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ミスター・グレイさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 565
性別 男性
自己紹介 三度の飯より映画好きです。どうぞよろしく。
※匿名性ゆえの傲慢さに気を付けながらも、思った事、感じた事を率直に書いていますので、レビューによって矛盾が生じていたり、無知による残念な勘違いや独善的で訳分らん事を書いているかもしれませんが、大きな心でお許し下され。
※管理人様、お世話になっております。
※レビュワーの皆様、楽しく読ませて頂いております。

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101.  監督・ばんざい!
後半のズッコケ劇の連発は私の笑いのツボからいくと少々くどい感じがしましたが、これはなかなかユニークな作品です。自作自演ながら、あらゆる映画監督への皮肉であり苦言であり、同時に賛辞であり憧憬なのだと思います。そして映画作りがいかに面白くて大変なことなのか、という北野監督、一流のジョーク。個人的には小津作品のマネゴトをしているところが好きです。もし幾分か才能を持って生まれ変われるとしたら私も映画監督になってみたいなぁ。ほんと〝監督ばんざい!〟な作品です。
[映画館(邦画)] 7点(2007-06-12 20:48:33)
102.  ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習 《ネタバレ》 
お下品なネタを連発しながら異文化を揶揄する形式で逆にアメリカ人こそが不徳であると皮肉っていく。裸、セックス、排泄物、乱闘、差別、侮辱などなどの簡単で低俗な笑いがもっとも大勢に共通してウケるということを作り手は熟知しているようだ。保守的と言われる米国南部でのボラットの奇行の数々、ユダヤ人協会を始めあちこちの機関から訴えられているらしいのでもっと過激な内容を想像していたのだが、ボラットのキャラクターが濃過ぎるため核心に迫るものではなく表面的な過激さという印象が強い。そして最後はあらゆる映画で幾度となく出されてきた〝ありふれた結論〟へと落ち着く。やりたい放題のボラットなのに守りに入り安全地帯へ着陸したのは正直ガッカリだ。しかし、可笑しいのはこれがアメリカでは大ヒットしたということ。アメリカ文化やアメリカ人精神をボラットと共に学んだ結果、思うにこんなのが大ウケするアメリカに世界の主導権を握らせているなんて大問題だ・・・・・・・・・・・・・・ナ~ンテネッ!
[映画館(字幕)] 5点(2007-06-05 18:20:21)(良:1票)
103.  パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド 《ネタバレ》 
簡単に言えば〝かたづける気もないのにとっ散らかして遊びました〟ってところでしょうか(興行の調子が良好なら延長して遊ぶつもりで散らかしまくったのかもしれませんが;)万人が楽しむものなのに複雑だし、そもそもディズニーがこんな殺伐としたもんを作っていいのか?(絞首刑のシーンから導入した時はビックリした)ってところです・・・でもまぁ、そんな事はどぉ~でもよくて、私にとって大問題なのはイカ(タコ?)の料理の仕方です。何もスルメや刺身にしろと言っているのではないのです。なぜ調理過程を見せてくれなかったのかと言いたいのです。もちろんグルメな話をしているわけではありません。クラーケンについて言及しているのです。他が天こ盛りで時間のかかる料理は避けたかったからかもしれませんし、好意的に見て2で度々出したので食べ飽きただろうと思ったからかもしれません。だけど、だけど私は楽しみにしていたのですよ、クラーケンを。「ペットを殺した」って何のこっちゃと思っていたらあんなかたちで登場とは…。まったくターナー親子並にビックリのご対面ですよ。でもそう言えば予告にクラーケンは出てなかったなぁ。退治シーンがあったら目玉でしょうからワンカットでも予告にはさみますね(泣)。ということで期待外れではあったんですけど、もちろん良いシーンもあるんですよ。巨大な渦での戦闘とか、そこでの結婚とか、ああいうのは面白いアイディアだし確かに凄いパワーを感じます。1と2を観た上で水しぶきがかかりそうな劇場で観たし何だかんだで楽しかったのでプラス1点。
