101. 糸(2020)
《ネタバレ》 また好きな映画が増えた。 今の若い俳優が演じる、運命の糸の話。 平成時代をまるごと総括したスゴイ映画。 やはり瀬々監督は凄いな♪ でも昭和の大歌手を平成に閉じ込めたのは、ちょっと悔しかったかな?(笑) [DVD(邦画)] 9点(2021-05-11 01:10:20) |
102. 一度も撃ってません
《ネタバレ》 最高! これは阪本順治ワールドを楽しめるかどうかで、評価が分かれると思う。 チャンドラー風ハードボイルドの世界を彼がどう料理したか・・ チャンドラー風だから、派手なアクションシーンがないのは当然。 しかしここに阪本順治のツボがどう収まるかが最大の見せ場。 そして、それがあのバーでのにらみ合いになるのだ。 どんなジャンルにも、阪本順治のセンスが光る。 スゴイです! イブモンタンの真夜中の刑事、観た~い! 某レンタル屋の発掘良品でやってくんない? [DVD(邦画)] 9点(2021-03-13 17:03:06) |
103. TENET テネット
《ネタバレ》 面白い! 前半と後半に分けて、観ると、分かりやすい。 まず、逆行というものがタイムマシン(古い言い方ですが)によって、存在するという前半。 これは、なぞの格闘シーンの解明で、頂点に達する。 後半は、もう逆行は選択肢としてアリという前提で、話がどんどん複雑になる。 味方、現在の敵、逆行の敵、逆行の味方、と軍事行動など何が何だか分からなくなるが、 ここは未だかつてない映像体験を楽しめばいいのだ。 奥さんが撃たれた時点で、一週間前に行って、手当てすればいいだけの気もしたが、 事態はどんどん複雑に・・ しかし、ノーランはやはり映画作家だった。 最後は、分かりやすい展開で、う~むと唸らせて、我々を満足させてくれる。 最高! [DVD(字幕)] 9点(2021-03-06 15:46:00)(良:1票) |
104. ヌードの夜/愛は惜しみなく奪う
《ネタバレ》 漫画家でもある石井隆監督の最高傑作だと思う。 そして竹中直人の魅力をここまで引き出した作品もこれが最高! 俳優は名が売れてくると、探偵役か刑事役のシリーズものを背負うのだが、 竹中の場合、代行屋だった。 前作も切なかったが、本作の方が竹中の味が思う存分引き出せてたと思う。 クライマックスで薄幸の女性、レイの怒りの最期を見届けたのが、 代行屋の竹中だった。 石切り場でのアクションは、哀しさすら感じさせる名場面である。 もう最後はエロスを超えて、宗教画の世界である。 代行屋の再生に女刑事の手弁当と猫だったというのが、なんと優しい。 (石井さんの作品には「ナミ」が出てくるのが多いが、本作にもチラリと名前が出ているのが嬉しかった) [DVD(邦画)] 9点(2020-12-26 19:18:13) |
105. 河(1951)
《ネタバレ》 ルノワール、いい! 古典で、もうこんなに豊かな映画があるんだ~♪ インドの映画ということで、ヨーロッパ、上から目線の映画だろうと舐めてた。 ところが若草物語をさらに深めたような内容に驚いてしまった。 ルノアール、最初のカラー映画。 3人の娘がいい。 アメリカ風の翔んでる長女。 女の子と女性の狭間にいて、自分をもてあましてる次女。 そしてインドの聡明な女性。 ここに戦争で負傷して、一時は英雄扱いされたものの、戦後の成長期で 障害者として、後ろめたい気持ちのままの青年がやってくる。 さぁ、悩める男性に、この3娘、どう立ち向かう!? 素晴らしい映画でした。 これはレンタル屋の古典のコーナーを侮るなかれということであろう。 P.S. 助監督があのサダジットレイとは・・(驚) [DVD(字幕)] 9点(2020-10-18 00:53:30)(良:1票) |
106. 天気の子
《ネタバレ》 いや~、良かったなぁ。 少年のころを思い出しました。 いやいや、それじゃいけないんですよね。 おじさんも頑張りますぞ! 音楽が最高! [DVD(邦画)] 9点(2020-08-14 22:10:55) |
107. 赤ひげ
《ネタバレ》 黒澤ヒューマニズムといったとこか。 黒澤監督は、2~3の大きな構成で挑むんだよね。 この映画で言えば、前半は若い医者の赤ひげへの反発から敬意へと変化していく様を、 後半は若い医者の腕の見せどころで少女と向き合う姿を描くと言った感じ。 でも舞台は小石川の療養所から動かない。 ちょろちょろ舞台が変わらないところが黒澤さんの映画の見やすさなんだよなぁ。 凄いです!黒澤監督! [DVD(邦画)] 9点(2020-08-02 23:09:54) |
108. 旅のおわり世界のはじまり
