101. ゲット・アウト
《ネタバレ》 米国内の賞レースでかなりの健闘をみせていて、まさかのオスカー候補も(?)ということで鑑賞。スリラーとしてはかなりおもしろい。グロさのない演出でどきっとさせられるのは、シャマラン風。なにが起こっているか分からない不気味さは中盤まで。ネタが明かされてからは脱出劇になるが、最後まで飽きさせない。一方、批評家から評価されている人種差別を逆手に取った演出というはイマイチぴんとこなかった。捻りのきいた低予算スリラーが、人権問題を扱う作品として高い評価をされているところこそ、アメリカに潜む人種差別の根強さを反映している、というところだろうか。 [映画館(字幕)] 6点(2017-12-19 09:00:26)(良:1票) |
102. Mr.ホームズ 名探偵最後の事件
《ネタバレ》 イアン・マッケランの存在が全て。物覚えが悪くなり、過去の記憶が薄れたホームズが、最後の事件を振り返る。とはいえ、物語の中心は人生の終盤に差し掛かった老人が子供や未亡人と触れ合う人間ドラマだ。日本に行くエピソードなど、さほど重要と思えない逸話も盛り込まれるものの、田舎の風景の美しさも合わさって心地よい感動が得られる。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2017-12-13 17:02:41) |
103. オリエント急行殺人事件(2017)
《ネタバレ》 「オリエント急行殺人事件」は、アルバート・フィニー版よりむしろデヴィッド・スーシェ版が印象深いのだが、2017年版はまずケネス・ブラナーのポワロに馴れるのに時間がかかった。ウィットを交えたトークと機敏に動く姿は、ポワロというよりシャーロック・ホームズかアルセーヌ・ルパン。物語は、あまりにも有名な事件の真相にたどりつくまでどう魅せるかが肝なのだが、アクションが所々に挿入される以外は奇をてらわない展開で違和感はなかった。ポワロの苦悩は丁寧に描かれている。映画を楽しめるかどうか、もっとも大事な点はなんといっても豪華なキャストだろう。M・ファイファー以外はなかなか目立たない気もしたが、J・デップの悪役など、舞台を見ている感覚で実力のある俳優たちの演技を堪能できた。 [映画館(字幕)] 7点(2017-12-13 16:58:12)(良:1票) |
104. コップ・カー
《ネタバレ》 テンポの悪さが目立つ。題材はおもしろいのだけど、少年らの運転シーンやK・ベーコンの靴紐シーンがじれったい。少年が、悪徳警官のパトカーを盗むところから負の連鎖が起こるという展開はとてもおもしろいだけに、残念。低予算で犯罪を楽しませるなら、コーエン兄弟を見倣って! [DVD(字幕)] 4点(2017-11-29 00:07:07) |
105. アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場
《ネタバレ》 戦場と離れた場所で生死を決める現代の戦争。その葛藤と現状が描かれている。サスペンスとしても申し分なく、問題提起に値する作品でもある。遺作となるA・リックマンの存在感は会議室の中で必然であり、最後に放たれるセリフはこの映画の核心をなす。 [ブルーレイ(字幕)] 8点(2017-11-28 23:56:48) |
106. ジェイソン・ボーン
《ネタバレ》 ボーンの目的が父親殺しの真相探しで、いまいちピンとこない。一方、CIAがボーンを追う目的は完全に見失っている。追わなきゃ、ボーンも現れないのに。アクションは前3作と大差なく、カーアクションがやたらに長くて間延びする。それでも、マット・デイモンとトミー・リー・ジョーンズの気迫に飽きることはない。ヴィキャンテルは2人に比べると小粒感がある。もっと大物女優でよかったのかもしれない。 [ブルーレイ(字幕)] 5点(2017-11-21 11:57:15)(良:1票) |
107. 1984(1984)
古典となる原作は、傑作。映画化となる本作は凡作。原作に引っ張られすぎていて、映画的な魅力を語ることに失敗している。とはいえ、この原作を映画化するのは難しすぎる。舞台を旧ソ連寄りにしたのは安易すぎるのではないか。タルコフスキーが撮るならば、どのような映像表現ができただろうか。と思いつつ、エンディングで撮影はロジャー・ディーキンスだと気づく。なるほど、暗く陰影のある映像は雰囲気がよい。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2017-11-15 21:37:39) |
108. ノクターナル・アニマルズ
《ネタバレ》 本筋とその中で語られる小説物語が同時に進行していく。こうした展開は、劇中物語がどうしても余計なものに感じて本筋に気が向かないのだが、本作も同様の印象。ただし、J・ギレンホールが本筋と小説内の主人公という二役を演じることで、集中力は辛うじて保たれる。小説内で語られる高速での誘拐シーンがやたらに緊張感が高かったり、マイケル・シャノンの凄みが他を圧倒したり、オープニングの無意味な全裸女性が見る人を選別したり、全体的に焦点をぼかしているのは作り手のしてやったり感があっておもしろい。好きにはなれないが、どこか惹きつけられる魅力のある作品。 [映画館(字幕)] 6点(2017-11-15 21:31:33) |
109. ザ・ガンマン
《ネタバレ》 ハビエル・バルデムやレイ・ウィンストンという渋い役者が出ているのに、見せ場なく呆気なく死んでしまうのは残念。ショーン・ペンが頻繁に眩暈を起こして倒れこむ設定が効いていなくてムダ。とはいえ、そこまで酷い作品ではない。CGを多用したアクションとは異なる、体張ったアクションで緊張感がある。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2017-10-04 20:39:51) |