[映画館(字幕)] 7点(2007-06-03 11:19:57)(良:2票)
104.  グエムル/漢江の怪物 《ネタバレ》 
今年度、私が一番期待していたのが本作。期待すると裏切られる事が多々あるのですが、今回は久方ぶりに期待通りでした。一家の人物設定や権力に虐げられた弱者が奮闘する構図は使い古された従来のものですし、怪物の隠喩やストーリー展開もきわめてオーソドックスです。しかし描き方や、何より家族の愛が実に素晴らしい。女性陣はともかくとして残念な男性陣まで魅力的。冴えないお祖父ちゃんもダメなお父さんも、社会背景とは別にニートな匂いがする伯父さんも銅メダルどまりの叔母さんも、もちろん天真爛漫な娘もみんな素敵な人です。それに窓から見たデッカイ怪獣よりも等身大の怪物の方がリアルに怖い。いや~こんなにパワーがある映画を観たのは久しぶりです。ただ一つ納得いかないのは、…ここから完全なるネタバレです。ご注意下さい。 ・・・・・・・・・・何で助けてくれないんだっ~。あんなに頑張ったのに~。そりゃないぜ…。本来ならこの手の結末も嫌いではないのですが今度ばかりは合点が行きません。そのぐらい一家の溢れんばかりの想いが痛切に伝わってきたのです。それというのも娘の死で完成したものかもしれませんがね。しかし再びボロケータイ使っている姿や、お父さんと一緒に叔母さんのアーチェリーを応援している姿など何気無くも幸せな日常を見たかったのです。あの一家は紛れもなくしょーもないダメ一家ですが、私はあの一家がしょーもなく愛しいのです。
[映画館(字幕)] 8点(2007-06-03 11:17:41)(良:1票)
105.  嫌われ松子の一生 《ネタバレ》 
始めはあのノリについていけないかも;と思いましたが…面白いじゃないですか~。基調は異なるもののイマジネーション溢れる世界観は『ビッグ・フィッシュ』不幸版みたいな感じです。一途な松子が転落の一途をたどるというのに、まるで次々とアトラクションに乗っているような描写が楽しい。〝人に何をされたかではなく人に何をしたか〟思えば松子は子供の頃から愛する最初の異性の対象である父親のご機嫌とり。いつも病弱な妹ばかりの父親と病院帰りに楽しい一時を過ごすというのはノーマルな話ですが、私はああいうのにめっちゃくちゃ弱いんです。結局、松子の根底にあった囚われは父親の愛情不足ですし。それでも松子を肯定的に描く事によってボロボロの人生でも何だかとっても愛しく思えてくる。それから挿入歌も素晴らしい。「feeling good」(トンボがどうのって英語の歌。大好きなんです。)も効果的。屈伸運動や睡眠薬〝ぶぁ~〟、光GENJIへのファンレターに懸賞小説でも応募するかのような原稿の束を送るとこなんか笑えます。中谷美紀さんの声も素敵。・・・ただ、敢えて苦言を呈すれば、人生の終焉を迎えた転換期だからか、さすがに中谷さんの汚い太ったおばさんに無理があるからか、まだまだ終わって欲しくないと思っていたからか、私には最後の方は着地点が分らず迷走したように感じてしまいました。少々論点がズレますが、わざわざ中学生に撲殺されることにするなんて後味が悪いですし…(原作では大学生中心だった。別に大学生なら良いと言う訳ではありませんが;)。元教師を皮肉ったのか、犯罪の低年齢化という時事問題を盛り込んだのか分りませんが、あまりに悲惨な一生をとことん面白おかしく描いたのだから最期まで一貫して楽しくして欲しかったです。う~ん、でもやっぱり面白いっ!
