101. スクリーム(1996)
《ネタバレ》 パラサイトと並ぶティーンエイジ青春学園ものホラーの決定版。 にして、スラッシャーホラーの良作。 ティーンエイジホラーの帝王といわれるウェスクレイブンの作品。 監督のホラー映画愛をこの映画で全開に出したことがホラー映画ファンへのアプローチとなり、 それでこの映画はホラー映画としての魅力も増したと思う。 殺人鬼の目的に深さとか不条理さ、怖さは無いが、 そういうものを必要としていないちょっと奇妙なスラッシャーホラーかもしれない。 殺人鬼の脱力ぶりは異常。まるで普通のパーティー・コスプレ野郎。 恐怖演出という意味では少し低いかも。 あくまでも10代のゲーム感覚。 ほのかなコメディと爽快感が良い。 日常でのキャラクターの描かれ方が良いので、殺されるのが惜しいくらい。 I scream? You scream?♪ いったい犯人は誰だ!? 究極のネタバレですが・・・・・・処女あげた男の頭打ち抜くって凄いこと! [DVD(吹替)] 8点(2014-02-23 23:36:07)(笑:1票) (良:1票) |
102. クール・ランニング
《ネタバレ》 昔、家族と何度も見た映画。 ライトムービーという印象から見ることをずっと避けて来たが、 ソチオリンピックの閉会式を前にせっかくなので観ることにした。 これを逃したら観る機会はまた4年後になるだろうから。 それにしてもディズニー関連だったとは知らなんだ。 ジャマイカの陽気なテンションと明るい音楽、コメディーな展開で非常に楽しめる。 チームのバランスがとれたキャラクターと、コーチのダメっぷりが見てて癒される。 中盤から冷たい敵意がぶつかってきてちょっと戸惑う。 新しいことをすると直面するやつだ。 上層部はほんと汚いことしてるけど、こういうことってどこでもやってるんだろうと思う。 前例のないことが恥ずかしいことという見方がある一方で、 プライドを持って自分らしいことをすることがクールであるというメッセージはよかったと思う。 ちなみにソチ五輪でジャマイカは3大会ぶりにボブスレーに出場し、映画の影響もあってか大きな盛り上がりを見せ、笑顔の最下位に終わったという。 《追加》リアリティを必要とする映画と必要としない映画があるが、 パッケージを見ると内容は「陽気なコメディ」であり、どのような描写がされているかなどの想像は出来ると思う。 そして映画は観る人の目的に応じて見られるべきだと思う。 また一般的に高評価されている映画に全く別の目的を要求して減点するのはちょっと図々しいというか筋違いで、 そもそもそれは目的が合っていない、つまり映画の選び方からして間違えている気がする。 もしその人が映画を「道場破り」や「点数稼ぎ」の方法で見るのなら制作者や映画に対しての「誠実さ」がないと思う。 「誠実さのない観方」や「目的の違う見方」で点数を稼いでも私にはその本数に関心はない。目的が違っていたら0に近いからだ。 ちなみにこれは実話にフィクションを加えて作られていて「登場人名は全て架空」なんだとか。 ボブスレーを担いでゴールするのも脚色であるが、そういった作品の傾向を踏まえれば描かれるべきものは描かれている映画だと思う。 [DVD(吹替)] 8点(2014-02-23 23:23:02)(良:1票) |
103. 戦火の馬
《ネタバレ》 馬を通して神話的に詩情豊かに描かれるのは 戦争の悲惨さや無意味さ、 またそこに監督が抱いてるであろう騎士道であったり憧憬的なものであったりだと思います。 戦争に憧憬やロマンを抱いても、結局は人からすべてを奪う状況でしかないのだと思う。 そういった状況に放り出された若者たちの悲惨さだとか戦争の怖さや残酷さが伝わってくる場面があった。 リアルな戦場の場面があってその状況をちゃんと伝えてたと思う。 スケールの大きな話なのに状況が分かり易かったり、 馬の表情がよく撮れていたりと、 やっぱスピルバーグはプロだなぁと思った。 大作主義の中に親しみやすさとエンターテイメント性も含まれていたと思う。 [DVD(吹替)] 7点(2014-02-13 21:51:02) |
