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あにやん‍🌈さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2514
性別
ホームページ http://coco.to/author/aniyan_otakoji
自己紹介 宝塚とディズニープリンセスとプリキュアが好きな還暦+2おかま。
宙組は当分観ないわ。

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101.  愛と誠(2012) 《ネタバレ》 
原作の連載をリアルタイムに読んでいた身からしたら「これは『愛と誠』ではなくて、ただのパロディでしかない」と思いました。最初のうちは。今やアナクロなお笑いにしか映らないであろうものを、何故わざわざ引っ張り出してきてわざわざ笑ってみせるの?っていう憤りに近い感情が強かったのが事実です。その時代を生きてきた人間にとっては自分が生きた過去に対して笑って済ませてしまえるような割り切りなんてとても持てる訳はありませんしね。ところがこの映画、そのアナクロ感覚を笑ってみせているようでありながら、徐々にキッチリ真剣に原作の持つ純愛の世界へと誘ってゆく訳です。どう見てもヘンなキャラでしかなかった筈の面々が語る愛が、いつの間にか胸に迫る感情の発露へと昇華されてゆくのです。そう、岩清水の「早乙女君、君のためなら死ねる」のセリフがお笑いから真剣な純愛へと受け手の意識が変化してゆくように。これは何というか、上手いなぁ。前半のバカ映画ノリを全編通してしまっていたとしたらボロクソに貶していたかもしれませんが、バカに見えても熱かったんだよ、っていう過程をキッチリ見せてくれたのでとても良かったなぁ、と。これを嘲笑うだけの時代になっちゃってたとしたら、それはなんだかとても悲しい事で。妙に女優が生きている映画でしたが、特に武井咲演じる早乙女愛はお笑いキャラであってももう最初から自分の中の早乙女愛の具象化という感じで最初から最後までホワホワと見つめておりました。あのお姫様カットは自分くらいの世代には直撃しますな。1972年にあのステンレスの銀色ピカピカに黄色のラインな総武線はないわぁ、真っ黄色じゃなきゃダメだわぁ、と他が70年代の雰囲気の再現に腐心していただけにそこはなんか残念な感じでしたが、安易な『グラインドハウス』からの引用だけに止まらない時代性の表現も今の日本から失われつつある熱さを感じさせて心にたぎるものがありました。昔は良かったなんていう懐古主義ではなく、実は時代を越えて愛に真剣である事の普遍性を説いた名画だったと思います。
[映画館(邦画)] 9点(2012-06-22 21:44:12)
102.  サニー 永遠の仲間たち 《ネタバレ》 
悩んだり対立したり楽しくてバカで切なくてキラキラした彼女達の高校生活。学園祭の日、その青春の終わりを告げるのがきらびやかなダンスのステージではなく、最悪の悲劇であったというところがとても厳しく、光り輝いていた筈の未来が現実の重さに圧されてゆく事をこれ以上無い痛みという形で描きます。25年後の現実の厳しさは、かつてのリーダー格の末期ガンという形で最初から提示され、ですがあくまで映画は笑いとブラックなネタで彩られ(主人公のイタコ状態はマジでヤバ過ぎ)、テンポ良くたっぷりの見せ場で自在に過去と現在を行き来し、決して飽きさせる事はありません。軍事政権下にあったかつての韓国の姿を、ただの背景やスタイルではなく、人々の表情をふんだんに盛り込む事でそこに生きた人々を浮かび上がらせ、現在に繋がる生を感じさせます。現在のシーンも悲喜を織り交ぜ更なる未来への道筋までも示し(最大の悲劇をサラリとすっ飛ばした後のラストは都合良過ぎな感が無きにしもあらずですが、これは救済の物語ですからね)、一本の映画に様々な感情が次から次へと湧き出す稀有な体験をしました。笑わせ泣かせるというのは韓国映画の決まり事のようになっている感もありますが、これはその基本を活かしつつ、多彩多層なエッセンスを巧みに組み上げ「大笑いしながら泣けるけどどっしりとした厚みのある素晴らしい映画」という離れ業を成し遂げました。韓流にゲンナリ食傷気味な人も(映画の中でそれを皮肉っているシーンがあったりして大笑い)これはイケるんじゃないかと思います。