[映画館(邦画)] 8点(2007-05-14 18:11:08)(良:1票)
106.  大いなる休暇 《ネタバレ》 
どこの娘が誰とデキているか年寄りの耳にまで入るような小さな集落。教会の鐘が鳴っても集まってこないイイカゲンさと、島ぐるみでクリストファーを騙す団結力とを兼ね備えた島民たちの温かい描写が味わい深いです。汚い家は勝手に文化遺産に指定して〝改築不可能なんです〟ってそんなアホな。ってな事からもっとクリストファーに嘘がバレそうになったりドタバタ劇になるのかと思いきや、クリケット以外は特になしで人間ドラマの色が濃く〝笑い〟の方はやや寂しいぐらいです。島を心底愛するが故に島民以外には後先考えずガンガン嘘をつくジェルマンが〝クリケットはやらない〟と本音でぶつかった時、初めてクリストファーが島の一員となるという展開はヒューマンドラマとしては当然の結末ながら、なかなかホロリとさせてくれます。住む場所も大事だけれど結局はそこに誰がいるかの人の問題で、あとは住めば都かな。煙突の煙で一日の始まりを感じるなんて素敵じゃないですか。それにしても今や何でも分るインターネット、万歳ですね。
[DVD(字幕)] 7点(2007-05-11 23:40:17)(良:2票)
107.  トリプルX
これ確か〝ニューヒーロー誕生。ワルがワルを制す〟みたいな謳い文句だったと思うんですが…ザンダー、全然ワルじゃないじゃないですか~。むしろイイヤツ。今風に言うと〝ちょい不良ガキ〟ってところでしょうか。私には007の方がよっぽどワルに思えるけどな~。っていうより根本的な性格からすれば私自身ですらザンダーよりワル度高いかもしれません;。という訳でザンダーの人物造形が甚だ期待ハズレなんですけど、ちょっと考えてみれば全国系の万人向け娯楽大作アクションで極悪が主役なんてありえませんね。誰も共感できないヒーロじゃ観客動員できませんから。あんなこととかこんなこととかワルいことして窮地を脱するんだろなぁ~という私の妄想がちょいワルでした;。 ・・・ただヴィン・ディーゼルには今後ともアクションで頑張って欲しいです。なんせ今やいわゆるアクションスターが絶滅寸前ですからね。そういった意味では確かにニューヒーローの誕生です。
[DVD(字幕)] 4点(2007-05-11 23:17:46)(良:1票)
108.  インストール
物語の持つテーマだけではなく何から何まで作り物っぽさが漂うヴァーチャルな世界描写、現実味の無さが何とも楽しいです。要は〝現実的には見えない〟ところが面白い。天真爛漫そうな上戸彩ちゃんはとても不登校には見えない。彼女が涎もんのエロい発言をしても卑猥には見えない。純粋真面目そうな神木君はエロチャットをするようには見えない。彼の飼育する微生物は肉眼では見えない。押入れで女子高生と小学生が…という扇情的なシチュエーションがまるでイヤらしく見えない。缶ジュースがずらりと整列したコンビニのような冷蔵庫は日常生活が見えない。整い過ぎているマンションや同色の屋根の街並み、ゴミ捨て場はキレイ過ぎて現実世界には見えない。ポップに仕立て上げられた本作は陰湿でエロチックな世界に足を踏み入れているようには見えない。さらに上戸彩ちゃんのパンツも見えそうで見えない見えない見えない…。
[DVD(邦画)] 7点(2007-05-08 18:12:54)(良:2票)
109.  明日、君がいない 《ネタバレ》 