104. かぐや姫の物語
《ネタバレ》 この「かぐや姫の物語」は、「ナウシカ」や「ラピュタ」に拘ることをしなければ、 正に「ジブリの最高傑作」といえる内容だったと思う。 西洋ファンタジーが好きな自分としては「ナウシカ」「ラピュタ」の方に軍配が上がるが、 後期ジブリアニメ勢の中では紛れもなく最高傑作であると思う。 アニメの原点に立ち返り、高畑勲のテーマでもあるだろう古き良き日本の美というものを見事に観客に伝えている。 線や絵はジブリらしくないが、見事に「ジブリの原点回帰」を果たした作品だと思う。 正直、宮崎駿の集大成「風立ちぬ」は(作品としてはいいが)彼らしくなく煮え切らず、実はまた宮崎駿は新作を構想中なんだろうなとひそかに僕は思っているが、 高畑勲の集大成「かぐや姫」は燃え尽きた感があり、彼の作品のファンでも納得のいく集大成だったと思う。 平凡な日常の仕草が丁寧に優しく描かれていて感動を覚える。そこに愛があふれているようだ。 日本昔話のような内容ではあるが、そこで勝負した結果彼の才能が前面に出たと思う。 絵の細かいところは省いてあるが、筆の強弱で感情や動きが表現される。 これが効果的で、誰もが楽しめるアニメは絵を細かくすればいいとか、 色をたくさん使えばいいとか、そういうのとは程遠いところに答えがあるのかもしれない。 このアニメーションの美しさは「沢山のスタッフを使って豪勢に作ればいい」とかいう次元のものではない。 そして監督の作品に対する愛情が伝わる。「風立ちぬ」よりも。 「風立ちぬ」よりも「アニメで表現できることは何か」をよく考えられていると思う。 淡い色遣いの中に激しく感情揺さぶられたり儚かったりいろいろなものが込められてるが、あくまでもシンプルであるというのが良い。 シーンのいくつかのぶつ切り感はあったと思うが作品のクオリティに変わりはない。 しかしほんとに高畑勲監督と宮崎駿監督はライバルなんだろう、 宮崎駿「風立ちぬ」のタイトルに「の」が入ってないと思ったら、 高畑勲の「かぐや姫の物語」にはちゃんとタイトルに「の」を入れてきた。 最後の最後で高畑勲は宮崎駿を大きく超えてきたようだ。 [映画館(邦画)] 9点(2014-02-13 21:05:11) |
105. ブロークバック・マウンテン
《ネタバレ》 最高のヒューマン映画にして友情(純愛)映画の傑作。 同性愛モノって嫌煙されがちだと思うのですが、 ヒューマンな部分とアメリカン情緒がそれを全部包み込んで補ってる。 よく出来ているヒューマン映画はなぜこうも人生を通しての人間観察が見事なのかと感じる。 ブロークバックマウンテンの自然描写があまりにも美しい。 アコースティックなサウンドがまた最高に情緒的で、同性愛の雰囲気とも合っている。 ある種の過ちを犯した二人のその後の日常生活はやがて荒涼と化し、年月は無情にも刻々と移り変わってゆくが、 それとは逆にブロークバックマウンテンの自然は変わらぬ美しさで雄大に、二人の心の中にあり続けるのだった。 「日常」や「現実」と真逆な意味でブロークバックマウンテンが描かれているようで印象的だった。 ジャック・ツイストが義父を制する場面が最高だと思う。 奥さんが二人の情事を目撃する場面は印象的だ。 また実家の屋内が真白で、老夫婦の空虚な心情を表したかのような不思議な感じだったのは印象に残る。 憎むべきは差別であり、自分にとって害のない人を自分と違うからって攻撃するなんて馬鹿だと思う。 それにしたってジェイク・ジレンホールに揉み上げつけてカウボーイハット被せちゃアウトでしょ。 [DVD(吹替)] 9点(2014-02-09 23:19:31)(良:1票) |
106. トレマーズ