《ネタバレ》 黒沢清監督と言えば、ホラーの名手である。 得体のしれないものを描くのが得意である。 最初、スマホに夢中の現代の若者が平気で海外をうろつく、 この現代日本そのものが得体のしれないものであるという捻ったホラーかと思った。 この日本の若者の得体のしれないぶりは、カメラをもたせることで 映像の手前にいる自分は安全地帯なのだと錯覚を起こしてしまい、異国の地で大胆な行動を起こして ピークに達する。 前田敦子と言えば、「もらとりあむタマ子」の女優だ。 なんとラストは、異国の地で情に触れ、感極まって、ウズベキスタンの きれいな山脈をバックに「愛の賛歌」のアカペラを披露する。 旅と映画は似ている。 流れがあって、異世界での体験にクライマックスもあるからだ。(人にもよるかもしれないが) 一本で両方の効用がある、見事な傑作だった。 [DVD(邦画)] 9点(2020-06-28 02:04:31) |
109. 野良犬(1949)
《ネタバレ》 イイですよね~ 新米刑事とベテラン刑事の仕事の違いで前半、観せるんですよね。 そして後半、一緒に犯人を追いつめていく。 ところが、ベテランの方が凶弾に倒れる。(亡くならないですけど・・) そして、新米刑事が自分の拳銃に最後、銃口を向けられる。 もうこんな筋書き、完璧すぎでしょ! 黒澤明は本当に凄すぎ! [DVD(邦画)] 9点(2020-05-10 23:37:40) |
110. 蜜蜂と遠雷
《ネタバレ》 面白かった! どこまでもどこまでもエッジの効いてる天才たちに 生活者の音楽が敗れたのが悔しかった。 でも彼らの音楽は鳥肌が立つ。 う~む、俺もオーケストラの生演奏でも聴きに行ってみようかな♪ [DVD(邦画)] 9点(2020-04-10 01:05:48) |
111. 半世界
《ネタバレ》 池脇千鶴が光ってます。 彼女がいなければ、彼女でなければ、もっと普通の作品だったと思います。 それにしても、どうして阪本監督、いい作品ばかり創れるんすか? 本作品もすげぇ良かった。 でも10点満点にしなかったのは、ジェラシーの為です(笑) ※あ、でも「鉄拳」は監督の作品では納得いかなかったです。 [DVD(邦画)] 9点(2020-02-15 17:48:26) |
112. 座頭市物語
《ネタバレ》 面白い! この頃の勝新太郎は、見事にカッコいい。 しかもこの話の座頭市は、見事すぎる。 なんといっても平手造酒との友情、そして斬り合い。 この一戦、まったくダラダラした斬り合いじゃないので、ビシッと来る。 むぅ、なんと「平手造酒」という彼のみを描いた映画も、地元の図書館にあった。 観ねばなるまいな・・ 冬の夜の鑑賞にピッタシなのであった。 鑑賞後、酒を買いに行く自分にヒロイズムを感じる夜だった。 [DVD(邦画)] 9点(2019-12-05 20:33:31) |
113. 三文役者
《ネタバレ》 一度、劇中で見たら、忘れられない風貌の俳優、殿山泰司。 彼の愛すべき私生活を、殿山が怖い人だと言っていた監督、新藤兼人監督自身の 手により映画化。作品も竹中の好演が効いて、愛すべき一本になっている。 荻野目慶子は映画と結婚したような女優。 その体当たりの演技は、もうこれが映画の中と思えないくらいの肉迫ぶり。 素敵です。 何度も言うが、とても愛すべき映画だ。 やはり映画は、役者の魅力が隠し味のように効いてくるものだと再認識させられた。 竹中の魅力が、いつしか殿山の魅力と重なり、乗り移ったのではないかと思わせられる。 [ビデオ(邦画)] 9点(2019-07-04 00:48:02) |
114. ファントム・スレッド
《ネタバレ》 とても素晴らしいラブストーリー。 ファントムスレッド・・・幽霊の糸。 亡き母親に育まれた才能を開花させた職人肌の仕立て屋は、 新しい女性との出会いの中で、自分の中の何かが崩れ、何かが芽生える、そんな映画と僕は解釈しました。 女性は永遠の謎と言いますよね。 本当にそう。でも永遠の出会いなんですよね。 格調高いラブストーリーに仕上げたポールトーマスアンダーソンに乾杯です。 今までの彼の作品は、どれも重かったけど、それでも新しい映画を、新しい人間描写を、 と常に格闘しているこの映画作家に、本当に敬意を示したいです。 [DVD(字幕)] 9点(2019-03-02 15:47:21)(良:1票) |
115. エンドレス・ポエトリー