子どもと大人との隔たりを主張しているためか型にはまった大人たちの描写は希薄で、ドキュメンタリー調でインタビュー形式の告白を聞かせてしまうのは映画としてはどうかと思いますが…最後まで緊張感を保ち若者特有のヒリヒリを感じさせてくれます。学校を舞台に肩越しから覗くように撮られた日常風景、人物と時間の交錯はガス・ヴァン・サントの「エレファント」と似た手法ですが、本作はあれよりずっと劇的であり感情的です。サスペンスタッチで冒頭から誰かの死を予見させる命の重みで訴える構成は、その後始まる一人一人の声に真剣に耳を傾けざるを得なくさせます。そして大き過ぎる問題を抱えた生徒たちはドラマチックですし、それでいて唐突に核心を衝くあの結末はヘビーな問題ではなく無関心による孤独という日常的な悩みがいかに重いかを気づかせてくれます。さらに〝予想外の自殺者〟は観客にも無関心への荷担を強いているのです。衝撃的なリストカットのシーンは画面から目を背けたくなるほど鮮明で痛々しく〝生〟への証として描いているように思えます。  監督が自らの体験をもとに本作にとりかかったのは弱冠19歳の時というのですから驚きですが、言われてみればで良い意味でも悪い意味でも若さを感じますし、若者らしい心の叫びが伝わってきます。
[映画館(字幕)] 7点(2007-05-07 18:03:09)
110.  ウィスキー 《ネタバレ》 
真面目なハコボとマルタは定時にシャッターを開き電気をつけ、お茶をいれる決まりきった生活を送っている。その機械的に物事をこなす様子から、かなり長い間同じ事を繰り返していることが窺えます。そこへ起こる弟の訪問という外部からの刺激。積極的におめかしするマルタのリアクションは女心をしっかり捕らえたもので、少なからず何か変化が起こるのではという期待が感じられます。それに対して相変わらず無関心なハコボの様子が、部屋の説明をしながら電気をパチパチすることで示され、いつもの通りの事務的な出来事の一つと同じだと分かり男のダメさ加減を身につまされる思いになります。そして陽気な弟と過ごした後、マルタは定時にやって来ない。マルタ自身に変化が訪れたことと、ハコボには何の変化も訪れなかったことを暗示しています。同じ種族に見えていた二人は実は全く違っていて、二人がそろって笑えるのは〝ウィスキー〟という掛け声の時だけという淋しさ。少ない台詞ながら一定の行動様式で男女の心の機微を鋭く描出し、ついつい見守りたくなってしまう作りが巧いです。二人が〝ウィスキー〟なしで笑える日が来ると良いなぁと思ってしまいますね。  ところでウルグアイ(もしかして南米辺りではどこでも?)では写真撮る時に〝ウィスキー〟って言うんですね。なんか〝チーズ〟より良いなぁ。
[DVD(字幕)] 7点(2007-05-01 18:04:24)(良:2票)
111.  サンシャイン 2057 《ネタバレ》 
筋はあるものの観念的なストーリーはあってないようなもので感覚で味わうという印象が強いです。ですからセンスの一致如何で見る人を選ぶと思います。個人的にはアジア人がクルーの中心であったりする未来的さや、それとは反対に宇宙服などが非常にレトロなデザインなのにクスっとなりつつ、雰囲気の盛り上げに一役も二役も買っているサウンドにクルーらと共に宇宙空間に居るような気分にさせられましたし、冷めた演出、イカロスの神話をなぞった結末は好きです。・・・ただしかし、本作では太陽光に限らず〝光〟がかなり重要な要素を担っていると思うのですが、どうもそれがしっくりこないのです。光というのは、例えば船長やサールが望んだように気分を高揚させたり恍惚とさせるものとして捉えているのに、多用される暗闇に懐中電灯の光一つとってもあまり刺激的に感じられず心動かされません。そのせいか物語は極めて深刻な状況であるのにちょくちょく退屈なシーンがありました。さらにサブリミナルは効果的としても忙しなく切り替わる画面は観難いです。もちろんダニー・ボイルのことですから確信犯で心理的揺さぶりをかけてきているのでしょうが、それが過ぎているので疲れてしまいます。・・・・・ところで、この退屈さどこかで味わったことあるなぁと考えてみたら私の苦手な「2001年宇宙の旅」でした。そう言えば手緩いHALが登場しますし、ラストシーンに映る黒いあれってモノリスでしょ?