《ネタバレ》 小さいころに見て怖かった記憶がよみがえりました。 そんなこと全く忘れての鑑賞です。 この映画がモンスターパニックの良作たらしめるのは エンターテイメント性の高さと登場人物のキャラクター性の豊かさだと思います。 キャラクターが豊かだとどのキャラクターもがその物語の主人公であるかのごとく重要な役割を果たします。 皆そこに暮らす人間としての意地を見せつけるので誰でも殺されるのが惜しいほどです。 独特のテンションがあってホラー映画とは思えない明るさです。 西部の雰囲気とファンタジーな雰囲気がほのかに感じられ、 家族向けな映画とさえ感じます。 若きケビンベーコンがサイコーに魅力的な演技を見せています。 砂漠の辺境の雰囲気はそこに住んでみたいと思うほど魅力的でした。 当時のアメリカの若いカップルが映画館に見に行く映画という感じで、 その当時のモンスターパニックの勢いを感じさせる怪物は見ものでした。 [DVD(字幕)] 7点(2014-02-09 23:08:56) |
107. 霊幻道士
《ネタバレ》 香港の本格?オカルトホラーを初めて観れたことに感激。 キョンシーブームの火付け役となったらしい本作。 キョンシーたちが不気味に描かれていてなかなか迫力があった。 ホラーあり、ファンタジーあり、コメディーあり、カンフーアクションありで、歌も良く中国独特の儀式も面白く、 たいへんエンターテイメント性の高い作品だった。 個性的なキャラクターも面白くて、 主役は3人位いるが、バカ息子はどこまでも頼りなくとぼけててサイコーだった。 ヒロインが可憐なのと楽しいのとで、いつまでも見ていたい気分だった。 [DVD(字幕)] 8点(2014-02-09 23:08:46) |
108. マーターズ(2007)
《ネタバレ》 新年早々に不快な気分になりました! まさにホラー映画のアルテマウェポン! この「マーターズ」は「屋敷女」「ファニーゲーム」などと並びトラウマ映画の中でトップの座を争う作品だ。 最初からただならぬ雰囲気でビビる。 この映画は「見てはならない光景」だらけだ。 内容はまさに狂気の沙汰といえる。 そもそもキチガイなヒロインの視点で描かれる物語が前半を占めるのでツッコミどころは満載かもしれない。 しかし他の映画ではとても味わえない不条理な展開が楽しめる。 その先の読めない文脈の欠如性がこの物語の恐怖や不穏さを助長してる気がする。 この映画は見ていて圧迫感とか閉塞感を強く感じる。 それは人の心の暗いところをえぐるからかもしれない。 そして血生臭くてドス黒く、とても痛々しい。 人を殴る感覚が観客にまで伝わる。 幻覚とか自傷といったトラウマ的なものがリアル過ぎる。 ババァは「目を見て、生きてるでしょ」って何を言ってるのか分かりかねるが、 不可解にもかかわらず深みを感じるラストは衝撃という言葉に値するかもしれない。 一家惨殺、トーチャー、サイコ、ゴースト、ダークネス、オカルト、それらが全部成功してるってどんだけ怖いん!っていう感じです。 古いフィルムの途中では二人の少女が可憐に戯れていてかなり癒される。 この監督にはいつか「ミツバチのささやき」のような少女の視点をベースにした映画を作ってほしい。 ヒロインがその場を離れなかったのは身寄りがなかったことと親友を失った喪失感からだったのでは? 警察を呼ばなかったのも前述のことと地下で遭遇したことのショックで気が動転してたためだと思う。 ヒロイン役の一人は骨折し、もう一人は殴られ過ぎて翌日立てなくなったとか。 DVDを所有しての2度目の鑑賞ですが、最近はグロ画像ばかり見てるので変な耐性が付いちゃったのか、 1回目の観賞の時みたいに目を背けたりとか気分が死ぬことはなかったけど、 それでもこの映画はホラー史上超アルテマ級の最恐映画。 [DVD(字幕)] 8点(2014-01-06 00:47:21) |
109. ディセント2