[映画館(字幕)] 9点(2012-06-10 16:27:50)(良:1票)
103.  宇宙兄弟 《ネタバレ》 
原作未読です。今、邦画の多くがマンガ由来だったりするのですが、マンガであるがゆえに許して貰えるんじゃない?って甘えてる事が多分にあるかと思うんですね。ウソっぽくてもあり得なさそうでも、元がマンガなんだからいいじゃんっていう。この映画も最初の印象はあり得なさそうな感じ。史上最年少の宇宙飛行士で日本人で初めて月面に降り立つなんて言ったら、とにかくマンガ的な常人とは違う生まれた時からずっと天才な人間のハナシですよ、みたいな感じで。でも、この映画は真面目な姿勢とリアリティある描写の積み重ねでそのウソっぽさに説得力を与えてゆきます。私が最初に感心したのは日々人が「UFO」を日本語では「ユーフォー」、英語では「ユーエフオー」と発音し分けていた事。アレを「ユーフォー」と発音してもアッチでは通じません。そういう細かい部分からロケット打ち上げのCG、月面での光と影の描写といった大々的なものまで、なんとなく甘えてみました、みたいないい加減さが感じられないのが良かったです。最終選考に残った6人のうちオタクと関西人はあそこに選ばれるレベルの人間じゃないだろとは思いましたが「ガンダム」と「京大」の2つのモチーフがその背景を物語っているのかもしれません。あと、月から地球はもちろんあんなに大きく見えませんが、アレは『E.T.』の大きな月と同じようなモノで。人の視覚は物を正確に捉えている訳ではありませんしね。説得力が与えられてゆくと共に六太のコンプレックスと諦めた夢とが浮かび上がり、日々人との繋がりに魅入り、最後にはみんなの夢にまで繋がって感動に導かれてゆく、それは真面目に組み上げられた、とても良く出来た映画だと思いました。
[映画館(邦画)] 9点(2012-05-11 22:21:32)(良:1票)
104.  ヘルプ 心がつなぐストーリー 《ネタバレ》 
差別を描いている映画ですが、基本的にそのタッチは明るく楽しいものなので、映画の内容を特にヘヴィに感じる事なく面白く見られます。ですが、恐ろしいのはそこで。この映画の中では差別をするという行為も明るく楽しい生活の中にごくごく日常の普通のものとして存在している訳です。差別する側には罪悪感とか、そもそも差別をしている意識すら微塵も無く、その状態が普通であり、そこに波風を立てる者こそが異分子であると。明るくカラフルな生活の中になんの曇りもない差別意識が存在する、そういう全く無自覚である罪というのはとても恐ろしいと思うのですね。差別する側から見ればあくまで正義なのですから。象徴的なのは人種差別とは別に、生まれによる差別が描かれていて、コミュニティが作り出す単一的な思考の危うさを通して差別意識が誰にでも生まれる可能性を示唆しています。映画は魅力的な役者達の存在によって単なる社会派映画に留まらず、愛すべき作品世界を作り出しています。特に表情豊かなエマ・ストーン(ちょっと市川実日子似)に引っ張られ、ユーモアとシリアスとの間を自在に駆け巡るオクタヴィア・スペンサーの演技にすっかりやられました。何度も高揚する瞬間が訪れ、だけど決してカタルシスのみでは終わらせず、今に続く問題を見る側の心の中に留まらせる名作でした。
[映画館(字幕)] 9点(2012-04-08 22:06:52)(良:3票)
105.  アーティスト
ハリウッドメジャーが100周年を迎える今、アカデミー賞がこの映画を作品賞に選び、『ヒューゴの不思議な発明』をノミネートした事には大きな意味、意義があると思います。これは『ヒューゴ』と対を成すような、まるで2つで1つの作品として成立するような映画。『ヒューゴ』がハードウェアとしての映画を最新のCGと3Dを駆使して描いたのに対して、こちらはほぼ同じテーマをクラシカルなスタンダードサイズのモノクロ画面にサイレントで描いています。技法は真逆ではあるけれど、どちらも装置としての映画を語るために明らかにその装置そのものを意識した作りになっているという点がポイント。本来、装置なんてモノは脇役、目立たなければ目立たない程いいのだとは思いますが、今の時代にスタンダードだったりモノクロだったりすると、これが逆に目立つ訳ですね。本編の中ではトーキーというテクノロジーの進化が鍵になって物語が展開するのですが、観客に「映画から音が出るという事」を思いっきり意識させます。その不自然っぷりは主人公の心情を際立たせ、変化の過程の中で時代に取り残されていった者へのリスペクトを描く事で、映画への愛、映画の悦びを具象化していると思います。っていうか、やっぱり映画っていいよね。だってそんなに理屈っぽくならなくても、この映画を見ている間、とても幸せだったものね。