[映画館(字幕)] 5点(2007-04-23 18:15:38)(良:2票)
112.  やさしくキスをして
ケン・ローチが得意とする下層階級ものではありませんでしたが(むしろちょっと上)、高いハードルと越えられない壁があるのはいつも通りでした。時代に緩和され共同体に違和感を覚え始めた新世代と歴史を苦労して生きてきた人間との摩擦がありありと描かれています。幸いにも人種や宗教問題などと無縁で呑気な日本人である私には理解し難いことでしたけど、若者の自由奔放さが束縛されたり敬遠される世代間の衝突は次元が違えどよくあることで、囚われにもどかしい気持ちになります。そしてその呪縛がどんな困難な障壁であれ愛で突き崩すあたりにケン・ローチのヒューマニズムを感じます。瑞々しい生身の生命力あふれる人間を描かせたらローチの右に出る者はないでしょう。彼の作品を観るといつだって胸に突き刺さるような思いがします。それからカシムやロシーンを演じるのはやっぱりほぼ素人俳優さんなんでしょうけど、どこか現代性の雰囲気があり慣例との不釣合いを醸し出すので良いですね。
[DVD(字幕)] 7点(2007-04-18 18:37:31)
113.  しあわせな孤独 《ネタバレ》 
たいへん辛い内容の物語をドグマで撮ることにより、陰鬱な空気を鬱蒼とさせ息苦しさを漂わせています。セシリやニール、ヨアヒムらの被害者、加害者等のそれぞれの気持ちが理解し易くできているので、〝もし自分がこういう状況に陥ったらどんな行動を?〟と身を置き換えついつい考えてしまいます。皆がそれぞれ孤独になり歩み始めるラストにも、人間の愛やその存在を問われたようで暗澹たる思いになりますが、人間の本質に迫っており興味深いものがあります。…ただ一点、マリーの描写がやや雑であるのに不満が残ります。彼女に事故を起こしてしまったという後遺症が感じるシーンがないのです。もう少し苦悩している姿が垣間見られなければ、「みんな苦しんでいるのよ」という台詞に重みが感じられないのです。
[DVD(字幕)] 7点(2007-04-13 18:06:24)
114.  キッチン・ストーリー
どこが良いかは言葉では表せないけど、とにかくあの心温まる雰囲気が気に入りました。フォルケのようにイザックを見ていたら私もあの生活がしたくなってしまいましたよ。それでちょっと気になったのでこの妙な作品を調べてみたところ、ノルウェーとスウェーデンの国の関係をよく分っているともっとクスッとなるらしい。監督によると、なんでもスカンジナビア人には理解できる笑いが至るところに散りばめられているとのこと。ノルウェーの映画をスウェーデンで上映するのは未だに大変らしいのですが、本作は両国で上映し特に非難もうけず笑いが劇場を包んだそうです。大戦中からわだかまりができてしまった両国をユーモアある皮肉りで歩み寄らせた本作には静かながら確かな温かさが充満しています。
[DVD(字幕)] 9点(2007-04-12 18:23:35)
115.  いらっしゃいませ、患者さま。
現在取沙汰される医療問題にメスを入れるような風刺作品かと思いきや〝病院に行くとこんな事思うよなぁ〟というようなレベルの普通のコメディでした。病院という場所は人のお見舞いでだって行きたくない場所。じゃあ楽しく来てもらうにはどうしたら良いか?を完全コメディで解決!お色気中心に実践ってのが何ともバカバカしい。バリウムなんて飲みたくない!食事をとりたくない!薬を待っている時間が長いぞっ~!などという誰しも一度は思ったことがあるだろう問題を次々に解決?って実際にこんな病院あったら血圧上がって別の病気を併発しそうです。そして現実問題一番不安なのは手術が全て医者の手にかかっていること。これが本当に恐ろしい。公開手術なんてとんでも方法はともかくとして、第三者の機関に経過を見ていてもらいたいのは事実。そんな病院に対する不安や不満を笑い飛ばしてしまおう…って事かもしれないけれど、私は笑いきれませんでした…。この病院、男は良いですけど女性には逆効果かもしれませんよね。女性の場合は〝ホスト看護士〟とか〝イケメン医者〟とか雇うんでしょうか。小日向さん演じる患者だけ死と隣り合わせで深刻な感じがして本作に似つかわしくないように思えましたし。それにしても渡部篤郎さんはおどおどしてて脱力気味で、頼りになるんだかならないんだか分らなくて笑顔が恐い役が良く似合います。・・・ところで流れ作業よりも酷い診察をしているのに休む間もないくらい大勢の患者が来ていて、経営が成り立たないってどういうこと?