《ネタバレ》 暗闇が怖すぎるホラー「ディセント」の2作目。 1作目が傑作だっただけに2作目はなんか残念だった。 急に出てきてビックリさせられる場面は多いが1作目ほど怖くは感じなかった。 土砂崩れによる閉塞感のある怖さは2作目でも登場するが、 スケールアップはしても1作目ほどの圧迫感はない。 洞窟の地獄絵図にしたって1作目ほどの壮絶な迫力はない。 一番の美人が殺されるんですが、これが実は生きてるんじゃないのかと思うほど適当な死に方をしてます。 この次回作があればたぶん彼女が登場するかもしれません。 この2作目はかなり衝撃的な展開で驚きました。 この作品が続編として評価できるのは1作目とのリンク度の高さです。 話がけっこう自然につながってます。 ホラーよりも前作から引きずったレズ色が強くて、 さらにアマゾネス対決が本作の肝なんじゃないかとも思います。 保安官が最高にウザいです。 [DVD(字幕)] 5点(2013-12-24 00:04:00) |
110. 実録・リアル食人族<OV>
《ネタバレ》 実録じゃないです。当たり前ですが。 結構くだらないです。 全然リアルじゃありません。 食人族やブレアウィッチ的なモキュメンタリー映画。 男女4人での行動ですが、女友達が仲が悪くなったり、男どもが喧嘩したり、そっちの方がリアルで怖かったというか、観ていて嫌でしたね。 「映画でまでこんなものを見せつけられるのか」と。 日本語吹き替え版で見たんですけど、逆に英語よりリアルでした。 ギスギスとして嫌な感じが伝わってきます。 だから吹き替え版はオススメしません。 見ていてイライラするほどに性格の悪い下品なバカップルどもはああいう運命をたどって当然。 「こいつはもう生きて帰れないんだ」っていう台詞では少し残酷なものを感じる。 女の串刺し場面はシュールで印象的な場面であり、ショッキング映画好きとしてはなかなかだった。 食人種族の儀式はいってしまえば大したことないが、リアルに感じる場面も皆無とはいえません。 最後の呪術的な場面とかなかなか好きです。 しかしキモであるべきジャングル探索の場面がつまらなくてしょうがない。 食人族シリーズはジャングルに住む人たちに対する差別表現でしかないと感じる。 実録って書いてあるのに実録じゃないなんてひどいです。 [DVD(吹替)] 2点(2013-12-11 22:13:22) |
111. リアル・スティール
《ネタバレ》 生活の全てが壊れていた男チャーリー。 自分の息子の存在から逃げ、借金からも逃げて腐っていた。 しかしやがて親子関係が調整されたことで人生の巻き返しが始まるのだった。 父と子の絆を題材とする映画は一般男性(子持ち)には評判が良さそうだ。 ハリウッド映画でオタク臭のする映画の多くは日本リスペクトが凄いなと感じることがある。 この映画を見るとロボットにしてもゲームにしても世界のリーダーは日本であるようだ。 この映画の日本人は悪役であるが、その悪とは技術力であり これは日本の技術に対する嫉妬やコンプレックスであるかのように思う。 しかしこの日本人がデザインしたロボットの邪悪なデザインといい、 彼の態度のデカさといい、そりゃむしろアメリカ人の方だろという感じもする。 親子の絆を強めた感動の崖のシーン、 そして運命を感じるロボットとの出会いの場面が劇的で良かったです。 近未来ロボットとしょっぱいストリートファイトとの融合。 さらにはロボットアニメとボクシング映画との融合が面白い。 ロボットの試合はゲームとして描かれ、ゲームは現実の問題のすべてを吹き飛ばす。 エミネムやリンプの音楽はバトルの雰囲気を盛り上げる。 今は成功の結果や勝者が描かれる映画の時代ではないときいたことがある。 この映画がそれだった気がする。 結果の勝敗ではなく、そこに至るまでのプロセスだとか達成感といったものが大事らしい。 本当の意味での勝ち負けを観客に示したというところがこの映画のまた素晴らしいところかもしれない。 [DVD(吹替)] 8点(2013-12-11 22:07:09) |
112. 恐怖のロンドン塔