[映画館(字幕)] 9点(2012-04-08 14:21:46)(良:1票)
106.  ヒューゴの不思議な発明
物語やエピソードは必ずしもちゃんとした流れが作られておらず、例えば公安官から逃げて窓の外にぶら下がるシーンではハロルド・ロイドへのオマージュ以外の、物語的に次に繋がる有機的な展開を与えるような事がなかったりして、話としての弱さを感じたりもするのですが、この映画全体こそが仕掛けられた装置なのでは、と思います。これは「ハードウェアとしての映画」についての映画。人の手によって動かされ、与えられた役割を果たすオモチャや人形のゼンマイ、時計の歯車、汽車の車輪、そしてカメラと映写機のクランク。回転する装置よって紡ぎ出されてゆく世界。あの人形に象徴されるように、物体が人の想いを得る事で心を持つ。映画がただ作品=ソフトウェアとしてのみで完結している視点からは決して生まれ得ない、ちょっとフェティッシュな作品であると思います。この映画がプロの人々が選ぶアカデミー賞で作品賞にノミネートされた理由が判る気がします。観客は与えられたソフトウェアとしての作品に触れているのですが、撮影現場ではハードウェアに生命を吹き込んで初めて映画が動き出すのですから。アタマだけ、感覚や理屈や理論だけで映画が撮れる訳じゃないですもんね。物理的作用の賜物。特殊音響装置であるセンサラウンドがきっかけで映画を好きになった私なので、3DやCGというメリエスの精神の延長線上に存在しているギミックを駆使し、見世物装置としての視点から映画を捉えたこの作品には、とても心躍り、動かされるものがありました。
[映画館(字幕)] 9点(2012-04-08 14:20:13)(良:1票)
107.  宇宙人ポール 《ネタバレ》 
『スーパー8』よりも更にスピルバーグの血が濃い映画で、だけどアチラは昔の子供時代のノスタルジー、こちらは昔をひきずったまま大人になってる現在のイタい人のハナシ。冒頭のほんの数カットで『バック・トゥ・ザ・フューチャー』から『ポルターガイスト』そして『未知との遭遇』!ってハマれる人間には間違いなくツボを押さえて来まくる映画です。この映画の情報を一切シャットアウトしていても、映画を見ていてポールがどこを目指しているのか(ワイオミングって言われたらねぇ)、黒幕の正体が誰なのか(この人しかいないでしょ?)はすぐに判ってしまって、その通りになる事に無上の喜びを得られるっていうのがとても幸せな事で。大量のレイア姫(しかもEP6のジャバに捉えられてる時の衣装!)や聖櫃が眠っている倉庫、クリンゴン語にオタク歓喜。だけど、それだけでいいんか?っていうのがこの映画でもあって。価値観が固まって停滞したところから先に進む事を示してみせるワケです。『けいおん!』に今更どハマリして、スタンプラリーで池袋から新宿そして渋谷に流れた末の映画館でこの映画を見てる自分の状態が、なんとも内容によくマッチしていて。まあ、だけどこの映画のメッセージは、それでいいから突き進め、って事だと理解するコトにしました。はい。
[映画館(字幕)] 9点(2011-12-18 21:31:28)
108.  映画 けいおん! 《ネタバレ》 
