは彼が死刑前に望むことはと聞かれて「活動写真を見たことないから見てみたい」という願いにこたえて、看守達のはからいで深夜に彼に見せてあげた映画の一場面の歌。 恐怖を、あの朗らかで明るい映画の一場面を思い出すことで、払拭しようとしていたのであろう。  この歌は、冒頭でポールが老人ホームでたまたまTVにその場面が出てきて思わずジョンコーフィーを思い出し、いたたまれずに席を立ったという場面でも印象を強く残している。 フレッドアステアの有名な「トップハット」に出てくる「チーク・トゥ・チーク」という楽曲だが、「グリーンマイル」を見たあとは、このトップハットの場面が出てきたらついジョンを私も思い出してしまいそうだ。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2017-06-14 10:17:19)
97.  カサンドラ・クロス 《ネタバレ》 
この映画は、まがいもなくホロコーストを暗喩したもので、あちこちにホロコーストのメタファーが見られるところが興味深い。  そもそも、ヘルマン・カプランじいさんがユダヤ人だという設定や、列車が彼にとってかつて妻と子供を失ったユダヤ人収容所のあるポーランドへ向かうことになったというストーリーそのものが、「この映画で、ホロコーストをみなさんに思いこしていただきますよ」というメッセージだと言えるだろう。  たとえば、この列車そのものは、ユダヤ人を収容所へ運ぶ列車を思い起こさせる。 特に、乗客を閉じ込めて外に出られないように、外側から窓もドアも封じて外が見えにくくさせた結果、そもそも窓のない貨物列車のような状態になったあたり。目をはった。その貨物列車こそがユダヤ人輸送に使われた列車である。  列車が駅を通過したり、途中で停車する際、駅に銃をかまえたたくさんの兵士がものものしい雰囲気で列車を待ち構えている様子もまた、ユダヤ人輸送列車を待ち構えるドイツ軍兵士の姿そのものだ。  列車の中に”新鮮な酸素”ということで、装置を室内に入れて酸素をブファーっと吹き出させるが、ブファ~っときたとき、説明を受けていない乗客たちが「ヒェッ!これは何!?」とおびえる様子は、いうまでもなく、ガス室の暗喩ということだろう。  駅の周辺には、赤十字のマークがついたトラックがとまっていたが、それもナチスのカギ十字を思わせる。  辛くも橋の落下を免れた後部車両の乗客達が、助かった助かったと、列車から飛び出して列をなして草ぼうぼうの道をただひたすら歩き続けるサマも、ユダヤ人解放時によく見られた光景だ。  後部車両のひとたちは助かって、前の車両のひとたちは助からなかった・・・という設定も、”ナチス軍に対抗し収容所からの脱走を試みたユダヤ人→犠牲者は出ても助かるユダヤ人がいた”(=後部車両)と、”ナチス軍に対抗せず、ただ黙って収容所に向かう列車に乗り運命の流れるままにジっとしていたユダヤ人→死亡”(前部車両)という、コントラストと重なる。   それにしても、乗客たちは謎のウィルスに次々感染していったわけだが、主人公の医者ともあろう人間がチュウチョなく素手で感染者をベタベタさわるだけでなく、素人で無防備な乗客に感染者に付き添っているように指示したり、その他もろもろの荒すぎる脚本を書いたひとのほうがよっぽど謎ではある。  ただ、ホロコーストのメタファーをここまでちりばめた、ホロコースト映画ではない映画という意味では、実によくできた脚本だとも言えなくもない。  そしてカプランを演じたリーストラスバーグ自身もユダヤ人であることは興味深い。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2017-06-06 13:51:22)
98.  天使と悪魔 《ネタバレ》 