《ネタバレ》 ある番組の特集でこの映画のモデルとなったリチャード3世の骨が駐車場の下から出てきたというのを見て登録してみた。 ヴィンセントプライスとロジャーコーマンによるモノクロの怪奇映画。 あまり面白くない。 ただ、ヴィンセントプライスの演技が良くて、 まるで闇の帝王といった感じ。 彼の声の響きは相変わらず素晴らしい。 ジルドレイやブラド卿に代表される黒歴史ロマン。 そういった悪の帝王の肖像みたいな映画だ。 こんな感じで破滅してくれると悪人として偉大な人に思える。 B級ホラーの帝王ロジャーコーマン監督の作品。 幻想的な雰囲気はいいのですがB級から抜け出る内容ではない。 ヨーロッパの古城や幽霊、拷問など、暗黒的な雰囲気はメチャ良いのに、 地味な作品になってしまったのが残念だ。 それにしてもたいへんスケールの大きな自業自得劇です。 [DVD(吹替)] 6点(2013-12-11 21:58:12) |
113. 凶人ドラキュラ
《ネタバレ》 これぞ本来のドラキュラである、とでもいうかのような迫力のあるドラキュラ役が好評価。 名優クリストファー・リーが演じるこのドラキュラを正統派といわずしてなんといおうか。 ドラキュラの復活のシーンがよくできている。 儀式がオカルトらしくていい。 この映画の牧師さんはかなりワイルドだ。 聖典の代わりに銃を担いでいる。 ドラキュラの最後って大体の想像はつく。 心臓に杭を打たれるか日の光を浴びることでその呪いの歴史に終止符を打つドラキュラ映画は多いと思うけど、 この作品のドラキュラの最後は少し独特なのかも。 本来のドラキュラの恐怖が味わえる希少な映画であると思う。 [DVD(字幕)] 8点(2013-12-11 21:58:02) |
114. ツールボックス・マーダー
《ネタバレ》 シャイニングやサスペリアの影響を多分に受けたサスペンス・ミステリー・スラッシャー・ホラー。 個性豊かな住人たちのいるアパートで惨劇がまき起こる。 殺人鬼の武器は工具箱の中のアイテムという、ユニークさがあってなかなかいい。 それでいて殺人シーンの残酷さが冴えわたってるので、ホラー映画の巨匠復活!という内容だ。 監督は痩せた女性が好きなのか、そういう女性ばかりが出てくる。 自分は華奢な女性はあまり好きではないので、見ていて何か気味が悪かった。 少年の母親が最高にウザい。 人々の交流はこういったホラーの中では比較的凝っていて面白い。 愉快な人たちが次々に殺されていく。 舞台となる古いアパートは改装中なので廃墟好きにもウケが良さそうだ。 尋常じゃない殺人鬼と不気味な地下室は素晴らしくホラー映画の良作といえる。 謎解きのミステリアスな音楽もいい。 [DVD(吹替)] 7点(2013-12-07 21:27:51)(良:1票) |
115. グレイヴ・エンカウンターズ
《ネタバレ》 怖すぎて自主規制というコメントでレンタルしてみた。 これは確かに怖すぎて評判になってもおかしくない作品だった。 モキュメンタリーホラー映画としてはコンセプト的によく出来た作品だと思う。 独特の不条理な恐怖を観客に伝えることに成功している。 車いすのイベントとか、ストレッチャーの車輪が回転してたりとか、 通路が表示と違ったり、壁でふさがれてたりっていうのは、 たぶん制作者の誰かがテレビゲームの「サイレントヒル」のファンなんだろうと思う。 それと似た恐怖感がある。 「サイレントヒル リベレーション3D」の200倍はサイレントヒルの裏世界を表してる。 物語はいわくつきの精神病院の廃墟が舞台。 心霊番組のクルーが目の当たりにする衝撃の現象。 CG的にはごく普通な技術だけどそれでも怖いのはシチュエーションのためか。 2度目の鑑賞はあまり期待できないが、恐怖は素で体験できたので評価します。 漆黒の怖さとあふれる狂気、閉塞感、生理的な不快さ、このキチガイなセンス、大好きです! [DVD(字幕)] 7点(2013-12-07 21:20:30)(良:1票) |
116. サイレントヒル:リベレーション3D