【リピーターシート2枚を埋め、ポスカをコンプリートした私に、商法を批判する資格はないので書き直し】『けいおん!』は原作、テレビ1期2期と、ずっとこのままでいたいという思いと、時は移り人は変わるという現実感の間でせめぎあいを続ける作品でした。2期13話『残暑見舞い!』は、梓の見る夢が主となる、軽音部の先輩4人が、実は梓の見た夢の中にだけ存在するかのような不安感を煽る一編で、それは『けいおん!』を支配する『うる星やつら2 ビューティフルドリーマー』と同様の閉塞された理想郷に対する(それを否定するのではなく、作品世界全体が単なる幻ではないかという)不安感に繋がり、映画の惹句にもなった20話での唯の「私たちはいつまでも放課後です」という台詞に象徴されるようでもあって。一方で1年生で軽音部を築いた4人は2年で後輩を迎え3年で受験、卒業に向かい、作品内に時が流れているというルールが明示される事によって(永遠を過ごす『サザエさん』や一時代が無限増殖しパラレル化する『ちびまる子ちゃん』と違い)1つの終わりを迎えるのは必至である事が明白であって。そのせめぎあいに1つの結論をもたらすのがこの映画だったように思います。永遠の日常からの飛躍のようにロンドンへの卒業旅行があり、更に成り行きとはいえロンドンライブを行う事によって『けいおん!』は次への変容を見せるかのように思えます。しかし、そのライブによって唯達が辿り着いた結論がクラスメイトのための教室ライブであり、最後はたった一人の後輩のために歌われる歌であり。歌の最後の1フレーズは「ずっと永遠に一緒だよ」。ひとつの作品として閉塞されるのではなく、この先、時が移り人や時代が変容しようとも、『けいおん!』世界の大気は不変であると宣言してみせたのが映画版だったのではないかと思います。なので、某ラジオで指摘されていた、映画として『けいおん!』世界を終わらせる程の徹底的な終わりを求めるのは見当ハズレなんじゃないの?って気もします。普遍的なヌルさ、心地良さを否定しなければ生きてゆけない訳ではないですものね。映像的なミス、不自然な箇所が散見される作品ではあるものの、ジブリを過去のモノにもしかねない「無駄たっぷりの作画」(人の所作が常に重要で必要なものばかりな訳もなく)を細やかに駆使した京アニとメインを女性が占めるスタッフの今後に更なる期待が持てました。
[映画館(邦画)] 9点(2011-12-06 20:52:25)
109.  タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密 《ネタバレ》 
私が映画オタクになった頃に一躍トップに躍り出たスピルバーグと、その世界を音楽で彩ったジョン・ウィリアムズ。そのコンビが今の時代に、まだこんなにも最前線で勝負できてるって事が何より嬉しい映画でした。今や世の中にCGが溢れかえり、どんなに実写に近づき、どんなに凄いCGを見せたところで「所詮はCG」と思わせてしまう状況の中にあって、スピルバーグはあくまで映像表現の道具としてのCGの見せ方を圧倒的なレベルで見せてきます。全編、CGでなければ表現できない、CGだからこその映像で溢れ、だけどそれは「所詮はCG」ではなくて、CGを使わせたら自分ならここまで見せる事ができるんだよ、っていうスピルバーグお得意の映像の快楽イベントお披露目の世界、最新ヴァージョン。ルーカスやキャメロン、バートンといった、最先端テクノロジーを嬉々として使う人々がCGという技術では数多のクリエイターとの差を見せつけるところまで行っていないのとは違って、ライブ主義、フィルム主義なスピルバーグがCGを道具として使った時にはここまで行けちゃうんだよ、っていう。これまでのサントラの幕の内弁当みたいなジョン・ウィリアムズの音(『ハリー・ポッター』で『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』で、そしてもちろん『インディ・ジョーンズ』で)と共に、この老境に差し掛かった、あるいは老成した人々が創造した映画は、他の追随を許さず凄まじいスピードで疾走し続ける快作でした。まあ、その疾走っぷりは脚本やキャラまですっ飛ばした感は否めませんが。
[試写会(字幕)] 9点(2011-12-04 19:57:36)
110.  ハラがコレなんで 《ネタバレ》 