[DVD(邦画)] 5点(2007-04-09 18:20:20)
116.  アンビリーバブル
ともすれば未来という設定も忘れてしまいそうな近い将来が舞台ですが、これはシュールレアリスムをやりたい監督が冒険し過ぎる危険性を回避して、観客に歩み寄り少しでも物語性を備わせようとしている印象を受けます。なんせ既成概念無視の不可解な現象の連発。説明無し、物語の関連性無しにウガンダ人が空を飛びますし、異常気象を装い夏に雪が降りますし、水が凍結します。この不合理さは未来科学的と言うよりも完全に超現実的であり、同時にその画は詩情的なのです。ですから物語としては不親切と言いますかイイカゲンなのですが、私は何だかとっても惹きつけられるのです。まず最初の異変としてエスカレーターに死体が当たり前のように転がっていてホアキンと共にミステリアスな世界へと誘われる。そして錯覚のようにクレアのそっくりさんが登場するシーンにドッキっとさせられる。この奇妙な謎の数々の答えは提示されませんが、これは〝無人島に行くなら何を持って行く?〟みたいな極論に過ぎず意味など無く、愛についての追求なのだと思います。ショーン・ペンをストーリーテーラーとして使ったのは少々ズルい気がしますが、解り易さも提供してくれるしオトボケ学者キャラは味があります。ホアキンとクレアも役にはまっていますし、特にホアキンの無口で少し困惑気味の表情のアップが良いです。ただこの〝アンビリーバブル〟って邦題はどうなんでしょう?風船の如く空飛ぶウガンダ人だけに捧げられたようで、この題をつけたことがアンビリーバブルです。
[DVD(字幕)] 8点(2007-03-30 18:20:48)(良:1票)
117.  ブラックブック
いやぁ~凄かった。実話を基にしているみたいですが、政治的なことより単純に娯楽として面白かったです。何が凄いって回想シーンから導入していくので主人公の無事が完全に保証されているのにもかかわらず、劇中ハラハラドキドキしっぱなし。ポール・ヴァーホーヴェンが「女王階下の戦士」以来、正統派の映画も撮れるんだという事を見事に証明してくれました。もちろんエロもグロも要所でしっかり見せますが人間模様、殊に女性の描写がやっぱり良いです。内容についてはネタバレしてしまうとつまらないので控えますが、ヴァーホーヴェンの新しきファム・ファタール、カリス・ファン・ハウテンの美しいこと美しいことっ!歌声も素敵なんですが、彼女の素晴らしさはニコール・キッドマンのような気品が良い意味で無いこと。自由奔放と言いますか、あけすけと言いますか早い話がエロいんですねぇ。女性はどう思うか知りませんが男はああいう女性に弱いんですよ。鏡の前で下の毛を染めるシーン、汚れた足を便器の水で洗うシーン、もうやりたい放題で参っちゃいましたよ。それから彼女の友人となるロニーもまた凄いキャラクター。強いと言うか、しぶといと言うか、まぁたくましいんですね。もう生命力が溢れ出ているのです。この魅力的な女性たちと取り巻く多種多様な男たちとの妙、最後まであっという間に時間が過ぎてしまいました。
[映画館(字幕)] 9点(2007-03-29 17:51:59)(良:2票)
118.  パパにさよならできるまで 《ネタバレ》 
アポロの月面着陸という科学的、つまり現実的な事物で父の存在という幻想を打ち破るプロットや、手紙やチョコレート、髭剃り道具などの小物の使い方、ラストに一人で船を漕いでいくシーンはなかなか良いです。しかし、全体的に見ると腑に落ちない印象の方が強いのです。まずほとんどの登場人物たちがある種の腹立たしさを感じさせます。人間誰しも欠点はあると思いますが、その面を描いている割りには人物の掘り下げが妙に浅いのです。そしてその負の面のリアリティさとは対照的に部屋などの色彩は統一性がありファンタジックに描かれているのが違和感があるのです。言うなればコーヒーとミルクを混ぜてカフェオレを作ろうとしたら分離してしまって何じゃコリャという状態です。まさかそこに子供の視点からの矛盾性なんて潜んでないでしょうし;。しかし何より問題なのは主人公の子供に可愛げというものが欠如していることです。もちろん可愛かったら良いといものでもありませんが、この手の物語ではある程度の愛嬌が無いと付き合いきれませんよ。