ユアンマクレガーが冒頭から既に”善良なふりをした真犯人”のニオイがぷんぷんだった。同じような意見をしているレビュアーの方々も多いようだ。 しかし、真犯人役に彼がキャスティングされたことは正しい。 なぜならユアンマクレガーが大好きな私は、もし「天使の悪魔」に彼がメインキャラに配役されていなければ、最後まで見ていなかったかもしれないから(笑)  それはさておき、「火、空気、水、土」という要素に従って4人の誘拐された次期皇教候補たちが、その要素に関係するスタイルで殺されていく流れは、どこか「セブン」の七つの大罪に沿って起きる殺人事件をほうふつさせたし、またそもそも「火、空気、水、土」といえば「フィフスエレメント」を思い出さないではいられない。  原作者はたぶん意識していなかっただろうけれど、どちらも私のお気に入りの映画だったので、雰囲気がかぶっているのが気になるところだった。  教授の口からマシンガンのように次々と放たれる専門用語はついていくのが大変だったが、それはいわばインドカレーのようなものかもしれない。 カレー鍋に名前も聞いたことのない特殊なスパイス類が、あれやこれやと次々と投入されたものを専門料理店でいただくと、普通のバーモントカレーよりリッチで奥深い味わいな気がするような気分になっちゃうのに似ていて、「なんか、ワタシ、すっごい知的な作品を見たような気がする」ような気分にならないでもないような気にさせる。  インドカレーに通じる錯覚作用に、ユアンの神々しい魅力と神父コスを足して6点。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2017-05-26 12:22:25)
99.  永遠の0 《ネタバレ》 
フグをそのまま食べると毒があって中毒死してしまうので、毒をぬいて食べて安全で美味しいところだけを出す。  この映画はまさにそのフグ料理である。  自民党の安倍首相と思想が近い文化人を呼んで行われている勉強会に講師として招かれ、「経団連を使って広告収入を締めあげ、沖縄の新聞を2社つぶせ」とか「基地の地主は六本木ヒルズに住んでいてお金持ち。沖縄は本当に被害者なのか」とかバクダン発言を連発した百田氏が「永遠の0」の原作者なので、当然ながら原作どおりのストーリーとメッセージをそのまま映画にすると危険きわまりない。  そこで、そのあたりは毒ヌキをし、やんわりと、夫婦愛を軸にした作品に仕上げられている。  私は太平洋戦争についてはかなりいろいろ調べているので、特攻がいかにムチャな捨て駒戦法だったかも分かっているし、実際の戦争末期にはゼロ戦すら特攻で使い果たし、練習用の、布ばりの翼のもろい飛行機に、特攻攻撃中に逃げ出さないように座席に縛り付けた状態で送り込んでいたという映画以上にさらに悲惨な状況だったことも知っている。  そこまでくると、もはや”日本人を殺したのはアメリカ人”ではなく”日本人を殺したのは日本人(の戦争責任者、上層部たち)”の域なのである。  毒ヌキしたフグ料理のようなこの映画「永遠の0」が、もしもっと「太平洋戦争で日本の軍事責任者たちが日本人(兵士や家族達)に何をしでかしてきたか」について知ろう&学ぼう&調べようとするきっかけになるのならば、この映画の価値はそこにあると思う。  特攻を含め、戦時中に愚かな日本の支配者達が、勝ち目のない戦争を”神がついているから負けるわけがない”とか”日本が負けるわけがない”という意味不明な理由で戦争続行したことについてもっと調べたいと思うきっかけになるなら、この映画は見る価値があるはずだ。  あるいは原爆を落したいがためにあえて昭和天皇の戦後の処遇については記さなかったアメリカを中心に作成されたポツダム宣言のワナ(天皇の処遇が分からないと、受諾できないだろうというワナ)にまんまとひっかかり、広島に原爆を落とさせるスキを与え、しかしなおその原爆のニュースすら戦争続行をするために国内で一斉に報道禁止にし、天皇の周辺のわずかな人間達が「昭和天皇が守られるようにするにはどうしよう!?どうしよう!?」とオロオロ勝ち目のない作戦をしぼりだそうとしているうちに長崎にまで原爆を落とされるスキを与えた、戦争責任者らの内情をもっと調べたいと思うきっかけになるなら、この映画は見る価値があるはずだ。  もしくは作者の百田氏が「被害者じゃない」という沖縄の人たちが戦時中にどんな目に遭わされていたかをもっと調べたいと思うきっかけになるなら、この映画は見る価値があるはずだ。 (日本兵士たちに、隠れていた狭い壕を追い出されて戦火の中で爆死させられたり、壕に兵士と一緒に隠れていたところ赤ちゃんが泣き出し、「声を出させるな!殺せ!」と言われて親たちが赤ちゃんの口をふさいで殺させられたこと数知れず・・・。年寄りや女子供は”斬り込み”という、バクダンを背負って竹やりだけ持たされてアメリカの車の下にもぐって自爆攻撃を強要された。こうした沖縄人たちが、戦争続行を押し進める日本人たちにされた数々の出来事はまだまだたくさんある)  さてところでラストシーンについて一言。  宮部が敵の船につっこんでいく手前の瞬間の顔のドアップが、ばーんと写って「いよいよつっこむかー」ってとこで突然画面が黒くなり、そしてその黒い画面に   永遠の0   と、明朝体のタイトルロゴがドーンっと出てくる。   この、最後に画面を黒くしてドーンってタイトル出す手法は、海外映画でよく見ますけど、さらにそこに畳みかけるようにかかる、サザンのテーマソングの熱唱。  「なあーみぃだーみせぬよぅーーにぃーーーえええがああーーおーーーでさよなぁらうぉーーー・・・・♪♪」   な・・・なんかこういうね、主人公が命を散らして信念貫きました系の映画の最後にミディアムテンポの熱唱系テーマソングって、アルマゲドンのエアロスミスくさいというか、いやアルマゲドンにエアロスミスはすごくフィット感ありましたが、こちらのサザンは、コレジャナイ感がいっぱいでしたよ。  この監督、CGのドラえもんの監督もやったそうです。が、最後のエンドロールでピクサーがよくやるアニメキャラだけどまるで人間の役者が撮影したんですよという設定のキャラによるNG場面を入れる手法を、ドラえもんでやっちゃってたみたいで、どうもこの監督、ハリウッドをリスペクトしすぎではないでしょうか!?
[CS・衛星(邦画)] 6点(2016-07-12 15:23:42)(良:1票)
100.  エリジウム 《ネタバレ》 
この作品でひっかかったのが、マックスの幼馴染の女性の、白血病にかかった娘が「森に住んでる強い動物が木の上のエサを全部食べちゃって、小さな動物が死にそうになったけど、カバの背中に乗って木の上のエサを食べることができたのよ」って思わせぶりにマックスに話す場面。   弱った小動物=自分  カバ=マックス  といいたいのだろうが、マックスがそれを自覚して「カバは何のトクがある?」ときくと「友達になれたわ」と答える娘。   てことはなんだオイ、娘は「さぁさぁ私を助けなさい。そうすれば私が友達になってあげるわよ?さぁどうなの?フフッ」って言いたいわけか。 なんたる、こまっしゃくれた娘(笑)   血さえつながってはいないものの、今まで一緒に遊んだよとか、昔娘に助けてもらった恩があるよとかならともかく ついさっき会ったばかりで言葉も交わしていない間柄なのに、マックスの包帯をマキマキしてあげてマックスに純真そうな上目づかいでカバ話をすれば、無料でエリジウムに連れてってくれて病気を治してもらえると思ってのことなら、なんとまぁ計算高い娘よ(笑)  ゆえに、マックスが自爆ボタンとなるキーボードのエンターキーをポチンと押してカクンとなっても、「命無駄にしたな」としか思えない残念な展開。  そもそも主人公を自爆させるってのは、映画的にはハイリスクハイリターンだ。   オチのネタバレになるのでタイトルは伏せるがジャン・レノ主演のアレとか、ブルース・ウィリス主演のアレで描かれた”自爆して愛するものを救う!”は、私てきには、しっかりとしたプロットのおかげでハイリターンになっていると思っている。  ということで、それなりの脚本・映像・音楽を主人公のために用意ができないままマックスを自爆させちゃったのは最大の誤算。   ・・・といいつつ、「第9地区」を思い出させるホコリくさい画面に引き込まれたのも事実(自爆)
[CS・衛星(字幕)] 6点(2016-04-11 20:44:39)
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