光子が粋なのかどうかを客観的に判断しようとすれば、そりゃとてもじゃないけれど粋とは言い難い訳ですよ。単に無理してるばかりで。どちらかと言えばみっともない。アメリカから逃げ帰ったような状態で、だけど両親にはまだアメリカに居るように思わせてたり、臨月になっても何らかのヴィジョンがある訳でもなく貧乏長屋に逃げる事になったり、自分の生活もロクに確立できてない状態で何が粋か、っていう。んでも、それでいいんじゃない?って思うんですよね。ボロボロになって明日をも知れない状態になっても光子なりの粋を通そうとする姿勢、自分の事はさて置いてでも、他人の事を気遣ってみせようとする姿勢、そういう光子をただのウザいキャラで片付けてしまうようであるならば、それはそれでなんか悲しいじゃん。光子自身はちっとも粋でなくたって、光子が示し続けるベクトルってのは粋なんですよ。ただでさえ人と人との隔たりが大きくなって、だけど助け合いが必要になっているような世の中で、物事を傍観して批判したり冷笑したりしてるよりは、多少無理だったり、おせっかいだったりしても人と関わってた方がよっぽどマシなんじゃないかっていう。仲里依紗が色気を無視した演技で突っ走る光子のその揺るぎのない真っ直ぐっぷりは、いっそ清々しさすら感じるのでした。
[映画館(邦画)] 9点(2011-12-04 19:18:35)
111.  ワイルド・スピード/MEGA MAX 《ネタバレ》 
いやいやビックリ。最初のうちは「ディーゼル、相変わらずの大根っぷりだぜぇ」ってダラーンと見ていたのですが、次第にスクリーンにのめり込むように見入って、面白さに身悶え、あまつさえ感動までしたりなんかして。事もあろうに『ワイルド・スピード』如きに。面白かったぁ! 冒頭の列車強盗の件は派手だけれども、まあ前作からの『ワイルド・スピード』だわなぁ、って感じでしたが、ロック様登場で映画がビシッと締りまして。更に仲間集めから大規模な窃盗計画を立てるあたりは『黄金の七人』シリーズを彷彿させて、ちょっとノスタルジックなワクワクさ。ディーゼルとロック様の闘いも熱いし、その二人が「がっし!」と、なんてところはもう「くはー!キタわぁ!」って。ポール・ウォーカー、主役だけどもう要らなくね?みたいな、『ハゲマッチョ、炎の友情』みたいな。ストリートレース場に赴いた時の「Home Sweet Home」にウケつつ、バトル割愛かよ!って不満を抱いたりもしましたが、後でちゃんとした形で見せてくれますし。クライマックスの実行シーンが『黄金の七人』部分が殆ど無意味っていう力技になっちゃうのはどうかと思うんですけど、CGCGしていた前作に比べて市街地での一大バトル、ハデに魅せてくれます。なんだか突然変異でいきなり一級娯楽作になっちゃった感じではありますが、ここまでやってくれたらねぇ。もっとも、私にとって最大のポイントは、やっぱり2人のカッコいいお姐さまですかねぇ。警官とライダー。もうウハー!って感じで。そこだけでも高得点ですなぁ。
[映画館(字幕)] 9点(2011-09-25 14:37:19)(笑:1票) (良:1票)
112.  お熱いのがお好き 《ネタバレ》 
昔、テレビで見た時の印象に比べると、もう少しバイオレンス色が強くて(こんなに人が殺される映画だったのかぁ)、トニー・カーティスが身勝手な男に見えて(ジャック・レモンをダシに使いまくるのね)、物語がそんなには整理されてなくて(バンド話を放り出し、マフィア話も中途半端なまま終了)、そしてマリリン・モンローがとってもステキ。欠点は些細なモノで、本当に魅力に溢れた映画、スクリーンに向かう事に幸せを感じ続けておりました。トニー・カーティスとジャック・レモンのかけあいそのものは女装後よりも男同士の時の方が面白いと思いましたが、様々な人が絡んでくる中盤以降はおかしな群像劇として楽しませて貰って。ジャック・レモンが段々と本当に女っぽくなってゆく過程も楽しく。モンローの歌に心ときめかせ(有名なあの曲はこの映画の中で歌われたんだ)、トニー・カーティスって、そう言えば高校生の頃にホンモノを見たなぁ、なんて事も思い出し(『がんばれ!ベアーズ大旋風』の川崎球場ロケを見に行って。トニー、監督とケンカしてましたが)、映画をたっぷり堪能した2時間でした。それにしてもモンローがスクリーンに映るたびに「うはぁ」ってタメイキ出ちゃったワケですが、考えてみれば、そういう、女優がただ映ってるだけで魅了しちゃうようなのって80年代以降ないなぁ。あ、戦うヒロインに「ウハー!」ってのとは別で。最近はCGキャラに「うはぁ」ってなってたりしますが、これも時代、ってコトですかねい?