[映画館(字幕)] 5点(2007-03-20 18:09:12)(良:1票)
119.  2番目のキス
ファレリー兄弟の作品にしては下品ではなく、男女のおバカな特性を面白おかしく見事に描いている。…何ていう真面目な感想はやめにして、何を隠そう私も10年来のレッドソックス党!現在、世間で話題騒然の松坂投手より巨額の投資をしてしまった自分とは一切関係の無いレッドソックスの懐具合が心配というバカっぷりです。ですから耳の痛い話に苦笑してしまった;。私の一大危機は日本では最も応援している松井秀喜選手があろうことか宿敵ヤンキースに入団してしまったこと!こりゃどっち応援すりゃいいんだ~というジレンマに陥りながらも、何時の間にか純粋にこの黄金カードを楽しめるようになったのは我ながら進歩です。殊に本作の舞台である前年のリーグ優勝決定戦は凄かった。最終戦はビデオ録画しつつも気になりちょくちょくネットで確認していたがクレメンスを打ち砕いた時は勝利を確信していた。なんせこっちはペドロだし~。…なのに有り得ない敗戦(松井選手がホームで珍しくガッツポーズしている姿は覚えている方もいるでしょう。あの試合です)。それがあっての翌年の同じ舞台、同カードでの有り得ない逆転劇!3連敗後、九回ビハインドで、それもあのM・リベラを相手に逆転してみせるなんて有り得ない!しかもその後3連勝をきめヤンキースを破るなんて奇跡も奇跡だっ~!…でもバンビーノの呪いが解けちゃってちょっぴり寂しくもあった。だってもう夢が叶ってしまったのだから(次は松井選手がチャンピオンになれること願ってます、はい。)。…ねっ、興奮して映画とは関係ないこと書いちゃってファンってのはきっとバカな生物なんです。だからあんな可愛らしくて寛容な女性に愛されるのも奇跡に近いぞ;。・・・ところで死ぬまでに一度はレッドソックス対ヤンキース戦をフェンウェイ・パークで観戦したい…できればポストシーズンの試合を。それと球場移転してしまう前に〝ベーブルースの建てた家〟でも観戦したい…できれば松井選手のいる間に。全くバカの夢は尽きませぬ。
[DVD(字幕)] 7点(2007-03-16 18:00:06)
120.  メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬 《ネタバレ》 
本作の何よりの見所はその見事な景観であり、トミー・リー・ジョーンズなるイカツイおっさんが失礼ながら予想を遥かに上回る美的感覚の持ち主だったことに驚く。しかもこのイカツイおっさんはやっぱり一筋縄ではいかない。けっこう単純なお話の時間をバラし構成を複雑にし注意力を引きつける、それでも気が緩むものならドーンと迫力万点のおばさんの裸や腐乱した死体を映しガードが下がったところへパンチを見舞ってくる。まったく油断も隙もならない。さらに、複雑で濁った現代社会で失われつつある友情に原点回帰する物語は、単純で純粋なヒューマニズムが溢れており温かさを感じる。自分本意のマイクが最後の最後で「一人で大丈夫か?」と声をかける。他者への関心があらわれ出し彼を救っているようであり、イカツイ風貌とは裏腹にトミー・リーの優しい一面を垣間見た気がする。・・・ところで、「メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬」という題名ほど中味は凝ったものではないが、「メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬」という題名は近頃の映画の中では群を抜いてかっこいい。だって何度も口ずさみたくなる。メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬、メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬、メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬・・・・・長いのにあまり噛まないで言えるところが実に良い。
[DVD(字幕)] 8点(2007-03-09 18:19:45)(笑:1票)
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