110. エイリアン:コヴェナント
《ネタバレ》 「コヴェナント」は良くも悪くも、エイリアンシリーズの原点回帰である。1、2作の見どころを集めた作りで、新しい驚きや緊迫感はないがそれなりに楽しめる。「コヴェナント」を見ることで、肩透かし感のあった「プロメテウス」が、実はヴィジュアル、サウンドともに優れていたのだと思い直した。 [映画館(字幕)] 7点(2017-09-24 11:30:49) |
111. エル ELLE
《ネタバレ》 カメラは最初から最後までイザベル・ユペールを追いかける。これは彼女の物語だ。過去のトラウマからの解放と尽きない性への欲望を付きまとわせながら、周りを翻弄し、翻弄され、ひたすらに観客は戸惑わせられる。出てくる男がみんなダメな男ばかり。男性に虐げられた女性が主人公のサスペンスという前提をとりながら、実は女性賛歌のブラックコメディ的ドラマなのである。 [映画館(字幕)] 7点(2017-09-17 20:04:46)(良:2票) |
112. ダンケルク(2017)
《ネタバレ》 ストーリーの欠如が映画を単なる映像にしている。スクリーン全体に展開される映像の数々はノーランらしく見入るものがある。しかし、そこに感情移入できる物語はなく、映画の世界に入ることのないまま終わってしまう。 [映画館(字幕)] 5点(2017-09-17 19:46:11) |
113. ベイビー・ドライバー
《ネタバレ》 丁寧な作りに満足。映画ネタなどを絡めたセリフにスマートなアクション、適度な暴力に個性的で憎めない登場人物たち、絶妙な選曲の数々。若者二人の恋物語もぴったりストーリーにハマッている。スゴい映画をみたという感動はないけど、映画館でみるべき良作である。ジェイミー・フォックスはあまり悪役の印象がないのだけど、この映画では印象に残る悪役を演じている。 [映画館(字幕)] 7点(2017-08-27 19:50:45) |
114. ルーム
《ネタバレ》 ルームから脱出するまでの緊迫感、脱出後に母子が再会する高揚感にくぎ付けになる。後半は、広い現実世界の中でどう母子が生きていくかに話が転換される。主演2人の演技もさることながら、内面をみつめる丁寧な演出もよかったです。 [DVD(字幕)] 7点(2017-08-16 16:11:08) |
115. マネーモンスター
サスペンス性も問題提起もやや物足りない。主人公である番組司会者のG・クルーニーは犯人の添え物的な役回りで、勿体ない印象だ。 [ブルーレイ(字幕)] 5点(2017-07-30 13:39:18) |
116. ニュースの真相
《ネタバレ》 公開当時は目立たない作品だったが、ブッシュの軍歴詐称疑惑を巡る実話作品で俳優陣も豪華である。誤った報道に対して、誰がウソをついたかではなく、ジャーナリズムの在り方に話が進む。突っ込み方が中途半端な印象はあるが、報道関係者や視聴者にとって考えさせられる部分は大いにある。 [DVD(字幕)] 6点(2017-07-30 13:36:36) |
117. デッドプール
《ネタバレ》 X-MENの世界観の延長にあるとは知らずに鑑賞。主人公が全身スーツで顔が隠れているにも関わらず表情がちゃんと伝わってきて、ライアン・レイノルズの巧さが光る。アクショシーンは見応えあるし、復讐という物語の単純性も、キャラクターの魅力をメインに見る映画としては妥当。真面目にみる映画ではないです。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2017-07-17 18:45:58) |
118. LOGAN ローガン
《ネタバレ》 ウルヴァリンことローガンの終末を描いている。ミュータントが存在しなくなった未来の伏線や、その責任を背負うローガンとプロフェッサーの醸し出すダークな雰囲気は悪くない。とはいえ、その筋立ては、ミュータントの遺伝子を基に殺人マシーンを作り出そうとする一団との追いかけっこであった。物語のベースはこれまでと何ら変わらず、展開を追うだけなら目新しさがない。ヒュー・ジャックマンとパトリック・スチュアートの幕引きを堪能する作品だ。 [映画館(字幕)] 5点(2017-06-30 19:42:45) |
119. ハクソー・リッジ
《ネタバレ》 前半は、暴行や告訴を受けながらも、頑なに銃を取ろうとしない主人公に焦らされる。宗教感のない日本人にとっては、そこは少しだけ信念を曲げて周りへの迷惑を考えてあげるべきでは、と思ってしまう。この違和感を救ってくれるのは、父親の存在だ。戦争を経験した苦しみから湧き上がる、妻や息子への歪んだ愛情に、場面場面で泣かされる。後半は、凄惨すぎる戦場シーンと、人殺しを拒んだ主人公が人を助けるドラマに一気に惹き込まれた。特に、沖縄戦が舞台になっていることは日本人にとって考える部分が大きいのでは。ハリウッド映画でありながら、予想したほど日本側を邪険に扱っていないのは好感が持てた。解説をみると、メル・ギブソンの宗教感が全体に現れているらしいのだが、それを加味せずとも、見応えのある作品です。 [映画館(字幕)] 7点(2017-06-30 19:25:02) |
120. 20センチュリー・ウーマン
《ネタバレ》 舞台は1979年。世代の異なる3人の女性と、思春期の少年の物語。女性たちが経験した辛く幸せな人生、それがあるひと夏の出来事を通して伝わってくる。随所に笑いを散りばめながら、その時代の音楽や流行がレトロに輝き、映画としての見せ方もうまい。予想していた人生など訪れないと少年に説く母親。理解できないけれど、女性たちの“教え”を通して変わっていく少年。世代や性別を問わず、自分の人生を見返してみたくなる映画だと思います。 [映画館(字幕)] 8点(2017-06-03 19:51:28) |