[映画館(字幕)] 9点(2011-09-04 16:24:35)
113.  ツリー・オブ・ライフ 《ネタバレ》 
世間での評判を見て色々と覚悟して臨みましたが、思ったよりもずっとシンプルな映画で、とても良かったです。別に読み解こうとする必要もなければ、独自の宗教観や信仰がなくたってどうでもいい、これって、ただ受け手が映画を見ている間、自分って存在と向かい合い、自分の生を顧みる時間を提供するだけの作品なのだと思います。そこにあるのはミクロとマクロの世界。自分という個(人間という、ではなくって、あくまでごくごくパーソナルな自分)と、流転する万物の関係性について、ちょっと考えてみましょう、っていう。自らの行為、自らが体験する事柄、それらがこの世界に内包される以上、それは世界の一部である、ゆえに自らの考えや行動は、小さな、独立したものに思えるけれど、万物の進むべき道、意志というものが存在するならば、ただ勝手に存在しているのではなくて、その万物の一員としての心構えがあって然るべきなのですよ、って。もうちょっと簡単に言うと、自分がした事、思った事で、正しい事と間違っている事についてきちんと見つめてみましょうって、そんな映画かなって。回想される子供の姿は、何も過去を示している訳ではなくって受け手の過去から現在までを映すための誘因要素。映画を見ている間、私は自分の中の様々な事柄を思い、考えました。自分を見つめるなんて事、なかなか出来ない訳で、1つの家族のエピソードと壮大な映像に誘われ、貴重な時間を提供してくれる素晴らしい映画でした。
[映画館(字幕)] 9点(2011-08-14 13:36:00)(良:1票)
114.  奇跡(2011) 《ネタバレ》 
大人になるっていうのは、自分って個だけの状態から他者に視点が向かい、兄弟や家族、友達、そして社会、世界と自分との折り合いをつけてゆくって事で、この、なんでもない、大した事は何も起こらないように見える映画は、子供が大人になってゆく、その一瞬一瞬を捉えた稀有なドキュメンタリーとも言えるような作品。子供が生きて、世界を受け入れてゆくっていうのは輝く楽しさだけではなくて、悲しみも痛みも伴ってゆくもので、その一瞬一瞬を生きる姿が愛おしく切なく迫ってきます。主役兄弟だけでなく、彼らの友人達、彼らをとりまく大人達一人一人が、それぞれの役割を背負っているという大変によく考えられた脚本で。大人になろうとする子供と、子供であった事を忘れていない大人との、それぞれの折り合いがあり、そこに描かれるのが摩擦ではなく相互理解であるというカタチゆえ、じんわりと心に染みてきます。基本的にリアルに捉える画が多くて意匠を前面に押し出して主張するような作風ではない点が良かったのですが、それゆえクライマックスのその瞬間直前のコラージュはとても効果的でした。旅に出て以降の、ありがちであるにも関わらず溢れ出す懐かしいワクワク感、兄弟が現実を受け入れてゆく姿もいいのですが、同時にライバルに対する嫉妬心を上手く消化できなかったり、老犬を通して死を認識してゆく友人達の姿も本当に愛おしくて、見終わって子供達の未来に幸多からん事を心から願ったりしてしまうような映画なのでした。
[映画館(邦画)] 9点(2011-06-28 21:49:37)(良:3票)
115.  SUPER8/スーパーエイト(2011) 《ネタバレ》 
「映画」を子供の頃に好きになったか、大人になってから好きになったかで、心に映る「映画」の世界ってのは全く違ったモノになると思うんですね。子供の頃、心にスピルバーグ作品を映しまくったのであろう、この監督の世界に、中学生の頃『ジョーズ』からスピルバーグ作品と共に映画を見てきた私は強いシンパシーを抱きました。映画とは何ぞや?って問うた時に、芸術論や技術論をこねくり回すのは簡単ですけれど、子供の心に映した、ひっくり返ったオモチャ箱みたいな世界もまた映画のひとつのカタチであるのは真理であって。この映画はそのオモチャ箱を今の時代に送り手となって表現してみせたような作品で。色々盛り込み過ぎな感じはあります。『未知との遭遇』と『ジョーズ』と『E.T.』の要素が色濃く、一方でスティーブン・キング的だったり、時代ネタを盛り込んだり。で、あれこれと描いた上で、じゃあこの映画の本質ってのはどこなのか?って言うと、実はエンドクレジットの最中のアレこそが「映画」本体なのではないの?