《ネタバレ》 自伝的映画「リアリティのダンス」に次ぐ続編である。 前作が家族のことを強く描いてたのに対し、本作ではホドロフスキーの女性関係が描かれている。 まぁ許される(?)クズであったということか・・ ホドロフスキーのキーワードは、厳しい父親、サーカス、小人などである。 「サンタサングレ」も自伝的要素が強い。 「エルトポ」「ホーリーマウンテン」あたりが彼のぶっちぎり世界観を楽しめる。 若きホドロフスキーにとって、アート(この映画では詩)が癒しだったのだ。 ラスト、旅立った先の業界が、映画界やバンドデシネだったということだろう。 リアルタイムで、映画を通して、彼という彷徨える詩人の旅に付きあえれたことは幸運だった。 どの作品も見応えがあって面白かった。 ご苦労様というしかない。 [DVD(字幕)] 9点(2018-12-07 01:13:36) |
116. ドア・イン・ザ・フロア
《ネタバレ》 アーヴィングの映画化された作品の中では、一番素直だと思いました。 自分が学生の頃、背伸びして最初に観た文芸作品がアーヴィングの「ガープの世界」でした。 その時の衝撃は忘れられません。原作も読みました。 それから30年近くたち、世の中の見方が変わるにつれ、「ガープ」の魅力も薄れていきました。 嘘があると思うようになったからです。 でも本作には、それはないです。 むしろ「ガープ」の嘘が昇華されて、より深く掘り下げられて描かれてました。 見事なアーヴィング作品です。 でも10点満点にしなかったのは、作家志望のエディが軽く扱われてるからです。 エディのひと夏の思い出みたいにして、彼が今、何をしているかまで描かれていたら、最高でした。 [DVD(字幕)] 9点(2018-11-15 23:39:58) |
117. マチネー/土曜の午後はキッスで始まる
《ネタバレ》 この手があったか! 映画ファンなら間違いなく喜ぶ内容。 「ハウリング」のジョー・ダンテがこんな映画創るとは・・ まぁ「グレムリン」のバカ騒ぎから考えると、 本作も「有り」かなぁ・・ ジョンランデイスとの交友関係も影響したのでは・・ 某レンタル屋の発掘良品にあったので鑑賞。 まさしくこんな隠れたB級傑作を発掘してこそ。 「マチネー」とは昼興行のことみたい。 土曜の昼間の映画館での話だからか。 当時、中東との戦争が始まり、アメリカ国内でも 娯楽に対する厳しい目もあったんでしょうね。 ジョー・ダンテの「答え」がここにある。 [DVD(字幕)] 9点(2018-10-20 14:00:31) |
118. シェイプ・オブ・ウォーター
《ネタバレ》 「ヘルボーイ」「ラビリンス」の監督だもん。 こういう映画、充分「有り」だよね~。 思うにデルトロは女性のきれいな体とクリチャーのラブシーンを描きたくて、 こんなラブストーリーを創ったんじゃないかなぁ。 美しいシーンが多く、手元に置いておきたい映画の一本です。 クリチャーとサドっぽいキャラ。 この二つがデルトロ映画の肝ですよね。 最高です。 ストーリーが分かりやすいのも、また良し!ですっちゃ。 [DVD(字幕)] 9点(2018-09-29 17:45:11) |
119. タッカー
《ネタバレ》 素晴らしい! アメリカの映画と言ってしまうのは、勿体ない! 全ての夢をあきらめない、立ち向かう人たちに観てほしい! コッポラのこの映画が、興業的に失敗したのは残念だが、静かに伝えていかなきゃいけない名作! これくらい善悪がはっきりしてると子どもにでも分かる。 この痛快さ! ベンチャーブームの今の若い起業家たちにも是非、観せてあげたい! 最後の法廷の弁論は、ルメットの「評決」に並ぶくらい好き! 何故かレンタルビデオ屋に揃ってない気がする。 この映画こそ発掘良品で! ※令和になって、発掘良品化されました。皆さん、是非! [ビデオ(字幕)] 9点(2018-06-24 01:10:08) |
120. 白痴(1951)
《ネタバレ》 さすが黒澤監督、圧巻である。 4時間ほどの映画を短くしたことに対する不満もあるが、 短くなったおかげでクライマックスの原節子と久我美子の対決がより鮮明になった気がする。 原節子の演技がこの映画の命だ。 とくにクライマックスでの表情は、小津さんなどの映画に出ている原節子とは全く違う。 ここまで女優がむき出しの演技をしている映画はあまりないのではないか? ラスト、主人公の青年はどうなったのだろうか? 伝言少年の嘆き「あの人のいいとこだけを思い出に・・」とか言ってたが・・ 三船が気がふれてきた場面から一体何が起こったのだろう・・う~む これは原作を読むべきかもしれない・・ いずれにせよ、この作品のおかげでドストエフスキーに興味をもった。 黒澤監督がラブストーリーを撮らないのは、これ一本でもう十分だからだろうなぁ。 いや、唸った。唸った一本だ。 10点満点だが、縮小版のため、この点数。 [DVD(邦画)] 9点(2018-05-05 10:04:24) |