《ネタバレ》 ゲーム版初期3部作の信者です。 ゲームの映画化ということで内容はアトラクション映画になってしまっている。 あまりにも筋書通りの展開をたどることが映画としての面白みを損ねてると思う。 やっぱ映画はテンポよく自由度が感じられた方が面白く見れるが この映画は観客に自由度を全く与えていないので観客は辛いと思う。 主人公の視点でしか物語が作られていない事が自由度の狭さにつながってると思う。 物語の背景の設定がもっとしっかりとされていれば物語はもっと広く、自由度もあったことと思う。 モデルとなったゲームのヘザーは処女だったが、 映画版ではモーテルに泊まったので「やっちまったか!」と思ったが、 その辺は大丈夫らしい。 これは別に処女厨とかいう話ではなくて、 ヘザーが処女でないとどうも話が成り立たないからだ。 映画でもゲームでも内容は神話の色合いが強く、ヘザーはいってみれば処女的な役割を担うからだ。 まあ結局そういう話なんだけど。 病的なまでに処女厨な俺としてはキスしただけで聖女としての地位はガタ下がりなのだけど。 ヒロインヘザーの「よく暮らせるわね」って、よく訊いてくれたと思う。 三角頭は精神病院を徘徊したりメリーゴーランド回したり守護したりって忙しい奴だ。 こいつは一人じゃないのか。 主人公の視点でしか練られていない物語は全く主人公に至れり尽くせりな世界になる。 この映画はよくも前作のファンやゲームのファンを裏切ってくれる。 監督はそもそもゲームのファンなのか? ゲームのファンに作らせた方が面白い映画ができたのに。 なんか違うんだよなー。 ゲームの方はもっと質素だ。 マネキンの部屋の雰囲気とか映画だと最悪。ソウかよ。 人肉調理みたいな直接的な白昼夢はゲームにはなかったと思うし。 地下の教会が重要なのに素通りしてるし。何より闇の世界が明るすぎ。 ゲーム版にあった静寂感とか幻想性とか皆無で、前作の肝だったメランコリーもない。 アメリカらしくグロが先行してる。クリーチャー映画としてなら面白いけど。モンスター対決はフレディ―vsジェイソンレベル。 恒例のナースだけは相変わらず神がかってたけど。 まあゲームの方も最近は外人が作るようになってから糞化したけど。コナミはサイレントヒルファンを蔑ろにしてるんだ。 映画の1は好きだけど、 やっぱ外人が作るサイレントヒルはいらないや。 [DVD(字幕)] 4点(2013-12-07 21:00:51) |
117. ダーク・シャドウ(2012)
《ネタバレ》 ティムバートンの美しいダークファンタジーを久々に見た。 荒んだ家族風景は軽く”アダムスファミリー”を連想させる。 色褪せて寂れた港町の雰囲気と、オープニングの音楽がもう最高。これは死ねる雰囲気だ。 自分は音楽に詳しくないので誰が歌っている曲かは知らないが。 この映画は ヴァンパイアと現代とのズレがウケる。 吸血鬼の数々の伝統がコメディによって消されないのは監督の匠の技といってもいいかもしれない。 怪奇とコメディが両方とも生きている。これはたぶん手腕がないとできないと思う。 しかしジョニーディップの吸血鬼役に自分は違和感を少しだけ感じてしまった。 ティムバートンは自身が好きであろう怪奇趣味を元手に、そこにとらわれることない面白い作品を大量生産する様は まるで魔術師のようだ。 ただ、ティムバートンが最も得意とすると思えた吸血鬼幻想という題材であるが、 その手のジャンルを極めた彼にとってはあまりにも今さら感というか手慣れた感が出てしまい、ストレートで面白みに欠けるものになってしまったのかもしれない。 ストレートとはいえ他のヴァンパイア映画にはないユーモアや様々な視点を取り入れて成功しているのは やっぱティムバートンは巨匠であり、こういった趣の美意識の体現者であるからだと思う。 ヴァンパイア映画で描かれるべき悲壮感はちゃんとあった。 人を結びつけるのは愛であるか所有であるのかというのが一つのテーマではあったと思う。 最後で愛を訴えた魔女の肉体は干からびて脆くひび割れて中身は空洞であった。それは彼女の心の表れでもあったと思う。 もしそれが本当の愛であったなら彼女は干からびることなく彼女の中身は空洞には決してならなかったと思う。 近代ヴァンパイア映画のクィーンオブバンパイアという映画はロックミュージックとヴァンパイアを融合したような内容だったと記憶しているが、 このダークシャドウも少しだけその流れをくんでいるのかもしれない。 ティムバートンの映画って、悪女とか魔女が多い確率で出てくるような気がする。 [DVD(吹替)] 7点(2013-11-26 23:37:15) |