みたいな気もしないではなく(エンドクレジットが出ると共にさっさと席を立ったものの、途中で立ち止まったり戻ったりして見るハメになってる人多数。そんなに慌てないで)、あの最後と、遺されたママの映像とがこの監督の映画観を語る大切な部分なのではないのかな、と思ったり。映画の「夢」があって、そこから一歩踏み出してゆく「現実」があって。映画少年が映画を刻んできた証しが具象化されたような作品でした。ただ、スピルバーグ的ではあるけれど、この映画、クリス・コロンバスが脚本を書いて、ジョー・ダンテかリチャード・ドナーが監督したスピルバーグ製作作品みたいなカラーが色濃く出ていて、そこは自分の中に刻まれたスピルバーグとは、ちょっと違うね、って思ったりもした2時間でした(この映画はややレトロな色調になっていたけれど、私の記憶の中に刻まれているスピルバーグ作品の多くは70mmプリントされたペカッペカな色鮮やかな最先端の映像なワケで)。
[映画館(字幕)] 9点(2011-06-24 21:11:42)(良:2票)
116.  八日目の蝉 《ネタバレ》 
母の映画にして女優の映画。作品中、男は徹底的に排除され、マトモに顔を捉えられている男優は殆どおらず、唯一ある程度表情が捉えられる劇団ひとりすらも、肝心なシーンでの表情はフレーム外に排除され、そのままフェードアウトしてしまうという扱い。ひたすら映画が描くのは女達の哀しみ。母である事を奪われた女、母であろうとした女、二人の母を持ちながら母性愛を意識できずに育った女、大勢の母達に囲まれたがゆえに不器用なままに孤立していった女。その母性が生むエゴゆえに悲劇が生まれ、だけれどもその母性こそは何物にも替え難い大切なものであると静かに訴えてきます。永作博美と井上真央の、決して大仰さはないのに凄みすら感じさせる演技に圧倒されました。また『パーマネント野ばら』に引き続き小池栄子が絶妙。毎度の少しヘン、というパーソナリティが今回の映画での哀しい背景を持つ存在にぴったりとハマっていました。日本の郷土のニオイを強く漂わせた画作りも回顧の物語というスタイルに同調し、この国から生まれた独自の個性を持った母と娘の映画として、じんわりと内に染み入ってくる作品でした。
[映画館(邦画)] 9点(2011-05-12 21:42:15)(良:4票)
117.  メアリー&マックス 《ネタバレ》 
アスペルガー症候群を題材に、個々が抱える孤独と、人との繋がりとを描いた映画。他者との繋がりの大切さ、他者への許容が自己の存在の肯定に繋がるという、自己と他者との在り様について深く考えさせてくれるお話。それが非常に独特なデザインに支配されたクレイアニメで描かれるのですから、大変に独創的、他に類を見ないような作品になっています。セピアカラーで描かれるメアリーの世界と、モノクロで描かれるマックスの世界。それぞれの色が映す心象風景と、その色が文通という素材によって微かに交わりアクセントを加えてゆく表現の妙味。シニカルな笑いをあちこちに盛り込んだアニメであり、アーティスティックな映像作品であり、娯楽と哲学を両立させた奥行のある映画です。決して甘くなる事なく、他者との間に生まれる摩擦の厳しさも真正面から描かれ、その痛みが、およそリアルからはかけ離れた粘土人形からビリビリと伝わってくるという不思議な感覚。繊細なアニメートによって生命が吹き込まれる、その表現力にすっかり魅了されました。でも、マックスの生活はとても他人事とは思えません。猫達と暮らし、日頃、あと残されたイベントは死ぬ事くらいだよね、なんて思ってる私は、彼の生き様にドキッとさせられたのでした。
[映画館(字幕)] 9点(2011-05-06 20:14:50)
118.  英国王のスピーチ 《ネタバレ》 
キレイにバランスのとれた映画でした。風格を漂わせる映像と音楽を基本としつつ、随所に笑いが入って重くなり過ぎず、過不足のないドラマを散りばめて軽くなり過ぎず。身分の違う二人、定められた自分の運命を呪うよりも、呪縛から解放され、そこから自分の人生を歩み出す事が出来るのだと導いてゆく友情物語は、定番ながら流暢な語り口でサラリサラリと心地良く流れてゆきます。ちょっと庶民感覚に寄り過ぎな感じがあるにしても、吃音に象徴された王の孤独が解き放されてゆく過程はやはり感動的。二人の距離感を示すカメラワークなども教科書的(並んで歩いていた二人が離れてピントがボケて霧の中に霞んで、って)ではありますが効果的で。優等生的な役者の演技の魅力も含めて、全てが「やり過ぎず、過不足なく、きちっと作ってます」って映画でした。イギリス映画って事でダンブルドア校長とベラトリクスとワームテールが出ていて、『ハリー・ポッター』との違いっぷりを楽しんだりもして。ベラトリクスとワームテールは他映画でも共演してる事が多いですねぇ。