118. スウィーニー・トッド/フリート街の悪魔の理髪師
《ネタバレ》 虫けらの棲家、醜いロンドンでは詩はユーモアに満ちて高らかに?歌声は美しく響く。 芸術とはこういうものなのだと思う。 分かりやすいほどに暗く幻想的な世界観。 ティムバートン監督はこの手のファンタジーの職人といえる。 この作品もまたブラックユーモアに満ちている。 殺人、地下室、拷問器具(のような椅子と精肉器)、ミートパイのネタ、精神病院、 魔女、悲劇、これらはダークファンタジーの極み。 怪奇映画は歪んだ愛というものが大体を支配している。 この映画もそんな感じだけど、 愛の歪み方がユーモラスで面白い。 歪みは大体が悲劇しか生まないようだ。 それを体現するような映画だった。 スプラッタ映画としてのレベルも高く、 ”スパッと切れる”のと”グチャってなるの”との両方が繰り返されるところに 変態じみたものを感じる。 スウィーニートッドはブラックジャックみたいだ。 またスウィーニートッドはその髪型がⅩ麺のウルヴァリンみたいだ。 これでシザーハンズみたいに剃刀を鉤爪みたいにつければ完璧にウルヴァリンだったのに、惜しい。 突拍子もないこと言ってスミマセン。 幽閉されたヒロインの少女はラプンツェルがモデルだろうか? この薄気味悪いロンドンで杖を鞭打ちみたいにしている役人の光景はジキルとハイドを思い出す。 ティムバートンの映画は魔女とか悪女がけっこう出てくるの特徴がある。 青年の愛多きゆえの失態がウザい。 あまりにも憎ったらしい判事への復讐が失敗に終わった瞬間、気が変になりそうだ。 暗く悲しい終わりが美しくて、スリーピーホロウの頃のティムバートンのダークファンタジー復活を思わせる。 ミュージカルの歌が良かった。 [DVD(吹替)] 7点(2013-11-26 23:37:03) |
119. 地下鉄のザジ
《ネタバレ》 不思議の国のアリスみたいにぶっ飛んだシュールな映画だった。 愉快なドタバタコメディーで見ていてなんか楽しい。 とにかく普通じゃない。古い映画ではあるが、斬新過ぎる展開には驚かされました。 芸術的だと感じる場面が多い。 少女サジ役が小生意気にも可愛らしくて印象的。 ただし薬でもやってそうな感じが少し不気味だった。 おかしな人々に驚かされっぱなしの映画だった。 追いかけっこが最高に楽しい。 最後のほうの破壊だとか乱闘が理解不能だが面白すぎる。 「食べ物で遊ぶな」っていいたいけど、それを超えている。 観る人によっては日頃の憂さやストレスを吹き飛ばす物凄い作品なのかもしれない。 [DVD(字幕)] 7点(2013-09-28 18:07:19) |
120. マドモアゼル
《ネタバレ》 ちょっとトラウマな感じの残るカルト映画だった。 女教師マドモアゼルの腐りかけた美貌が放つ熟れた色気と、 彼女の不条理かつ理不尽なまでの悪徳がこの作品の魅力だ。 閉鎖的な村ではその悪徳は独自の展開をたどる。 ってか動物が可愛そう。 彼女の悪徳と追尾するかのように少年の内にある性のざわめきが描かれてるみたいで面白い。 それからチェーンソーを持ったイタリア男(少年の父)が肉体美をもってセクシーに描かれる。 このイタリア男の笑い方には何か暗い余韻が感じられる。 イタリア男と女教師の辿る末路の差は、まるで男と女の違いが示されてるみたいだ。 差別、暴力、嫉妬、エロス、人間の醜い部分が森の影でむき出しになるが、 それとは逆にモノクロ映像は時に詩的なまでに美しく幻想的で、それがこの作品を芸術の域にまで高めている。 悪女や女教師に強い関心のある人ならおススメかも。 [DVD(字幕)] 7点(2013-09-28 18:07:07) |