[映画館(字幕)] 9点(2011-02-28 08:06:32)
119.  ヒア アフター 《ネタバレ》 
【必ず鑑賞後にお読み下さい】  実はただの恋愛映画じゃないかと。最後に男と女が結ばれるまでを描いているだけ。そして、だからこそとても大切な話で。一人の人間が繋がっていた人。その繋がりが永遠に絶たれた時に心にいっぱいの感情の波が押し寄せて、それを抱えて、その重さを抱えきれずにそれでも生きていて。じゃあ、この世界でひとりひとり、そんな重さを他人と共有できるのだろうか? 自分の重さと他人の重さとを分かちあって生きてゆけるのだろうか? 新たな繋がりを構築できるだろうか?って。そして、その受け止め分かち合って繋がる事が結婚というものなんじゃない?みたいな。主人公が料理教室へ通ったのはあまりに唐突にも思えますが、そこで彼は家庭を築く事を願ったのではないでしょうか。そしてペアを組んだ彼女とは、だけどその重さを共有し、分かち合う事はできなかった、まだあまりに未熟だった、と。人が生きる中で背負った思いの重さ、それをしっかり理解し、受け止めた上で繋がってゆく覚悟を描いた話かな、って。最初はスピルバーグ的お気楽ファンタジーか、「信じる者は救われる」的宗教観の映画かと思いましたが、やはりイーストウッドがそんなに安直なものを撮る訳はありませんでした。死後の世界や死者との対話は、人の心を映すための素材。死んだ人を語る事で生きている人の存在を浮かび上がらせるためのもの。「イーストウッドでオカルト映画?」なんて思ってしまって読みが浅かったですわ。サンフランシスコ、パリ、ロンドンを独自のタッチで描き分けるようなゆとりも見せる(『トラフィック』みたいに露骨なのじゃなくて)イーストウッドですが、最近のシンプルにして深みを見せる老練ぶりは、やはり刮目しない訳にはいきません。しみじみと映画を堪能させて頂きました。
[映画館(字幕)] 9点(2011-02-20 16:35:28)(良:3票)
120.  SPACE BATTLESHIP ヤマト 《ネタバレ》 
こんなん早いモン勝ち。長文注意。これからいっぱい批判が出てくるでしょうが、かつてアニメ映画版の初日に徹夜して並んだモロなヤマト世代な私から言わせて貰うと、元々『ヤマト』なんてこんなモン。こんなモンに熱狂してたんですよ。原作を冒涜してるとかいう評もありますが、そもそも当時からみんなその内容にツッコミ入れながら見てたっての。ここがキャラ弄りなアニパロの起源なんだし。『惑星大戦争』から『宇宙からのメッセージ』を経て『さよならジュピター』でトドメを刺された国産SF大作映画が、ここに久しぶりに甦ったって悦びをさ、ゴチャゴチャとウザい事言ってわざわざ貶めたくもないしねぇ。確かに沖田艦長を始めとして、島とか徳川機関長とか真田さんとか斉藤とかドラマのワリにキャラが弱いし、佐渡先生とか相原とか性別を変更した必然性はなかったし。一作目に『さらば』をブレンドしちゃう事によって、ボヤけた部分もありますよ。ワリと簡単にイスカンダルまで到達しちゃって、旅が短か過ぎな感じがしますし。つーかワープあっさりし過ぎ。この一作だけで簡単に完全に終わらせちゃうなよ!とも言いたい。でも、日本映画特撮史におけるお笑いポイントな色塗りなりきり外国人を避けるためとしか思えないデスラーとスターシャ(テレサブレンド)の描き方はあれで仕方ないと言えますし、声でちゃんとリスペクトしてるし、ヤマトはやっぱり左向きに旅立って左向きに波動砲撃つモンだし、第三艦橋は壊れてナンボだし・・・って結局ウザい事言ってますな・・・。でもね、ヤマトで特撮映画で育ってきた私が、これを否定する理由なんてのが見つからないんですよ。映像で音楽で、あの感覚を甦らせてくれる高揚感溢れる瞬間が訪れるたび、もう全肯定!って。ここは素直にヤマトの実写映画化、国産SF大作を甦らせてくれた事を喜ばせて頂きましょう。今回はもう、人の事は知らん。
[映画館(邦画)] 9点(2010-12-01 21:15:15)(良:12票)
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